• 検索結果がありません。

雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

標本資料検索コードとしてのHRAFコードの利用につ いて

著者 松澤 員子

雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊

巻 017

ページ 67‑80

発行年 1992‑12‑25

URL http://doi.org/10.15021/00003556

(2)

松 澤     標 本 資 料検 索 コ ー ドと して のHRAFコ ー ドの 利 用 に つ い て

標 本 資 料 検 索 コ ー ドと して のHRAFコ ー ドの利 用 に つ い て

子*

要 旨

    国 立 民 族 学 博 物 館 ではHRAFの 分 類 コー ドを い ろ い ろな 種 類 の 情 報 資 料分 類 に 用   い て きた 。 こ こで は,日 本 の民 具 分 類 に 用 い られ て きた 一 般 的 な分 類 体 系 と比 較 しな   が ら,HRAF分 類 の開 発 の プ ロセ ス とそ の特 性 に つ い て 述べ,そ れ を標 本資 料 に適 用   した 場 合 の 有効 性 と今 後 の課 題 を ユ ー ザ ーの 立 場 か ら検討 した。

    世 界 の諸 民 族 文 化 を 対 象 に,標 本 資料 だ け で な く,文 献,映 像,音 響 資料 な ど,あ   らゆ る情 報 を有 機 的 に 関 連 づ け て 検 索 可能 にす る分 類 体 系 を開 発 す るた め に は,文 献   情報 を対 象 に考 案 され たHRAF体 系 を 越 え なけ れ ば な らな い が,そ れ を適 用 しな が   ら補 足 ・修正 す る こ とに よっ て可 能 にな る と考 え られ る。 なぜ な ら,ど の よ うな 分 類   体 系 も,理 論 が先 行 す る の で な く,よ り有 効 な,よ り便利 な 資料 の利 用 とい う経 験 の   蓄 積 に よっ て,絶 え ず 改 良 され て い くべ き もの で あ る か ら で あ る。

1  は 『じ め に

  こ の 共 同 研 究 に お い て,私 に 与 え ら れ た 課 題 は,ユ ー ザ ー と し て 研 究 に 必 要 な 標 本 資 料 を 迅 速,か つ 的 確 に 検 索 で き る よ うな コ ー ド体 系 に つ い て 検 討 す る こ と で あ っ た 。 し か し,こ の 課 題 に つ い て は,す で に 国 立 民 族 学 博 物 館(民 博)創 設 準 備 室 が 設 置 さ れ た 時 か ら,梅棹 館 長 の 「民 族 学 情 報センター 構 想 」 の も と で,さ ま ざ ま な 機 会 に 検 討 さ れ,私 もHRAFフ ァイ ル の 専 門 委 員 と し て 提 言 を 行 っ て き た 。 そ し て,梅 樟 館 長 が 「研 究 対 象 が 全 世 界 に お よ ぶ 民 族 学 の 体 系 的 な コ ー ド と し て は,HRAFが 開 発 し たr文 化 項 目分 類 』(Outline  of Cultural Materials)とr地 域 ・民 族 分 類 』(Out‑

line of World  Cultures)が,た い へ ん 有 効 な も の で あ る と い う結 論 を え た 」 と記 さ れ て い る よ う に1),民 博 で のHRAFの2つ の コ ー ド体 系 の 利 用 は,お お む ね 決 定 し て お り,r地 域 ・民 族 分 類 』 は す で に 図 書 資 料 や 標 本 資 料 に 付 与 され て い る 。 ま た,民 博 で は,こ れ ら2つ の コ ー ド体 系 の 利 用 を 容 易 に す る た め に,『 文 化 項 目分 類 』 とr地

*国 立 民 族 学 博物 館 第1研 究 部

1)梅棹 忠 夫 「『文 化 項 目分 類 』 日本語 版 刊 行 に あ た って 」 国 立 民族 学 博 物 館(訳)『 文 化 項 目分  類 』1988。

(3)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号 域 ・民 族 分 類 』 と して そ れ ぞ れ 翻 訳 を 出版 した。(但 し,後 者 は 「館 内 作 業 用 」 と し て翻 訳 ・印刷 され た が,公 開 は され て いな い 。)こ の報 告 で は,こ れ ら翻 訳 版 を 引用 して い るが,そ れ ぞ れ の コー ドを い う時 に は,「OCMコ ー ド」,ま た 「OWCコ ー ド」

とい う呼称 が定 着 して い る の で,こ れ を採 用 してい る。

  今 後,こ れ らの 分 類 を 実 際 に運 用 して い く上 で,補 足 ・修 正 の必 要 や,ま た コ ー ド 体 系 そ の もの の改 定 の 必要 も生 じるか も しれ な い。 そ うい う意味 で,こ こで取 りあ げ

る課 題 は,新 た な 取 り組 み で は な く,む しろ,標 本 資 料 の検 索 コー ドと して 『文 化 項 目分 類 』 を用 いた 時 の利 点 と欠 点 を実 験 的 に デ ー タ入 力 す る こ とに よ って検 討 す る こ とを 目的 と して いた の で あ る。 残 念 なが ら,時 間 的 制 約 か らサ ソプ ル と して取 りあ げ られ た 標 本 資料 が,地 域 的 に も,種 類 に も限定 せ ざ るを え な か った の で,今 まだ,そ の結 論 を 出せ る よ うな段 階 で は な い。 ここで は,私 がHRAFコ ー ド利 用 の利 点 と考 え て きた 根拠 と,実 際 運 用 に あ た っ ての い くつか の問 題 点 を 纏 め て お こ うと思 う。

2  従来 の民具 の分類

  日本 で も収 集 され た標 本 資料(日 本 では 一 般 に 民 具 とい う言 葉 が 用 い られ る2))の 保 存 とそ の整 理,ま た そ の 活 用 の ため に い くつか の分 類 が 試 み られ,ま た 実 際 利 用 さ れ て きた 。標 本資 料 の 分 類 に は大 別 して4つ の基 準 が あ る。(1)用 途,(2)機 能,(3) 形 態,(4)材 質 な どであ る。 文 化 庁 で編 纂 され たr民 俗 文 化 財 の手 び き』 に あ る分類

(表1),ア チ ッ ク ・ミ ュー ゼ ア ム の 『民 具 蒐 集 調 査 要 目』 に あ る分 類(表2)は,用 途 を主 軸 に分 類 した もの で あ り,こ れ に対 し宮 本 常 一 は 機 能 分 類 を 提 唱 して い る 【

本  1969:2】。形 態 や 材質 は,用 途 や機 能 に密 接 に 関連 して い るた め,細 分 類 に 用 い られ て きた が,そ れ らが 分 類 の基 準 に置 か れ る こ とは 稀 であ った よ うであ る。 また, 一 般 に 使 用 され て い る標 本 資 料 の情 報 カ ー ドに は,そ れ ぞ れ の 資料 につ い て標 本 名 以

