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抗菌薬と細菌について。

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(1)

抗菌薬と細菌について。

抗生剤と細菌について。Ver.2.01

薬剤師 佐野

(2)

ご覧頂き

ありがとうございます

このスライドは2011年に当院の研修医用に作

成した「抗生剤と細菌について。」を加筆訂

正したものです

抗菌薬と細菌について学び始めた医学生、研

修医、薬剤師、看護師等を対象にしています

感染症についての詳細な事項は成書を参照し

て下さい

(3)

抗菌薬は難しいか?

疾患名から導く治療法が一つでない

細菌性肺炎と一口に言っても

起炎菌?➾肺炎球菌?緑膿菌?レジオネラ?

(4)

なぜ混乱するのか

細菌の種類が多い

抗菌薬の種類が多い

起因菌の推定が難しい

上記の組み合わせが複雑…

*研修医との会話より

(5)

やはり難しそうだ

一度整理することが重要です

今回は細菌と抗菌薬を整理します

(6)

抗菌薬は細菌と戦う手段

『彼を知り己を知れば百戦あやうからず』

孫子

(7)

研修医によく聞かれること

「抗菌薬ってどうやって勉強すればいいんですかぁ?」

「とりあえず、注射用抗菌薬の一般名を覚えましょう」 「あ、略号はそのうち読めてくださいね」

(8)

抗菌薬は一般名で!

商品名は、薬剤師に聞けばいいです。

略号は慣れます。英名を知れば難しくないです。

感受性試験を読むときに略号が役立ちます。

このスライドは『略号』でいきます。

(イメージしやすいように商品名も併記します)

(9)

すべての抗菌薬を知るべきか

「当院の採用品は注射と内服で約80種類ぐらい!」 「ええっ!そ・・・そんなに?!無理です!」 「注射用に絞れば、大事なやつは25種類もないですよ。 で、しかもその半分が、βラクタム系です」 「βラクタム系の使い分けをマスターすれば 何とかなりそうね」

(10)

抗菌薬の勉強は…

いきなりすべての抗菌薬を憶えるのは無理です。

間違いなく挫折するし、混乱する。

まずは、重要な細菌に使われる抗菌薬を把握する。

汎用されるセフェム系の抗菌薬を分類する。

次にペニシリン系、カルバペネム系、キノロン系、

アミノグリコシド系と勉強していく。

この時に、細菌をイメージしながら勉強する。

(11)

抗菌薬を勉強する前に

製薬メーカーの抗菌薬と細菌の表は参考程度する

➾vitroの結果が表記されている

➾臨床上無効な細菌もいる

製薬メーカーの話は半分だけ信じる

➾おいしいことしか言わない

➾新薬の場合は未知の副作用がある

ついでに細菌のことも知っておく

➾主な感染疾患の起因菌はそんなに多くない

➾第一選択薬をおさえる

(12)

細菌の勉強?

一部を除いて細菌学的特徴はいらない

毛の構造がどうの、莢膜がどうの・・・なんて

知識はいらない

グラム染色性、おおまかな形態が必須

➾陽性(Positive) or 陰性(Negative)

➾球菌(Coccuc) or 桿菌(Rod)

(13)

グラム陽性菌と陰性菌??

細胞膜 グラム陽性菌 グラム陰性菌 グラム陽性菌は厚い細胞壁を持つ グラム陰性菌は薄い細胞壁の外側に外膜を持つ ABPC と PCG の決定的な違いは、外膜を透過するか否か セフェム系は外膜の透過性と透過速度がペニシリン系より優れている 細胞壁 外膜

(14)

細菌の整理

臨床上の重要な細菌が多い菌種とは 球菌(coccus) 桿菌(rod) グラム陽性 グラム陽性球菌 グラム陽性桿菌 グラム陰性 グラム陰性球菌 グラム陰性桿菌 「基本的にはGPC、GNRが重要菌種で嫌気性菌も染まります」

(15)

グラム染色

簡便な方法で、細菌を推定できる。

試料固定➾染色➾脱色➾染色➾乾燥➾検鏡

一連の作業は30分もあれば終わる。

(16)

グラム陽性球菌

Gram-Positive Cocci

「重要なのは3つの球菌 coccusです!」 菌種とその代表的な感染症 ブドウ球菌属 Staphylococcus 血流感染 蜂窩織炎 連鎖球菌属 Streptococcus 肺炎 髄膜炎 腸球菌属 Enterococcus 感染性心内膜炎(I.E.)
 尿路感染

(17)

GPC詳細

属 代表菌 常在性 起こしうる感染 ブドウ球菌 Staphylococcus S.aureus 黄色ブ菌 ○ 皮膚 鼻腔 皮膚軟部組織感染(SSTI) I.E. 菌血症 カテ感染 静脈炎 骨髄炎 (喀痰培養のMRSAはほとんどが定着) S.epidermidis 表皮ブ菌 連鎖球菌 Streptococcus S.pneumoniae 肺炎球菌 ○ 咽頭 皮膚 肺炎、中耳炎、髄膜炎 市中肺炎の起炎菌1位! S.pyogenes A群溶連菌 咽頭炎、壊死性筋膜炎 腸球菌 Enterococcus E.faecalis 腸管 UTI 腹腔内* I.E. (基本的に弱毒菌) E.faecium *腹腔内感染への関与は不明

(18)

グラム陽性球菌の特徴

カタラーゼ 形状 溶血性など 代表菌名

陽性 ブドウ
 房状

コアグラーゼ陽性 S.aureus(MSSA, MRSA)

コアグラーゼ陰性 S.epidermidis, CNS 陰性 長い
 連鎖 α溶血 S.viridans β溶血 A群 S.pyogenes B群 S.agalactiae 短い
 連鎖 α溶血 S.pneumoniae γ溶血 Enterococcus spp 「グラム染色の菌形状、溶血性からある程度の予測が可能です」

(19)
(20)

GPCの耐性菌

MSSA (Methicillin-sensitive S.aureus) S.aureus 黄ブ菌 S.pnuemoniae 肺炎球菌 PRSP (Penicillin-resistance S.pneumoniae) E.faecium 腸球菌 VRE (Vancomycin-resistance E.faecium) 元の細菌 耐性菌 ・ペニシリナーゼの産生 ・PBPの変化(PBP2 の産生) ・低親和性PBPの産生 ・壁合成作用点の変化 それぞれの耐性機構とは 耐性機構 MRSA (Methicillin-resistance S.aureus)

PBP = Penicillin Binding Protein

(21)

GPCの第一選択薬

菌名 PCG or ABPC 第一選択薬

ブドウ球菌属 ▲ MSSA→CEZ MRSA,CNS→抗M薬

連鎖球菌属* ○ PCG:200-400万単位 x6 (PCG:>1200万単位/day) ABPC:2g x4-6 腸球菌 属 E.faecalis ○ E.faecium VCM or TEIC VCM耐性菌→LZD *肺炎球菌にてPCG,ABPCのMIC 2の場合 MIC 4ではCTX or CTRX 「PCG or ABPCが『使えるか、使えないか』を基本とします」 「PCG or ABPCが使える場合には、ガッツリ投与が基本!」 ペニシリン ビクシリン セファメジン バンコマイシン テイコプラニン ザイボックス クラフォラン ロセフィン

(22)

P

enicillin

-R

esistant

S

treptococcus

P

neumoniae

「PRSPの定義は髄膜炎以外の感染症では 2008年に変更されました」 髄膜炎 PCG-MIC PSSP 感受性 0.06 PRSP 耐性 0.12 髄膜炎以外 PCG-MIC PSSP 感受性 2 PISP 軽度耐性 4 PRSP 耐性 8 ペニシリン耐性肺炎球菌

(23)

肺炎球菌の感受性

PCG CTX MEPM EM LVFX 0 25 50 75 100

S

I

R

97.4%

95.8%

81.7%

11.1%

96.3%

86.2%

JANIS調べ 2013年度 髄液検体以外

(24)

肺炎球菌の肺炎

「現時点ではPCGやABPCの投与でも十分に対応できます」 PCG:200万単位 x4-6 ABPC:2g x4 ➾ MIC 2の場合 MEPMの感受性率はPCGよりも悪いため注意が必要 「一方で髄膜炎の場合には感受性率が50%程度まで低下するため 感受性が判明するまではCTXやVCMの適応となります」

(25)

メチシリン発売(1959年)の3年後に確認

ペニシリン結合タンパク質が変異し耐性

接触感染によって感染が拡大する

欧米では、市中感染型のMRSAが問題となっている

国内のβラクタム系抗菌薬はすべて耐性

VCM, TEIC, ABK, LZD, DAP で治療する

M

ethicillin

-R

esistant

S

tapylococcus

A

ureuse

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

MRSA

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

ペニシリン

メチシリン

(26)

