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博士(医学)田村 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)田村 学位論文題名

肝温虚血再潅流障害におけるIVIac ―1 , 内 在 性 TNF ー ロ , IFN‑ ア の 役 割

学位論文内容の要旨

I. 諸   言

  肝 臓 の 温 虚 血 再 濯 流 障 害 は , 肝 移 植 に お い て 避 け ら れ な ぃ 障 害 の ひ と つ で あ り , 移 植 肝 早 期 機 能 不 全 の 原 因 の ひ と っ と 考 え ら れ て い る . ま た 肝 切 除 で は 出 血 の コ ン ト ロ ー ル の た め に 肝 門 部 で の 一 時 的 血 行 遮 断 が し ぱ し ぱ 行 わ れ , こ れ が 術 後 肝 機 能 障 害 の 要 因 の ひ と っ と さ れ て い る 。 最 近 , 肝 温 虚 血 再 濯 流 障 害 の 機 序 と し て , 再 濯 流 後 の 肝 臓 に 炎 症 反 応 が お こ り , こ れ に よ り 肝 臓 が 障 害 を 受 け る と の 仮 説 が 考 え ら れ て お り , 好 中 球 や ク ッ パ ー 細 胞 , そ れ ら と 関 連 す る 各 種 サ イ ト カ イ ン の 役 割 が 注 目 さ れ て い る 。   今 回 , マ ウ ス の 肝 温 虚 血 再 濯 流 障 害 モ デ ル を 確 立 す る こ と に よ り , マ ウ ス の 接 着 分 子 , サ イ ト カ イ ン に 対 す る 単 ク ロ ー ン 抗 体(MAb) の 投 与 が 可 能 と な っ た の で , 好 中 球 の 接 着 分 子 で あ るMacー1,TNF‑ば , お よ び マ ク ロ フ ア ー ジ 活 性 化 因 子 で あ り , 肝 温 虚 血 再 濯 流 障 害 に お け る 役 割 が 注 目 さ れ て い るIFN‑yに つ い て 検 討 し た 。

    n. 実 験 材 料 お よ ぴ 実 験 方 法   1. 実 験 モ デ ル

  体 重40g前 後 のddY雄 性 マ ウ ス 使 用 し た 。 ヘ パ リ ン を 静 注 後 , 肝 門 部 で 肝 正 中 葉 , 外 側 左 葉 に 向 か う 門 脈 , 動 脈 , 胆 管 を ク リ ッ プ を 用 い て50分 間 遮 断 し , そ の 後 再 濯 流 し た 。 虚 血 さ れ た 肝 は 全 体 の 約7割 を 占 め て い た 。

  採 血 は , 開 腹 前 と 再 濯 流30分 ,1,3,6,12,24時 間 後 に 施 行 し た 。 ま た 採 血 は1個 体 よ り1回 だ け と し , 一 度 採 血 し た 個 体 は 虚 血 実 験 に 用 い な か っ た 。 再 濯 流24時 間 後 に は , 採 血 後 に 虚 血 肝 の 一 定 部 分 を 採 取 し た 。

    2.ldAb

  抗 マ ウ スMac−l14Ab,5C6(rat IgG2b) と 抗 マ ウ スTNF‑aMAb,hfPー6ーXT22(rat IgGl) お よ び 抗 マ ウ スIFN‑'yMAb,R4―6A2(rat IgGl) を 阻 血 前 に 投 与 し た 。 コ ン ト ロ ー ル 群 に は 正 常 ラ ッ ト グ ロ プ リ ン を 投 与 し た 。

  3.TNFー 戉 ,IFN‑7の 測 定

  TNF‑a, IFN‑Y値 は doubleー sandwich ELISA法 を 用 い て 測 定 し た 。     ―391−

(2)

