中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻 修士論文
消費行動を目的とした鉄道利用モデルの構築
Traffic Model in Public Railway Network for Consumer Behavior
入学年度
2004年 学籍番号
04N8100027F野津 誠
Makoto NODU指導教員 田口 東 教授
2006
年
3月
概要
東京首都圏において鉄道は,通勤,通学,買い物,外食など様々な目的で利用されている.
鉄道会社にとって,鉄道がどのような目的で利用されているかを把握することは,今後の経 営に役立てるために必要不可欠である.JR東日本は,生活者が実際に駅をどのように利用し,
どのような消費行動をしているかを把握するために,東京 70km圏に住む生活者約 1 万人を 対象に,移動行動と消費行動に関するアンケート調査を行った.
そこで,本研究では,JR東日本が行ったアンケート調査のデータを用いて,買い物,外食,
娯楽・観光を目的として鉄道を利用した行動を分析する.そして,買い物,外食,娯楽・観 光を目的とした鉄道利用モデルを構築し,3駅間の競合や乗換の影響などを調べる.
まず,消費行動の分析として以下のことを行う.
・ 消費行動を消費金額により3 つの行動に分類し,それぞれ平日と休日における鉄道利 用者と鉄道非利用者の消費行動について分析する.
・ 定期券所有者が,買い物,外食,娯楽・観光を目的として鉄道を利用した外出行動に,
どのように定期券を利用しているかを調べる.
・ 外出した人を,一日の行動の中で一度でも鉄道を利用した人と,一度も鉄道を利用し ていない人に分類し,一日の行動の流れが曜日によってどのように異なるかを分析す る.
次に,鉄道ネットワークを構築し,各駅の利用者がどの路線を利用して訪れているのか,
路線ごとに特徴はあるのかという観点で,駅や路線の特徴を視覚的に示す.
最後に,買い物,外食,娯楽・観光を目的とした鉄道利用モデルを2つ提案する.一つは,
路線の特徴を利用して,ある乗車駅が与えられたとき,鉄道利用者が各駅を確率的に移動し て降車駅を決定するモデルを構築し,鉄道利用者の行動を表現する.もう一つは,グラビテ ィモデルを用いて,3駅間の競合を表すモデルを構築し,池袋駅,新宿駅,渋谷駅を対象に3 駅間の競合を調べる.また,上記のモデルを応用し,乗換に対する抵抗を調べる.
キーワード:鉄道利用者の消費行動,グラビティモデル,3 駅間の競合,乗換に対する抵抗
目次
第
1章 序論
···11.1 研究の背景···1
1.2 研究の目的···1
第
2章 使用データ概要
···32.1 調査対象と調査期間···3
2.2 調査対象者の基本属性···3
2.3 移動に関する調査項目···6
2.4 消費に関する調査項目···7
第
3章 鉄道利用者の行動分析
··· 93.1 消費行動の分析···9
3.1.1 低額消費行動···11
3.1.2 中額消費行動···13
3.1.3 高額消費行動···15
3.2 定期券所有者の分析···17
3.2.1 定期券所有者の基本属性···17
3.2.2 定期券所有者の特徴···18
3.3 一日の行動の流れの分析···20
3.3.1 曜日別の行動の流れ···20
3.3.2 鉄道利用者と鉄道非利用者の比較と考察···25
第
4章 鉄道ネットワーク
···274.1 鉄道ネットワークの構築···27
4.2 各駅の分析···27
4.2.1 外出目的ごとの各駅の利用人数···27
4.2.2 主な駅の利用者分析···28
4.3 各路線の分析···33
4.3.1 利用路線の特定···33
4.3.2 主な路線の特徴···33
第
5章 鉄道利用モデルの構築
···385.1 路線間の移動に注目したモデル···38
5.1.1 モデルの概要···38
5.1.2 降車駅の決定方法···39
5.1.3 シミュレーション結果···41
5.2 3駅間の競合を表すモデル···44
5.2.1 グラビティモデル···44
5.2.2 モデルの概要···45
5.2.3 池袋駅,新宿駅,渋谷駅の競合···49
5.2.4 乗換に対する抵抗···55
第
6章 結論
···616.1 まとめ···61
6.2 今後の展望···62
謝辞
···63参考文献
···64第
1章
序論
1.1
研究の背景
長引く不況など,事業環境が厳しさを増す中,駅における事業展開の重要性が高まってい る.最近では,鉄道会社は,ecute大宮やecute 品川,エチカ表参道に代表されるように,駅 の中に様々な店を誘致し,駅での消費行動の拡大を狙っている.
