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博 士 ( 農 学 ) 鄭

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 鄭    虚

     学 位論 文 題名

Dynamics of non − structural carbohydrate in potato shoot      ( バ レ イ シ ョ 茎 葉 部 に お け る 非 構 造性 炭水 化 物の 動態 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  炭 水化 物は 非構造 性(NSC)と 構造 性の2っに分けられ,前者は通常貯蔵性炭水化物 のへキソース(グルコースとフラクトース),ショ糖,デンプン等である.イネ,コムギ 等の 穀類 では茎葉部に貯蔵されたNSCが最終的には子実に転流して収量増加に貢献して いる .本 研究は,これまで不明であったパレイショの茎葉部におけるNSCの動態を明ら かに する 目的で,NSCの日変化と季節変化,土壌乾燥,日射量,気温などの環境要因が NSCに 及ぽ す影 響, およ びこ れら の品 種間差異を調査し,塊茎収量に対する茎葉部NSC の貢献を検討した,

1.茎葉部におけるNSCの日変化

  茎 葉 部に おけ るNSCの含 有率 (乾 物lg当た り) は部 位( 上部 葉,下 部葉 ,上 部茎 , 下部茎)や季節・時刻などによって異なったが,例えぱ晩生品種コナフブキの地上部最大 期の日の出直後における2年間の平均で,上部葉では,デンプンが160mg,ショ糖が27mg, ヘ キ ソ ース がllmgで あっ た, 一方 ,下部 茎で は, デン プン が124mg, ショ 糖が17mg, ヘ キ ソ ース が46mgで あっ た. いず れの部 位で もデ ンプ ンがNSCの大部 分を 占め ,ま た

, 上 部 葉 で は シ ョ 糖 が , 下 部 茎 で は へ キ ソ ー ス が こ れ に 次 い だ .   上部 葉で はNSC含有 率が 日の 出後 急激 に上 昇し ,9時 間目 で最大値(日の出時に対し て 約90%の増加)に達した.一方,下部茎でも類似した日変化を示したが,約20%の増 加 にとどまった.また日の入り後から翌日の日の出時までの夜間に,上部葉では約40% 減 少し たの に対 して ,下 部茎 では3%し か減 少し なか った .なお,昼間に増加したNSC あ るい は夜 間に 減少 したNSCの 大部 分( 昼の 上部 葉で64% ,昼の下部茎で100%,夜間 の 上部葉で85%)がデンプンであり,茎葉部での一時的な貯蔵物の役割をデンプンが担 っていることが明らかになった.

2.茎葉部におけるNSCの季節変化

  2年間の2品種の調査で,成育期間中におけるNSC含有率の変化は,葉では89−510 mg 茎 では74−580mgの範囲であった,季節変化は下部葉と上部茎では比較的小さく,上部 葉 と下 部茎では大きかった.すなわち,上部菜と下部茎のNSC含有率は塊茎肥大前の成

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育初期で高く,塊茎肥大が旺盛となる開花始め以降に低下した,ー方,茎葉乾物重とNSC 含有 率との積 から算出 した茎葉部 におけるNSC含有量( 土地面積Im2当たり)は地上部 最大期(開花終期)で最大値を示した.その後,収穫期まで急激に減少し,葉での減少量 が9―15g,茎 で の減 少 量 が32ー49gで あ った . これら 茎葉部で減 少したNSCは 塊茎に 転流して蓄積したと仮定して,地上部最大期以降における塊茎乾物重の増加量に占める割 合 を 推 定 し た と こ ろ , 葉 のNSCが3―5% , 茎 のNSCが6―15% , 茎葉 部 全 体のNSCが 8―19%であった.

