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博士(医学)橋本整司 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)橋本整司 学位論文題名

腎糸球体血行動態調節におけるクロライドチャンネルの役割 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  カルシウム依存性のク口ライドチャンネル(CIC)は、血管収縮性リガンドの作用を媒 介・調節していると考えられている。腎臓においても、血管やメサンギウム細胞を用い たin vitroの 実 験 に よ ル ア ンギ オテ ンシ ンII(AII)など の収 縮作 用がCa2嚇 性CIC 開口抑制薬や細胞外cr缶渡にてその作用が調整されることより、平滑筋細胞収縮過程に はCl・の流入が深く関与していることが推察される。また、腎血行動態は腎固有の血行動 態調節機構である尿細管糸球体フイードバック(Tubuloglomerular feed back; TGF) により調節を受けている。TGFの作動は密斑部に到達するCl‑濃度とそれにより引き起こ される問質でのCl・濃度の変動により調節されることなどから、TGFにおけるCICの関 与が示唆されているが、直接検証した報告は未だない。

  本実 験はCa2+依存 性CIC阻害薬であるRく十)−methylindazone indany10xyaCenC add94(nA−94)を 用いて 、mvWoに おけ る同 チャ ンネルの腎血行動態における作用 を 検証 する とと もに 、mvivo微小穿刺法によりTGFの作動における同チャンネルの意 義を明らかにする目的で行われた。

  雄性Spra臼】e―DawleyRatを用い、右大腿動脈に挿入したカテーテルから平均血圧

( MAP) を モ 二 夕 ー し 、 プ ラ ス チ ッ ク カ ッ プ 内 に 腎 臓 を 固 定 し た 。   まず、nA′94によるClC阻害作用を腎に限局するために、腎問質への直接注入法に て腎血行動態評価を行なった。腎表面から金属針をほば皮髄境界部に挿入、固定し薬液 の投与経路とした。対照液として0.9%生理食塩液の注入を行い、基礎値とした後、魁I 単 独投 与群 (10・7M〜10―5M)とAIIと眦94く300ルM)の併用投与群の2つの群にわ け薬液の投与を行なった。腎血行動態の評価は、薬液注入を受ける腎の血流(RBF)と 灌流圧(RPP)から求めた腎血管抵抗(RV恥によった。

  その結果、MAPは魁Iの単独投与群で対照液と比較して、容量依存的に有意な上昇を 認めた。しかし、ぬAべ弘と魁Iの併用投与群は、対照液と比較して有意な変化は示さな かった。RBFは、魁Iの単独投与においては、対照液と比較し有意な低下を示し、腎血 管抵抗値(RV恥は、有意な上昇を示した。しかし、ぬAべ)4の併用投与では、いずれ も有意差は認めなかった。

  さらに、腎糸球体での微小血行動態評価のため、マイクロバンクチャー法により糸球 体内圧を表す指標とされている近位尿細管閉塞内圧(Ppを測定した。尿細管の完全閉 塞部位より下流を、人工尿細管液卿)で微量注入ポンプを用いてさまざまな流速(0

(2)

〜40nl/min)で灌流し、その時のPsfの変化をもってTGFの作動とした。該当するネフ 口ンの輸出細動脈終末部(welling point)を腎表面より穿刺し、そこから薬液を注入す ることで、より選択的にネフ口ン近傍の問質へ薬液を注入した。灌流液は、対照として 0.9%NaCl溶液 を、 薬液 とし てIAA‑94 (300vM)またはAII (10‑7M)と、 両薬 剤をそ れぞれの濃度を含む混合溶液とした。

AII単独溶液による灌流において、Psfの変化、すなわちTGF作動は対照液の灌流時と 比較し有意な増強を認めた。しかし、AIIとIAA‑−94併用溶液によルネフ口ン周囲を灌流 した場合は、TGF作動は対照溶液と比較して差はなかった。また、IAA―94単独溶液に よルネフ口ン周囲を灌流した場合も、TGF作動は対照溶液と比較して差は認められなか った。

