接触と変容の諸相 : ポリネシア人口移動と史的構 造論 : 西サモアの事例を中心として
著者 柄木田 康之
雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊
巻 006
ページ 331‑352
発行年 1989‑02‑20
URL http://doi.org/10.15021/00003740
柄木 田 ポ リ「 ネ シ ア人 口 移 動 と史 的構 造 論
ポ リ ネ シ ア 人 口 移 動 と 史 的 構 造 論 西サモアの事例 を中心として
柄 木 田 康 之*
1.は じめ に
HO人 口移 動 研 究 に お け る史 的構 造 論 皿.西 サ モ アか らニ ュ ー ジー ラ ン ドへ の人 口 移 動 の概 略
IV.ニ ュー ジ ー ラ ン ドにお け る複 層 的 労働 市 場
V.西 サ モ ア社会 の侵 食 と維持 VI.社 会 ・経 済 的地 位 とネ ッ トワ ー ク 田.周 辺社 会 の エ リー ト形 成 皿.結 び にか え て
1.は じ め に
第 三 世 界 に お け る人 口移 動 は,近 代 化 理 論 で想 定 され る農 村 か ら都市 へ の0回 性 の 移 住(migration)で は な く,最 終 的 には起 点 に戻 って い く 「 還 流 的 人 口移動(circu‑
lation)」 を特 徴 とす る と近 年 指 摘 され て い る[CHAPMAN and PRoTHERo 1983]。
還 流 的 入 口移動 は,定 義上,移 動者 と生 家 の社 会 関係 の分 断 を意 味 せ ず,近 代 化 理論 に お いて は 伝統 社 会 か ら近 代 社 会 へ の変 化 の過 程 上 の過 渡 的段 階 を しめ す と捉 え られ て きた[Z肌INSKY l979]。 しか しな が ら,多 くの 開発 途 上 国 で 還 流 的 人 口移 動 が広 範 かつ 永 続 的 な こ とが あ き らか とな る に つ れて,還 流 的人 口移 動 を 含 め た 人 口移 動 全 体 に対 す る新 た な解 釈 が求 め られ て きて い る。 これ は 同時 に,多 くの 開 発途 上 国 が先 進 諸 国 とは異 な る独 自 の社 会 経 済 的発 展 を遂 げて い る とい う認 識 に も とつ くもの で あ
る。
従 属発 展 論 は,近 代 化 理論 に お け る 「伝統/近 代 」 と い う非 歴史 的二 元 論 に対 す る ア ンチ ・テ ー ゼ と して 提 出 され,社 会 経 済 発展 の研 究 に関 す る高度 に史 的な 研 究 法 で あ る 。従 属 発 展 理 論 の 基 本概 念 は 中心(core)と 周 辺(periphery)で あ る[(腥IROT and HaLL l982]。 ヨ ー ロ ッパ の拡 張 以 降 の資 本 主 義 的 世 界経 済 の動 因 は空 間 的 分 業 の 拡 大 で あ った 。 この 世 界経 済 は高 度 に発 展 した 中心 を生 み 出 した。 しか しな が ら,
中心 は そ の拡 張 の 動 因 とな る余 剰 を引 き出 す周 辺 を必 要 と し,周 辺 社 会 の経 済発 展 を
*鹿 児島大学南太平洋海域研究セ ンタよ
犀立民族学博物館研究報告 別紐6号 阻 害 した[FRANK l969]。 同時 に資 本 主 義 的世 界 経 済 の 中心 の変 化 が,周 辺 社 会 を も含 ん だ全 体 シス テ ムの 動 態 を規 定 し た と さ れ る[WALLERSTEIN l974;CHASE‑
DuNN and RuBINsoN l977]。 この 枠組 み に お いて は 第 三 世 界 に お け る移 動 者 は 搾 取 され た労 働者 と見 な され る。
太 平洋 地域 で は島 嗅,さ らに は 国家 を越 え た広 範 な 社 会 的 ネ ッ トワ ー クが親 族 関 係 に も とづ き成 立 して い る こ とが指 摘 され て い る。 この よ うな ネ ッ トワ ー クは都 市 化 と と もに進 展 して きた もの で あ り,単 な る伝 統 的 紐 帯 以 上 の もの で あ る。還 流 的 人 口移 動 は この よ うな ネ ッ トワ ー クを基 礎 づ け る人 口移 動 パ タ ー ンで あ る。 本論 は,既 存 の 文献 資 料 を も とに,ポ リネ シァか らニ ュー ジー ラ ン ドへ の還 流 的人 口移 動 を含 め た 人 口移 動 を 考 察 し,従 属 発 展 論 を も含 め た史 的 構 造論 の有 効 性 と限 界 を考 察 しよ う とす る もの で あ る。
皿.人 口移動 研 究 にお け る史 的構 造 論
史 的 構 造 論(historical structuralism)は 従 属 発 展 論(dependency theory)と そ の 発 展 形 た る 世 界 シ ス テ ム論(world system theory),お よ び フ ラ ン ス 構 造 マ ル ク ス 主 義 に 端 を 発 す る生 産 様 式 の 結 節(articulation of modes of production)を 重 視 す る 立 場 に 二 分 し う る 。 こ の 枠 組 み で は,社 会 の 伝 統 ・近 代 部 門 は 発 展 段 階 で は な く, 単 一 の シ ス テ 云 を 構 成 す る 部 分 と して 理 解 さ れ る 。 こ れ ら の 研 究 は 伝 統 部 門 の 近 代 部 門 へ の 変 換 で は な く,複 数 の 部 門 を 統 合 す る シ ス テ ム 全 体 の 再 生 産 ・変 換 を 問 題 と す る 。 し た が っ て,従 属 発 展 論 は,人 口 移 動 研 究 に お い て 顕 著 な ミ ク ロ経 済 学 的 モ デ ル の 限 界 を 克 服 す る 利 点 も持 つ 。 人 口 移 動 に 関 して 個 人 レ ベ ル で 行 わ れ る コス ト ・ベ ネ フ ィ ッ ト分 析 は諸 資 源 ・経 済 的 機 会 が 空 間 的 に 不 均 等 に分 布 して い る こ と を 前 提 と す る 。 し か し な が ら,こ の 空 間 的 不 均 衡 は,そ れ 自体 が,歴 史 的 な 社 会 経 済 発 展 の 全 体 的 ス タ イ ル に よ っ て 規 定 さ れ て い る。 従 属 発 展 論 の 枠 組 み で は,個 人 レ ベ ル の 意 志 決 定 は,選 択 肢 の 分 布 を 規 定 す る 構 造 の 表 出 に す ぎ な い[AMIN l974]。 問 題 と さ れ る の は,伝 統 か ら近 代 へ の 斉 一 的 変 換 を 前 提 と せ ず,個 人 の 意 志 決 定 を 規 定 す る 深 層 構 造 の 史 的 発 展 を 明 ら か に す る こ と で あ る 。
