• 検索結果がありません。

博士(理学)武貞正樹 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(理学)武貞正樹 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(理学)武貞正樹 学位論文題名

Study of cr ‑ BPhase Transition in K2ZnBr4

K2ZnBr4

に お け る

a‑p

相 転 移 の研 究)

学位論文内容の要旨

  

相転移は自然界における普遍的現象のーつである。その相転移現象は一般にニつの グ ルー プに 分類す るこ とが でき る。一 方は 相転 移点 をはさ む両相においてgroup −

subgroup

の 関係に 従う 相転 移であり、他方はそのような関係に従わない相転移であ る。前者のグルー.プは全ての2 次相転移と一部の1 次相転移からなり、相転移点にお い て 、 あ る 相 の 平 衡 位 置 から 他 の 相 の 平 衡 位 置 ヘ 小 さな 原 子 変 位 を 伴 い 相転 移 することが特徴である。特に変位型2 次相転移では無限小の原子変位により相転移す る。これらの相転移現象はここ数十年の間にランダウ理論の適用により実験、理論の 立 場か ら多 くの成 果が あげ られてきた。一方、後者のグループば

reconstructive phase transition

(再構成型相転移)と呼ばれる1 次相転移からなり、大きな原子変 位を伴って相転移し、相転移点近傍における準安定相、安定相の共存が特徴である。

その大きな原子変位に伴う不連続性からこの種の相転移現象の研究は困難であり再構

成型相転移に関する研究報告、また相転移がまさに進行している準安定相、安定相境

界に注目した相転移の機構に関する研究報告例はほとんど無いのが現状である。これ

は大きな原子変位による強い不連続性から再構成型相転移をはさむ両相において、そ

の 相 の 間 に 明 確 な 物 理 的 関係 が 無 い こ と か ら 、 再 構 成型 相 転 移 に 物 理 的 興味 が

向けられなかった為である。しかしその両相は再構成型相転移の前後で、それぞれ結

晶構造を形成するという強い束縛条件下にあることから再構成型相転移をはさむニつ

の 相 の 間 に は 何 ら か の 物 理 的 関 係 が 存 在 す る こ と が 期 待 さ れ る 。

  

そこで本研究では再構成型相転移をはさむ両相においてどの様な物理的関係が存在

するかを実験の立場から探索することを目的とした。実験手段とレて微視的立場から

(2)

X

線 回 折 実 験 を 、 そ レ て そ の 結 果 を 確 認 す る た め にブ リ ル ア ン 散 乱 実 験 を 行 っ た 。 そ の結 果、 再構 成型 相転 移をはさむ両相に興味ある物理的関係と、さらに準安定相と安定相 の 境 界 に お け る 原 子 レ ベ ル で の 相 転 移 機 構 等 の 新し い 知 見 を 得 た こ と を 報 告 す る 。 試 料 に は

A2BX4

型 強 誘 電 体

K2ZnB r4

結 晶 を 選 び 、

K2ZnBr4

の 再 構 成 型 相 転 移 で あ る ロ ‐ ロ 相 転 移 に 注 目 した 。 こ こ で

K2ZnB r4

は ニ つ の 相 転移 系列 を持 つこ とで 知ら れ、

一 方 は 低 温 で 安 定 な

a

系 列 で あ り 他 方 は 高 温 で 安 定な 届 系 列で ある 。 K2ZnB r4 結 晶は 室 温 に お い て

S r2G eS4

型 構 造 の

a

相 (

a

系 列 ) に あ り 、 こ の 試 料 を 加 熱 す る と 約

460K

においてロ‑K2S04 型構造を持つロ相へa‑ ロ相転移をする。

  