外 の複 数 の情 報 項 目が つ い て い る のが 普 通 で,「 製 作 法 ・材料 」 は最 も一 般 的 な もの で あ る。 さ らに,最 近 はコンピューター を 用 いた 計 量 デ ー タや写 真 情 報 も利 用 で き る よ うに な って きたた め,形 態 に つ い て も,よ り正 確 な情 報 を別 の項 目に付 加す る こ と が可 能 であ るか ら,標 本 そ の もの の分 類 に形 態 や 材 質 に よ る細 分 を付 加 す る必 要 は な い よ うに 思 う。

  まず,私 の知 るか ぎ り日本 で最 も詳 細 な 分類 は,文 化 庁 の 『民俗 文 化 財 の手 び き』

2)民 博 で収 集 され て き た 「標 本 資 料 」 は,日 本 民俗 学 で 一 般 に 用 い られ て い る 「民 具 」 とい う概 念 とは 正確 には 同 一 で な い か も しれ ない が,こ こ では 一 応 同 じ と して取 り扱 って お く。

(4)

松 澤   標 本 資 料 検 索 コー ドと してのHRAFコ ー ドの 利 用 に つ い て

(以下 『手 び き』 とす る)に 掲 載 され て い る分 類 で あ る と思 う。OCM分 類 に っ い て 検 討す る前 に,こ れ まで一 般 に用 い られ て きた この民 具 分 類 と アチ ッ ク ・ミュ ーゼ ア ムの 民具 蒐 集 調 査要 目にみ え る分 類 の 大 要 を 以 下 に挙 げ てお こ う。

  『手 び き』 は,文 化 財 を無 形 と有 形 とに 分 け,左 頁 に は 無形 文 化 財,右 頁 に は 有形 文 化 財 を,そ れ ぞれ 分類 項 目が対 応 す る よ うに して表 に示 して い る。 無 形 ・有 形文 化 財 の 定 義 に つ い て は,「 文 化 財 保 護 法 」 を 基 準 に して い る よ うで あ るが 【手 び き:11‑

12】,無 形 に は風 俗 慣 習,民 俗 芸 能 が 含 まれ る。 従 って,例 え ば 「5社 会 生活 」 の 項 を 取 りあ げ てみ る と,村 落 共 同体 や 家 族 ・親 族 関 係 に関 わ る習 俗 は数 多 く,そ れ に 関 わ る有 形文 化 財 には 限 りが あ るか ら,大 項 目では 左右 対 応 させ る こ とが で きて も,小 項 目で は対 応 させ られ な い 。 そ れ は 「8‑1民 俗 芸 能 」 の項 に お いて も同 じであ る。 さ らに,無 形 文 化 財 と して重 要 な 口頭 伝 承 に つ い て は,rl1口 頭 伝 承 」 とい う分 類 項 目 を加 え て い る。 そ の他 の分類 項 目で は,有 形 の モ ノに対 して,そ れ に 関 わ る習 俗 や 製 作 法,使 用 法,儀 礼 な どが 無形 文 化 財 と して分 類 され て い る。 本 稿 で は標 本 資 料 を 取 りあ げ て い るの で,と りあ え ず無 形 文 化 財 を 省 略 した。 しか し,標 本 資料 を民 族 学 資 料 全 体 の 中 で位 置 づ け る時,無 形 の資 料 の分 類 との有機 的 関連 を考 慮 しな けれ ぽ な ら な い。 この 問題 は後 に再 び 論 ず る こ とに した い。

  次 に,ア チ ッ ク ・ミ ューゼ ア ムの分 類 は,文 化 庁 の そ れ と基 本 的 な差 異 は な い よ う で あ る。 前 者 は 「5儀 礼 に 関す る もの」 とい う大 項 目の 中 に,後 者 の 「8‑1民 俗 芸 能」

「8‑2競 技 ・娯 楽 ・遊 戯 」「9人 の 一 生」 「10年 中行 事 」 を 含 め て い るな ど細部 に おい て異 な るに 過 ぎな い。 いず れ も用 途 を基 本 に分 類 して い る 【宮 本   1969]。

  最 後 に,宮 本 常一 が提 唱 した 民 具 の機 能 分 類 に つ いて 簡 単 に触 れ て お こ う。 彼 は22 の項 目に 分 類 す る。 す なわ ち,1農 耕用 具,2漁 猟 用 具,3畜 産 用 具,4養 蚕 用 具, 5雑 穀 ・調 製 用 具,6食 料 加 工 用 具,7食 用 具 ・調 理 用 具,8煮 焼 用 具,9容 器, 10住 用 具,ll灯 火用 具,12着 用 具,13容 姿 用 具,14紡 織 用 具,15切 栽 用 具, 16加 工 用 具,17運 搬 用 具,18計 測 用 具,19意 志 伝 達 用 具,20遊 戯 ・娯 楽 用 具, 22信 仰 ・呪 術用 具 であ る。

  こ う した 分 類 は,い ず れ も便 宜 的 な もの で あ って,目 的 に よ って分 類 内容 が 異 な る こ とは言 うま で もな い。 ま た,そ れ ぞ れ の 分 類 は 日本 で 民 具 を 蒐集 し,そ れ らを整 理 す る過 程 の 中 で考 案 され た もの で あ って,そ の い ずれ も将 来 補 足 ・修 正 の必 要 性 の あ る こ とは,考 案 者 誰 もが認 め て い る とこ ろで あ る。従 っ て,当 然 の こ となが ら 日本 で 考 案 さ れた 民 具 分 類 は,日 本 の生 活 様 式 を 顕 著 に 反映 してい る。 そ れ ら を マ ー ドック らの 『文 化 項 目分 類 』 と比較 す る と,狩 猟 ・採 集,家 畜 飼 育,水 ・陸 ・空 の輸 送 な ど

(5)

国立 民族学博物館研究報告別冊  17号 表1  民俗文化財(有 形)分 類 [文化庁1

1衣 食 住   (1)衣

    (A)服 物(男 女別,季 節 別,年 令別)     (B)結 髪,化 粧用 具

    (C)裁 縫 ・洗 濯用 具     (D)そ の 他   手提 げ 袋 な ど   (2)食

    (A)食 料(品 種標 本)     (B)貯 蔵 用 具     (C)炊 事 用 具     (D)調 理 ・調 整用 具     (E)保 存 ・加 工用 具     (F)醸 造 ・製 造用 具     (G)嗜 好 品 用 具     (H)食     (1)飲 食 器

    (J)そ の他(神 仏 に供 え る器)   (3)住

    (A)屋 敷 構 え(配 置,施 設)     (B)住

    (C)付 属 建 物 、     (D)家 具 ・調 度     (E)寝     (F)建 築 習 俗 用 具     (G)防 護 用 具     (H)そ の他 2生 産 ・生 業   (1)自 然 物 採 集

    (A)採 集 用 具,運 搬 用 具     (B)処 理 ・加 工 用具     (C)そ の他

  (2)農 耕(果 樹 ・園 芸 な どを 含 む)     (A)焼 き畑 の 用 具

    (B)耕 作 用 具     (C)管 理 用 具     (D)収 穫 ・調 整 用具     (E)儀 礼 用 具 な ど     (F)そ の他   (3)山 樵