ア ミ ン に よ れ ば,第 三 世 界 に お い て,労 働 力 と 同 等 に可 動 な 資 本 で は な く,人 々 が
都 市 に 移 動 す る こ と は,外 的 経 済 を 利 す る 体 制 の 強 要 を 顕 して い る 。 従 属 発 展 論 は 人
口 移 動 の 過 疎 地 域 に あ た え る 影 響,特 に 周 辺 地 域 か ら の 継 続 的 人 口 流 出 を 重 視 す る 。
こ の 現 象 は 人 口 移 動 に よ る 都 市 と 農 村 の 雇 用 ・労 働 比 の 均 衡 と い う経 済 的 前 提 に 反 す
柄木 田 ポ リネシア人口移動 と史的構造論
る が,従 属 発 展論 の 枠 組 み で は,農 村 か ら都 市 へ の人 口流 出,国 際 移 民,頭 脳 流 出, 第 一 次 産 品 の 輸 出 は,単 一 の構 造 の 表 出,つ ま り周 辺 地 域 か ら 中心 地域 へ の資 源 の 流
出 と して 理 解 さ れ る。 この結 果,中 心経 済 に支 配 さ れた 周 辺 経済 の余 剰 は 継 続 的 に流 出 し,周 辺 経済 は枯 渇 ・停 滞 す る。
しか しな が ら,従 属 発 展論 に お け る 中心 と周辺 の二 元 論 自体 は 人 口移 動 に関 す る静 的 な視 角 に停 ま らざ るを え な い。 第一一に従属 発 展 論 に お いて は,周 辺 地 域 自体 が なぜ 存 続 しう るの か が 明 らか で はな い。 逆 に 周辺 地域 自 体 が存 続 し経済 的 に発 展 して い る
の は経 験 的 事 実 で あ る。 さ らに従 属 発 展 論 の二 元 論 は構 造 変 化 の 条件 を特 定 しえ な い。
中心 ・周 辺 は両 極 と して の み存 在 す るか らで あ る。 世 界 シス テ ム論 の枠 組 み で は,労 働 移 動 は 中心 と周 辺 間 の二 者 関 係 の 過 程 と してで はな く,単 一 の世 界 シス テ ムの 内 的 動 態 と して 理 解 さ れ る。世 界 シス テ ム論 の枠 組 み で は,資 本 主 義 的世 界 経 済 にお い て,
中心 ・周辺 な どの 下 位 シス テ ムは 全 体 シス テ ム 内で 移 行 し う るが,他 方 全 体 シス テ ム は,そ の 基本 的秩 序 を 変 え る こ とな く,常 に維 持 され る と理 解 さ れ る。 言 い換 え る と, 世 界 シス テ ム の構 成単 位 は周 辺 か ら,半 周 辺 あ る いは 中心 に移 動 しう るが,中 心 一 周 辺 関係 は維 持 され るの で あ る[CHAsE‑DuNN and RuBINsoN l977]。
ポ ル テ ス に よれ ば,資 本 主 義 的 世界 シス テ ムの 発 展 に関 す る人 口移動 の重 要 性 は, 二 つ の 関連 した 特 質 にあ る[PORTES 1978]。 つ ま り安 価 な 労 働力 資 源 と して の 移動 者 と,資 本 主 義 の 浸透 とい う拘束 下 に お け る,周 辺 社 会 の搾 取 され た 階級 の戦 略 と し て の人 口移 動 と い う,二 つ の 側 面 で あ る。 周 辺 地 域 の 労 働者 階 級 は,し ば しば空 間 上 不均 等 に分 布 した経 済 的機 会 を 利 用 しよ う とす るが,構 造 的 レベル で は,中 心 と周 辺 の経 済 関 係 が,移 動者 に その 労 働力 を必 要 と され る地 域 で最 も安 価 に売 ら しめ る よ う 条 件づ け る ので あ る。 従 属 発 展論 は租 税 ・強 制 労 働 ・商 品経 済 の浸透 な ど が人 口移 動 の 意志 決 定 に与 え る構 造 的 拘束 を 明 らか に して きて お り,そ れ 自体 は構 造 決定 論 の 立 場 を と るが,あ る意 味で は人 口 移動 研 究 に対 す る ミク ロお よ びマ ク ロ的視 点 の統 合 の 可 能 性 を提 示 して い るの で あ る[WoOD 1981]。
ポル テ ス によ れ ば,人 口移 動 は単 一 の 世 界 シス テ ム に組 み込 ま れ るよ うにな った 労 働 力 の 利 用 が 問題 で あ り,こ の利 用 は以 下 の 四 つ の条 件 に も とつ く。 第 一 に労 働 移動 は地 域 間 の 経済 的利 点 の比 較 を通 じて 生 ず る の で は な く,世 界 シス テ ム の 中心 地 域 の 経 済 ・政 治 制度 の周 辺 地 域 へ の浸 透 に よ って生 ず る。 第 二 に資本 主 義 経 済 の 世 界 規模 で の 漸 進 的 統合 に よ り,周 辺 地 域 の 支配 階級 が労 働 力 の解 放 を よ り利 益 と見 る状 況 が 生 まれ て い る。 第 三 に移 動者 を安 価 な 労 働力 と して利 用す るた め の移 動 者 の 地 位 の操 作 が可 能 で あ る こと。 第 四 に移 動 者 が,生 存 あ る い は経 済 的 利 益 の確 保 の 手 毅 と して,
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国立民族学博物館研究報告 別冊6号 自 ら相 互扶 助 の ネ ッ トワー ク を形 成 し,そ れ に依 存 しうる こ とで あ る。
他方,フ ラ ンス構 造 マ ル ク ス主 義者 は単 一 の世 界 シス テ ム よ りも個 々の社 会 編 成 体 か らの視 点 を 強調 す る。 メイ ヤ ス ーに よれ ば,重 商 主 義 ・資本 主 義 的 制 度 の 周辺 社 会 へ の浸 透 は失 敗 す る か,非 資 本 主 義 社 会 を根 本 的 に変革 せ ざ るを え な い。 と ころ が, いわ ゆ る 「 農 民 の保 守 性 」 で は な く,む しろ周辺 資 本 主 義 の特 徴 自体 が,非 資 本 主 義 社 会 編 成 体 の維 持 の 鍵 とさ れ る の で あ る[MEILLASSOUX l 972,1977]。 生 産 の前 提 と して 生 命 の再 生 産 を 前提 とす る こ とで 特 徴 づ け られ る リネ ー ジ生 産 様 式 は,包 括 的経 済 ・社 会 ・人 口体 系 を 構 成 し,社 会 保 証 体 系 と して機 能 し うる。 メ イ ヤス ーは,こ の リネ ー ジ生 産様 式 が 社会 保証 機 能 を果 た しう る ことが,都 市 の複 層 的労 働 市 場 と還 流 的人 口移動 の共 生 関 係 の 前提 条件 で あ る とす る。租 税 ・商 品経 済 ・強 制 労 働 の た め に, 周 辺 地 域 の 人 々は賃 金 労 働 を 余 儀 な くさ れ るが,非 公 式 的 経済 部 門 に参 与 す るた あ, 雇 用 の み か らは完 全 な 生 計 を 維 持 で きな い。 この た め彼 らは,周 期 的 に故 郷 に戻 り・
