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北村 拓也
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国語の授業の中で,「登場人物の心情を考える」や「筆 者の言いたいことをまとめる」といった課題ついて,書 けない生徒,発表できない生徒が見られる。また作文を 書く学習で,構成を考える場面や実際に書く場面でも,
行き詰まる生徒が多く,これがきっかけで「書くことは 苦手である」と感じてしまう生徒も少なくない。さらに 学習の中で得た情報を結びつけることが苦手な生徒も多 い。
それらの原因は生徒自身の能力の問題ではなく,思考 の方法や手順を学習する機会が与えられていないからで はないかと感じる。自分の意見を書く場合や話す場合,
あるいは書き手の主張を読み取る場合など,複数の情報 を頭で一度考える(思考する)必要がある。しかし頭の 中だけで考えがまとめられるものではない。情報を整理 し,目に見える形で表現した上で,次のステップに移る ことが重要であり,その力を身に付けられる学習が必要 である。
そこで思考の手段として,シンキング・ツールを用 いるのが有効ではないかと考えた。シンキング・ツー ルを国語の学習の中で取り入れるメリットは,「多くの 情報がある中で,必要な情報だけを取り出し,必要な情報 にだけ注目することができる」点にある。そうすることに よって,より確かな解釈に結びつけることができ,生徒の 読む力の向上にもつながり,さらに論理的に話したり,書 いたりする力の向上につながるのではないかと考える。ま
た,生徒の思考を助ける手段としても有効であり,使い方 を知っておくと,これから活用できる場面が増えてくると 予想される。
研究を通して,どの学習場面にどのようなシンキン グ・ツールが適しているのか,どのような場面で用い ると効果が出てくるのかを明らかにし,生徒の国語力 を高める授業を創造していきたい。
本校では,総合学習として行っている「ビワコタイ ム(BT)」や情報の取り扱いを学ぶ「情報の時間」の 授業の中で数年前からシンキング・ツールを用いてお り,少しずつであるが生徒に浸透し始めている。シン キング・ツールの活用を国語の学習の中で行うことに よって,3つの学習が結びつき,それぞれの学習の意 味が向上する効果も狙いたい。
(2)研究の流れ
研究の流れとして,まずシンキング・ツールについ て,どのようなものがあるか情報収集を行った。その 中で本校の国語の年間指導計画と照らし合わせながら,
授業に使用できそうなシンキング・ツールをピックア ップした。そして国語科の5つの領域のうち,「読むこ と」に的を絞り,学習の中にシンキング・ツールを取 り入れることを視野に入れて授業展開を考えた。具体 的には,文学的文章の学習の中で,登場人物を比較す るために「ベン図」を,冒頭の場面と終焉の場面を比 較するために「Xチャート図」を,文章の内容をまと めるために「マインドマップ」を用いた。また,説明
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本研究は,シンキング・ツールを国語の授業に取り入れることにより,「読む力」や「書く力」
といった「国語力」の向上を図ったものである。
シ※ 1
ンキング・ツールとは,紙に図形が書いてあるだけのものである。しかし,必要な情報だけ を取り出して整理できたり,自分の頭の中にある考え,あるいはその過程を視覚的に表したりで きる,思考を助けてくれるツールである。国※ 2語の授業でもよく使用されるワークシートと違い,
いつでも手軽に使用することができる。
読むにしろ書くにしろ,国語はたくさんの情報の中から必要なものだけを取り出し,それらを 整理したり,まとめたり,という作業を頭の中で行わなければいけない。その過程でシンキング・
ツールの活用は,とても有効である。本研究では,文学的文章と説明的文章の学習において,「ベ ン図」「Xチャート図」「マインドマップ」「ボーン図」を活用した授業づくりに取り組んだ。
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シンキング・ツール,ベン図,X チャート図,マインドマップ,ボーン図,交流,国語力
的文章の学習では,文章の内容を理解するために「ボ ーン図」を,二つの文章を比較するために「ベン図」
を用いた。
