• 検索結果がありません。

博士(医学)合田 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)合田 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)合田 学位論文題名

Prognostic value of hypercapnia in patients    with chronic respiratory failure during       long‑term oxygen therapy

(長期酸素療法中の慢性呼吸不全患者における 予 後 因 子 とし ての高 炭酸 ガス 血症 の意義 )

学位論文内容の要旨

日日

    研究目的

高 炭 酸ガ ス血 症は 慢性 肺 疾患 患者 の予 後不 良 因子 とし て広 く 信じ られ てい る。 し かし、長期に 酸素 吸 入 療 法 を 施 行 さ れ て い る 慢 性 呼 吸 不全 患者 に おけ る高 炭酸 ガ ス血 症の 予後 因子 と して の意 義に つ い ては 一定 の見 解が な い。 高い 動脈 血炭 酸 ガス 分圧 (PaC02)レ ベル を許 容す る ことは、換気 に要 する エネルギーを節約すること を意味し、その患者にとっては有利に働いていると考えることもできる。

そ こ で、 今回 、我 々は 厚 生省 特定 疾患 「呼 吸 不全 」調 査研 究 班に 登録 され た長 期 酸素吸入療法 患者 を対 象に、高炭酸ガス血症の有 無が予後に影響するかどうか を検討した。

    対 象と 方 法

  長 期 酸 素 吸 入 療 法 ( 在宅 酸素 療法 )を 施 行し てい る全 国 の1,740施設 に調 査 用紙 を送 付し 、1985 年7月 か ら1993年6月 ま で に32,621名 の 長 期 酸 素 吸 入 療 法 施 行 患 者 を 登 録 し た 。 そ の 後 、 こ れ ら の 施 設 に 年1回 ア ン ケ ー ト用 紙 を送 り、 患者 の予 後 を調 査し た。 全登 録 患者 から 、2大基 礎疾 患で あ る 慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 (COPD) と 肺 結 核 後 遺 症 に つ い て 、 @ 年 齢40歳 か ら80歳 、 ◎ 安 静 時 室 内 気 呼 吸 下Pa0: ≦60Torr、 ◎1日 の 酸 素 吸 入 時 間15時 間 以 上 の 者 を 選 択 し 、 最 終 的 にCOPD患 者 4,552名 、 肺 結 核 後 遺 症 患者3,028名を 研究 対象 と した 。平 均観 察期 間 は2.4+1.9(SD)年 であ った 。 長 期 酸 素 療 法 導 入 前 の 安 静 時 室 内 気 呼 吸 下 の 動 脈 血 ガ ス 分 析 に 基 づ ぃ て 、PaCO: ≧45Torrを高 炭 酸 ガス 血症 患 者、35≦PaCO:く45Torrを正 炭酸 ガス 血 症患 者と 定義 し 、Kaplan−Meier法を 用い て、

両 者 の 予 後 を 比 較 し た 。 さ ら に 肺 結 核 後 遺 症 患 者 に関 して は、PaCO: の値 によ って 患 者を5群に 層   別 化 し (PaC02く35Torr、35≦PaC02く45、45≦PaC02く55、55≦PaC02く65、65≦PaCOz)、Cox 回 帰 分 析 と 比 例 ハ ザ ー ドモ デル によ り正 炭 酸ガ ス血 症群 を 基準 とし て各 々の 群 のハ ザー ド比 (危 険 率 )を 求め た 。ま た、 その 他の 因 子に つい ても 予後 解 析を 行っ た。

    結 果

1)COPD患 者の 予後

(2)

  COPD患者4,552名中、1,611名が観察期間中に死亡した。生存率は1、3、5年でそれぞれ88、62、   40%であった。死因は呼吸不全が1 081名(67.1%)を占めた。正炭酸ガス血症、高炭酸ガス血症の2   群間の比較では生存率に差はなかった。Cox回帰分析では、年齢、性別、Pa02、対標準肺活量が独   立 し た 予 後 因 子 で あ っ た 。 し か し , PaC02と1秒 率 は 予 後 因 子 で は な か っ た 。 2)肺結核後遺症患者の予後

