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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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(1)

早稲田大学大学院理工学研究科

博 士 論 文 概 要

論 文 題 目

A study on the set of stationary solutions for the Gray-Scott model

(Gray-Scottモデルにおける定常解集合の研究)

申 請 者

佐藤 典弘

Norihiro Sato

氏 名

数理科学専攻 非線形偏微分方程式研究 専攻・研究指導

(課程内のみ)

2006 年 12 月

(2)

本論文においては, 開放系の自己触媒化学反応を記述するGray-Scottモデル

Ut=DUU −k1UV2+kf(U0 −U) in Ω×(0,∞), Vt =DVV +k1UV2−k2V in Ω×(0,∞),

を考察する. ここで, DUDV は各々の化学物質の拡散係数を表し, k1, k2,kf, U0は正定 数である. U(x, t)とV(x, t)は, 場所x∈ Ω, 時刻t >0におけるそれぞれの化学物質の濃 度を記述する. また, 領域Ωは滑らかな境界Ωを持つRN(N 1)内の有界領域, または 全空間RNであるとする.

 本論文では,主にGray-Scottモデルに関連する以下の定常問題を扱う.

DUU −k1UV2+kf(U0−U) = 0 in Ω, DVV +k1UV2−k2V = 0 in Ω.

この問題に対し,いろいろな人が様々な観点で取り組んでいるが, 本論文は, A. 有界領域における局所分岐問題

B. 全空間におけるホモクリニック解の存在・非存在問題

C. 一般化された定常問題に対するヘテロクリニック解の安定性

の3つの問題に焦点を当てた研究である. 本論文は, 全4章から成り立ち,最初の2章は主 に領域Ωが有界領域である場合の定常問題,後半の2章は全空間の定常問題を扱う.

第1章では、拡散係数DU =DV = 0とおき, 次の常微分方程式

Ut=−k1UV2+kf(U0−U) in (0,∞), Vt =k1UV2 −k2V in (0,∞),

を議論する. 特に,この方程式の時間大域解の存在, 定常解の安定性, 漸近挙動, 更に時間 周期解の分岐について考察する. パラメータλを

λ= k1kfU02

k22 , (1)

とおくと, λ < 4の時は, すべての初期値(U0, V0)に対し大域解(U(t), V(t))が存在し, そ の漸近挙動は,

t→∞lim(U(t), V(t)) = (1,0),

のように,単純な挙動を示す. しかし,λ >4の時はそれに比べて解の振る舞いは複雑になる.

(1,0)以外の定常解が2個登場し,安定性は,常に(1,0)が安定であり λ+

λ2−4λ

,λ−λ22−4λ は不安定であるが,

λ− λ2−4λ

,λ+λ22−4λ

は安定から不安定に変わり, その変わり目で時 間周期解が分岐するHopf分岐と呼ばれている現象も起こる.

第2章では、有界領域Ω⊂RN(N 1)において

(SP1)





u−uv2+λ(1−u) = 0 in Ω, γv+uv2−v = 0 in Ω,

∂n∂u = ∂v∂n = 0 on . 1

(3)

を満たす定常解の集合を調べる. ただし, ∂n は法線方向微分であり, パラメータλは, (1) で定義した値,

γ = k2DV

k1U02DU, (2)

である. 定常問題(SP1)に対し, McGoughらのグループにより, λ >4かつ領域Ωが二次 元の長方形領域の場合に, 定数定常解

λ− λ2−4λ

,λ+λ22−4λ

から非自明な解が分岐するこ とが示されている. しかし, 分岐の方向性や分岐解の安定性は未解決のままである.

本章では,この局所分岐問題に対し, Crandall-Rabinowitz(1971,1973)の分岐理論を用い て分岐の方向性や安定性に対する特徴付けを行う. 更に, 任意にλ >0を固定した時にγ が十分大きければ非自明な解が存在しないことも示される. ここで示された非存在と分岐 の方向性の結果を組み合わせれば,定数定常解

λ− λ2−4λ

,λ+λ22−4λ

が安定から不安定に 変わる分岐点から伸びる分岐曲線はturning pointを持ち, 解の多重性が現れることが予 想される.

第3章では、領域Ω =Rにおける以下の定常問題

(SP2)





u−uv2+λ(1−u) = 0 x R, γv+uv2−v = 0 x R, limx→±∞(u, v) = (1,0).

を扱う. ただし,λγは(1)と(2)で定義されたパラメータである. (SP2)を満たす非自明 な解は, 一般にホモクリニック解と呼ばれている. Hale達により, 0 < γ < 29かつ|λγ 1| が小さいという条件下でホモクリニック解が構成されている. しかし, λγが1に近くない

時に(SP2)の解集合がどのようになっているかは未解決な問題として残されていた.

本章では,ホモクリニック解の非存在に関するパラメータλγの十分条件を与えてい る. すなわち,

定理 1. X =λγ とする. そのとき, γのみに依存するある正定数C(γ)が存在して, X C(γ)ならば, (SP2)の非自明な解は存在しない.

次の図は, X−γ平面において, ホモクリニック解の存在と非存在の領域を図示したも のである. 薄い灰色の領域は, Haleのグループが解明したホモクリニック解が一意に存在 する領域である. また, 濃い灰色の領域は, 本章で示された非存在に関する領域である.

