双方向双バスを用いた高速・広帯域MANに関する研 究
著者 石 貴増
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 16
ページ 174‑176
発行年 1995‑03‑28
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1258
氏名0(本籍
)
石貴
増 (中
国) 学 位 の 種 類
博
士
(工
学)学 位 記 番 号
工博 甲第
96
号 学位授与の日付平 成
6年 3月
23日 学位授与の要件学位規則第4条第1項該 当
研究科。専攻の名称
電子科学研究科
電子応用工学専攻
学位論文題 目
双方 向双バ ス を用 いた高速・広帯域
MANに
関 す る研 究論文審査委員
(委
員長)教 授
市 り
│1
朗教 授 池 田 弘 明
教 授 宮 川 達 夫 助教授 山 口 高 平
教 授 福 田
明
論 文 内 容 の 要 旨
広帯域ISDN(Integrtted Services Digital Network)の 研究が世界各国で活発 に行われている。音声、
画像、データなどのマルチ メデ イア情報 を一元的に伝送するAW (AsynchЮnous Transfer Mode)に お いては、各種の速度やバース ト性 を有する トラヒックに対 し所要の網品質を確保するための制御 は非 常 に重要な技術である。それ らのうち、ユーザ・網 インタフエースに関する研究 も極めて盛んである。
そこでは高速・広帯域サー ビスを提供で きる信頼性の高い経済的な網構成が望 まれている。 この分野 においては、複数端末同時接続、端末のポー タビリテ イ、配線の拡張性 などに加えて、速度の異なる 各種サービスの収容や端末 C端末間の内線通信 を十分に考慮す る必要がある。特 に、高速・広帯域化 の問題点 として、複数端末の同時アクセスによるセルの衝突制御 な どが重要である。これ らの背景か ら、本論文では現存の方式 をも参考 にして、 より良い新 しい制御方式 とシステムを提案 した。次 に、
トラヒック理論及び待 ち行列理論 を用いて、提案 したシステムの特性 を解析 し、網の品質 と性能 を評 価 した。最後に、現存の他の方式 と比較 し、本方式の有効性 を検証 した。
本論文は全6章 より構成 されている。
第1章では、本論文の背景お よび目的について述べている。
第2章 では、網間の接続性 を重視 した高いスループ ッ ト特性 を持つ高速・広帯域
MAN(MetЮ politan
Area Network)の 一構成方式BADB(Bidirectional Access Dual Bus)を 提案 している。この方式では ト ラヒックに対する制御やセル (ce11)ヘ ッダ部の リクエス ト情報 ビッ ト及び リクエス トの送信 と受信処 理などが不必要 とな り、処理の簡単化が実現 されている。また、本方式では各端末か らの上 リトラヒッ
クと終端局か らの下 リトラヒックを混在 させ ることが可能 となっているので、高利用率で伝送がで き る。本 システムは幅広いマルチメデ イアサービスの トラヒック特性 に適 したネッ トワーク構成 を提供 するために、ループバス型 とスター型の2種 の伝送 システムを組み合わせて実現 されている。
第3章では、提案 した双方向双バスシステムの特性 を解析 している。このシステムの解析のために、
まず一つの待 ち行列のみからなる基本モデルの厳密解 を求め、次 にこの結果 を利用 して対象モデルの 近似解析 を行 う。対象モデルの厳密な特性解析は極めて困難なので、ここでは三つの近似解法 を提案 している。 また、 これ らの近似解法の有効性 をシ ミュ レーションとの比較によって評価 している。解 析Iは他の方法の もとになるものであ り、また下 リトラヒックを含むものなどよ り広いモデルにも適 用で きるが、負荷の重い ときやや誤差が大 きい。一方、解法 Ⅱ、Ⅲを用いると、十分な精度で対象モ デルの特性解析がで きる。特 に、解析法 Ⅲは負荷 によらず シ ミュレーション値 と極めて良い一致 を示 している。 この ようにして、この解析法 により十分な精度で双方向双バスモデルの特性解析がで きる と言える。
第樟 では、最初 に各種のバス型モデルの特性 を考察 している。 まず、比較のために、一方向双バス モデル及び一方向単一バスモデルの特性 を双方向双バスモデルの場合と同様の手法により解析 してい る。第3章で提案 された解析法は簡単 にこれらのモデルにも適用で き、 しか もこれ らの場合には厳密解 になる。 また、 これ らのモデルの特性 を比較 し評価 している。 このように単一バスを容量が半分の二 本 にわけ、逆方向に配置することによ り、負荷の軽い時の待 ち特性のわずかな劣化 と引 き換 えに、大 きな公平性の改善が得 られることが明 らかにされている。次 に、端末の位置による上 リアクセス遅延 特性の不公平性が、双方向双バスとすることによる緩和 されることの本質を探求する。一方、一方向 網の場合に不公平性 を緩和する方法 として、上流の端末 は空 きスロッ トが来て もある確率でその使用 を辞退することが考えられる。 しか しこのように して も、安定 システムである限 り、各端末は結局は それぞれのセル到着率に従つてスロッ トを使 うのであるか ら、上流の端末の待 ち時間が増大 して不公 平性が緩和 されるだけで、下流の端末の利益にはほとんど役立たないことが明らかにされる。最後に、
