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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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LSIアルミ配線の劣化機構に関する研究

著者 平岡 一則

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 17

ページ 148‑150

発行年 1996‑03‑29

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1205

(2)

氏 名 。(本 籍)

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与の 日付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目

  

  

  

(新

潟県

)

  

  (工

 

)

工博乙第

  56  

号 平 成 6年 6月 27日 学位規則第 4条 第 2項 該当

LS!ア

ル ミ配線の劣化機構に関する研究

論 文 審 査 委 員 (委員長)

教 授

 

石 井

  

仁 教 授 野 田 直 剛 教 授 安 藤 隆 男 助教授

 

喜多尾

 

道火児

能 式 隆 義 野 中 窪 畑

論 文 内 容 の 要 旨

LSIに使われているアル ミ配線の信頼性確保は、超高集積度LSI実 用化のための最重要課題 と認識 さ れている。配線信頼性の課題の中で、エ レク トロマイグレーション(以

EMと

記す)故障 とス トレスマ イグレーション(sM)故障は配線の微細化にともない顕在化 してきてお り、配線材料 としてのAlの 信頼 性限界が懸念 されている。本研究では

EMと SMの

機構解明により、コス トと製造技術に優れたAl配 線の 適用範囲の拡大 と高信頼度化に資することを目的 とする。

EM寿

命は電流密度の‑2乗で急減するので、電流密度の大 きな微細配線では、要求寿命に対するマー ジンが減少する。そこで、LSIの 実動作 に合わせた正確な評価が必要になる。この観点から従来行われ て きたパルス条件下での

EM評

価法は、周波数が低 く不十分 なものであった。本研究では、7ml眩 か ら 50M助は での広範囲にわたるパルス

EM試

験 を行い、特 に従来評価の行われていなかった高周波領域で

は高速パルス

EM試

験装置 を試作 し最小パルス幅10nsま での評価 を行った。

lHz以 下の超低周波域のパルス通電では、故障に至るまでのパルスのオン時間を足 し合わせた時間は 連続通電での寿命 と等 しく、パルス寿命

=連

続通電寿命 ×r 1(r:パルス1サイクル中のオン時間の割 合)と なった。kI・Iz領域のパルス寿命は連続通電寿命のr 2倍にな り、超低周波域に比ベパルス効果によ り寿命カキl倍延びた。lMI・Iz以上の高周波域では、さらに寿命の延びがみ られ、パルス寿命は連続通電 寿命のr 3倍になった。

この2段階の寿命の延びを、

EM機

構の中に2つの独立な緩和過程 を取 り入れたモデルを構築 し解析 し た。1つは故障の素 となる空7L(Al原 子の抜けた孔)の欠陥回 りでの蓄積過程に関係するもので緩和時間

(3)

は約5sec、 他の1つはAl原子 と電子の衝突過程 に関わるもので約μ secと推測 された。

SM機

構の解明は、微細薄膜内の応力歪の測定技術が難 しいため進んでいない。実験的なアプローチ を補完するため数値 シミュレーションによるAl配 線の応力歪の解析が行なわれているが、従来の計算 は2次元で精度が低 く、また時間項が含 まれていないため

SM機

構の中心 となる応力緩和 に関する知見は 得 られていない。

本研究で行ったシミュレーションは、3次 元計算で、時間とともに変化するクリープ歪 も取 り入れて 従来法の欠点を克服するとともに、計算の途中段階で構造要素 をつけ加えてい く手法 を用いることで Siチ ップの上に酸化膜

/Al膜 /保

護膜が順次積み重なってい くLSIの 製造工程 を模擬 して、Al膜 の応力 歪 に与 える製造工程の影響 も計算に入れた。応力にはvorl Misesの相当応力を用いて、3次 元での塑性条 件 を考慮 にいれた。

X線

による応力測定値 と計算結果を比較 して、計算の妥当性 を検証 した。歪変化では、塑性歪は一定 に保たれるものの、故障の原因となるクリープ歪は増加 し続けることが分かつた。応力緩和の進行に ともない、成分応力間の偏差応力は小 さくな り、弾性せん断歪エネルギが減少する方向に応力分析は 変化 してい くことが分かつた。

