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国際農業経済論国際農業経済論

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(1)

国際農業経済論

(2)

GATT

の歴史

世界恐慌後:各国は自国市場の保護による不況脱出を企図

諸外国の報復的・競争的な貿易制限措置を招き不況を長期化

各国のナショナリズムの台頭・世界経済のブロック化の進行

第2次世界大戦の一因になったことへの反省

第2次大戦中も、連合国間で、戦争の惨禍を避けて世界平和を確立するためには世界諸国間 の経済的繁栄、雇用の拡大、生産水準の向上が必要であり、そのために自由で円滑な貿易の 発展が必要であるとの認識があった。

戦後、貿易自由化のための国際機関として国際貿易機構(International Trade Organization) 構想

1948年 ITO憲章(ハバナ憲章)が採択

発効に必要な各国の批准が得られれず、ITOは未設立

1947年 米国の提唱により、第一回目多国間関税交渉の開始

ITO憲章に先行して、その一部を協定としたものがGATT(暫定的存在)

貿易自由化を行う事実上の国際機関としての締結国団としての位置づけ

(3)

GATT

の歴史

国際機関としての設立規定が協定中にない

総会、理事会、紛争処理パネル、事務局等に関する法的根拠が存在しなかった

貿易紛争解決:紛争処理パネル(小委員会)の設置、パネル報告の採択・・・コン センサス方式

• 1980年以降は理事会勧告の不履行、紛争処理の長期化が目立つ

• 1995年GATTの発展的解消とWTO設立 GATTは「モノの貿易」を規律の対象

WTOGATTの下で自由化交渉の対象分野の拡大とルールの強化

(「サービス貿易」・「知的財産権」をも自由化の対象分野とする) 貿易紛争の解決手続の強化

(一方的な制裁措置発動の抑制と紛争の迅速な処理)

(4)

GATT

の基本原則

貿易制限措置の削減

貿易制限措置の関税化、漸進的に関税削減、より自由な貿易を目指す

数量制限の一般的廃止

加盟国は関税その他の賦課金以外のいかなる禁止または制限も新設し、また は維持してはならない

貿易の無差別待遇

最恵国待遇:いずれかの国の産品に与える最も有利な待遇を、他のすべ

ての加盟国の同種の産品に対して、即時かつ無条件に与えなければならない 内国民待遇:輸入品に対して適用される内国税や国内法令について、同種の国 産産品に対して与える待遇よりも不利でない待遇を与えなければならない

(5)

GATT

の基本原則

多角的交渉を重ねることで自由貿易体制の強化

当初は関税引き下げ交渉、

GATT

を補完する貿易ルールの策定

(

アン チダンピング協定など

)

ウルグアイラウンド交渉の結果、

WTO

へと発展的解消を遂げた

サービス貿易、貿易と知的所有権の関係

紛争処理機能の強化

より効率的で実効性のある紛争解決ルール

(6)

GATT

WTO

と通商規律

自由貿易

市場アクセス(非関税障壁の関税化とその削減、特別SGTRQ) 国内助成

輸出補助金・補助金つき輸出数量の削減

無差別主義(最恵国待遇・内国民待遇) GATT加盟国からの輸入を同等に扱う

多角主義

参加国全体が協定に合意すること

・・・新興途上国の発言力が大きくなり「合意」が難しい 24条で例外的に自由貿易協定を認めている

非関税障壁の規律(TBT協定、SPS協定、TRIMS協定など)

(7)

GATT

WTO

と通商規律

11条 数量制限の一般的禁止

1.締約国は、他の締約国の領域の産品の輸入について、又は他の締約国の領域に仕向けられる産品の輸 出若しくは輸出のための販売について、割当によると、輸入又は輸出の許可によると、その他の措置による とを問わず、関税その他の課徴金以外のいかなる禁止又は制限も新設し、又は維持してはならない。

2 前項の規定は、次のものには適用しない。

a) 輸出の禁止又は制限で、食糧その他輸出締約国にとつて不可欠の産品の危機的な不足を防止し、又は 緩和するために一時的に課するもの 輸出禁止条項の適用除外

20条 一般的例外

b) 人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置

h) 締約国団に提出されて否認されなかつた基準に合致する政府間商品協定又は締約国団に提出されて 否認されなかつた政府間商品協定のいずれかに基く義務に従つて執られる措置

i) 国内原料の価格が政府の安定計画の一部として国際価格より低位に保たれている期間中、国内 の加工 業に対してその原料の不可欠の数量を確保するために必要な国内原料の輸出に制限を課する措置。

