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粗骨材の実積率に支配される配合条件と締固め特性との関係

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Academic year: 2022

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(1)

粗骨材の実積率に支配される配合条件と締固め特性との関係

興建産業株式会社 ○正会員 永吉 哲郎 正会員 宇治公隆、正会員 上野敦、フェロー 國府勝郎、 正会員 梁 俊

1. はじめに

 近年、骨材資源の枯渇に伴い、様々な骨材がコンクリート用骨材として使用されつつあり、骨材の粒子特性も広範 囲に及んでいる。このような骨材を使用し、安定した品質のコンクリート構造物を構築するためには、使用骨材の特 性に応じた適切な配合や十分な締固め性を確保することが重要である。

 本研究は、室内における小型の振動台を用いた検討によって、粗骨材の実積率および配合中の細骨材率がコンク リートの締固め性に及ぼす影響を評価し、粗骨材の実積率に応じた適切な s/a を選定すること、および適切な s/a と したコンクリートの締固めに必要なエネルギー量を得ることを目的としたものである。また、大型スラブ内部の加速 度伝播特性を把握することによって、室内試験によって得られた所

定のエネルギー量を確保するための締固め条件の設定に関する検討 も行っている。

2. 実験概要 2.1 使用材料

 締固め性試験では、セメントとして普通ポルトランドセメント (密度:3.16g/cm

3

)を使用した。また、細骨材には砕砂(表乾密度:

2.64g/cm

3

)と山砂(表乾密度:2.63g/cm

3

)を質量比 9:1 で混合したものを、粗骨材には石灰砕石 2005(表乾密度:2.71 g/cm

3

)を使用した。本研究では砕石 2005 を摩砕処理し、粒子形状を 4 水準(A‑D)に変化させ、さらに粒度分布を 4 水 準(F.M.6.45、6.60、6.63 および 6.80)に変化させた。16 ケースの実積率を表 ‑1 に示す。

 大型スラブの振動伝播試験では、セメントとして普通ポルトランドセメント(密度:3.16g/cm

3

)を使用し、高炉ス ラグ系混和材(密度:2.92g/cm

3

、ブレーン:6280cm

2

/g)をセメントに 15%置換した。粗骨材および細骨材には砕石

(表乾密度:2.65g/cm

3

)および砕砂(表乾密度:2.64g/cm

3

)を使用した。

2.2 配合

 締固め性試験では、全ケースについて、W/C=50%、s/a=42% 、W=165kg 一定とした。

 また、粗骨材の実積率に応じた適切なs/aを選定するための検討は、各形状の粗骨材を粒度一定(FM6.63)で行い、

W/C=50%、s/a=42% として、スランプが 8cm となるように単位水量を決定した。この結果、粒形 A および B の場合単位 水量は 165kg、粒形 C の場合 155kg、粒形 D の場合 152kg となった。そして、各形状の粗骨材を用いた場合の s/a を 36、

38、(42)、46 および 50% の 5 水準に変化させた。これにより、同一形状の粗骨材については、

ペースト体積一定の下で細粗混合骨材の粒度が変化することとなる。

 振動伝播試験では、スランプ 5.5cm のコンクリートを用い、w=154kg、W/C=37%、s/a=43% と した。

2.3 実験装置

 締固め性試験は、図 ‑1 に示す振動台上に試料容器を固定し、約1 G で振動させた時の試料 高さの変化から、コンクリートが受けたエネルギーと変形率との関係を求めるものである。そ して、両者の関係から目標の変形率(本試験では98%)となるために必要なエネルギー(E98)を 得ることができる。

 振動伝播試験では、図 ‑2 に示すとおり、2x2x0.5m の鋼製型枠にコンクリートを投入し、振 動機から 10cm 間隔で設置した加速度計によって、コンクリートの応