非 資本 主 義 的 生 産様 式 に も参 与 す る よ う仕 向 け られ る・ こ こで 労 働 者 は 自 らの労 働力 を 維持 す る賃 金 を雇 用者 か らえ るが,家 族 の再 生 産 と して の 労 働 力 の再 生 産 は親 族 集 団 な ど に委 ね られ る ので あ る。 労 働 力 の再 生 産 まで を視 点 に含 め れ ば,安 価 な労 働 力 は,賃 金 労働 者 ばか りで はな く,そ の 親 族 集 団 を も含 め た二 重 の 搾 取 に依 存 す る ので あ る。 した が って,賃 金 労 働 者 ばか りで な く,周 辺資 本 主 義 に と って も,移 動 者 の家 族 ・村 落 共 同 体 と の関係 の維 持 は必 須 事 項 で あ る。 この よ うな資 本 主 義 的 経 済 へ の併 合 の た め,農 村 共 同 体 は 同時 に侵 食 ・維 持 され,資 本 主 義 にス ム ー ズ に移行 せ ず,長 期 にわ た る危 機 を経 験 す るので あ る。 この よ うな構 造 は 一 つ の社 会 編 成 体 にお い て 資 本 主 義 ・非 資 本 主 義 的生 産様 式 が結 節 した 構造 と理 解 され る。
資 本 主 義 的世 界 シス テ ムの 周 辺 地 域 の 浸透 が周 辺 社 会 に対 して もつ 影 響 は,周 辺 社 会 を 同時 に侵食 し維 持 す る と い う矛 盾 を は らん だ もので あ り,こ の矛 盾 を概 念 化 す
る とい う こと は 史 的 構 造 論 の大 きな 課 題 の一 つ で あ る[BURAWAY l976;McGEE l982;MEILLASSOUX 1972,1977]。 こ こで 還 流 的 人 口移 動 は,資 本 主 義 の周 辺 社 会 に対 す る浸 透 の 矛盾 と して 現 れ る。 世 界 シス テ ム論 は単 一 の世 界 シス テ ム 内 の 中心 ・ 周 辺 間 の不 等 価 交 換関 係 にそ の 条 件 を求 め た。 メイ ヤ ス ー を筆 頭 とす るフ ラ ンス構 造
マ ル ク ス主 義 者 は,単 一 の世 界 シス テ ム よ り も周 辺 社 会 の多 様 な 社 会 編 成 体 か らの視
角,特 に労 働 過 程 に お け る親 族 集 団 の 搾 取 を 強 調す る。両 者 の間 の論 争 には 激 しい も
の が あ った が,こ こで は 両者 の視 角 は矛 盾 す る もので は な く,補 完 的 な もの で あ る と
述 べ る に留 め て お きた い[FOSTER‑CARTER l978]。
極木田 ポリネシア人 口移動 と史的構造論
皿・ 西 サ モ ア か ら ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 人 口 移 動 の 概 略
西 サ モ アに 関 す るい くつ か の 既 存 の研 究 を 総合 す る と,史 的 構 造 論者 の論 点 が支 持 され る。 つ ま り,移 動 労働 者 を通 しで世 界 シ ス テ ム に組 み込 ま れ た,西 サ モ アの社 会 構 造 は侵 食 され る と 同時 に維 持 され た と考 え られ る。 ポ リネシ ア系 の移 動 労働 者 は, ニ ュー ジー ラ ン ドの 複 層 的 労働 市 場(fragmented labor maket)に おい て,そ の社 会 移 動 壷 阻 ま れ た。 ま た西 サ モ ア 側 で は,移 動 労 働 者 か らの 仕 送 りが,西 サ モ アの 既存 の社 会 階層 を維 持 す る よ うに 用 い られ た。西 サ モ ア の移 動 労 働 者 は,親 族 関係 の ネ ッ
トワー クを通 じて ニ ュー ジー ラ ン ドへ の還 流的 移動 労 働 を 行 って い た と考 え られ る。
しか し,親 族 関係 を通 した移 動 労 働 も,複 層 的 労 働市 場 の 特 定 の 層 に 人 々 を編 入 す る とい う意 味 で,既 存 の労 働 市 場 の構 造 を維 持 す る もの で あ った 。 以 上 の諸 点 は,ポ ル
表1‑a 西 サモ ア人 によ る国 際 移動 一 純移 動 一 西 サ モ ア に ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドに お け る 純 移 動
年 おける純移動
(1) (2) (3)
1964 595 1965 一467 444 1966 一1204 820 1967 一1065 1370 1968 一1372 347 1969 596 1970 1442 1971 1972 1560・ 1862
1973 一2238 2047 1829
1974 一4090 3225 3101
1975 一2482 2635 2989
1976 一1193 1214 1718
1977 一2796 336 636
1978 1332 一140 552
1979 371 480
1980 315 741
1981 一2108 1073
1982 283
出 典:(1)Western Samoa Quarterly Statistical Bulletins [CONNELL l983:32]
(2)New Zealand Statistics of External Migration
l977‑1978, Table 3,[DouGLAs l985:419]。 西
サ モ ア人 は エ ス ニ シ テ ィ ー と して 定 義 さ れ て い る 。
(3)The Department of Statisticsに よ る未 刊 の 資 料
[BEDFoRD ,1981:121]
表1‑b 西 サ モ ア人 に よ る国 際移 動
国立民族学博物館研究報告 別 冊6号 一 出入 国 一
西 サ モ ア (1) ニ ユ ー ジ ー ラ ン ド (2)