  4 .肝障害の評価

   血 漿 GPT と , 阻 血肝 断 面の 組織像より 算出した 壊死面積 割合を用 いて行っ た。

  5 .ミェロペルオキシダーゼ(MPO )陽性細胞数

  Graham and Karnovsky の方法に準じて阻血肝組織片のMPO を染色した。50 強視野に含 まれる陽性細胞数を測定した。

  6 .統計処理

   測定値はすぺて平均値土標準誤差にて表記した。統計処理にはWilcoxson nonpara − metric rank suru test を 用 い , p く O . 05 を 有 意 差 あ り と 判 定 し た 。

m. 結   果

  1 .肝組織及び血中TNF ーロ,IFN ーY の推移

   抗体未投与群で,再灌流後1 時間より24 時間の間,虚血肝組織でTNF‑a の上昇を認め たが,INF ー Y は組織,血中とも測定感度以下であった。

  2 .各種抗体の投与効果   1 )抗Mac −1 抗体投与の効果

   再灌流24 時間後血漿GPT 値および肝壊死面積は有意な減少を示した。 MPO 陽性細胞数も 有意に減少した。

  2 )抗TNF‑a 抗体投与の効果

   血漿 GPT 値およぴ肝壊死面積は減少しなかった.MPO 陽性細胞数にも有意な変化を認め なかった。

  3 )抗I FN‑Y 抗体投与の効果

   血漿 GPT 値,肝壊死面積は有意な変動を示さなかった.MPO 陽性細胞数にも有意の減少 を認めなかった。

  4 )抗Mac −1 抗体およぴ抗TNF‑ ロ抗体同時投与の効果

   血漿 GPT 値および肝壊死面積は有意な減少を示した。しかし MPO 陽性細胞数の減少はな かった。

1V. 考   察

  Mac −1 (CDllb/18 )は,主に顆粒球,単球に認められる重要な細胞間接着分子であり,

抗 Mac ―1 抗体の投与によりそれら細胞の接着が抑制され,その機能が抑制されることが 予想された。また MPO は,顆粒球,単球に多量に存在するが,肝の虚血再濯流障害で肝に 浸潤したMPO 陽性細胞数は好中球数を反映するとされている。したがって本実験で抗 Mac −1 抗体投与後に肝温虚血再灌流障害が軽減したことから,Mac −1 分子をブロックす ることにより好中球の浸潤が抑えられ,肝温虚血再濯流障害が軽減したことが示唆され た 。し たがって同 障害にお いて Mac ― 1 が 重要な役 割を果し ていると 考えられた 。    一方虚血肝組織中に TNF‑ 乱の上昇を認めたが,抗 TNF‑ ロ抗体の投与は障害を軽減する ことはできず,好中球の浸潤も抑制されなかった。また,抗Mac −1 抗体と抗TNF‑a 抗体

392 ‑

(3)

の 同 時 投 与 は 障 害 を 緩 和 し た が , そ の 程 度 は 抗Mac―1抗 体 単 独 投 与 の 場 合 と ほ ば 同 様 で あ っ た 。 以 上 よ りTNF‑aの 肝 温 虚 血 再 濯 流 障 害 に お け る 役 割 は 中 心 的 な も の で は な い と 考 え ら れ た 。 ま た 本 実 験 モ デ ル でMac−1が 重 要 な 役 割 を 果 し て い る こ と を 考 え る と ,TNF

‑aがMac−1活 性 化 の 中 心 的 な 因 子 と は 考 え ら れ な か っ た 。

  INF‑Yは 虚 血 肝 , 血 液 共 に 検 出 さ れ な か っ た 。 ま た 抗IFN‑Y抗 体 投 与 は 障 害 を 緩 和 せ ず ,MPO細 胞 数 に も 変 化 を 認 め な か っ た 。 こ の こ と か ら , 肝 温 虚 血 再 灌 流 障 害 でINF‑Yが 発 現 し て い る と し て も そ の 量 は 微 量 で あ り ,TNF‑琵 と 同 様 に そ の 役 割 は 限 ら れ た も の で あ る こ と が 考 え ら れ た 。