答加速度を計測した。内部振動機は棒径 43mm のものを使用し、周波 数 213Hz でスラブ中央部で約 13 秒間振動させた。

図-1 締固め性試験機

偏心モータ レーザ変位計

試料

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2000mm 10@100=1000

50 0

加速度計 振動機

2000mm 10@100=1000

50 0

加速度計 振動機

50 0

加速度計 振動機

図 ‑2 大型試験体断面図 キーワード:粗骨材、振動締固め、実積率、締固めエネルギー、締固め性試験

連絡先:〒 183‑0026 東京都府中市南町 5‑38‑3 電話:042‑365‑3331 ファックス:042‑365‑3339 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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3. 結果および考察 3.1 締固め性試験 (1)粗骨材実積率の影響

 粗骨材の実積率と締固めエネルギーとの関係を図 ‑3 に示 す。実積率の増大に伴い締固めエネルギーが減少する傾向が 認められた。これは図 ‑4 に示すように、実積率の増大に伴っ てスランプが増加するためである。なお、図 ‑5 は、粒形 A‑D の4種類の粗骨材を用いて、スランプ8cmとなる単位水量を実 積率との関係で示したものである。同一スランプとするため には、粗骨材の実積率の増加に応じて、単位水量を減ずるこ とがきる。

(2)適切な s/a の検討

 s / a と締固めエネルギー

(E98)の関係を図‑6に示す。締 固めエネルギーが最小となる s/aが粗骨材の粒子形状ごとで 異なることがわかる。粗骨材 の実積率と締固めエネルギー が最小となる s/a(最適 s/a)の 関係は、図 ‑ 7のとおりとな り、粗骨材実積率の増加に伴 い、最適s/aは直線的に減少す ることがわかる。

3.2 振動伝播試験

 振動伝播試験に先立ち、対象とするコンク リートの締固めに必要なエネルギーを締固め性 試験により求めた。この結果、締固めに必要な エネルギーは、3J/L(試験時 SL=3cm 時)となっ た。

 コンクリート中の振動伝播性状を、図‑8に示 す。振動機からの距離の増大に伴い、コンク リートの応答加速度が低下する結果となった。

振動時間と締固めエネルギーの関係は図‑9のと おりであり、締固めに必要なエネルギー(3J/L) を考慮すると、十分な締固めが可能となる範囲 は、振動機から 2 0 c m  程度までと予想できる。

また、振動機からの距離が 20cm の地点では 3J/

L のエネルギーを得るために約 9 秒間の振動時間が必要となることがわかる。

4. まとめ

(1)締固め性試験によってコンクリートの締固めに必要なエネルギーを得ることができる。

(2)粗骨材の実積率の増加に伴い、締固めに必要なエネルギーが最小となる s/a(最適 s/a)は減少する。

(3)コンクリート中の振動伝播性状に基づき、締固めに必要なエネルギーから振動機挿入間隔や締固め時間等の締固 め条件を設定することができる。

0 1 2 3 4 5 6 7 8

34 36 3 8 40 4 2 44 46 48 50 52

s/a(%)

E98(J/L)

A粒 形 B粒 形 C粒 形 D 粒 形

図 ‑6 s/a と E98  図 ‑3 実積率と E98

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図 ‑4 実積率とスランプ

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図 ‑7 最適 s/a と実積率

36 37 38 39 40 41 42 43 44

60 61 62 63 64 65

実積率(%)

s/a(%)

F . M . 6 . 6 3

㪈 㪌 㪇 㪈 㪌 㪉 㪈 㪌 㪋 㪈 㪌 㪍 㪈 㪌 㪏 㪈 㪍 㪇 㪈 㪍 㪉 㪈 㪍 㪋 㪈 㪍 㪍

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図 ‑5 実積率と単位水量 SL=8cm

図 ‑9 E98 と振動時間

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10cm 20cm

30cm 40cm

図 ‑8 応答加速度と距離

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㪈㩿⑽㪀 㪈㪇 㪈㪋 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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