鉄道会社にとって,鉄道がどのような目的で利用されているかを把握することは,今後の 経営に役立てるために必要不可欠なことである.鉄道利用者の行動を把握するために用いら れるデータとして大都市交通センサスデータ[1]がある.大都市交通センサスデータは,首都 圏,中京圏,近畿圏における鉄道,バス等の大量輸送交通機関を対象にした,定期券利用者 に対するアンケート調査や普通券の使用状況等についての実態調査データである.大都市交 通センサスデータからは,定期券利用者の行動を,通勤・通学を目的とする行動とみなすこ とができるが,買い物や外食を目的とする行動や,消費の様子を知ることはできない.
そこで,JR東日本は,生活者が実際に駅をどのように利用し,どのような消費行動をして いるかを把握するために,東京 70km 圏に住む生活者約 1 万人を対象に,移動行動と消費行 動に関するアンケート調査を行った.アンケート調査は,“生活者は日々,どのように移動し,
消費しているのか,その中で駅との接点はどこにあるのか,駅ではどのような行動を行って いるのか”といった点を中心に行われた.既存の研究として,[6]では,駅利用者の買い物意 識や店舗利用状況などから,JR東日本の主要駅をクラスター分析し,それぞれのクラスター の特徴を調べている.[8]では田口が,鉄道を利用する移動と鉄道を利用しない移動について,
一日における各時間帯の行動の様子などを調べている.[11]では前川らが,“生活者の移動行 動”,“生活者の消費行動”,“生活者の利用から見た駅の姿”といった観点において簡単にま とめている.
1.2
研究の目的
本研究では,JR東日本が行ったアンケート調査のデータ(以下,JRデータ)を用いて,買 い物,外食,娯楽・観光を目的とする外出行動に鉄道がどのように利用されているかという 点に着目し,鉄道利用者の行動の特徴を分析する.そして,買い物,外食,娯楽・観光を目
的とした鉄道利用モデルを構築し,鉄道利用者の特徴を調べることを目的とする.
本論文の構成は以下のようになっている.
第2章では,本研究で使用したJRデータについて概要を述べる.第3章では,鉄道利用者 の消費行動について,消費金額や一日の行動の流れに着目して分析をする.第 4 章では,鉄 道ネットワークを構築し,駅や路線の特徴を視覚的に示し,主な駅や路線について特徴を述 べる.第5章では,JRデータを用いて,買い物,外食,娯楽・観光を目的とした鉄道利用モ デルを構築し,駅の競合関係や乗換に対する抵抗などを調べる.
第
2章
使用データ概要
本章では,本研究で使用したデータの概要を説明する.使用したデータはJR東日本がアン ケート形式で行ったもの(JRデータ)で,生活者が実際に駅をどのように使っているのかと いう観点から,生活者の移動行動と消費行動について詳しく調べている.第 3 章以降で行う 分析に用いた項目を中心に,データの内容を紹介する.2.1節では,調査対象と調査期間を示 す.2.2節では,調査対象者の基本属性(年齢,職業,居住地,鉄道定期券所有の有無)を示 す.2.3 節では,移動に関する調査項目を,2.4 節では,消費に関する調査項目をそれぞれ示 す.
2.1
調査対象と調査期間
調査対象は,東京70km圏在住の12歳(中学生)から69歳までの男女10,013人である.
調査期間は,2002年7月5日(金),6日(土),7日(日),8日(月)の4日間である.
2.2
調査対象者の基本属性
基本属性について,以下の項目が調べられている.
・ 性別
・ 年齢
・ 職業
・ 居住地
・ 鉄道定期券所有の有無 等
以下に,調査対象者10,013人の基本属性(年齢,職業,居住地,鉄道定期券所有の有無)
を示す.