年 出 国
入 国
総 数 隈 リ 潔 陰 ジ歌 入 国 出 国
1964 1947 1352
1965 9867 10334 2046 1602
1966 9295 10499 2721 1901
1967 11031 12096 3374 2004
1968 9990 11362 2600 2226
1969 15729 2418 1882
1970 15436 3996 2554
1971 4508
1972 5834 4274
1973 15294 17532 6194 4147
1974 19193 23283 9222 5997
1975 19797 22279 8575 5940
1976 18707 19900 8249 4698 7084 5870
1977 20807 23613 10990 4185 4600 4264
1978 25257 26589 12472 4047 4420 4560
1979 22405 22034 9872 6407
1980 39563 39248 25304 8093
1981 43627 45735 31582 8035
1982 39434 39141
出 典:(1)Western Samoa Quaterly Statistical Bulletins[CoNNELL l983:32‑33]
(2}New Zealand Statistics of External Migrat三 〇n l 977‑1978, Table 3[DouGLAs l985:419]
テ ス の 述 べ る,世 界 シ ス テ ム の 浸 透,周 辺 社 会 の 支 配 層 に対 す る労 働 移 動 の 利 益,移 動 労 働 者 の 地 位 の 操 作,移 動 労 働 者 の 相 互 扶 助 と い う四 つ の 条 件 を 充 た す も の で あ り, 以 下 で は こ れ らの 諸 点 を 検 討 し た い 。
し か しな が ら,多 く の 研 究 は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 国 際 移 民 を 強 調 す る が,移 動 の 流 れ や タ イ プ を 体 系 的 に 区 別 して い な い こ と を 留 意 せ ね ば な ら な い 。 西 サ モ ア の 人 口 移 動 で は,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 国 際 移 住 が 経 済 的 影 響 の 面 で は 最 も 重 要 で あ る か も
しれ な い が,規 模 の う え で は ア メ リカ ン ・サ モ ア へ の 移 住 が 最 も大 き か っ た 。
西 サ モ ア か ら の,ま た 西 サ モ ア へ の 国 際 移 動 に 関 す る信 頼 し う る 統 計 を 得 る こ と は
難 し い 。 しか し な が ら,こ れ らの 統 計 は,数 値 上 は 一 貫 しな い が,歴 史 的 資 料 と 矛 盾
し な い 一 定 の 傾 向 を し め す 。 表1は 西 サ モ ア の 西 サ モ ア 人 に よ る 人 口 移 動 の い くつ か
の 統 計 を示 し た も の で あ る 。 こ こ で 明 らか な こ と は,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド と西 サ モ ア 間
の 人 口 移 動 に お い て は,粗 移 動(grOSS mOVement)が 純 移 動(net mOVement)を は る
柄木田 ポ リネシア人 口移動 と史 的構造論
か に 上 回 っ て い る こ と で あ る 。 つ ま り 西 サ モ ア 人 は 単 に ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ 恒 久 的 に 移 住 して い た の で は な く,両 者 の 間 を 還 流 して い た と 理 解 さ れ る の で あ る 。 ま た 表 は 西 サ モ ア 人 の ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 移 住 の ピー ク が1974年 前 後 に あ る こ と を 示 して い る。
1950年 代 後 半 か ら1960年 代 前 半 に か け て,ア メ リ カ ン ・サ モ ア で は,米 国 資 本 の カ ツ オ 缶 産 業 の 最 低 賃 金 制 度 が 高 賃 金 労 働 を 保 証 して い た[SHANKMAN I976]。 しか し な が ら,ア メ リカ 合 衆 国 内 務 省 は 西 サ モ ア か ら の 移 動 者 が カ ツ オ 産 業 の 要 職 を し め, ア メ リカ ン ・サ モ ア 人 は 失 職,あ る い は ハ ワ イ ・カ ル フ ォ ル ニ ア に 移 住 して い る と 見 な し た 。 ア メ リカ ン ・サ モ ア は,そ の 後,移 動 労 働 者 に 対 す る 排 外 的 な 雇 用 政 策 を 打 ち 出 し,1960年 代 半 ば に は,西 サ モ ア か ら の 移 動 が 減 少 した と さ れ る 。
1950年 代 後 半 か ら60年 代 前 半 に か け て,ア メ リ カ ン ・サ モ ア へ の 移 住 は 上 下 す る が, 一 方 で ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 移 住 は 着 実 に 上 昇 し た
。 表1が 示 す よ う に,こ の ピ ー ク は1970年 代 半 ば に 見 ら れ る。 後 に 述 べ る よ う に,1974年 に は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド政 府 は 太 平 洋 島 喚 諸 国 か ら の 移 動 制 限 を 始 め た の で あ る 。 シ ャ ン ク マ ン に よ れ ば,移 動 費 用 と政 府 に よ る 制 限 の た め,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 移 動 者 は 学 歴 な ど一 定 の 特 徴 を 持 つ 集 団 と な っ た 。 さ ら に 移 動 制 限 の も とで は 親 族 関 係 が 移 動 手 段 と し て 特 に 重 要 と な っ た[SHANKMAN l976]。 西 サ モ ア 人 は,お も に 経 済 的 理 由 か ら,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドに 移 住 す る こ と を 好 ん だ と い う。 ア メ リ カ ン ・サ モ ァ は 西 サ モ ア か ら多 く の 移 動 者 を 受 け 入 れ た が,多 額 の 仕 送 り と い う点 で は,ア メ リ カ ン ・サ モ ア は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド と は 比 較 に な ら な か っ た 。