    (A)山 図 面,入 り会 い文 書 な ど     (B)山 小 屋 ・炭 焼 が まな どの施 設     (C)山 樵 用 具

    (D)製 品(板 各 種,こ け ら,な ど)     (E)搬 出用 具

    (F)儀 礼 用 具 な ど     (G)そ の他

(4)採 鉱 ・冶 金   (A)施 設 ・設 備   (B)採 鉱 ・冶 金 の用 具   (C)運 搬 用具 ・販 売 用 具   (D)儀 礼 用具

  (E)そ の 他 (5)漁 携

  (A)漁 場 関 係用 具   (B)漁 携 用 具   (C)船

  (D)製 作 ・修理 用具   (E)収 蔵 施設   (F)製 造 ・加 工 関 係   (G)儀 礼 用 具 な ど   (H)そ の他 (6)製 塩

  (A)施 設 ・設 備   (B)塩 田用 具   (C)釜 屋 用 具   (D)運 搬 ・販 売 用 具   (E)文 書 ・絵 図 な ど   (F)そ の他 (7)狩 猟

  (A)秘 伝 書 ・絵 図 な ど   (B)狩 猟 用 具   (C)処 理 用 具   (D)儀 礼 用 具 な ど   (E)そ の他 (8)養 蚕   (A)飼 育 用 具   (B)収 穫 ・処 理 用 具   (C)儀 礼 用 具 な ど   (D)そ の他 (9)畜 産   (A)飼 育 用 具   (B)伯 楽 用 具 な ど   (C)儀 礼 用 具 な ど   (D)そ の他 (10)染 ・織   (A)繊 維 各 種   (B)製 糸 用 具 ・施設   (C)機 織 用 具 ・施設

  (D)あ ん ぎん ・組 ひ も とそ の用 具   (E)染

  (F)染 色 用 具 ・施設   (G)製

  (H)儀 礼 用 具   (1)そ の他

(6)

松 澤     標 本 資料 検 索 コー ドと して のHRAFコ ー ドの利 用 に つ い て

(11)手 細 工   (A)原 料 処理 用 具   (B)細 工 用具   (C)製   (D)そ の 他 (12)諸 職   (A)組 合 帳 箱   (B)諸 職 用 具 と施設   (C)そ の他 3交 通 ・運 輸 ・通 信

  (A)交 通 ・運 搬 施 設(陸 上,水 上)   (B)運 搬 具

  (C)車 ・船 ・そ り類   (D)旅 行 用具   (E)通 信 施設 ・用 具   (F)祈 願 ・禁 忌 ・儀 礼 用 具   (G)そ の 他

4交   (A)交 易 施 設   (B)商 業 用 具   (C)計 算 ・計 量 具   (D)こ んぼ う用 具   (E)鑑 札 類   (F)看 板 ・広 告 類   (G)証 書 ・手 形 ・貨 幣 類   (H)印 章 ・絵 符 類   (1)そ の 他

5社 会 生 活   (A)共 同 施 設   (B)共 有 道 具   (C)防 災 ・避難 用具   (D)警 防 ・刑 罰 用具   (E)家 じる し ・・印判 類

  (F)贈 答 ・社 交 用 具(慶 ・弔 ・ふ だ ん)   (G)そ の他

6信

  (A)聖 地 ・祠 堂   (B)神 体 ・偶 像 類   (C)石 塔 な ど   (D)神 事 ・仏事 用 具   (E)神 札 ・護 符類   (F)奉 納 ・祈 願 品類   (G)縁 起 物 類

  (H)信 仰 関 係 の 服 装 ・用 具   (1)愚 霊 関 係 用 具   (J)そ の他

7民 俗 知 識

  (A)教 育 施設 ・用 具   (B)医 療 ・衛 生 施 設   (C)薬 品,医 療 ・保 健 具   (D)暦 ・計 時 用具   (E)卜 占 ・ま じな い用 具   (F)規 格 の 基 準 とな る物   (G)計 算 ・計 量具   (H)そ の他 8‑‑1民 俗 芸 能   (A)施   (B)道 具 類   (C)装   (D)仮 面 類   (E)人   (F)楽 器 類   (G)文 書記 録

8‑2  競技 ・娯 楽 ・遊 戯   (A)競 技 ・遊 戯 等 の施 設   (B)競 技 用 具

  (C)娯 楽 ・遊 戯具 ・玩 具   (D)衣 装 ・曲 譜類   (E)そ の他

9  人 の 一 生

  (A)産 育 な どの 施 設   (B)妊 娠 ・出産   (C)生 児儀 礼 用 具   (D)育 児 用具

  (E)七 五三 ・成 人 祝 い の 用 具   (F)恋 愛 中 の贈 答 品 縁 結 び の呪 物   (G)婚 礼 用 具

  (H)嫁 の 持 参す る も の   (1)婚 姻 関 係用 具   (J)厄 年 ・年祝 い の用 具   (K)葬 送 用 具

  (L)忌 み 明け ・年 忌 の用 具   (M)喪 屋 ・霊 屋 ・墓 な ど   (N)そ の他

10年 中 行 事

 各 行 事 の用 具,作 り物,飾 り物 な ど

以 下,1月 か ら12月 ま で に 区 分 され, 各 月 の行 事 に 関 わ る用具 が 細 分 され て い る。 筆 者 注 】

(7)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号

表2民 具 蒐 集 調 査 要 目   [ア チ ッ ク ・ ミ ュ ー ゼ ア ム 】

1衣 食 住 に 関 す る もの   (1)家 具

     室 内 器具,寝 具,保 存 用 具 を 含 む   (2)燈 火 用具

     燈 火 器 お よび発 火 器   (3)調 理 用 具

     一 般 台所 用 具 の うち主 と して 調理 に使      用 す る もの

  (4)飲 食 用 具

     一 般 飲 食器 具,そ の他 茶 道 具,煙 草道      具 を 含 む      ,

  (5)服 物

     一 般 服 物 の うち地 方 的 特 色 を 有 す る様      式 材 料 に基 づ く晴 れ 着,普 段 着,労 働      着 を 含 み,防 寒,日 覆 の類 を 含 む 。   (6)履 物

  (7)装 身 具

     櫛,笄,そ の他 髪 結 用 具,袋 物 類,文      身 道 具 等

  (8)出 産 育 児 用 具   (9)衛 生 保 健 用 具      民 間 療 法 に 必要 な 用具 2生 業 に関 す る もの   (1)農 具

  (2)山 樵 用 具

      山樵 に関 す る もの の うち運 搬 関 係 の 用      具 は 除 く

  (3)狩 猟 用 具

     現 在 の銃 砲 具 を 除 く。 いわ ゆ る火 縄 銃       な どの銃 器 を 含 む

  (4)漁 携 用具

     海,湖,川 な どで 使 用 す る漁 携 用 具 で      海 藻 採 取 に 関 す る もの を含 む   (5)紡 織 色染 に 関 す る もの   (6)畜 産 用具

