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博士(薬学)長澤正明 学′位論文題名

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(1)

     博士(薬学)長澤正明 学′位論文題名

ハリコンドリン B の合成研究

―大 環状ラク卜ン環(

CI

―C36) の構築一

学位論文内容の要旨

  

ハリコンドリンB は、強カな抗腫瘍活性を有する分子量1110 、不斉炭素32 個よ りなる高分子量の海洋産ポリエーテルマクリドである。その構造は連続する多 置換テ トラ ヒド 口ピ ラン環 、テ トラ ヒドロ フラン環、スピロケタール環、

分子内 アセ 夕一 少環 さらに 大環 状ラ クトン 環構造を有する高度に官能基化 された 化合 物で ある 。従っ て、 その 実用性 を意識した合成においては、合 理的な 方法 論、 選択 性の高 い反 応の 開発等 、難しい問題点が予想される。

  

構造上、ハリコンドリンB は、F 環部を中心としてCl ‑ C36 位大環状ラクト ン部分とC27 ‑ C54 位ポリエーテル部分を組み合わせた構造を有していると考え ること がで き、ハリコンドリンB の全合成を達成するためには、これらニつ の立体選択的かつ効率のよい合成ルートの確立が必須であると考えられた。

そこで、これらニつのうち大環状ラクトン部分[Cl ‑ C36] の効率的かつ立体 選択的 な合 成ル ート 確立を 目指 し、 その合 成研究を行なった。さらに、大 環状ラクトン部分[Cl ‑ C36] はC27 ‑ C54 位間で切断したC16‑C36 位アルデヒド とCl‑C15 位ホスホネートとのカップリングによって合成するのが最も合理的で あると考えられる。以上の合成戦略に従って大環状ラクトン部分[C1 ‑ C36] を 合成する上で以下の3 点が重要な問題点となる。

  i

)構 造上の 大き な特 徴の

1

つ であ る大環 状ラクトン環をぃかに効率よく

  

構築するか。

  ii

)分子内アセタール環が構築できるか

  iii)

独 立 し て 存 在 す る

3

つ のD 環 、

E

環、

F

環 をい かに 立体選 択的 に効 率

  

よく構築するか。

  

これ ら3 つの 問題点のうち、大環状ラクトン部分[Cl ‑ C36] を合成する上 で最 も 大きな 問題 点で ある 立体選 択的 かつ 効率 的なD 環 、E 環、

F

環 の構 築 に焦 点 をあて

C16‑C36

位の 合成 ルー トの確 立を 第一 主眼 として 研究 を行 っ た。さらに、C16 ―

C36

位アルデヒドとCl‑C15 位ホスホネートをカップリングし、

分子内アセタール環構築を行った後、大環状ラクトン環[Cl ‑ C36 ]の構築を 行った。

  

以下に大環状ラクトン環[

Cl ‑ C36]

の構築研究において得られた結果を要 約する。

  1

)ヨードエーテル化反応を用いて、C19 位水酸基の立体制御により立体選択的

(2)

なD環 構築 に成 功し 、C23位に 関す るジ アス テレ オマ ーで あるC16‑C26位エステル の立体 選択 的な 合成 を達 成し た。また、このヨ―ドエーテル化反応において直接 反応に関与する水酸基を保護した場合において、2,3‑syn・2,5‑trans ‑テトラヒドロ   フラン環が立体選択的に得られることを見い出した。

  2 C27‑C36位F環 部ア ルデ ヒド とTHF中、LDAにより 調整 したC16‑C26位D環 部 エステ ルの エス テル エノ レー トと のア ルド ール 反応 にお いてE(O)‑エノレートよ りF環 部エ ーテ ル酸 素と のキ レーシ ョン コン トロ ール によ るsyn‑選択的な高立体 選択的アルドール反応を見い出した。

  3 C27‑C36位F環 部ア ルデ ヒドとC16‑C26位D環部エステルをアルドール反応に よルカ ップ リン グし 、SN2反 応によ るC23位 水酸 基の 不斉 中心を利用しC27位水酸 基を脱 離基 とし て閉 環さ せる ルー ト、 およ び、C27位 水酸 基の不斉中心を利用し C23位 水酸 基を 脱離 基と して 閉環さ せる ニつ のル ート よりE環構築を行い、C23位 水酸基を脱離基として閉環させるルートからE環構築ルートを確立した。その際、

C23位 水 酸 基の 不斉 中心を 利用 しC27位 側へ の閉 環させ るル ート にお いて 、& ア ルコキ シケ トン を用 いた アセ トニトリル中、トリエチルシラン‐三フッ化ホウ素 エーテル錯体還元条件における効率的かつ立体選択的なcisーテトラヒドロピラン 環構築 法を 見い 出し 、そ の効 率的 な合 成が 困難 と考 えら れた立体選択的なE環構 築 法 を 確 立 し 、D環 、E環 、F環 部[C16‑C36]の 立 体 選 択 的 合 成 を 達 成 し た 。   4)アセトニトリル中、三フッ化ホウ素エーテル錯体がトリアルキルシリル化合 物と5価の シリ ケー ト中 間体 を経て トラ ンス メタ レー ショ ンのように反応するこ とを見 い出 した 。中 でもF環 合成に おい て鍵 とな る、 アセ トニトリル中、アリル トリメ チル シラ ン存 在下 、三 フッ化ホウ素エーテル錯体とトリメチルシリルトリ フレ ー ト に よる 立体 選択 的C‑アリ ルグ リコ シル 化反応 にお いて は、 三フ ッ化 ホ ウ素エ ーテ ル錯 体と トリ メチ ルシリルトリフレートがアセトニトリル中、1:1で 容易に 反応 して 得ら れる 新規 ルイス酸、二フツ化ホウ素トリフレートが水酸基を 保護 し な い ピラ ノー ス誘 導体 の立 体選 択的C‑ア リー少 グリ コシ ル化 反応 に重 要 な役割を果たすことを見い出した。