ピ リ エ は,西 サ モ ア の 三 つ の 管 区(Aleipata, Safata, Palauli)の 農 業 生 産 と 人 口 成 長 の 関 係 に 関 す る 再 調 査 報 告 で,1950年 代 後 半 と1960年 代 前 半 に 人 口 成 長 と 人 口構 造 の 規 定 因 に 変 化 が あ っ た と述 べ て い る[PIRIE l971]。 人 口 成 長 率,お よ び 人 口構 造(性 ・年 齢)の 変 差 は,50年 代 に は,換 金 作 物 の 発 展 の 地 域 差 に 結 び 付 い て い た 。 しか しな が ら,68年 ま で に は,農 業 生 産 の 変 差 は,あ る 程 度 人 口 構 造 ・成 長 の 変 差 を 説 明 す る も の の,む し ろ 管 区 が 外 部 に い か に 多 くの 成 員 を 持 つ か が 重 要 な 要 素 と成 っ
た 。
表2は こ の 時 期 の 換 金 作 物 か ら の 現 金 収 入 の 変 化 を 示 して い る 。1955‑56年 の 換 金
作 物 の 生 産 性 は 低 か った が,1967‑68年 に は さ ら に 悪 化 して い る 。1955‑56年 で は
Aleipataが 一 人 当 た り の 収 入 が 最 も 低 か っ た が,1967‑68年 ま で の パ ー セ ン ト上 の
減 少 は 最 も少 な い 。 逆 に,1955‑56年 に0人 当 た り の 収 入 が 最 も 高 か っ たSafataが
1967‑68年 ま で の 時 期 に 最 も痛 手 を 被 っ た 。 こ れ はSafataに お い て 最 も発 展 して い
表2 輸出用作物か らの現金収入
国立 民 族 学 博 物 館 研 究 報 告 別 冊6号
1955‑56年 と1967‑68年($W.S.)
Aleipata Safata Palauli
1955‑56 1967‑68 1955‑56 1967‑68 1955‑56 1967‑68
コ ブ ラの一 人 当 た り 収 入 19.30 11.70 10.20 6.26 21.00 7.29 カ カオ の一 人 当 た り 収 入 1.91 0.05 2.48 1.97 7.35 2.32 バ ナナ の一 人 当 た り 収 入 0.27 a27 18.97 0.35 1.87 0.11 一 人 当 た り 収 入 の 小 計 21.48 14.02 31.65 8.58 30.22 9.72
1955‑56年/1967‑68年 間
の一 人 当 た り収入 の変 化 一34 一73 一68
(%)
男 子 労 働 力 の 全 収 入 149.30 87.45 237.55 47.25 203.25 52.83
出 典:[PIRIE l971:98]
た 換 金 作 物 の 停 滞 が 主 因 で あ っ た こ と に 関 連 し て い る 。
1956年 か ら1961年 ま で の 時 期 は,急 激 な 人 口 成 長 が 特 徴 で あ り,Aleipataが5.6 パ ー セ ン ト と い う最 も高 い 年 間 上 昇 率 を 示 して い る(表3)。Safataは4. 1パ ー セ ン ト
と最 も 低 い 。 こ れ は,ピ リエ に よ れ ば,バ ナ ナ 生 産 の 後 退 を 反 映 して い る 。 し か し な が ら,1961年 か ら1966年 の 間 に は,Safataの み が 自 然 成 長 率 に 匹 敵 す る 成 長 率 を 維 持 し た 。AleipataとPalauliに お い て は,平 均 年 間 成 長 率 は1・4パ ー セ ン トに ま で 減 少 した 。 つ ま り,か な り の 人 口 流 出 が 生 じた の で あ る。 ピ リ エ は こ れ を コ コ ナ ッ の 生 計 生 産 の 拡 大 に 結 び 付 け て い る 。 さ き に 見 た よ う に,Safataが 換 金 作 物 の 上 で, 最 も損 害 を 被 った か ら で あ る 。 人 口 構 造 の 変 化 は,Aleipataが,男 子 労 働 力18パ ー セ ン トの 流 出 と,最 も 影 響 さ れ て い る こ と を 示 して い る 。SafataとPalauliは 男 子
表31956‑1971年 間 の 人 口 の 変 化
センサス年次 }A珈 司 臨 陣 ㎞li除 管 区
人 口 総 数
1971年(11月) 1966年(9月) 1961年(9月) 1956年(9.月)
4236 3770 3512 2673
6732 6255 5197 4245
6290 5813 5397 4359
17258 15838 14106 11277 年 間 人 口 増 加 率(average annual%change)
1956‑71年 1961‑66年 1956‑61年 1951‑56年
2.3 1.4 5.6 2.4
1.5 3.7 4.1 3.6
1.6 1.4 4.4 3.5
1.7
2.3
4.6
3.2
出 典:[PIRIE l 971:98]
柄木 田 ポ リネシア人 口移動 と史的構造論
労 働 力5パ ー セ ン トの 流 出 と影 響 が少 な い。 ピ リエに よれ ば,Aleipataか らの 継 続 的 な 人 口流 出 は,近 年 の換 金 作 物 の発 展 に関 連 す る ので あ るが,こ れ は 人 口 流 出 を抑 止 す る もの で は な く,逆 に移住 の費 用 を捻 出 す る もの で あ った。 反 対 にSafataは 換 金 作 物 が最 も後 退 した に も関 わ らず,人 口流 出が 最 も少 な い。 した が って,ピ リエは 特 定 の管 区 の 人 口 流 出 の規模 は地 元 の経 済 的 機 会 で はな く,過 去 の移 住者 との関 係 に 依 存 す るよ うに な り、高収 入 は人 口流 出 を 低 下 せ ず,む しろ人 口流 出 の 財 政 的手 段 と な った と述 べ て い る。 ピ リエ の議 論 は,賃 金 ・経 済 的機 会 の差 で は な く,世 界 シス テ ム との統 合 が 人 口流 出 の必 要 条件 で あ る こ とを しめ す事 例 と して解 釈 し うる。
