図 2 超音波非破壊検査位置(平面図)
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(2) 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月). Ⅴ‑417. 位置を示している。通常,超音波が供試体内部の亀 裂に到達すると,コンクリートと空気の音響インピ ーダンス値の違いにより境界面で反射される。そし て,反射された超音波(エコー)の強度を読み取り, 強度の強いエコーを観測できた箇所は明色で表示さ れるため,強度の強い色から赤,黄,緑,青,黒色 となっており,黒色はまったく反射していないこと を意味する。一般的にコンクリートと空気の音響イ. 亀裂厚さ 0.1mm 亀裂深度 100mm. ンピーダンス値の差は非常に大きく,超音波は 90% 以上反射されてしまうため,亀裂を観測した箇所は. 図 3 亀裂厚さ 0.1mm のトモグラフィー画像. 赤,黄,緑色で現れる。図 3,4 より内部亀裂の厚さ を変化させても赤や黄色といった強度の強いエコー が得られた範囲が変化していないことがわかる。ま た,亀裂の厚さを変化させても赤,黄,緑色が現れ る位置も変化していない。これより,亀裂の厚さは エコーの強度に影響しないといえる。これは超音波 の反射はコンクリートと空気との境界面で生じるた め,亀裂厚さによる差が生じなかったのだと考えら. 亀裂厚さ 0.5mm 亀裂深度 100mm. れる。 3.2 亀裂深度の検知精度. 図 4 亀裂厚さ 0.5mm のトモグラフィー画像. 次に,亀裂深度が超音波非破壊検査にどのような 影響を及ぼすかを検証するために,コンクリート内 部の亀裂深度をコンクリート供試体上面から 50mm の位置に変化させた供試体を用いて検査を行った。 なお亀裂厚さは 0.5mm である。図 5 は図 2 測線①に おいて検査を行った結果である。図 4,5 を比較する と,図 4 では赤,黄色が深度 100mm 付近にあり,概 亀裂厚さ 0.5mm 亀裂深度 50mm. ね亀裂深度と一致しているが,図 5 では内部亀裂を 深度 50mm の位置に設けているのに対し,緑色の範 囲が確認できたが,深度 90mm 付近に広く拡散して. 図 5 亀裂深度 50mm のトモグラフィー画像. おり,図 5 のトモグラフィー画像から亀裂深度を精 度よく測定できたとはいえない。これは,超音波非. 果を以下に示す。. 破壊検査をコンクリートに用いる場合,骨材やコン. (1) コンクリート内部の微小な亀裂を超音波非破壊. クリート内部の空気などの阻害要因による減衰を小 さくするために,低い周波数を用いて波長の長い超. 検査では検知することができた。 (2) 亀裂の厚さを変化させてもエコーの強度に差は. 音波を使用しているが,波長が長くなることにより, 表面に近い部分に存在する亀裂を検出しにくくなっ 2). ている からだと考えられる。 4.まとめ 本研究では,非破壊検査法の一つである超音波非 破壊検査法がコンクリート内部の亀裂をどの程度の 精度で検知可能かを検証した。本研究で得られた成. 見られなかった。 (3) 亀裂深度が浅い場合,検知精度が悪くなる。 【参考文献】1) 国土交通省:鉄道構造物における剥 落事象について,http://www.mlit.go.jp/common/ 000995196.pdf (2015 年 4 月 1 日取得) 2)日本非破壊検査協会:非破壊検査便覧,pp.427-567, 1972.. ‑834‑.
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