1 国語
思考ツールを活用し「適切に判断する力」の育成を目指した国語の授業作り
―話合いをモニタリングし,効果的な話合いの仕方を学ぶ授業の実践― 北村 拓也 1.はじめに (1)問題意識とその原因 「言語活動の充実」を意識しながら国語の授業を行う中 で,話合いの場面が増え,その結果,主体的に取り組み, 活発な話合いが行えるようになった。しかしその後の発表 を聞いていると,内容が拡散しており,深まりや収束が見 られないことがある。実際に話合いにおける生徒の様子を 観察していると,自分の意見を伝えることはできるが,そ れぞれの意見をうまくまとめることができず,とりあえず 出た意見を順番に発表する,あるいは,とりあえずくっつ けてまとめる,という様子であった。 その原因として,話合いの中で「意見を合意に導く力」 の欠如が考えられる。具体的には,生徒は話合いの仕方や 集まった意見を整理したり,意見の合意を図ったり,複数 の意見から新たな意見を生み出したりする力が身について いないように感じる。 では,なぜこの能力が欠けているのか。その答えは明白 で,この力を身につけるための授業が行われていないから である。自分自身の授業を振り返ってみると,役割分担は するものの,話合いの流れや話し合う方法は生徒任せにな っていた。そのため方向が定まらず,意見も拡散し,収束 せず,深まりが生まれないのである。国語の授業の中で, 話合いの質を高め,効果的な話合いが行えるように,具体 的に話合いの仕方を学ぶ機会を設けることが必要である。 上記に述べた話合いの能力に関して,本年度行われた全 国・学力学習状況調査の結果報告に,「目的に沿って話合い, 互いの発言を検討することに課題があり,指導の充実が求 められる。」(「平成 年度 授業アイディア例 中学校」 3)とあり,これからの「話し合う力」の課題点として挙 げられている。さらに,平成 年 月,国立教育政策研究 所より出された「社会の変化に対応する資質や能力を育成 する教育課程編成の基本原理」には,「 世紀型能力の中核 に,『一人ひとりが自ら学び判断し自分の考えを持って,他 者と話合い,考えを比較吟味して統合し,よりよい解や新 しい知識を創り出し,さらに次の問いを見つける力』とし ての『思考力』を位置づける。」(3)と明記されている。 話合いで出た意見を整理し,自分と比較し,新たな意見を 生み出す,あるいはよりよい答えを導き出す力が,未来を 生きる生徒に重要な力であることが確認され,その必要性 を感じる。 (2)研究の目的 以上のような問題意識より,本研究の目的を,「意見の合 意を目指して,適切な話合いの流れや意見を整理する方法 を学び,効果的に話合いを行う力を身に付けること」と設 定した。そしてこの目的を達成できるよう,身につけたい 力として次の三点を定めた。 一点目は,「話合いに必要な基本的な力の育成」である。 学習指導要領第1学年における「話すこと・聞くこと」の 指導事項には「話合いの話題や方向をとらえて的確に話し たり,相手の発言を聞いたりして,自分の考えをまとめる 本論の要旨 本研究は,「効果的な話合い」ができる学習集団を目指し,話合いの話題の設定や話合いの仕方,振り返りの 方法を工夫した授業実践のまとめである。授業中での話合い活動に,生徒は主体的に取り組み,活発に行えてい る。しかし,結果の報告や全体発表の場面になると,内容に深まりが感じられない。その原因は,自分の意見を 伝えることに精一杯で,他者の意見を踏まえて自分の考えをまとめたり,新たな意見を生み出したり,という意 見の整理や合意ができていないことが挙げられる。つまり,場に応じた「適切な判断」ができていないというこ とである。話合いをもっと充実させるために,このことを改善しなければならない。そこで,本研究では,自分 と他者との意見のまとめ方を身につける方法と,効果的な話合いの仕方を生徒自身が発見するために,次の点を 工夫した。 ○「意見の合意」を目指し,共通点を意識しながら話合いを進めるために・・・ ・スターチャート(思考ツール)を活用し,話合いの「見える化」を図った。 ・「異なる対象が集まった話合い」を仕掛け,共通点の見つけにくい状況を作り,どのように話し合えばよ いかを考えさせた。 ○「効果的な話合いの仕方」を発見させるために・・・ ・話合いの後,生徒自身にモニタリングをさせ,それを全体で共有し,次の話合いで活かせるようにした。 キーワード 思考ツール,スターチャート,モニタリング,話合いの設定,意見の合意【スターチャート イメージ図】 こと。」と記載されている。さらに「話し合うこと」に関す る指導事項には「『話合いの話題や方向をとらえて的確に』 話すとは,だれと何について話し合うのか,何のために話 し合うのかを理解し,今は何について話し合っているのか をとらえ,それに応じて話すということである。この様な ことは話合いの基本であり,第1学年の段階であらためて 理解させておくことが重要である。」と書かれている。そこ で,まず効果的に話し合う力を育成するために,話合いに 必要な基礎的能力として「話題・方向・対象・目的を意識 して話合いを進められる力」を身につけさせたい。 二点目は,「自分と他者との共通点をとらえながら話し合 う力」の育成である。「意見の合意」を目指すためには,お 互いの意見の共通点と相違点,さらに理由・根拠の共通点・ 相違点を分析し,共通点で整理しながら,話し合うことが 大切である。そこで本単元では,共通点を意識しながら話 し合う方法と分析する力を身につけたい。 三点目は,「実際の生活の中で活かせる効果的に話し合え る力」の育成である。生徒はこれからの社会生活の中で, 多くの話合いの機会があることが予想される。本研究での 学習が今回限りで終わることのないように,これからの生 活の中で活用できる「生きて働く力」ものにしたい。その ために,効果的に話し合うポイントを,教師から伝えるの ではなく,生徒が発見することできるように工夫した。 (3)研究における工夫点 上記の目的を達成できるように,本研究で取り入れた工 夫点は,次の3点である。 一つ目は,「意見の合意」を目指し,共通点を意識しなが ら話合いを進めることができるよう,思考ツールを活用し たことである。思考ツールのメリットの中で,「思考過程の 見える化ができること」と「思考の流れをツールが示して くれること」の二点が話合いの中で活かすことができるの ではないかと考えた。 本研究で使用した思考ツールは,スターチャートである。 このツールは,授業者が独自に開発したもので,複数の情 報から共通 点を見いだ し,意見を まとめるた めのツール である。こ れを話合い の場面で活 用できるの ではないか と考えた。 先でも述べたように,思考ツールを使うことで,意見や 理由を出し合いながら,意見の合意を目指す話合いの過程 の「見える化」を期待した。また,星の中央が出た意見を まとめるという話合いのゴールを教えてくれるので,話合 いのゴールが明確になり,話合いの方向性を決めるのに役 立つと考えた。 工夫点の二つ目は,同じく「意見の合意」を目指し,共 通点を意識しながら話合いを進めるために,三通りの話合 いの場面を設定したことである。 このような3つの画面を設定した目的は,それぞれのパ ターンで,どのように話し合うのが適切か,を考えさせた かったからである。特に「同じ目的を持つ者が集まる話合 い」だけでなく,「異なる目的を持つ者が集まる話合い」を 仕掛けることで,あえて共通点を見つけにくい状況を作り 出し,どの様に話し合えば効果的かを分析させたい。この ような「異なる目的,異なる価値観を持つ者で話し合う場 面」は,社会生活の中で多くあり,経験させる中で,どの 様に話し合っていくかを考えさせることが大切である。 三つ目の工夫点は,生徒が行った話合いから「効果的な 話合いの仕方」を発見しできるよう,生徒自身にモニタリ ングさせたことである。具体的には,話合いの後,生徒自 身がプラス面(考えがまとまった理由・話合いがうまくい った理由)とマイナス面(まとまらなかった理由・うまく いかなかった理由)の視点でモニタリングを行い,どうす れば話合いがうまくいき,意見の合意ができるのかを考え させ,次の話合いに活かせるようにした。このように,効 果的に話し合うためのポイントを自らが発見し,認知する ことで,学びの成果が,実生活に生きて働く力に変わるこ とを期待した。また分析結果を整理する思考ツールとして, マトリックスを使った。マトリックスに書かせることで, 効果的に話し合うポイントが見える化され,共通点が見つ けやすくなるという効果を意図した。 (4) 本校研究主題との関わり ①学習課題設定の工夫 学習者に関わるもの判断の場面 ・5人から出た判断材料から,共通点を見いだし,基準 や目的を意識し,根拠を明確にして,適切な意見を判断 させる。 国語科教材に関わるもの課題 ・話合いに必要な,「話し合う目的」や「対象」を具体的 に設定する。 ・言語活動の振り返りを通して,本時の目標に迫らせる。 ・話合いの中で,「今何を行っているのか」「次はどうす