IV.ニ ュ ー ジ0ラ ン ド に お け る 複 層 的 労 働 市 場
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 西 サ モ ア 人,さ ら に は ポ リネ シ ァ 人 一 般 の 国 際 移 動 を 可 能 と した 構 造 的 条 件 は,第 二 次 大 戦 以 降 の ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドの 経 済 発 展 で あ る 。 ギ ブ ソ ン に よ れ ば,1950年 代 の ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドは,輸 入 代 替 産 業 の 成 長 を 保 護 す る た め に, 関 税 と輸 入 許 可 制 度 を 導 入 した 。1954‑55年 か ら1965‑66年 ま で の 問,製 造 業 全 体 の 成 長 の ほ ぼ26パ ー セ ン トが 輸 入 代 替 産 業 の 成 長 に よ る も の で あ る 。 こ の た め 製 造 業 に お け る雇 用 と 労 働 需 要 が 急 増 した 。
ポ ル テ ス に よ れ ば,人 口 流 出 が 起 き る に は,雇 用 者 が 移 動 者 の 政 治 的 弱 点 を 操 作 し, 安 価 な 労 働 力 と して 利 用 し う る 条 件 が 存 在 しな け れ ば な ら な い 。 ポ リネ シ ア 人 は こ の 条 件 を 満 た し た と 思 わ れ る 。 当 初,マ オ リ系 住 民 が 、 国 家 の 保 護 の 下 で 拡 張 して い く 産 業 の 労 働 力 を 形 成 し た 。 しか し な が ら,ヨ ー ロ ッパ 系 住 民 と比 較 して,ホ ワ イ ト ・ カ ラ ー 職 の す べ て で マ オ リ系 住 民 は 少 数 派 で あ っ た 。 政 府 に よ って 始 め ら れ た 職 業 訓 練 に も か か わ ら ず,労 働 力 の 分 節 化 が 成 立 した の で あ る。 ポ リネ シ ア 系 労 働 移 民 が 編 入 さ れ た の は,こ の マ オ リ系 住 民 が 既 に 多 数 を 占 め る 労 働 力 階 層 で あ っ た 。
マ オ リ系 住 民 を 含 め た ポ リネ シ ァ 人 の 職 業 的 特 徴 は,彼 ら が 労 働 市 場 の 非 熟 練 層 を 占 め る よ う に な っ た こ とを 示 し て い る 。 表4は,わ ず か で は あ る が,ポ リネ シア 人 の 職 業 分 布 の 通 時 資 料 を 示 して い る。 男 女 と も,'production and related workers, transport equipment operators and labourers'と い う 非 熟 練 カ テ ゴ リ ー に,ポ リネ
シ ア 系 労 働 者 を 最 も 多 く見 出 せ る 。
一 つ の 可 能 性 と して,マ オ リ以 外 の ポ リネ シ ァ 人 の 移 住 は,マ オ リ系 住 民 の ニ ュ ー
ジ ー ラ ン ド労 働 市 場 に お け る 上 昇 移 動 に よ っ て 不 足 し た 非 熟 練 労 働 力 を 充 た した と い
い う る か も し れ な い 。 し か し な が ら,表4は マ オ リ系 労 働 力 の 職 業 的 上 昇 移 動 を 全 く
国立民族学博物館研究報告 別 冊6号 表4‑a太 平 洋 諸 島民,マ オ リ,ニ ュー ジー ラ ン ド全体 の男 子 労働 力 にお け る職 業分 布 (%、
職 業 陣 次 壽翻 マオリ除 体
Pro飴ssional, Technical and Related Workers 1976 2.7 4。0 12。1 1981 2.3 2.6 12.1 Administrative and Management Workers 1976 0。2 1.0 4.4 1981 0.3 0.6 5.5
‑
Clerical alld Related Workers ユ976 3.6 3.7 8. l l981 3.5 3.2 7.4 Sales Workers 1976 1.1 2.7 9,0 1981 1.2 1.4 12.5
Service Workers 1976 4.0 4.9 5.4
198ユ 5,3 4.8 5,8 Agricultural, Animal Husbandry, Forest Workers, 1976 2.6 ユ2.2 12.6
Fishermen and Hunters
1981 1.9 13.5 13.2 Production and Related Workers 1976 78.8 66.7 46.6 Transport Equipment Operators and Labourers
l981 72.5 62.9 43.9 New Workers Seeking Employment 1976 0.2 0.9 0.4 1981 1.3 2.2 5.2 0ccupation Inadequately Defined 1976 6.2 3.5 1.6 1981 2.1 1.5 0.5 Not Reporting Any Occupation 1976 0.4 0.4 0・1 1981 9.2 7.1 2.3
出 典:[GIBsoN 1983:36]
示 して い な い。 労 働 力 全 体 と比 較 して,マ オ リ系 住 民 は や は り非 熟 練 職 にお いて 多 数 派 で,熟 練 職 で 少 数 派 に 停 ま って い る。 全 体 と して の 労 働力 の職 業 構 造 に吸収 され る ので は な く,ポ リネ シア系 の 労 働 力 は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド経 済 の非 熟 練 ・周 辺 的下 層 を 構 成 した ので あ る。 ク ーは,い くつ か の第 三 世 界 の 都 市 に お い て 同様 の現 象 を報 告 し, 移 動 者 の適 応 を理 解 す るの に,個 人 の 特徴 よ りも経 済 の 全 体 と して の条 件 を研 究 す る こ とを提 唱 して い る[Koo l978,1984]。
資本 主 義 経 済 にお い て この よ うな労 働 市場 の 分 節 が生 じる こ とは,大 規模 な 国 家 レ
