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金属工学教室小林俊雄   ノノ   中  尾  善  信

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九州工業大学研究報告(工学)No,441982年3月       73

Ni5Sb2−NiSb共晶系合金の過冷凝固

(昭和56年10月30日 原稿受付)

金属工学教室小林俊雄

   ノノ   中  尾  善  信

Undercooling in Ni5Sb2−NiSb Eutectic System Alloys

by Toshio KOBAYASHI

   Yoshirlobu NAKAO

Abstract

   St頑es◎垣愉rco◎1垣g oξe碇ectic melts to d砿e have been very ll翻ted. In order靴◎kn◎w the relationship between undercooling and structure the 301idification of Ni5SbガNiSb alloys undercoded at various degree, by the use oΩhe glass slag technique, was桓vestigated。 The system is chosen in which the eutectic point is a central position of diagram the two constituent phases are present in more or less equal proportions by volume and possess similar melting po垣ts・ Theτes司ts were c◎ml)aぎed with the exρerimental data foτ Ni−Sn a薮oys I)玄eviot1§1y reported。

  The samples of undercooled理tectic alloy show a mixed normal and irregular eutectic structure wi伍frac鍼on of irregular eutectic struc加re increaslng with increasing undercooling.

The regiorls of irregular eutectic consist of a juxtaposition of the two phases granulated re・

spec白ely. Fo戯her, a四xami顕i◎曲as been made of the sぬc知res ohndαcooled M,Sb、−

NiSb alloys of eutectic and near−eutectic composition. The results irldicate that there is a certain range of composition within which a apparent印tectic structure(quasi−eutectic struc.

白re)can form fr◎m a u叙iαc◎◎led melt. The quasi−e磁ecぴc region is()f type B, design批ed by Kofler.

      1070ZCと既報の共晶系合金のそれに近く.温度的条件の  1.緒  言

      差異も少ない。従って,容積比が過冷による組職変化に  共晶合金の凝固では,過冷却と温度回復がある時,過  いかに影響するかを検討するのに都合がよく,また過冷 冷却がない時の凝固組織とは異なる組織となることが明    による過飽和度は両相とも等しく,核生成に対する挙動

らかになった;)既報の共晶合金では共晶組織はいずれも   を調べるにも都合がよい。

連続共晶から粒状共晶に変化したが,この場合粒状に変

るのは繍中の容齢少ない,醜温度暗崎の相で 2・酬およ蹟験方法

ある6),2)共晶中の両相の容積に著しい差がある時,容積    実験に用いた高純度NiおよびSbは前報のものと同

の少ない方の相が粒状となる不連続共晶となり易いこと   じである§)Ni−Sb系合金の状態図を図一1に示す:きこれでは

が知られている;)既報の共晶系合金では,いずれの合金   Ni5Sb2−NiSbの共晶点は55wt%Sbであるが,配合によ

系も共晶点はどちらかの相の側に片寄り・液相線はいわ   るこの組成の合金は冷却曲線に初晶の折点が現われ,顕

ゆる非対称型である6) 4) 5)しかるに,Ni5Sb2−NiSb共晶   微鏡組織にも初晶NiSbが認められた。実験にはNi一

系合金では両相の溶融温度はそれぞれ1162℃,1153℃と   54M%Sb合金を共晶合金として用いたが,これもやや

ほぼ等しく・共晶中の容積比も1に近いため一方の相だ   過共晶のように思われた。過冷を得るためには既報と同

けが粒状化し易いことにはならない。また共晶温度も  様にガラス・スラグ法を用い,試料重量は約309とした。

(2)

9

1600

1400

 1200

 looo

800

145ずC       の     ⑦

     1162◇C       口53°C 1097℃      。

1200

llOO

9

遡1000

 900

      800

10203{}4050607(}   

     Sb、 wt%       時 間, rnin

図一1 Ni・Sb平衡状態図       図一2 種々の過冷度を示すNi・54wt%Sb       共晶合金の冷却曲線

       185degCであった。過冷度が増すに従って凝固時間は減

3・実験結果および考察     少し品蜘徹の共晶停点温齢低下するなど既報の

 3.1.共晶合金について      合金と同様の挙動を示す。

 炉冷で種々の過冷度が得られたNi−54wt%Sb共晶合    図一2に示した試料の顕微鏡組織を写真一1に示す。過冷 金試料の冷却曲線を図一2に示す。得られた最大過冷度は   度が3degCの試料は一応連続共晶組織といえる。しか