  (7)交 易 用具

  (8)そ の 他漆 掻 き,樟 脳 採,砂 金 採,木 地      屋,側 師,杉 皮 剥,岩 茸採,屋 根 葺,       日雇,石 工,大 工,鍛 冶屋 な どの人 達       が使 用す る用 具 等

3通 信運 搬 に関 す る もの   (1)運 搬 具

     機 械 に依 る もの を 除 き,牽 き,担 い,       負 い,か つ ぎ,提 げ,戴 きな ど の方 法       に よ って用 い られ る用 具 な らび に補 助       用 具 お よび 携 行 具

  (2)旅 行 用具   (3)報 知 用具

4  団 体 生 活 に関 す る も の

  災 害予 防 のた め の用 具,若 者 宿 の道 具,   地 割 用 具,共 同労 働 用 具 等 を 含 む 5儀 礼 に 関 す る もの

  (1)誕 生 よ り元 服(成 年 式)ま で に 用 い る       もの

  (2)婚 姻 に 関す る も の   (3)厄 除 け に用 い られ る も の   (4)年 祝 に 用 い られ る もの   (5)葬 式,年 忌 に用 い られ る もの 6  信 仰,行 事 に 関 す る もの   (1)偶 像

      主 と して 民 間卑 近 の偶 像 でい わ ゆ る高       遠 な 芸 術 品 とは 自 ら異 な る もの   (2)幣 吊類

  (3)祭 供 品 お よび 供 物   (4)楽 器

  (5)仮 面

      材 料 様 式 と して 木 彫,木 彫 彩 色,木 地       彩 色,樺 皮,瓠,土 型,張 子 な どが 主       で,そ の補 助 用 具 を 含む

  (6)呪 具

      お祝 いを す る と きに 用 い る道 具   (7)ト 具

  (8)祈 願 品

7娯 楽遊戯に関す るもの 8玩 具,縁 起 物

(8)

松 澤    標 本 資 料 検索 コー ドと して のHRAFコ ー ドの利 用 につ い て

に 関わ る分 類 は大 まか で あ る のに 反 して,人 生 儀 礼 や 年 中 行事 で は 日本 の 習俗 を反 映 して い て,世 界 諸 民 族 へ のそ れ らの 対 応 が 困難 で あ る こ とは 明 らか で あ る。次 に,世 界 の諸 民族 の文 化 に 関す る資 料 の分 類 を 試 み た 『文 化 項 目分類 』 は どの よ うに して開 発 され た の か。 そ の特 徴 を検 討 してお きた い 。

3  『文 化 項 目分 類 』 と 『地 域 ・民 族 分 類』 の開 発 とそ の特 徴

  これ らの 分 類体 系 の特 徴 を知 るに は,開 発 の 過程 に触 れ て お か ね ば な らない 。 以下 May【19711とFord【19711の 論文 を 中 心 に,そ の過 程 を 纏 め て み た い。 r文 化 項 目分 類 』 は,1929年 に イ ェー ル大 学 に 創設 され た 人 間 関 係 研 究所 に関 わ った 研 究者 た ちに よ って,そ の基 礎 が 築 きあげ られ た 。 この研 究 所 は,人 間性 と社 会 秩 序 ・文 化 に関 わ る学 際 的 な基 礎 研 究 を行 うこ と と,ま た そ う した 研 究 に携 わ る専 門 家 を養 成す る こ と を 主 要 な 目的 に設 立 され た 【MAY  1971:142]。 そ こに は 生 物 学,心 理 学,教 育 学, 医 学,精 神 医学,公 衆 衛 生学,法 学,歴 史学,政 治 科 学,経 済学,社 会 学,文 化 人類 学 等 々 の分 野 か ら数 多 くの 研 究者 が 参 加 した の であ るIMAY  1971:144‑46】3)。彼 ら は,自 分 の専 門 以外 の学 問 分 野 か らの知 識 を 蓄 積 しなが ら,人 間行 動 や 社 会 生 活,文 化 に 関 す る基礎 理 論 を 構 築 し よ う と試 み て い た 。 しか し,そ の た め には,ま ず 文化 人 類 学 の対 象 とす るさ ま ざ まな 人 間社 会 の事 実 を 学 ぶ こ とか ら出 発 しなけ れ ば な らな い

とい う結論 に到 達 した の で あ る.

  や が て,社 会 学 者 や人 類 学 者 が 中核 とな って,(彼 らは 後 に 『文 化 項 目分 類 』 の 著 者 とな った の で あ るが),探 検 家,旅 行 者,宣 教 師,人 類 学 者 な どの 記 述 した さ ま ざ まな社 会 の 人 間 生活 の記 述 を 読 み,ど の よ うな文 化項 目が含 まれ て い る か,分 析 す る 作 業 を 始 め た 【FoRD  1971:1751。 そ の 中心 的 役 割 を担 った の が マ ー ドッ ク(George P.Murdock)で あ った。 彼 が,毎 夜 大 学 の 図書 館 で閉 館12時 ま で,民 族誌 資料 を読 ん で い た とい う話 は,今 もイ ェール 大 学 で 語 り継 がれ てい る。 日本 の 民 具 分 類 が 民具 を 実 際 に 収集 ・整 理 す る こ とか ら出発 した よ うに,彼 らは 物 質文 化 を 含 め た 民 族誌 情 報 を収 集 ・整 理 す る こ とか ら,す べ て の人 間 社 会 に 共通 す る よ うな文 化 項 目の 分 類体 系 を作 成 し始 め た の で あ る。1936年 に は分 類 体 系 の概 要 が 完 成 し,パ イ ロ ッ トプ ロジ ェ ク トと して,こ の分 類 を 用 い て無 文 字 社 会 の 民 族誌 資 料 の分 析 を行 い,他 方 で 数 多 く の人 間行 動 科 学 の専 門家 に この分 類 概 要 の チ ェ ッ クを依 頼 し,お よそ100名 か ら意 見

3)Mayに よ れ ば,1931‑32年 の 一 年 間 に,こ の 研 究 所 に 関 わ っ た イ ェ ー ル 大 学 の 研 究 者 は130 人 を 越 え て い た 【MAy  1971:142】 。

(9)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号 が 寄 せ ら れ た[FoRD  1971:1841。 こ う し て1938年,数 多 く の 分 野 の 研 究 者 の 共 同 作 業 の も と で 『文 化 項 目分 類 』 の 初 版 が 出 版 さ れ た の で あ る。

  そ の 後 さ ら に90社 会 を 対 象 に 資 料 分 析 を 進 め,い くぶ ん 修 正 さ れ たr文 化 項 目 分 類 』 が,1945年 にYale  Anthropological  Studies, Vol.IIIと して 出 版 さ れ た 。1949年 に は イ