年齢
男女別の年齢の比率を図2.1に示す.男女の年齢比はほぼ同じである.男女共に20代,30 代が全体の約40%を占めている.
9.6%
10.3%
19.5%
21.2%
21.2%
21.0%
16.8%
16.3%
18.6%
18.0%
14.3%
13.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
女性 男性
10代 20代 30代 40代 50代 60代
図2.1 調査対象者の年齢比率(男性5,016人,女性4,997人)
職業
職業のアンケート項目は以下の16項目である.
1.中学生 2.高校生 3.短大・大学(院)・専門学校生 4.事務系勤め人 5.技術系勤め人 6.営業・サービス系勤め人 7.製造・労務系勤め人 8.管理職 9.会社役員
10.自由業 11.自営業 12.パート
13.アルバイト 14.その他の職業 15.無職・主婦業専念
16.無回答
この16項目を以下の7項目に集約する.
1.学生(中学生,高校生,短大・大学(院)・専門学校生)
2.勤め人(事務系勤め人,技術系勤め人,営業・サービス系勤め人,製造・労務系勤め人)
3.管理職・役員(管理職,会社役員)
4.自由・自営業(自由業,自営業)
5.パート・アルバイト(パート,アルバイト)
6.無職・主婦(無職・主婦業専念)
今後,職業について分析する際にはこの7項目で行う.
男女別の職業の比率を図 2.2 に示す.男性では,勤め人が全体の約 43%を占め,管理職・
役員を含めると全体の半分以上を占めている.女性では,勤め人が約 16%であり男性と比較 して少ない.一方で,パート・アルバイトが20%,無職・主婦が約37%と多くを占めている.
13.8%
42.9%
10.3%
10.3%
3.4%
7.0%
12.3% 10.9%
15.9%
0.9%
5.5%
20.0%
37.3%
9.4%
男性 女性
学生 勤め人 管理職・役員 自由・自営業 パート・アル バイト 無職・主婦 その他・無回答
図2.2 調査対象者の職業比率(男性5,016人,女性4,997人)
居住地
男女別の居住地を図2.3に示す.東京23区と神奈川県がそれぞれ約25%を占めている.男 性と女性で居住地の違いは見られない.
24.4%
10.7%
16.9%
19.0%
24.7%
4.2%
24.5%
10.9%
16.4%
19.1%
24.9%
男性 4.1% 女性 東京23区
東京都23区以外
千葉県
埼玉県
神奈川県
その他
図2.3 調査対象者の居住地(男性5,016人,女性4,997人)
鉄道定期券所有の有無
鉄道定期券所有者(以下,定期券所有者)の割合を男女別に表2.1に示す.男性の約4割,
女性の約 2 割が鉄道定期券を所有している.定期券所有者に関する詳しい分析は 3.2節で行 う.
表2.1 鉄道定期券所有者の割合
定期券所有者(人) 全体(人) 定期券所有者の割合
男性 1,987 5,016 39.6%
女性 968 4,997 19.4%
2.3
移動に関する調査項目
1回の移動ごとに以下の項目が調査されている.
・ 移動目的
・ 移動開始時刻と目的地到着時刻
・ 利用した交通手段
・ 所要時間
・ 鉄道利用の有無 等
移動目的は以下の11項目に分類されている.
1.通勤先へ 2.通学先へ 3.通勤以外の業務のため 4.行政施設へ 5.買い物 6.外食
7.娯楽・観光 8.旅行 9.自宅へ 10.病院へ 11.その他の目的
図2.4に4日間の通勤,買い物,外食,娯楽・観光を目的とした外出行動の回数を示す.5 日(金),8日(月)は6日(土),7日(日)と比べて,通勤を目的とした外出行動が多いこ とがわかる.逆に,買い物,娯楽・観光を目的とした外出行動は6日(土),7日(日)に多 い.外食を目的とした外出行動は,他の外出行動に比べ,曜日による行動回数の違いはあま り見られない.また,5 日(金)と 8 日(月)を比べると,買い物,外食,娯楽・観光を目 的とした外出行動は5日(金)がいずれも多いことがわかる.
