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博士(薬学)橋本 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(薬学)橋本 学位論文題名

ビオチン化 フェニルジアジリンを利用する      光 ア フ ィ ニ テ ィ ー ラ ベ リ ン グ

ーラベル生成物の選択的な検出、精製への応用一

学位論文内容の要旨

  光アフイニテイーラベル法は蛋白質の機能構造解析に有用な化学的手段であり、この手法を用いること で基質結合部位の一次溝造解析が可能となる。この結果を部位指定突然変異導入法と組み合わせることは、

蛋白質の機能構造解析に対する最も有望なアプローチのーっとして期待される。この目的を達成するには 光アフイニテイーラベルによるラベル領域の決定が不可欠となる。しかし、光照射により起こる特異的な ラベルの収率は一般に低いため、ラベル蛋白質の選択的な分離は難しい。またラベル部位解析のための断 片化を行うと、さらに複雑な混合系となり、ラベルペプチドの単離精製が困難なのが実状である。

  この問題は、混合系からラベル生成物を選択的に単離する手法により解決できると考え、アビジン.ビ オチンの特異的相互作用を利用する光アフイニテイーラベル法の確立のため、以下の点について検討した。

  1)光反応性基アリールジアジリン合成の改良

  光アフイニテイーラベル試薬に必要な光反応性基部分の合成について検討した。光アフイニテイーラベ ルに利用される反応活性種として、ニトレンとカルペンの2種が利用されている。カルベンはその反応性 およぴラベル結合の安定性ともにニトレンに比ペ優れている。カルペン前駆体の中でも3‑フェニル‑3‑ト リフルオロメチルジアジリンは、光アフイニテイーラベルに最も適した光反応性基のーっとして利用され ている。しかしジアジリン骨格の合成はアジドに比べて行程数が格段に長く、ラベル目的に応じた誘導体 を合成するには、その誘導体ごとにジアジリン骨格を合成する必要であった。申請者は、この問題に対し、

まず容易に大量合成できるジアジリン誘導体を構築後、種々の置換基を導入する合成法を検討した。基本 となるジアジリンには、3‑メトキシフェニル‑3‑トリフルオ口メチルジアジリンを選択した。この化合物 は、芳香環上への求電子反応を活性化するメトキシ基をもち、さらにこのメトキシ基の脱メチル化後、再 アルキル化が可能である。修飾反応として、リガンド骨格と光反応性基をっなぐための置換基導入反応を

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検討した。その結果ジアジリン部が安定な求電予反応としてタリウム化が利用できることを見いだした。

このタリウム化後、メタノール中パラジウム触媒による一酸化炭素の挿入反応によりカルポン酸メチルエ ステルを導入した。これを加水分解でカルポン酸とし、活性エステルへと容易に誘導できた。再アルキル 化反応は、BBr3により脱メチル化し、得られたフウノールをプ口モ酢酸メチルと反応させて対応する アルキル体を収率良く合成できた。さらに、この一連の反応を利用し、放射性標識ジアジリン合成につい ても検討し、ヨウ化メチルによる再アルキル化で14C標識体を合成した。また、ヨード標識体を得るた めに一般的なク口ラミンT法も利用できることを示した。これらのことから、3‑メトキシフェニル‑3‑卜 リフルオロメチルジアジリンを利用することで、行程数の長いジアジリン部分合成を省略し、目的の光ラ ベ ル に 必 要 な 置 換 基導 入が 可能 とな り、 光反 応性 基部 分の 合成 を簡 略化 す るこ とが でき た。

  2)ピオチン一体型ジアジリンの合成

  光ラベルと同時にビオチンを導入し、アピジンとの相互作用を利用するには、リガンド骨格内に光反応 性基とピオチンを導入しなくてはならない。しかし現在まで報告されたピオチン化光アフイニテイーラペ ル試薬は、合成するうえでビオチンと光反応性基を別々に導入しており合成上の手間がかかっていた。