  以上の結果より、AIIによる腎血管抵抗の上昇はほぽ完全にIAA‑94の混合投与により 抑制された。これは、AIIの血管収縮作用がCIC阻害により減弱したことを示唆する。こ うした観察結果は、単離腎による腎血管へのこれまでのいくっかの報告と一致し、m vivo での作用が実証された。

  AIIによ るTGFの 亢進がIAA‑94の同時投与により減弱したことから、AIIによるTGF 作動亢進は、少なくともその一部にはCICを介した脱分極過程の修飾が関与する可能性 が示唆された。しかし、IAA‑94単独投与では1、GFに影響を及ぽさないことより、IAA了 94感 受性Cに自 体は 定常でのTGF作動機序自体への関与は小さいものと考えられた。

これ等の結果を総合すると、CにのT(汀作動における役割は、TGFの最終効果部位であ る輸入細動脈の収縮過程または、糸球体外メサンギウム細胞の情報伝達過程における脱 分 極 を 調 節 す る こ と で そ の 作 動 調 節 に 関 与 す る と 考 え る こ と が で き た 。   本研究によりCにが腎においても血管作動性物質の収縮に関与することが明らかとな った。こうした機序の異常が腎血管抵抗の上昇をもたらし、高血圧の発症原因となる可 能性も示唆されている。このような点も含め、Cには腎血行動態調節において重要な役割 を持つことが本研究により示された。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

腎糸球体血行動態調節におけるクロライドチャンネルの役割

  本論 文は腎糸 球体血行 動態にお いて特に アンギオテ ンシンII (AII)の作用調節における ク□ ライドチ ャンネル の役割に ついて述 べたもので ある。

  その 背 景 とし て 、カ ル シ ウム 依 存性 の ク 口ラ イ ド チャ ン ネル(CIC)は、血 管収縮性 リ ガン ドの作用 を媒介・ 調節して いると考 えられてい る。腎臓 においても、血管やメサンギ ウ ム 細胞 を 用 いたin vitroの 実験 によりAIIなどの収縮 作用がCa2+依 存性CIC開口 抑制薬 や細 胞外Cl一濃度にてその作用が調整されることより、細胞収縮過程にはCl一の流入が深く 関与 している ことが推 察されて いる。ま た、腎血行 動態は腎 固有の血行動態調節機構であ る 尿 細 管 糸 球 体 フ イ ー ド バ ッ ク(Tubuloglomerular feed back; TGF)に より 調 節を 受 け て いる 。TGFの作 動 は密 斑 部 に到 達 するcr濃度 と そ れに よ り引 き起こさ れる問質 での Cll濃 度の 変 動 によ り 調節 さ れ るこ と など か ら 、TGFに おけ るCICの関 与が示唆 されてい るが 、直接検 証した報 告は未だ ない。

  本実 験はCa9+依存 性CIC阻害薬 であるR(+)ーmethylindazone indanyloxy acetic acicl 94(IAA―94)を 用 い、in vivoにお け るCICの 腎 血行 動 態 にお け る作用を 検証する ととも に 、in vivo微 小 穿刺 法 でTGF作 動 に おけ るCICの 意 義 を明 ら かに する目的 で行われ た。

  まず 、IAA‑94に よ るCIC阻 害 作用 を 腎に 限 局 する た め に、 腎 問質への 直接注入 法にて 腎血 行動態評 価を行な った。腎 表面から 金属針をほ ぼ皮髄境 界部に挿入し薬液の投与経路 と し た。対照 液として 生理食塩 液の注入を 行い、AII単 独投与群 (10−7M〜10―sM)とAII とIAA―94 (300ルM)の 併 用投 与 群 の2つの 群 にわ け 薬 液の 投 与を 行なった 。腎血行 動態 の 評 価 は 、 腎 血 流(RBF)と 灌 流 圧(MAP)か ら 求 め た 腎 血 管 抵 抗(RVR) に よ っ た 。   その 結 果 、MAPはAIIの 単 独 投与 群で対 照液と比較 して有意 な上昇を 認めた。 しかし、