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000
通勤 買い物 外食 娯楽・観光
行動回数(回) 5日(金)
6日(土)
7日(日)
8日(月)
図2.4 4日間の主な外出行動の行動回数
また,鉄道を利用した場合,1回の鉄道利用ごとに以下の項目が調査されている.
・ 乗車駅・乗換駅・降車駅
・ 乗車駅での滞在時間
・ 乗車区間で利用した切符の種類
・ 乗車していた時間 等
2.4
消費に関する調査項目
1回の消費(商品購入,飲食,施設利用)ごとに以下の項目が調査されている.
・ 購入品目,飲食,施設利用の内容
・ 消費金額
・ 店内に滞在した時間
・ 同行者と同行人数
・ 店舗形態
・ 店舗の場所
購入品目は以下の通りである.ただし,飲食も購入品目に含めて分析を行う.
1.雑誌・書籍 2.新聞 3.たばこ
4.アルコール飲料
5.非アルコール飲料(ジュース,水など)
6.弁当・パン・惣菜
7.菓子(ガム・キャンデー類)
8.菓子(スナック菓子)
9.菓子(ケーキ・クッキーなど)
10.生鮮食料品
11.その他の食品・食材
12.洋服(外出用・スーツ類)
13.洋服(普段着・カジュアルウェア)
14.洋服(子供服)
15.下着・アンダーウェア類 16.靴・バッグ
17.雑貨
18.贈答用の品(プレゼント・お中元)
19.化粧品・美容関連 20.医薬・健康食品 21.電気製品
22.CD・MD・ビデオ・DVD 23.ゲームソフト
24.インテリア 25.生花
26.旅行券・翌日以降に利用する各種乗車券 27.チケット(映画・コンサート)
28.飲食・食事 29.喫茶・軽食
第
3章
鉄道利用者の行動分析
本章では,鉄道利用者の行動を分析する.3.1節では,1回の消費行動における合計消費金 額によって消費行動を,低額消費行動,中額消費行動,高額消費行動の 3 つに分類する.そ して,それぞれの消費行動について,平日と休日における,鉄道を利用した消費行動と鉄道 を利用していない消費行動について分析する.3.2 節では,定期券所有者が,買い物,外食,
娯楽・観光を目的として鉄道を利用した外出行動に,どのように定期券を利用しているかを 性別や年齢,消費金額から分析する.3.3節では,一日の行動の中で,鉄道を一度でも利用し た人と,一度も利用していない人に分類し,一連の行動がどのように異なるかを曜日ごとに 分析する.
3.1
消費行動の分析
JRデータより,消費行動は以下のように分類される.
鉄道を利用した行動
・ 出発地から乗車駅までに行った消費行動
・ 駅での消費行動
・ 降車駅から目的地までに行った消費行動
・ 目的地での消費行動 鉄道を利用していない行動
・ 出発地から目的地までの消費行動
・ 目的地での消費行動
ここでは目的地での消費行動を対象に分析する.1 回の消費行動において,複数の商品を 購入している場合が多いため,消費行動を 1 回の消費行動における合計消費金額によって以 下の3つに分類する.
低額消費行動: 合計消費金額が1,000円未満の消費行動
中額消費行動: 合計消費金額が1,000円以上10,000円未満の消費行動 高額消費行動: 合計消費金額が10,000円以上の消費行動
平日を5日(金),8日(月),休日を6日(土),7日(日)として平日と休日で消費行動 がどのように異なるかを分析する.どのような外出目的で消費をしたか,鉄道を利用した消 費行動と鉄道を利用していない消費行動では,購入品目が異なるのかといった点に着目する.
外出目的は,通勤,買い物,外食,娯楽・観光の 4 つに絞る.購入品目は全体の購入数を 1 としたときの購入比率で表す.ここでは,鉄道を利用して駅に移動し,その駅周辺で行った 消費行動は鉄道を利用した消費行動とする.
3.1.1 節で低額消費行動の分析を,3.1.2 節で中額消費行動の分析を,3.1.3 節で高額消費行
動の分析をそれぞれ行う.