ェ ー ル 大 学 の 人 間 関 係 研 究 所 を 解 散 し,こ れ ま で に 収 集 し,分 類 さ れ た 資 料 を よ り多 く の 研 究 機 関 が 利 用 で き る よ う に と,会 員 制 に よ る 任 意 の 大 学 お よび 研 究 機 関 が 相 互 で 運 営 す る 法 人 組 織 と し て のHRAF(Hurnan  Relations Area Files)が 設 立 さ れ,人 行 動 の 通 文 化 研 究 と そ の た め の 情 報 提 供 は,今 日 に 至 る ま でHRAFに よ っ て 継 承 さ れ て い る4)。

  で は,文 化 項 目 の 分 類 と は 何 か 。 マ ー ド ッ ク は,文 化 の 普 遍 的 カ テ ゴ リ ー を 文 化 の 共 通 項(common  denominator)と 呼 ん で い る 。 す な わ ち,「 文 化 の 真 に 普 遍 的 な も の は,習 慣 す な わ ち 確 た る形 を も っ た 行 動 上 の 同 一 性 で な い 。 そ れ は 分 類 上 の 類 似 点 で あ っ て,内 容 の 類 似 点 で は な い 。(中 略,下 線 は 筆 者)例 え ぽ,配 偶 者 を 獲 得 す る, 児 童 を 教 え る,病 人 を 取 り扱 う,と い う よ うな 現 実 の 行 動 は,社 会 の 異 な る ご と に 非 常 に 異 な っ て い る 。 け だ し,こ の よ う に 異 な る 行 為 を,結 婚,教 育,医 学 とい う統 一 的 範 疇 の も と に 分 類 す る こ と を 渋 る 人 は い な い だ ろ う。 諸 文 化 の 間 に 真 に 広 範 囲 に,

も し くは 普 遍 的 に 見 ら れ る類 似 点 の す べ て は,分 析 に よ っ て,こ の よ うに 一 般 的 に 認 め られ た 一 連 の 諸 範 疇 に わ け ら れ る 。」1'■ 一 ド ッ ク  1952:136】 従 っ て,ア メ リ カ イ ン デ ィ ア ン の 呪 医 も 現 代 の 精 神 分 析 医 も 〈756精 神 治 療 医 〉 に,ま た は 原 始 的 な フ リ ン トの 切 り出 し も近 代 的 な ア ナ コ ソ ダ銅 精 錬 所 も 〈316鉱 石 採 掘 と採 石 〉 に 分 類 さ れ る の で あ る 【マ ー ド ッ ク 他1988:14]。 こ う し た 考 え 方 を 基 礎 に,『 文 化 項 目 分 類 』 で は 文 化 の 共 通 項 目を,ま ず10か ら88ま で の2桁 の 数 字 で 表 され る79の 大 項 目に 分 け,さ ら に 各 大 項 目 に1か ら9の 数 字 を 加 え て,3桁 の 数 字 で 表 さ れ る637の 小 項

目 に 分 類 して い る5)。

  次 に,こ の 分 類 は,ど の よ うな 仮 説 や 理 論 に 基 づ い て,文 化 項 目 を 選 択 し,細 し,ま た 配 列 し て い る の で あ ろ うか 。 マ ー ド ッ ク はr文 化 項 目分 類 』の 概 説 の 部 分 で, そ の 理 論 的 背 景 に つ い て,次 の よ うに 指 摘 して い る 。 さ ま ざ ま な 民 族 の 民 族 誌 に は, ど の 著 者 も共 通 に 認 識 し て い る 項 目 が あ る。 そ し て,そ れ ら の 項 目 を 分 析 す る と,7 つ の 基 礎 的 な 分 類 基 準 と な る よ うな 側 面(方 向 性)が 見 出 せ る(詳 し く はr文 化 項 目

4)HRAFは 会 員 で あ る大 学 や研 究所 に よって 維 持,運 営 され て い る営 利 を 目的 と しな い 法 人組   織 で,本 部 は イ ェ ール 大学 の キ ャ ンパ ス近 くに あ る。 主 要 な事 業 は,通 文 化研 究 の た め の資   料 を会 員 に 配 布 す る こと と,通 文化 研 究 を 自 ら推 進 して い く ことで あ る1松 澤   1988】。

5)本 書 資 料 編BrHRAF/文 化 項 目分 類(OCM)コ ー一ド」 参 照 。

(10)

松 澤    標 本 資料 検 索 コ ー ドと して のHRAFコ ー ドの利 用 に つ い て

分 類 』16‑17頁 参 照)。 しか し,マ ー ドックは,彼 の見 出 した これ らの7つ の側 面 を, 論 理 的 に配 列 して分 類 体 系 を作 成 す る こ とは理 論 上 可 能 で あ るが,そ れ は極 め て複 雑

な もの とな り,そ れ を用 い て 民族 誌 資 料 を 分 析 す るな ら,そ の 資料 の 内容 を ず たず た に 切 り裂 い て しま う結 果 に な る と考 え た。 そ して,数 多 くの 資料 を分 析 す る うちに, 結 果 と して一 般 的 な配 列 を 作 りあげ て い った の で あ る。 分 類 とい うもの は,そ れ ぞ れ

の研 究 の 目的 に応 じて,便 宜 的 に活 用 され る もの で あ り,理 論 が先 行 す る ので な く, 現 実 に即 した も の で な け れ ば な ら ない 。 そ の 意 味 では 完 全 な 分 類 は な く,絶 え ず 修 正,補 足 され て いか なけ れ ぽ な らな い のは 当 然 の こ とで あ る。

  ここで 『文化 項 目分 類 』 とセ ッ トに な っ て い る も うひ とつ のHRAFの 分 類, r地 域

・民 族 分類 』 を簡 単 に紹 介 して お こ う。 これ は 文 化項 目分 類 を 構 築 す る過 程 で,必 然 的 に完 成 した。 なぜ な ら,『 文 化 項 目分 類 』 のパ イ ロ ッ トプ ロジ ェ ク トで世 界 諸 民 族 社 会 の 民 族 誌 資料 を で き るだ け 地域 的 に偏 りな く選択 す る ため に は,地 域 ・民 族 分 類 を作 成 して,す で に分 析 され た 資料 が どの よ うな 地域 や民 族 を カバ ー して い る のか, チ ェ ッ ク して い く必 要 が あ った か らで あ る。 『地 域 ・民 族 分 類 』 は,世 界 を6つ の 地 理 的 地 域 に 分 類 し,さ ら にそ れ ぞ れ を 国や 民 族 に細 分 し,そ の中 に は 歴 史 区分 を含 ん で い る こ と もあ る6)。 しか し地 域 研 究 が 進 む に つ れ て,細 分 の要 請 が 出 され て お り, 近 い 将 来 に改 訂 され る予 定 で あ る。1954年 に 初 版 が 出版 され,修 正 ・補 足 され て,

