論文 コンクリートの管理供試体強度に及ぼす初期養生に関する検討
西脇 康二*1・酒井 宏*2・加藤 修通*3・関村 尚人*4
要旨:現場で想定される供試体の初期養生条件とその強度発現性の関係について検討した。その結果,
1
)屋 外(常温)養生した供試体強度は,室内(20℃)で養生した供試体強度より最大で11.9%低下したこと,2)
当日回収した供試体強度は,翌日回収した供試体強度より最大で
8.9%低下したこと,3)供試体作製当日に
輸送振動を与えると強度が変動を来たすこと,4)屋外(常温)養生の供試体は,乾燥防止にラップや麻袋等 で保護することが有効であること,などが明らかになった。キーワード:圧縮強度,脱型,初期養生,供試体上面保護,使用型枠,回収時期,輸送振動
1.
はじめにコンクリートの供試体強度を正確に把握するために,
供試体の作製から脱型までの初期養生を適切に実施する ことが重要である1),2),3)。しかし,実際の現場では供試 体の初期養生場所の確保が困難な場合や,供試体の回収 時期の制限等があるため,作製した供試体は乾燥や振動 の影響を受け,強度が低下することが懸念される。この ため本報告では,東京都下の生コンクリート工場(1 工 場)において夏期と標準期(初夏)に実機試験を行い,
現場で想定される様々な初期養生条件下における,供試 体強度について実験的に検証した結果を示す。
2.
実験概要2.1
実験条件本実験の要因と水準を表-1に示す。実験日は平成
27
年8
月4
日,平成28
年5
月24
日の2
回実施し,コンク リートの配合は,表-2
に示す夏期4
種類,標準期3
種 類とした。実験に供する試料は,実機で練り混ぜた4m
3 をアジテータ車に積み込み,各採取時期まで周辺道路を 走行した。なお,採取時期はアジテータ車による運搬前 後で区分し,運搬前は練上りから5
分後,運搬後は練上 りから60
分後を基本に一部の水準で90
分後および120
分後も加えた。また,供試体の作製に用いる型枠種類に 関しても,鋼製と簡易(プラスチック製)の2
種類での 比較を,夏期実験時に検討した。さらに,供試体上面か らの乾燥防止を目的とした保護対策(ラップ封かんまた は湿布)の有無や,供試体の回収時期とその際の輸送振 動の影響,養生場所や脱型までの存置期間等の影響を検 討した。なお,当日回収の供試体については,作製直後 と作製から3
時間後および6
時間後に分けて,1時間の 輸送による振動を与え,その影響を確認した。供試体の 初期養生場所は写真-1
のとおりとし,室内は20℃恒温,
屋外は常温の日向にそれぞれ置き,上部にコンパネで日 除けをした。脱型までの存置期間は
2
日を基本に一部で1
日と3
日として脱型後は材齢28
日まで標準養生(水中)し,供試体上下端面を研磨後,圧縮強度試験を行った。
*1
アサノコンクリート(株)品川工場(正会員)
*2
関東コンクリート(株)*3
東京コンクリート(株)砂町工場*4
(株)東京菱光コンクリート技術部室内養生 屋外養生
写真-
1
供試体の初期養生 表-2
コンクリートの配合記号 夏期修正標準配合 記号 標準配合
AN36 36-18-20N MN24 24-18-20N AM33 33-15-20M
σ56MN30 30-18-20N AB30 30-21-20BB MN36 36-18-20N AM60 60-60-20M
夏期 標準期
表-
1
要因と水準(材齢) 試料
採取 時期
初期養生条件 型枠
種類 上面 保護
回収 時期
輸送 振動
養生 場所
存置期間 (日数)
* 供試体作製後、直後・3時間後・6時間後で輸送開始 運搬前 鋼製 翌日 -
28日 運搬後
鋼製
・ 簡易
あり
当日 あり*
1,2,3 圧縮 強度
翌日 なし
あり・なし 室内・屋外 室内・屋外 室内・屋外
1,2 2
コンクリート工学年次論文集,Vol.39,No.1,2017
2.2
使用材料および配合使用材料およびコンクリートの配合を表-
3
,4
に示す。混和剤は,夏期に遅延形,標準期に標準形を用いており,
混和剤添加率により,練上り
60
分後に目標スランプ又は スランプフローとなるように調整した。2.3
試験方法試験項目および試験方法を表-5に示す。
3.