授業を行う際には,シンキング・ツールの使い方の説 明を言葉だけでなく,プロジェクターや書画カメラを用 いて,視覚に訴える方法を使いながらわかりやすく提示 できるように工夫をした。また,授業の中で生徒が作っ たものを提示したり,どのようにシンキング・ツールを 使用したのかを全体に交流できるよう,データ化したも のを配布したりと,お互いに共有できる授業になるよう に心がけた。
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『論理的に考える』
~故郷を比較しながら読もう~
(2010年7月 3年)
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「故郷」 魯迅(三省堂3年)
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【国語への興味・関心・態度】
① 登場人物や場面の比較を通して,文学作品に描かれ ているものや作品中における人物,場面の役割につい て考え,作品を味わうことができる。
【読む能力】
② 登場人物や場面に関わる情報を,本文中より,もれ なく見つけることができる。
(読むこと 3年 イ)
③ 見つけた情報を整理し,比較から読み取れることを 踏まえ,登場人物や場面と作品との関わりを考えより 深く読むことができる。
(読むこと 3年 オ)
【書く能力】
④ 同じモチーフも含む作品の比較を通して,それぞれ の特徴をとらえ評価した上で,根拠を踏まえ,批評文 を書くことができる。(書くこと 3年 イ)
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第1次 全文を読み,登場人物や場面に注目し,「わたし と閏土」「回想シーンにおけるわたしと閏土」「わたし と母の閏土への接し方,考え方」「わたしとホンル」「
冒頭部分と結末部分」といった作品の中で比較されてい るものをとらえ,発表する。
第2次 場面の比較として冒頭部と結末部をとりあげ,
各場面で,「わたし」が「見たもの」「聞いたこと」「
肌で感じたこと」「心で感じたこと」をXチャート図に 整理し,比較を通して,そこからから読み取れるものを 発表する。さらに,2つの場面で描かれているもの,場 面の作品中における役割について考え,発表する。
第3次 「大人になったわたしと閏土」「昔の閏土と今の 閏土」「わたしとホンル」「わたしと母」の中から班で 取り組む課題を選び,登場人物に関する比較に必要な情 報を本文中から探し,ベン図に整理をする。
第4次 前時で整理したベン図を全体で交流し,各班で見 つけた情報の必要性について吟味をする。そして比較し た結果から登場人物の設定や心情,変化などわかったこ とを話し合い,発表する。さらに,「故郷」に描かれて いるものについて考え作品に迫る。
第5次 「道」をモチーフにした作品や「故郷」結末部に 出てくる「道」に注目し,内容や表現ついて考え,それ ぞれの特徴をつかむ。
第6次 第5時で扱った作品を比較し,それぞれの作品の 評価をする。そして,「故郷」における「道」の描写に 関する批評文を,根拠を踏まえて書く。
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第1次では全文を読み,登場人物や場面に注目し,「わ たしと閏土」「回想シーンにおけるわたしと閏土」「わたし と母の閏土への接し方,考え方」「わたしとホンル」「冒頭 部分と結末部分」といった作品の中で比較されているもの をとらえ,発表させた。比較されているものとして,
といった意見が出てきた。
第2次では,場面の比較として冒頭部と結末部をとり あげ,各場面で,「わたし」が「見たもの」「聞いたこと」
「肌で感じたこと」「心で感じたこと」をXチャート図に 整理(資料1)し,比較を通して,そこからから読み取 れるものを発表させた。さらに,2つの場面で描かれて いるもの,場面の作品中における役割について考え,発 表させた。
Xチャート図の比較より,「わたし」の故郷に対する心 境の変化や「希望を抱いている」「現実を素直に受け止め て,前向き生きようとしている」といった「わたし」の心 情の変化に気づくことができていた。
・昔の故郷 と 今の故郷
・閏土の望むもの と わたしの望むもの
・昔の閏土 と 今の閏土
・鉛色の空 と 紺碧の空
・私 と 宏児
・閏土 と 水生
・昔の故郷の月 と 今の故郷の月
・夢 と 現実
国 語 科
� 資料� 生徒がまと�た���ー�図
�資料2 �ルー�でまと�たベン図 第3次では,「大人になったわたしと閏土」「昔の閏土と 今の閏土」「わたしとホンル」「わたしと母」の中から班で 取り組む課題を選び,登場人物に関する比較に必要な情報
を本文中から探し,ベン図に整理させた。
(資料2)
