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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2021

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分子線エピタキシ法を用いた化合物半導体ヘテロ成 長機構と格子歪緩和

著者 吉川 昌宏

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 18

ページ 200‑202

発行年 1997‑03‑29

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1241

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氏名。 (本 籍 )   吉    川    昌    宏 (静 岡県 )

学 位 の種 類   博    (工 学 )

学 位 記 番 号    工博甲第  124  号 学位授与の日付    平 成 8年 3月 23日 学位授与の要件    学位規則第 4条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子材料科学

学位論文題目    分子線エピタキシ法 を用いた化合物半導体ヘテロ成長機構 と格子歪緩和

論 文 審 査 委 員    (委 員長

)

教 授 助 川 徳 三   教 授 福 家 俊 郎 教 授 福 田 安 生   教 授 皆 方   誠 助教授 石 り │1賢 司

論 文 内 容 の 要 旨

高速で多機能 な半導体 デバ イス を作製す るため に、化合物半導体ヘテロ成長 を用いた超格子構造の 作製が重要である。 また、良質なエ ビタキ シャル膜 を成長す るためには、成長前の基板表面の状態 を 明 らかにす る必要がある。格子不整合 をもつヘ テロ成長 において成長初期 の コヒー レン トな層構造 は 量子丼戸 として利用 されている。最近、格子不整合 をもつヘテロ成長の初期 に2次元か ら3次元的な成 長へ と成長モー ド遷移が起 こ り、 この成長モー ド遷移 に伴 つて表面 にナノメー タサ イズの コヒー レン トな島構造が形成 されることが報告 されている。 この島構造 を量子箱 に利用す ることが提案 され、注 目を集めている。格子不整合 をもつヘテ ロ成長 において量子丼戸構造 を作製す るため には、成長モー ド遷移の起 こる臨界膜厚 を増加 させ ることが必要である。一方、量子箱構造 を作製するためには表面 に形成 される島構造のサ イズ を制御する必要がある。 これ らのことか ら、成長モー ド遷移付近での成 長機構 を明 らかにすることは重要である。本論文ではGaP(001)表 面 に 3.7%大 きい格子定数 をもつ GaAs を分子線エ ピタキシ (MBE)法 を用いてヘ テロ成長 を行 い、成長モー ド遷移付近 における成長機構 を調 べ た結果 について述べ る。

第 1章 で は研究の背景 と目的 を述べ た。第 2章 では固体 ソースを用いた MBE法 について説明 し、その 成長 条 件 の決定方法 を述べ た。 また、ヘ テ ロ成 長過程 を調べ るため に用 いた反射 高速電子線 回折 (RHEED)の パ ター ン解析法お よび表面の化学状態 を調べるために用いた表面光吸収 (SPA)法 について 述べ た。第 3章 では RHEEDと SPA法 を相補 的に用いることによ り、基板 となる GaP(∞ 1)表 面 における再

―‐200‐―

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構成構造 とス トイキオメ トリの関係 を明 らかにした。P安 定な表面にGaを 供給すると、再構成構造は 2

×4か ら 4× 4へ 変化する。Gaの 堆積量カセ MLを 越えると再構成構造は 2× ⌒ 変化する。この 2× 4の 再構 成構造をもつ表面に過剰な Gaが 存在することが、 sPA信 号強度 と

RI・

IEEDの Pの 取 り込み振動から明 らか になった。つまり、 GaP表 面において再構成構造カウ× 4を していることだけから、GaAs(001)表 面の場 合のように、表面が過剰な Gaが 存在 しない V族 安定 な状態であることを単純 に判断することがで きな い。以上のことか ら、 GaP表 面においてP安 定面を得るためには RHEEDお よび SPA法 を相補的に用いる 必要がある。第4章 では成長モー ド遷移前の2次元層成長 している膜厚領域での格子歪緩和過程 を明 ら かにした。成長膜の格子間隔は表面のステップ密度が最大のときに最大 とな り、 lMLのGaAsが 成長 し たところで基板の格子定数に戻る。これより、格子歪が表面に形成 された2次元核ステップ付近での弾 性変形 によって緩和 していることがわかる。 また、 GaAs膜 は少な くともは じめの lMLま ではコヒー レ

ントな層構造 をしていると考えられる。さらに、

… E法 を用いてGaと Asの 供給 をわけることにより、

Ga原 子が格子歪緩和過程 に及ぼす影響 を調べた。成長膜の格子間隔はGaの 供給時にのみ変化 し、Asの 供給時には変化 しない。 Ga供 給時における格子歪緩和は2次元核のステップ付近における弾性変形によ

るものであると考 えられる。以上のように、2次元層成長中の格子歪緩和は2次元核のステ ップ付近に おける弾性変形によるものであることを明 らかにした。第 5章 では成長モー ド遷移が起 こる膜厚領域に おける成長機構のモデルを提案 し、格子歪緩和過程 を説明 した。 GaAsヘ テロ成長を停止 した後にも、