3. 乾 燥 ス ト レ ス ま た は 低 日 射 量に よ る光 合 成 量の 低 下が 茎 葉 部NSCに 及ぼ す 影 響   ポ ットで栽 培した個 体に開花 始めから約2週間,給水をしない処理(断水区)と寒冷 紗 で50%目射 量を低下させた処理(低日射区)を設けた.光合成量は両処理によって著 し く抑制さ れ,個体 当たり乾物重の増加量は無処理区に比べて断水区では85%,低日射 区では103%低下した.しかし,塊茎乾物重の増加量は無処理区に比べて断水区では23%,

低 日射区で は54%の低下となり,乾物生産の抑制程度に比べて,塊茎重増加の抑制程度 は軽微であった,一方,茎葉部では両処理によって乾物重とNSC含有率がともに低下し,

処 理期間中 における 茎葉部NSC含 有量の減少 量は無処 理区の3.4g/個 体に対して断水区 で は10.8g/個体 ,低日射区では8.8g/個体と著しく増加した.これらNSC減少量が塊茎 乾 物重の増 加量に占 める割合は無処理区の11%に対して断水区では45%,低日射区では 61% と極めて 高かった.従って,環境条件の悪化によって光合成量が一時的に低下する と 茎葉部NSCの 塊茎への 転流が促 進され,塊 茎重増加の抑制を緩和することが明らかに なった.

4.早晩性の異なる品種問における茎葉部NSCの差異

  2年 間の7品 種 の調 査 で,地上 部最大期 におけるNSC含有率は下 部茎で品 種間に大 き な差異が認められ,早生品種ほど高い値を示した.しかし,茎葉乾物重は晩生品種ほど大 き い ので , 茎葉 全 体 のNSC含 有 量は 晩 生品 種 の 方が 大きい傾 向を示し た.NSC含有 量 は 葉 で16一31g/m2, 茎で25―73g/m2,茎 葉 全 体で46―104g/m2の 変異 を 示 し, 地上 部最 大期以降 の塊茎乾 物重増加 量に対する 割合の平均値は葉NSCが5%,茎NSCが10%,

茎 葉 部のNSCが15% であ っ た .な お ,早 晩 性 の異 な る2品種 を 供 試し て 異な る2作 期 に栽 培した実 験で,NSCの 含有率お よび含有量 における品種間での相対的な関係は作期 の影響を受けなかったことから,両形質の遺伝的差異は異なる環境条件でも比較的安定し て認められるものと推察された.

  以上 のように ,本研究 ではパレ イショの茎 葉部におけるNSCの動態について調査し,

デン プンが主 成分であ るNSCが光合 成産物の一 時的貯蔵物質として茎葉部に蓄積され,

不良環境条件によって光合成が抑制される時には塊茎への転流を促進して塊茎肥大の安定 化に 寄与して おり,通常,成育後半における塊茎乾物重増加量の約15%程度がこの茎葉 部NSCの転流に依存しているものと推察した.

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 教授

岩間 幸田 阿部 実山

和人 泰則     純     豊

     学位論文題名

Dynamics of non −structural carbohydrate in potato shoot      (バレ イショ茎葉部における非構造性炭水化物の動態)

  本 論 文 は 図11, 表44を 含 み ,7章 か ら な る 総 頁 数158の 英 文 論 文 で あ り , 別 に 参 考 論 文2編 が 添 えら れ て いる ,

  葉で 生 産 され た 光 合成 産 物 は ショ 糖 と して 転 流 した 後 , セル ロ ー ス等 の 構造 性炭水化 物 と して 植 物 体の 骨 格を 構成す るととも に,ヘ キソース (グル コースと フラクト ース) , シ ョ 糖 , デ ン プ ン 等 の 非 構 造 性 炭 水 化 物(NSC)と し て 貯 蔵 さ れ る , イ ネ , コ ムギ 等 の 穀 類 で は 茎 葉 部 に 貯蔵 さ れ たNSCが最 終 的 には 子 実 に転 流 し て 子実 収 量 の増 加 に 貢献 し て い るこ と が 報告 さ れて いる. 本研究は ,これ まで不明 であっ たパレイ ショの茎 葉部に お け るNSCの 動 態 を 明 ら か に す る 目 的 で ,NSCの 日変 化 と 季 節変 化 , 土壌 乾 燥 ,日 射 量 , 気 温 な ど の 環 境 要 因がNSCに 及 ぼ す影 響 , およ び こ れら の 品 種 問差 異 を 調査 し , 塊茎 収 量 に 対す る 茎 葉部NSCの 貢 献 程 度を 検 討 した も の であ る .