第4次では前時で整理したベン図を全体で交流し,各 班で見つけた情報の必要性について吟味をした。そして,
比較した結果から登場人物の設定や心情,変化など,わ かったことを話し合い,発表させた(資料3)。さらに,
「故郷」に描かれているものについて考え,作品のテー マに迫った。
生徒からは,「故郷」に描かれているものとして,
・身分,立場への意識が人間関係を変えてしまうこと。
・身分,立場などの「差」,さらにそれが生み出した もの。
・時間や違いが作り出したそれぞれの壁。
・社会によって作り出された壁。身分社会。
といった意見が出された。
�資料3 ベン図の比較より出て�た意見
第5次では,「わたし」が希望を抱いた理由について考 え,さらに「わたし」が抱いた希望について,マインドマ ップにまとめ,それをもとに文書にまとめさせ,学習を終 えた。
生徒の書いたマインドマップの例を示す。
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『国語を通して世界を広げる』
~テクノロジーについて考える~
(2011年2月 3年)
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「テクノロジーとの付き合い方」 池内 了 「テクノロジーと人間らしさ」 黒崎 政男
(「新編 新しい国語3」東京書籍)
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【国語への興味・関心・態度】
① 文章を通して,テクノロジーに関する自分の世界を より広げることができる。
【読む能力】
② 文章を同じ内容を表している意見ごとにまとめ,文 章の核となる部分を読み取ることができる。
③ 筆者の意見の比較を通して,共通点やそれぞれの主 張を読み取ることができる。
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第1次 ブレインストーミングとKJ法を通して,「テク ノロジー」に関するキーワードとあげ,自分自身の「テ クノロジー」に対する世界観を明らかにする。
第2次 「テクノロジーとの付き合い方」の中から,テク ノロジーに関する筆者の意見をもれなく読み取る。
第3次 前時で読み取った意見を,シンキング・ツール(
ボーン図)に同じ意見ごとにまとめながら,文章の流れ を客観的に把握し,文章の核となる問題提起と結論を読 み取る。
第4次 「テクノロジーと人間らしさ」を読み,ボーン図 に同じ意見ごとにまとめながら,文章の流れを客観的に 把握し,文章の核となる問題提起と結論を読み取る。
第5次 「テクノロジーとの付き合い方」と「テクノロジ ーと人間らしさ」をまとめたボーン図を生かし両者の意 見をベン図にまとめ,比較することを通して,意見の共 通点とそれぞれの主張に迫る。
第6次 第5時でまとめたベン図に,「自分の意見」を加 え,二者の意見を比較することを通して,第1次で抱い た世界観からさらに広がったものをまとめ,発表する。
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第1次では,「テクノロジーに関する世界観を明らかに する」という目標で学習を行った。まず付箋を配布し,そ こに「テクノロジー」という言葉から連想されることをた くさん書かせた。その後,書いた付箋を持ちより,4人グ ループで交流をさせた。そしてKJ法を用いて,同じ内容 ごとにグループ化し,タイトルをつけさせた。「環境」「開 発」「SF」「外国」「ロボット」「最先端」「未来」など,
良いイメージの言葉が多く挙がっていた。
第2次では,「筆者の意見をすべて読みとる」という目 標で学習を行った。池内了氏の「テクノロジーとの付き合 い方」を配り,「筆者のテクノロジーに関する意見にもれ なく線を引く」という課題を与え,黙読をさせた。その後 4人グループで,線を引いた箇所を交流させ,出てきた場 所と人数を新たに配った文章に記入をさせ,提出をさせた。
第3次では,「文章をビジュアル化する」を目標に,ボ ーン図を用いて,前時で線を引いた筆者の意見を同じ内容
国 語 科
ごとにグループ化しながら,問題提起と筆者の主張も踏ま えてまとめさせた(資料4)。最後に4人でどのようにま とめたかを交流させ,班ごとに問題提起と筆者の主張につ いて発表させた。
第4次では,最初に前時のボーン図のまとめとして,3 人の生徒のものと授業者でまとめたものを提示し,内容の 確認を行った。次に黒崎政男氏の「テクノロジーと人間ら しさ」を,読みながらボーン図にまとめさせた(資料5)。 その後4人で交流をし,問題提起と筆者の主張をどのよう にまとめたかを発表させた。