*少人数(5人)での話合い
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・同じ課題に取り組むものが集まった話合い㻌 㻌 ・異なる課題に取り組むものが集まった話合い㻌*大人数で行う話合い
㻌
・クラスみんなで行う話合い㻌国
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るのか」「その意図は何なのか」を説明させ,論理的な話 合いに取り組ませる。 指導方法に関わるものゆさぶりの場面 ・異なる目的を持つものが集まる話合いを仕掛けること で,前回の話合いとは違う判断基準を加え,そこからど の様に考えをまとめたら良いかを判断させる。 ②思考ツール等の活用思考ツール・,&7 の活用 ・スターチャートと付箋を活用し,具体的に操作させな がら,思考・判断をさせる。 ・単元での学習の成果を導き出しやすいように,マトリ ックスに毎時間の話合いの振り返りを記入させる。 ・実物投影機で,班でつくった思考ツールをスクリーン に投影し,発表をする。 ・学習の目標や流れ,課題をスクリーンで提示する。 2.実践事例報告 (1)単元名:『滋大附中MVPを決めよう』 ~課題に沿って効果的に話し合おう~ (2)領域: 話すこと・聞くこと (3)対象学年: 第一学年 (4)単元の目標: ・意見の合意に向け,目的や話題,対象を意識しながら積極的 に参加をし,効果的に話し合おうとしている。 【興味・関心・態度】 ・仲間の意見を,自分との共通点を探し,整理しながら聞く ことができる。 【話す・聞く能力 エ】 ・話合いの話題や方向,目的をとらえて的確に話したり,相 手の発言を聞いたりして,考えをまとめることができる。【 話す・聞く能力 オ】 ・話合いをする上で,時と場に応じた音声について関心を持 ち,発言をすることができる。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 イ(ア)】 (5)単元学習計画(全4時間) 第1時:同じ目的を持つ仲間で話合い,話合いの仕方や 考えのまとめ方のポイントを分析する。 第2時:異なる目的を持つ仲間で話合い,話合いの仕方や 考えのまとめ方のポイントを分析する。 第3時:クラス全員で「滋大附中MVP」を話し合う。 第4時:これまでの学習を振り返り,よりよい話合いの 進め方や意見のまとめ方について考える。 (6)評価基準 【国語への関心・意欲・態度】 ・効果的に話合いを進める方法を考えながら,積極的に参加し ようとしている。 【話す・聞く能力】 ・人の意見を聞いて,自分との共通点を見つけている。(エ) ・話合いを振り返り,効果的に話し合うための方法をとらえ ながら,考えをまとめている。(オ) 【言語についての知識・理解・技能】 ・5人グループや40人で話し合うときの違いを意識し,そ れに応じた声の大きさで発言している。(イア) (7)授業の様子 単元の導入として,本単元を通して身につけたい力や単元 のゴール,さらに学習計画を説明し,学習への見通しを持た せた。また,意欲を持って話合いに取り組めるように,生徒 にとって身近なことを題材に,以下のような仮の場を設定し た。 第一時は,「同じ対象で話合い,効果的な話合いのポイン トを分析しよう」を学習テーマに取り組んだ。最初にどの対 象(「小学年生」「保護者」「地域の方々」)を担当するの かを授業者から提示をした。それから,個人で,スターチャ ートを使って,対象に適したMVPを考えさせた。さらに, 同じ対象で5人グループを作り10分間の話合いを行った。 その際,拡大したスターチャートをグループに1枚配り,話 合いに用いた。 その後,話合いの振り返りを行った。話合いが「うまく進 んだ理由,考えがまとまった理由」のプラス面と,「うまく 進まなかった理由,考えがまとまらなかった理由」のマイナ ス面の両面から分析させマトリックスに記録をさせた。さら に,話合いの感想を書かせた。感想として, 【設定した話合いの目的】 【第一時で使用したスターチャート】 話合いの中で 出てきた意見 話合いの目的 合意した意見 ・話合いが意外とスムーズに行って良かった。 ・同じ意見どうしで集まったので,話しやすかった。