抗MRSA薬

ポリエン系 典型的な第1選択薬 標準治療期間 備考

プロジフ イトリゾール ブイフェンド アムビゾーム ファンガード カンサイダス 市中肺炎

MRSA 推奨 バンコマイシン テイコプラニン アルベカシン ザイボックス キュビシン 主な感染症 F-FLCZ ITCZ VRCZ L-AMB MCFG CPFG S.pnuemoniae, K.pnuemoniae 等 CTRX, CTX 最低5日 解熱後3日

感染症 投与期間 VCM TEIC ABK LZD DAP C.albicans Legionella, Mycoplasma, Chlamydophila AZM 7-14日 代替:キノロン

菌血症 14日以上 6mg/kg C.glabrata VAP(人工呼吸器関連肺炎), HAP(院内肺炎)

肺炎 7-21日間 C.tropicalis Serratia, Citrobacter, Enterobacter CTRX, CTX 7日

I.E. 4-6週間 GM併用(人工弁) 8-10mg/kg C.parapsilosis P.aeruginosa, A.baumannii PIPC, CAZ 14日

SSTI 5-10日間 4mg/kg C.krusei MRSA VCM, LZD 14-21日

骨髄炎 8週間 6-8mg/kg C.guilliermondii CRBSI(カテーテル関連血流感染症), 菌血症

髄膜炎 14日間 C.lusitaniae CNS(S.epidermidis等 ) VCM 5-7日 カテーテル抜去後

TDM 10-15 15< <2 アスペルギルス A.fumigatus IPA S.aureus VCM 14日 カテーテル抜去後

目標濃度 重症:15-20 重症:20-30 高齢者:<1 クリプトコッカス C.neoformans 脳髄膜炎 肺 髄膜炎 Enterococcus spp. PCG, ABPC 7-14日 カテーテル抜去後

(μg/mL) ピーク 設定なし 設定なし 15-20 接合菌 ムーコル ムーコル症 グラム陰性桿菌 PIPC, CAZ 7-14日 カテーテル抜去後

通常の 1g 負荷投与 5mg/kg 600mg 4-6mg/kg 800mg 200mg 6mg/kg 初日のみ 負荷投与 70mg Candida spp. MCFG 14日 血液培養陰性後

用法用量 x2-3 必要 x1 x2 x1 x1(2days) x2(2days) x2(1day) 2-3時間点滴 なし x1(1day) IE, 骨髄炎の合併症あり 4-6週

必ず1時間 初日は最低 理想体重 内服も 実体重 400mg 200mg 4mg/kg 2.5-5mg/kg 150mg 50mg CAUTI(カテーテル関連尿路感染症) ST, LVFX(CPFX) 軽中等症 内服 カテーテル交換or抜去

以上で点滴 600mg x2 で計算 同用量 で計算 x1 x1 x2 x1 x1 x1 PEK, SPACE*, Enterococcus spp. TAZ/PIPC(重症) 7日 症状遷延時10-14日

CLcr×25 負荷投与量 CLcrが体重の 腎機能 1Vを19mL クリプトコッカス髄膜炎 アスペルギルス症 肥満患者 膀胱炎 ↓内服 男性:7日 若い女性以外:7日

↑分1-2へ 40-80 1/2未満なら ごとの 注水で溶解 6mg/kg x1 300mg x1 70mg x1 PEK, Enterococcus spp. S.saprophyticus ST, LVFX(CPFX) 若い女性:3日 妊婦はセフェム系で

腎機能別 <20 600mgx2 2TD 2日に1回 用法用量 <30 Chiid-Pugh Child-Pugh 腎盂腎炎 LVFX(CPFX) 軽中等症 内服:7日 腸球菌:セフェムNG

用法用量 500-750mg 20-40 1/3未満なら 調節不要 4-6mg/kg A,B 2mg/kg x2 7-9 35mg x1 E.coli, Enterococcus spp. CTM, CTRX, CTX(重症) 7-14日 キノロン点滴なら7日

*薬剤部にて 2日に1回 500mgx2 2TD 3日に1回 2日に1回 C 慎重投与 10< no data 蜂窩織炎

投与設計を 10mg/kg 初日は最低 投与は 8mg/kg <50 CLcr<30 CLcr<50 S.aureus, S.pyogenes CEZ, SBT/ABPC 10日 急性炎症消失後3日

行っています x1* 600mg x2 推奨で 2日に1回*      *Sepsisの場合 200mg 注射剤禁忌 注射剤禁忌 偽膜性腸炎 ↓内服 軽中等症MNZ

10mg/kg その後は きない 4-6mg/kg x1 (50%) 経口液剤へ 経口錠剤へ C.difficile MNZ, VCM 10日 重症VCM

HD後に* TDMで決定 HD後に      1stで使用する状況 800mg 経口液剤 経口錠剤 特発性細菌性腹膜炎

腎障害 肝障害 腎障害 汎血球減少 CK上昇 ①Severe Sepsis, Septic shock x1 200mg 200mg E.coli, K.pnuemoniae, S.pnuemoniae CTRX, CTX 10-14日

500mg 200mg 200mg 600mg 350mg ②CV等のデバイス抜去不能な場合 初期:1200mg x1 x2 二次性細菌性腹膜炎 SBT/ABPC(軽中等症) ¥1,701 ¥3,895 ¥3,379 ¥17,779 ¥13,154 ③カンジダ髄膜炎,心内膜炎 400mg 経口液剤 経口錠剤 溶解方法↓ PEK + 嫌気性菌 TAZ/PIPC(重症) 5-7日 術後 x1 100mg 200mg 1Vを10.5mL 胆嚢炎・胆管炎 SBT/ABPC(軽中等症) HD日のみ x1-2 x2 溶解方法↓ 注水で溶解 PEK + 嫌気性菌 TAZ/PIPC(重症) 5-7日 ドレナージ後 カプセル 液剤 錠剤* 1Vを12mL その内10mLを 細菌性髄膜炎 200-400mg 200mg 300mg x2 注水で溶解 70mg→250mL S.pnuemoniae CTRX, CTX 10-14日

*DAPの溶解方法等について x1 x1 200mg x2 5%Gluへ 50mg→100mL H.influenzae CTRX, CTX 7日

1V350mgを生食7mLで溶解→50mg/mLとなり必要量をとる。 食後 空腹時 食間 希釈 へ希釈 N.meningitidis CTRX, CTX 7日 溶解時は振らずに10分間静置。ブドウ糖の配合は不可。30分点滴 or 2分IV 1V含量 200/400mg 200mg 200mg 50mg 50mg 50/70mg 上記以外のグラム陰性桿菌 CTRX, CTX 21日

PTが見かけ上延長するため、PT測定時はDAPの投与直前とする。 薬価 \9,810/18,657 ¥14,042 ¥11,661 ¥9,538 ¥6,611 \16,256/21,992 Listeria (グラム陽性桿菌) ABPC 21日 50才以上

*VCMの内服について 1錠含量 100mg 50mg 50/200mg PID(骨盤内炎症性疾患) AZMはSRの

腸管から吸収されないため、MRSAの全身感染には使用できない。 薬価 967.3 422.3 \1,107.6/3,407.6 N.gonorrhoeae, C.trachomatis CTRX+AZM 7日 単回投与でも可

C.difficileによる腸炎の治療に用いる。用量は125mg x4を用いる。 感染性心内膜炎(自己弁)

ただし、C.difficile腸炎(軽~中等症)の1stはMTZである。 Viridans, Enterococcus spp. 等 SBT/ABPC+GM 4-6週

*バクトロバン鼻腔用軟膏の効果判定について 感染性心内膜炎(人工弁)

*カンジダスコア(CS) S.epidermidis, S.aureus 等 VCM+GM±CTRX 6週

ICU入室7日以上、抗真菌薬使用なし、非好中球減少、18歳以上

CS =「複数定着(検出/検体>0.4)」+「TPNの使用」+「手術後」+「重症敗血症」×2 (あり:1/なし:0) CS<3では、侵襲性カンジダ症を否定できるかもしれない。(Crit Care Med 37 1624-1633 2009)

βーDーグルカンを組み合わせると、さらに感度、特異度の上昇が認められる。(Critical Care 15 R249 2011) *VCM透析時:初回のみ15-20mg/kgの投与OK TDMは不要 HD トラフ *DAP:CHDFの投与方法は海外の報告 CHDF CLcr<80 腎機能低下 例では副作 用出やすい 報告あり

抗MRSA薬一覧

CLcr>80 備考 主な副作用 1V含量 血液培養1Set陽性でもカンジダ血症とみなす! 内服薬 ①真菌性眼内炎の除外(7日毎に全3回が望ましい) ②治療開始数日以内に血培を実施 ③血培陰性後、2週間抗真菌薬を投与 キャンディン系 真菌名 *IPA:侵襲性肺アスペルギルス症 負荷投与量