�資料4 第3次で生徒がまとめたボーン図
�資料5 第4次で生徒がまとめたボーン図
第5次では,「両者の意見を比較する」を目標に,これ まで読んだ二者のテクノロジーに対する意見を,ベン図に 整理させ,比較させた。(資料6)
ベン図にまとめる前に,比較して見えてくる共通点が,
「テクノロジーに対する一般的な意見」であること,さら に相違点がお互いのテクノロジーに対する主張であるこ とを確認した。またベン図の整理するときにはボーン図を 見ながら行うように助言をした。その後,4人グループで,
ベン図を交流し,班ごとに共通点と相違点をまとめさせ,
発表させた。
第6次では,前時のまとめとして共通点・相違点を全体 で交流した。出た意見は次のとおりである。
【共通点】
・テクノロジーは人間に影響を与える。
・人間の生活を便利にしてくれる。
・人間と深いかかわりがある。
・付き合い方を考える必要 がある。
【相違点】
池内氏
・身体能力を失わせる。
・得失を考えて使うべきだ。
・自然目線で述べられている。
・人間の知的好奇心によって 展開する。
黒崎氏
・テクノロジーのせいではな い。
・人間は変容するものである という自覚が必要。
・人間目線で述べられている。
・自己展開をしている。
そして,前回まとめたベン 図に「自分」のテクノロジー に対する考え方や意見を,二 者の意見を踏まえながら記入 し,今回の二つの教材を通し て広がったテクノロジーの世 界を附箋にまとめさせ(資料 7),発表させて授業を終えた。
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٤࠴ࡖ࠻࿑ … 情※ 3報を,
五感に分けて整理しながら 記入するツールである。分ける個数によって,「Yチャ ート図」「Xチャート図」「Wチャート図」がある。理科 の実験などに用いられることが多い。自分で整理する内 容を決めることが多いので,文書を整理するのに利用し やすいツールである。
これらを利用させたので,比較がしやすい点が挙げら れる。生徒の感想を見ていても「まとめやすかった」「わ かりやすい」というものが多かった。また,冒頭と終焉 の場面の比較から,「雰囲気が明るくなっている」や「色 が鮮やかになっている」,さらに「希望という言葉が出て きている」といった具体的な言葉が見られ,このことが 主人公の変化と深いかかわりがあることを感じている生 徒も多かった。今回はこの学習でしか使う場面がなかっ たので,これから増やして,生徒自身が慣れていくと,
有効的に活用できると感じた。
�資料6 第5次の���
国 語 科
���� �5���6�でまとめたベン図と「広がった��」をまとめた��
٤ࡑࠗࡦ࠼ࡑ࠶ࡊ ・・・ 本来は,中※ 4心にキーワードを 置き,その言葉からイメージされる言葉をつなげ,発想 を広げていくツールである。今回の学習では,本文中の 内容を理解するために,図式化し,その後文章化させる ための手段として用いた。文章の中から必要な情報だけ を取り出してグループ分けをすることができるため,そ れぞれのつながりを見つけやすいという利点がある。ま た,読みの段階では見落としていたこと(書き手の思い や描写)にも気づくことができていた。また文章化する ときにも,中心から伸びている線をたどっていくことで,
筋道を立ててまとめることができる。さらにグループが それぞれのまとまりを示してくれるので段落も作りやす い。実際に,多くの生徒が与えられた課題に対して,論 理的にとまとめられていた。読む力が不足している,あ るいは書くことが苦手な生徒も不十分ではあるが,普段 よりは深い読みができており,長い文章が書けていた。
課題は,使用の積み重ねができなかったことである。も っと使える場面を増やして手軽に使えるように意識付け ができると,国語の力の向上につながっていくと思う。
٤ࡌࡦ࿑ ・・・ 比※ 5較をするときに,情報を共通点と相 違点に分けて整理するツールである。本研究に中で「登 場人物同士の比較」「同じ人物での比較」「同じ作者が作 った詩の比較」「相対する筆者の意見の比較」といった学 習活動で用いた。生徒の様子を見ていても,必要な情報 だけを取り出せるので,後でまとめさせた時もいろいろ な角度から考えることができていた。ま
たベン図の交流をすることで,自分が読み落としていた 情報にも気づくことができていた。文章の中で比較され ていることが多く,比較を通して読みが深まったり,新 たなことに気がついたりする場面が多くみられ,国語力 の向上に効果的なツールであると感じた。