実験結果および考察3.1
フレッシュコンクリートフレッシュコンクリートの試験結果を表-
6
に示す。スランプ又はスランプフローおよび空気量は,いずれの 配合も練上り
120
分後まで目標値を満足した。なお,コンクリート温度は,夏期で
35℃前後,標準期で 30℃近辺
と高い値を示した。初期養生中の環境温度と供試体内部 温度の関係について,AN36
とMN36
の測定結果を図-1
に示す。室内は20
℃で管理されている一方,屋外は夏期で平均
32℃,最高 40℃程度となった。標準期は平均 24℃,
最高
34℃であった。なお,鋼製と簡易(プラスチック製)
の型枠とで供試体温度に大きな差はなかった。
表-3 使用材料 材料名 種類(品質・主成分)
普通ポルトランドセメント(密度:3.16g/cm3) 中庸熱ポルトランドセメント(密度:3.21g/cm3) 高炉セメントB種(密度:3.04g/cm3) 水 工業用水
砕砂:栃木県佐野市(表乾密度:2.66g/cm3) 山砂:千葉県市原市(表乾密度:2.60g/cm3) 粗骨材 砕石:栃木県佐野市(表乾密度:2.70g/cm3)
AE減水剤遅延形または標準形 高性能AE減水剤遅延形または標準形 セメント
細骨材
混和剤
表-
5
試験項目と試験方法試験項目 試験方法 目標値
スランプ JIS A 1101 15±2.5cm,18±2.5cm,21±1.5cm スランプフロー JIS A 1150 60±10cm
空気量 JIS A 1128 3.0±1.5%,4.5±1.5%
塩化物量 JIS A 1114 0.30kg/m3以下 コンクリート温度 JIS A 1156 - 単位容積質量 JIS A 1116 -
単位水量 エアメータ法 -
凝結時間 JIS A 1147 -
環境・供試体温度 熱電対 30分間隔で測定
圧縮強度 JIS A 1108 -
表-
6
フレッシュコンクリートの試験結果(min) (cm) (%) (℃) (kg/m3) (kg/m3)
5 20.5 5.3 33 2294 177.2
60 19.5 4.8 35 - -
90 18.5 4.8 36 - -
120 17.5 4.2 36 - -
5 19.5 5.1 34 2281 177.1
60 15.5 4.4 35 - -
5 23.0 5.1 33 2266 190.5
60 19.5 5.0 34 - -
5 66.0 3.8 34 2393 170.1
60 66.5 3.7 37 - -
5 22.5 5.7 27 - 177.2
60 20.0 5.7 28 2254 -
90 19.5 5.6 28 - -
120 18.5 5.7 29 2260 -
5 22.0 6.0 27 - 177.2
60 20.0 5.8 28 2290 -
90 19.0 4.6 29 - -
120 17.5 5.2 30 - -
5 22.0 5.4 28 - 177.2
60 19.5 5.6 29 2301 -
90 18.0 5.0 29 - -
120 17.5 5.3 30 - -
MN36 AN36
AM33
AB30
AM60
MN24
MN30
コンクリー ト温度
単位容積質
量 単位水量 記号 空気量
採取 時間
スランプ又は スランプフロー
図-
1
温度測定結果 1520 25 30 35 40 45
0 12 24 36 48 60 72
温度(℃)
経過時間(hr)
AN36 屋外環境
室内供試体 屋外供試体
室内環境
15 20 25 30 35 40 45
0 12 24 36 48 60 72
温度(℃)
経過時間(hr)
MN36 屋外環境
屋外供試体
室内供試体 室内環境
表-
4
コンクリートの配合砕砂 山砂
AN36 46.5 46.7 170 366 329 492 964 C×1.15
AM33 49.1 45.9 175 357 322 483 978 C×1.00
AB30 48.2 49.1 189 393 329 492 875 C×1.20
AM60 29.7 3.0 44.2 170 573 282 421 916 C×1.50
MN24 60.0 49.0 185 309 346 519 927 C×1.00
MN30 53.6 48.2 170 318 346 519 959 C×1.00
MN36 48.0 46.8 170 355 331 495 967 C×0.95
* AN36・AM60・MN30・MN36は高性能AE減水剤を使用 記号 W/C
(%) 空気
量
(%)
s/a (%)
4.5
混和剤* 添加率 水 セメント 細骨材 (%)
粗骨材
4.5
単位量(kg/m3)
3.2
圧縮強度各養生条件下で得た圧縮強度の結果から,要因別に検 討した結果を次に示す。以降に示す供試体の強度結果は 各配合の
3
