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博士(工学)橋本直幸 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)橋本直幸 学位論文題名

オー ステナ イト系ス テンレ ス鋼の照射誘起粒界移動挙動 学位論文内容の要旨

  化石燃料・に代わるエネルギー源として、核分裂炉による発電が1970 年代 に開始 され 、現在 原子 力発電 は、我国の電力供給の重要な一躍を 担う までと なっ た。今 後、 ウラン 資源の有効利用上から高速増殖炉の 実現 が期待 され 、さら に、 放射性 廃棄物による環境破壊の懸念から未 来の クリー ンな エネル ギー 源とし て、核融合炉開発研究が世界的規模 で進 められ るま でに至 った 。しか し、軽水炉の経済性向上、高速増殖 炉お よび核 融合 炉の実 用化 を実現 するためには、中性子照射環境下で 使用 される 炉心 構造材 料お よび配 管材における照射損傷の問題を解決 する 必要が ある 。中性 子照 射環境 下では、原子の弾き出しによる点欠 陥の 導入や 核変 換によ る異 種原子 の導入が生じ、これら点欠陥の拡散 や集合による照射二次欠陥(転位ループやポイド)の生成あるいは溶質 濃度の局所的な不均衡(偏析)を誘起し、材料の化学的、物理的あるい は機 械的特 性を 劣化を 引き 起こす 。原子炉プラントにおいて使用実績 のあ るオー ステ ナイ卜 系ス テンレ ス鋼は、核融合実験炉の第一壁材料 とし て使用 され る可能 性が 高いが 、高温高圧水中における照射により 照射誘起応力腐食割れ(IASCC)を生じるという致命的な欠点を有する   IASCCの発生は、結晶粒界における局所的なCr原子の枯渇に起因する ことから、IASCC抑制技術の確立には照射誘起偏析の軽減化を図ること が必 要であ る。 しかし 、炉 材料に おけ る照射 誘起 現象の1っと して 挙 げら れる結 晶粒 界移動 は、 照射誘 起偏析を促進あるいは誘起と密接に 関連し、IASCC現象を複雑にしている。照射下における粒界移動は、熱 処理 過程に おい て生ず る粒 成長や 再結晶と異なり、材料中に多量かつ 非平 衡に存 在す る過剰 の点 欠陥が 粒界に拡散する過程で引き起こされ 同時 に顕著 な偏 析を誘 起す る。し かしながら、そのメカニズムあるい

                 

  

                                                                                                            

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構造の関係および原子論的解釈についてまとめた。

  第3章 では 、 本実 験 に採 用 した 超高 圧 電子 顕微鏡による 電子線照射 そ の場 実験の 方法、特徴と 意義及び電子線 照射による弾 き出し損傷素 過 程に ついて 説明し、さら に粒界近傍にお ける溶質濃度 分布測定の方 法及び特徴について述べた。

  第4章 では 、 粒界 の 移動 方 向と 結晶 方 位と の関係につい て検討して い る。 結晶粒 界の性格及び 構造を詳細に調 査し、粒界移 動の駆動カを 明 確に した上 で照射実験を 行い、粒界移動 方向に及ばす 粒界面あるい は 結晶 方位の 効果を明らか にしている。粒 界移動方向は 結晶方位関係 に 依 存 し て おり 、 稠密 粒 界面 の 優先 的に 成 長で あ るこ と を示 し た。

ま た、 粒界面 の面指数がと もに高次な完全 ランダム粒界 の移動は、自 由 粒 界 エ ネ ルギ ー を減 少 する よ うに より 稠 密な 粒 界面 を 形成 し た。

さ らに 、照射 領域を変化さ せ、粒界移動の 駆動カに及ぼ す粒界近傍に お ける 点欠陥 濃度勾配の効 果および電子顕 微鏡内におけ る焼鈍実験に よ り、 溶質濃 度勾配と粒界 曲率におよぼす 界面エネルギ ーの効果につ い て検 討し、 照射条件下で はいずれの効果 も小さぃこと が判明した。

