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産業組織と国際貿易(1)

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(1)

産業組織と国際貿易(1)

その他のタイトル Industrial Organization and International Trade (1)

著者 小田 正雄

雑誌名 關西大學經済論集

巻 43

号 1

ページ 1‑13

発行年 1993‑04‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/13801

(2)

論 文

産業組織と国際貿易 (1)

小 田

雄*

l

〕 序

1 9 8 0 年代は国際経済学の分野でいくつかの新しい前進がはかられたが, とり わけ, Economieso f  S c a l e と I m p e r f e c tC o m p e t i t i o n のもとで貿易理論と 貿易政策の展開が試みられるようになったことは, 最も注目すべきである。

Economies o f  S c a l e と I m p e r f e c tC o m p e t i t i o n のもとでの貿易理論は,

New Trade Theory ないし I n d u s t r i a lO r g a n i z a t i o n  Theory o f  Trade と いわれ, B r a n d e r ,D i x i t ,  E t h i e r ,  Helpman, Krugman, Markusen, S p e n c e r   などによって究明され, すでに D i x i tand Norman 「 T h e T h e o r y  o f  I n t e r ‑ n a t i o n a l  T r a d e

( 1 9 8 0 ) , Helpman and Krugman

M a r k e tS t r u c t u r e   a n d   F o r e i g n  T r a d e

( 1 9 8 5 ) , Helpman and Krugman

T r a d eP o l i c y  a n d  M a r k e t   S t r u c t u r e 」 ( 1 9 8 9 ) (大山訳「現代の貿易政策」 ( 1 9 9 2 ) ) や,池間誠「国際複占競争 への理論」 ( 1 9 9 1 ) , 小島清「応用国際経済学」 ( 1 9 9 2 ) などの書物として結実し ている。

周知のように,国際貿易の 3 つのモデルである R i c a r d o モデル, H e c k s c h e r ‑ O h l i n モデル,および S p e c i f i cF a c t o r モデルは,完全競争と C o n s t a n tRe  t u r n s  t o  S c a l e を仮定し,産業間貿易の説明に大きな貢献を果してきた。 し

*NIES

ASEAN

の経済発展と

NewT r a d e  T h e o r y

に 関 す る こ の 一 連 の 研 究 に 対して, 市川国際奨学財団より研究費の助成を得ました。記して謝意を表します。

またこのような分野の研究の重要性を教えていただいた

M a r k u s e nJ . ,  C a v e s   R . ,   H e l p m a n  E . ,  C h a n g  W . ,  

小島清教授に謝意を表します。岩木稔氏,吉田達雄氏から

のコメントにも謝意を表します。

(3)

闊西大學『継流論集」第

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巻第

1

( 1 9 9 3

4

かし 1970 年代以降, 世界貿易の主流は, 産業間貿易から産業内貿易に移行し た。これを説明しようとして多くの試みがなされたが,基本的には完全競争と C o n s t a n t  R e t u r n s  t o  S c a l e の仮定を修正し, 不完全競争と V a r i a b l eR e ‑ t u r n s  t o  S c a l e のもとで貿易モデルを考えることが必要とされた。

しかし,ーロに不完全競争といってもさまざまなタイプであり,それに V a r i ‑ a b l e  R e t u r n s  t o  S c a l e を考慮すれば,実にさまざまなケースが生ずる。いわ ば特定のモデル毎に,違った結論が得られることになる。これまでこの分野で 発表されたペーパーはすでにかなりの数になるが,今後も多様な不完全競争の 形態を考慮したさまざまなモデルが展開されるであろう。

不完全競争の中では,ー産業ー企である独占が最も扱いやすい。しかし複占 や寡占の場合には,企業の反応や戦略的行動,さらに市場構造などを特定化し なければならず,また R e t u r n st o  S c a l e についても,その中のいずれを考え るかを特定化しなければならない。したがって,多様な結論が出てくることは 確実である。

しかし他方で, C o n s t a n tR e t u r n s  t o   S c a l e と完全競争を仮定する Heck‑

s c h e r ‑ O h l i n モデルでは, 例えば 輸出拡大のための保護 という, 我国な どで実際に行われてきた貿易政策が説明できないことも事実である。もし保護 によって国内市場が拡大し, E c o n o m i e so f  S c a l e のために長期平均費用が低 下して輸出拡大が可能になれば,保護は正当化されるかも知れない。