LAA―94とAIIの併 用 投与 群 は 、対 照 液と 比 較 して 有 意 な変 化 は示さ なかった 。RBFは、

AIIの 単独 投 与 にお い ては 、 対 照液 と比較し有 意な低下 を示し、RVRは、有意 な上昇を 示 した 。しかし 、IAAー94の併 用投与で は、いずれも有意差は認めなかった。よって、AIItこ よ る 腎 血 管 抵 抗 の 上 昇 は ほ ぽ 完 全 にIAA― 94の 混 合 投 与 に よ り 抑 制 さ れ た 。   さら に、腎糸 球体での 微小血行 動態評価の ため、in vivoネ フロン微 小穿刺法 により糸 球 体 内圧 を 表 す指 標 とさ れ て いる 近 位尿 細 管 閉塞 内 圧(Psf)を測 定した。 尿細管の 完全

夫夫 彦 隆盛 知 池野 柳 小菅 小 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(4)

閉塞部位 より下流を、人工尿細管液で様々な流速(0〜40nl/min)で湛流し、その時の Psfの 変化をもっ てTGF作動 とした。該 当するネフ口ンの輸出細動脈終末部(xvelling point)を腎表面より穿刺し、そこから薬液を注入することで、選択的にネフ口ン近傍の 問質へ薬 液を注入し た。灌流液 は、対照と して生理食 塩溶液を、 薬液としてHAー94   (300uM)また はAII(10−7M)と、両 薬剤をそれぞれの濃度を合む混合溶液とした。

  AII単独溶液による灌流において、Psfの変化、すなわちTGF作動は対照液の灌流時と比 較し有意な増強を認めた。しかし、AIIとIAA一94併用溶液によルネフ口ン周囲を湛流した 場合は、TGF作動は対照溶液と比較して有意差は認めなかった。また、LAA―94単独溶液 により灌 流した場合 も、TGF作動は対照 溶液と比較して有意差は認められなかった。

  AIIによるTGFの亢進がIAA−94の同時投与により減弱したことから、AIIによるTGF作 動亢進は、少なくともその一部にはCICを介した脱分極過程の修飾が関与する可能性が示 唆された。しかし、むい―94単独投与ではTGFに影響を及ぼさないことより、眦丶一94感受 性CIC自体は定常でのTGF作動機序自体への関与は小さいものと考えられた。これ等の結 果を総合すると、CICのTGF作動における役割は、TGFの最終効果部位である輸入細動脈 の収縮過程または、糸球体外ヌサンギウム細胞の情報伝達過程における脱分極を調節する ことでその作動調節に関与すると考えることができた。

  本研究によりCICが腎においても血管作動性物質の収縮に関与することが明らかとなっ た。こうした機序の異常が腎血管抵抗の上昇をもたらし、高血圧の発症原因となる可能性 も示唆されている。このような点も含め、CICは腎血行動態調節において重要な役割を持 つことが本研究により示された。

  以上の論文要旨の発表に対して主査及び副査より糸球体硬化に対するCICの役割やCIC 阻害薬としてIAA94を選択した理由と濃度設定について、さらに今後の研究の方向性と臨 床応用についてなど多岐にわたる質疑や指摘があった。それに対しCIC、腎微小循環に関 する各分野での報告ならびに発表以外の実験結果を引用し、未施行の実験および応用例に 関して推察される事象を明瞭に回答した。

  この論文は北海道医学雑誌で高く評価され、今後腎微小循環、特にTGF機構の解明へ寄 与することが期待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ申請者 が博士(医 学)の学位 を受けるの に充分な資 格を有する ものと判定した。

参照

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