抗真菌薬一覧

アゾール系 主な感染症と起炎菌  参考:サンフォード感染症治療ガイド2012 JAID/JSC感染症治療ガイド2011 CID 52(10):1232-1240:2011 ④ バクトロバン軟膏1本(3g)で2クール分あり、通常2クール(約1ヶ月)で除菌できる。 ③ ②の2週間を1クールと考え、この1クールで除菌できない場合は更に1クール実施する。 ② ①の全日程で約2週間程度になる(塗布3日間+検査までの7日間+細菌検査期間2~3日間)。 ① 1日3回3日間鼻腔内に塗布後、24時間以上あけ(塗布後 1週間が理想)鼻前庭擦過物を検査。 ⑤ 2クールで除菌できない場合には、MUPの耐性獲得、環境的な再保菌のためMUPの適応ではない。 深在性真菌症治療ガイドライン(2014)の第一選択薬 深在性真菌症治療ガイドライン(2014)の第二選択薬 ガイドラインで根拠が無いもの、使用しないこととなっているもの *VCM, TEIC, ABKは初期投与設計を行っています。薬剤師に連絡を。 経過良好な症例では経口薬への変更を考慮 注射薬 内服薬 薬価 MRSA感染症の治療ガイドライン2014の第一選択薬 MRSA感染症の治療ガイドライン2014の代替薬 カンジダ感染症での抗真菌薬の選択 維持投与量 備考 キャンディン, L-AMB 血液培養でカンジダ陽性の場合 *体重40kg以上では、300mg x2の負荷投与後、200mg x2を投与 体重40kg未満では、150mg x2の負荷投与後、100mg x2を投与 カンジダ (Yeast) 血流感染 眼内炎 VRCZ FLCZ, VRCA, ITCZ 同薬剤の内服 用法用量の変更 必要なし 腎機能別 用法用量 用法用量の変更 必要なし CHDF, HDも同用量 CHDF HD 肝機能別 用法用量 用法用量の変更 必要なし L-AMB F-FLCZ キャンディン 3-5日後 効果判定 3-5日後 効果判定 L-AMB キャンディン L-AMB VRCZ キャンディン F-FLCZ VRCZ C.glabrata C.krusei 真菌性眼内炎 C.parapsilosis ポリエン系 典型的な第1選択薬 標準治療期間 備考 プロジフ イトリゾール ブイフェンド アムビゾーム ファンガード カンサイダス 市中肺炎

MRSA 推奨 バンコマイシン テイコプラニン アルベカシン ザイボックス キュビシン 主な感染症 F-FLCZ ITCZ VRCZ L-AMB MCFG CPFG S.pnuemoniae, K.pnuemoniae 等 CTRX, CTX 最低5日 解熱後3日

感染症 投与期間 VCM TEIC ABK LZD DAP C.albicans Legionella, Mycoplasma, Chlamydophila AZM 7-14日 代替:キノロン

菌血症 14日以上 6mg/kg C.glabrata VAP(人工呼吸器関連肺炎), HAP(院内肺炎)

肺炎 7-21日間 C.tropicalis Serratia, Citrobacter, Enterobacter CTRX, CTX 7日

I.E. 4-6週間 GM併用(人工弁) 8-10mg/kg C.parapsilosis P.aeruginosa, A.baumannii PIPC, CAZ 14日

SSTI 5-10日間 4mg/kg C.krusei MRSA VCM, LZD 14-21日

骨髄炎 8週間 6-8mg/kg C.guilliermondii CRBSI(カテーテル関連血流感染症), 菌血症

髄膜炎 14日間 C.lusitaniae CNS(S.epidermidis等 ) VCM 5-7日 カテーテル抜去後

TDM 10-15 15< <2 アスペルギルス A.fumigatus IPA S.aureus VCM 14日 カテーテル抜去後

目標濃度 重症:15-20 重症:20-30 高齢者:<1 クリプトコッカス C.neoformans 脳髄膜炎 肺 髄膜炎 Enterococcus spp. PCG, ABPC 7-14日 カテーテル抜去後

(μg/mL) ピーク 設定なし 設定なし 15-20 接合菌 ムーコル ムーコル症 グラム陰性桿菌 PIPC, CAZ 7-14日 カテーテル抜去後

通常の 1g 負荷投与 5mg/kg 600mg 4-6mg/kg 800mg 200mg 6mg/kg 初日のみ 負荷投与 70mg Candida spp. MCFG 14日 血液培養陰性後

用法用量 x2-3 必要 x1 x2 x1 x1(2days) x2(2days) x2(1day) 2-3時間点滴 なし x1(1day) IE, 骨髄炎の合併症あり 4-6週

必ず1時間 初日は最低 理想体重 内服も 実体重 400mg 200mg 4mg/kg 2.5-5mg/kg 150mg 50mg CAUTI(カテーテル関連尿路感染症) ST, LVFX(CPFX) 軽中等症 内服 カテーテル交換or抜去

以上で点滴 600mg x2 で計算 同用量 で計算 x1 x1 x2 x1 x1 x1 PEK, SPACE*, Enterococcus spp. TAZ/PIPC(重症) 7日 症状遷延時10-14日

CLcr×25 負荷投与量 CLcrが体重の 腎機能 1Vを19mL クリプトコッカス髄膜炎 アスペルギルス症 肥満患者 膀胱炎 ↓内服 男性:7日 若い女性以外:7日

↑分1-2へ 40-80 1/2未満なら ごとの 注水で溶解 6mg/kg x1 300mg x1 70mg x1 PEK, Enterococcus spp. S.saprophyticus ST, LVFX(CPFX) 若い女性:3日 妊婦はセフェム系で

腎機能別 <20 600mgx2 2TD 2日に1回 用法用量 <30 Chiid-Pugh Child-Pugh 腎盂腎炎 LVFX(CPFX) 軽中等症 内服:7日 腸球菌:セフェムNG

用法用量 500-750mg 20-40 1/3未満なら 調節不要 4-6mg/kg A,B 2mg/kg x2 7-9 35mg x1 E.coli, Enterococcus spp. CTM, CTRX, CTX(重症) 7-14日 キノロン点滴なら7日

*薬剤部にて 2日に1回 500mgx2 2TD 3日に1回 2日に1回 C 慎重投与 10< no data 蜂窩織炎

投与設計を 10mg/kg 初日は最低 投与は 8mg/kg <50 CLcr<30 CLcr<50 S.aureus, S.pyogenes CEZ, SBT/ABPC 10日 急性炎症消失後3日

行っています x1* 600mg x2 推奨で 2日に1回*      *Sepsisの場合 200mg 注射剤禁忌 注射剤禁忌 偽膜性腸炎 ↓内服 軽中等症MNZ

10mg/kg その後は きない 4-6mg/kg x1 (50%) 経口液剤へ 経口錠剤へ C.difficile MNZ, VCM 10日 重症VCM

HD後に* TDMで決定 HD後に      1stで使用する状況 800mg 経口液剤 経口錠剤 特発性細菌性腹膜炎

腎障害 肝障害 腎障害 汎血球減少 CK上昇 ①Severe Sepsis, Septic shock x1 200mg 200mg E.coli, K.pnuemoniae, S.pnuemoniae CTRX, CTX 10-14日

500mg 200mg 200mg 600mg 350mg ②CV等のデバイス抜去不能な場合 初期:1200mg x1 x2 二次性細菌性腹膜炎 SBT/ABPC(軽中等症) ¥1,701 ¥3,895 ¥3,379 ¥17,779 ¥13,154 ③カンジダ髄膜炎,心内膜炎 400mg 経口液剤 経口錠剤 溶解方法↓ PEK + 嫌気性菌 TAZ/PIPC(重症) 5-7日 術後 x1 100mg 200mg 1Vを10.5mL 胆嚢炎・胆管炎 SBT/ABPC(軽中等症) HD日のみ x1-2 x2 溶解方法↓ 注水で溶解 PEK + 嫌気性菌 TAZ/PIPC(重症) 5-7日 ドレナージ後 カプセル 液剤 錠剤* 1Vを12mL その内10mLを 細菌性髄膜炎 200-400mg 200mg 300mg x2 注水で溶解 70mg→250mL S.pnuemoniae CTRX, CTX 10-14日

*DAPの溶解方法等について x1 x1 200mg x2 5%Gluへ 50mg→100mL H.influenzae CTRX, CTX 7日

1V350mgを生食7mLで溶解→50mg/mLとなり必要量をとる。 食後 空腹時 食間 希釈 へ希釈 N.meningitidis CTRX, CTX 7日

溶解時は振らずに10分間静置。ブドウ糖の配合は不可。30分点滴 or 2分IV 1V含量 200/400mg 200mg 200mg 50mg 50mg 50/70mg 上記以外のグラム陰性桿菌 CTRX, CTX 21日

PTが見かけ上延長するため、PT測定時はDAPの投与直前とする。 薬価 \9,810/18,657 ¥14,042 ¥11,661 ¥9,538 ¥6,611 \16,256/21,992 Listeria (グラム陽性桿菌) ABPC 21日 50才以上

*VCMの内服について 1錠含量 100mg 50mg 50/200mg PID(骨盤内炎症性疾患) AZMはSRの

腸管から吸収されないため、MRSAの全身感染には使用できない。 薬価 967.3 422.3 \1,107.6/3,407.6 N.gonorrhoeae, C.trachomatis CTRX+AZM 7日 単回投与でも可