この計算 をTiとAlを重ねた積層配線 に適用 し、Al単 層配線 に比べAl膜 内のクリープ歪が数十

%減

少 し、

SM故

障に対 して効果のあることを解明 した。 また

EM耐

性 を確保するため断面積を一定にした配線 において、厚 さ

/幅

比 を変えた計算か ら、

sM寿

命が特定の温度依存性 を示す場合 には、幅を狭 くして 配線 を微細化 して も

sM耐

性の劣化は少ないことが予測で きた。

さらに、従来計算では不明であつた温度 と

SM寿

命 との関係 を解析 した。最終工程のアニーリング温 度 を減 らす と、クリープ歪が減少 して

SM寿

命は延びるが、Al膜 形成温度 より下げて も長寿命効果は飽 和することを明らかにした。また

sM寿

命 と信頼性試験温度 との関係では、これまで報告 されていた3種 の相異 なる実験結果 を、応力緩和量の違いによるものとして統一的に説明で きた。

数値 シュ ミレーションでは、Al膜 を均一なもの として扱 っている。 しか し、実際のAl配 線は多結晶 か ら成 り、微視的構造に不均一性がある。 この効果 を膜応力の温度変化の測定から明 らかにし、LSI製 造工程の温度の影響 を多角的に評価 した。 ウェハ完成後の組み立て工程、検査工程 を想定 した高温処 理によって起 こる応力 と膜質の変化を、

x線

応力測定、ならびに集束イオンビームによる配向性 と粒径 の測定で評価 した。これらのデータを元 に、多結晶内での応力変化のモデルを提案 した。この結果、

温度条件 を変えることで、応力の低減が図れることを明 らかに した。

本研究の成果 として、

EMで

は実動作周波数域で寿命が大幅に延びることと、

sMで

は積層化 と温度の 最適化 により

SM耐

性の向上が図れることを明 らかにし、Alが これまで信頼性上難 しい と予想 されてい た極微細領域 において も、配線材料 として使用できる可能性が高いことを示 した。

‑149‑

(4)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

エ レク トロニクス時代の現代 においてLSI(大規模集積回路)の存在は必要不可欠であ り、さらに超高 集積化するためには信頼性の確保が最重要課題である。LSI故 障の原因では配線関係が最 も大 きな割合 を占めてお り、配線の微細化 にともないエ レク トロマイグレーション(EM)と ス トレスマイグレーショ ン(SM)に よる断線故障が顕在化 している。本論文は現在LSIに 使われているアルミ配線におけるEMと

SMの

機構 を実験及び計算機 シミュ レーションにより解明 した ものである。

本論文は6章 よ り成 り、第1章では、LSI技 術におけるアル ミ配線信頼性の研究の重要性・歴史的背 景・意義 を説明 している。

2章では、パルス通電下で起 きる

EM機

構 を検討 し、それによるアル ミ配線の寿命特性 を明 らかに している。7m】臨か ら

50MLま

での広範囲にわたるパルス

EM試

験 を行い、寿命が低周波か ら高周波に かけて2段 階で延びることを見出 し、断線の原因となる空子Lの蓄積過程 による遅い緩和及びアル ミ原子 と電子 との衝突 によって起 こる運動量交換 による速い緩和 という2つの独立 な緩和過程を取 り入れたモ デルで解釈 し、各々の過程での緩和時間の物理的意味 を考察 している。

3章では、

SM故

障の原因となるアル ミ配線内で起る熱応力 をクリープ歪 を考慮 して三次元有限要素 法を用いて数値解析 している。LSIを 一定温度で保管 した場合には、塑性歪は一定であるが、断線の原 因 となるクリープ歪は増加 し続ける。 また偏差応力は小 さくな り、その結果相当応力が減少 し、応力 緩和が発生する。 さらに高融点金属 とアル ミをさかねた積層配線及び微細化 に適 した配線幅の狭い高

アスペク ト比配線 などに関 して も熱応力の計算 を行い、

SM寿

命の改善 について提案 している。

4章では、

SM機

構に与える最終アニーリング温度の効果についての解析 を行い、その後の保管温度 の変化によるクリープ歪量の経時変化 も計算 している。 これ らのクリープ歪量 を考慮することで、

SM

寿命に関 して提唱 されている種々の温度依存性 を統一的に説明 している。

5章では、熱応力に与える温度の効果を実験的に評価 している。膜内での応力変化は高温保管中で の応力緩和による減少分 と冷去口過程で発生する熱応力 との和 となることを指摘 している。これよりLSI 製造工程の温度条件 を変えることで

SM故

障の原因となるアル ミ膜内応力の低減化が図れることを明 ら かにしている。

第6章は結論である。

上記のように本論文は、実動作周波数域での

EM寿

命は大幅に延びること、積層化 と温度の最適化に よる

SM耐

性が向上することを明 らかにしてお り、将来のアル ミ配線の極微細 とその高信頼度化に関 し 工学上寄与するところが大 きい。 よって本論文は博士(工)の学位 を授与するに十分な内容 を持つ も の と認定する。

‑150‑

参照

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