V. 結   語 肝 温 虚 血 再 濯 流 障 害 に お い て

1) 抗Mac→1抗 体 投 与 が 障 害 を 軽 減 し た こ と か らMacー1は 同 障 害 に 重 要 な 役 割 を 果 し     て い る こ と が 示 さ れ た 。

2) 抗TNF‑ロ 抗 体 の 投 与 は 障 害 を 軽 減 し な か っ た こ と か らTNF‑戉 の 同 障 害 に 与 え る 影     響 は 小 さ く , ま た ,Mac―1の 活 性 化 に も 中 枢 と な る 役 割 は 果 た し て い な ぃ と 考 え     ら れ た 。

3) 抗IFN‑Y抗 体 投 与 が 障 害 を 緩 和 す る こ と が で き な か っ た こ と か らIFN‑Yの 役 割 は     限 定 さ れ た も の で あ る と 推 測 さ れ た 。

‑ 393

(4)

主 副 副

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

肝 温 虚 血 再 潅 流 障 害 に お け る rvIac ― 1 , 内 在 性 TNF‑a , IFN‑ ア の 役 割

   肝臓の温虚血再潅流障害は、肝移植には避けられない障害のひと つであり、移植肝早期機能不全の原因のひとっと考えられている。

肝切除では出血のコントロールのために肝門部での一時的血行遮断 がしばしば行われ、術後肝機能の回復を阻害する要因のひとっとな っている。最近、同障害の機序として、再潅流後の肝臓に炎症反応 がおこり、これにより肝臓が障害されるとの仮説が考えられており、

好中球やクッパ一細胞、それらと関連する各種サイ卜カインの役割 が注目されている。

   今回、マウスの同障害モデルが確立され、また、マウスの接着分 子 、サイトカインに対 する単クロ―ン抗 体( MAb )の投与が可能 に な っ た。 そこ で 申請 者は 好 中球 の接 着 分子 であ る Mac ―1 、 T NF‑a 、 INF‑ ア の 同 障 害 に お け る 役 割 に っ い て 検 討 し た 。 I NF ーア はマク口ファージ活性化因子であり、肝温虚血再潅流障害 における役割が注目されている。

     研究方法   1 .実験モデル

   体 重 40g 前後 の ddY 雄 性 マウ スを 使 用し た。 ヘ パリ ンを 静 注 後、肝門部で肝正中葉、外側左葉に向かう門脈、動脈、胆管をクリ ップを用いて 50 分間遮断し、その後再潅流した。虚血された肝は

一 秀

純 慶

野 田

内 安

授 授

教 教

査 査

(5)

全 体 の 約 7 割 を 占 め た 。 採 血 は 、 開 腹 前 と 再 潅 流 30 分 、 1 、 3 、 6 、 12 、 24 時 間 後 に 犠 牲 死 さ せ て 施 行 し た 。 再 潅 流 24 時 間 後 には、採血後に虚血肝の一定部分を採取した。

  2 .MAb

   抗 マウ ス Mac ー lMAb 、5C6 ( rat IgG2b )と 抗マウスTNF‑ ロMAb 、MP

―6 −XT22 (rat IgGl )および抗マウスIFN‑YMAb 、R4 一6A2 (rat IgGl ) を阻 血 前に 投 与し た。 コ ント口―ル 群には正常ラ ッ卜グ口ブリン を 投与した。

  3 .TNF‑a 、IFN‑Y の測定

  TNF‑ ロ 、 IFN ー Y の 測 定 に は double − sandwich ELISA 法 を 用いた。

  4 .肝障害の評価

   血 漿 GPT お よ び 阻 血 肝 断 面 の 組 織 像 よ り 算 出 し た 壊 死 面 積 の 割 合を用いて行った。

  5 .ミェロペルオキシダーゼ(MPO )陽性細胞数

  Graham and Karnovsky の 方 法 に 準 じ て 阻 血 肝 組 織 片 の MPO を 染 色 し 、 50 強 視 野 に 含 ま れ る 陽 性 細 胞 数 を 測 定 し た 。   6 .統計処理