3.1.1
低額消費行動
平日における,年代別の消費行動の様子を図3.1に,購入品目を図3.2にそれぞれ示す.ま た,表3.1にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,男性の行動回数が女性の行動回数を大きく上回っている.
年代別で見ると,20代,30代,40代の消費行動が特に多い.表3.1より,買い物,外食とい った行動よりも通勤の際に消費している傾向がある.図 3.2 より,飲料,弁当・パンの購入 が多く見られ,飲食・食事の回数も多いことが特徴である.以上から鉄道を利用した 1,000 円未満の消費行動の中心は勤め人であると推測することができる.
鉄道を利用していない消費行動では,男性と女性の行動回数の差はあまり見られない.30 代以上の女性は,鉄道を利用した消費行動よりも鉄道を利用しない消費行動のほうが多いこ とがわかる.表3.1より,消費行動の目的は買い物が多いことがわかる.図3.2より,飲料,
弁当・パンの他に,生鮮食料品などの食品類が多く購入されていることが特徴である.
表3.1 平日の消費行動の目的(低額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 678 357 489 54 1,578 鉄道非利用 416 931 319 82 1,748
0 100 200 300 400 500
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.1 平日の消費行動(低額消費)
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率
鉄道利用 鉄道非利用
図3.2 平日の購入品目(低額消費)
休日における,年代別の消費行動の様子を図3.3に,購入品目を図3.4にそれぞれ示す.ま た,表3.2にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,男性,女性共に平日と比べて行動回数が少ない.特に,30 代以上では,鉄道を利用した行動回数が鉄道を利用していない行動回数と比べてかなり少な い.表 3.2 より,通勤の際の消費が少ないことがわかる.これは,休日なので通勤をする人 が減ったためと考えられる.図 3.4 より,購入品目は平日とほぼ変わらないが,喫茶,軽食 がやや多い.
鉄道を利用していない消費行動では,20 代から 40 代の行動回数が多く,男性と女性で行 動回数の差は見られない.表 3.2 から,消費行動の目的は買い物と外食が大半を占めている ことがわかる.図 3.4 より,購入品目は平日とほぼ変わらず,飲料,弁当・パンの他に,生 鮮食料品などの食品類が多く購入されている.
表3.2 休日の消費行動の目的(低額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 70 244 205 130 649 鉄道非利用 141 1,229 558 327 2,255
0 100 200 300 400 500
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.3 休日の消費行動(低額消費)
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率 鉄道利用
鉄道非利用
図3.4 休日の購入品目(低額消費)
3.1.2
中額消費行動
平日における,年代別の消費行動の様子を図3.5に,購入品目を図3.6にそれぞれ示す.ま た,表3.3にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,男性と女性で行動回数の差は見られない.表 3.3 より,消 費行動の目的は外食が一番多く,鉄道を利用して外食をする人が多いことがわかる.図 3.6 より,飲食・食事が全体の35%以上を占めていることがわかる.
鉄道を利用していない消費行動では, 30代以上の女性の行動回数が特に多い.表3.3より,
大半が買い物を目的として消費行動を行っていることがわかる.図 3.6 より,生鮮食料品な どの食品類が多く購入されていることから,近所のスーパーなどでの買い物が平日の消費行 動の多くを占めていると考えられる.
表3.3 平日の消費行動の目的(中額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 78 400 580 64 1,122 鉄道非利用 63 2,388 489 71 3,011
0 100 200 300 400 500 600 700
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.5 平日の消費行動(中額消費)
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率
鉄道利用 鉄道非利用
図3.6 平日の購入品目(中額消費)
休日における,年代別の消費行動の様子を図3.7に,購入品目を図3.8にそれぞれ示す.ま た,表3.4にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,どの年代においても女性の行動回数が多い.30代以上では,
鉄道を利用した行動回数が鉄道を利用していない行動回数と比べてかなり少ない.表 3.4 よ り,消費行動の目的の大半が買い物,外食である.図 3.8 より,平日と同じく,飲食・食事 の比率が高いことがわかる.また,普段着,靴・バッグなどの購入比率が平日と比べてやや 高い.