以下, NewTrade Theory ないし I n d u s t r i a lO r g a n i z a t i o n  Theory o f   Trade に関するさまざまなトビックスをとりあげていきたい。 まず今回は独

占のケースをとりあげ,そのような市場構造のもとでの貿易や貿易政策の効果 を考えてみたい。以下の分析は, Helpmanand Krugman  ( 1 9 8 9 ) と Vousden

( 1 9 9 0 ) によるところが大きい。

2

〕 独 占

独占のもとでの貿易を考えるとき,いろいろな枠組を考えることができる。

(4)

産業組織と国際貿易(1)(小田)

まず独占企業が自国にある場合と外国企業が独占である場合に分けることがで きよう。前者は国内の独占供給者が輸入圧力に直面することになり,後者は外 国の独占企業による輸出供給に対して,自国企業や政府がどのような対応をす るかということが問題になるであろう。そしてより一般的には,両国に独占企 業が存在し,一国の独占企業による供給に対して,相手国の独占企業がどう反 応するかが問題になるであろう。

また,両国の独占企業が供給する財が同質で完全な代替財であるか,差別化 された不完全代替財であるか, という側面から区別することもできる。 さら に,独占企業の費用が逓増するか,一定か,逓減するかという側面から分析す ることができる。またその分析手法も,一国内に 2 生産部門を想定する一般均 衡分析を行うか,問題の独占企業部門だけを考える部分均衡分析を用いるのか によって区別することができる。以下では,同質の完全代替財を仮定し,また 分析手法は部分均衡分析を用いることにする。また自国の独占企業について は,費用が逓増する場合と共に, Economieso f  S c a l e によって費用が逓減す る場合も扱う。

〔 A 〕 自国に独占企業がある場合

(1) 

費用逓増ケースにおける関税と輸入割当

自国のある財の生産が独占企業によって費用逓増のもとで生産され,しかも 外国からの輸入競争に直面しているとする。図 1 で , DD は問題の財に対する 自国の需要曲線, MR はこれから得られる限界収入曲線である。

pw

は外国の この国に対する輸出供給曲線,ないし価格線である。 LRMC と LRAC は自国 の独占企業の長期限界費用曲線と長期平均費用曲線である。もし閉鎖経済であ れば,自国の独占企業は pa の価格で xa を生産するが,自由貿易のもとでは 価格は

pw

になり,独占企業の生産量はゼロ,需要量,したがって輸入量は x f

である。

いま輸入(従量)関税によってこの独占企業を保護するとする。従量関税を t

(5)

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LR ル fC

P e  

Pb 

, , , , ,   1---—汽;+—+——---

J  I  J 

I  :  I  I 

I  I 

' 

M/?1  I 

l :  I  l 

I  I  I 

1 ' a

.rh 

. z ・ c   . r g  

° 

1

とすれば,輸入財の国内価格は pw+t となる。その保護効果は t の値による。

( a ) 如 +t<Pb の場合 この低い関税では生産量はゼロで, Jno+t=Pb になっ て始めて幼量が生産される。このとき需要量は xg であるので, x b x g が輸 入される。

( b )  

pb<.pw+t~pe の場合

t の上昇につれて LRMC にそって生産量は拡大 し,幼から x e に増える。同時に需要量は DD にそって減少し, p e の価格 では輸入量はゼロとなる。

( c )   p e < . p w  + t < . p a の場合 t の上昇につれて独占企業は DD にそって生産量 を減らし, A 点で独占価格 pa をつける。この場合,関税は生産量と雇用を 減少させる。

(d)

加 +t> 仰の場合独占企業は思い通りの価格を設定でき,その変化は生 産量を変えない。

以上のように,関税による保護効果は t の値によって異なるのである。

(6)

産業組織と国際貿易(1) (小田) 5

P

︑︐

ん P"+/="

Pb P〃

0

Z

功迩dreが増 ・ぴ 図2

次に関税に代って輸入割当によって独占企業を保護するとする。周知のよう に競争条件がみたされる場合には,輸入関税は輸入割当によって生ずるであろ う内外価格差と同一の価格差を生じさせるような水準に,輸入量を制限するこ とができるという点で両者は同等の効果を持っている。しかしBhagwati(1965) によって示されているように, ,独占が存在する場合には,両者は同じではな い。いま両者を比較するために,ある輸入関税のもとで行われる輸入量に等し い輸入量を,輸入割当によって実現するとする。