などが挙がり,多くの生徒が満足をして話合いを終えた様子 であった。しかし中には,同じ対象での話合いにもかかわら ずうまく進まず,それに対する疑問を持ったグループもあっ た。 第二時の学習テーマは,「異なる対象で話合い,効果的な 話合いのポイントを分析しよう!」である。最初に,前時の 話合いの分析を発表させた。 次に「異なる対象が集まった話合い」に取り組ませた。最 初は,前時の話合いをもとに,各自がふさわしいと考えるM VPを出し合い,話合いは盛り上がったが,その後,共通点 を見つけることができず,どのように進めたらよいかわから ず,困っているグループが多く見られた。いくつか意見がま とまったグループもあったが,確認してみると, ○「6年生」「保護者」「地域の人々」の三者に対して, という目的を達成せずまとめているグループ ○意見が拡散したまま強引にまとめているグループ という,予想通りの問題点が見られた。 そこで,話合いへの支援として,以下のことを行った。 支援をするにつれて,適切に意見をまとめられるグループ が出てくるようになった。話合いのモデルとして,意見の合 意に達したグループを2つ選び,「決定したMVP」と「決 めた理由」,「話合いの流れの説明」を発表させた。 話合いの後,振り返りをマトリックスに記入させ,異なる 考えを持った者が集まったとき,どの様に話し合えば効果的 なのか,意見の合意が図れるかを考えさせた。 ≪同じ対象での話合い 分析結果≫ 【うまく進んだ・うまくまとまった理由】 〇みんなが付箋に自分の意見をしっかりと書いていた から。㻌 〇順番を決めて,発言していったから。㻌 〇相手の意見を尊重することができたから。㻌 〇保護者の立場になって考えたから。㻌 〇似た意見を集めた。㻌 〇自分の意見と他人の意見を比べ,長所・短所を出し 合い,よりよいMVPを見つけることができた。 【うまく進まなかった・うまくまとまらなかった理由】 ×同じ意見ばかり出過ぎて,意見が広がらなかった。 ×逆に,たくさん出てきて,どうすればよいか困った。 ×同じ対象でも,お互いの価値観が違って,うまくま とまらなかった。 あいさつをしたり,マナーが良く,BTなどの特別 な授業があり,将来のことを考えるきっかけがあった り,地域の人との関わりがある。
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附属にしかない大学訪問やBTなどがあり,クーラー 等の設備が整っているため,授業中も静かです。給食も 現地で作っているため,温かいものが食べられます。㻌 【代表で発表したグループの内容】 ≪異なる対象での話合い 分析結果≫ 【うまく進んだ・うまくまとまった理由】 〇3つの対象の共通点を挙げた。 〇グルーピングをして,共通点を挙げた。 〇共通している何かに沿って話し合う。 〇最初から共通する話題を出す。 〇それぞれのMVP が,3つの対象にとって興味のある ものを基準に考えた。 〇理由を聞くと納得しながら話合いを進めた。 【うまく進まなかった・うまくまとまらなかった理由】 ×異なる意見ばかりで,共通点が見つからなかった。㻌 ×出た意見をくっつけて,強引にまとめすぎた。㻌 ×話合いが進まなかったので,話題と関係の無い話をし てしまった。㻌 ・保護者対象だったので,最初に「自分が保護者ならど んな学校に入れたいか?」を話合いました。その結果, 「環境が良い学校」に決まり,それに沿ってMVPをま とめたので,話合いがうまく進みました。 ・みんなの意見を無視せず,共通点を探してまとめるこ とができました。 ・「今どんな活動を行っているのか」→「次はどのよう に進めるのか」→「その意図は何なのか」を説明させ, 論理的に進められるようにする。 ・話合いが停滞している班には,「どこまで進んだのか 」「今話し合っていることは何か」を確認し,これから の展開について考えさせ,キーワードを出すことや,共 通点に注目して整理していくこと,決定する基準を決め ることなどのアドバイスを与える。 ・話合いが進んだ頃に,まとまった意見や出た判断材料 が本当に「三者に対して」という目的に沿っているのか をもう一度分析することを促す声掛けをする。㻌
