博士(医学)長井和彦 学位論文題名
カ ルニ チ ン輸 送 担 体 OCTN2 の
新規調節因子(Cartregulin) の構造と機能 学位論文内容の要旨
カルニチンは、長鎖脂肪酸をミトコンドリア内膜に通過させる際に必須の担体
であり、脂肪酸代謝に重要な因子である。またその誘導体であるアセチルカル
ニチンは、神経伝達物質の産生に関与し丶・アルツハイマー型痴呆などの神経疾
患の治療に使われる可能性がある。現在、カルニチン及びアセチルカルニチン
の輸送担体として知られているものは、OCTN2 (有機陽イオン輸送担体)があ
り、その脳での発現は非常に低いため、我々は、脳特異的な輸送担体の単離を
試みた。OCTN 群に保存されてしヽる共通配列0.2kb をプローブとして、ラット
脳cDNA ライブラリーをプラークハイブリダイゼーション法にてスクリーニン
グ し た 。 OCTN2 に 相 同 性を 有す る cDNA が単 離さ れ、Cartregulin と 命名 し
た 。Cartregulin cDNA は、2926bp の塩基からなり、146 個のアミノ酸をコー
ド している。Cartregulin 蛋白は、OCTN 群共通の一回膜貫通領域を有してい
る。Cartregulin mRNA は、ラットの脳だけでなく、腎臓や精巣上体をはじめ
多くの臓器に発現している。また、Cartregulin 蛋白は、CHO 細胞やCOS7 稀田
胞において、小胞体に局在していた。C artregulin 自体では、 COS7 細胞にお
い てカルニチン及ぴアセチルカルニチンの輸送活性は有しないが、OCTN2 と
共 発 現 す る こ と で 、 OCTN2 の 輸 送 活 性 を 約 2 倍 に 増 加さ せ る。 この OCTN2
の カル ニチン 及ぴ アセ チル カルニ チンの輸送活性増強は、OCTN2 mRNA が増
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加 するこ とでOCTN2 蛋 白の増加に よるもので あることが 判明した。 mRNA の 増加のメカニズムを調べるためにアフリカツメガェルの卵母細胞を使用し、直 接 cRNA を 注入 す るこ と で転 写 の要 素 を 除外 し た。 Cartregulin と OCTN2 を 共 発現した卵 母細胞では 、アセチルカルニチンの輸送活性が増強し、OCTN2 ア ナ ログ で あ るOCTN1 と共 発 現 した OCTN2 で は 変 化が なかった。 以上のこ と か ら 、 C artregulin は 、 OCTN2 mRNA を 安定 化 させ る こと で OCTN2 の 発 現 を増加させ 、その結果 OCTN2 の輸送活性の増強すると考えられる。このこ と か ら C artregulin は、 OCTN2 の新 規 の増 強 因子 で あ ると 考 えら れ る。
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学位論文審査の要旨 主査 教 授 筒井裕之 副査 教 授 三輪聡一 副査 教 授 川口秀明
学 位 論 文 題 名
カ ル ニチ ン輸 送担 体 OCTN2 の
新規調節因子(Cartregulin) の構造と機能
カルニチンは、長鎖脂肪 酸をミトコンドリア内膜に通過させる際に必須の担体であり、脂 肪酸代謝に重要な因子で ある。またその誘導体であるアセチルカルニチンは、神経伝達物 質の産生に関与し、アルツハイマー型痴呆などの神経疾患の治療に使われる可能性がある。
現在、カルニチン及びア セチルカルニチンの輸送担体として知られているものは、OCTN2
(有機陽イオン輸送担体 )があり、その脳での発現は非常に低いため、我々は、脳特異的 顔輸送担体の単離を試み た。OCIN群に保存されている共通配列0.2kbをプローブとして、
ラ ット 脳cDNAライブラリーをプラークハイプ リダイゼーション法にてスクリーニングし た。OC'IN2に相同性を有 するcDNAが単離され、Cartregulinと命名した。Cartregulin cDNA は、2926bpの塩基からなり、146個のアミノ酸をコードしている。Cartregulin蛋白は、OCIN 群共通の一回膜貫通領域を有している。Cartregulin mRNAは、ラットの脳だけでなく、腎臓 や精巣上体をはじめ多くの臓器に発現している。また、Car1ニregulin蛋白は、CHO細胞やCOS7 細胞において、小胞体に 局在していた。Cartregulin自体では、COS7細胞においてカルニチ ン 及び アセ チルカルニチンの輸送活性は有し ないが、OCD屹と共発現する ことで、OClN2 の輸送活性を約2倍に増加させる。このOC冊屹のカル ニチン及びアセチルカルニチンの輸 送 活 性 増 強は 、OCD氾 血u岨 が増 加す るこ とでOClN2蛋白 の増 加に よる もの であ るこ と が 判明 した 。mRNAの増加のメカニズムを調べ るためにアフリカツメガエルの卵母細胞を 使 用し 、直 接cRNAを 注入 する こと で転 写の 要素 を 除外 した 。CamegulinとOCD屹を共発 現 した 卵母 細胞 では 、ア セチ ルカ ルニ チンの輸送活性が増強し、OCrm2アナログである OCTN1と共発現したOC冊屹では変化がなかった。以上 のことから、Cartr9gulinは、OCnセ mRNAを 安 定 化 さ せ る こ と でOCD也 の 発現 を増 加さ せ、 そ の結 果OCD也 の輸 送活 性の 増 強すると考えられる。このことから(:artregulinは、OC附2の新規増強因子であると考える。
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口頭発表に際し、主査の筒井教授からCartregulirは、ミトコンドリアリッチな臓器にも 同 じもの が存在す るのか 。色々な病態でCartregulinが変化するのかなどの質問がなされ た。次いで副査の川口教授からカルニチンは昔心保護薬として使用されたがあまり効果な く、何故今カルニチンに関して研究しようと考えたのか動機を知りたい。OCTN2の約1/3の も の で 相 同性 が 高 いも の な ら、ocTN2が 切断 され たものの 可能性は 否定で きるのか 。 Cartregulinは、ocTN2m恥の安 定化に て作用す るとの ことだが 、蛋白一 蛋白による相互 作用はないのか。などの質問がなされた。次いで副査の三輪教授から川口先生の質問に対 す るコメ ント及び 、心臓 への臨床応用の形でC釘tregulinがどのような効果が期待される かなどの質問がなされた。いずれの質問に対しても、申請者は研究結果に基づいて、ある いは文献的知識により、概ね適切な回答を行った。
この論文は、新規の分子を同定し、その構造および機能を明らかにした点を評価され、審 査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分な 資 格 を有 す る もの と 判 定し た 。
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