課題としては,比較する対象の数が多すぎると,あっち もこっちも見なければならなくなり,生徒は大変である。
何を比較させるのか,的を絞ることが大切である。 また,
ベン図は比較した後どうするのかをしっかり考える必要 がある。共通点に注目させるのか,相違点に注目させるの か,授業者が見通しを持たなければならない。
これはあくまでも個人的な見解であるが,今回の研究の 中で,「相対するものは共通点」が,また「同じようなも のは相違点」がポイントになっているように感じた。
٤ࡏࡦ࿑ ・・・ 元々は原※ 6因と結果の関係を明らかに し,因果関係を明確に表すことのできるツールである。
今回はこの図形を応用して,文章をまとめるツールにア レンジした。今回初めて使うこともあり,戸惑っている 生徒が多くみられた。しかし,2回,3回と使うことに より,また仲間との交流や授業者の見本などを示すこと により,少しずつ内容に高まりが見えてきた。意味段落 に分けたり,それにタイトルをつけたりという授業はよ くされているが,今回は段落を飛び越えて,筆者の意見 でグループを作るという点がポイントである。このよう にすると,筆者の意見がより明らかになり,文章の全体 が見えやすくなる。問題提起と筆者の意見の繋がりもわ
かりやすい。実際に私自身,生徒と同じようにボーン図 にまとめることで文章の内容がよく理解できた。さらに,
文学的文章においては,一つひとつの描写に注目するこ とができるため,書き手の思いや意図を感じることがで き,伏線や情景描写などいろいろなことに気がつくこと ができ,感動が深まった。文章全体の振り返りときにも 有効である。またボーン図に書かせることにより,書い てある内容や情報量で,読めている生徒と読めていない 生徒の把握ができるというメリットもある。
課題としては,図をもっと簡略化し,簡単に使えるよ うに改善が必要である。さらに,書けない生徒への支援 の仕方を考える必要がある。これが読む力の向上につな がってくると思う。
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新学習指導要領で「言語活動」が叫ばれているが,こ の「言語活動」にも,一斉・グループ・ペアといったい ろいろな形がある。今回の取り上げた2つの単元では,
ほとんどの時間において,4人グループの交流を行った。
一人で思考することも重要であるが,広がりに限界があ る。4人で交流すると,新しい発見があり,読みも広が り,さらに深まりが生まれる点にある。
しかし,ただ単に行うだけでは広がりも深まりもない。
授業者がしっかりと交流できるように,仕掛けをするこ とが必要である。そこで神戸大学附属住吉中学校が実践 されている「共同学習」に倣い,4人の役割分担をして 取り組ませた。分担・役割は以下の通りである。
・司会者・・・話し合いの司会進行役
・記録者・・・話し合いのまとめ,交流の過程の記録 ・発表者・・・話し合いのまとめや過程を発表
・支援者・・・軌道修正,盛り上げ役,タイムキーパー
また,単に話し合いをさせるのではなく,紙に書かせ るというゴールを設定することも大切である。たとえば,
短冊やホワイトボードに意見を書かかせる,黒板に書か せる,発表させるなどである。短冊は,付箋と同じでど んどん追加をしていくことができ,より思考を深めてい くことができる。班活動中でも,「つまり?」や「それで?」,
「他には?」といった授業者の声かけで,短冊の数が増 えていく。また,黒板にも掲示がしやすい。そして,発 表者が意見を述べるときにも役に立つ。実際に書いた順 番に,自分たちが思考した順番に話していくと,論理的 でわかりやすい発表ができていた。
さらに,交流の場面でシンキング・ツールは欠かせな いものである。頭の中で考えたことをわかりやすく相手 に伝えることは難しい。しかし,シンキング・ツールの ように,目に見えるものがあると,話題の視点を絞るこ とができ,話しやすくなる。また,お互いに見合うこと もできる。そして自分が書けていない情報をその場で書 きこむこともできる。実際に授業の中で,個人では書け ていなかったベン図が,交流を通して,足りなかった情 報を補っていくうちに,埋まっていく様子が見られた。 また話し合いも,単語ではなく具体的に話すことができ るので,活発な雰囲気で進めることができていた。
������������������������ シンキング・ツール研究を通して改めて感じたことは, 3年間を見通した指導計画の必要性である。
「聞く」「話す」「書く」「読む」といった国語の力は積 み重ねが大切である。つまり,基礎的な力を一つずつ身 につけていくことが必要である。そのためには,授業者 が意識的に,授業に織り込んでいかなければならない。 その中でシンキング・ツールは,基礎的な国語力を伸ば すのに有効である。