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第三時は,「クラス全員で『滋大附中MVP』を話し合お う!」を学習テーマに設定した。これまでは小集団での話合 いであったが,学級会や大人数での会議をイメージし,クラ ス40人で話し合うときのポイントを考える時間である。最 初に,これまでの学習を踏まえて,「40人で話し合うとき ,どのように話し合えば,意見が合意するか?」という課題 を与え,話合いの流れを考えさせた。 そして,決定した流れに沿って20分間話合いに取り組ま せた。授業の最後には「クラスでの話合い」を振り返って, うまくいったこと・うまくいかなかったことを分析させた。 第四時は,「よりよい話合いの進め方や意見のまとめ方に ついて考えよう!」を学習テーマに行い,これまでの学びの 成果を整理し,効果的な話合いについて考えるまとめの時間 とした。まず毎時間記録してきたマトリックスを元に,話合 いでうまく進まなかった場面・うまくまとまらなかった場面 」の改善策を考えさせた。 最後に,振り返りシートを書かせた。「話合いをうまく進 めるポイントは?」や「考えをうまくまとめるポイントは? 」,「本単元を通して身についた力」を振り返らせ,学びの 成果を整理させ,学習を終えた。 3.おわりに (1)研究の成果 まず,スターチャートについての成果を述べる。スターチ ャートを使った生徒の感想は, と,よい評価が多かった。 授業の様子からも,予想通り,共通点を意識しながら話合 いを進めることに役立っていると感じた。最初は様々な意見 が出て,どの様に進めればよいか戸惑っている様子も見られ 㻌 【第二時で生徒が記入した振り返りマトリックス】 【第三時で決定した話合いの流れ】 ①司会を決める。 ②MVPを決定する判断の基準を決める。 ・附属中学校にしかないもの ・3つの対象が興味を持つもの ③自分の意見と理由を考える ④みんなの意見を出す。 ⑤質疑応答をする。 ⑥意見・理由の両面で共通点を出し,グルーピングを する。 ⑦MVPを決定する。 【第四時で出た改善策】 *たくさん出過ぎて,どうすればいいか困ったとき㻌 →話合いの目的・共通する基準を決め,それに沿って 話し合う!㻌 →共通する意見でグルーピングをする。㻌 *価値観が違って,うまくまとまらないとき㻌 *自分の意見にこだわってしまうとき㻌 *異なる意見ばかりで,共通点が見つからないとき㻌 㻌 㻌 →理由を聞いて,理由の共通点を見つける。㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 【第四時で生徒が記入した振り返りシート】 ×自分の意見にこだわりすぎてしまった。㻌 ×話合いの流れが決まらず,ぐだぐだと進んでしまった。㻌 ・頭の中だけで考えると,まとめることがとても難し かったり,共通点,相違点を分類することが困難です が,スターチャートを使うことで,図として表され, 簡単にまとめることができました。 ・スターチャートは,物事をグループ分けするのにも 使いやすくて,共通点を見つけ出すのも,楽にできた と思う。付箋を使うことによって,何度もグループを 行き来できて,最後にはすっきりした考えが生まれて いた。 ・スターチャートを使うことで,お互いの意見を比べ ることができ,ずれている意見にも気がつくことがで きた。 ・スターチャートで意見を分けて,全体で見たり,一 部を見ていったりしやすく,まとめやすいと思いまし た。