1983年 に は6版 が 出版 され てい る。

4  『文化項 目分類』 と物質文 化の分類

  物 質 文 化(こ こで 標本 資 料 と呼 ぶ もの)はr文 化 項 目分 類』 の中 では どの よ うに取 り扱 わ れ て い る のだ ろ うか。 こ の文 化 項 目分 類 の構 築 に あ た って きた 研 究 者 た ち は, 文 化 の諸 特 性 は 互 い に密 接 に関 連 しあ って い て,物 質 文 化 も文 化 全 体 の 脈 略 か ら切 り

離 す こ とは で き ない とい う文 化 理 論 の 立 場 に 立 って いた か ら,特 に物 質 文 化 を 独 立 さ せ て,分 類 して い な い 。 『文 化 項 目分 類 』 編 纂 の た め の パ イ ロ ッ ト研 究 で,主 と して 物 質 文化 に関 わ る部 分 の 研究 を担 当 した フ ォー ド(Clellan S. Ford)7)は,物 質 文 化 の 研 究 に は2つ の立 場 が あ り,ひ とつ は 全 体 文 化 の枠 組 み の 中で取 り扱 お うとす る立 場

       

で,も うひ とつ は 特 に そ の 製 作 技 術 に 注 目 し,特 定 の 製 作 活 動 と他 の 文 化 行 動 の 諸 側 面 と の 関 係 を 無 視 し,特 定 の も の を 詳 細 に 分 類 す る や り方 で あ る 【FOR])1937:2301。

『文 化 項 目分 類 』 は,当 然 前 者 の 立 場 を 貫 い て い る 。 6)本 書 資料 編C「HRAF/地 域 ・民 族 分 類(owc)コ ー ド」 参 照 。

7)彼 は物 質文 化 の比 較 研 究 に よ って,イ ェ ール 大 学 よ り人 類 学 の学位 を 得 た。

(11)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号

  で は,実 際 『文 化項 目分 類 』 では,物 質文 化(標 本 資 料)を どの よ うに,そ の分 類 体 系 の 中 に組 み込 ん で い る の だ ろ うか 。 まず,人 間 行 動 の 普遍 的 類 似 点 を 大項 目 と し て分 類 し(す な わ ち,「 文 化 の共 通 項 」),そ れ ぞれ 大 項 目の 中 で行 動 の背 景 とな る装 置,社 会 的組 織,必 要 な用 具,技 術,結 果 と して の産 物,そ れ に まつ わ る儀 礼 や 信仰 な どの 分 類項 目 と して細 分 して い る8)。

  例 えぽ,大 項 目 〈21記 録 〉 の下 に小 項 目 〈212文 字 〉 が あ り,〈212.07筆 記 用 具 〉 が 分 類 され て い る。(但 し,こ の 小数 点 以下 の数 字 を付 した 分類 は,翻 訳 版 に お い て 便 宜 的 に使 用 した が,原 本 で は;(セ ミコ ロ ソ)で 区 切 られ た 記 述 に過 ぎ な い9)。) こ の大 項 目,〈21記 録 〉は 「半 永 久 的 な記 録 に よ り時 間 を超 えた コ ミュ ニケ ーション 」 と い う人 間 行 動 の 分 類 カ テ ゴ リー で あ る。 ま た,発 火 器 具 は,〈37エ ネル ギ ー と動 力 〉,〈372火 〉とい うカテ ゴ リーの 中 に含 まれ て い る。 こ こで も大 項 目 〈37>は,「 自 然 界 に存 在 す る エ ネ ルギ ー資源 の活 用 お よび産 業 動 力 へ の利 用 」 とい う人 間 の 自然 界 へ の働 きか け とい う行動 に 関わ って い る。 〈41道 具 と機 器 〉 だ け は,そ のす べ て の 小 項 目が 道 具 ・機 器 の細 分 類 とな っ て い る が,他 の 分 類 項 目 との重 複 を 避 け る た め に

「他 の カ テ ゴ リー に 情 報 が な い 場 合 に の み 以 下 で 扱 う」 とい う説 明 が つ い て い る。 従 っ て,〈413特 殊 な道 具 〉の 中に 〈413.01筆 記 用 具 〉が あ るが,こ れ は上 に述 べ た 「 録 」 とい う目的 とは異 な った 目的 のた めに 使 用 さ れ る特 殊 な 筆 記 道 具 を指 して い る の で あ る(今,そ の具 体 例 が 思 い つ か な いが)。

  r文 化 項 目分類 』 の 重要 な特 徴 の ひ とつ に,そ れ ぞ れ の項 目に ク ロス レフ ァ レ ソス が つ い て い る こ とで あ る。 例 え ば,〈293服 飾 雑 貨 〉 に 分類 され る もの の 中 に は,次 の項 目に 分 類 され る べ き もの も あ る の で,参 照 して ほ しい とい う意 味 で 「次 を も参 照 」 と記 され て い るの で あ る10)。この ク ロス レ フ ァ レ ンスはHRAFで の 長 年 に 及 ぶ 民族 誌 資 料 の分 析 の経 験 か ら考 案 さ れ た も の で,r文 化 項 目分 類 』 改 訂 の 際 に は 新 た に検 討 を 加 え,必 要 な項 目が 追 加 され て い る。

  ここで は 対 照表 を示 さ ない が,私 の個 人 的 な 試 み で は,日 本 の民 具 分類 に あ る諸 項 目で,OCM分 類 の い ず れ の カテ ゴ リーに も対 応 しな い もの は な い。 た だ,さ らに分 類 を進 め る過程 で,よ り詳 細 な 分 類項 目が 必 要 に な る こ とも あ るか も しれ な い。 しか

8)本 書 資 料 編B「HRAF/文 化項 目分 類(OCM)コ ー ド」 参 照 。

9)『OCM』 で は 「小 数 点 以下 」 の分 類 は され て い な い 。そ れ ぞ れ の カ テ ゴ リー の 内容 の説 明 で   あ る。 しか し,カ テ ゴ リー を さ らに 細 分 す るた め に,;(セ ミ コ ロ ソ)で 区 切 られ た と こ ろ   に小 数 点 を 加 え て細 分 す る方 法 は,Dr.  Hesung K. Koh(元HRAF研 究 部 長)が 韓 国 に関 す る 文 献 の分 析 にOCM分 類 を 用 い た際 に工 夫 した もの で あ る。民博 で は 『OCM』 翻訳 にあ た って, そ の方 式 を 採 用 した。

10)本 書 資 料 編B「HRAF/文 化項 目分 類(OCM)コ ー ド」,"2内 容 抜 粋"参 照 。

(12)

松 澤    標 本 資 料 検索 コー ドと してのHRAFコ ー ドの利 用 に つ いて

し,そ の 汎 用 性 は,HRAFが こ れ ま で300以 上 の 社 会 を 対 象 に 約77万6千 頁 に も 及 ぶ 民 族 誌 資 料 を こ れ に よ っ て 分 析 し て き た い うHRAFの 実 績 が 証 明 して い る と 思 う。

  ま た,標 本 資 料 に 関 し て は,ニ ュ ー メ キ シ コ 州 立 博 物 館(The  Museum  of New  Mex‑

ico, the Museum  of lnternationa 1 Folk Art)の 館 長 で あ っ た イ ン バ ラ リテ ィ(Robert  B.

