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博士(歯学)関 滋之 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(歯学)関   滋之 学位論文題名

Bruxism 評価用スプリント上のファセット形成に 関与 するBruxism の咬合 カの解明

学位論文内容の要旨

【目的】

  夜間睡眠時のbruxism (SB)は,異常機能(parafunction)の1っとして顎口腔系に大き な影響を与える因子と考えられているが,どの程度の咬合カで行われているかを日常臨床 で測定する方法はない.

  そこで我々は,これまで数多くの患者に使用できる利点からSBの強さを評価する方法と してオクルーザルスプリントを夜間就寝時に2週間使用させ,その表面に形成されたファ セットの形や深さを観察することによってブラキシズムの強さを分類し(池田らの方法)

顎口腔系への影響,治療法にっいて研究してきた・

  オクルーザルスプリントのファセットは,2週間毎に繰り返し観察すると各患者ごとに ほぼ一定の類似した形や深さが認められた,しかし,これは2週間のSBによるカの総和で 生じたファセットを観察しているため,SBの1回毎のカが強くて形成されたものか,カは 弱 い が回 数 ( 頻 度 ) が 多 い た め 形成 さ れ た も の な の か の 評 価 は困 難 で あ っ た .   同じフんセットの深さでも1回毎のカが強くて形成されたものか,カは弱いが回数が多 いため形成されたものなのかによって口腔内への影響は異なると考えられる.すなわち,

弱いカで長時間加わると歯周組織の破壊が起こる可能性が考えられ,強いカが加わると修 復物の脱落や歯牙の破折を引き起こす可能性が考えられる.

  そこで本研究は,bruxism評価用スプリント上のファセット形成に関与する咬合カを評 価する目的で,bruxism評価用プレスケール(以下Bプレスケール)を組み込んだファセ ット形成咬合力分析装置(以下FOA装置)を試作しI,実験1でSB時咬合カの評価基準を作 るとともに実験2で臨床応用を試みた.

【方法】

  実験1実験的ブラキシズム時の咬合カの測定 1).実験的bruxism作動装置(BW装置)の製作

  人工的にブラキシズム運動を行い,その時の荷重,往復運動幅,速度,往復運動回数を 調整できる装置を製作した,

2).Bプレスケールの製作

  Bプレスケールは,FOA装置に組み込んでbruxism時に加わるカを評価するプレスケール で,富士フイルムビジネスサプライ社と株式会社ジーシーの協カを得てSB時の咬合カに耐 久性・遮光性があり,シール後の機密性の高い大きさ12X8mmのBプレスケールを製作し た,

(2)

3),ファセット形成咬合力分析装置(FOA装置)の試作

  オクルーザルスプリントにBプレスケールを組み込んでbruxism時にファセット部分に 加わるカを測定できる装置を試作した.

4). BW装 置 を 用 い た 実 験 的 ブ ラ キ シ ズ ム 時 の FOA装 置 測 定 値 の 評 価 BW装置を用いて@荷重条件:2Kg,5Kg,15Kg,25Kg,35KgCDbruxism運動回数:20回,100 回,600回,2500回の条件で◎bruxism運動幅(ストローク幅):Omm,2mm,7mmそれぞれに っいて往復運動を各5回繰り返し行った.荷重は,高見沢の犬歯部の個歯咬合カを参考に 決定し,往復運動回数は小林らの筋電計を使用した研究結果から一夜で観察されるバース ト数を参考に決定した.また往復運動幅の決定は,池田歯科クリニックの約1000個のス プリントのファセットの長さを参考に決定した,

実験後のBプレスケールの発色状態をOccluzer@FPD703(富士写真フアルム)で測定し,加 わったカを評価した.統計学的分析は,各bruxism運動幅ごとに荷重間の測定値を分散分 析後,多重比較検定(Tukey法)を用いて行い,有意水準5%未満の場合,有意差ありとし た . FOA装 置 の 測 定 値 に つ い て 分 散 分 析 後 , 多 重 比 較 検 定 を 行 っ た . 実験2臨床における測定

  患者8名を被験者とし,Bプレスケールを用いたFOA装置を犬歯部に組み込んだ各被験 者用のオクルーザルスプリントを製作し,Bプレスケールを2週間分持たせ,被験者自身 で毎日交換し,夜間使用させた.2週間使用後にFOA装置を組み込んだオクルーザルスプ リントは,池田式評価法を使用し形成されたファセットの深さで評価した,っまりBー1: インクが軽度に消失している状態からファセットが光っている状態まで,B―2:ファセット が削れた状態,B−3:ファセットが著しく深くえぐれている状態の三段階で評価した,さら に左右犬歯部の肉眼的に削れているファセットの長さを測定し,プレスケールの発色状態 をOccluzerFPD703(富士写真フイルム)で分析しプレスケールの測定値(N)を求めた.