  肺結核後遺症患者3,028名中、1,012名が観察期間中に死亡し、生存率は1、3、5年でそれぞれ87、   66、48Y0であった。死因は呼吸不全が733名(72.4%)であった。高炭酸ガス血症患者は正炭酸ガス血   症患者に比べ予後良好で(p<0.0001)、生存率の差は1、3、5年でそれぞれ3Yo、10%、12%であった。

  Cox回帰分析では性、年齢、Pa02、対標準肺活量、1秒率とともに、PaC02は独立した予後因子であ   った。正炭酸ガス血症患者を基準としたハザ―ド比は、他の予後因子の影響を考慮に入れても、

  PaC02が 高 く な る ほ ど 低 く な っ て い た ( PaC02が 高 く な る ほ ど 予 後 良 好 ) 。   さらに閉塞性換気障害の程度によって、高炭酸ガス血症の予後への影響が異なるかどうかを検討   するため、1秒率の値によって結核後遺症患者を600以上と未満の2群に分けて分析した。1秒率が   60%以上の群では、高炭酸ガス血症を伴う患者は正炭酸ガス血症の患者に比較して予後良好であっ   たが、1秒率が60%未満の群では、高炭酸ガス血症と正炭酸ガス血症で予後に差を認めなかった。

3) PaC02の経年変化と予後

  COPD患 者466名 と 肺結 核 後 遺症 患 者313名 に つい て は 長期 酸 素 療法 開 始 前と6−18ケ月後 の   血液ガスの変化を予後と比較することが可能であった。COPDにおいては、PaCOユがこの経過中に   5Torr以上上昇した患者ではPaC02が安定していた患者と比べて生存率が低下していた。しかし,肺   結核後遺症においてはPaC02上昇の有無で生存率に差を認めなかった。

    考案

  慢性呼 吸不全患 者にお いて、長 期酸素療法開始時の高炭酸ガス血症の合併は、肺結核後遺症患   者においては予後良好を意味するが、COPD患者においては予後を左右しないことを明らかにした。

さらに肺結核後遺症では、高炭酸ガス血症の程度が強いほど予後は良好であったが、閉塞性換気障 害をも つ患者で は高炭 酸ガス血 症は予 後因子とはなっていなかった。酸素療法開始後の経過中に PaC02が 上昇した 場合、COPD患者で は予後不 良であっ たが、 肺結核後遺症患者においては予後に 影響しなかった。これらの結果は、長期酸素療法患者に高炭酸ガス血症を伴っていることは決してそ の患者の予後不良を意味するものではなく,むしろ,疾患によっては予後に良い影響を与えている可 能性を示すものである。

  欧米に おける多 施設合 同研究に よって慢性呼吸不全患者に対する長期酸素療法の有用性が証明 されてから、多くの予後因子の解析が行われてきた。代表的な予後因子として、年齢、性別、Pa0よ、

換気障害、ガス交換障害(肺拡散能)、肺高血圧症合併の有無が報告されている。高炭酸ガス血症 は一般 には慢性 呼吸不 全患者の 予後不 良因子と考えられているが、長期酸素療法患者についてみ ると、結論は出ていなかった。高炭酸ガス血症は低酸素血症や閉塞性障害の程度とも関連しており、

分離評 価するこ とが困 難であっ たこと や、従来の研究の対象患者数では少なかったためである。

    Duboisらは長期酸素療法患者のうち死亡率の低かった患者群ではPaC02が高かったことを報告 した。この中で彼らは、呼吸不全の終末期にみられる高炭酸ガス血症と適応にある高炭酸ガス血症

(呼吸中枢が高いPaC02レベルを許容することで換気に要する仕事量を減じる)を分けて考えるべき

(3)