      ×150×%

写真一1 種々の過冷度で凝固したNi−54wt%共晶合金のミクロ組織

     a)47』3degC,中央部, b)47 −3degC,外周部, c)47 −13degC, d)∠7「−41degC,

     e)47「−70degC,外周部, f)∠7「−70degC,中央部, g)47「−122degC, h)47』185degC,

     i)連続共晶と塊状共晶の境界

(3)

し規則正しい組織とはならず,コロニー状に晶出したバ    3.2.共晶合金の過冷凝固過程

ラ状の粗い組織と,その外周部の不規則な細かい連続共    過冷がない時には連続共晶として凝固する溶湯も,過 晶組織が共存している。溶融ガラス中で凝固させても,   冷を伴った凝固ではその組織は変化している。この変化 試料は外周部より凝固するので,この部分では組織は幾    は共晶中の両相の容積比が影響するように見える。こ㌔

分方向性を示し,熱流に平行に層状組織も観察される。   では過冷凝固後も連続共晶組織が一部周囲に残る37 共晶中の両相の容積は状態図から推測できるようにほぼ   degC過冷した炉冷凝固試料について,図一3に示す冷却 等しいことがわかる。       曲線の所要の時期に試料をタンマン管ごとに水申に急冷  13degC過冷した試料では,過冷凝固したと思われる部    して,その凝固過程を調べた。凝固完了には2分24秒を 分は粗く凝固しており,この傾向は既報の共晶合金とす   要する。

べて同じである。電解腐食により褐色に着色したNi,Sb、

と腐食されないNiSbは塊状または長形に凝固してお       1200 り,既報の合金の如く過冷凝固により塊状化の傾向はあ

るが,一方の相だけが粒状化することはない。これは共晶     gl100 中の両相の核生成挙動とともに,容積が組織変化に影響が      ㎡       10⑪0 あることを示している。温度回復後の凝固組織は,過冷が      蛆 ない時に見られたような不規則な細かい共晶組織とな       g纐 る。過冷度が増すに従ってこの粗い塊状または長形の組

  … w  一]

㌔一一一一一一____

一一_

黶Q____一___⊥  一

織は増加す猟試料嫡部で賑形が多く,中螂で  (−2晶㌧,、∵67

は塊状が多い。70degC過冷した試料でこれを写真で示

       図一3 過冷凝固試料の冷却曲線と水冷時期 した。写真一1・eは試料外周部であるため両相は長形化

した,方向性を示す組織となるが連続共晶は存在しない。

しかし内側に入ると両相はそれぞれ塊状化して存在し,ま    これらの凝固組織を写真一2に示す。37degC過冷して た細かい連続共晶もかなり観察される。122degC過冷し   凝固を開始し,凝固潜熱のため温度上昇したが完全に共 た試料でもその組織の態様は70degC過冷試料と同じで   晶停点に達しない3秒後に水冷した試料では,それまで あるが,粒径は小さく,これらを取りまく連続共晶の量   に凝固した部分と未凝固の溶湯部分との識別は可能であ は減少している。最大過冷度185degCを示した試料で   る。未だ溶湯であった部分は水冷により細かい連続共晶 は,中央部であっても凝固速度が速く,外周部と同様に方   となリコロニーを形成し,過冷がない炉冷の場合に見ら 向性のある組織を呈し,長形のものも観察される。連続   れた不規則な組織は少ない。既に凝固していた部分は過 共晶組織も極く僅かであるがこの過冷度でも観察される   冷凝固の初期は成長速度も速いが,凝固潜熱の発生により ので,既報の共晶合金にくらべて過冷却による共晶の粒   断熱凝固となり,凝固条件が異なるためか組織は同一で 状化は起こり難いように見える。      はなく粗い。既凝固集団は長く成長しているものが多く,

