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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2022

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全文

(1)

成層圏大気中の多種の微量成分観測を目的とした気 球搭載用大気採取装置の研究

著者 本田 秀之

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 23

ページ 121‑123

発行年 2002‑03‑29

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1462

(2)

氏名 。(本

  

  

  

之 (広島県)

学 位 の 種 類

 

 

 (工

) 学 位 記 番 号

  

工博 乙第

  94  

号 学位授与の日付

  

平成

13年 3月 23日

学位授与の要件

  

学位規貝

1第

4条 2項 該当

学位論文題目

  

成層圏大気中の多種の微量成分観測を目的とした気球搭載 用大気採取装置の研究

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 福 家 俊 郎

 

教 授 山 田 員 吉 教 授 宮 澤 政 文

 

教 授 下 平 美 文 教 授

 

鈴 木

  

論 文 内 容 の 要 旨

本論文は、成層圏大気微量成分 を研究するために、成層圏内を飛翔する大型科学気球 を利用 して 高度別に高品質かつ大量 に大気採取可能な、2種類の装置の開発研究をまとめた ものである。それら はグラブ・サ ンプリング装置 とクライオジェニ ック・サ ンプリング装置である。前者は超高真空に 排気 した試料容器 にその高度の外気圧 まで大気 を取 り込むもので、小型軽量で取 り扱いが容易にな るとい う大 きな利点がある。本研究では、特 に南極昭和基地の困難な実験条件下で も確実に成層圏 大気の回収がで きるよう、搭載 コンピュータとGPS受信機を用いることにより、完全な自律動作 を実 現 した。また昭和基地での実際の採取実験 を通 して、装置の性能を実証 した。一方後者は、極低温 技術 を応用 して大気 を固化 し、高度

35h以

上(6hPa以下)においても大気 を20LSTP以上、かつ異なる 12高度で採取可能なものである。大気採取量 を格段 に増大することにより、分析可能な大気成分範 囲を広 げかつ高精度分析 を可能 としつつ、気球搭載可能な小型 0軽量の装置 として実現 した。この ために、特異な熱特性 を持つ液体ヘ リウムを最適利用する熱設計手法、採取容器の試料汚染防止技 術、搭載 コンピュータによる高信頼制御 システムを研究開発 した。 このように高度な技術 を必要 と するクライオジェニ ック・サ ンプリング装置は、国内のみならず国際的にも他 に類 を見ない もので ある。

1980年 より20年 間近 くにわたってこれらの装置に改良を続けながら運用 し、国内における気球実 験のほとん どを成功 させ、成層圏大気 を継続採取 してきた。また1997年には、スウェーデンのキル ナで衛星搭載センサを校正する実験 を実施 した。1998年には、世界初の南極大陸上空の成層圏大気

‑121‑

(3)

大量採取 を成功 に導いた。大気中のC02,CH4,CFCな ど微量成分は、それぞれ、0。01ppm,lppb,数

"t

の繰 り返 し精度で分析可能であ り、これらの実験 を通 してこの精度に耐え得る高品質の大気試料を回 収で きていることは、開発 した装置が持つ優れた特性 を証明 している。また、試料容器内面処理法を 適用 し10年以上の長期間大気試料 を安定に保存する技術 を開発 し、過去に湖って試料 を分析する道を 開いた。著者等の研究グループでは、分析結果から成層圏内におけるC02濃度の長期変動、C02内の 酸素同位体の濃縮、多種のCFCの高度分布、対流圏一成層圏間の大気交換速度の解明など、地球大気 環境研究分野での発見や世界に先駆けた多 くの研究成果がある。近年では ドイツや米国のグループと 共同研究が進められ、国際的な発展 も図られている。このような大気科学分野における成果は、本研 究で開発 した装置が地球大気環境研究用 として非常 に有効な手段であることを証明 している。

本論文の構成は、以下のようになっている。

1章では、本研究の目的 と背景 を述べる。

第2章 では、成層圏大気微量成分の種々の観測法を概説 し、本研究による方式の位置付けを図る。

また2種類の成層圏大気採取方式の原理 と各々の特徴 を比較する。次 に、国内外で開発 されてきた大 気採取装置の研究動向を述べ、大気球搭載用大気採取装置 として要求される機能や能力、制約条件 を 示す。