Inverarity)が 行 っ た 実 験 結 果 で も 明 ら か で あ ろ う。 彼 は,『 文 化 項 目 分 類 』 を 用 い て 博 物 館 に 所 蔵 さ れ て い た 視 覚 資 料(民 芸 品 の 写 真 資 料)を 分 類 整 理 し,研 究 者 が そ れ ら の 資 料 を 研 究 の た め に 利 用 で き る よ うに し た い と考 え て,プ ロ ジ ェ ク トチ ー ム を 組 織 した 。 こ の プ ロ ジ ェ ク トで は,保 存 さ れ て い る一 枚 一 枚 の写 真 資 料 にOCMコ ー ド を つ け,HRAFフ ァ イ ル の 方 法 で 検 索 で き る よ う に し た 。 そ の 結 果 は 『Visual Files Coding  lndex』 と して,1960年 に 出 版 され て お り[INvERARITY  1960】,か な りの 成 果 が あ っ た と報 告 し て い る 。 しか し,こ の 資 料 の ほ と ん ど は 民 俗 芸 術 品 で あ っ た た め, OCMカ テ ゴ リー 〈531装 飾 美 術 〉 と 〈532具 象 的 な 形 を 表 現 し た 美 術 〉 で は コ ー ド が 不 十 分 で あ っ た と して,ま だ 使 用 さ れ て い な い コ ー ド89を 用 い て,次 の よ うに 新 た な 分 類 項 目 を 追 加 し て い る 。89民 芸 品:891材 料,892技 術,893デ ザ イ ン の 様 式, 894デザイン の 要 素,895作 品,896特 質 。 こ こ に 追 加 され た 項 目は,民 俗 芸 術 品 と い う資 料 に と っ て 重 要 な 情 報 項 目 で あ っ て,マ ー ド ッ ク が 「文 化 の 共 通 項 」 と呼 ぶ も の で は な い 。 従 っ て,こ う した 情 報 は,取 り扱 う資 料 に 合 わ せ て 設 け る べ き情 報 項 目 で あ る と,私 は 考 え る 。 民 博 で 使 用 し て い る 情 報 カ ー ドで は,「 製 作 法 」 「材 料 」 と い

う項 目が 設 け ら れ て い る 。

  さ ら に 同 じ よ う な 試 み は,民 族 誌 フ ィ ル ム の 主 題 分 析(topical  classification)に 適 用 さ れ て い る 【MuscHlo  1980;KREIss  and STocKToN  19801。 い ず れ も,上 述 の よ うな 補 足 を 加 え て は い る が,OCMコ ー ドに よ っ て 検 索 が 可 能 で あ る こ と を 証 明 し て い る。

  イ ェ ー ル 大 学 の 人 間 関 係 研 究 所 やHRAFが こ の 分 類 体 系 に か け た 時 間 と人 材,ま た そ の 規 模,さ ら に そ れ を 用 い た 資 料 分 析 の 実 績 を 考 え,るな ら,世 界 の 諸 民 族 の あ ら ゆ る デ ー タ を 分 類 し,検 索 す る た め の コ ー ド体 系 と して は,こ れ を 除 い て 他 に 適 切 な 分 類 体 系 は な い の で は な か ろ うか 。

5  民 博 に お け る 標 本 資 料 検 索 の 実 験 結 果

  民 博 で は,情 報 カ ー ドに 基 づ い て,標 本 資料 にOCMコ ー ドを 付 す とい う作 業 を 行 った 。 しか し,こ の作 業 は 決 して容 易 な こ とで な い。 第 一 に,そ れ ぞれ の資 料 は,博

(13)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号

物 館 に収 蔵 され る以前 には,人 々の 生 活 の 中で さ ま ざ まな用 途 を もち,そ の文 化 の脈 絡 の 中で 意 味 を与 え られ て,生 きて い た ので あ る。 民具 収 集 に あ って,情 報 カ ー ドの 記 入 が最 も大 切 な 作業 で あ る のは,そ うした 情 報 を で き るだけ 正 確 に 記 して おか なけ れ ば な らな い か らで あ る。 ま して や 収 集 者 で な く,使 用 民 族 の 文 化 に精 通 しな い人 が,コ ー ドを 付与 す る な ら,情 報 カ ー ドに頼 る しか 方 法 が な いか らで あ る。今 回 の実 験 で は,仮 面657点,刃 物 類389点,容 器類759点,玩 具 類920点 とい う選 択 を した が, 情 報 の少 な い もの が多 か った 。 従 っ て,OCMコ ー ドが 検索 に どれ ほ ど有 効 で あ った の か を実 証 す るに 至 って い な い。 む しろ十 分 な情 報 記 入 の あ る資 料 を 選 択 す るべ きで あ った と思 う。

  第二 に,多 くの 資料 は,上 で述 べ た よ うに,多 種 多 様 な用 途,多 岐 に わ た る機 能 を もつ か ら,あ る特 定 の分 類 項 目に 固 定 す る こ とが 困 難 で あ る とい う問 題 が あ る。 この こ とに 関 して は,HRAFフ ァイル の シス テ ム を取 り入 れ て,複 数 の カ テ ゴ リー コ ー ドを 与 え る こ とで 解 決 で きる と考 えて い る。 例 えぽ,仮 面 を考 え よ う。 仮 面 は,民 族 美 術 に も宗 教 儀 礼 に も用 い られ,呪 物 で もあ る。 イ ソバ ラ リテ ィの 分 析 結 果 で は,仮 面 は 次 の8つ の カ テ ゴ リー に 関 連 して い る とい う 【INvlERARITY 1960:11]。 す な わ ち,〈532具 象 的 な形 を 表 現 した 美 術 〉〈535舞 踊 〉 〈536演 劇 〉 〈301装 身 具 〉 〈293 服 飾 雑貨:防 護 用 具 〉〈782慰 撫 〉〈754邪 術〉 〈714制 服 と装 具 〉(彼 の独 自の コー ド 895と892は 〈532>に含 む)。 もち ろ んす べ て の仮 面 が8つ の側 面 を も って い る わ け で は な い。 今 回 入力 され た 資料 の 中か ら,情 報 カ ー ドの情 報 の一 部 とOCMコ ー ドの 付 与 され た例 を挙 げ て み よ う。

標 本 番 号       HOO68132 標 本 名         仮 面(木 製)

使 用 地         メ キ シ コ 合 衆 国Guerrare州

用 途 ・使 用 法   秋 に 作 物 の 実 る時 の ダ ソ ス に 使 用 。 虫,動 物 の マ ス クを つ け た 人         々 と 共 に 踊 られ る 。

OCM         532.08;535.12;241.15

       (こ こ で 〈241.15農 耕 儀 礼 〉 の コ ー ドが 付 さ れ て い る。)