鉄道を利用していない消費行動でも,どの年代においても女性の行動回数が多い.男性の 消費行動は,平日と比べると増えていることがわかる.表 3.4 より,消費行動の目的の大半 が買い物,外食である.図 3.8 より,平日と同じように,生鮮食料品などの食品類が多く購 入されている.
表3.4 休日の消費行動の目的(中額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 12 559 433 195 1,199 鉄道非利用 34 4,117 1153 275 5,579
0 200 400 600 800 1000
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.7 休日の消費行動(中額消費)
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率
鉄道利用 鉄道非利用
図3.8 休日の購入品目(中額消費)
3.1.3
高額消費行動
平日における,年代別の消費行動の様子を図3.9に,購入品目を図3.10にそれぞれ示す.
また,表3.5にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,どの年代においても女性の行動回数が多い.鉄道を利用し た行動と鉄道を利用していない行動の行動回数の差はあまり見られない.表 3.5 より,消費 行動の目的の大半が買い物であることがわかる.図 3.10 より,外出用・スーツ類,普段着,
靴・バッグなどが鉄道を利用していない消費行動と比べて購入比率が高いことがわかる.
鉄道を利用していない消費行動でも,どの年代においても女性の行動回数が多い.表 3.5 より,消費行動の目的の大半が買い物であることがわかる.図3.10より,飲料,弁当・パン,
生鮮食料品などの食品類,電気製品などが鉄道を利用した消費行動と比べて購入比率が高い ことがわかる.
表3.5 平日の消費行動の目的(高額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 3 236 28 12 279
鉄道非利用 1 311 15 6 333
0 20 40 60 80 100
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.9 平日の消費行動(高額消費)
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率
鉄道利用 鉄道非利用
図3.10 平日の購入品目(高額消費)
休日における,年代別の消費行動の様子を図3.11 に,購入品目を図3.12にそれぞれ示す.
また,表3.6にどのような目的で消費行動を行ったかを示す.
鉄道を利用した消費行動では,どの年代においても女性の行動回数が多い.表 3.6 より,
消費行動の目的の大半が買い物であることがわかる.図3.12より,購入品目は平日と変わら ず,外出用・スーツ類,普段着,靴・バッグなどが鉄道を利用していない消費行動と比べて 購入比率が高いことがわかる.
鉄道を利用していない消費行動でも,どの年代においても女性の行動回数が多いが,平日 と比べて,男性と女性の行動回数の差は小さくなっている.表 3.6 より,消費行動の目的の 大半が買い物であることがわかる.図3.12より,購入品目は平日と変わらず,飲料,弁当・
パン,生鮮食料品などの食品類,電気製品などが鉄道を利用した消費行動と比べて購入比率 が高い.平日と比べて,鉄道非利用者の行動回数が多いことがわかる.
表3.6 休日の消費行動の目的(高額消費)
外出目的 通勤(回) 買い物(回) 外食(回) 娯楽・観光(回) 合計(回)
鉄道利用 1 395 16 14 426
鉄道非利用 3 902 31 14 950
0 50 100 150 200
10代 20代 30代 40代 50代 60代
行動回数(回)
鉄道利用 男性 鉄道利用 女性 鉄道非利 用男性 鉄道非利 用女性
図3.11 休日の消費行動(高額消費)
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18
雑誌・書籍 新聞 たばこ アルコール飲料 非アルコール飲料 弁当・パン・惣菜 ガム・キャンデー スナック菓子 ケーキなど 生鮮食料品 その他の食品 外出用・スーツ類 普段着 子供服 下着類 靴・バッグ 雑貨 贈答用の品 化粧品・美容関連 医薬・健康食品 電気製品 CD・ビデオ ゲームソフト インテリア 生花 旅行券 チケット 飲食・食事 喫茶・軽食
購入比率 鉄道利用
鉄道非利用
図3.12 休日の消費行動(高額消費)
まとめ
消費行動の目的の違いをまとめると,低額消費行動では主に通勤,中額消費行動では主に 買い物と外食,高額消費行動では主に買い物を目的としている.中額消費行動,高額消費行 動では女性の行動回数が多い.
平日と休日の違いについてまとめると,休日において,鉄道を利用した消費行動は,鉄道 を利用していない消費行動と比べてかなり少なく,平日と比べて買い物や外食を目的とした 消費行動が増えている.