(8)

GATT

WTO

と通商規律

17

条 国家貿易企業

政府又は非政府の企業(販売に従事する機関を含む。)であって、購入及び販売を通じ輸入 又は輸出の水準又は仕向け先に影響を及ぼす排他的又は特別な権利又は特権(法令又は憲 法上の権限を含む。)を付与されたもの

• 1a

国家貿易企業が無差別待遇原則に従って行動することを義務づ

• 1b

国家貿易企業が商業的考慮のみに従って購買・販売を行うことを 義務づけ

• 11

条に違反する輸出入制限を国家貿易企業を利用することによって 正当化することはできない

(9)

GATT

WTO

と通商規律

24条 関税同盟・自由貿易協定

参加国間の合意・協定締結国間のみの特恵的貿易協定 無差別主義に反するが、例外規定として認められている

関税同盟

域内関税の撤廃と締結国共通の対外関税

自由貿易協定

域内国間の関税率は撤廃するが、対外的には参加国が自由に設定可能 域内生産であることを確認するための原産地規制の問題

新規の協定参加

関税同盟:参加国が自由貿易協定を締結する際には参加国の同意が必要 自由貿易協定:自由に協定締結可能

無差別主義・多角主義に矛盾するが、GATT24条で条件付きで例外規定として認定している。

条件1:域内の関税を「実質的に」すべての品目について撤廃すること

条件2:対外差別強化の禁止

これらの条件は、将来の多角的交渉が容易になると期待される条件

特恵的貿易協定は、 貿易の自由化を促進するのか?

(10)

標準的な国際貿易論

前提条件:完全競争・規模に関して収穫一定

結論1:貿易自由化により国民の消費可能領域は拡大する

結論2:貿易自由化は勝者と敗者を作り出す

結論3:所得再分配政策を実行すると、貿易自由化はすべての国民の経済厚生を向上させる。

「効率性」と「公平性」を両立させることが可能

これらは、一定の前提条件の下で、自給自足の状態と自由貿易の状態を比較して得られる結論である。

(参考)

厚生経済学の基本定理

- 効率性とは「パレート最適性」

- 前提条件: 完全競争、市場の「完備性」

- 定理1:競争均衡は効率的である。

- 定理2:任意の効率的な均衡は競争均衡として達成される。

(11)

自由貿易は利益をもたらすか?

前提条件を満たせば、利益をもたらす!

しかし、現実を見渡すと必ずしもすべての条件が満たされているとは 限らないことに留意。(自由貿易を否定するわけではありません!)

国際市場における歪み

生産の不確実性

外部性

(

生産、消費

)

の存在

要素価格の硬直性・要素の不移動性

要素市場の歪み長期的利益と短期的利益:調整費用の存在

複数の「歪み」の存在

(12)

国際市場における歪み

輸入国が「大国」の場合、国際市場で価格支配力を持つので、関税 を賦課することで世界全体の超過需要を減少させ輸入財の国際価 格を下落させることができる。自国にとっては交易条件が改善する ので厚生水準を引き上げることが可能。但し、関税を上げすぎると 輸入量がゼロとなり、自給自足の状態に戻る。

相手国の規模も大きい場合には、報復的な関税により、世界全体の 経済厚生を引き下げる。また、当該国の厚生水準を自由貿易の状 態よりも引き下げることがある。

(13)

生産の不確実性

モデルはふたつの農産物(生産に不確実が存在するものと不確実性が存在し ないもの)を仮定(Newbery and Stiglitz(1984))

自由貿易はパレート最適な資源配分を導くと言うが「保険市場のない生産に不 確実が存在する場合、保険市場がなければ、自由貿易により必ずしもパレート 改善されない場合」がある。

勿論、「生産に不確実性が存在し、なおかつ保険市場が存在しなくとも、自由貿 易によりパレート改善される場合」もある。

農産物のみの世界ではリスクを分散させることが不可能かもしれないが、現実 の世界には無数の財・サービスが存在するので、リスクを分散させることは可能 であると考えて差し支えない

(14)

生産における外部性

農産物貿易と環境問題

モデルの前提

2国1財農産物貿易モデル 農業の外部性(正or負)の存在

生産費格差の存在(自国の限界費用>外国の限界費用)

自給自足経済での均衡価格は外国の方が低い

農業保護政策(人為的ディストーション)は国境措置のみ

貿易自由化と経済厚生

外部経済 外部不経済

外部経済 (?,+) (?,?) 外部不経済 (+,+) (+,?)

