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博士(工学)橋本識秀 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)橋本識秀 学位論文題名

レーダ雨量情報とAI 手法に基づく洪水防御施設の操作

学位論文内容の要旨

  地球観/g[衛 星に高精度の光学レーダを用 いて、雲・大気・地表など高精度の地球環 境 観測の ためのプロジェクトが進めら れており、スペースシャト ル・ディスカバリィ で も既に 実験が試みられている。今世 紀中に宇宙衛星や地上から の観測など地球規模 でのより高精度 の情報提供がなされようと している。新しい地球環境についのI時報が 得 られる ことは、私達人類が、さらに もうーつ大きな役割と責任 を果たさなければな ら なぃこ とを意味する。私たちの社会 は、20世紀が生んだレーダ ・テレビ・コンビュ ー夕・遺伝子晴報・映像解析ソフトなどにより、 「青報化社会への移行を示し始めてい る が、こ れを支援するためのシステム 開発は遅れており、特に人 間工学的な面では、

緒 に付い たばかりといえる。本論文で も扱っている情報伝達過程 における多くの判断 な どは、 人間との関わりの中で常に大 きなテーマとなる。本論文 における研究目的は

、 レーダ 雨量の精度向上、AI手法の適 用と関連するテクノロジー を実河川の現場に適 用 し降雨 予測・流出予測・水門操作な どの総合的制御システムに おける誤差項の修正

・ 支援情 報の確信度の表示など、洪水 等制御施設に対する具体的 な支援操作システム の 新しい 開発とその自己評価を可能に することである。この成果 は、今後、洪水等の 流 出予測 ・水門操作に関する技術レベ ルの向上・各種の新しい支 援システム開発を必 要 として いる多くの水系流域へも大き く波及していくものと考え る。さらに広い意味 で 、社会 工学的管理制御システムの開 発のみに止まらず、自然科 学的環境監視制御シ ス テムの 開発への可能性を示唆するも のであり、21世紀の新しい マチづくりやビック プ ロジェ クトにおぃてはこの両システ ムの支援なしにその開発が 不可能であると考え ら れる。 それは今後の新しいビックプ ロジェクトの代表である「 千歳川放水路」にお い ても避 けることの出来ないハードル であり、むしろ積極的に取 り組むことが時代の 使命と考える。

  また本 論文における具体的な事例の 多くは、主に石狩川流域を 対象に行っており、

論文の各章にお ぃて物理モデルによる降雨 予繦小やAI手法などシステム開発による適用

、 それら の結果の評価考察を行い、普 遍的な成果と今後の課題に 言及することができ た。

  本論文は、全6章から構成されている。

  第1章 は 序論 であ り、 本研 究の背景 、位置づけ、目的及び論文 構成にっいて述べて いる。

  第2章 で は、 降雨 観測 で最 終的に必 要となることが各単位面積 当たりのより正確な 降 雨地域 分布と降雨時間分布情報を迅 速に把握することであるこ とから、レーダ雨量

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計による面雨量を出来るだけ地上の降雨量に近い形で地上時間面雨量に変換する事を 試みた。すなわち、レーダ雨量計による雨量に対する補正係数をレーダサイ卜からの 距離の関数として、降雨の時間ステップ毎に推定する逐次距離補正法を用いることで

、地上時間面雨量の精度向上を図った。

  第3章では、洪水制御施設の操作、洪水予報、災害対策等、降雨をりアルタイムで 予測することが必要になることから、3次元ドップラー・レーダによる観測値を用い たりードタイムの長い降雨予測手法の開発を行った。本手法は、3次元ドップラ−・

レーダの観測値を初期値として、熱力学方程式、水蒸気量保存式及び大気水分量保存 式において時間積分を行い降雨の発達・減衰を伴う降雨予測を可能とするものである

。このことにより、より精度の高い地上面降雨強度と短時間降雨の予測時間の伸長が 図られた。

  第4章では、的確な洪水流出予測の有無が流量観測値・流域諸定数・流出システム と同様に流出予預4値の精度を大きく左右することから、一般化貯留関数法をべースと した流出システム方程式の線形化・差分化によるカルマンフアルターを用いた流出予 預8モデルの適用性の向上を図った。また、カルマンフィルターを用いた流出予測モデ ルにおける予測降雨の誤差・観測誤差・流出モデルの誤差・流出パラメータの誤差に ついて、実河川の観測や統計理論に基づいてシステムヘの取り組む方法諭を示した。

さらに、本モデルを実河川の水位予測シミュレーションに適用し、リードタイムの長 さと予測値の誤差分散にっいて言及した。

  第5章では、洪水時における河川管理上最も重要な事項のーづである水門操作手法 にっいて、Fuzzy推論による洪水水門制御操作判断支援システムの開発を行った。洪 水時において大型ゲートを操作するためには、水門制御操作システムの随所で実体験 の豊富な熟練技術者の判断が要求されてきた。しかし、水門制御操作におぃて技術者 は、気讓条件の厳しい中で長時間拘束されている。このことから、水門制御操作を行 う技術者の精神的労力・肉体的労力・経験の積み重ね等の軽減を目的として、専門技 術者の経験や勘を交えた操作判断にFuzzy推論を適用し、茨戸川の洪水水門制御操作 判断支援システムの開発を行った。

第6章は結諭で、各章の主たる結果をまとめている。

  以上本研究は、レーダ雨量計による雨量情報を用いた洪水流出予測の開発と、それ から得られる情報を基に行う洪水制御施設の操作にAI手法を取り入れたシステムの開 発にっいて論じたものである。

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学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