C.difficileによる腸炎の治療に用いる。用量は125mg x4を用いる。 感染性心内膜炎(自己弁)

ただし、C.difficile腸炎(軽~中等症)の1stはMTZである。 Viridans, Enterococcus spp. 等 SBT/ABPC+GM 4-6週

*バクトロバン鼻腔用軟膏の効果判定について 感染性心内膜炎(人工弁)

*カンジダスコア(CS) S.epidermidis, S.aureus 等 VCM+GM±CTRX 6週 ICU入室7日以上、抗真菌薬使用なし、非好中球減少、18歳以上

CS =「複数定着(検出/検体>0.4)」+「TPNの使用」+「手術後」+「重症敗血症」×2 (あり:1/なし:0) CS<3では、侵襲性カンジダ症を否定できるかもしれない。(Crit Care Med 37 1624-1633 2009)

βーDーグルカンを組み合わせると、さらに感度、特異度の上昇が認められる。(Critical Care 15 R249 2011) *VCM透析時:初回のみ15-20mg/kgの投与OK TDMは不要 HD トラフ *DAP:CHDFの投与方法は海外の報告 CHDF CLcr<80 腎機能低下 例では副作 用出やすい 報告あり 抗MRSA薬一覧 CLcr>80 備考 主な副作用 1V含量 血液培養1Set陽性でもカンジダ血症とみなす! 内服薬 ①真菌性眼内炎の除外(7日毎に全3回が望ましい) ②治療開始数日以内に血培を実施 ③血培陰性後、2週間抗真菌薬を投与 キャンディン系 真菌名 *IPA:侵襲性肺アスペルギルス症 負荷投与量 抗真菌薬一覧 アゾール系 主な感染症と起炎菌  参考:サンフォード感染症治療ガイド2012 JAID/JSC感染症治療ガイド2011 CID 52(10):1232-1240:2011 ④ バクトロバン軟膏1本(3g)で2クール分あり、通常2クール(約1ヶ月)で除菌できる。 ③ ②の2週間を1クールと考え、この1クールで除菌できない場合は更に1クール実施する。 ② ①の全日程で約2週間程度になる(塗布3日間+検査までの7日間+細菌検査期間2~3日間)。 ① 1日3回3日間鼻腔内に塗布後、24時間以上あけ(塗布後 1週間が理想)鼻前庭擦過物を検査。 ⑤ 2クールで除菌できない場合には、MUPの耐性獲得、環境的な再保菌のためMUPの適応ではない。 深在性真菌症治療ガイドライン(2014)の第一選択薬 深在性真菌症治療ガイドライン(2014)の第二選択薬 ガイドラインで根拠が無いもの、使用しないこととなっているもの *VCM, TEIC, ABKは初期投与設計を行っています。薬剤師に連絡を。 経過良好な症例では経口薬への変更を考慮 注射薬 内服薬 薬価 MRSA感染症の治療ガイドライン2014の第一選択薬 MRSA感染症の治療ガイドライン2014の代替薬 カンジダ感染症での抗真菌薬の選択 維持投与量 備考 キャンディン, L-AMB 血液培養でカンジダ陽性の場合 *体重40kg以上では、300mg x2の負荷投与後、200mg x2を投与 体重40kg未満では、150mg x2の負荷投与後、100mg x2を投与 カンジダ (Yeast) 血流感染 眼内炎 VRCZ FLCZ, VRCA, ITCZ 同薬剤の内服 用法用量の変更 必要なし 腎機能別 用法用量 用法用量の変更 必要なし CHDF, HDも同用量 CHDF HD 肝機能別 用法用量 用法用量の変更 必要なし L-AMB F-FLCZ キャンディン 3-5日後 効果判定 3-5日後 効果判定 L-AMB キャンディン L-AMB VRCZ キャンディン F-FLCZ VRCZ C.glabrata C.krusei 真菌性眼内炎 C.parapsilosis MRSA感染症のガイドラインの第1選択 MRSA感染症のガイドラインの第2選択

(27)

腸球菌属の感受性に注意

セフェム系は 1st∼4th 全て無効

LVFX:S ST:Sでも、尿路感染 のみ効果あり

IPM/CS:Sでも、他のカルバペネムは効果弱い

E.faecalisの第一選択薬は PCG or ABPC

E.faeciumの第一選択薬は VCM

VCM耐性腸球菌の第一選択薬は LZD

心内膜炎では GM を併用(1mg/kg x3)

「能書上、腸球菌が『適応菌種』となっていても上記は絶対!」 クラビット チエナム ゲンタシン Enterococcus spp バクタ

(28)

VCM標的部位の変化

1986年に英国で報告

アメリカでは腸球菌の10-20%

ヒトだけでなくペット、家畜にも存在

VRE遺伝子+MRSA=VRSAが問題

日本でも増加傾向にある

V

ancomycin

-R

esistant

E

nterococci

バンコマイシン耐性腸球菌

VRE

バンコマイシン耐性腸球菌

バンコマイシン

(29)

グラム陰性桿菌

を分けてみる

「いろいろな本に載っている分け方が一番いいです」 「GNR は GPC より種類が多くて、憶えきれないのよ」 「菌の頭文字のやつね。えーっと、PEK、HEM、SPACE!」 ペック ヘム スペース

(30)

PEKとHEM

腸内細菌の代表で、尿路感染の3大起炎菌、PEKとは?

Proteus mirabilis プロテウス菌

Escherichia coli 大腸菌 UTI起因菌の1位!

Klebsiella pneumoniae 肺炎桿菌 基礎疾患のある肺炎にも 上気道感染の起炎菌と腸内細菌、HEMとは? Haemophilus influenzae インフルエンザ桿菌 小児髄膜炎1位 Enterobacter エンテロバクター Moraxella catarrhalis モラキセラ 「Enterobcterは仲間はずれ(上気道感染を起こしにくい)なので、 E をとって私は HaM で憶えています」ハム

(31)

PEKとHaMの第一選択薬

菌群 注射 内服 PEK CEZ (セファメジン) CCL (ケフラール)* HaM CTM (パセトクール) CVA/AMPC
 (オーグメンチン) 「ここからは、セフェム系がでてきます。 薬と菌群を整理していきます」 「HaMの Ha :H.influenzaeは耐性化が問題となっている。  院内でも市中でもペニシリン感受性と BLNAR が半々です」 *急性単純性膀胱炎ではキノロン系を3日間

(32)

BLNAR??

ABPC CTM CTX CTRX 第1選択 注射 内服 耐性なし H.influenzae ○ ○ ○ ABPC
 (ビクシリン) AMPC (パセトシン) βラクタマーゼ産生 H.influenzae ○ ○ CTM(パンスポリン) SBT/ABPC(ユナシン) CVA/AMPC(オーグメンチン) SBTPC(ユナシン) BLNAR型 ○ CTX(クラフォラン) CTRX(セフィローム) LVFX (クラビット) 「βラクタマーゼ陰性でABPC、CTMが R ならばBLNARとなります。
 I でも、BLNARと同様に扱います」 • BLNAR:読み:ブルナール、ブルナー

• Beta-Lactamase Negative ABPC-Resistance

• βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)を作ってないのにABPCに耐性を示すタイプ • 小児の髄膜炎で増加傾向にある

(33)

細菌性髄膜炎

原因菌 小児(17歳以下) 成人(18歳以上) H.influenzae 66.3% 2.9% S.pnuemoniae 27.2% 82.0% その他 6.5% 15.1% 市中 BLNAR、PRSP(PCG:MIC 0.12)が約50%を占めている 初期治療としては、3rdセフェム(CTX or CTRX)を用いる 院内(外科的処置、手術後) 推定原因菌 empiric S.epidermidis VCM 1g x4 + MEPM 2g x3 or CAZ 2g x3 MRSA P.aeruginosa

(34)

SPACEとは

「SPA は Water Bug とよばれ、湿潤環境を好む菌です」 「A は鏡検では桿菌にも見えるグラム陰性球菌です」 環境菌と腸内細菌で医療関連感染の原因となるSPACEとは? Serratia セラチア Pseudomonas シュードモナス Acinetobacter アシネトバクター Citorobacter シトロバクター Enterobacter エンテロバクター 環境菌 腸内細菌 腸管、皮膚、 呼吸器に、環境にも ・・・・・ Water Bug

(35)

SPACEの第一選択薬

「SPACE のうち、SCE と PA に分けて考えます。  どうしてかは、あとでお話しします」 菌群 注射 内服 SCE CTX、CTRX CPFX(シプロキサン) PA 抗緑膿菌薬 緑膿菌を想定する状況 ① 好中球減少症の発熱 ② 院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎 ③ COPD既往の市中肺炎 ④ 広範囲熱傷の敗血症 ⑤ 尿路カテ長期患者のUTI ⑥ DM既往の皮膚軟部組織感染

(36)