  申請者は、一段階の反応でピオチン化光アフイニテイーラベルリガンドを合成するために、ビオチン一 体型ジアジリンを合成を行った。1項で確立した合成法を利用し、ビオチン化ジアジリンを合成した。こ の際、ジアジリンとビオチン間にポリエーテルのスベーサーを入れることで試薬の水溶性を増し、カルポ ン酸誘導体の溶解度をピオチンと同程度にすることができた。活性エステル体も合成し、リガンドアミノ 基との一段階の反応でピオチン化光アフイニテイーラペル試薬を調製できるようにした。また、2価性架 橋試薬として活性エステルと光反応性基を利用できる構造とした。

  3)ピオチン一体型ジアジ リンを用いた光クロスリンクとアピジンーピオチン系を利用した検出     光ラペル生成物に導入されるピオチンを利用した検出を確立するために、ビオチン化ジアジリンの活 性エステルを2価性架橋試薬として利用し、アビジンサプユニット間ク口スリンクを検討した。ビオチン 化ジアジリン活性エステルにより蛋白質アミノ基の化学修飾をした後、光照射することで、サプユニット 間にク口スリンクを起こした。クロスリンクの検出には、ピオチンを利用した化学発光法を用いた。その 結果、光クロスリンクによルサブユニットのダイマーに相当する分子量に化学発光が感度良く検出され、

光 ラ ベ ル 生 成 物 の 高 感 度 検 出 に 化 学 発 光 法 が 利 用 で き る こ と を 初 め て 示 し た 。

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  4)光 アフイ ニテイー ラベル ヘのア ビジン ‐ピオ チン系 の利用 (ラペ ル蛋白質 、ラベルペプチドの検出 およぴ単離精製)

  っ ぎ に 、 近年 機 能 構 造解 析が急 がれて いる糖 転移酵 素のーつ であるB−1,4−ガラク トース 転移酵 素 (p−1,4−GalT) を 対 象 蛋白 質 と し て選 択 し 、 アピ ジン‐ビ オチン 系の利 用した 光アフ イニテ イーラ ベ ルを 検 討 し た。 合 成 し た光 ラ ベ ル 試薬 は 、B―1,4−GalTの2つ の 基 質で あ る 糖 受容 体 (N‑ア セ チ ル グ ル コ サ ミ ン 、Gl cNAc) と 糖 供 与 体 (UDP― Gal) の う ち 、Gl cNAcを り ガ ン ド 骨 格 に 選択し 、2項で 合成し た、ビ オチン 化ジア ジリン を利用 すること で、容 易にビ オチン化光ラペル試薬を調 製 で き た 。 光 ラ ベ ル 試 薬 は 、pl,4―GaITの 良 好な 基 質 と なる こ と お よび 、 光 照 射に よ ル ジ アジ リ ン部の光分解が速やかに起こることを確認した。

  こ の 光 ラ ペ ル 試 薬 を 用 い 、 ウ シp―1,4−GalTの 光 ア フ イ ニ テ イ ー ラ ペ ル を 行 い 、pl,4−Ga 1Tの 分 子 量 (42KDa) に 化 学 発 光 が 認め ら れ 、 その 発 光 強 度は 、 競 合 阻害 剤 の 共 存に よ り 減 少し た ことか ら特異 的ラペ ルの進 行を確 認した 。この 際、ピオ チン化BSAを標 準物質に 用い、デンシトメーター 解析することにより、10.12〜 l0‑14rriolの間でラベル定量化の手法を確立した。更に、リコンピナントヒト p―1,4―GalTに 対 し ても 光 ア フ イニ テ イ ー ラベ ル が 可 能で あ っ た 。ラ ベ ル蛋 白質の 混合系 からの選 択 的な 単 離 に つい て も 検 討し 、 ラ ペ ル蛋 白 質 の みを固 定化ス トレプ トアピ ジンに 吸着さ せ、2%SDS処 理することでラペル蛋白質を回収することができた。(回収率約60%)。

  また 、酵素消 化で生 じるぺ プチド 混合系 につい てもア ピジン‐ピオチン系を利用した検出単離を検討し た 。ラ ペ ル ベ プチ ド の 化 学発 光 検 出 では 感 度 の 低下に 対し、PVDF膜を 修飾し べプチド を膜上 に固定 化 する新 しい手 法を開 発する ことで 問題を 解決し た。ラベ ルペプチドの単離では、蛋白質の場合と同様、固 定 化 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン へ の 特 異 的 吸 着2ゲ 。SDS処 理 に よ る回 収 が 利 用で き る こ とを 確 認 し た。

