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博 士 ( 農 学 ) 森 田

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 森 田    茂

     学 位 論 文 題 名

牛 の 粗 飼 料 採 食 活 動 の 行 動学 的 解 析

学 位 論 文 内容 の 要 旨

反芻家畜の採食量は飼料給与方法によって影響を受けることが示唆されてい る。すなわち、飼料給与方法は個体の採食活動に反映し、採食活動を通じて採 食量に影響を与える。ゆえに、給与方法と採食量の関係の解析には個体の採食 活動を明らかにする必要がある。反芻家畜以外の動物では、採食活動は、喫食

・咀嚼・嚥下からなる一連の連続動作の採食バウト(bout)、採食バウト問の比 較的短い休止期、比較的長い休止期、および比較的長い休止期で区切られる採 食バウトの集まりである採食期などからなることが知られており、各様相の持 続時間分布などから統計的な根拠が明示されている。一方、反芻家畜では採食 活動が生産に密接に関連しているにもかかわらず、このような詳細な行動学的 解析は行われておらず、効果的な飼料給与法確立のため、とくに粗飼料採食活 動について、行動学的解析が求められている。

  このような背景から、本研究では牛の乾草自由採食および時間制限給与時の 採食活動を採食バウ卜、バウト間間隔および採食期に分けて分析し、この結果 をもとに乾草給与時間、給与回数、給与順序、濃厚飼料の給与量、濃厚飼料の 給与時刻などの飼料給与方法と乾草の採食量および採食活動の関係などについ て究明した。

  各試験には、試験開始時の平均体重が180〜280kgのホルスタイン種去勢牛4

〜24頭を用い 、粗飼料と してイネ科 主体の1番刈あるいは2番刈乾草を用い て計10回の試験を実施した。

‑ 407− .

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本研究 で得られ た主な成果を要約するとつぎのとおりである。

1) 本研究 における 採食バウ ト間隔の 持続時間 分布の検 討から、自 由採食時 と 時間制限 採食時で 牛の採食活動はその様相が大きく異なることが示された。

すな わ ち 、自 由採食 時の乾草 の採食期 は、前後4分を超え る期間、 採食休止を 認め た場合と 定義され た。この 定義は、 本研究で用 いた飼料 給与方法の範囲内 で は変化せ ず、一般 的にあて はめるこ とができた 。また、 反芻バウト間隔の持 続 時間分布 から、反 芻期は、 前後に15分 を超える 期間、反芻 休止を認 めた場合 と 定義 す る こと が 適切 で あ る。 一 方、 乾草 の給与を1日2回各80分 間もしく は それ 以 下 に制 限 した 場合には 、明確な 採食期は 定義され ず、採食 バウトは4分 以上持 続するバ ウトとそ れ以下の バウトの2種類に分 類された。

2) 乾 草 の給 与 が1日2回各120分 問以 上 の場 合 に は、 自 由採 食 と 同様 、採食 バ ウト は 採 食期 と して の 構 造を 有し、その 基準も同 一であっ た。この 場合、採 食 活動 と 採 食量 の 関係 は 、 採食 期持続時間 の延長お よび採食 期間隔の 持続時間 の 短縮 に よ り採 食 量確 保 が 行わ れるといっ た形で表 された。 一方、80分 問以下 の 乾草 給 与 にお ぃ ては 、4分 を 境に 分 類さ れ た 各採 食 バウ ト により採 食量に対 す る影 響 が 異な っ た。 す な わち 、40分問給与 における 代謝体重 当たりの 乾草乾 物採食 量(Y、g/kg017s) と、4分を 超える採 食バウト合計時間(X1、分)および 4分以 下の採食 バウト合 計時間(X2、分)との 関係から 以下に示 す回帰式 が得ら れ 、分 類 さ れた 採 食バ ウ ト は、 採食量との 関係にお いて異な ることが 示唆され た。