購入品目についてまとめると,低額消費行動では,飲料,弁当・パンなどの購入比率が高 い.中額消費行動では,鉄道を利用した消費行動で飲食・食事が多く,鉄道を利用していな い消費で,生鮮食料品,その他の食品の購入比率が高い.高額消費行動では,鉄道を利用し た消費行動で,外出用・スーツ類,普段着,靴・バッグなどの購入比率が高く,鉄道を利用 していない消費行動で,生鮮食料品やその他の食品,雑貨などの購入比率が高い.
3.2
定期券所有者の分析
3.2.1
定期券所有者の基本属性
定期券所有者の人数は,男性が全体の約4割の 1,987人,女性が全体の約2割の968人で ある.定期券所有者の年齢比率と職業比率を図3.13,図3.14に示す.男性は,20代,30代,
40代が全体の約7割を占めている.女性は,10代,20代,30代が全体の約8割を占めてい る.職業を見ると男性,女性ともに学生,勤め人が多くを占めていることがわかる.このこ とから,定期券所有者は主に学生,勤め人であり,40代以上で鉄道を利用して通勤をする女 性が少ないことがわかる.
0% 20% 40% 60% 80% 100%
女性 男性
10代 20代 30代 40代 50代 60代
図3.13 定期券所有者の年齢比率(男性 1,987人 女性 968人)
18.0%
60.1%
16.0%
1.5%
2.1% 0.6%1.7%
29.6%
52.1%
1.1%
0.7%
12.8%
1.9% 1.8%
男性 女性
学生 勤め人 管理職・役員 自由・自営業 パート・アル バイト 無職・主婦 その他・無回答
図3.14 定期券所有者の職業比率(男性 1,987人 女性 968人)
3.2.2
定期券所有者の特徴
次に,定期券所有者が買い物,外食,娯楽・観光を目的として鉄道を利用した外出行動に,
どのように定期券を利用しているかを調べる.買い物,外食,娯楽・観光を目的とした外出 行動において,利用した鉄道区間が定期券区間に含まれているか否かで以下の 3 つに分類す る.
定期券圏内行動 :乗車駅から降車駅までの区間が定期券区間に完全に含まれている 定期券半圏内行動:乗車駅から降車駅までの区間の一部が定期券区間に含まれている 定期券圏外行動 :乗車駅から降車駅までの区間が定期券区間に含まれていない
定期券所有者が買い物,外食,娯楽・観光を目的として鉄道を利用した外出行動回数は男 性が延べ703回,女性が延べ 731回である.買い物,外食,娯楽・観光を目的とした外出行 動に,どのように定期券が利用されているかを男性と女性で分類したものを図3.15に,年代 別で分類したものを図 3.16 に,3.1 節で定義した合計消費金額による消費行動で分類したも のを図3.17にそれぞれ示す.
50.3%
43.2%
21.1%
18.6%
28.6%
38.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
女性 男性
圏内 半圏内 圏外
図3.15 男性,女性の定期券利用行動区間の割合(男性 703回 女性 731回)
図3.15より,女性に着目すると,女性の定期券圏内行動が全体の約5割を占めており,定 期券半圏内行動も含めると全体の約 7 割が定期券を利用して買い物,外食,娯楽・観光の行 動をしていることがわかる.このことから,女性は,男性よりも定期券を利用して買い物,
外食,娯楽・観光の行動をする傾向があると考えられる.
49.2%
53.7%
46.9%
37.0%
35.7%
33.3%
20.6%
21.0%
21.0%
19.8%
21.4%
22.2%
30.2%
25.3%
32.2%
43.2%
42.9%
44.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
10代 20代 30代 40代 50代 60代
年齢
圏内 半圏内 圏外
図3.16 年代別の定期券利用行動区間の割合
図3.16より,年代別で見ると,10代,20代,30代においては,定期券圏内行動の割合が 高く,積極的に定期券を利用していることがわかる.逆に 40代,50 代,60代においては,
定期券圏外行動の割合が高く,定期券をあまり利用せずに買い物,外食,娯楽・観光の行動 をしていることがわかる.これは金銭的な余裕がある 40代以上とそうでない 30代以下の差 が表れていると考えられる.