 凝固組織の観察によると,過冷度が50degC位までは凝   その中央部には長手方向に伸びたNi、Sb2がNiSbと層 固は試料外周部での核生成が多いが,中央部でも溶湯中   をなしているのがしばしば観察される。長手方向の先端 に自由な核生成があり,一応平均して凝固が進行してい   は苅Sbで,丸味を帯びて成長している場合が多い。幅方 る。しかし過冷度が70degC以上になると凝固は試料外   向の成長は割合平担で, Ni5Sb,とNiSbが交互に並んで 周部から始まり,中央部に進むようになる。特に刊〜1閲   成長している。組織写真ではNiSbが単独に存在する場 degCの過冷度では,試料中央部に写真一1・iに示すよ   合も多く見られ, Ni−54wt%Sb合金が幾分過共晶組成で

うに,明瞭に区別される細かい連続共晶組織だけの領域が   はないかと思わせる。凝固集団は試料外周部に多く,凝 存在することが多い。この領域は過冷度が増すに従って   固は溶融ガラスとの界面から始まったことを示してい 減少する。そしてこの領域にはしばしば初晶が観察され,   る。

時には両初晶が独立して同時に見出されることがある。    凝固開始後11秒では,試料は約4degCの過冷はあるが

      共晶停点に温度回復して凝固を続けている。凝固は試料

(4)

a)3秒 b)11秒 c)65秒 d)92秒 e)炉冷凝固

写真一237degC過冷したNi・54wt%Sb共晶合金の時間経過による組織変化

内部におよぶようになり,水冷時に生じた連続共晶組織    開始後直ちに水冷して得た組織を示す。写真一3・aには も幾分粗くなり,共晶コロニーの径も大きくなる。既凝   褐色で球状のNi5Sb、と白色で球状のNiSbが溶湯中に 固組織も成長し大きくなっている。凝固開始後65秒経た   独立して存在し,同時に水冷時までに過冷凝固した塊状 試料は凝固のほぼ中期にある。既凝固部はさらに大きく   の集団が観察される。試料の切断場所によりNi5Sb2と 成長しているが,その成長形態は前者と変らない。92秒   NiSbが独立して存在するように見えることも考えられ 経た試料では両相はさらに成長するが,その形はやや角   るが,塊状集団を伴わず両相が独立して存在する場合も 張り,不規則となる。急冷によって生じたと思われる連続   多く,NiSbのみの晶出を見ることもある。これは前述の 共晶も粗く,過冷の効果はかなり減少している。炉冷凝   通り,この組成が幾分過共晶側にあるためかも知れない。

固組織では両相は大きく形も不規則で,連続共晶組織も    しかし,共晶温度以下への過冷により両相の過飽和度は 粗く,少ない。       増加することになるが,液相線の勾配がほぼ等しい本合  以上の結果は,過冷による凝固組織はその中心部に層   金系の場合は,両相の過冷による過飽和度は等しくなるの 状の傾向を残すが,両相は塊状に交互に晶出し,co−oper・   で,両相は同等に晶出してよい筈である。一方,共晶組 ativeな成長をしており,その界面は比較的滑らかなこ   成の溶湯から一相が晶出すれば,その周囲の溶湯は他相の とを示している。しかし,その前面では互に溶質濃度が   成分で富化されるので他相が晶出し易く,この時には 増加するため,ハローの形成を伴い他相を晶出するように   coupled nucleationとなり,これをくり返すことにな 見える。過冷凝固した組織は過冷がない凝固組織より粗    る。これを写真一3・bに示す。また,両相の接触部は溶

く,塊状である。これは溶湯が核生成し難いことから,    湯中に突出成長し,共晶成長の初期状態を示す状況を写 共晶停点に温度回復した溶湯でも新たな共晶の核生成よ   真一3・cが示す。半球状に成長した各相の外周部にはそ りも既晶出相の成長によって凝固が進むので,組織は大   れそれ他相のハローが形成され,引続くcoupled nucle・

きな塊状または長形になると考えられる。         ationが起こっているのが写真一3・dからわかる。しか  過冷した溶湯からの核生成の状況は明らかではない。    し,温度回復を伴う成長中にはこのハローの形成は各相 特に過冷度が大きい時には核生成速度,成長速度が大き   がかなり大きく成長するまで生ずることがなく,これが いため,水冷によっても引続き成長が進み,凝固の初期段    凝固組織を粗くしている。

