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河川管理における河道内撮影システムの有効性と課題

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Academic year: 2022

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河川管理における河道内撮影システムの有効性と課題

株式会社協和コンサルタンツ 正会員 ○左村 公 株式会社協和コンサルタンツ 正会員 秋葉 浩吉 国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所 高橋 俊三 中央大学理工学部 フェロー会員 山田 正

1.目的

我が国における河川整備は治水や利水を目的とし,時代とともに河川用地の有効利用や自然環境への配慮な どを考慮しながら整備が行われてきた.現在,河川管理ではこれまで整備したストックを大規模災害への対策 だけに留まらず,国土を守るために日常的に巡視を実施している.効率的な河川管理として,山下 1は河川 GIS システムを構築し,これまで紙ベース管理されていた資料と電子化されている資料を統合化した.また,

川上2はサイクル型維持管理体系を確立させるため,Plan(巡視計画の策定),Do(計画に基づき巡視の実施),

Check(巡視実施計画を分析・検討すること),Action(分析・検討結果を基に行動すること)といったPDCA

を導入した河川巡視支援システムの構築を行ってきた.これらの先進的な取組みを重要と認識するとともに,

システムを有効的に利用するには河川の現状を的確に把握することが重要と考える.特に我が国の河川は急流 河川であり一回の降水により河道内の砂州の移動や護岸の浸食といった事象を繰り返す.

以上のことを鑑み,河道内を縦断的に連続して現状を把握できるシステムとして河道内撮影システムを開発 した.本研究では一級河川利根川水系烏川において河道内撮影システムのフィールド調査を産官学で行ったの で,その有効性と課題について報告する.

2.調査方法 2.1 調査対象地

河道内撮影システムのフィールド調査は,烏川の鏑川合流点から下流方向に利根川との合流点まで約10km 区間で実施した(図-1).調査区間の河道は無堤区間や高水敷の多目的利用(公園,運動場)が行われている.

2.2 撮影方法

河道内撮影システムでは河道内から現況を把握することを目的としていることから,深掘れや浅瀬といった 状況にかかわらず,連続的に撮影することが求められる.そのため,水陸両用車を用いたシステムを開発した

(図-2).本システムは前方と左側面の 2方向にカメラを設置し,GPSと連動して撮影地点やルートを地図上 に記録しながら撮影を行う.また,GPS電波の届かない場合は,車両のパルス信号とジャイロシステムにより 車両の走行方向や速度に応じて地図上に記録する.撮影間隔は時間制御を行い,3秒/枚とした.2台のカメ ラは固定式のため設置高1.7mでの固定撮影となる.

図-1 烏川流域と調査区間の概要 キーワード 河川管理,河川巡視,GIS,GPS,水陸両用車

連絡先 151-0073 東京都渋谷区笹塚1-62-11 株式会社協和コンサルタンツ 03-3376-3170

上信道 関越道

高崎JCT

藤岡JCT 上越新幹線

JR高崎線 JR八高線

高崎河川国道事務所

利根川 烏川

鏑川

烏川

(利根川合流地点〜

鏑川合流地点)

0 1.25 2.5 5km

Ü

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑137‑

Ⅱ‑069

(2)

3.通常河川巡視での確認事象

河道内撮影システムの有効性と課題を検討するため,通常の河川巡視で確認された事象をとりまとめる 3

(表-1).通常河川巡視では,①河道内に関するものは確認されなかった.②護岸や堤防に関するものとして7 件確認され,その内容は堤防裏法面,堤防舗装面等の変状であった.③河川工作物は2件であり,雨水側溝や 法面排水枡の変状であった.④河川空間利用に関する事象が最も多く確認された.その中でも高水敷や堤防の 不法投棄が16件であり,不法投棄が確認された場所は高水敷が樹林帯となっていた.この他に高水敷の利用 に関する看板設置や注意喚起が6件,現地確認や住民対応が6件となっていた.⑤その他として倒木発見や撤 去については5件確認され,倒木は管理用通路での事象であり河道内の事象は報告されていない.

4.河道内撮影システムでの確認事象

河道内撮影システムでは通常巡視で確認されなかったものとして,新たに21件の事象が確認された(表-1).

その内容は①河道内での河岸や法面の洗掘(図-3),②護岸の縦断方向のクラックや浮きが確認された.これ らの事象は河川管理通路,高水敷からは確認することが困難な地点であった.また,⑤流木や根固工の流出が 確認され,これらの事象は間伐材や自然木別の流木,ポッドの流出といった詳細な事象までも確認できた.こ の他,④不法占有や占拠も確認された.一方,本システムで確認できなかった事象として,河床状況,横断方 向に広域な地点における状況把握,堤防や護岸の潜在的な変状が挙げられる.これらの事象に対しては,赤外 線カメラや探知機を搭載することで対処できるものと考える.

5.まとめ

本研究では河道内撮影システムの可能性と課題について検討を行った.その結果,河川管理計画を策定する うで基礎情報となる河川現況を把握する重要なツールとしての可能性が示された.今後は,課題事項を解決す るためのフィールド調査を実施する.

参考文献

1)山下篤志:河川管理実務により一層活用しやすい河川 GIS システムの構築について,中部地方整備局管内技術

研究会論文集,No.61,pp.188-181,2011.2)川上俊夫:河川巡視支援システムの構築と展開について,河川,No.781, pp.23-24,2011.3)国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所:河川巡視月間報告書,平成23年分,2012.

表-1 通常巡視と河道内撮影システムでの確認事象

①河道 ②護岸  堤防

③河川 工作物 事象 ― 管理通路の

変状

排水施設 の変状

不法 投棄

看板設置

注意喚起 住民対応 不法 占用

流木 倒木

生態系 水質

除草 作業

件数 0 7 2 16 6 6 3 5 6 2

事象 河岸や法面

の侵食 護岸の損傷 ― 不法

占有 不法占拠 ― ― 流木 根固工 の流出 ―

件数 8 2 0 2 1 0 0 6 2 0

④河川空間利用 ⑤その他

河川通常巡視

河道内撮影 システム

図-2 河道内撮影システムの概要 フロート

カメラ GPSアンテナ

図-3 フィールド調査で撮影した画像(撮影システムのインターフェイス)

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑138‑

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