と主張している。当然、適応状態にある高炭酸ガス血症では換気の減少のためPa02は低下するが、

酸 素 吸 入 を 行 う こ と で 生 体 に 不 利 なPa02の 低 下 は 起 こ さ ず に す む こ と に な る 。 今回の研究では、閉塞性換気障害を示さない肺結核後遺症患者において、高炭酸ガス血症が予後 良好因子として働くことが観察されたが、この結果は、同じく閉塞性換気障害を示さない病態である胸 郭変形や肺線維症患者を対象としたStromらの報告と―致するものである。―方、閉塞性換気障害 を示す患者においては、高炭酸ガス血症は疾患自体の重症化とも関連しているために、高炭酸ガス 血 症 の 予 後 へ の 良 好 な 影 響 が 打 ち 消 さ れ て い る と も 考 え る こ と が で き る 。   しかし本研究結果の解釈としてはもうーつの側面が考えうる。すなわち、高炭酸ガス血症を呈する 肺結核後遺症患者は正炭酸ガス血症患者に比べて、肺実質の障害がより軽度であった可能性があ る。っまり、Pa02が同じ値であれば、PaC02が高いほど肺実質障害の指標とされる肺動静脈酸素分 圧格差(A―aD02)は小さくなる。言い換えると、高炭酸ガス血症の患者のほうが正炭酸ガス血症の患 者より、肺傷害はより軽度であった可能性を意味している。しかし、肺結核後遺症患者において経過 中にPaC02が上昇した患者においても、その予後は不良でなかったことから、―部は「適応による高 炭酸ガス血症」のメカニズムも働いていると思われる。

  今回の多施設合同調査結果から、臨床的には長期酸素療法患者において、高炭酸ガス血症を合 併 す る か ら と い っ て 直 ち に 是 正 す る こ と は 患 者 の 予 後 の 面 か ら も よ い と は 言 え な い 。     結語

  長期酸素療法中の慢性呼吸不全患者において、高炭酸ガス血症を伴うことは決して予後不良を意 味するのものではない。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Prognostic value of hypercapnia in patients   with chronic respiratory failure during          long‑term oxygen therapy

( 長 期 酸 素 療 法 中 の 慢 性 呼 吸 不 全 患 者 に お け る 予 後 因 子 と し て の 高 炭 酸 ガ ス 血 症 の 意 義 )

高炭 酸ガ ス血 症は 慢性 肺疾 患患 者の 予後 不 良因 子と して ―般 に認 めら れて きた が、 今日 広く普 及し た長 期酸 素療 法施 行中 の患 者に おいては、予後因 子としての意義が明らかにされていない。

高いPaC02レ ベ ルを 許容 する こと は、 換気 に要 する エネ ルギ ―を 節約することを意味し、その患 者に とっ ては 有利 に働 いて いる と考 えることもできる 。本研究は、厚生省特定疾患「呼吸不全」

調査 研究 班に 登録 され た長 期酸 素療 法患 者 のデ ―タ から 、高 炭酸 ガス 血症 の予 後因 子と しての 意 義 を 明 ら か に し た 。 研 究 対 象 患 者 は 慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 患 者4,.552名 、 肺 結核 後遺 症患 者 3,028名 で あ っ た 。 高 炭 酸 ガ ス 血 症 群 (PaC02≧45Torr)、 正 炭 酸 ガ ス 血 症 群 (35≦PaC02く 45Torr)の予 後 をKaplan―Meier法を 用い て 比較 する と、 慢性 閉塞 性肺 疾患 にお いて 両群 間で生 存率 に差 を認 めな かっ たが 、肺 結核 後遺 症 患者 にお いて は、 高炭 酸ガ ス血 症群 は正 炭酸 ガス血 症 群 に 比 較 し て 有 意 に 予後 良好 であ った 。肺 結核 後遺 症患 者に お いて 、PaC02の値 によ って 患 者を5群 に層sIJ化 する と(PaC02く35Torr、35≦PaC02く45、45≦PaC02く55、55≦PaC02く65、 65≦PaC02)、 正 炭 酸 ガ ス血 症患 者を 基準 とし た相 対死 亡率 (Cox比例 ハザ ―ド モデ ルを 用い て 他 の 予 後 因 子 に よ り 補 正 ) はPaC02が 高 い ほ ど 低 下し てい た。 肺 結核 後遺 症患 者に おい て1秒 率60%以 上の も ので は、 高炭 酸ガ ス血 症群 は正 炭酸 ガス 血症 群に 比較して予後良好であったが、