3章では、完全 自律型グラブ 0サ ンプリング・システムの開発研究 とその性能評価 について述べ る。昭和基地 における実際の実験結果 をもとに、本装置の設計の妥当性 と大気採取性能等 を評価す る。

第4章 では、液体ヘ リウムを冷媒 として利用 した、クライオジェニック・サ ンプリング 0シ ステム の開発研究 と、その性能評価について述べる。まず、本研究で確立 した静的・動的熱入力の解析法に ついて述べ、大気球搭載可能なシステムとして成立するための条件を明らかにする。次に、各部の設 計 と室内実験 による特性評価について述べる。最後に、実際の飛翔実験で得 られたデータを解析 し、

本 システムの設計の妥当性 を検証する。

第5章 では、試料容器の内面処理等 に関する研究結果を述べ、その成果 を適用 した試料保存容器の 長期保存性能の検証結果を示す。また、実際の飛揚実験により採取 した成層圏大気 を分析 して得 られ た発見や研究成果 を例示 し、開発 した装置が地球大気環境研究用 として優れた手段であることを示 す。

第6章 では、本研究のまとめを述べ る。

付録では、 日本及び諸外国での気球実験について、気球そのものや共通搭載機器・飛翔制御 0回 収 等 について説明 し、本論文の内容理解のための資料 とする。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

大気中の温室効果ガス(C02等)濃度の上昇による地球気候の温暖化やフロンガス放出による成層圏 オゾン層の衰退等、地球規模での環境劣化が進行 している。このような大気環境の詳細を理解 し、大 気微量成分 による将来の地球大気環境の変化 を予測するには、現時点での対流圏のみならず、密接 な 関係 にある成層圏における時間的空間的変動 をグローバルに監視することが必要 とされている。本論 文は、成層圏大気 に含 まれる微量成分の分析 を目的 として、大型科学気球 を利用 した大気採取装置の 開発研究 をまとめた ものである。開発 した装置は、グラブ・サ ンプリング装置 とクライオジェニ ッ ク・サ ンプリング装置の2種類である。

1章は序論で、本研究の背景及び研究目的 とその意義を述べている。第2章 は成層圏大気微量成分 の種々の観測法を概説するとともに、国内外で開発 されてきた大気採取装置の研究開発動向と対比 さ せなが ら、2種類の成層圏大気採取方式の原理 と特徴 を纏めている。

3章では、完全 自律型グラブ・サ ンプリング装置について述べている。南極のような困難な条件 下で、超高真空に排気 した16.5Lの試料容器に高度10blか ら25kmの 大気を採取するもので、搭載 コン ピユータ及びGPSを用いた制御 により、小型・完全 自律化・高信頼化 を実現 し、C02、 CH4な どの分 析 に供 された。

第4章 ではクライオジェニ ック・サ ンプリング装置について述べている。極低音技術 を応用 して大 気 を大量 に(高15か

35hで

1高度当た り

20LST以

)固化 して採取するもので、より微量な大気 成分の分析、高精度な分析及び長期の大気保存 を可能にした。装置設計において、等価熱伝導積分値 と顕熱利用係数を導入 した熱設計手法を考案すると共に、採取容器の洗浄技術、コンピュータによる 高信頼制御 システム等 を開発 した。 この装置は、潜熱は小 さいが入手容易な液佃 eを冷媒 として用 いた世界で唯一稼動 しているシステムである。

第5章 では、試料容器の内面処理法、試料保存容器の長期保存性能、実際の飛揚実験 により採取 し た成層圏大気の分析結果 について述べ ている。C02、 CH4、

CFCな

どの濃度がそれぞれ0,01ppm、

lppb、pptの精度で分析可能なこと、10年間の長期保存試料の再分析 において濃度変動が非常 に小

さいこと(た とえばCH4は5ppb以 下)を示す とともに、高度10blか ら35kmに おいて高度別 に採取 され た大気の分析か ら、成層圏内におけるC02濃度の長期変動、C02の酸素同位体の濃縮、多種のCFCの 高度分布 を明 らかにす る等、装置の有効性 を証明 している。第6章 は総括で、研究成果 を纏めてい る。

本論文で述べ られた成層圏大気採取装置は大気科学分野の研究内容 を左右するような装置であ り、

この分野の研究の進展に大 きく貢献 した。よって、博士(工)の学位 を授与するに十分な内容を有す るもの と認定する。

‑123‑

参照

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