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静的剥離率

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Academic year: 2022

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キーワード 排水性舗装,基層混合物,耐水性,剥離抵抗性,加圧熱水,圧裂強度

連絡先 〒275-8575 千葉県習志野市泉町 1-2-1 日本大学生産工学部土木工学科 TEL047-474-2469

加圧熱水を用いたアスファルト混合物の耐水性及び剥離抵抗性に関する評価・判定について

日本大学大学院 学生員 ○宮坂 大裕 日 本 大 学 正会員 秋葉 正一 日 本 大 学 正会員 加納 陽輔

1.はじめに

近年,ポーラスアスファルト混合物を表層とする 排水性舗装は,走行安全性の向上や騒音低減効果が 期待できる高機能舗装として,高速自動車国道や一 般自動車道路に広く普及している.しかしながら,雨 水を舗装体内で排水する特性から,供用後早期に側 方流動が生じる等,従来舗装には見られない新たな 破損形態が報告されている.このように,特に排水性 舗装では,基層混合物の剥離抵抗性が舗装の供用性 を左右する可能性が考えられ,剥離抵抗性は排水性 舗装の維持管理上,重要な指標といえる.

現在,アスファルト混合物の剥離抵抗性評価試験 は,修正ロットマン試験,加圧透水式剥離促進試験

(以下,透水式試験)等の主に圧裂試験に基づく評価 が実施されている.しかしながら,これらの試験は装 置及び手順が複雑,あるいは評価に長時間を要する 等の課題があり,より簡便かつ,効率的な代替試験法 の開発が望まれている.

既報研究1)では,加圧熱水式剥離促進試験(以下,

熱水式試験)と透水式試験との相関性が認められ,熱 水式試験の剥離抵抗性評価試験としての有用性を確 認した.本研究では,熱水式試験と水浸マーシャル安 定度試験の比較から,アスファルト混合物の耐水性 及び剥離抵抗性に関する両試験結果の関係について 考察した.

2.実験概要

混合物は,主に高速道路基層に使用されている粗 粒度アスファルト混合物(20)(O.A.C.:5.2%)(以 下,配合A)と,再生骨材を40%配合した一般国道基 層に用いられる再生粗粒度アスファルト混合物(20)

(O.A.C.:4.7%)(以下,配合B)を対象とし,静的 剥離率の異なる5号,6号砕石(いずれも,静的剥離 率:10%,24%,56%)を配合して比較した.熱水式

試験では既報研究と同様にφ100×40mmの円柱供試 体を,水浸マーシャル安定度試験では,試験法に準じ てφ100×63.5±1.3㎜の供試体を用いて評価した.

なお,供試体は供用中の現場切り取り試料を想定 して,事前に熱劣化(80℃空中養生)及び剥離促進

(80℃水浸養生)を施した.ここで,熱劣化は供用 時のエージングに伴うアスファルトの熱変質を考慮 したものであり,空中養生による圧裂強度の増加傾 向が緩やかとなる48時間を養生時間とした.また,

剥離促進では供用に伴う剥離の進行を考慮し,水浸 養生による圧裂強度の減少傾向から,剥離促進前の 圧裂強度(以下,標準圧裂強度)に対する剥離促進後 の圧裂強度(以下,残留圧裂強度)の百分率(以下,

残留圧裂強度比)が80%を下回る養生時間(配合 A:120分,配合B:360分)を本試験の模擬供試体の作 製条件とした.

図-1に熱水式試験の手順を示す.

図-1 熱水式試験の手順

供試体の準備・測定(密度・空隙率など)

圧裂試験(標準圧裂強度)

25℃ 20時間(空中養生)

圧裂試験(残留圧裂強度)

25℃ 1時間(水浸養生)

・加熱工程

密閉容器に供試体を配置し,仕込み量の水を 注ぎ,試験温度110℃まで加熱する.

・剥離促進工程

試験温度に到達後,15分間保温し,

供試体内部の剥離を促進する.

・冷却工程

剥離促進終了後,排圧弁を開いて排圧し,

容器内部が常温・常圧になるまで注水して から供試体を取り出す.

加圧熱水による剥離促進(1時間程度)

・標準圧裂強度に対する残留圧裂強度の百分率から残留圧裂強度比 を求め,剥離抵抗性を定量的に評価する.

剥離抵抗性の判定・評価

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑1003‑

Ⅴ‑502

(2)

3.試験結果

粗骨材の静的剥離率と熱水式試験による残留圧裂 強度比との関係を図-2に,水浸マーシャル安定度試 験による残留安定度との関係を図-3に示す.両試験 とも静的剥離率の増加に伴う残留圧裂強度比ならび に残留安定度の低下が見られ,この傾向は特に配合 Bが大きい.また,配合A,Bともに,これらの傾向 は熱水式試験による結果に顕著である.これは,熱水 式試験では 110℃の高温下で,かつ加圧力を伴う養 生であるのに対し,水浸マーシャル安定度試験は 60℃の熱水中であるため,長時間の養生によっても 混合物の空隙に熱水が浸透せず,供試体内部の剥離 が充分に促進されていない可能性が考えられる.こ の傾向は,図-4に示す試験後の供試体破断面からも 確認でき,熱水式試験では,断面中央にもアスファル トが剥離した粗骨材が露出している.水浸マーシャ ル安定度試験では治具によって側面の拘束を受ける ため剥離が生じにくい可能性も考えられる.

図-5に熱水式試験による残留圧裂強度比と水浸マ ーシャル安定度試験による残留安定度の関係を示す.

残留圧裂強度比と残留安定度は極めて高い相関が認 められ,熱水式試験により,水浸マーシャル安定度試 験と同傾向の評価結果が得られる可能性を確認した.

4.まとめ

本研究では,熱水式試験と水浸マーシャル安定度 試験の比較からアスファルト混合物の耐水性及び剥 離抵抗性に関する両試験結果の関係を考察した.

実験結果より得られた知見を以下にとりまとめる.

・熱水式試験による残留圧裂強度比と水浸マーシャ ル安定度試験による残留安定度は,どちらも静的剥 離率の増加に伴い低下するが,この傾向は熱水式試 験による結果に顕著である.

・残留圧裂強度比と残留安定度は極めて高い相関が 認められ,熱水式試験により,水浸マーシャル安定度 試験と同傾向の耐水性及び剥離抵抗性に関する評価 結果が得られる可能性を確認した.

参考文献

1)加納陽輔,秋葉正一,鎌田孝行,菅野伸一,佐藤 克己:加圧熱水を用いたアスファルト混合物の剥 離抵抗性評価試験の開発,土木学会舗装工学論文 集,Vol.69,No.3,pp33-40,2013

2)

図-2 静的剥離率と残留圧裂強度比の関係

図-3 静的剥離率と残留安定度の関係

図-5 残留圧裂強度比と残留安定度の関係

熱水式試験

(静的剥離率:56%)

水浸マーシャル安定度試験

(静的剥離率:56%)

図-4 供試体破断面

50 60 70 80 90 100

10 24 56

残留圧裂強度比(%)

静的剥離率(%)

配合A 配合B

50 60 70 80 90 100

10 24 56

残留安定度(%)

静的剥離率(%)

配合A 配合B

y = 0.5987x + 54.049 ( r = 0.95,P<0.01 )

50 60 70 80 90 100

50 60 70 80 90 100

残留安定度(%)

残留圧裂強度比 (%)

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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