セフェム系のスペクトル一覧

1st 2nd 3rd 4th MRSA, ESBLs産生菌 は対象外 CEZ CTM CMZ FMOX CTX CTRX SBT/CPZ CAZ CFPM CZOP グラム陽性菌 グラム 陰性桿菌 PEK HaM SPACE SPACE 嫌気性菌 腸球菌(Enterococcus)は全セフェム系が無効 1st→4thでグラム陰性菌のスペクトラムが拡大

(37)

経口3世代セフェム

「CFDN、CFPN-PIとCDTR-PIはよく処方される薬剤ですが 吸収も悪く第一選択にはなりにくいです」 「さのさん、フロモックスとかメイアクトは?」 フロモックス メイアクト セフゾン 抗菌スペクトルは広いですが、投与量も少なく、吸収も悪いために あえてこれらを投与する理由はあまり無い 「ちなみに、吸収率やバイオアベイラビリティーが インタビューフォームにも未記載なものがおおいのです」

(38)

0 4 8 12 16 0% 25% 50% 75% 100%

CEX CCL CTM-HE CFDN CPDX-PR CFTM-PI CFPN-PI CDTR-PI

20% 25% 20% 45% 30% 69% 75% 95% 吸収率 CEX/CFDN/CPDX-PR/CFTM-PI/CDTR-PI:尿中排泄率からの推測 各薬剤インタビューフォームより 単回投与の結果 AUC 250mg 250mg 200mg 100mg 100mg 100mg 100mg 100mg ケフレックス ケフラール パンスポリンT セフゾン バナン トミロン フロモックス メイアクト μg/mL・hr 投与された薬物のうち、実際に利用された総薬物量 (Area Under the Curve)

(39)

経口セフェム

• 注射剤と同様に第1 3世代まで分類 • 世代毎のスペクトルは注射剤と類似する • 第3世代経口セフェムは腸管吸収が悪く、十分な血中濃度を 確保できない • Sanfordでは、CFDN:300mgx2、CPDX-PR:200mgx2、 CDTR:400mgx2の表記有り • PRSPの増加は第3世代経口セフェムの乱用が一因との報告 もある ペニシリン耐性肺炎球菌 1st:CEX 2nd:CCL, CTM-HE 3rd:左記以外 (CPDX-PR以外は国内未承認用量)

(40)

呼吸器感染症あるいは化膿性髄膜炎の起炎菌として,肺炎 球菌はインフルエンザ菌と共に重要な位置を占めている。現 在 世 界 的 に 問 題 と な っ て い る ペ ニ シ リ ン 耐 性 肺 炎 球 菌 (PRSP)がはじめて報告されたのは 1977 年のことである1) そして 1980 年代になると,ペニシリンが優位に使用されて いる国々において次第に臨床上の問題となってきた2)。しか し,本邦においては1980 年代の後半まで PRSP は臨床上で はほとんど問題となっていない3)。凍結保存株について耐性 遺伝子の解析を行った成績でも,1987 年前後に分離されて いたのはペニシリン軽度耐性肺炎球菌(PISP)のみである4) わが国において PRSP と思われる化膿性髄膜炎がはじめ て報告されたのは 1988 年のことであるが5),1990 年代に入 ると,基準薬である penicillin G(PCG)に対する MIC が ≧1μg/mL と低下した株が臨床検査材料から急速に分離さ れはじめてきた。そのことが全国規模の「PRSP 研究会」を 組織し,1993 年から足掛け 4 年にわたって本邦における耐 性肺炎球菌の疫学調査を実施するきっかけとなった。これら の研究によって,市中において発症する呼吸器感染症由来の *東京都港区白金5–9–1 【原著・基礎】 本邦において 1998 年から 2000 年の間に分離された Streptococcus pneumoniae の 分子疫学解析 ―肺炎球菌等による市中感染症研究会収集株のまとめ―

生方 公子1)a)・小林 玲子2)a)・千葉菜穂子2)a)・長谷川恵子3)a)・紺野 昌俊4)b) 1)北里大学・北里生命科学研究所* 2)明治製菓株式会社薬品総合研究所 3)北里大学大学院感染制御科学府・感染免疫専攻 4)帝京大学名誉教授 肺炎球菌等による市中感染症研究会: a)疫学解析担当,b)代表世話人 (平成 15 年 1 月 14 日受付・平成 15 年 2 月 3 日受理) 1998 年から 2000 年の 3 年間に,「肺炎球菌等による市中感染症研究会」に参加の 187 施設より収集 された総計 6,692 検体を解析対象とした。重複例を除く 4,030 例の疾患は,急性中耳炎(n=1,425), 急性上気道炎(n=961),急性気管支炎(n=390),肺炎(n=175)の順であった。肺炎球菌は上咽頭 ぬぐい液(n=2,869)からもっとも高率に分離された(56.6%)。次いで耳漏(21.4%)と鼓膜切開液 (29.9%)であった。成人由来の喀痰(n=74)からの分離率は 39.2% であった。すべての分離菌株に 対し,菌種の同定と薬剤耐性を識別するための PCR を実施した。すなわち,(i)LytA 遺伝子,(ii)pbp

1 a 遺伝子,(iii)pbp 2 x 遺伝子,(iv)pbp 2 b 遺伝子,(v)ermB 遺伝子,(vi)mefA 遺伝子の各遺

伝子である。これらの菌株の莢膜血清型別は抗血清を用いた莢膜膨化試験によって同時に実施した。本 菌に対する経口 14 薬剤の感受性測定は寒天平板希釈法によって測定した。解析対象となった 1,945 株 の penicillin G に対する MIC90 と耐性遺伝子との関係は,PSSP(304 株,0.031μg/mL),pbp 2 x 変

異 の PISP(386 株,0.063μg/mL),pbp 2 b 変 異 の PISP(13 株,0.25μg/mL),pbp 1 a+pbp 2 x 変 異 の PISP(179 株,0.25μg/mL),pbp 1 a+pbp 2 b 変 異 の PISP(3 株),pbp 2 x+pbp 2 b 変 異PISP(106 株,0.5μg/mL),pbp 1 a+pbp 2 x+pbp 2 b 変異の PRSP(954 株,4μg/mL)という 内訳であった。マクロライド耐性にかかわる mefA 遺伝子保持株は 635 株,ermB 遺伝子保持株は 796 株,両者保持株が 85 株であった。PSSP,PISP,および PRSP の血清型には明らかな偏りがみられた。 PSSP にはさまざまな血清型が認められたが,PISP のなかの pbp 2 x 変異株では 3 型と 6 型が多く, その他の PISP では 14 型,23 型,6 型が優位であった。PRSP では 19 型,6 型,23 型,14 型で 94.2 %を占めた。PRSP のなかには,β–ラクタム系薬の抗菌力がさらに低下している株,あるいは新たな 血清型の菌株も認められはじめた。このような成績から,今後とも分子疫学解析にもとづいたサーベイ ランスが必要であると結論された。

Key words: Streptococcus pneumoniae,PRSP,surveillance,antibiotic susceptibility,serotyping

日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌 60 FEB.2003 • 国内のPRSPの初報告は1988年で、それ以降、急速に全国的に増加した • 欧米と異なりセフェム系の抗菌力を低下させる変異が見られる • 国内で開発された経口セフェム系(第3世代全て)はプロドラッグ化の薬剤 が多く、吸収も悪く、吸収に個人差を生じる • 通常投与量でのCmaxは1μg/mL前後で組織移行性も高くはない • 上咽頭の常在菌叢に選択圧を加え、PRSPが増加し、乳幼児が集団生活し ている場から市中に広がった可能性がある 当時のPRSP:PCG MIC 0.12

(41)

-PI ピボキシルに注意

「経口第3世代セフェムの吸収を改善するために 抗菌薬に付けられている側鎖ですが、乳幼児では注意です」 5 20 3 5 2 1 0 0 1 0 5 10 15 20 25 ピボキシル基を有する抗菌薬(4ページ参照)は中耳炎などの感染症の治療に汎用さ れていますが、小児等に投与した際に、重篤な低カルニチン血症に伴って低血糖症、 痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至る症例も報告されています。 No.8 2012年4月

PMDAからの医薬品適正使用のお願い

(独)医薬品医療機器総合機構 ■ 医薬品医療機器総合機構 PMDA からの医薬品適正使用のお願い http://www.info.pmda.go.jp No.8 2012年4月

ピボキシル基を有する抗菌薬投与による

小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について

1/4

小児(特に乳幼児)への投与においては、血中カルニチン

の低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣等)に

注意してください(図:副作用発現時の年齢分布参照)。

長期投与

に限らず、投与開始翌日に低カルニチン血症に

伴う低血糖を起こした報告もあります。(症例3参照)

妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められ

た報告もあります。(症例4参照)

ピボキシル基を有する抗菌薬服用時には、カルニチン排泄が亢進し、低カルニチン 血症に至ることがあり、小児(特に乳幼児)では血中カルニチンが少ないため、下記の 事項にご留意ください! 図: 副作用発現時の年齢分布:妊婦が服用して低カルニチン血症に至り、それにより出生児にも低カルニチン血症が 発現した1例を含む(3ページ症例4参照) ※ ( 症例数) 「トミロン、フロモックス、メイアクトは このピボキシル基がついています」