40.2%
48.7%
56.0%
20.7%
19.3%
23.4%
39.1%
32.0%
20.6%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
高額消費行動 中額消費行動 小額消費行動
圏内 半圏内 圏外
図3.17 消費行動別の定期券利用行動区間の割合
図3.17より,消費金額が低い消費行動ほど,定期券圏内行動の割合が高く,消費金額が高 い消費行動ほど,定期券圏外行動の割合が高いことがわかる.すなわち,消費金額が低い消 費行動には,消費金額が高い消費行動に比べて,定期券が有効に利用されていると考えられ る.
3.3
一日の行動の流れの分析
外出した人を,一日の行動の中で一度でも鉄道を利用した人と一度も鉄道を利用していな い人に分類し,一日の行動の流れ(通勤→買い物→帰宅,買い物→外食→帰宅,等)が曜日 によってどのように異なるかを分析する.本節では,一日の行動の中で,鉄道を一度でも利 用した人を鉄道利用者,鉄道を一度も利用していない人を鉄道非利用者と定義する.ここで は通勤,買い物,外食,帰宅の 4 つの外出行動に着目する.ただし,通勤には,パート・ア ルバイトの通勤も含まれている.
3.3.1
曜日別の行動の流れ
鉄道利用者と鉄道非利用者について,5日(金),6日(土),7日(日),8日(月)の通勤,
買い物,外食,帰宅の行動の移り変わりの様子を図3.18,図3.19,図3.21,図3.22,図3.24, 図3.25,図3.27,図3.28に示す.行動の流れは矢印で表しており,例えば,自宅から通勤を した行動ならば自宅→通勤となる.それぞれの矢印に付加されている数字が行動の数になっ ている.鉄道利用者の行動は,鉄道を利用した行動と鉄道を利用していない行動に分類され るため,鉄道を利用した行動は黒で,鉄道を利用していない行動は青でそれぞれ表す.また,
特徴のある行動を赤い丸で示す.図3.20,図3.23,図3.26,図3.29に買い物をした人の職業
5日(金)の行動の流れ
5日鉄道利用 人数:4,216
行動:11,890 通勤
外食 買い物
5 33 10
21
55 49 1,347
73
7 24 11 32
黒 鉄道利用 青 非利用 自宅
自宅 自宅
2,450 86
77 141 100
283
274 153
339 79 156
144 36 72
通勤
外食 買い物
1,563
75 19
230 191
23
209 1,119
1,384 46
40 1,058
自宅
自宅 自宅
5日鉄道利用無し 人数: 4,372 行動:12,286
217
図 3.18 5 日(金)に鉄道を利用し た人の行動の流れ
図3.19 5日(金)に鉄道を利用し ていない人の行動の流れ
15.2%
45.7%
71.4%
44.6%
13.4%
9.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
鉄道非利用者
鉄道利用者 学生,勤め人
パー ト・アル バイト,主婦 その他
図3.20 5日(金)に買い物をした人の職業の割合
鉄道利用者の行動
5日(金)は4,216人が鉄道を利用して外出をし,延べ11,890回の行動をしている.5日(金)
は平日であるため通勤の行動数が多い.また,通勤の後に買い物,外食をし,その後帰宅す るという行動の流れを見ることができる.これは“花の金曜日”と言われるように,金曜日 の特徴が顕著に表れている.買い物をした人の職業の内訳は,約46%が学生,勤め人であり,
約45%がパート・アルバイト,主婦である.
鉄道非利用者の行動
5 日(金)は 4,372 人が鉄道を利用しないで外出をし,延べ 12,286 回の行動をしている.
行動の特徴として,通勤と買い物が多いことがあげられる.鉄道利用者の行動と比較して,
買い物の行動数が多いことがわかるが,このうちパート・アルバイト,主婦による買い物が 約71%と大半を占めている.これは主婦層の毎日の買い物が影響していると考えられる.学 生,勤め人の買い物の行動は約15%であり,鉄道を利用した人の行動と比べて約30ポイント 低い.