ま ず

X

線 回 折 実 験 に よ り

a

相 と ロ

‑B

相 転 移 を 経 た ロ 相 と の 間 の 結 晶 軸 の 関 係 を 得 た 。 こ の 得 ら れ た 軸 関 係 は

A2BX4

型 強 誘 電 体 に 見 ら れ る 相 転 移 の 機 構 と し て 一 般 的 に考 えら れて きた プ ロト タイ プと して

hexagonal

(空 間群

P63/mmc

) を考 える モデル で は こ の ロ ‐ ロ 相 転 移を 説 明 す る こ と が で き な い こ と を明 らか にし た。 さら にこ の軸 関 係 を 説 明 す る た め に 新 し い 試 み と し て

a‑

ロ 相 転 移 の 相 転 移 機 構 に お い て

a

相 か ら ロ相へ相転移する際に仮想的中間状態(virtu al  intermediate states ,VIS) として体心立方 構 造

(bcc)

、 と 六 方 最 密 構 造(hcp) を 経る モデ ル(

VIS

モ デル )を 微視 的立 場か ら提 案レ た 。 こ の

VIS

モ デ ル は

a

相 と

VIS

、 ロ 相 と

VIS

の 間 にそ れ ぞ れ

group‑subgroup

の 関 係 を 適 用 し 、 ま た

VIS

で あ る

bcc

hcp

の 間 に は

Burgers

1934

) のモ デル を適 用す るこ とに よ り 、 こ の 再 構 成 型 相 転 移 で あ る

a‑

ロ 相 転 移 を 連続 的 に 取 り 扱 う こ と を 可 能 に し た 初めてのモデルである。

  

ブ リ ル ア ン 散 乱 実 験か ら は ブ リ ル ア ン ス ペ ク ト ル を

a

相 、 ロ 相 の 両 相 に お い て 温 度

の 関 数 と し て 得 た 。 最 も 興 味 あ る 結 果 は 縦 波 音 響 モ ー ド

(LA

モ ー ド ) の 温 度 依 存 性

に お い て ロ 相 で は 良 い再 現 性 を 示 す こ と に 対 し ロ 相 で は実 験の 度に 異な る温 度依 存性

を 示 し た 。 さ ら に 実 験 回 数 を 増 や す こ と に よ り 、 そ の ロ 相 に お け る

LA

モ ー ド は

10

夕 イ プ の 温 度 依 存 性 を示 す こ と を 明 ら か に し た 。 こ の

LA

モ ー ド に 対 す る

VIS

モ デ ル に

従 っ た モ デ ル 計 算 の 結 果 は 、 実 験 に よ り 得 ら れ たロ 相 、 転 移 点 近 傍 で

LA

モ ー ド の 振

動 数 シ フ ト 値 が 異 な る

10

個 の 値 を 示 す と い う 特 徴に 、 一 致 す る こ と を 見 い 出 し た 。

  

さ ら に

X

線 回 折 実 験 、 ブ リ ル ア ン 散 乱 実 験 の 両 結果 を 総 合 的 に 考 察 す る こ と に よ ル

届 相 転 移 を 説 明 で き る 最 も 簡 単 な モ デ ル と し て少 な く とも ニっ のVIS を考 えな けれ

ば な ら な い こ と 、 ま たそ の ニ つ の

VIS

の 空 間 群 は それ ぞ れ

Im3m

P63

mmc

で あ る こ と

(3)

を結論レた。そして再構成型相転移の相転移点近傍における準安定相と安定相の境界

での相転移機構とレてVIS モデルの立場から、「両相は物理的関係を持たない不連続

的なっながりではなく、

VIS

による連続的な相転移機構を持つ。」と考える新レい再

構成型相転移機構の見解を得た。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Study of a ‑ B Phase Transition in K2ZnBr4

( K2ZnBr4 におけるa‑B 相転移の研究)