(42)

「未来の子どもたちのためにも、経口第3世代セフェムや それ以上に広域な経口抗菌薬の安易な処方は控えましょう」 「CVA/AMPC+AMPC なんかはお勧めです。 当院では採用がないのでSBTPCでの代用でOKです」 オーグメンチン サワシリン ユナシン錠 AMPC CVA/AMPC SBTPC 0 5 10 15 12.4 11.3 9.68 AMPC換算のAUC 250mg 250mg 375mg 吸収率=90% μg/mL・hr

(43)

話がそれました…

(44)

緑膿菌に効果がある薬

系統別のボーダーライン PCG(ペニシリン) ABPC(ビクシリン) SBT/ABPC(ユナシン) PIPC(ペントシリン) TAZ/PIPC(ゾシン) CEZ(セファメジン) CTM(パセトクール) CTX(クラフォラン) CAZ(セフタジジム) CFPM(セフェピム) PAPM/BP(カルベニン) IPM/CS(チエナム) DRPM(フィニバックス) MEPM(メロペン) ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系 抗緑活性 なし 抗緑活性 あり 「あと、キノロン系、アミノグリコシド系が抗緑活性ありです」 CPFX、LVFX、MFLX GM、TOB、AMK

(45)

抗緑膿菌薬のまとめ

系統 略号 商品名 投与量 ペニシリン PIPC ペントシリン 4g x4 TAZ/PIPC ゾシン 4.5g x3-4 セフェム CAZ セフタジジム 2g x3 CFPM マキシピーム 2g x3 カルバペネム IPM/CS チエナム 1g x4 DRPM フィニバックス 1g x3 MEPM メロペン 1g x3 キノロン CPFX シプロキサン 300mg x2 アミノグリコシド TOB トブラシン 5mg/kg x1 AMK アミカシン 15mg/kg x1 「太字だけでも最低限、知っていてください」 「アミノグリコシド系はβラクタム系と併用すると強力です」

(46)

抗緑膿菌薬の誤解

日本の投与量では無効な薬剤がある

耐性獲得の危険性

SBT/CPZ

1g x4

ワイスタール

CPFX

300mg x2

シプロキサン

IPM/CS

0.5g x4

チエナム CPZとして 4-6g x4

400mg x2-3

1g x3-4

治療不可と 考える 300mg x3 へ増量する DRPM, MEPM で代用する

(47)

SCE と PA の違い?

「細菌検査で、たまに『GNR:非発酵菌』って  見かけませんか?」 「そうね。GNRは中間報告では  『腸内細菌』か『非発酵菌』ね」 「PA は非発酵菌=ブドウ糖非発酵菌で、  大抵は定着ですが、感染したときは要注意です」 *偏性好気性菌で少ない栄養(アミノ酸)でも増殖可能な細菌 セラチア、シトロバクター、エンテロバクター 緑膿菌、アシネトバクター

(48)

『非発酵菌』!

非発酵菌となったら『ドキッ』とする → 使える抗菌薬が限られる! 「STの注射剤、感受性によってはキノロン系
 もしくはキノロン+CAZ+GM等の併用で治療します」 P(緑膿菌)、A(アシネトバクター)以外にも注意すべき非発酵菌がいます Stenotrophomonas maltophilia ステノトロフォモナス マルトフィリア Burkholderia cepacia バークホルデリア セパシア 共に弱毒菌なのですが、感染したら注意です! !カルバペネム系に自然耐性! バクトラミン

(49)

ブドウ糖非発酵菌の見分け方

「細菌検査で『非発酵菌』と中間報告され、抗菌薬の選択や  治療を急ぐ場合には細菌検査室に確認しましょう」 ブドウ糖 非発酵 発酵 オキシダーゼ 陽性 P.aeruginosa Burkholderia spp Aeromonas spp Vibrio spp 陰性 Acinetobacter spp S.maltophilia 腸内細菌属 PEK, SCE 「オキシダーゼテストを確認すれば緑膿菌かそれ以外を区別できます」 グラム陰性桿菌の分類

(50)

Pseudomonas aeruginosa

「緑膿菌はどうして耐性を獲得しやすいの?」 緑膿菌はもともと薬剤耐性の菌で、抗菌薬を使用することで さらに耐性遺伝子が発現する 「緑膿菌には以下の耐性が元来備わっています。  ①外膜の透過性の低下、②排出ポンプの発現、  ③分解酵素の発現、④薬剤作用点の変化」

(51)

緑膿菌の耐性機構

ポーリン孔の減少 βラクタマーゼの産生 PBP、標的酵素の変異 抗菌薬の透過性減少 排出ポンプの増加 βラクタム系抗菌薬の分解 抗菌薬作用の減弱 菌体内抗菌薬のくみ出し 「他のグラム陰性桿菌も同様な機構を持っていますが、
 特に緑膿菌は耐性が顕著に発現します」

(52)

MDRP:多剤耐性緑膿菌

「2種類います。MBLを持つタイプと持たないタイプ  他の緑膿菌にも耐性が伝播するMBLを持ったMDRPが最も危険!」 MBL AMK不活化 ポーリン変異 キノロン耐性 プラスミド 染色体 プラスミド 染色体 「MBL、AMK不活化遺伝子はプラスミドで
 獲得しなければ緑膿菌でも発現しない。」 カルバペネム系耐性

LVFX MIC 4 or CPFX MIC 4 且つ IPM or MEPM MIC 16 且つ AMK MIC 32

カルバペネム系耐性

(53)

MDRP確定にAMK耐性?

「カルバペネムとキノロンが耐性だったら十分だと思うし  AGsならGMやTOBでもいいのでは?」 AMKの抗緑膿菌作用はGMやTOBよりも弱いが AGs不活化酵素にはもっとも安定 「AMKはGM耐性緑膿菌用として開発されました。  AMK耐性はプラスミド、GMとTOB耐性は染色体性と言われてます」

(54)

2つのβラクタマーゼ

グラム陰性桿菌での主なβラクタマーゼとは ESBLs:基質拡張型βラクタマーゼ ペニシリナーゼが変化してセファロスポリナーゼに! E.coli や Klebsiella属 に多い ペニシリン・セフェム系が無効→カルバペネム系で治療 MBL:メタロ-βラクタマーゼ カルバペネム系も分解する最強のβラクタマーゼ! すべてのβラクタム系抗菌薬が無効 →キノロン系、STで治療 一番の問題は、ほかのGNRに伝播すること! スタンダードプリコーション、一行為一手洗い、が重要! S.maltophilia, B.cepaciaのMBLは染色体性のため伝播しない

(55)

βラクタマーゼ?

「ESBLs も MBL も βラクタマーゼ?」

「細かく分類するとキリがないのですが、大まかに4つに分類されています」

(56)

Amblerの分類

Class 名前 所在 産生菌 活性中心 A ペニシリナーゼ プラスミド PEK セリン B カルバペネマーゼ
 (メタロβラクタマーゼ) 染色体
 プラスミド S.マルトフィリア 緑膿菌 亜鉛 C セファロスポリナーゼ (AmpC) 染色体 SPACE セリン D オキサシリナーゼ プラスミド SPACE セリン ESBLs:Extended-Spectrum β Lactamases:基質拡張型βラクタマーゼ   Class A が突然変異してセファロスポリナーゼに変化したもの AmpC型βラクタマーゼ

(57)

問題となっている耐性菌

ESKAPE

抗菌薬の作用を『避けている(escape)』細菌!

エスケープ

E:E.faecium → VRE

S:S.aureus → MRSA, VRSA

K:K.pneumoniae → ESBLs産生, KPC産生 A:A.baumannii → MDRAB P:P.aeruginosa → MDRP E:Enterobacteriaceae → ESBLs産生 「近年、βラクタマーゼの基質が拡張し、GNRの高度耐性が問題。  新規GNR用薬剤も減少傾向。耐性菌を出さない、拡散させないこと!」

(58)

カルバペネム最強か?

「MBL産生菌は無効、もちろんMDRPにも無効です」 「もし、MDRP や MDRAB の感染が 起こった場合はどうするの?」 「コリスチンで治療できます。感受性試験の結果では、
 AZT + ABK等の併用で治療します」 MDRP用の薬剤併用プレートが販売されています。
 細菌検査室に確認してみてください。 多剤耐性アシネトバクター

(59)

カルバペネム系は最強でない

「まれになんにでも効くと思っている先生がいますが・・・」 カルバペネム系が効果を示さない菌とは レジオネラ マイコプラズマ クラミジア S.epidermidis表皮ブドウ球菌 E.faecium 腸球菌の仲間 S.maltophiliaステノトロフォモナス C.difficileクロストリジウム MRSA C.albicansカンジダ 効かない細菌もいることを念頭に置いてください

(60)

カルバペネム系は違う

  PAPM/BP カルベニン IPM/CS チエナム BIPM オメガシン DRPM フィニバックス MEPM メロペン グラム陽性菌 ◎ ◎ ○ ○ ○ S.pneumoniae
 (PRSP含む) ◎ ○ ○ ○ ○ グラム陰性菌 △ ○ ○ ◎ ◎ H.influenzae
 (BLNAR含む) ○ ◎ P.aeruginosa 嫌気性菌 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 「緑膿菌に PAPM/BP を投与しても無効です!  でもPRSPによる化膿性髄膜炎にはPAPM/BP!」

(61)

カルバペネム系抗菌薬

国内にある抗菌薬では、最もカバーする細菌が多い

ただし、広域 = 強力 ではない!