  第5章 では 、 粒界 移 動に 及 ぼす 合金 種 の効 果について検 討した。合 金 にお ける点 欠陥(原子空 孔及び格子間原 子)の拡散機 構が溶質原子 のサイズ効果に従うことを考慮し、純Ni、Niー3wt%Si合金、Ni−3wt96Al 合金およびFe−15wt%Cr−20wt%Niモデル合金を作製し、照射誘起粒界移 動の有無を詳細に調査した。アンダーサイズ原子を溶質とするNi―3wt96 Si合金およびFe−15wtXCr−20wt%Ni合金において粒界移動が確認され、

移動度の 大きい格子間 原子とアンダー サイズ溶j貫原子との混合ダンベ ル 機構 により 、溶質原子が 粒界への優先的 な拡散により 粒界移動の易 動 度が 上昇す ることが示唆 された。また、 顕著な粒界移 動が生じる場 合 、粒 界近傍 における二次 欠陥密度が低い ことから、格 子間原子及び ア ンダ ーサイ ズ原子の粒界 への拡散流入量 と粒界移動距 離との問に相 関関係があることが見いだされた。

  第6章 では 、 粒界 移 動と 照 射誘 起偏 析 の関 係について検 討している 粒界にお ける照射誘起偏析は、溶質原子のサイズ効果に従い、アンダー サイズ原子(Ni,Si)の濃縮及びオーバーサイズ原子(Al,Cr)の枯渇が認 め られ 、また 、粒界移動の 有無により、照 射領域におけ る濃度変化の 割 合お よび濃 度分布が顕著 に変化した。一 方、粒界移動 を伴わない場 合 、偏 析分布 は粒界に対し て対称的分布を 示し、粒界移 動が生じた場 合 には 粒界上 および粒界移 動領域において 偏析が認めら れ、非対称の 溶 質濃 度分布 を示した。さ らに、粒界上及 び粒界移動領 域におけるア ン ダー サイズ 原子であるNi濃度 は、溶媒原子 である濃度Feを越 えるほ ど 濃化 した。 粒界移動が合 金の化学組成を 比較的大きな スケールで変 化 させ る可能 性があること を示唆している 。さらに、ア ンダーサイズ 原 子Niの偏析が、 オーバーサイ ズ原子Crの偏析と 比較して顕著 である こ とは 、粒界 移動の易動度 上昇に及ぼす効 果が、原子空 孔よりも格子 間 原子 の方が 大きいことを 再確認する結果 であると結論 した。また、

照 射下 におけ る粒界移動速 度の経時変化を 組織学的に検 討した結果、

粒 界の 移動過 程において移 動粒界面が二次 欠陥を吸収す ることにより 移 動速 度が変 化することが 明かとなり、こ れは、二次欠 陥の持つ内部 エ ネ ル ギ ー が粒 界 移動 ` の駆 動 カを 上昇 さ せた 結 果で あ ると し た。

  第7章 では 、 粒界 移 動及 び 照射 誘起 偏 析に ついて、速度 論モデルに よ る解 析を試 みた。本研究 結果から得た知 見をもとに照 射誘起偏析モ デ ルに 粒界移 動を組み込む ことにより、粒 界移動の有無 による溶質濃 度 分布 の差異 を示すことが でき、速度論モ デルの妥当性 を大方示す結 果 とな った。 これにより、 粒界移動の易動 度に及ぽす点 欠陥の影響お よ び粒 界移動 と照射誘起偏 析との関係に関 する本研究結 果の妥当性も

