国際農業経済論
特恵貿易協定
Preferential Trade Agreement
• WTO vs PTA’s (CU,FTA, EPA)
• CU
:域内では自由貿易、域外に対しては共通関税 域内での生産要素の完全自由化(
労働、投資)
基準の統一化、通貨の統一化
• FTA
:域内では自由貿易、域外に対しては各国独自の関税 原産地規制Rules of Origin (ROO)
世界の主要な地域統合
種類 (発足時期)
NAFTA 自由貿易協定
北米自由貿易協定 (1994.1)
EU 関税同盟
欧州連合 (1967.7)
単一市場 (1993.11)
MERCOSUR 関税同盟
南米南部共同市場 (1995.1)
ANZCERTA 自由貿易協定
オーストラリア・ニュー ジーランド経済関係緊密化 協定
(1966.1)
米国・カナダ・メキシコ
ベルギー・デンマーク・フランス・ドイツ・ギリシャ・ア イルランド・イタリア・ルクセンブルグ・オランダ・ポス トガル・スペイン・オーストリア・スエーデン・フィンラ ンド・エストニア・ラトビア・リトアニア・ポーランド・
チェコ・スロバキア・ハンガリー・ルーマニア・ブルガリ ア・スロベニア・クロアチア
アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ・ウルグアイ
オーストラリア・ニュージーランド
名称 主要参加国
日本の経済連携協定
(EPA)
・自由貿易協定(FTA)
•
発行済・著名済シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブル
ネイ、
ASEAN
全体、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、
TPP
•
交渉妥結・実質合意 日EU
・EPA(
交渉妥結)
日
ASEAN
・EPA
の投資サービス交渉(
実質合意)
•
交渉中コロンビア
(
交渉中)
、日中韓(
交渉中)
、RCEP(
交渉中)
、トルコ(
交渉中)
地域経済統合の経済効果
•
貿易創出効果と貿易転換効果•
貿易創出効果輸入財の価格低下に伴う経済厚生の増加
•
貿易転換効果協定に参加しない国から協定参加国に輸入先を転換することによる 効果
地域経済統合の経済効果
最も低い供給価格 関税賦課後の価格
協定メンバー国の供給価格(無関税)
自国の供給曲線 自国の需要曲線
地域経済統合の経済効果
Pc Pb Pc+T Pb+T
FTA:自国(a国)とb国が締結 E0
EFTA
地域経済統合の経済効果
Pc Pb Pb+T Pc+T
E0
EFTA
FTA:自国(a国)とb国が締結
地域経済統合の経済効果
Pc Pc+T
EDa ESb+T
ESb
FTA:自国(a国)とb国が締結 E0 EFTA E’0
地域経済統合の経済効果
Pc Pc+T Pb
ESb+T
ESb
EDa
地域経済統合の経済効果
•
これまでの議論は、部分均衡ベース•
当該財について、a
国は輸入国だが、輸出財も存在•
一般均衡ベースで評価すべき•
貿易に対する効果だけではなく、資本移動(海外直接投資)に対す る効果も考慮すべきTPP
の影響評価•
農林水産省によるTPP11
の影響試算• GTAP
モデルによる試算例農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
農水省の試算 農林水産物の生産額への影響について(TPP11) 農林水産省平成29年12月
TPP
の影響評価• GTAPモデル(https://www.gtap.agecon.purdue.edu/)
• 米国Purdue大学で1990年代後半に開発
• ベンチマークデータは数年ごとに更新(現在version9)
• 140カ国・地域、57財、5生産要素(土地、未熟練労働、熟練労働、資本、
天然資源)
• 消費構造:予算制約下の効用最大化
• 生産構造:原材料投入はレオンチェフ型、生産要素はCES型
• 生産要素供給は非弾力的
• 輸入財はArmingtonの仮定(生産地による差別化)
• 市場均衡(国内財市場、要素市場、国際市場)を前提
TPP
の影響評価•
21世紀政策研究所『農業再生のグランドデザイン』•
地域経済統合の効果を評価(TPP
、ASEAN+3
、APEC
、WTO)
•
モデルの構造• 17
財(
稲作、小麦、畜産、酪農、その他農林漁業、鉱業、精米、食肉、酪農 製品、その他加工食品、繊維、化学、金属、輸送機械、電気機械、その他 製造業、サービス)
• 3
生産要素(
農地・労働・資本)
• 23
ヶ国・地域(
オーストラリア、ニュージーランド、中国、日本、韓国、台湾、カンボジア、インドネシア、ミヤンマー、マレーシア、フィリピン、シンガポー ル、タイ、ベトナム、インド、カナダ、アメリカ、メキシコ、チリ、ペルー、
EU
、 ロシア、ROW)
TPP
の影響評価TPP
の影響評価TPP
の影響評価TPP
の影響評価•
等価変分への影響• TPP
に参加すると147
億ドル(
約1.5
兆円)
、参加しないと5.5
億ドル(550
億円)
の損失• TPP
、ASEAN
、APEC
、WTO
を比べるとWTO
による自由化の便益が最 大で412
億ドル(
約4.1
兆円)
•
一般に、FTA
に参加しない国・地域の経済的便益はマイナス• WTO
シナリオでマイナスの効果が出る理由は不明(
関税以外のディストーションの影響であると思われる)
TPP
の影響評価•
貿易自由化で地代が大幅に下落•
農産物価格も大幅に下落•
米の生産量は66%
減少、小麦の生産量は76
%減少、酪農製品は16
%の減少•
モデルを構成する効用関数・生産関数の形状(諸弾力性の値)に よって、影響の大きさが変わる可能性が大きい•
影響評価については、数多くの研究があるので、前提条件の違い、影響の違いなどについて、調べてみよう。