たが,徐々にグルーピングを始め,共通点で整理しながら, 意見をまとめることができていた。音声で流れていってしま う「話合い」の場面で,具体的に操作しながら話し合うこと ,また,ゴールを意識して話し合うことは重要なことであり ,この点でスターチャートは有効であると考えられる。 しかし,意見が5つ以上出なかったグループには,使いに くかったようである。星形では無く,円形で行うと,数にと らわれることなく,進めることができるであろう。 次に,「同じ対象者での話合い」と「異なる対象者での話 合い」を設定した成果を述べる。「同じ対象者での話合い」 では,話合いで意見の合意を図るには「共通する意見でグル ーピングする」ことが必要であることを学ぶことができた。 また「異なる対象者での話合い」では,意見という目に見え るものではなく,理由・根拠の共通点に注目することの必要 性に気が付くことができた。さらに,意見の合意には,あら かじめ合意するための基準を決めておくことが重要であるこ とも発見することができた。「異なる対象者での話合い」を 設定したことで,一段深い効果的な話合いを学習することが できた。 最後に,自らの話合いをモニタリングさせたことの成果で ある。話合いの後に記録させた「振り返りマトリックス」を 見ると,本単元で意図した学びに対する言葉が多く見られた 。 また,毎時間記録している「今日の学習を通しての学びの 成果」や本単元の振り返りシートにも「効果的な話合い」に ついて学んだ跡が見られた。 本単元で目標とした「効果的に話し合う力」は,知識では なく,スキルに関わる領域である。スキルは,体験の中から 学び,自覚することで身につくものである。この点で,自ら の話合いをモニタリングすることは,大きな成果が得られる と感じる。 (2)これからの展望 「話合いは水物である」とよく言われる。グループでの話 合いを把握することや,話合いのポイントを具体的に学ばせ ることは難しい。そのため,課題を感じながらも,なかなか 手を入れることができていなかった。 今回,初めて「話し合う」ことに関する研究に取り組む中 で,生徒同様,授業者にもいくつかの学びがあった。特に感 じたことは,「話し合う」ために必要な力を,もっと明確に することの必要性である。「そのように話し合えば合意が得 られるのか?」「どのようなことを意識すれば,ゴールにた どり着くことができるのか?」をもっと具体的に,能力とし て身につけることが大切である。そして,それを実際の生活 の中で活かせるように,国語の授業の中で,発達段階に応じ た単元を考えていくことが重要である。 【話合いの基礎的能力につながる分析】 ・みんなが自分の意見をしっかりと持って話し合う。 ・順番を決めて,発言する。 ・相手の意見を尊重する。 ・話合いの流れを決めないと,ぐだぐだと進んでしまう。 ・話題と関係の無い話をするとうまく進まない。 ・自分の意見にこだわってしまうと進まない。 【共通点につながる分析】 ・似た意見を集める。 ・グルーピングをして,共通点を挙げる ・異なる意見ばかりだと,共通点が見つからない。 ・理由を聞くと納得できた。 ・意見を比べ,長所・短所を出し合う。 【合意を図るため,話合いの基準に関する分析】 ・対象者の立場になって考える。 ・対象の共通点を挙げる。 ・共通する基準に沿って話し合う。 ・意見がたくさん出すぎるとまとまらなくなる。 ・最初から共通する話題を出す。 ・対象にとって興味のあるものを基準にする。 ・価値観が違うとうまくまとまらない。 《ある生徒の「今日の学習を振り返って」のメモ》 【第1時】同じ目的を持つ者で話し合ったがうまくまと まらなかった。その理由を考えると,話合いのポイント が見えてきた。 【第2時】意見を仲間分けして,判断基準をそろえて話 合いをするとスムーズに意見がまとまった。 【第3時】全体での話合いを行った。最初に話合いの流 れを検討した。話合いには,きちんとした流れがあるこ ともポイントだと思った。 【第4時】話合いのポイントをまとめた。話合いでは, 基準や流れに沿って,理由も踏まえて共通点を見つける ことが大切だと感じた。 《「本単元の学習を振り返って」より》 「話合いをうまく進めるポイントは?」 ・相手の理由をしっかり聞くこと。 ・全員が話合いの流れや方向性を意識して取り組む。 「考えをまとめるポイントは?」 ・基準に沿って話し合う ・共通点を考える ・グルーピングする ・相手の立場になって考える 「身についた力」 ・みんなと話し合う力→これまでどうすればうまく話し 合えるかわからなくて,何となく話合いをしていました 。しかしこれからは,まず自分の意見を出し,共通点を 見つけるなど,順序を考えて話し合うと良いことがわか りました。