これからは,国語力とシンキング・ツールの関係を考 えながら,より生徒にとって魅力ある,力となる国語の 授業づくりに取り組んでいきたい。
【参考文献・資料(※の部分)】
『Thinking Tool シンキング・ツール ~思考を促す授業を作る ために~』(関西大学大学院 総合情報学研究科 社会情報学専攻 2007 年 3 月 31 日発行)による。
▲ 授業で使用している分担カード
▲ 授業の様子
かりやすい。実際に私自身,生徒と同じようにボーン図 にまとめることで文章の内容がよく理解できた。さらに,
文学的文章においては,一つひとつの描写に注目するこ とができるため,書き手の思いや意図を感じることがで き,伏線や情景描写などいろいろなことに気がつくこと ができ,感動が深まった。文章全体の振り返りときにも 有効である。またボーン図に書かせることにより,書い てある内容や情報量で,読めている生徒と読めていない 生徒の把握ができるというメリットもある。
課題としては,図をもっと簡略化し,簡単に使えるよ うに改善が必要である。さらに,書けない生徒への支援 の仕方を考える必要がある。これが読む力の向上につな がってくると思う。
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新学習指導要領で「言語活動」が叫ばれているが,こ の「言語活動」にも,一斉・グループ・ペアといったい ろいろな形がある。今回の取り上げた2つの単元では,
ほとんどの時間において,4人グループの交流を行った。
一人で思考することも重要であるが,広がりに限界があ る。4人で交流すると,新しい発見があり,読みも広が り,さらに深まりが生まれる点にある。
しかし,ただ単に行うだけでは広がりも深まりもない。
授業者がしっかりと交流できるように,仕掛けをするこ とが必要である。そこで神戸大学附属住吉中学校が実践 されている「共同学習」に倣い,4人の役割分担をして 取り組ませた。分担・役割は以下の通りである。
・司会者・・・話し合いの司会進行役
・記録者・・・話し合いのまとめ,交流の過程の記録 ・発表者・・・話し合いのまとめや過程を発表
・支援者・・・軌道修正,盛り上げ役,タイムキーパー
また,単に話し合いをさせるのではなく,紙に書かせ るというゴールを設定することも大切である。たとえば,
短冊やホワイトボードに意見を書かかせる,黒板に書か せる,発表させるなどである。短冊は,付箋と同じでど んどん追加をしていくことができ,より思考を深めてい くことができる。班活動中でも,「つまり?」や「それで?」,
「他には?」といった授業者の声かけで,短冊の数が増 えていく。また,黒板にも掲示がしやすい。そして,発 表者が意見を述べるときにも役に立つ。実際に書いた順 番に,自分たちが思考した順番に話していくと,論理的 でわかりやすい発表ができていた。
さらに,交流の場面でシンキング・ツールは欠かせな いものである。頭の中で考えたことをわかりやすく相手 に伝えることは難しい。しかし,シンキング・ツールの ように,目に見えるものがあると,話題の視点を絞るこ とができ,話しやすくなる。また,お互いに見合うこと もできる。そして自分が書けていない情報をその場で書 きこむこともできる。実際に授業の中で,個人では書け ていなかったベン図が,交流を通して,足りなかった情 報を補っていくうちに,埋まっていく様子が見られた。
また話し合いも,単語ではなく具体的に話すことができ るので,活発な雰囲気で進めることができていた。
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シンキング・ツール研究を通して改めて感じたことは,
3年間を見通した指導計画の必要性である。
「聞く」「話す」「書く」「読む」といった国語の力は積 み重ねが大切である。つまり,基礎的な力を一つずつ身 につけていくことが必要である。そのためには,授業者 が意識的に,授業に織り込んでいかなければならない。
その中でシンキング・ツールは,基礎的な国語力を伸ば すのに有効である。
これからは,国語力とシンキング・ツールの関係を考 えながら,より生徒にとって魅力ある,力となる国語の 授業づくりに取り組んでいきたい。
【参考文献・資料(※の部分)】
『Thinking Tool シンキング・ツール ~思考を促す授業を作る ために~』(関西大学大学院 総合情報学研究科 社会情報学専攻 2007 年 3 月 31 日発行)による。
▲ 授業で使用している分担カード
▲ 授業の様子