  簡便な ラペル リガン ド合成か らその 応用ま で、ア ピジン_ビオチン相互作用の利用を検討した今回の研 究 成 果 に よ り 光 ア フ イ ニ テ イ ー ラ ベ ル が さ ら に 行 い や す く な っ た と 考 え ら れ る 。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    上野 直人 副 査    教 授    大塚 栄子 副査    助教授   井上英夫 副査    助教授   澁谷浩司

学 位 論 文 題 名

ビオチン化フェイルジアジリンを利用する      光 ア フ ィ ニ テ ィ ー ラ ベ リ ン グ

ーラ ベ ル 生成 物 の選 択 的 な検 出 、精 製 へ の応 用ー

  

申請者 はピオチ ン化フェ ニルジア ジリンを 利用した光アフイニテイーラ ペ ル に 関 す る 研 究 を 行 っ て き た が 、 今 回 以 下 の よ う な 結 果 を 得 た 。 光アフ イニテイ ―ラペル 法|よ蛋 白質の機 能構造解析に有用な化学的手段 であり 、この手 法を用い ることで 基質結合 部位の一次構造解析が可能とな る。こ の結果を 部位指定 突然変異 導入法と 組み合わせることは、蛋白質の 機能構 造解析に 対する最 も有望な アプロー チのーっとして期待される。こ の目的 を達成す るには光 アフイニ テイーラ ペルによるラペル領域の決定が 不可欠 となる。 しかし、 光照射に より起こ る特異的なラペルの収率は一般 に低い ため、ラ ベル蛋白 質の選択 的な分離 は難しい。またラベル部位解析 のため の断片化 を行うと 、さらに 複雑な混 合系となり、ラベルベプチドの 単離精 製が困難 なのが実 状である 。申請者 は、混合系からラペル生成物を 選択的 に単離す る手法に よりこの 問題を解 決できると考え、アピジン.ピ オチン の特異的 相互作用 を利用す る光アフ イニテイーラペル法の確立のた め、以下のような検討を行った。

  

申請者 はまず光 アフイニ テイーラ ベル試薬 に必要な光反応性基部分の合

成につ いて検討 した。光 アフイニ テイーラ ベルに利用される反応活性種と

し て、 ニト レンとカ ルペンの

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種が利用 されている 。カルベ ンはその 反応

性およ ぴラベル 結合の安 定性とも にニトレ ンに比べ優れている。カルペン

葡『駆体の中でも3‑ フェニル

‑3‑

トリフルオロメチルジァジ1J ンは、光アフイ

ニテイ ーラベル に最も適 した光反 応性基の ーっとして利用されている。し

かしジ アジリン 骨格の合 成はアジ ドに比べ て行程数が格段に長く、ラベル

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目的に応じた誘導体を合成するには、その誘導体ごとにジアジリン骨格を 合成する必要であった。申請者は、この問題に対し、まず容易に大量合成 できるジアジリン誘導体を構築後、種々の置換基を導入する合成法を検討 した。基本となるジアジリンには、3‑ メトキシフェニル‑3‑ トリフルオロ メチルジアジリンを選択した。この化合物は、芳香環上への求電子反応を 活性化するメトキシ基をもち、さらにこのメトキシ基の脱メチル化後、再 アルキル化が可能である。修飾反応として、リガンド骨格と光反応性基を っなぐための置換基導入反応を検討した。その結果ジアジリン部が安定な 求電子反応としてタリウム化が利用できることを見いだした。このタリウ ム化後、メタノール中パラジウム触媒による一酸化炭素の挿入反応によル カルボン酸メチルェステルを導入した。これを加水分懈でカルボン酸とし、

活性エ ステルへと容易に誘導できた。再アルキル化反応は、 BB r3 によ り脱メチル化し、得られたフェノールをプロモ酢酸メチルと反応させて対 応するアルキル体を収率良く合成できた。さらに、この一連の反応を利用 し、放射性標識ジアジリン合成についても検討し、ヨウ化メチルによる再 アルキ ル化で 14C 標識体を合成した。また、ヨード標識体を得るために 一般的なクロラミンT 法も利用できることを示した。これらのことから、