レー ダ 雨 量情 報 と AI 手 法 に基づ く洪水防 御施設 の操作

  洪 水 時 の 洪 水 防 御 施 設 の 操 作 に 関 し て は 、 各 施 設 に 運 用 規 定 が 設 け ら れ てい る 。 運 用 規 定 は あ く ま で も 施 設 の 基 本 操 作 概 念 を 記 述 し た も の で あ る 。 し たが っ て 、 各 施 設 の 管 理 者 は 洪 水 時 に 時 々 刻 々 変 化 す る 水 文 情 報 を 参 考 に 管 理 者の 知 識 と 経 験 に 基 づ ぃ て ダ ム ゲ ー 卜 や 水 門 な ど の 施 設 を 操 作 し て い る 。 一 方 、気 象 レ ー ダ 、 ア メ ダ ス 降 雨 計 や テ レ メ ー タ な ど が 整 備 さ れ 、 従 前 に 比 較 し て 洪水 時 に 迅 速 に 、 か つ 、 広 域 の 水 文 情 報 を 入 手 で き る よ う に な っ て い る 。 ま た 、現 場 で の 経 験 豊 富 な 熟 練 技 術 者 の 不 足 も あ っ て 、 気 象 レ ー ダ 、 ア メ ダ ス デ ー タな ど を 用 い た 、 総 合 的 な 洪 水 防 御 施 設 の 操 作 支 援 シ ス テ ム の 構 築 が 要 求 さ れ てい る 。 本 論 文 は こ の 要 請 に 応 え る も の で あ る 。 本 論 文 は 、 特 に 洪 水 防 御 施 設 とし て 石 狩 川 下 流 部 の 茨 戸 川 に 設 置 さ れ て い る 志 美 運 河 水 門 と 石 狩 放 水 路 水 門 を対 象 と し て い る 。 こ の ニっ の洪 水水 門を 制 御す るに は、 茨戸 川に 流入 する 伏籠 川、

創 成 川 、 発 寒 川 の 三 支 川 か ら の 流 入 量 と 内 水 、 石 狩 川 本 川 水 位 、 日 本 海 の 潮位 を 考 慮 し な け れ ば な ら ず 、 極 め て 複 雑 な 水 門 制 御 が 要 求 さ れ て い る 。   本 論 文 で は 、 気 象 レ ー ダ に よ る 降 雨 量 の 現 況 の 把 握 、 降 雨 量 の 予 測 、 河 川流 出 量 の 予 測 手 法 に つ い て 述 ベ 、 さ ら に 、 こ れ ら の 成 果 を 考 慮 し た ニ っ の 水 門操 作 支 援 シ ス テ ム を フ ァジ ィ推 論手 法に よ って 構築 した もの であ る。 した がっ て、

本 論 文 で 得 ら れ た 結 果 は 、 他 の 洪 水 防 御 施 設 の 制 御 に も 利 用 が 可 能 で あ る 。   本論 文は 、6章か ら 構成 され てい る。

  第1章 は 序 論 で あ り 、 本 研 究 の 背 景 、 位 置 づ け 、目 的及 び論 文構 成に つい て述 べ てい る。

  第2章 は 、 気 象 レ ー ダ を 用 い た 降 雨 強 度 の 地 域 分布 、時 間分 布の 現況 把握 手法 に つ い て 述 べ て い る 。 気 象 レ ー ダ 情 報 か ら 推 定 さ れ る 降 雨 強 度 は 種 々 の 誤 差を 含 ん で い る 。 本 論 文 で は 、 特 に 、 地 上 雨 量 計 で 計 測 さ れ る 降 雨 強 度 と 気 象 レー ダ か ら 推 定 さ れ る 降 雨 強 度 の ス ケ ー ル の 違 い に 着目 し、Kriging法 を用 いた レー ダ 雨 量 の 補 正 法 を 提 案 し て い る 。 従 来 の 補 正 法 に 比 較 し て 、 洪 水 を 引 き 起 こす よ うな10 ram/hr以 上 の降雨強度の場合に補正の効果が大きいことを確かめて いる。

  第3章 は 、 降 雨 量 の 予 測 手 法 に つ い て 述 べ て い る 。 す な わ ち 、3次 元 ド ッ プラ ー レ ー ダ に よ る 観 測 情 報 を 初 期 値 と し て 大 気 の 風 、 温 位 、 水 蒸 気 量 の 場 を カ学 的 に 解 く 手 法 を 提 案 し、 従 来の 移流 モ デル では 表現 でき なか った レー ダエ コー

博 興 浩 睦 忠 田 倉 伯 藤 板

[ 佐

授 授

教 教

査 査

主 副

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の発達・衰弱の効果を評価できることを示している。

   第4 章は、カルマン゜フイルター法を用いた河川流出量の予測手法について述 べている。特に、流出モデル内に含まれる各種の誤差項の特性について検討し、

新たに水位、流量の変換式に含まれる誤差を考慮することにより、実用的には り ― ド タ イ ム が 6 時 間 の 予 測 が 可 能 で あ る こ と 示 し て い る 。    第6 章は、茨戸川の放水路と運河のニつの水門制御支援システムについて述べ ている。第2 、3 ,4 章で得られた結果を利用レ、石狩川本川の水位、茨戸川に流 入する発寒川、創成川、伏篭川の三支川の流入量および内水量の予測値、さら に、運用規定とエキスパートの意見に基づぃて水門操作に関するファジィ推論 システムを構築している。エキスパー卜と同程度の水門操作ができることを実 測資料に基づぃて再現している。また、本推論システムによって、大降雨時に は そ の 水 門 操 作 の 頻 度 を 著 し く 減 少 で き る こ と を 確 か め て い る 。    これを要するに、著者は、洪水防御施設の操作支援システムの構築に関して 多くの新知見を得たもので、防災工学、水文学に対して貢献するところ大なる ものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認

める。

参照

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