(15)

調整費用の存在

時間

自由化

調整時間1

Case A

Case B

Case C

α

β

(16)

複数のディストーションの存在

複数の市場にディストーションが存在する場合、ひとつの市場の歪みの みを是正しただけでは、効率性が改善しない場合がある

(

次善の理論

)

ふたつのディストーションの例 独占的生産&外部不経済 過少生産+過大生産

ひとつのディストーションのみを除去:厚生水準は必ずしも改善しない。

先ほどの部分均衡分析の場合

(17)

Bhagwatiによる4つの「歪み」のタイプ

ij ij

ij

DRT FRT

DRS  

MRTSkli MRTSklj

ij ij

ij FRT DRT

DRS   MRTSkli MRTSklj

ij ij

ij

FRT DRS

DRT  

MRTSkli MRTSklj

ij ij

ij

DRT FRT

DRS  

MRTSkli MRTSklj

(a)

(b)

(c)

(d)

(a)は国際市場における歪みが存在する場合で、自国が対外的な価 格支配力を有する場合、(b)は生産における外部性や独占的な要素 がある場合、(c)は消費に外部性が存在する場合、(d)は賃金格差や、

要素価格の下方硬直性、要素の不移動性など、要素市場に歪みが 存在する場合である。

(18)

複数のディストーションの存在:

n

財モデル

小国n財モデル

ディストーションは人為的な関税のみ

国内価格=(1+関税)x国際価格

「行儀の良い」補償需要関数、国内供給関数

財はすべて純代替財

下級財は存在しない

比較静学により、厚生水準の変化を人為的なディストーションの関数で表す。

(19)

複数のディストーションの存在:

n

財モデル

主要な結論(齋藤・齋藤(1999,2005)Hatta(1977))

全てのディストーション(関税率)をある一定の水準に向かって比例的に変更する ような政策は、当該国の経済厚生を改善する。

最高税率を次の水準の税率まで削減するような政策は、当該国の経済厚生を 改善する。

非貿易財が含まれる場合でも、下級財が存在せず、非貿易財が他の財と代替 関係にあれば、貿易財に対して上の結果がそのまま成立する。

(20)

特恵的貿易協定の経済厚生

最恵国待遇に矛盾する特恵的貿易協定がGATT/WTOの目指す自由貿易を促進するのか?

Kemp=Wan(1976)Grinols(1981)による回答 前提条件:完全競争・一般均衡モデル

任意の関税体系を持つ状況を想定し、参加国間の所得移転が可能であ るときには、関税同盟は経済厚生を増加させる。

この命題は任意の数の国について成立するため、漸次関税同盟を形成してゆくと最後には、一 つの関税同盟、つまり世界全体の統合、自由貿易体制へと至るという結論に達する。

グローバリズムかリージョナリズムかという図式で語られることの多い地域統合ではあるが、自 由貿易協定が世界規模での自由貿易への架け橋となり、これらは矛盾しないというメッセージを 持つ重要な含意を持っていると考えられている。

(21)

GATT多角的交渉

第1回 ジュネーブ

1947

23

ヶ国

第2回 アヌシー

1949

13

ヶ国

第3回 トーキー

1950-51

38

ヶ国

第4回 ジュネーブ

1956

26

ヶ国

第5回 ディロン・ラウンド

1960-61

26

ヶ国

第6回 ケネディ・ラウンド

1964-67

62

ヶ国

第7回 東京ラウンド

1973-79

102

ヶ国

第8回 ウルグアイラウンド

1986-94

123

ヶ国 WTO設立

1995

ドーハラウンド

2001

年~

149

ヶ国

(22)

第1回~第5回

鉱工業品の関税引き下げが焦点

農産物に関しては、関税の小規模な譲許

tariff binding

と削減実施

• Tariff binding

:関税率上限の約束

• Binding tariff

Applied tariff

の差を

water

という

(23)