階を観察することは困難であった。むしろ過冷度が比較    過冷度による凝固初期の状態の差異を調べるために,

的小さい時の水冷試料においてのみ,核生成と成長初期   種々の過冷度で凝固を開始し,最高に温度回復した時試料

の観察が可能であった。写真一3は37degC過冷して,凝固   をタンマン管ごと水中に急冷してその組織を調べた。試

(5)

料が309であるため,核生成時に水冷 しても凝固潜熱に   て数多く存在する。しかし球状のNiSbが散見され,

よる試料の温度上昇は阻止できず,成長を伴っている。   NiSbが最初に晶出するように見える。試料の外周部で 得られた組織を写真一4に示す。      は凝固はより進んでおり,写真一4・cに示すように両相  18degC過冷した試料では過冷度が小さいので,この   は角張った,やや長形の複雑な組織で凝固を完了してい 時期までに晶出している領域は僅かである。球状に晶出   る。これは温度勾配の大きい試料外周部で両相が並んで

したNiSbは初晶のように見えるものが多く,これを薄   成長するためである。過冷度が増すに従って核生成速度,

いNi・Sb・のハローが取り囲む部分も観察され,連続共   凝固速度は大きくなり試料中央部まで過冷の効果がおよ 晶組織は粗い。37degC過冷した試料については既に写    び過冷凝固組織は細かく,多くなる。共晶中の両相は過 真一2・aに示した。78degC過冷した試料では,中心部で   冷度の増加に従って角張り,連なるようになる。過冷度 も,写真一2・bに示すように共晶は粗い塊状の集団とし   が141degCでも急冷により微細な連続共晶は存在する

写真一3 37degC過冷試料の核生成と成長初期

×150×%

×150×%

a) ∠τ=18degC b)47「−78degC,中央部

c) ∠7「=78degC, タト周音β d) ∠17 =141degC e) ∠17 −170degC

写真一4 種々の過冷度で温度回復直後に水冷された試料の凝固組織

(6)

が,170degC過冷した試料では写真一4・eに示すよう   固組織に大きく影響することを示している。

に試料中央部まで外周部と同じような組織となり,連続      1200 共晶となる溶湯は存在しない。

 3.3.亜共晶合金の過冷凝固      110⑪  Ni−52wt%Sb亜共晶合金の,炉冷により種々の過冷度    1⊃

を示す試料の冷却曲線を図一4に示す.得られ撮大過冷 、亟1°°°

度は193degC (共晶温度以下163degC)である。      廻       900  これらの試料の凝固組織を写真一5に示す。過冷がない

場合には,初晶Ni・Sb・の二次枝は割合長く成長してお      800

り,このデンドライトから共晶が連続して頗している.  °12;間㌦ll 678

連続していなくてもデンドライト表面は突起があり・連     図_4 種々の過冷度を示すNi.52wt%Sb 続していたことを示している。過冷却を生ずると初晶は      亜共晶合金の冷却曲線

デンドライトを示さなくなり,主幹から二次枝が分離し,    3.4.過共晶合金の過冷凝固

棒状と粒状の形態となる・82degC過冷した試料はよく    Ni−58wt%5b過共晶合金の炉冷による冷却曲線を図 これを示しており,共晶は連続共晶組織が多い。141degC   −5に示す。得られた最大過冷度は191degC(共晶温度以 過冷すると冷却曲線上初晶と共晶の区別はできず,共晶   下128degC)である。この程度の過冷度では,本合金は 停点は過冷している。この試料では長く連なった初晶の   必ず共晶温度以上に温度回復し,冷却曲線上での初晶と 主幹も分断の傾向を示し,共晶組織は棒状,粒状の   共晶凝固の区別は明らかである。また,過冷度の増加に Ni5Sb2を結ぶ細い線状のNi5Sb2から,僅かにその存在   伴う共晶停点の低下は起こらず,すべて平衡共晶温度で を知り得る。193degC過冷すると写真一5, eに示すよう   共晶凝固している。本合金系では亜共晶,過共晶合金共 にNi,Sb,について初晶と共晶を識別することはでき   に共晶凝固のための過冷は認められなかった。

ず,共晶的な組織(擬共晶)として凝固しているのがわ     これらの冷却曲線を示す各過冷凝固試料の顕微鏡組織 かる。しかし,39の試料で水冷して温度回復が少ない,   を写真一6に示す。 7degC過冷した試料では,初晶NiSb 230degC過冷した組織は写真一5, fに示すように初晶と   のデンドライトとこれを取り囲む連続共晶からなる組織 共晶の識別は明らかにできる。温度回復と徐冷が過冷凝   である。過冷度が増加してもこのような組織形態はあま