60%未満 のも の では 、高 炭酸 ガス 血症 群と 正炭 酸ガ ス血 症群 の予 後に 差 を認 めな かっ た。PaC02 の 経 年 変 化 か ら 予 後 を み る と 、 慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 患 者 に お い て 酸 素 療 法 開 始 後 にPaC02が5 Torr以上 上昇 した 群は 上昇 しな かっ た群 に 比較 して 予後 不良 であ った が、 肺結 核後 遺症 患者に おい ては 両群 で生 存率 に差 を認 めな かっ た 。こ れら の結 果か ら高 炭酸 ガス 血症 の予 後因 子とし ての 意義 には ニ面 性が あり 、疾 患の 重症 化 に伴 う高 炭酸 ガス 血症 は予 後不 良を 意味 する が、生 体が 適応 状態 にあ る高 炭酸 ガス 血症 は予 後 に有 利に 働い てい るこ とが 示唆 され た。 高炭 酸ガス 血症 が予 後良好に関与する 機序としては、1.酸素吸入 下では、組織低酸素を招くことなく、換気

顕 之

     

紘 義

畠 藤

北 加

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

に要するエネルギ―を節約できること、2 .高炭酸ガス血症患者では正炭酸ガス血症患者に比べ て、肺実質の障害がより軽度であった可能性があることを指摘した。以上から結論として、長期酸 素療法中の慢性呼吸不全患者において、高炭酸ガス血症を伴うことは決して予後不良を意味す るのものではなく、疾患や病態によってはむしろ予後良好を示していること、臨床的には長期酸 素療法患者において、高炭酸ガス血症を合併するからといって直ちに是正することは患者の予 後の面からもよいとは言えないことを報告した。本研究は、呼吸不全の病態を解明し、高炭酸ガ ス血症を伴った呼吸不全患者に対する治療指針を示す上で、貴重なものとして評価される。

審査に当たっては、主査北畠教授より、1 .高炭酸ガス血症において細胞レベルでの酸素利用 効率、2 .高炭酸ガス血症、正炭酸ガス血症の患者の肺実質障害の程度が異なることを示すデ ー タ が あ る か 、

3

. 結 果 を 検 証 す る た め の 動 物 実 験 モ デ ル に つ い て 質 問 が あ っ た 。 副査加 藤教授から は高炭酸 ガス血症 が予後不 良因子で あるとした研究は長期酸素療法以前 のものか、2 .閉塞性換気障害の有無が高炭酸ガス血症の予後への関与を左右すると考えてよ いか、

3

.換気機能障害や動脈血ガス分析値などをスコアリング化して予後を予測したり、治療方 針についての基準を設けることは可能かについて質問があった。

副査川 上教授から は

1

.高炭 酸ガス血症による酸素解離曲線への影響により末梢組織への酸 素供給が多くなるのではないか、

2

.慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症において高炭酸ガス血 症の予後への影響が異なる理由についての質問があった。申請者はこれらの質問に対しておお むね適切な回答を行った。

審査員 一同は本研 究を長期 酸素療法 中の慢性 呼吸不全 患者における予後因子としての高炭

酸ガス血症の意義を解明した研究として高く評価し、博士(医学)の学位を受けるのに十分な資

格を有するものと判定した。

参照

関連したドキュメント

[r]

[r]

  

[r]

  EBV 溶解感染がRA 患者滑膜組織内で生じていることから、EBV 感染により滑膜増殖 が直接的に誘導される可能性や、EBV

【方法】(1 )砂ネズミ脳虚血モデル(両側頚動脈閉塞)において、700 ,730 ,750 ,805 nm の4 波 長の近赤外 光を頭蓋

[r]

   脾における GvH 様反応はりンパ球の著明な減少と牌の線維化であり、移 入後3 週日に完成する。10 口目にj 曽殖のピークを示すCD8 陽性′l 丶細胞はコ ンカナバ リンA