ケネディ・ラウンド

1964

67

関税引き下げ方法の変更

国別品目別交渉方式

関税一括引き下げ方式

引き下げ公式を決定し、自国の関税率を当てはめる

非関税障壁

(

補助金・アンチダンピング

)

を対象に含めること

農産品・一次産品も貿易交渉に含め、工業製品及び非工業製品のすべ ての種類の産品を対象とすること(農産物を対象とすることを明示)

農産品は関税一括引き下げ方式適用除外(国別品目別交渉方式)

穀物、食肉、酪農品については国際協定を締結し、関税引き下げ交渉を 行うことで合意したが、国際穀物協定が締結

(

関税削減については締結さ れず

)

(24)

東京ラウンド

1973-79

関税一括引き下げ方式の採用

農産物については、関税一括削減方式の適用除外(国別品目別)

非関税障壁の軽減・撤廃の取り組み

セーフガード

(

緊急輸入制限措置

)

については各国の意見が対立し、

協定締結に至らなかった

農業分野では、国際牛肉協定、国際酪農品協定が作成された

食肉・乳製品の国際需給に関する情報の収集・提供、乳製品のダン ピング輸出抑止のための最低輸出価格の設定など

(25)

ウルグアイラウンド

1986-94

農業交渉がクローズアップ

ケアンズグループ

(

オーストラリア・ニュージーランド、カナダ、アルゼンチ ン、ブラジル、ウルグアイ、チリ、コロンビア、タイ、フィリピン、マレーシア、

インドネシア、ハンガリー

)

「農業合意なくして、他の分野の合意なし」

国際穀物需給の変化に伴うアメリカ・

EC

の輸出競争激化 他の輸出国

(

ケアンズグループ

)

からのクレーム

関税引き下げの成熟化(工業製品の低関税率)

非関税障壁

(

輸入数量制限、補助金・課徴金、ウエーバー、検査手続き・

基準・認証等の制度

)

を対象に・・・。サービス貿易や知的所有権

農業分野は、当初から例外扱いされてきたという経緯

(26)

ウルグアイ農業合意の内容

区分 対象 合意内容(19952000)

関税 農産物単純平均36%(品目別では最低15%)削減 輸入数量制限 原則としてすべての輸入制限を関税化して削減 輸出補助金 金額ベースで36%、数量ベースで21%削減

輸出規制 食料の輸出規制に関しては輸入国と協議 価格支持

補助金 市場アクセス

輸出競争

国内助成 価格支持などの国内助成AMS20%削減

(27)

ウルグアイ農業合意:市場アクセス

国境措置をすべて関税化

関税相当量(Tariff Equivalent):国内卸売価格と輸入価格の差

関税(相当量)を農産物全体(単純平均)36%、品目別でも最低15%削減

カレント・アクセスの維持

最低輸入義務(ミニマム・アクセス)

関税化品目は輸入が殆どないものは国内消費量の3%を低関税率で最低

輸入枠を設定。最低輸入枠は毎年0.4%ずつ増加し、2000年には国内消費量の 5%を輸入する。

特別セーフガード(関税化品目)

関税化の特例措置

ミニマム・アクセス(輸入量が国内生産量の3%未満、効果的な生 産制限、輸出補助金を使っていないことが条件)

(28)

ウルグアイ農業合意の内容:輸出補助金

輸出補助金の削減

• 1995

年~

2000

年までの

6

年間で、支出額の

36%

、輸出補助数量の

21%

を削減する。新たな輸出補助金は導入しない。

(29)

ウルグアイ農業合意の内容

国内保護助成の削減

市場の需給ルールに基づかない価格支持政策の国内助成は削減の対

国内での農業支持政策を「削減対象の政策」と「削減対象外の政策」に分 類。農業生産を刺激し、貿易を歪曲する政策は削減対象政策とし、

1995

年~

2000

年の

6

年間に助成合計量

(AMS)

の20%を削減する。

政策の区分け

-

緑の政策・・・削減対象外

-

青の政策・・・直接支払い

-

黄色の政策・・・緑・青以外で削減対象

(30)

緑の政策

(

グリーン・ボックス

)

政府の提供する一般サービス

(

研究・普及・教育・検査などのサービ ス、農業・農村基盤整備、市場整備、食料安全保障目的の備蓄、国 内食料援助

生産者に対する直接支払い

(

生産と直接結びつかない所得支持、所 得減少に対する補償、自然災害補償、生産者引退・農用地転用およ び投資補助による構造調整、環境対策、地域援助対策

)