  こ う して 複 数 の コー ドが 付 され る こ とに よ って,ユ ー ザ ーが ダ ソス に用 い られ る仮 面 とか,呪 物 と して の仮 面 とか,い くつ か の属 性 を もった 仮 面 を コー ドの組 み 合 わ せ で検 索 す る こ とが可 能 とな る と考 え て い る。

  第 三 は,OCMカ テ ゴ リー と研 究者 の付 与 した 標 本 名 との相 関 関 係 に つ い て の 問 題

(14)

松 澤    標 本 資 料 検 索 コー ドと して のHRAFコ ー ドの利 用 に つ い て

で あ る。 す で に 指摘 した よ うに(74頁),そ れ ぞ れ の カテ ゴ リー に は分 類 上 の類 似 点 を も った ものが ク ラス タ ー を作 るの で あ って,あ る特 定 の名称 で呼 ば れ る もの が み な 分 類 上 の類 似 性 を もつ の で は な い。 名 称 を 与 え る人 は,そ の名 称 に 対 して,そ の人 が 一 般 的 と思 うイ メ ー ジな り概 念 を も っ てい るが ,そ れがOCM分 類 の カ テ ゴ リー と一 致 す る とは 限 らな い 。 そ れ 故 に,「 用 途 ・使 用 法 」,ま た 「製 作 法 ・材 料 」 「使 用 者 」 な ど の情 報 か ら,OCM分 類 の 適 切 な コrド が付 与 され るの で あ る。 「仮 面 」 とい う 言 葉 が複 数 の カ テ ゴ リーに 現れ る のは そ の た め で あ る。 未 だ,わ れ われ の実 験 デ ー タ が 不 十 分 で,具 体 例 を 挙 げ る こ とは で き な い が,「 仮 面 」 は,戦 闘 の 身 体 防 護 具 や, 人 が 身 に つ け られ な い小 さな 呪符 に も用 い られ る。文 化 の異 な る諸 民 族 を対 象 にす る 時,こ の こ とは念 頭 に 置 い て お か なけ れ ば な ら ない 。 『文 化 項 目分 類 』 の 著 者 た ち は, そ れ ぞ れ の カテ ゴ リー に便 宜 上 英語 で語 彙 を与 え なけ れ ば な らず,そ の 語彙 に よっ て 分 析 者 に 歪 ん だ イ メ ー ジを 与 え な い か と苦 慮 した ので あ る[FORD  l971:1781。

  最 後 に ユ ーザ ー の立 場 か ら,情 報 カ ー ド記 入 に関 して 希望 を述 べ て お きた い。 標 本 の命 名 が 自由 で あ って も,そ の 中 に 材料 や 使 用 者 が含 まれ る場 合 には,再 度 そ れ ぞれ の項 目に 記 入 す る こ とで あ る。 そ うす れば 材質 や 使 用 者(一 般 的 な男 性,女 性,子 供 な ど)の 検 索 も可能 に な る。 特 に 後者 に は,祭 司,首 長,未 婚 者,兵 士,奴 隷 な どの 情 報 が あ れ ぽ,情 報 検 索 の幅 が 広 が るで あ ろ う。

文 献

文 化 庁 内民 俗 文 化 財研 究会

    1979  『民 俗 文 化 財 の手 び き一 調 査 ・収集 ・保存 ・活 用 の た め に一 』 第 一 法 規 出 版 。

FORD, C.S.

1937 A Sample Comparative Analysis of Material Culture. In G.P. Murdock (ed.), The Studies of Society, Books for Libraries Press, pp.225-246.

1971 The Development of the Outline of Cultural Materials. Behavior Science Notes 6(3):

173-185.

INVERARITY, R.B.

1960 Visual Files Coding Index. International Journal of American Linguistics 26 (4): 1-185.

ICREISS, L. and E. STOCKTON

1980 Using the Outline of Cultural Materials as a Basis for Indexing the Content of Ethnographic Films. Behavior Science Research 15: 281-293.

松 澤 員 子

    1988「 マ ー ド ックー 通 文 化 研 究 の推 進 者 」 綾 部 恒 雄(編)『 文 化 人 類 学 群 像2』 ア カ デ ミ       ア出版,oo.9‑25.

MAY, M.A.

1971 A Retrospective View of the Institute of Human Relations at Yale. Behavior Science Notes 6 (3) : 141-172.

宮 本 常 一

    1969「 民 具 試 論(一)1日 太 常 民 立 化 研 究 所(編)『 民 具 論$‑m応 友 社.DD.1‑24。

(15)

      国 立 民 族学 博 物 館 研 究 報 告 別 冊   17号

マ ー ド ッ ク,G .P.

1952「 文 化 の 公 分 母 」 ラ ル フ ・ リ ソ トソ(編)『 世 界 危 機 に 於 け る 人 間 科 学 』瀬 川 行 有(訳),       実 業 之 日本 社,pp.134‑154。

MURDOCK,  G.P.

    1983  0utline  of〃World  Cultures.  Human  Relations  Area  Files.

マ ー ド ッ ク,G.P.・C.S.フ ォ ー ド ・A.E.ハ ド ソ ソ ・R.ケ ネ デ ィ ・LW.シ モ ソ ズ ・J.W.M.ホ ワ イ テ ィ ン グ

    1988r文 化 項 目分 類 』 国 立 民 族 学 博 物 館(訳),国 立 民 族 学 博 物 館 。 Muscmo, G.

1980 An Application of the Outline of Cultural Materials to Film Information. Behavior Science Research 15: 263-279.

中村 たか を

    1981『 日本 の民 具 』 弘 文 堂 。 大 島暁 雄

    1975  「民 具 の調 査 と収 集 」 宮 本 馨 太 郎(編)r民 具 資 料 調査 整 理 の実 務 』 柏 書 房,pp.1‑95。

田辺 悟

    1975  「民 具 の 分 類 ・整 理 ・保 存 と展示 」 宮 本 馨 太 郎(編)『 民 具 資 料調 査整 理 の実 務 』 柏 書         房,pp.97‑163。

参照

関連したドキュメント

 中国では漢方の流布とは別に,古くから各地域でそれぞれ固有の生薬を開発し利用してきた.なかでも現在の四川

16)a)最内コルク層の径と根の径は各横切面で最大径とそれに直交する径の平均値を示す.また最内コルク層輪の

[r]

[r]

れた。 2004 年( 22 年生)夏に,再生した林分内で 面積 148 ~ 314m 2 の円形調査区 9 区(総計 1,869m 2 ) を斜面の上部から中部にかけて 10 ~ 15m

雑誌名 金沢大学日本史学研究室紀要: Bulletin of the Department of Japanese History Faculty of Letters Kanazawa University.

Maria Rosa Lanfranchi, 2014, “The use of metal Leaf in the Cappella Maggiore of Santa Croce”, Agnolo Gaddi and the Cappella Maggiore in Santa Croce in Florence; Studies after

Keywords: homology representation, permutation module, Andre permutations, simsun permutation, tangent and Genocchi