本の平均値であり,個々の強度値と平均値の 差はほぼ±2%以内と,各要因を検討するためのサンプリ ングデータとして適当であることを確認した。また,こ の工場における各配合の目標強度は,管理値となる呼び 強度に対して標準偏差2σを加えた設計値としており,
管理値に対しておおよそ
20%の安全率を見込んでいる
ことになる。本結果で管理値を下回ったのは,MN36の 屋外で上面保護を行わずに3
日間存置したものだけであ り,それ以外は管理値を満足した。(1)
試料採取時期の影響試料採取時期と強度の関係を図-
2
に示す。運搬後の 強度増減率は概ね±5%の範囲内にあり,運搬前後で大き な差はなかった。ただし,練上りから90
分後以降に試料 採取した供試体は,強度がやや低下する傾向にあり,AN36
の120
分後6.3
%,MN24
の90
分後および120
分 後で8.2%, MN36
の90
分後で7.5%の結果となった。こ
れらの原因は明確にはならなかったが,温度が高くなる 環境下での供試体作製は,時間的な影響が考えられるこ とから,運搬後は速やかに行うことが望まれる。図-
2
試料採取時期と強度の関係(2)
型枠種類の影響夏期の実験時に検証した,鋼製と簡易(プラスチック 製)の型枠種類と強度の関係を図-
3
に示す。近年,現 場の第三者試験機関が用いる型枠として,軽量の簡易型 枠の採用が増えており,その種類も幾つかある。今回の 実験では使い捨ての簡易型枠を用いたが,AM33
で鋼製 型枠よりも簡易(プラスチック製)型枠を用いた方が強 度は低くなり,その低下率は最大で11.2%となった。今
回の結果では,高強度よりも普通強度の方が,強度への 影響が顕著となった。原因については供試体の締固めの 差が考えられるが,明確にできなかった。(3)
養生場所の影響供試体の養生場所と強度の関係を図-
4
に示す。なお,図-
3
型枠種類と強度の関係ここでは供試体の上面をラップで封かんし,脱型まで
2
日間存置した供試体の強度結果を検討の対象とした。そ の結果,室内(20℃)養生に比べ屋外(常温)養生した 供試体が,5%程度低くなる傾向となり,低下率が10%
を超えたものとしては
AN36,MN36
があり,AN36 の11.9
%が最大となった。また,夏期に限らず外気温が高 くなり始める標準期にもこうした傾向は認められた。屋 外(常温)養生の供試体は,上面保護対策やコンパネに よる日除けを行っても,セメントの水和に必要な水分が 不足し,脱型後に標準養生(水中)を行っても外部から 水分が十分に供給されず,強度発現性が損なわれたこと が既往の研究結果4),5)からも予想される。JIS A 5308
(レ ディーミクストコンクリート)の9.1
圧縮強度には,「供 試体は作製後,脱型までの間,常温で保管する」とあり,常温とは一般に
5~35℃を指す。近年は 35℃を超えるよ
うな猛暑日となることが多く,屋外養生の際には十分な 配慮が必要となる。図-
4
養生場所と強度の関係(4)
脱型までの存置期間の影響供試体の脱型までの存置期間と強度の関係を図-
5
に 示す。なお,ここでは存置期間1
日の場合に対し,2日 および3
日と期間を延長した場合の強度発現性を比較し た。その結果,概ね±5
%の範囲内と大きな差はなかった。-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60 80 100
運搬後の強度増減率(%)
運搬前強度(N/mm2) 夏期・60分 夏期・90分以降 標準期・60分 標準期・90分以降
MN24 (90,120分)
AB30 MN36
(90分)
AN36
(120分)
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60 80 100
簡易型枠による強度増減率(%)
鋼製型枠による強度(N/mm2) 室内
屋外
AM33
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60 80 100
屋外養生による強度増減率(%)
室内養生による強度(N/mm2) 夏期
標準期
MN36 AN36
但し,存置期間
3
日の屋外養生したMN36
では9.4%の
強度低下と大きいものも確認された。夏期では存置期間1
日よりも2
日,2
日よりも3
日の方が強度は低くなる傾 向にあった。JIS A 1132
(コンクリートの強度試験用供試 体の作り方)では,「型枠の取外し時期はコンクリートを 型枠に詰め終わってから16
時間以上3
日間以内とし,そ の間,衝撃,振動および水分の蒸発を防止すること」と あり,実務では休祭日の関係で存置期間が3
日となるこ とがしばしばある。高温期に屋外で長く存置する場合に は,強度発現に注意する必要がある。(5)
上面保護対策の影響供試体上面保護対策の有無と強度の関係を図-6 に示 す。ラップによる乾燥対策は,夏期および室内(
20
℃)養生した供試体では無対策と大差ない結果であったが,
標準期に屋外(常温)養生した供試体では