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同 時 に 示 す こ と が で き た 。

  第8章 は 、 本 論 文 を 総 括 し 、 照 射 下 に お け る 粒 界 移 動 の メ カ ニ ズ ム に つ い て 考 察 し た 。

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学 位論文審査の要旨

主 査   教 授   高 橋 平 七 郎 副 査   教 授   丸 川 健 三 郎 副 査   教 授   大 貫 惣 明

学 位 論 文 題 名

オース テナイト 系ステ ンレス鋼 の照射誘起粒界移動挙動

テ ン レ ス 鋼 中 で ア ン ダ ー サ イ ズ お よ び オ ー バ ー サ イ ズ 原 子 で あ る 各Niお よ び Cr に 対 応 す る サ イ ズ 効 果 を 系 統 的 に 検 討 す る た め 、 純 Niを 基 と し 、 こ れ に ア ン ダ ー サ イ ズ 原 子 で あ るSi添 加 のNi3wtY6S1合 金 、 お よ ぴ オ ー バ サ イ ズ 原 子 を 溶 質 と す る Ni3wt%Al合 金 に つ い て 、 照 射 誘 起 粒 界 移 動 と 偏 析 現 象 を 粒 界 移 動 後 の 溶 質 濃 度 分 布 お よ ぴ 粒 界 移 動 距 離 の 系 統 的 な 測 定 に よ り 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 粒 界 に お け る 偏 析 は 原 子 サ イ ズ 効 果 に 従 い 、Ni基 合 金 お よ び ス テ ン レ ス 鋼 中 に お い て ア ン ダ ー サ イ ズ 原 子 で あ るSiお よ び Niの 各 原 子 は 粒 界 で 濃 化 し 、 オ ー バ ー サ イ ズ 原 子 で あ るAIお よ びCr原 子 は そ の 濃 度 を 枯 渇 す る こ と を 確 認 し た 。 さ ら に 、 溶 質 の 偏 析 量 が 枯 渇 量 よ り も 顕 著 で あ る こ と 、 並 び に 偏 析 量 と 移 動 距 離 と の 問 に 相 関 関 係 が あ る を 見 い 出 し 、 粒 界 移 動 は ア ン ダ ー サ イ ズ 原 子 と 点 欠 陥 で あ る 格 子 間 原 子 と の 混 合 ダ ン ペ ル 機 構 に よ り 、 粒 界 に 拡 散 流 入 す る ア ゛ ン ダ ー サ イ ズ 原 子 が 優 先 的 に 偏 析 す る と 同 時 に 粒 界 移 動 過 程 に 大 き く 関 与 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。

  最 後 に 、 粒 界 面 結 晶 方 位 と 偏 析 効 果 か ら 粒 界 移 動 現 象 を 考 察 し 、 粒 界 を 構 成 し て い る 粒 界 面 間 の 方 位 差 が 駆 動 カ と な り 、 さ ら に 、 格 子 間 原 子 と 混 合 ダ ン ベ ル 機 構 で 点 欠 陥 の 消 滅 場 所 で あ る 粒 界 に 流 入 し た ア ン ダ ー サ イ ズ 溶 質 原 子 が 粒 界 を 幵 ; 成 し て い る 稠 密 面 上 で エ ピ タ キ シ ア ル 成 長 す る 過 程 で 粒 界 が 移 動 し 、 ア ン ダ N叶 イ ズ 原 子 が 誘 起 偏 析 す る 機 構 を 提 案 し 実 験 的 に 証 明 し た 。

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    これを要するに、著者は、照射下における結晶粒界移動と組成変化に注目し、

電子 線 照 射 に よ る 、 そ の 場 観察 に よ る シミ ュレ ーシ ョン照 射実 験に より 材料の 粒界 挙 動 を 基 礎 的 に 研 究 し 、核 分 裂 炉 およ び核 融合 炉構成 材料 の開 発に 対し多 くの 基 礎 的 知 見 を 明 ら か に した も の で 材料 工学 に貢 献する とこ ろ大 なる ものが ある。  よ っ て 、 著 者 は 、 博 士 ( 工学 ) の 学 位を 授与 され る資格 ある もの と認 める。

参照

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   第4 章では、通常のクラスター変分法を用いて、2 次元正方格子上の 2 元合金

本論文はこれらの実験結果を解析し、それに基づぃて変態機構を考察した結果をま と め た も の で あり 、第 1 章 から 第6 章で 構成 される 。以 下に 各章を 要約 する 。

   これを 要するに、著者はTi ―Al 系金属間化合物と環境との共存性につL 、て、新知見を得ると ともに それを表 面処理 法として