図2で,鋤< ノ+ノ="<p9の範囲のある関税#によって輸入財の国内価格

を引上げ,その結果輸入量が姉"オ'になるものとする。いまこの輸入量を輸入

割当によって実現するものとする。図2のDDは図1のDDに対応してお

り, Z,RMGZ,RACも共通であるo"鰯′の輸入割当を行うと, 自国の独占企

業の直面する需要曲線はDDを〃〃オ′だけ左側にシフトしたD'D' .になるの

で,D'D′に対応するA"で′とZ,RMCの交点に対応する価格〃と生産量苑9

が求められる。関税と比べて,輸入割当は国内での独占力を高め,生産量を城

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関西大學『純清論集』第

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D\

>

, ' し

P i n  

MR 

LRAC  LRMC 

'D 

xm 

3

から x q に引下げ,価格を p t から p q に引上げるのである。これが「自国企 業が独占の場合には, 関税と輸入割当は同等でない」という, Bhagwati 

( 1 9 6 5 ) の結論である。

(2) 

費用逓減ケースにおける保護

自国の独占企業の費用が Economieso f  S c a l e のために逓減し, しかも外 国からの輸入圧力に直面しているとする。図 3 で , Economieso f  S c a l e のた めに長期平均費用曲線 LRAC が逓減しているが,その場合 LRMC は LRAC より下方にあるので, pw=LRMC の B 点では利潤はマイナスで, したがって 生産はゼロである。 pw のもとでこの独占企業を保談して生産を行わせるため には, t の関税が必要である。 t の関税によって独占企業はゼロから x t に急 に生産を増やし,輸入はゼロになる。関税を引上げて行くにつれて独占企業の 利潤は増加し,生産蘊は低下する。関税の引げによってその独占力が高まるの であり,国内価格が pm になれば利潤は最大になり, 生産量は xm になる。

なお LRMC が右下がりの場合でも, MR が LRMC を左上から切下がる図 3

(8)

産業組織と国際貿易(1) (小田) 7

のC点のような場合は安定的である。

ところで, 関税オによるコストは台形"EA ノ+オで, 関税を引上げるに つれてそのコストは増加し,国内価格をp加にしたときのコストは自由貿易の 状態よりも台形"EA"沈だけ増加する。また費用逓増の場合には関税の引上 げによって独占企業の生産量は連続的に増える部分があったが, ここでの費用 逓減の場合には関税の引上げによって生産量はゼロから急に一定量に増え,

以降連続的に低下するのである。

このような費用逓減ケースにおける輸入割当は関税と比べてどう違うであろ うか。図2と図3から予想されるように,輸入割当は独占企業の直面する需要 曲線の弾力性を低下させることによって,関税の場合よりもさらに独占力を高 めるでああろう。なお,如十オは独占企業の利潤をゼロにするので, break eVenpriceといわれ, またその関税オは,nlade‑tomeasuretariff(Corden l974)といわれる。

(3)費用逓減ケースにおける生産補助金

Corden(1967)は, 自国の独占企業が費用逓減のもとで生産するとき, 関税 ではなく,財価格と限界費用を等しくするように生産補助金を用いれば,社会 的に利益を得ることができることを示した。図4でDDは需要曲線,伽はそ の財の外国価格, Z,RAQZ,RMCは独占企業の長期平均費用曲線と限界費用曲 線である。

もし自由貿易が行われれば,E点に対応する が伽の価格で輸入される ので,純利益は消費者余剰"EDである。他方,生産補助金を独占企業に与 えることによって,世界価格よりも低いpsでヵsを生産させるようにすれば,

純利益はpsSDからpsSTを引いた値, つまり TISDである。それはまた 加ノED+RSE‑伽RTである。 したがって, 自由貿易のときに比べて生産補助 金によって社会が利益を得るかどうかは,R3E‑pzoRTの値による。もしそれ がプラスであれば,生産補助金政策は自由貿易よりベターである。

以上のように,EconomiesofScaleによって費用が逓減する場合には,関

(9)

関西大學『継清論集」第

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4

LRAC 

x e   x s  

4

税は独占企業の独占力を高め,生産量を引下げて価格を引上げるので.経済厚 生を引下げるのであるが.生産補助金は価格を引下げて生産量を拡大し.経済 厚生を高める可能性を持っているのである。

(4) 

費用逓減ケースにおける輸出産業化

これまでは自国の独占企業は自国市場にのみ供給すると仮定してきた。しか し Economieso f  S c a l e のために独占企業の長期平均費用曲線が U 字形をし,