Focusの絞れない感染症、特に、耐性を獲得してい

るような SPACE による感染を疑う場合

普通に考えれば、カルバペネム系が1stに使用され

る状況は少ない

(62)

こんな状況なら…

院内発症の腹腔内感染

起因菌不明の壊死性筋膜炎

起因菌不明の急速に進行する敗血症

細菌性髄膜炎の初期治療

耐性菌検出が多い施設でのFN

(63)

「Focusの絞り切れない、耐性菌の可能性のある場合等で
 カルバペネム系で投与開始はOKです」 「細菌培養で、細菌と感受性が確定したら、カルバペネム系から それをカバーできる狭域の抗菌薬へ変更すべきです」 「先にも書きましたが、カルバペネム系の使いすぎでそれらに 耐性を示す細菌がでたらどうしますか?」 「近年、NDM-1等のMBLの発現が問題視されています。
 これは、耐性菌問題が院内から院外へ移ることを予測させます」 「まだ、間に合います。抗菌薬の投与の際にはよく考えましょう。 これは医療者だけでなく、患者にも言えることです」

(64)

カルバペネム

系の

効果

かったら

どうするのですか?

(65)

1980-

1990-

2000-

2010-2

7

10

33

新しい抗菌薬は減少している

「特にグラム陰性桿菌に対する抗菌薬の新発売は ほとんどありません」 ALL NEW!

(66)

キノロン系抗菌薬

内服の抗菌薬では、最もカバーする細菌が多い

全身への移行性(精巣や骨など)が良好なのが特徴

そのために乱用されている

これが必要な感染症はそれほど多くないはず

にも関わらず乱用のため E.coli の耐性度が上昇

している

(67)

E.coliのLVFX感受性

2008 2009 2010 2011 2012 2013 0 25 50 75 100

S

I

R

JANIS調べ 2013年→1-3月

27%

72%

27%

71%

30%

69%

31%

67%

34%

64%

35%

63%

(68)

抗生剤は『限りある資源』

抗生剤を適正に使用するために

全ての医療従事者が協力する

(69)
(70)

そういえば・・・

「嫌気性菌って?どこにいるの?常在菌?」

「口腔内、下部消化管がおもな生息地で、

 常在菌とそうでないのがいます。今日は常在菌のほうを取り上げます」 意外と『嫌気性菌』とひとくくりにしがち

(71)

横隔膜の上と下で分ける

横隔膜 代表菌 関与する疾患 !注意! 『上』 Prevotella(GNR) Peptostreptococcus(GPC) 誤嚥性肺炎、肺膿瘍 など ペニシリナーゼ 産生 『下』 Bacteroides fragilis(GNR) 肝膿瘍、腹膜炎 など セファロスポリナーゼ 産生 慢性/亜急性の経過で難治性である 組織の壊死を伴う 悪臭のある分泌物が多い 膿瘍形成傾向が強い ガス産生性である 単独感染より混合(複数菌)感染が多い 嫌気性菌感染症の特徴

(72)

嫌気性菌感染の第一選択薬

膿瘍形成の場合には外科的ドレナージがまず大事! 横隔膜 菌群 単剤 併用 『上』 P.P. SBT/ABPC or CTRX or CTX 嫌気活性ない薬剤 + CLDM or MNZ 『下』 B.fragilis TAZ/PIPC or MNZ ゾシン アネメトロ ダラシン 「B.fragilisのCMZ、CLDMへの感受性は低下傾向にあります。
 当院でもCMZ<70% CLDM<50%です」 「MNZの注射剤が承認されましたので、3rdセフェム+MNZが B.fragilisの関与する感染症にはいいかもしれません」

(73)

Clostridiumも嫌気性菌

「偽膜性腸炎の原因菌ね」

Clostridiumは芽胞を形成する偏性嫌気性菌

「C.difficileの他にも臨床的に重要な仲間がいます」

(74)

Clostridiumの仲間達

菌名 代表的疾患 治療 備考 C.difficile 偽膜性腸炎 フラジール500mgx3 10日間 Toxin A, Bを産生
 Toxinの存在で治療 C.perfringens 食中毒 ガス壊疽 PCG or ABPC + CLDM CLDMは 外毒素産生抑制 C.tetani 破傷風 PCG + テタノブリン + 破トキ 早めの投与を! 「Clostridiumはグラム陽性桿菌です。  いまのところ国内では耐性は問題になっていません」 *PCG:300-400万x6

(75)

C.difficile

欧米では、外来でのCDIも問題となっている

一番のリスクは抗菌薬

手指衛生が重要

PPIもリスクだろうと言われている

再発を繰り返す症例では便移植(FMT)が有効と

報告されている

(76)

抗菌薬のCDIリスク

種類

投与期間

Low Risk

単剤ペニシリン 1stセフェム アミノグリコシド マクロライド テトラサイクリン 投与後90日以降

High Risk

上記以外 2-4thセフェム キノロン クリンダマイシン カルバペネム 特に 投与中と 投与後30日間

同室内での抗菌薬の使用もリスクの可能性

(77)

24時間以内に3回以上の無形便 (3回以上/日が2日継続or48時間以内に8回以上の無形便) (入院72時間以降に発症) CD抗原/CD毒素検査 便培養提出 上記症状の有無 抗原 + + ­ 毒素 + ­ ­ 毒素産生CD+ 毒素産生CD­ 便培養からCD毒素再確認 CDI 可能な限り抗菌薬とPPIを中止する Mild-to-moderate 軽中等症 Severe 重症 Severe/Complicated 重症かつ複雑性 下痢便 + 右記の徴候症状のないもの ALB < 3g/dL + WBC 15,000 or 腹部圧痛 ICU管理 低血圧 BT 38.5 イレウス or 著明な腹部膨満 意識状態の変化 臓器不全 WBC 35,000 or <2,000 乳酸値>20mg/dL 内服治療 メトロニダゾール錠 500mgx3 10日間 5-7日間投与後も症状改善ない
 場合にはVCM散へ変更 MNZアレルギー、妊婦授乳婦 脳に器質的疾患のある患者は VCM散125mgx4 10日間 内服治療 バンコマイシン散 125mgx4 10日間 OPEの検討を行う 著明な腹部膨満のない場合 VCM散125mgx4 + MNZ注500mgx3 イレウスor中毒性大腸炎 (腹部膨満の有無は問わない) VCM散500mgx4 + MNZ注500mgx3 + VCM注腸500mgx4 治療不要 毒素­ 毒素+ 無し 有り CDIが強く疑われるような場合や、 便(酸味のある匂いで緑色等)では治療開始 種類 投与期間 低 リスク 単剤ペニシリン 1stセフェム アミノグリコシド マクロライド テトラサイクリン 投与後 90日以降 高 リスク BL阻害剤配合ペニシリン
 2-4thセフェム キノロン クリンダマイシン カルバペネム 投与中と 投与後30日間 抗菌薬リスク 同病室内の抗菌薬使用も注意する *BL = βラクタマーゼ *CD = Clostridium difficile

(78)

前スライドより続く 下痢等の症状を確認 回数の少ない下痢はIBSの可能性もある 治癒効果判定のための抗原/毒素検査をしない Follow 再発CDI Recurrent 再発 前治療から8週以内の再発 再発の場合でも重症度を確認 VCM Pulse 療法 VCM散125mgx4 10日間 引き続き3日毎に125mgx1を10回 VCM Taper 療法 下記のように漸減していく VCM散125mgx4 1-2週間 125mgx3 1週間 125mgx2 1週間 125mgx1 1週間 125mg 2日に1回 1週間 125mg 3日に1回 1週間 1回目の再発 前回と同様の治療 重症or重症/複雑性へ変化した場合は その治療法に従う 2回目の再発 VCM Pulse or Taper療法(右記) 3回以上の再発 FMTの検討 症状の再燃なし 8週以内の症状の再燃あり 治癒 可能な限り抗菌薬とPPIを中止する CD抗原/CD毒素検査 便培養提出 フラジール錠250mg ¥35.5 バンコマイシン散500mg ¥2924.8 Am J Gastroenterol 2013; 108:478-498より作成 下痢でない入院患者のルーチンでのCDIスクリーニン グは行わない。また、無症候の患者は治療しない。 CDI疑いの場合は、出来る限り個室管理とする。もし くはCDI確定患者との相部屋とする。 CDI確定/疑いの患者の病室に入るときには、すべての 医療従事者と訪問者が、手指衛生と手袋/ガウンの装着 をすべき。 環境表面は0.5%次亜塩素酸で清潔にする。患者に用い るものは出来る限りシングルユース/ディスポにする。 CDI患者への接触予防策は下痢が改善するまで行う。
 (下痢が止まってから48時間後までとの提案もある) 感染制御 薬価