写真_,種々{。過冷したNi.52wt%Sb亜共晶合金のミク。繊    ×15°×%

    a) 4τ=OdegC, b) ∠17「 =50degC, c) ∠17「=82degC, d) ∠ゴ7「=141degC,

    e)」7 −193degC, f)47「=230degC,水冷凝固

(7)

ぎ    。)△τ_7d,gC

b) △τ=40degC c) △7 =96degC d) △7「=136degC e) △7「=191degC

写真一6 種々に過冷したNi−58wt%Sb過共晶合金のミクロ組織

      影響し,既述の合金と同様に初晶晶出後の共晶凝固では,

 01100

°      初晶と同じ相が初晶に付着成長する機構で共晶組織は消 固1000 .      滅すると考えられ,共晶停点の過冷は組織変化に直接関

  900

       3.5.Ni,Sb、−NiSb系合金の擬共晶凝固範囲    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9    共晶組成から離れた合金であっても,過冷凝固すること       時 間, min

      により共晶となり得ることは有機物系物質について研究   図一5橿真麟蒜姦‡i−58wt%Sb され;・金縣につ・・てもこれが確められている9・Ni・Sb・−

      NiSb合金の過冷による擬i共晶凝固範囲を測定した。実 り変らないが,連続共晶の量は減少する。過冷度が96   験方法の詳細は既に報告してあるが;L 39の試料を水 degCとなり共晶温度以下33 degCまで過冷すると,初   中急冷して,過冷凝固による温度回復をできるだけ抑え 晶は棒状および粒状となり,共晶組織は連続共晶として   て測定した。得られた結果を図一6に示す。

未だ残っているがその量は少ない。136degCの過冷試料    共晶組成から1.5wt%離れたNi−52wt%Sb亜共晶合 では初晶はすべて粒状化し,共晶も粒状共晶となり,少な   金の193degC過冷した炉冷凝固試料では,初晶となるべ い。最大過冷度191degCの試料では粒状化した初晶はさ   きNi、Sb、相は粒状とはならず擬共晶組織となった(写 らに小さくなり,共晶は共晶形態としては存在せず,試   真一5,e)。一方,共晶組成から4.5wt%離れたNi−58 料中央部であっても粒状化した初晶のNiSb問にNi,Sb、   wt%Sb過共晶合金では,初晶になるNiSb相は191degC 母相中に点在し,その大きさから共晶中のNiSbである   過冷試料でも粒状で存在し,擬共晶組織とはいえない(写

ことを認めるだけである。       真一6,e)。共晶組成から1.5wt%離れたNi−55wt%Sb過  過冷度が大きいと亜・過共晶合金では例え共晶温度に   共晶合金の,190degC過冷した炉冷試料の凝固組織を 温度回復して共晶凝固しても共晶組織が現われず,消滅    写真一7に示す。この過冷度では図一6に示した擬i共晶凝固

していることが多い。しかし,一般には過冷度が増すと   範囲に入っていないが,組織は初晶としてのNiSbは見ら

温度回復により共晶停点を示しても,この温度が過冷して   れず,Ni−52wt%Sb亜共晶合金の193degC過冷した炉

いる例が多く,これが共晶組織が現われない原因とも考    冷試料と両相の量的関係は逆転しているが,同じ組織形態

えられる。本過共晶合金ではいかなる過冷度においても   を示し共晶組織といえるものである。従って,水冷して

(8)

9

1200

1100

1000

900

800

一一 @  ・i 三\−4一

てはまるように見え,共晶組織中の両相の容積に差がな い合金では,共晶組成からあまり離れず両相の容積が大 きく変らない範囲では,過冷による組織変化は共晶合金 のそれと同じである。しかし,両相の容積比が1から大 きくはずれる程に非共晶組成になると,初晶として組織 変化に影響するようになる。