  Y =0.378Xt十 0.253X2+1. 05、 R2= 0.440、 n=96、 P〈0.05  ゛ これ らのこと より、120分 間以上の 採食活動解 析におい ては自由 採食と同 一の基 準 に基 づ く 採食 期 単位 で 、80分間 以下の時間 制限給与 における 採食活動 解析に 関して は分類さ れた各バ ウトごと に行う必要 がある。

  3)乾 草 給 与回 数 の増 加 に より 、 乾草 の 採 食活 動 は当 初 やや 活発にな るもの の 、そ の 後 の給 与 にお け る 採食 活 動を 低 下 させ 、1日 当た り の採食量 は必ずし

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(3)

も 増 加し な かっ た 。

  4) 自由 採 食時 に お ける濃厚 飼料給与直 前の乾草 給与は、 その直後 の採食時 間 を 減少 さ せる も の の、 給 与後9時 間 以 降の 採 食時 間を増 加させ、1日当たり の 乾草の採 食量は増加 した。ま た、時間 制限条件 下では飼 料給与順序に関わら ず 採 食バ ウ ト は4分を 境 に2っに 分 類 され 、 採食 活 動に及 ぼす飼料 給与順序 の 影 響は、分 類された採食バウトの種類により異なった。

5)濃 厚 飼 料の 少 量給与に より乾草 の採食量 は増加し た。乾草 単独の再 給与 による採食 活動の活 発化は、 濃厚飼料 とともに給与した場合に比べ低かった。

飼料 の給与刺激 と乾草の 採食活動 あるいは 採食量と の関係か ら、乾草の給与刺 激により採 食期持続 時間の延 長に代表 される採 食活動の 活発化が認められるも のの、濃 厚飼料給 与時にお いては、 単に乾草 給与によ る刺激のみ ならず、濃厚 飼 料とともに 乾草を給 与した刺 激が認め られ、採 食活動の 活発化の程度は高かっ た。さらに 、濃厚飼 料のみの 給与では 乾草の採 食活動は 活発とはな らず、濃厚 飼料の給与 と乾草の 給与を分 離しても 乾草採食 量の増加 は期待でき なぃと結諭

さ れた。

  以 上の研究 成果によ り提示さ れた牛の 採食活動解 析のため の採食期の基準な ら びに乾草 と濃厚飼 料の給与 方法によ る採食量お よび採食 活動へ及ばす影響に 関 する知見 をもとに すること により、 粗飼料採 食量向上の ために有 効な飼料給 与体系の確立が可能であると結諭した。

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(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 助教 授 助教 授

朝 日 田 上 山 大 久 保 近 藤

学 位 論 文 題 名

康司 英一 正彦 誠司

牛の粗飼料採食活動の行動学的解析

牛 を は じ め と す る 反 芻 家 畜 に お け る 粗 飼 料 の 有 効 利 用 を 図 る た め に は 、 ま ず

粗飼料採食量を向上させる必要がある。粗飼料採食量が飼料の質に影響される ことはよく知られ、研究も主にこの面から進められてきた。一方、飼料給与方 法もその採食量に影響することが示唆されており、管理技術上重要な検討課題 のーっであるにもかかわらず、このような観点からの研究は少なぃ。

こ の 論 文 は 、 表 52、 図 35、 引 用 文 献 81を 含 む 総 ペ ー ジ 数 179の 和 文 論 文 で あ り 、5章 に 分 け て 論 述 さ れ て い る 。

飼 料 給 与 方 法 は 個 体 の 採 食 活 動 を 通 じ て 、 採 食 量 に 影 響 す る と さ れ て い る が 、 反 芻 家 畜 に お け る 採 食 活 動 を 詳 細 に 観 察 し 分 析 し た 研 究 は ほ と ん ど な ぃ 。 そ こ で 、 本 研 究 で は ま ず 反 芻 家 畜 に お け る 飼 料 給 与 方 法 と 採 食 量 の 関 係 を 追 究 す る