(79)

細胞内寄生菌

「細胞内寄生菌?あまり聞かない菌の名前ですね。 ウイルスとかそんなのですか?」 「呼吸器感染を起こすものが主ですが、 他にもQ熱のCoxiella burnetiiや 紅斑熱やツツガムシ病のRickettsiaもいます。 ウイルスも細胞内寄生菌です」 Mycoplasma、Chlamydophila、Legionella が代表的 マイコプラズマ クラミドフィラ レジオネラ コクシエラ リケッチア

M.pneumoniae C.pneumoniae, C.psittaci L.pneumophila オウム病

(80)

細胞内寄生菌

細胞壁 大きさ μm ヒト-ヒト 感染 宿主 分離 頻度* 検査 呼吸疾患 治療薬 Mycoplasma pneumoniae なし 0.2-0.3 あり 脊椎 動物 5-11% PCR
 寒冷凝集 CAM
 AZM Chlamidophila pneumoniae あり
 (PGを欠く) 0.2-1 あり ヒト
 鳥 3-6% PCR
 抗体 CAM
 AZM Legionella pneumophila なし
 (外膜あり) 2-5 なし 水環境 アメーバ 1-4% 尿中抗原
 ヒメネス LVFX
 AZM Coxiella burnetii あり 0.2-0.4 人畜 共通 家畜 0.5-1% PCR
 抗体 MINO
 LVFX *成人市中肺炎での起因菌としての頻度 「所謂、細胞壁が無いために細胞壁合成阻害である βラクタム系抗菌薬は効果がありません」 *PG=ペプチドグリカン

(81)

非定型肺炎

「非定型肺炎の起因菌が多いのね。 細胞壁がないのが特徴ね」 他の細菌と異なり、培養が難しく、菌自身を特定することが困難 「成人市中肺炎ガイドラインでは細菌性肺炎と 非定型肺炎の鑑別方法があります」

(82)

細菌性と非定型肺炎の鑑別

1. 年齢60歳未満 2. 基礎疾患がない、あるいは、軽微 3. 頑固な咳がある 4. 胸部所見上所見が乏しい 5. 痰がない、あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない 6. 末梢白血球数が10,000/μL未満である 上記6項目中4項目以上 or 上記1-5の5項目中3項目以上の合致 ➾非定型肺炎の疑い 「マイコプラズマ肺炎では感度、特異度共に良好ですが、 クラミジア肺炎では感度に問題があります。 結核が除外できないことと、レジオネラ肺炎は含まれてないことに注意」

(83)

ちょっと強引なまとめ

分類 菌種 常在性 主な感染症 第一選択薬 グラム陽性 球菌 ブドウ球菌 MSSA ○ カテ感染、SSTI MRSA肺炎は稀 CEZ MRSA 抗M薬 連鎖球菌 Streptococcus ○ 肺炎、髄膜炎 PCG or ABPC

腸球菌 E.faecalis ○ UTI、I.E. PCG or ABPC E.faecium VCM or TEIC

グラム陰性 桿菌

腸内細菌1 PEK ○ UTI (K:肺炎) CEZ 上気道常在菌 HaM ○ 上気道炎、髄膜炎 CTM 腸内細菌2 SPACE S: CE:○ 医療関連感染 日和見感染 CTX or CTRX ブドウ糖非発酵菌 SPACE PA:△ 抗緑薬 嫌気性菌 横隔膜より 『上』PP ○ 誤嚥性肺炎 SBT/ABPC 『下』B.f ○ 肝膿瘍、腹膜炎 CMZ 細胞内 寄生性菌 レジオネラ 非定型肺炎 AZM CPFX マイコプラズマ、クラミドフィラ

(84)

抗菌薬の用法用量

「細菌 抗菌薬の組み合わせは、何となく分かったわ。  でも、1日に何回も投与したり、1回しか投与しなかったり よくわからないわ」 「ややこしくて、眠くなるので簡単に まとめてみますね」 PK/PD という考え方と抗菌薬の半減期が関与しています

(85)

抗菌薬の薬理を整理

抗菌薬の作用機序をざっくりと3つに分けてみる βラクタム系 キノロン系 アミノグリコシド系 マクロライド系 抗MRSA薬 クリンダマイシン 細胞壁合成阻害 DNA合成酵素阻害 タンパク合成阻害 *抗M薬:VCM TEIC:壁阻害 *抗M薬:LZD ABK:タンパク阻害

(86)

どこに作用するのか

「さっき分類した作用を引用してみます」 細胞壁合成阻害 DNA合成酵素阻害 タンパク合成阻害 細胞膜の外側か内側か?

外側

の壁を作らせない

内側

を乱す βラクタム系 βラクタム系 以外 壁合成を阻害し続けるため、 細菌の周りに常に薬が必要 細菌の中へ入り込むため、 大量の薬が必要 「内側作用の代表、アミノグリコシドは  1日1回、ガッツリが基本投与です」

(87)

作用点の簡単な図解

PBP 染色体 mRNA 30sリボソーム 50sリボソーム βラクタム系 アミノグリコシド キノロン マクロライド クリンダマイシン 壁合成阻害 タンパク合成阻害 タンパク合成阻害 DNA合成阻害 PBPは細胞膜と壁の間に存在

(88)

投与回数と間隔

「βラクタム系を1日4 6回も投与するのはなぜ?」 「βラクタム系は半減期が短く、菌体の外側で
 作用(壁壊し)するため、頻回な投与が必要です」 βラクタム系 半減期(hr) 1日の投与回数 ペニシリン系 0.5 1.0 4回(PCGは6回) セフェム系 1.0 1.5 3 4回 カルバペネム系 半減期を1hrとすると5hrで体内から消える! →1日2回だと・・・7hrも薬がない! →細菌が増殖できちゃう! *CTRX(セフィローム)の半減期は7hr だから1日1 2回投与でもOK!

(89)

投与方法と添付文書

公知申請等で適応症、用法用量が欧米諸国に

追い付いてきた

(ご尽力された先生方に感謝です) •

特にペニシリン系は改善している

適宜増減の範囲内で最大量を用いる

添付文書記載以外にも保険上認められる適応

症、用法用量がある

(90)

添付文書未記載でも保険OKな

対象疾患、用法用量を調べる

http://www.ssk.or.jp/shinsajoho/teikyojirei/

y_jireibetsu.html#y600

社会保険診療報酬支払基金➾審査情報

➾審査情報提供事例➾薬剤


➾病原生物に対する医薬品

保険 薬剤 審査情報 で Google検索

リンクもしくは上記にて検索

(91)

2015/4/20現在 抜粋

抗菌薬 事例内容 PCG 「脳膿瘍」に対して1回400万単位を4時間毎 「壊死性筋膜炎」に対して1回200-400万単位を4-6時間 ABPC 「リステリア症」 「細菌性髄膜炎」に対して1回2gを4時間毎 SBT/ABPC 「皮膚軟部組織感染症、髄膜炎、 桃周囲膿瘍、
 喉頭/咽頭膿瘍、虫垂炎」 「脳膿瘍」に対して1回3g-4.5gを6時間毎 「皮膚軟部組織感染症」に対して1回3gを6時間毎 CEZ 「適応症の重症例」に対し1回2gを8時間毎 CTX 「細菌性髄膜炎」に対し1回2gを4-6時間毎 CAZ 「発熱性好中球減少症」に対し1回2gを8時間毎 BIPM 「発熱性好中球減少症」 PIPC 「外傷・熱傷・手術創等の二次感染」 MEPM 「細菌性髄膜炎」に対して1回2gを8時間毎

(92)

2015/4/20現在 抜粋

抗菌薬 事例内容 CLDM 壊死性筋膜炎、毒素ショック症候群 AMK 「現行の適応症」に対し1回で1日量を投与 GM 「黄色ブドウ球菌等による感染性心内膜炎」に対して
 他の抗菌薬と併用 FOM 「緑膿菌を含むバイオフィルム等による多剤耐性菌による
 感染症(他抗菌薬との併用療法)」 CAM 【内服薬】「好中球性炎症性気道疾患」 MINO 「日本紅斑熱」 RFP 「非結核性抗酸菌症」 EB 【内服薬】「非結核性抗酸菌症」 CPFX 「膿胸/肺膿瘍/肺化膿症/慢性呼吸器疾患の二次感染」
 「好中球減少時の不明熱」、「子宮内感染症」 【内服薬】「日本紅斑熱」、「サルモネラ感染症」
 「髄膜炎菌感染症」

参照

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