相 転 移 現 象 は 自 然 界 に お い て 普 遍 的 に 存 在 す る 現 譲 で あ り 、 そ の 転 移 穣 構 に は 平 衡 状 態 の 安 定 な 物 貫 に は 現 れ な い 鋤 的 な 原 子 集 団 の 状 態 変 化 が 現 れ る の で 新 し い 物 性 を 研 究 す る 格 好 の 舞 台 で あ る 。 相 転 移 現 象 は 一 般 に 1次 相 転 移 と 2次 相 転 移 に 分 類 さ れ る が 、 後 者 の 研 究 は 相 転 移 に お い て 熱 力 学 的 諸 量 が 連 続 的 に 変 化 す る た め に 自 由 エ ネ ル ギ ー の 熱 カ 学 的 変 数 に よ る 展 開 が 可 能 で あ り 、 し た が っ て 現 在 ま で に 現 象 強 的 理 強 を 基 盤 と し て 数 多 く の 研 究 が 蓄 積 さ れ て い る 。 そ の 成 果 は 分 子 堝 近 似 か ら 臨 界 現 象 の 研 究 等 に い た る 物 性 物 理 学 上 の 大 き な 研 究 分 野 に 発 展 し て い る 。 こ れ に 対 照 的 に1次 相 転 移 は 自 然 界 に お い て 例 え ば 氷 が 溶 け て 水 と な る 場 合 の よ う に 普 遷 的 現 譲 で あ り な が ら 、 そ の 転 移 機 構 の 研 究 は 相 転 移 に 際 し て 物 理 量 が 不 連 続 的 に 変 化 す る た め 解 析 的 な 取 り 扱 い が 困 麗 で あ り 、 後 者 の2次 転 移 の 研 究 に 比 べ て 大 き く 立 ち 後 れ て い る 。

本 学 位 諭 文 は 固 体 に お け る 1次 相 転 移 を と り あ げ 、 そ の 相 転 移 機 構 に 関 す る 原 子 レ ベ ル の 相 転 移 モ デ ル を 提 唱 し 、 か っ そ れ を 実 験 で 確 認 す る こ と で モ デ ル と し て 確 立 し 、

1次 相 転 移 の 研 究 に 大 き な 進 展 と 指 針 を 与 え た 点 で 意 義 が あ り 高 い 評 価 を 与 え ら れ た 。 申 諸 者 は 2っ の 異 な る 相 転 移 系 列 を 持 ち そ の 系 列 問 で 1次 相 転 移 を す る K2ZnBr4 轄 晶 を 試 料 と し 、 X糠 回 折 に よ る 構 造 解 析 と ブ リ ル ア ン 散 乱 に よ る 音 一 型 フ オ ノ ン の 伝 播 の 観 瀾 を 行 っ た 。 X隷 の 結 果 か ら は 、 相 転 移 に 伴 う 結 晶 軸 が a相 と ロ 相 の 間 で 大 き く 角 度 を 変 え 、 か つ 相 転 移 に 伴 い 原 子 変 位 も 大 き な も の で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 さ ら に 詳 細 な 構 造 解 析 実 験 を 繰 り 返 す こ と に よ り 胃 相 に お け る 結 晶 軸 の 実 現 す る

84

郎 晴

一 史

駿 正

洋 裕

木 永

崎 見

八 徳

塩 辻

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

方 位 は2次 相 転 移 の 場 合 と 根 本 的 に 婁 な , り 、 転 移 の 度 ご と に 異 な る 幾 っ か の 方 位 に 分 布 す る と い う 画 期 的 な 結 詮 に 至 っ た 。 申 請 者 は こ の 特 異 な 相 転 移 の 様 相 に 従 来 の 研 究 手 法 で は 解 明 が 困 轗 な 1次 相 転 移 の 本 買 が 潜 ん で い る こ と を 洞 察 し 、 そ の 相 転 移 機 構 を 仮 想 的 中 間 状 態 モ デ ル ( Virtual Inter:ediate StateodelVIS iodel)を 導 入 す る こ と で 結 晶 軸 方 位 の 分 布 に 生 じ た 規 則 性 を 矛 盾 無 く 説 明 す る こ と に 成 功 し た 。