(31)

助成合計量

黄の政策・・・削減対象

情勢合計量

(AMS)

で評価し、

6

年間で

20%

削減

デミニマス:黄の政策でも生産額の

5%

以下の助成は

AMS

にカウント しない

(

削減対象外

)

(32)

日本の対応:貿易政策

コメ

- 関税化の特例措置

- MA4%(37.9万トン)から8%(75.8万トン)

輸入方法は食糧庁の直接輸入と民間のSBS方式(商社と卸売業者が連盟で入・落札) - 1999年に関税化

その他の輸入制限品目

小麦、大麦、乳製品、澱粉、落花生、こんにゃくイモ、繭・生糸、豚肉の関税化・・・TE15%削減

一般関税率の削減

牛肉、生鮮オレンジ、オレンジジュース、ナチュラルチーズなど・・・平均36%最低でも15%削減

(33)

(

参考

)SBS

方式とは?

• SBS(

売買同時入札方式

)

自由に産地・銘柄の選択が可能

商社と卸売業者がペアを組んで入札

売渡価格と輸入価格の差

(

マークアップ

)

の大きい順から落札

(34)

日本の対応:国内農業政策

「農業基本法」から「食料・農業・農村基本法」へ

農業基本法

(1961

年~

)

- 選択的拡大

- 農業構造改善事業による経営の近代化 - 構造改革(経営規模の拡大)

食料・農業・農村基本法

(1999

年~

)

-食料の安定供給の確保・・・食料自給力向上、含輸入・備蓄計画

-多面的機能の発揮・・・国土保全、水源涵養、景観形成、文化の継承 -農村の振興

-市場原理による競争が原則

(35)

ドーハ・ラウンド (ドーハ開発アジェンダ)

2001年カタールのドーハで開始宣言 2005年交渉終了予定 2006年交渉中断

農業分野・サービス分野に関しては、2000年までに交渉開始は規定されていた(ビルトイン・アジェンダ)

シアトルでのWTO閣僚会議(1999)で、先進国と途上国の意見が対立し、交渉対象分野の合意が得られなかった

交渉対象は包括的

市場アクセス交渉

農業<市場アクセス・国内支持・輸出競争>

非農業市場アクセス(鉱工業品・林水産に関する交渉)

サービス サービス市場のアクセス(外資規制等)、国内規制(免許制など)

その他の交渉

開発 途上国に対するWTO協定上の義務の減免、後発開発途上国に対する優遇措置 ルール アンチダンピング、補助金、地域貿易協定のルール

貿易円滑化 関税手続きの透明性・公平性の向上、簡素化・迅速化の促進

知的財産権 貿易関連の知的所有権(TRIPs)に関する協定の改定 地理的表示の多国間通報登録制度 貿易と環境 環境物品の関税などの削減・撤廃など

・一括受託方式・・・ひとつでも合意に達しない分野があれば、ラウンドは最終合意に達しない。

(36)

ドーハ・ラウンド (ドーハ開発アジェンダ)

2004

年「枠組み合意」 モダリティ確立を目指すが合意に至らず

枠組み合意

(

大枠

)→

モダリティ交渉

(

各国共通

)→

譲許表交渉

(

各国毎

)

2012

年以降、近い将来の一括合意を諦め、部分合意を追求

2013

年 農業分野の一部、貿易円滑化、開発の「バリ・パッケージ」合

(37)

WTO

• WTO

の基本目的

生活水準の向上、安全雇用の確保、高水準の実質所得および有効 需要の着実な増加、資源の完全利用、物品およびサービスの生産 および貿易の拡大」

• GATT

:貿易制限措置の削減・無差別原則

• WTO

GATT

+環境への配慮・途上国への配慮

(38)

WTO

協定

設立協定(マラケッシュ協定)

付属書

1A

物品の貿易に関する多角的協定

関税および貿易に関する一般協定

農業に関する協定

• TBT

協定

付属書1

B

サービス貿易に関する協定

付属書1

C

貿易と関連する知的財産権に関する協定

付属書2 紛争解決にかかわる規則および手続きに関する規定

付属書3 貿易上の政策および慣行の審査に関する手続き規定

付属書4 限定複数国間に関する協定

(39)