   測 定 値 は す ぺ て 平 均 値 土 標 準誤 差に て 表記 し た。 統 計処 理 には Wilcoxson nonparametric rank sum Test を月ヨし丶、p くO .05 を有意差 ありと判定した。

     研究結果

  1 .肝組織及 び血中TNF‑a 、IFN ーY の推移

   抗 体 未 投 与 群 で 、 再 潅流 後 1 時 間よ り24 時 間の 間、 虚 血肝 組 織 で TNF‑a の 上 昇 を 認 め た が 、 血 液 中 の 濃 度 は 測 定 感 度 以 下 で あ っ た 。 I FN‑Y は 組 織 、 血 中 と も 測 定 感 度 以 下 で あ っ た 。   2 .再潅流24 時間 後の虚血肝切 断面のHE 染色像

   抗体非投与 群では、切断 面の周辺部を除 いて塊状の壊死巣が認め

られた。壊 死部は生存部 と比較してヘ マトキシリン に染まりにくい

ことで区別 された。壊死 巣の最外側部 には高度の鬱 血帯を認め、そ

の内側に細 胞浸潤を帯状 に認めた。

(6)

  3 .各種抗体の投与効果   1 )抗Mac ー1 抗体投与の効果

   再 潅流 24 時 間後血 漿GPT 値 および 肝壊死 面積は 有意 に減少 し た。MPO 陽性細胞数も有意に減少した。

  2 )抗TNF‑a 抗体投与の効果

   血 漿GPT 値 お よ び 肝壊 死 面 積 の 減少 は な か った。 MPO 陽性 細 胞数にも有意な変化を認めなかった。

  3 )抗IFN‑Y 抗体投与の効果

   血 漿GPT 値 ` 肝 壊 死面 積 は 有 意 な変 動 を 示 さなか った 。 MPO 陽性細胞数も有意な減少はなかった。

  4 ) 抗 Mac ― 1 抗 体 お よ び 抗 TNF‑a 抗 体 同 時 投 与 の 効 果    血 漿GPT 値 お よ び 肝壊 死 面 積 は 有意 に 減 少 した。 しか し MPO 陽性細胞数の減少はなかった。

   以上まとめると、

  1 ) 抗 Mac − 1 抗 体 投 与 に よ り 障 害 が 軽 減 し た こ と か ら Mac      − 1 は 同 障 害 に 重 要 な 役割 を 果 し て いる と 考 え ら れ た。

  2 )抗 TNF ー a 抗 体の投 与は 障害を 軽減で きなか った ことよ り     TNF‑a の 同 障 害 に 与 え る直 接 的 な 影 響は 小 さ く 、 ま た、

    Mac 一 1 の 活 性 化に も 中 枢 と なる 役 割 は 泉た して いない と      考えられた。

  3 ) 抗 IFN‑Y 抗 体 投 与 は 障 害を 緩 和 で き なか っ た こ と から I     FN ー Y の 役 割 は 限 定 さ れ た も の と 考 え ら れ た 。    審 査にあ たって 、安田 教授 より Mac 一1 の種特異性について、

加藤 教授よ り抗サ イ卜カ イン 抗体が無効であったが、抗Mac ― 1 抗体が有効であった理由、上出教授より抗体投与のタイミングにつ いてなどの質疑があったが、申請者は概ね妥当な回答を行った。

   本 研究 は 、 肝 温 阻血 再 潅 流 障 害に お け る Mac −1 、 内在性 TN

F‑ ば 、 IFN‑ ^′の 役割を 示し た点で意義があり、学位授与に値

するものと考える。

参照

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