さらに,SB時にファセットを形成する咬合カをこのBプレスケールの測定値とファセット の長さから実験1の結果をもとに作成したSB時咬合カの評価基準(表2)に基づぃて推定 した.

【結果と考察】

実験1

  FOA装置の測定値は,往復幅がOmm,2mm,7mmの場合の各荷重間のプレスケール測定値 を一元配置分散分析法を用いて検定後,Tukeyの多重比較で各荷重間の差を検定した結果,

2Kg,5Kg,15Kg,25Kg,35Kgの全ての荷重間で有意差が認められた(pくO.05),この結果 からFOA装置によりbruxism時の咬合カを推測できる可能性があると考えられた.そこで,

FOA装置を臨床に用いてSB時咬合カを求める方法として,臨床で測定可能なbruxism運動 幅(臨床ではオクルーザルスプリントのファセットの長さ)とBプレスケールの測定値か らファセ ット形成に関与するbruxism時咬合力(SB時咬合力)を推定するSB時咬合カの 評価基準表を作成した.

実験2

    各被験者のSBの強さは,B−1:0名,B−2:3名,B−3:5名であった,犬歯部ファ セットの長さは,最小2mm,最大9mmであり,14日問のBプレスケールの測定値は日間変 動が小さ い者1名(B),特 に大きい者2名(D,H)であった.推定されたSB時咬合カは

(3)

lkg〜15kgの 範 囲 で あ り ,1名 を 除 く7名 の 被験 者 にか な り の日 間 変動 が 認 めら れ た , 一 方 ,SB時 の 推 定咬 合 カ はSBの強 さ がB−2の3名は2〜14Kg,B―3の5名 は1〜15kgの 範 囲 で あ り,SBの 強 さ が強 いB―3の 人でも弱 い咬合カ の日が観 察された ,さらに14日間の SB時 咬合 カ の推 定 値 の平 均 値 を求 め,SB時 咬合カの 総合評価 値とした .SBの強さ の評価 とSB時咬合カの総合評価値との関係を調べるとB―2の3名は5.lkg,6.2kg,7.2kg,B―3の 5名は3. 2kg,5.8kg,7.6kg,8.5kg,10. 8kgであり,池田らのSBの評価法でSBの強さが同 じ 評 価 の 被 験 者 で も フ ァ セ ッ ト を 形 成 す る 咬 合 カ に か な り の 差 が 認 め ら れ た .   こ れら の 結果 か ら 本研 究 に おい て開発 したFOA装置 を使用す るbruxism時咬合 力測定法 は , す でに 臨 床応 用 し てい るbruxism評価用ス プリント による定 性的なbruxismの 強さの 評 価に加え ,同じス プリント を用いてSB時 の咬合カ を評価す ることが可能であり,多くの 患 者 のbruxismの 実態をよ り精細に分 析でき, 各患者の 臨床症状 に対し適 切な対応 ができ る可能性が高まると考えられる.

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Bruxism 評価用スプリント上のファセット形成に 関 与するBruxism の咬 合カの解明

審査は,最初に論文提出者に対して提出論文の要旨を説明させ,っいで論文の内容に っいて審査委員による口頭試問を行った.以下に提出論文の要旨と審査の内容を記す.

【目 的】 夜間 睡眠 時のBruxism (SB)は ,顎 口腔 系に 大きた影響を与える因子と考え られ てい るが ,ど の程 度の 咬合 カで行 われ てい るか を測定する方法はないのが現状 であ る. そこ で本 研究 は, 池田 らがSBの評 価に 用い ているスプリント上の任意のフ ァセット形成に関与する咬合カを測定する目的で,スプリント上にプレスケールを組 み込 んだ ファ セッ ト形 成咬 合力 分析装 置を 製作 し臨 床応用の可能性を検討すること である.

【方法】

実験1実験的Bruxism時の咬合カの測定

1),実験的Bruxism作動装置(BW装置)の製作

  人工的にブラキシズム運動を行い,その時の荷重,ストローク幅,速度,回数を調 整できる装置を製作した.