  5)A環、B環、C環部[Cl‑C15]とD環、E環、F環部[C16‑C36]をカップリングさせ、

分 子 内 ア セ タ ー ル 環 構 築 を 行 ・ い 、 ハ リ コ ン ドリ ンBの 大 環 状 ラ ク ト ン 環 部 [Cl−C36]を合成した。

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    橋 本 俊 一 副査    教授    森   美和子 副査    助教授    浜田辰夫 副 査    講 師    中 島    誠

学 位 論 文 題 名

/ ヽリコンドリン B の合成研究

―大環状ラクトン環(CI‑C36) の構築―

  1

)序論

表 題 の ハ リ コ ン ド リ ン

B

1

) は 、

1986

年 上 村 等 に よ り 単 離 構 造 決 定 さ れ た 分 子 量

1

110

、 不斉 炭素

32

個か らな り 、極 め て強 い抗腫瘍 性を示す天然物である。

1t

まその興味深い生物活性にも拘 ら ず入 手が 困 難で 、化学 合成法の確立が 強く望まれて いる。構造 の複雑さ から考えて、実用的な合成を行なうには、合理的方法論、

選 択性 の高 い 反応 の開発 などによりはじ めて可能とな ると思われ た 。以 下に 提 出者 が達成 した成果の概要 とその評価に ついて述ぺ る。

  2

)研究成果 と評価

本 研 究 は 現 在 知 ら れ て い る全 合 成の 標 的化 合 物の なか で は最 も

難 度 の 高 い ハ リ コ ン ド リ ン

B

1

) の

C1

C36

部 分 (

3

) を

合 成 し た も の で 、 先 に 合 成 さ れ た

C37

C57

部 分 (

2

) と 合

わ せる と(

1

) の 合成 に 必要 な全 て の部 分 が合 成 され たことにな

る 。

3

の 合 成 は

Cl

C15

部 分 に 相 当 す る ケ ト フ オ ス フ ォ ネ ー

ト (

4

) と

C16

C36

部 分 に 相 当 す る ア ル デ ヒ ド (

5

) に 分

け て合 成し ホ ーナ ー・エ モンズ反応によ り縮合後、マ ク口ラクト

ン 化 を 経 て 完 成 し て い る 。 以 下 に そ の 概 要 を 列 記 す る 。

  1

5

を さ ら に

2

つ の 部 分

C16

C26

エ ス テ ル (

6

) と

C     27

C36

ア ル デ ヒ ド (

7

) に 分 け 、

6

7

を ア ル ド ー

    

ル 縮 合 し た 後 、

E

環 を 形 成 し

5

を 合 成 し て い る 。

7

は 完 全

    

に 立 体 化 学 を 制 御 した ヨ ード エー テ ル化 反 応を 適 用す る こ

    

と に よ り 合 成 し 、

6

と の ア ル ド ー ル も キ レ ー シ ョ ン 制 御 に

(4)

     より単一異性体のみを高収率で得ている。最大の難関であ      る E 環 形成も、種々の閉環反応を検討した結果、 6 一アルコ      キシケトンの還元的縮合反応により高収率、高選択的に達      成された。

  2 ) 5 に含まれる F 環はアセト ニトリル中、三弗 化硼素ーエー      テル 錯 体と TMS −ト リ フラートを用いる C ーグリコ シル化      により生成さ れるが、この試薬 のプ口トンと弗素NMR を精      査 す る こ と に よ り 新 活 性 種 ( 二 弗 化 硼酸 ト リフ ラー ト     BF20Tf ) が生成していることを明らかにした。この活性種      はまだ単離同定には至っていないが、種々の反応に応用が      期待されるものである。

  3 )ア ル デヒ ド 5 は 4 と 縮 合後 、B 、 C 環 に 縮合 した 分 子内 ケ      タールを高収率で形成し、ラクトン化前に分子内ケタール      化を行なう新ルートを開発した。その後セコ酸に変換し、

     ラク トン 化 によ り標 的 化合 物2 の 合成 を達 成 して いる 。

     以上、提出者の成果は、第一に合成的に難易度の高いマク口

ラクトン部3 を随所に高選択的な反応を達成して効率良く完成さ

せ、ハリコンドリン全合成にむけ大きく前進させた。またその過

程で開発された F 環、 E 環、D 環の立体選択的構築方法はポリエー

テル系化合物の合成には共通の汎用性の高い反応であり、その成

果は高く評価できる。従って、当研究は創薬の基礎となる有機合

成化学の発展に大きく貢献するもので、この研究を行なった申請

者 は博 士( 薬 学) の学 位 を受けるに 十分であると認定し た。

参照

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