MN30
とMN36
の
5.7%増等,強度が高くなるものもあり,その効果が認
められた。麻袋で湿布を施す対策(標準期のみ実施)は,
MN30
で最大10.4%の強度増加率を示しており,ラップ
よりも湿布による保護対策の方が約
2~5%効果が高い
ことがわかった。写真-2
のように湿布で覆ったことで,湿布の気化熱により供試体の雰囲気温度が低下し,強度 発現に影響した可能性が考えられる。
写真-
2
上面保護対策の比較図-
5
存置期間と強度の関係 図-6
上面保護対策の有無と強度の関係-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60
対策ありの強度増減率(%)
対策なしの強度(N/mm2) 室内(ラップ)
室内(湿布)
屋外(ラップ)
屋外(湿布)
標準期 -20
-15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60 80 100
対策ありの強度増減率(%)
対策なしの強度(N/mm2) 室内(ラップ)
屋外(ラップ)
AM60 夏期
-10 -5 0 5 10
2日 3日
1日存置からの強度増減率(%)
脱型までの存置期間 室内(夏期) 屋外(夏期) 室内(標準期) 屋外(標準期)
上面保護なし -10
-5 0 5 10
2日 3日
1日存置からの強度増減率(%)
脱型までの存置期間 室内(夏期) 屋外(夏期) 室内(標準期) 屋外(標準期)
上面保護あり
写真-
3
輸送車と供試体固定の状況(6)
回収時期と輸送振動の影響供試体を作製した後,現場から回収する際の輸送振動を 与えるため,写真-
3
の輸送車を用いた。輸送中に型枠同士が緩衝しないように,隙間なく配置したうえで,廻 りから土嚢袋を用いてしっかりと固定した。輸送時間は 一律
1
時間とし,周辺道路を走行して輸送時の振動を与 えた。なお,車内温度は空調により25℃程度を保持して
走行した。回収時期および輸送振動と強度の関係を図-7
,8
に示す。当日回収で供試体作製直後に輸送した場合 は,翌日回収より強度が低下するもの(最大8.1%)と,
増加するもの(最大
6.9%)とがあった。6
時間後に輸送 したものは,夏期は翌日回収とほぼ同等で,標準期は5
~
9
%(最大8.9
%)程度低下した。作製6
時間後の輸送 振動を与えたコンクリートの凝結との関係を表-7
から 検証すると,室内(20℃)養生の供試体はすべて始発前 の輸送で,屋外(常温)養生の供試体は始発後または終 結後の輸送であることがわかった。養生場所や配合によ って凝結時間に差はあるものの,今回の検討では輸送振 動を与えた時間と強度との関係性は見出せなかった。写 真-4
に脱型後の外観を,写真-5
にAN36
の割裂した 図-7
当日回収の強度の関係(室内) 図-8
当日回収との強度の関係(屋外)-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
翌日回収に対する強度増減率 (%)
MN24 MN30 MN36
標準期
直後 3時間後 6時間後
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
翌日回収に対する強度増減率 (%)
AN36 AM33 AB30 AM60
夏期
直後 6時間後
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
翌日回収に対する強度増減率 (%)
AN36 AM33
AB30 AM60 夏期
直後 6時間後
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
翌日回収に対する強度増減率 (%)
MN24 MN30 MN36
標準期
直後 3時間後 6時間後
MN24 MN30 MN36
写真-
4
脱型後の外観(当日回収・作製直後輸送) 写真-5
割裂後のコンクリート内部(AN36)表-
7
コンクリートの凝結時間室内
9-10 11-30
屋外
5-35 6-45
室内6-45 9-20
屋外4-25 5-35
室内
8-30 11-25
屋外
5-05 6-20
室内6-40 8-45
屋外4-50 5-55
室内6-25 8-57
屋外4-29 6-01
室内
7-51 10-07
屋外
5-46 7-20
室内7-35 9-56
屋外5-40 7-14 MN36
記号 養生場所 始発
(
h-m)
終結
(h-m)
AN36
AM33
AB30
AM60
MN24
MN30
コンクリート内部状況を示す。当日回収供試体の脱型後 の外観は,高性能
AE
減水剤を用いたMN30
とMN36
で 輸送時の振動の影響を受けて,水分移動した跡が観察さ れた。また,作製直後に輸送して強度が最も低下したAN36
について,コンクリート内部の材料分離状況を確 認した結果,特にその影響は認められなかった。4.