2).ファセット形成咬合力分析装置(FOA装置)の試作

  オ ク ル ー ザ ル ス プ リ ン ト に 小 型 のBruxism評 価 用 プ レ ス ケ ー ル を 組 み 込 ん で Bruxism時 に 任 意 の フ ァ セ ッ ト 部 分 に 加 わ る カ を 測 定 で き る 装 置 を 試 作 し た . 3). BW装置を用いた実験的Bruxism時のFOA装置測定値の評価

  BW装置を用いて@荷重条件:2Kg,5Kg,15Kg,25Kg,35Kg◎往復運動幅:Omm,2mm, 7mm◎ 往 復 運 動 回 数 :20回 ,100回,600回 ,2500回 の条 件で 往復 運動 を行 い,FOA 装 置 の 測 定 値 に つ い て 分 散 分 析 後 , 多 重 比 較 検 定(Tukey法 ) を 行 っ た . 実験2臨床における測定

  患 者8名 を被 験者 とし ,Bruxism評価 用プ レス ケー ルを 用い たFOA装置 を両 側犬 歯 部に 組み 込ん だ各 被験 者用のオクルーザルスプリントを製作し,2週間毎日夜間使用 させ,プレスケールの発色状態をOccluzer@FPD703(富士写真フィルム)で分析した.

【結果と考察】

昇 郎

   

   

   

   

順 敦

畑 田

大 飯

横 川

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

実験1

  FOA装置の測定値は荷重量の増加にっれ増加し,各荷重群間に有意差が認められた.

この結果から各往復運動幅,各往復運動回数とも2〜35Kgの荷重範囲では,FOA装置 に よ りBruxism時 の 咬 合 カ を 推 測 で き る 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ た , 実験2

  被験者8名の14日間のSB時咬合カは,1〜15Kgの範囲にあり日間変動が大きい者 と小さい者が存在した.一方,SB時の推定咬合カはSBの強さがB―2の3名は2〜14Kg, B−3の5名は1〜15kgの範囲であり,オクルーザルスプリントを用いた池田式評価法 でSBの強さが強い(B−3)と判定された被験者でもSB時咬合カは比較的小さい者 (3. 2Kg)も存在し,これらの被験者はbruxism回数(時間)が多いのではなぃかと 考えられた.

これらの結果からBruxism評価用スプリントにFOA装置を組み込むことによってスプ リント上に形成されたファセットの長さ,深さとBruxism評価用プレスケールの測定 値 か らSB時のBruxismの咬合カを 評価できる 可能性があ ることが示 唆された.

以 上 の要 旨 説明 に 引き 続 き質 疑 応答を 行った.主 な質疑応答 を以下に示 す,

1.繰り返し荷重に対するプレスケールの性質について

  実際臨床で使用されているデンタルプレスケールに連続した荷重や持続的な荷重 を加えた場合は,プレスケールの測定値は上昇するが我々の開発したファセット形 成咬合力分析装置では15Kg以下では加わった荷重の最大値を示したようである.

2.実験1で往復運動回数を決定した理由について

  往復運動回数は過去の筋電計を用いた研究の一夜のバースト数を参考に決定した.

3. Bruxism評価用スプリントの再現性について

  スプリント上のファセットの形(深さ,表面性状,幅,長さ)をニ週間ごとに観 察すると大きな変化はない,

4.今 回 の 臨 床 で の プ レス ケ ール の 測 定値 と 実際 の 荷重 値 との 相 関に つ いて   実際に加わった荷重よりは小さい値を示している予測される.しかしスプリント の調整法は各患者で統一しているので患者間の比較には問題がなぃと考えている:

また我々は,ファセットができる咬合カを測定することを目的としているので実際 の総合的咬合カを測定することは目的としていない.

5.今後の研究方針について

    ファセット形成咬合力分析装置の操作性に改良を加えるとともに被験者と実験 回数を増やし,個々のファセット形成に関与する咬合カを推定し,各歯牙の臨床症 状と比較しながらSBの治療に役立てる.将来的にはこの装置の製品化を考えたい.

  質疑応答において論文提出者は,上記のような回答と説明を行い,本論文の内容に 関する事項にっいても十分な知識を有していた.さらに今後の研究の明確な展望も有 しており,将来性の点においても高く評価できる.よって学位申請者は博士(歯学)

の学位授与にふさわしいものと認めた.

参照

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