端末数の影響 と非対称 システムの特性 を調べている。
第5章 では、提案 した方式の有効性 を検証するために、解析が困難な下 リセルがある場合の双方向双 バスシステムのスループッ ト特性 と各端末の不公平性の緩和能力などをシミュレーションにより検討 している。 この ようなプロ トコルによると、途中で下 リセルを降ろ して空 きとなったスロッ.卜が下流 端末 によって利用が可能になっているので、本方式の最大スループ ットはDQDB(Distributed Qucuc Dual Bus)な どの方式の2倍以上 になっている。内線通信の上 リスループラ トヘの影響 はほとん どない ことも示 されている。また、下 リセルがある場合には下 リセルの存在は端末間の不公平性の抑圧の方 向に働 き、不公平性は充分に小 さいことが示 される。なお、既存
MAC方
式 との比較が行われ、本方式 が優れた特徴 を持つことが明 らかにされる。最後に、BADBシステムの応用範囲と発展などについて述 べている。以上か ら本方式の採用により、特性の優れた広帯域ISDNユーザ 0網 インタフェースを実現 で きる見通 しが得 られている。最後に、第6章 では、本論文の研究成果お よび今後の研究課題 について述べている。
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論 文 審 査 結 果 の 要 旨
本論文では、双方向双バスを用いた広帯域MANの一構成方式 (BADB方式
)が
提案 され、それによ るシステムの特性が、待 ち行列論及びシミュレーションにより考察 されている。本論文 は全6章 より構成 されている。第1章は序論である。第2章 ではBADB方式が提案 されている が、この方式では トラヒック制御や リクエス ト情報が不要であ り、処理の簡単化が実現 されている。
また、上 りと下 りの トラヒックを混在 させることがで きるので、高いバスの利用率が期待で きる。第 3章 では、提案 した方式 によるシステムの特性の解析法 を開発 している。 このシステムの各端末の振舞 は独立ではないので、その厳密な特性解析 は極めて困難である。そこで、 まず一つの待ち行列のみか らなる基本 システムの特性の厳密解 を求め、次 にその結果 を利用 して、対象 とするシステムの三つの 近似解法 を提案 している。解法Iは、下 リトラヒックがある場合など、 よリー般的なモデルにも適用 で きるが、負荷が重い時やや誤差が大 きい。一方、解法 Ⅱ、Ⅲは十分 な解析の精度 を与える。特 に解 法 Ⅲの結果 は、負荷の大小 によらず シュ ミレーション値 と極めて良い一致 を示す。 このようにして、
上 リトラヒックのみを持つ システムに対 しては、十分な精度で簡単 に特性 を考察で きる手法が確立 さ れたと言える。第樟 では、一方向双バス及び一方向単一バスによるシステムの特性 を同様な手法によ り解析 し、双方向双バスによるシステムと比較 している。 この解析手法はこれ らの場合には厳密解 を 与える。 この章ではまた、双方向双バス とすることによ り、バスの利用 に関する端末間の不公平性が 緩和 されることの本質が探求 されている。その結果、バスを容量が半分の2本 にわけ、双方向に設置す ることによ り、負荷が軽い時の平均特性のわずかな劣化 と引 き替えに、不公平性の大幅な緩和が得 ら れることが明 らかにされている。本章では最後 に、端末数が多い場合や端末が等質でない場合が考察
され、それ らの場合にも解析の近似 に全 く問題がないことが確認 されている。第5章 では、解析が困難 な、下 リトラヒッグ及び網内 トラヒックがある場合の特性 をシュ ミレーションによ り検討 している。
下 りや網内の トラヒックがある場合、本 システムのスループッ トは従来のDQDBなどの方式の2,3倍に な り、また、それ らの トラヒックが上 リトラヒックのスループッ トヘ与 える影響 はわずかであること が示 されている。 さらに、下 リトラヒックは端末間の不公平性の緩和 に役立つことが明 らかにされて いる。この章では最後に本 システムの応用範囲や今後の発展などが述べ られている。第6章では、本研 究の成果 をまとめ、今後 に残 された課題 について述べている。
このように、本論文で提案 された方式 により、特性の優れた