その財の外国価格があまり低くなければ,関税によってその財の輸出化を行う ことができる。いわば 保護による輸出産業化 が可能になる。

図 5 で , LRAC は PW より全ての生産水準のもとで高いので.このままでは

この財の生産を行うことはできないし,勿論輸出を行うことはできない。しか

し t の関税を課せば, x a の生産を行うことができる。 いまこの国内生産が

Economies o f  S c a l e を発揮し,しかも国内では p t で,外国では加)で売る

ことができるように価格の差別化を行うことができるものとする。国内で四

を p t の価格で売れば利潤はゼロであるが, x a x h を外国で売りその際 FGE<

(10)

産業組織と国際貿易(1) (小田) 9

P

A LRMC

H=P@0+j

LR AC E

E

日代

P〃

F G I

I

I I〃

0 <Z.

JIxz rb 、r〃

図5

GIHであれば,輸出からプラスの利益を得ることができる。つまり, 〃〃を生 産し,国内で〃αを〆で売り, ヵα""を外国で で売り, しかもF℃E<GIH であれば,保護によってこの財の輸出化が実現するのである。ただし,オーバ ーヘッド・コストは国内市場で回収し,輸出市場はマージナルな採算だけを考 えればよいようにしておかなければならない。しかしこのような状況は,独占 企業による輸出化が行われる場合に一般的にみられることである。

[B)外国に独占企業がある場合

以上では, 自国に独占企業があり,外国市場は完全競争的であり,⑦z"=一定)

その外国からの輸入競争に対する保護の効果を,費用逓増ケースと費用逓減ケ ースに分けて考察した。次に外国に独占企業があり, 自国企業は完全競争的で あるか, または自国には企業が存在しないとし,そのような場合における自国 の貿易政策の効果を考える。

前節では自国に独占企業がある場合,関税や輸入割当による輸入制限は,独

占企業の独占力を強め, 自国の経済厚生を低下させることが知られた。しかし

(11)

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闊西大學「親清論集」第

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4

外国企業が独占であれば,自国は外国の独占企業が自国の消費者から得ている 独占的レントの一部を貿易政策によって回収することができる。 これが B r a ‑ n d e r  and S p e n c e r   ( 1 9 8 4 ) らの主張でおる。貿易への介入が正当化されるので ある。まずこの主張を図示し,次に外国企業が独占の場合のさまざまなケース をとりあげ,貿易政策の効果を考えたい。

(1) 

費用一定の場合の関税政策

図 6 は外国の独占企業の限界費用が一定のとき,自国の輸入関税が自国の経 済厚生を高めることを示している。 DD' は自国の需要曲線, MR はそれから 得られる限界収入曲線である。 MC* は外国の独占企業の限界費用曲線で,こ れ は 机

0

の価格で一定である。 もし自由貿易が行われれば, E 点に対応する x e が自国の輸入量である。自国の経済厚生は pwED である。いま外国の独占 企業が利潤最大化を行えば, B 点に対応する pm が価格で,輸出量が xm で , その独占利潤は PwBApm である。しかしこれは自国から外国に流出する。そ してそのときに得る自国の利益は pmAD で,この消費者余剰が自国の得る唯

Pt=Pw+t 

MC*'  MC* 

D' 

6

(12)

産業組織と国際貿易(1)(小田) 11 

ーの利益であ。このような場合,自国は貿易政策によって自国の利益を高める ことができるのである。

いま自国が従量関税 t を課すと, 外国の供給曲線は MC*' にシフトアップ し , B ' 点が新しい均衡点になり,自国の価格は p t ' に上昇し,輸入量は x t に 減少する。自国の消費者余剰は p t ' A ' D に減少し,外国に流出する利潤は pw+

t B ' A ' p t ' に減少する。他方自国には関税収入 pwFB'pw+t が入る。 DD' 曲線 と MR 曲線の傾斜の違いから, E'AA' の部分が小さければ,関税収入は自国 の消費者余剰の減少より大きく,自国の余剰は増加する。それ故に,外国に流 出する利潤を減らすことができる。したがって,外国企業が独占の場合,自国 は輸入関税を課すことによって,そうでない場合よりも経済厚生を高めること ができるのである。これが B r a n d e rand S p e n c e r   ( 1 9 8 4 ) の主張である。