3‑ メトキシフェニル‑3‑ トリフルオロメチルジアジリンを利用することで、

行程数の長いジァジリン部分合成を省略し、目的の光ラベルに必要な置換 基導入が可能となり、光反応性基部分の合成を簡略化することができた。

   次に申請者は、一段階の反応でピオチン化光アフイニテイーラペルリガ ンドを合成するために、ピオチン ‑ 儲こ型ジアジリンを合成を行った。1 項 で確立した合成法を利用し、ピオチン化ジアジリンを合成した。この際、

ジアジリンとピオチン間にポリエーテルのスペーサーを入れることで試薬 の水溶性を増し、カルボン酸誘導体の溶解度をピオチンと同程度にするこ とができた。活性エステル体も合成し、リガンドアミノ基との一段階の反 応でピオチン化光アフイニテイーラペル試薬を調製できるようにした。ま た、2 価性架橋試薬として活性エステルと光反応性基を利用できる構造と した。さらに、ビオチン一体型ジアジリンを用いた光クロスリンクとアビ ジンーピオチン系を利用し、光ラベル生成物に導入されるピオチンを利用 した検出を確立するために、ビオチン化ジアジリンの活性エステルを2 価 性架橋試薬として利用した。その結果、光クロスリンクにより標的蛋白質 サプユニットのダイマーに相当する分子量に化学発光が感度良く検出され、

光ラベル生成物の高感度検出に化学発光法が利用できることを初めて示し た。最後に申請者は実際に光アフイニテイーラベルへのアピジン‐ピオチ ン系を利用したアフイニテイーラペルによって、近年機能構造解析が急が れている糖転移酵素のーつである p‑i ,4‑ ガラクトース転移酵素(p‑i , 4‑GaIT ) の 検 出 を 試 み た 。 合 成 し た 光 ラ ペ ル 試 薬 は 、 p‑i , 4‑Ga 1T の 2 つ の 基 質 で あ る 糖 受 容 体 ( N‑ ア セ チ ル グ ル コ サ ミ ン 、 GlcN

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Ac ) と 糖 供 与 体 ( UDP − Gal ) の う ち 、 Gl cNAc を り ガ ン ド 骨 格に選択し、2 項で合成した、ビオチン化ジアジリンを利用することで、

容易にピオチン化光ラペ´レ試薬を調製できた。光ラペル試薬は、p‑i , 4‑GaIT の良 好 な基 質 とな る こと お よ び、光照射 によルジア ジリン部 の光分解が速やかに起こることを確認した。

   こ の 光ラ ベ ル試 薬 を用 い 、ウ シ p‑i , 4‑GaIT の 光ア フ イニ テ イー ラ ペ ル を 行 い 、 p ・ 1 , 4‑GalT の 分 子 量 ( 42KDa ) に 化 学 発 光 が 認められ、その発光強度は、競合阻害剤の共存により減少したことから特 異的ラペルの進行を確認した。さらに、ラペル蛋白質の混合系からの選択 的な単離についても検討し、ラベル蛋白質のみを固定化ストレプトアピジ ン に吸着させ 、2 % SDS 処理する ことでラペ ル蛋白質を回収することが できた。(回収率約60 %)。また、酵素消化で生じるぺプチド混合系に ついてもアピジン‐ピオチン系を利用した検出単離を検討し、ラペルペプ チ ドの化学発 光検出では 感度の低下 に対しPVDF 膜を修飾し、ペプチド を膜上に固定化する新しい手法を開発することで問題を解決した。またラ ペルペプチドの単離では、蛋白質の場合と同様、固定化ストレプトアピジ ンへの特異的吸着 2 %SDS 処理による回収が利用できることを確認した。

本研究におけるアピジン.ピオチン相互作用を利用した光アフイニテイー ラペル法の確立は光アフイニテイーラベ´レ法の簡便化に大きく寄与した。

   よって以上の研究は博士(薬学)の学位を受けるに充分値するものと認 めた。

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