ためには、個体の採食活動を明確に定義した上で行う必要があることを指摘し

た 。 さ ら に 、 採 食 活 動 は 喫 食 ・ 咀 嚼 ・ 嚥 下 か ら な る 連 続 し た 採 食 動 作 を ひ と つ の ま と ま り と し て 捕 え た 採 食 バ ウ ト (bout) お よ び 採 食 バ ウ ト 間 の 比 較 的 短 い 休 止 期 か ら な る 採 食 期 と 、 比 較 的 長 い 休 止 期 に 分 け ら れ 、 こ れ ら は 持 続 時 間 分 布 か ら 統 計 的 に 解 析 で き る と し た 。

つ い で 著 者 は こ う し た 観 点 か ら 、 飼 料 給 与 方 法 の 採 食 活 動 へ の 影 響 を 検 討 す

るため、延ベ80頭の去勢牛を供試して、一連の実験を実施した。

    ―410−

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得られた成果は以下の通りである。

1) 乾 草 自由採 食時の採食 バウト間 隔の持続 時間分布 の検討か ら、自由 採食 時の乾草 の採食期 は、その 前後に.4分を超える採食休止を認めた場合と定義で きる ことが明 らかにな った。乾 草の給与 時間が120分問 以上の場 合には、個体の 採食 活動は自 由採食時 と同様で あるとみ なされた 。従って、 乾草の給 与時間か 120分以 上の場合 、採食活 動は採食 期を単位 として検討すべきことが示された。

ま た、採食 後にみら れる反芻 行動につ いても、反 芻バウト 間隔の持 続時間分布 から、 反芻期は 、前後に15分を超え る反芻休 止を認めた 場合と定 義することが 適切であることを示した。

2) 乾 草の 給与 時間を80分 問以下に 制限した 場合には 、明確な採 食期は持 続 時間 の 分 布上 存 在し な ぃ こと 、 さら に 各 採食 バ ウ ト自体 が4分を境 に2種類に 分類され ることが 示された 。このよ うに分類さ れた採食 バウトの 違いにより、

採食量に 対する影響が異なり、また給与時間および給与順序が採食活動に及,ぼ す 影響も異 なった。 以上から 、乾草給与 時間が80分 間以下の 時間制限給与にお ける採 食活動解 析に関し ては分類さ れた各バ ウトごと に解析す ることが必要で ある。

3) 飼 料の 給 与方 法は、採 食および 反芻時間の 日内分布 あるいは 採食期の 持 続時間 に影響し 、飼料の 給与方法に よっても 粗飼料の 採食量は 増加させ得るこ とが示 された。

4)飼 料 の給 与刺激と 乾草の採 食活動あ るいは採食 量との関 係から、 乾草の 給与刺激 により採 食期持続時 間の延長 に代表さ れる採食 活動の活発化が認めら れた。 濃厚飼料 給与時に おいては、 濃厚飼料 とともに 乾草を給 与した場 合の方 が 、その程 度は高か った。さら に、濃厚 飼料の給 与のみで は乾草の 採食活動は 活発と はならず 、濃厚飼 料の給与と 乾草の給 与を分離 しても乾 草採食量 の増加 は期待 できなぃ 。

以 上、本研 究は牛の 粗飼料採食 活動につ いて行動 学的解析 を行い、 飼料給与

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方 法 と 採 食 量 お よ び 採 食 活 動 の 関 係 に つ い て 新 た な 知 見 を 提 示 し て お り 、 学 術 的 に 高 く 評 価 さ れ る 。 ま た 実 用 的 に も 採 食 量 向 上 に 有 効 な 粗 飼 料 給 与 体 系 の確 立 に 大き く 寄 与す る も の と考 え ら れる 。

よ っ て 、 審 査 員 一 同 は 別 に 実 施 し た 学 力 確 認 試 験 の 結 果 と 合 わ せ て 、 本論 文

の提出者森田茂は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと 認定した。

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参照

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