成長膜は層か ら島へ と構造 を変化 させなが ら格子歪 を緩和 してい く。 また、ヘテロ成長中のGaの 供給 速度 を大 きくすることや基板温度 を下げることにより、成長モー ド遷移が起 こる臨界膜厚 を大 きくで きる。これ らのことから、成長モァ ド遷移付近での成長機構は、 (a)基 板表面に供給 された原子が近 く のキンクサイ トに取 り込 まれて、準安定な層構造を形成する過程、 (b)格 子歪 を緩和するために、一度 準安定な層を形成 した原子がマイグレーションすることによる成長膜の層か ら島への構造変化の過程、

とい う二つのプロセスか ら成 り立 っていることを明 らかにした。これ らの二つのプロセスの速度を制 御することによって、成長モー ド遷移の起 こる臨界膜厚や表面に形成 される島構造のサイズを制御で

きる可能性 を示 した。

以上をまとめると、以下の通 りである。GaP(001)表 面では

,表

面に過剰な Gaが 存在する場合にも、表 面再構成構造カウ×構 造 を形成する。このことは、今後の GaP基 板上におけるエピタキシャル成長に有 益な情報 を与 えるものである。 また、格子不整合をもつヘテロ成長における成長初期過程を明 らかに することによつて表面に形成 される島構造のサイズを制御で きることお よび層成長で きる膜厚 を増加 で きることを明 らかにした。 このことは格子不整合 をもつヘテロ成長 に一般的に適用 しうるものであ

り、ヘテロ成長技術を進展 させるための重要な知見 を得た。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

多機能半導体デバイスにヘテロ構造 を応用するためには、ヘテロ成長過程 を解明することが重要で ある。最近、格子不整合 をもつヘテロ成長の初期に2次元か ら3次元への成長モー ド遷移が起 こり、表 面 にナノメータサイズのコヒー レン トな島構造が形成 されることが報告 されている。格子不整合をも つヘテロ成長において量子丼戸構造 を作製するためには、成長モー ド遷移が起 こる臨界膜厚 を増加 さ せ ることが必要である。一方、量子箱構造 を作製するためには表面に形成 される島構造のサイズを制 御する必要がある。これ らのことか ら、成長モー ド遷移付近における成長機構 を明 らかにすることは 重要である。

本論文は 6章 か ら構成 されている。第 1章 では研究の背景 と目的を述べている。第2章 では、本研究に 用いた固体 ソース分子線エ ピタキシ (MBE)法 の成長条件の決定方法を述べ、 さらに、ヘテロ成長過程 を調べるために用いた反射高速電子線回折 (RHEED)の パ ターン解析法および表面の化学状態を調べる ために用いた表面光吸収 (SPA)法 について述べている。第 3章 では

RI・

IEEDと SPA法 を相補的に用いるこ とにより、基板 となるGaP(001)表 面 における再構成構造 とス トイキオメ トリの関係 を明 らかにしてい る。第 4章 では成長モー ド遷移が起 こる前の2次 元的な成長 をしている膜厚領域における格子歪が、表 面 に形成される2次元核のステップ付近における弾性変形によって緩和 していることを明らかにし

,さ

ら に耐 法を用いてGaと Asの 供給 をわけることにより、Ga原 子が格子歪緩和過程に及ぼす影響を明 らか に している。第5章 では成長モー ド遷移付近における成長機構のモデルを提案 し、格子歪緩和過程を説 明 している。成長モー ド遷移付近における成長機構は、 (a)基 板表面に供給 された原子が近 くのキンク サイ トに取 り込 まれて、準安定な層構造 を形成する過程、 (b)格 子歪を緩和するために、一度準安定な 層 を形成 した原子がマイグレーションすることによる成長膜の層から島への構造変化の過程、 という 二つの過程か ら成 り立ってお り、これ らの二つの過程の速度 を制御することによつて、成長モー ド遷 移の起 こる臨界膜厚や表面に形成 される島構造のサイズを制御で きる可能性 を示 した。

以上のように、本研究では MBE法 による格子不整合をもつヘテロ成長において、成長モー ド遷移付 近 における成長機構 を明 らかにし、 さらに、基板 として用いたGaP(001)表 面の再構成構造 とス トイキ オメ トリの関係 を明 らかにした。 これ らのことは、今後の GaP基 板上におけるエ ピタキシャル成長およ び格子不整合 をもつヘテロ成長において有益な情報を与えるものである。

以上述べたように、本論文の研究成果は学術的にもまた実用的にも価値の高い ものであ り、博士

(工

学 )の 学位 を授与するに十分な内容であると認定する。

‑202‑

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