ところで,図

6

から明らかなように,関税収入の増加が消費者余剰の減少よ り大きく,したがって自国の厚生が増加するのは, MR の傾斜が DD' のそれ よりも大きいことによる。もしその関係が逆転すれば,輸入を拡大する輸入補 助金政策がとられるべきである。

( 2 )   費用逓増の場合の貿易政策

次に外国の独占企業の供給曲線が右上がりの場合の貿易政策を考えよう。図

7 の S " ' S " ' ' がそれを表わす。もし外国の供給曲線(それは自国にとっては,輸入の 平均費用である)が右上がりであれば,自国の輸入の限界費用 MC* はそれより

も上方にくる。もし自由貿易が行われれば, 価格は P e , 貿 易 量 は 咋 で あ る から,自国の厚生は peED である。

ところで,外国の独占企業にとっての最適価格は p a , 輸出量は x a , 最大利 潤は pbBApa である。したがって,そのときの自国の厚生は消費者余剰 paAD である。 しかし自国にとってこの最適点はその財に対する評価を表わす価格

(それは DD' 線で示される)とその財を得るための限界費用線 S " ' M び と の 交 点

H である。それは HG=t の関税を課すことによって実現できる。その場合

の自国の厚生は, phHD の消費者余剰と pgGHph の関税収入の和である。他

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1 2  

隅西大學「網清論集』第

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( 1 9 9 3

4

S * '  

M R  

D' 

・ a xg  x e  

7

MC*' 

Pw 

ヽヽ

M  R 

MC* 

D' 

D"=mq 

8

1 2  

(14)

産業組織と国際貿易(1)(小田)

1 3   方,外国の独占企業が最適価格 paで加を輸出するときには,外国は S " ' ‑ B p b の生産者余剰と pbBApa の利潤の和の利益を得ているのであるが,自国が最適 関税 t を課した場合には外国の利益はデ Gpg の生産者余剰に減少している。

したがって,自国が最適関税 t を課すことによって,外国の独占企業の得るレ ントを自国に回収することができるのである。

(3) 

費用一定の場合の輸入割当

その財の輸入量を図 6 の x t になるように, 自国が輸入割当をした場合はど うなるであろうか。この場合自国の需要曲線は図 8 のように A' 点で折れ曲が り , DA'D" になり, したがって M R曲線は, DB'D" になる。価格は pqに なり,それは限界費用 M びを上回る。輸入割当による収入は全て外国の独占 企業が吸収するので,自国の厚生は消費者余剰 pqA'Dになり,図 6 の関税政 策の場合より自国の厚生は低下する。したがって,外国が独占企業の場合の輸 入割当は,関税よりも自国にとって不利になるのである。

R e f e r e n c e s  

1) Bhagwati  J . ,   "On t h e  E q u i v a l e n c e  o f  T a r i f f s  and Q u o t a s " ,  i n  Baldwin R .  e t   a l .   e d ,   T r a d e ,  G r o w t h ,  and t h e  B a l a n c e  of P a y m e n t s  ( 1 9 6 5 )  

2) B r a n d e r   J .   and B .  S p e n c e r ,  " T a r i f f  P r o t e c t i o n  and I m p e r f e c t  C o m p e t i t i o n " ,   i n  H .  K i e r z k o w s k i  e d ,  M o n o p o l i s t i c  C o m p e t i t i o n  and I n t e r n a t i o n a l  T r a d e  ( 1 9

3) Gorden M . ,  " M o n o p o l y ,  T a r i f f s  and S u b s i d i e s " ,  E c o n o m i c a  ( 1 9 6 7 )  F e b .   4) C o r d e n  M . ,  T r a d e  P o l i c y  and E c o n o m i c  W e l f a r e  ( 1 9 7 4 )  

5) Chang W. and S .   K a t a y a m a ,  " T h e o r y  and P o l i c y  o f   Trade w i t h  I m p e r f e c t   C o m p e t i t i o n " ,  mimeo ( 1 9 9 2 )  

6) E t h i e r  W. Modern I n t e r n a t i o n a l  E c o n o m i c s ,  2 n d   e d .   1 9 8 8 ,  

小田・太田訳「現代国 際経済学」(国際貿易)

( 1 9 9 2 )  

7) Krugman P . ,   R e t h i n k i n g  I n t

n a t i o n a lT r a d e ,  1 9 9 0   8) Vousden N . ,   The E c o n o m i c s  of T r a d e  P r o t e c t i o n ,  1 9 9 0  

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参照

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