 過冷を伴わない凝固でも,初晶の量に比較して共晶量が 少ない合金の凝固では,共晶凝固は共晶組織を示さない ことが多い。これは分離共晶的凝固によるものであるが,

初晶が樹枝状であるよりも粒状で微細化されるならば,そ

51525

A、,54w、%555657 の表面積は大きくなり・これが艦共晶的凝固を促進す

図一6 Ni5Sb2・NiSb系合金の擬共晶凝固範囲 るものと考えられる。初晶が存在するにもかかわらず,共 晶凝固に過冷を要するならば,ますますこの効果を助長 することになる;U初晶の微細化は大きな過冷と温度回 復によって得られ,また徐冷がanomalous共晶を生じ 易くすることからB㌦急冷試料と炉冷試料の凝固組織に 差をもたらしたと考えられる。

 樹枝状の初晶が過冷却と温度回復により粒状化するこ とは種々の合金で既に示したが川1,本合金でもこれが 観察された。Ni−56wt%Sb合金で,137 degC過冷して水        ×75×%        冷凝固した試料では,写真一8,aに示すように棒状で平

     写真一7麗霊嬬罐合  行にのびた初晶と・この間に粒状の初晶が存在し樹枝状で

      △T=190degC,炉冷凝固        はない。この棒状の初晶にもくびれが見られる。過冷度       が211degCに増加し,水冷された試料ではこの傾向がさ 温度回復を抑えて測定した擬共晶凝固範囲に入らない組   らに強まるのがわかる。デンドライトの二次枝が溶断し 成の合金でも,炉冷による大きな温度回復と徐冷は擬共   て棒状となることは理解できても,棒状晶が粒状晶にど 晶凝固範囲を広げる方向に作用し,特に過冷度が大きい   のように変るのかは疑問とされている。しかしこの写真 時に著しい。       では明らかにくびれができており,粒状化の傾向を示し  共晶合金の炉冷による過冷凝固では連続共晶は粒状共   ている。くびれのできる機構,分断の機構は不明である

晶組織に変化するが,これは共晶中の両相の容積の割合   が,棒状晶が粒状に変ることは可能のように思われる。

が影響する。このような過冷による組織変化への容積の 影響は,共晶組成から離れた合金の過冷凝固組織にもあ

写真一8 NL 56wt%Sb過共晶合金の過冷凝固組織    ×150×%

     a)47「=137degC,水冷凝固, b)∠7「=211degC,水冷凝固

(9)

       参 考 文 献

 4・結 言      

1)小林,中尾,柏村:九州工業大学研究報告(工学),No.41       {1980),103含

 MsSbガNiSb合金の過冷凝固の実験結果は次のよう   2)T. Z. kattamis, W. RM◎hn:Cairo SoUδState Con毛 に要約できる。      2nd〔2〕(1974),307.

 {1)炉冷により,M5Sb2−NiSb共晶合金でユ85degC,    3)HσSPengle「lMetall V◎1宝11(1957) 384

 .      4)小林,中尾:九州工業大学研究報告(工学),No.42(1981),

N1−52wt%Sb亜共晶合金で193degC,Ni−58wt%Sb過     43

共晶合金で191degCの最大過冷度を得た。      5)小林,申尾:九州工業大学研究報告(工学),No.42(1981),

 (2)共晶中の両相の容積がほぼ等しい本共晶合金では,    5乳      .

       6)Y.V. V. R S. Murty, T. Z. Kattamls:J. of Crystal 過冷凝固により一方だけが粒状化した粒状共晶に変わる     Grow也22(1974),21g.

ことはなく,過冷凝固による組織変化は共晶の容積比が    7)M.Hansen:Constit頭on of Binary Alloys, London 影i響する◎       (1958),1037.

       8)A.Kofler:Z. Meta茎k.,41(195◎),51.

 {3戊共晶合金では・過冷によりいずれの相も核生成し・   9)E.Schei1, Y. Masuda:Aluminium,31(1955),51.

引続くcoupled nucleationと成長により凝固する。     10)小林,中尾:鋳物,54(1982),2,99.

 {4)本合金系の擬共晶凝固範囲はKoflerの分類によ    11)W/「・C◎1至ins 」「・LF・M・ndolf◎:Tr孤s AIM政233       (1965),1671.

るB型を示し 炉冷の場合はこの範囲は広がる傾向を示    12)L.M, Hogan l J. AusもInst. Metals, Vol.6(1961),279.

す。

 (5)過冷度の増加により,棒状の初晶にくびれれと分

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