紛争解決に係わる規則及び手続きに関する了解

Dispute Settlement Understanding

GATT体制下:案件を審理する小委員会(パネル)設置、パネル報告 の採択はGATT理事会におけるコンセンサス(全会一致)

GATTの枠組みの外で一方的な制裁措置の発動を圧力として通商 紛争の解決を図ろうとする動きも問題

WTO体制下(DSU)

パネル手続きの自動化:逆コンセンサス方式の採用(全会一致で反 対されなければ了承)

二審制の導入:パネル報告に不服があれば、上級委員会へ上訴

一方的制裁措置の禁止:WTO協定違反の措置は、WTO協定に基 づく紛争解決手続を利用しなければならないと規定。同手続を経な い一方的な制裁措置の発動を禁止。

(40)

貿易の技術的障壁に関する協定

TBT

協定

Agreement on Technical Barriers to Trade

各国が制定する規格・適合性評価手続

国際貿易への不必要な障害をもたらすことのないように制定

国際規格及び国際的指針等を基礎として使用することが原則

規格・適合性評価手続に係る通報,情報提供等についての手続を 定めた

(41)

TBT

協定

工業製品などの各国の規格や規格への適合性評価手続き(規格・基準 認証制度)が不必要な貿易障害とならないよう、国際規格を基礎とした国 内規格策定の原則、規格策定の透明性の確保を定める。

強制規格、任意規格や適合性評価手続きについて、その運用に関しては 内国民待遇・最恵国待遇の付与、制定については国際規格や国際的ガ イドラインを基礎として制定すること、必要な公告手続きを行い、他の加盟 国の意見を受け付けることなどを義務化(透明性の確保)

強制規格・適合性評価手続きの結果については、他国のものが自国のも のと異なる場合でも、それらが同等であると認められる場合において受け 入れることを規定

強制規格は、正当目的(安全保障、詐欺的行為の防止、安全、気候、基 本的な技術上の問題)のために必要である以上に貿易制限的ではないこ とが義務づけられている

(42)

衛生植物検疫措置の適用に関する協定

SPS

協定

Agreement on the Application of Sanitary and Phytosanitary Measures

衛生植物検疫措置:人・植物・動物の生命・健康を守る手段

貿易に与える影響を最小限にすることを確保

すべての衛生・動物検疫措置が対象

動植物検疫に関する措置

有害動植物等の侵入等によって生ずる危険から国内の動植物の生命・健康を保護すること(病 害虫発生国からの輸入禁止,検査証明書の添付等)

食品衛生および飼料安全に関する措置

飲食物又は飼料に含まれる添加物,汚染物質等によって生ずる危険から国内の人・動

物の生命・健康を保護すること(食品添加物・飼料添加物や残留農薬の基準設定,輸入時の検 査等)

人畜共通伝染病等に関する措置

動植物等によって媒介される病気によって生ずる危険から国内の人の生命・健康を保護するこ と(発生地からの輸入禁止,衛生証明書の添付等)

(43)

SPS

協定

食品の安全性と貿易との関係についての規定

人の生命・健康を損なう食品の輸入や食品・動植物の輸入を通した病気 や病害虫の侵入を防ぐのが目的

技術的な基準などの

SPS

措置の導入(生産方法・パッケージ・表示などを 輸入国仕様にあわせる)による生産コストの増加

• EC

の米国産ホルモン牛肉の輸入禁止

米国のコスト上昇

国内生産者の保護という視点からは、関税よりも厚生が劣る政策

関税が譲許されているために、貿易措置の代替的手段としてのインセン ティヴあり

• WTO

以前は東京ラウンドで合意されたスタンダード協定があったが、最終 製品の規格の規律を目的としており、殺菌の方法など生産工程に関する 規律としては不十分であった

(44)

マンゴスチン輸入の例

マンゴスチン:熱帯果実の女王

栽培地域 ミカンコバエ種群

(

輸入禁止対象害虫

)

の分布地域

植物検疫上の理由により輸入禁止

タイ産マンゴスチン生果実

H15

より輸入許可

ミバエの卵や幼虫を完全殺虫できる蒸熱処理が確立

果実を飽和蒸気の熱で殺虫(

47

度・数時間

)

(45)

SPS

協定の経済効果

(

小国の場合

)

口蹄疫発生に伴う 供給曲線のシフト

(46)

SPS

協定の経済効果

技術的な基準導入(SPS) によるコスト上昇

参照

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