1. 茎 葉部 に お けるNSCの 日 変 化

  上 部葉 で はNSC含 有率 ( 乾 物 当た り ) が日 の 出 後急 激 に 上昇 し ,9時 間目 で最大 値(日 の 出 時 に対 し て 約90% の増加) に達した .一方 ,下部茎 でも類 似した日 変化を 示したが , 約20%の 増 加 にと ど ま った , ま た 日の 入 り 後か ら 翌 日の 日 の 出時 ま で の夜間 に,上部 葉 で は 約40% 減 少し た の に対 し て , 下部 茎 で はほ と ん ど減 少 し なか っ た ,なお ,昼間に 増 加 し たNSCあ る い は 夜 間 に 減 少 し たNSCの 大 部 分 が デ ン プ ン で あ り , 茎 葉 部 で の 一 時 的 な 貯 蔵 物 の 役 割 を デ ン プ ン が 担 っ て い る こ と が 明 ら か に な っ た .

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2.茎葉部におけるNSCの季節変化

  季節変化は下部葉と上部茎では比較的小さく,上部葉と下部茎では大きかった.すなわ ち,上部葉と下部茎のNSC含有率は塊茎肥大前の成育初期で高く,塊茎肥大が旺盛とな る開花始め以降に低下する傾向を示した.一方,茎葉乾物重とNSC含有率との積から算 出した茎葉部におけるNSC含有量(土地面積当たり)は乾物重の増加に伴って増加し,

開花終期(茎葉部最大期)で最大値を示した.その後,茎葉黄変期(収穫期)まで急激に 減少し,成育後半における塊茎乾物重増加量の8ー19%,収穫期塊茎乾物収量の4−9%が 茎葉部NSCの転流に依存しているものと推察された.

3. 乾 燥 ス ト レ スま たは低 日射 量に よる 光合 成量 の低 下が 茎葉 部NSCに及 ぼす 影響   ポットで栽培した個体に開花始めから約2週間,給水をしない処理(断水区)と寒冷 紗で50%日射量を低下させた処理(低日射区)を設けた.両処理によって茎葉部では乾 物重とNSC含有率がともに低下したが,塊茎の乾物重増加の抑制程度は軽微であった.

すなわち,不良環境によって光合成が抑制されると,茎葉部NSCの塊茎への転流が促進 され,塊茎肥大の安定化に寄与しているものと推察された.

4.早晩性の異なる品種間における茎葉部NSCの差異

  2年 間の6品種 の調 査で ,茎葉部最大期におけるNSC含有率は下部茎で品種間に大き な差異が認められ,早生品種ほど高い傾向を示した.しかし,茎葉乾物重は晩生品種ほど 大きいので,茎葉部NSC含有量は晩生品種の方が大きい傾向を示した.成育後半におけ る塊茎乾物重増加量に占める茎葉部NSC減少量の割合は品種と年次によって異なり,9一 25%の変異を示した.しかし,収穫期塊茎乾物収量に占める割合はおおむね4―6%の比 較的小さい変異であった.従って,茎葉部NSCの収量に対する貢献程度は,イネ科作物 に比べてバレイショでは小さいものと結論した.

  以上の成果は,従来不明であったバレイショの茎葉部に貯蔵さ,れた炭水化物の成育に伴 う動態を明らかにするとともに,、塊茎収量に及ぼす影響を推定した知見として,学術的に 高く評価できる.よって審査員一同は,鄭虚が博士(農学)の学位を受けるのに十分な資 格を有するものと認めた.

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参照

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