さ ら に 提 案 し た モ デ ル の 妥 当 性 を 確 認 す る た め に 、 asgrownKZnBr4単 結 晶 試 料 を 多 数 用 意 し 、a相 の 軸 方 位 を 実 験 系 に 対 し て 一 定 に 保 っ た 上 でp相 へ の 転 移 を 多 数 回 観 潤 す る 方 法 を 考 案 し た 。 こ の と き 多 数 回 の 相 転 移 を 観 瀾 す る こ と で 得 ら れ る 結 晶 軸 方 位 の 分 布 を 、 ブ リ ル ア ン 散 乱 で 縦 波 音 一 型 フ オ ノ ン を プ ロ ー ブ と し て 一 瀾 し た 。 ば ‑B相 転 移 に お け る 縦 波 音 響 型 格 子 振 助 の ス ペ ク 卜 ル は 相 転 移 の 度 ご と に p相 の 結 晶 軸 方 位 が 規 則 的 分 布 を す る の で 、 弾 性 テ ン ソ ル の 異 方 性 が ブ リ ル ア ン 散 乱 ス ペ ク 卜 ル の 振 助 数 シ フ 卜 に 反 映 し 、 し た が っ て 振 動 数 シ フ ト の 分 布 か ら 結 晶 一 方 位 の 分 布 を 検 出 で き る 。 ブ リ ル ア ン 散 乱 の 実 験 結 果 か ら a‑ロ 相 転 移 に お け る 転 移 機 構 はVI Sモ デ ル に 従 う こ と が 明 ら か に さ れ た 。

本 研 究 に よ り ば 相 か ら 声 相 へ の 1次 相 転 移 に 際 し て 、 単 斜 篇 造 を と る a相 か ら 体 心 立 方 構 造 と 六 方 轟 密 構 造 を 逐 次 仮 想 的 中 間 相 と し て 経 て 声 相 に 転 移 す る と い う 、 不 連 続 性 の 顕 著 な 1次 相 転 移 に 連 続 的 な 相 転 移 を 生 じ る 一 構 が 存 在 す る こ と が 結 諭 さ れ た 。

こ れ は 1次 相 転 移 の 研 究 を 初 め て 原 子 レ ベ ル で そ の 一 構 を 明 ら か に す る こ と に 成 功 し た 例 で あ り 、 仮 想 的 中 間 層 を 考 Iす る こ と に よ り 現 在 ま で 解 明 の 糸 口 が 与 え ら れ て い な か っ た1次 相 転 移 謹 構 の 解 明 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た 点 で 今 後 の1次 相 転 移 現 象 一 般 の 研 究 に 大 き な 進 展 を も た ら す も の で あ る 。

以 上 の よ う な 研 究 成 果 は 物 性 物 理 学 に お け る 相 転 移 の 研 究 に 重 要 な 貢 献 す る も の で

あり、奮査員一同は学位申誼者が理学博士の学位を受けるに十分な資格があるものと 露めた。

 85

参照

関連したドキュメント

   これらC 細胞過形 成の2 例とC 細胞癌1

  

   これまでに原発性肺腺癌の組織標本を使って微小血管数と亅rIt 行性転移の 関連を直接証明し た報告はなく、血 管新生がm

E‑selectin を 介した 癌細胞 の血管内 皮細胞 への接 着が,膵癌細胞の血行性転移を規定する重要な因 子 であ る 可 能 性が あ る 。 細胞 接着の 増加には ILl‑ ロ, TNF‑a

   ところで,これまでに血小板a ―2 受容体に連関する情報伝達機構は,Gi とよばれる抑制性 GTP 結合蛋白 質を介したアデニル酸シク

   これ ら3 つの 問題点のうち、大環状ラクトン部分[Cl ‑ C36] を合成する上 で最 も 大きな 問題 点で ある 立体選 択的 かつ 効率 的なD 環 、E 環、 F 環 の構 築 に焦 点 をあて

◎Mo の添 加に 着目 して 粒界 Cr 欠 乏 を検 討し た。 Mn を 高濃度に添加して母相の格子定数 を大きくすると、Cr

すべり系間の相互作用を新たに考慮することにより、多重すぺりが生じる変形条件を表現した。こ