ベ ル で の 独 占 が発 展 す る につ れ て,二 重 産 業 構 造 が 発達 す る こ とに よ って 説 明 され て
きた 。第 一 次 分 節 は,主 と して企 業 が生 産 要 因 と産 品 市場 の支 配 に よ り高 利益 を 上 げ
柄木田 ポ リネシア人 口移動 と史的構造 論
表4‑b 太 平 洋諸 島民,マ オ リ,ニ ュー ジー ラ ン ド全体 の女 子 労 働 力 にお け る職 業 分 布
.. 職 業 年 次 藷醸 マオリ 全 体
Pro免ssional, Technical and Related Workers 1976 6.3 10.0 18.2 1981 4.6 7.6 18.O Administrative and Management Workers 1976 0.1 0,2 0.7 1981 0.1 0.3 1.1 Clerical and Related Workers l976 12.3 19.7 33.4 1981 13.4 15.1 32.3
Sales Workers 1976 2.4 6.3 11.7
1981 2.7 4.1 11.2
Service Workers 1976 21.4 19.2 12。2
1981 21.1 19.7 12。3 Agricultura1, Animal Husbandry, Forest Workers, 1976 0.6 5.2 5.4 F三
shermen and Hunters
1981 1。2 6.6 6.4 Production and Related Workers 1976 49.0 31.7 16.1 T
ransport Equipment Operators and Labourers
1981 42.7 32。2 14.6 New Workers Seeking Employment 1976 1.0 3.0 0。6
}
1981 3.0 5.8 1.3 0ccupation Inadequately Defined 1976 6.2 4.2 1.5 1981 2.3 1.6 0.7 Not Reportlng Any Occupation 1976 0.6 0.6 0.2 1981 9.1 7.0 2.2
出 典:[GIBSON 1983:36]
うる独 占 ・寡 占部 門 で 雇 用 され る労働 者 に よ って構 成 され る。 この 部 門 の企 業 は,一 ・
時 的雇 用 や競 合 的第 二 次 部 門 の 小 企業 へ の下請 け を拡 大 ・縮 小 す る こ とで,景 気 変動
に対 応 しう る。第 二 次 部 門 の労 働 力 は,独 占 ・競 合 部 門 両者 の一 時 的な 非 熟 練職 に よ
って 構成 され る。 両 者 と も短 期 の景気 変動 や不 確 実性 の負 担 を 吸収 す る場 とな って い
る。 西 サ モ ア人 の ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の労 働 移動 は,西 サ モ ァ が ニ ュ ー ジー ラ ン ドに
対 し,二 次 的 労 働 力 を提 供 す る よ うにな った と理 解 し うる。
国立民族学博物館研究報告 別冊6号
V.西 サ モ ア 社 会 の 侵 食 と 維 持
シ ャ ン クマ ンは,西 サ モ アが1960年 代 ま で に 低 開発 の 周辺 地 域 に陥 った とす る。第 二 次 大戦 直 後 上昇 した西 サ モ アの 農業 収 入 は,1960年 代 に 入 り急 激 に減少 した 。 しか しな が ら,消 費 は着 実 に上 昇 し,貿 易 赤 字 を 引 き起 こ した 。 さ らに わず かな 経 済 発 展 も,ヨ ー ロ ッパ 人,パ ー ト ・ヨー ロ ッパ 人 の 手 に 集 中す る こ と とな った。 サモ アの 経 済 は,地 域 内 の生 産要 素 と再 分 配 が支 配 的 な 未 開 発 の 状 態 か ら,地 域 外 の生 産 要 素 と 再 分配 制 度 が支 配 的で 外 部 の 経済 に編 入 され た 低 開発,つ ま り周 辺 の状態 へ 移 行 した
ので あ る。
人 口移 動 の影 響 の 内,重 要 な もの に仕 送 り があ る。 しか しな が ら,ニ ュー ジ ー ラ ン ドか らの仕 送 りは,1960年 代 の間,西 サ モ アの 社 会 経 済 構 造 を 変換 しえな か った。 む しろ構 造論 者 が 主 張す る よ うに,西 サ モ アの 社 会 構 造 は 同 時 に維 持 ・侵 食 さ れ たの で あ る。 仕 送 りは 都 市 ・農村 間 お よび コ ミュニ テ ィ ー 内で の 格 差 を維 持,拡 大 した。 ポ ル テ スが述 べ る よ う に,世 界 規 模 で の 資本 主 義 の 結 節 は 労 働 移動 が,中 心 地域 ばか り で はな く,周 辺 地 域 の 支配 階級 の 利 益 とな る状 況 を生 ん だの で あ る。
シ ャ ンクマ ン[SHANKMAN 1976]は,こ の時 期 の西 サ モ アへ の仕 送 りの 影 響 を報 告 して い る。 仕 送 り自体 に は幾 つ か の 回路 が あ る が,こ の う ち為 替 は正 確 に記 録 し, 分布 を調 べ る こ と がで き る[CURSON l982]。 為 替 は ほ とん どニ ュ0ジ ー ラ ン ドか ら の も ので あ り,1969年 には調 査 され た仕 送 り(双 方 向)の 約 二 分 の 一 を しめ た 。記 録
され た為 替 の 分 布 は 都 市部 に偏 って い た。 首 都 た る ア ピア(Apia)は 人 口の20パ ーセ ン トを 占 め るが,仕 送 り額 で は50パ ーセ ン トを しめ る。 仕 送 り全 体 が為 替 と同 じ分布 を して い る と仮 定 す る と,仕 送 りはア ピア とそ の他 の地 域 の格 差 を 強化 して い る こ と に な る。
仕 送 りの使 い方 自体 もサ モ ア の階 層 を 強 化 した 。パ ー ト ・サ モア ンは サ モ アの 伝 統 経 済 の核 た る富 の再 分 配 に完 全 に は参 与 して い な い た め,彼 らは仕 送 りの使 い方 に選 択 の余 地 が あ る。 逆 に サ モア 人 の仕 送 りの 受 け 手 は寛 容 性 が位 階 ・威 信 の基 盤 とな る 伝 統 的地 位 体 系 の完 全 な参 与 者 で あ る。 した が って,こ れ らの 資 金 の ほ とん ど が,広 範 な 社 会 に お け る 上昇 的社 会 移動 のた めの 「資本 」 と して で はな く,サ モ ア の地 位 体 系 中で 用 い られ る。