まとめ供試体の初期養生が強度に及ぼす影響について,夏期 と標準期に実機試験を行い,試料採取時期,養生場所,
存置期間,使用型枠の種類,上面保護対策の有無やその 方法,および回収時期と輸送振動等を検討した。それぞ れの要因で強度増減率が大きくなった結果を表-
8
に示 す。また,本検討で得られた主な結果と,具体的な対策 の提案を以下に示す。(1)
試料採取時期の影響は,練上り60
分運搬後と,練 上り5
分運搬前とで作製した供試体の比較では,強 度は大差がないことがわかった。練上り90
分以降 に作製した供試体は,最大で8.2%強度低下した。
この傾向は夏期,標準期とも同様であり,供試体は 速やかに作製して保管する配慮が必要である。
(2)
使用型枠の影響は,鋼製と簡易(プラスチック製)で比較した結果,供試体内部の温度は同等であった ものの,強度は簡易(プラスチック製)の方が若干 低下した。なお,AM33(33-15-20M)で
11.2%の強
度低下率を示しており,試料を詰める際に締固めの 差が影響した可能性が考えられた。近年は現場の受 入検査時および構造体コンクリート強度の検査に おいて,簡易型枠を用いるケースが増えているため,製造者側は品質管理で留意すべき事項である。
(3)
養生場所の影響は,室内(20℃)と屋外(常温)で 比較した場合,屋外(常温)の供試体強度は概ね低 下し,最大で11.9%となった。夏期のみならず温度
が高くなり始める標準期でも,この傾向は認められ た。(4)
存置期間の影響は,全体的に大きな差はなかったが,存置期間
1
日に比べて,屋外で存置期間を3
日とし た供試体は,最大で9.4%の低下が認められた。
(5)
上面保護対策は,室内(20
℃)の供試体強度では効 果が小さいものの,屋外(常温)の供試体強度はラ ップによる封かんおよび湿布による方法が有効であ ることがわかった。その効果はラップ封かんよりも,湿布の方が約
2
~5
%高くなった。(6)
回収時期の影響は少なく,当日回収の輸送振動によ る影響は,コンクリートの凝結時間との関係性は見出せなかったが,季節や配合によって強度への影響 は異なることが考えられた。
具体的な対策の提案(夏期および初夏)
(1)
供試体の作製は運搬後速やかに行う。(2)
供試体の屋外(常温)養生は上面を湿布で保護する。(3)
作製後の供試体は日射を避けた場所で養生する。(4)
供試体の存置期間は2
日以内とし,回収後は速やか に標準養生(水中)を開始する。謝辞
本実験の実施にあたり,東京コンクリート㈱砂町工場,
東陽コンサルタント㈱,東試協コンクリート採取試験会 社協議会,コンクリート用化学混和剤協会関東ブロック 部会,東京都生コンクリート工業組合 松田敏貴様,東 京地区生コンクリート協同組合 新井智史様,中永秀彦 様,東京エスオーシー㈱ 伊藤 司様,㈱東京菱光コン クリート 杉山賢一様,鶴見菱光㈱ 池尻慶太様,桐生 レミコン㈱ 茂野 徹様に感謝致します。
参考文献
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~88
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表-
8
各種要因における影響度強度増減率
(最大値)
試料採取時期 90分以降 5分後 標準 -8.2%
型枠種類 簡易 鋼製 夏 -11.2%
養生場所 屋外 室内 夏 -11.9%
脱型までの存置期間 3日 1日 標準 -9.4%
ラップ 標準 +5.7%
湿布 標準 +10.4%
直後 夏 -8.1%
6時間後 標準 -8.9%
要因 水準 実験
時期
回収時期・輸送振動 上面保護有無
比較 基準
なし 24時間後