しか しな が ら,西 サ モ ア の貨 幣経 済 が ヨー ロ ッパ 人 とパ ー ト ・サ モア ンの少 数 の 集
団 に よ って 支配 され て い る こ と に留 意 され ね ばな らな い 。 ビ ッツ[PITT l970]に よ
れ ば,ア ピアの 大 規 模 な企 業 は サ モア人 を ヨー ロ ッパ 人 の 社 会集 団 か ら排 除す る こ と
342
柄木田 ポリネシア人口移動と史的構造論
に よ って そ の独 占を 永続 化 して い る。 経 済 的 エ リ ー トは,高 利 の 貸 付 あ るい は投 資 で は な く,消 費 活 動 を 勧 め る貸 付 な どに よ って,サ モ ア人 の 都 市 経 済 へ の参 与 を抑 制 し た。 さ らに土 地 所 有 制 度 自体 も問 題 を 複 雑 に して い る。 シャ ン クマ ンに よ れ ば,西 サ モ ア の土 地 は80パ ーセ ン トが サモ ア人 の 所有 で は あ る が,個 人 所 有 に対 す る法 的 規 制 とそ れ に伴 う不 安 定 な個 人 所 有 の た め,サ モ ア人 所 有 の土 地 は ヨ ー ロ ッパ 人 所 有 の プ ラ ンテ ー シ ョ ンと比較 して 競 争 力 が な い。
した が っ て,サ モ ァ人 は,事 実 上,大 規 模 な 資 本 集 中型 経 済 活動 か ら排 除 され,伝 統 部 門 に お いて地 位 を追 求 す る こ とを奨 励 さ れ て い るの で あ る。仕 送 りを大 規 模 な 資
本形 成 に用 いえ な い こ とか ら,サ モ ア人 は仕 送 りを再 分 配 活 動 ・小規 模 な 消 費 に用 い るので あ る。 仕 送 りは また 人 口移 動 に再 投 資 さ れ る。 な ぜ な ら,サ モ ア人 は人 口移 動 が,そ の費 用以 上 の仕 送 りを可 能 と し,西 サ モ ァ の 限 られ た機 会 を克 服 で き る こ とを 知 って い るか らで あ る。
村 落 レベル にお い て も仕 送 りの 影響 は,既 存 の構 造 を強 化 す る もので あ った。 シ ャ ンクマ ンの 調 査 したSa'asi(仮 名)と よ ばれ る村 落 で は,仕 送 りが1969年 の 現 金 収 入 の最 も重 要 な 構 成要 素 で あ った 。 さ らに仕 送 り自体 が,仕 送 りを 受 けて い る世 帯 とそ うで な い世 帯 の 間 ば か りで はな く,全 て の世 帯 間 の富 の 差 を生 み だす 最 も重 要 な 要 素 で あ った。 しか し,仕 送 り は村 落 の 政 治経 済 を根 本 的 に変 換 す る もので はな か った 。 Sa'asiへ の仕 送 りは村 落 内 の 三 つ の回 路, aiga(親 族 集 団),教 会,商 人
を通 る。 シャ ン クマ ンに よれ ば1960年 代 に コ ブ ラの生 産 量 が 減少 した際,商 人 は 損 失 を補 うた め に掛 け売 りの 方 法 を 変 えて い る。 そ れ 以前,人 々 は加 工 済 み の コブ ラを拡 大 家 族 単 位 で 売 って いた 。 しか しな が ら,個 人 単 位 の 掛 け売 りを始 め,加 工 用 の ナ ッ
ツを 買 い入 れ る こ とで 買 い 付 け費 用 を抑 え,商 人 は生 産 量 の 減少 に よ る損 失 を 補 った ので あ る。 未加 工 コブ ラの 安価 な価 格 は,村 人 の 購 買 力 を低 下 させ,商 人 に と って も マ イナ ス とな った か も しれ な い。 しか しな が ら,仕 送 りが村 人 の購 買 力 を 拡 大 した の で あ る。 した が って,仕 送 りは商 人 の 利 益 とそ の 中心 的 役割 を維 持 した。
逆 に,仕 送 りはaigaの 経 済 ・政 治 的一 体 性 を弱 体 化 した 。 仕 送 りは,再 分 配 体 系
の 中心 と して のmatai(首 長)を 通 さず,分 配 しえ た か らで あ る。 送 り手 と受 け手 は
仕 送 りをaigaで はな く個 人 資 産 と して見 る傾 向 が あ り,広 範 な 再 分 配 に対 す る サ ン
ク シ ョ ンに もか か わ らず,仕 送 りの共 有 は近 親 に限 られ る傾 向 に あ った。 しか しな が
ら,こ の こ とがmatai自 身 が仕 送 りの受 け手 とな り,富 を再 分 配 す べ き圧 力 を生 み だ
した。 つ ま り,mataiが 仕送 りの分 配 を通 して そ の威 信 を維 持 ・拡 大 す る一方,威 信
の究 極 的基 盤 が移 住 と仕送 りに よ って 弱 体 化 され る とい う矛 盾 した傾 向 が生 じた の で
343
国立民族学博物館研究報告 別冊6号 あ る。
VL 社 会 ・経 済 的 地 位 と ネ ッ ト ワ ー ク
ポル テ ス に よ れ ば,生 存 と経 済 的利 益 の手 段 と して の人 口移 動 は,移 動 者 間 の 相 互 扶 助 の ネ ッ トワ ー ク の形 成 に依 存す る 。 カ レ ン[KALLEN l982]は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドへ の 集 中的移 住 の時 期 に,西 サ モ ァ社 会 が伝 統 お よ び近 代 的基 準 に も とつ く二 つ の 地 位 体 系 を生 み だ した と述 べ て い る。 親 族 関 係 に も とつ く人 口移 動 は この時 期 の重 要 な 戦 略 で あ った。
カ レ ンは西 サ モ ア の世 帯 の サ ンプ ル調 査 を も とに,世 帯 と非 同居 世 帯 成 員 の特 徴 を 報 告 して い る。 非 同居 世 帯 成 員 の 平均 値 は1.9人 で あ るが,国 外 に居 住 して い る成 員 の 平 均 が1.1人 と,西 サ モ ア 内 に居 住 して い る非 同居 成 員(0.8人)よ り も多 い。 カ レ ンに よれ ば,全 て の質 問 表へ の 回 答 は,都 市/農 村,matai/非mataiの 地 位,社 会 経 済 的 地 位 指標(SES),国 外 に居 住 す る移 住 者 との親 族 関 係 に よ って重 集 計 さ れた 。 こ れ らの 変 数 の相 関関 係 は非 パ ラ メ ト リック相 関係 数(Kendall Tau)に よ って検 定 さ
表5 世帯主,世 帯成 員,国 内移動者,国 際移動者の特徴 (%)
一