: existence region ; nonexistence region 1/4

1

0 γ

2/9 X

γ*

X=4γ

X=4(1‑4γ)/(1+4γ‑16γ2)2

(4)

定理1の意味を上記の図で説明する. γγ < γ < 29を固定し, λγ1 から小さい方に 動かしていくと, 途中で存在から非存在の領域に入ることがわかる. Hale達と申請者の結 果を組み合わせることにより, 解構造が突然変わる特異点の存在が示される.

また, Hale達は,λγ = 1のときに(SP2)が単独の方程式に帰着できるという事実を使っ ているが, λγ = 1の時は,本質的にシステムの問題を扱わなければならない. 本章では,最 大値原理をベースにした単純な方法を開発し, 部分的にではあるが, その困難な点を克服 している.

第4章では, 一次元全空間における一般化された以下の定常問題

(SP3)





u−uvα+λ(1−u) = 0, x∈R,

γv+uvα−v = 0, x∈R,

(u, v)(−∞) = (1,0) (u, v)(+) =

1λ1V+, V+ , を考える. ただし,V+は, 次の方程式

Vα−λVα−1+λ = 0,

の最大の解である. また, α >1は定数であり, λγは(1)と(2)で定義したパラメータ

λ > 4を満たす. この境界値問題を満たす解は、通常ヘテロクリニック解と呼ばれる.

Haleのグループは, λγ = 1かつγγ(α)(αのみに依存する正定数)の時に, 単調なヘテロ クリニック解を構成した. 更に,

d= DV

DU

とおくと, d= 1かつα = 2ならば,そのヘテロクリニック解が線形化の意味で安定である ことを示した. 本章では, α >1のときの安定性について調べ,次の定理を示している.

定理 2. λγ =d= 1, γ =γ(α), およびα >1とする. そのとき, (SP3)を満たすヘテロク リニック解は線形化安定である.

安定性を調べる線形化スペクトル問題は,本質的スペクトルと孤立固有値の範囲を決定 する問題に帰着される. 本章では, 本質的スペクトルをHenry(1981)の理論により範囲を 定めている. また, 孤立固有値に関しては, 不安定な固有値と対応する固有関数φが存在 すると仮定し背理法を用いて証明を行っている. すなわち, 固有関数φと固有値0に対す る固有関数との零点を比較し, 矛盾を導く手法で問題を解決している.

3

(5)

5

研 究 業 績

種 類 別 題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む)

論文

招待講演

学会講演

一般講演

“ S o m e n o n e x i s t e n c e r e s u l t s o f s t a t i o n a r y s o l u t i o n f o r t h e G r a y - S c o t t m o d e l ” , N o n l i n e a r A n a l y s i s , T h e o r y, M e t h o d s &

A p p l i c a t i o n s , Vo l . 6 5 , N o . 8 ( 2 0 0 6 ) , p p . 1 6 4 4 - 1 6 5 3 , N . S a t o .

“ A n o t e o n t h e s t a b i l i t y f o r t h e G r a y - S c o t t m o d e l ” , A d v a n c e s i n M a t h e m a t i c a l S c i e n c e s a n d A p p l i c a t i o n s , Vo l . 1 2 , N o . 2 ( 2 0 0 2 ) , p p . 7 8 5 - 7 9 0 . N . S a t o .

“ S o m e s t a t i o n a r y p r o b l e m f o r t h e G r a y - S c o t t m o d e l ” , Wo r k s h o p o n M a t h e m a t i c a l a n d N u m e r i c a l A n a l y s i s o f N o n l i n e a r P h e n o m e n a , To k y o M e t r o p o l i t a n U n i v e r s i t y, F e b r u a r y, 2 0 0 5 . N . S a t o .

“有 界 領 域 に お け るG r a y - S c o t tモ デ ル の 定 常 解 構 造’’ , 日 本 数 学 会 秋 季 総 合 分 科 会, 大 阪 市 立 大 学, 2 0 0 6 年 9 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 解 に つ い て” , 日 本 数 学 会 年 会, 日 本

大 学, 2 0 0 5 年 3 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 問 題 に つ い て’’ , 第 3 回 生 物 数 学 の 理

論 と そ の 応 用, 京 都 大 学 数 理 解 析 研 究 所, 2 0 0 6 年 1 2 月, 佐 藤 典 弘.

“有 界 領 域 に お け るG r a y - S c o t tモ デ ル の 定 常 問 題’’ , 第 3 2 回 発 展 方 程 式 研 究 会, 中 央 大 学, 2 0 0 6 年 9 月, 佐 藤 典 弘.

“有 界 領 域 に お け るG r a y - S c o t tモ デ ル の 定 常 解 構 造 に つ い て’’ , 第 2 8 回 発 展 方 程 式 若 手 セ ミ ナ ー, 六 甲 山Y M C A , 2 0 0 6 年 8 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 解 に つ い て” , 第 1 3 回 応 用 解 析 シ ン ポ

ジ ウ ム, 熱 海, 2 0 0 6 年 2 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 解 に つ い て” , 第 3 0 回 発 展 方 程 式 研 究

会, 中 央 大 学, 2 0 0 4 年 1 2 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 解 に つ い て” , 第 2 6 回 発 展 方 程 式 若 手

セ ミ ナ ー, 国 民 年 金 健 康 保 養 セ ン タ ー お く た ま 路, 2 0 0 4 年 8 月, 佐 藤 典 弘.

(6)

6

研 究 業 績

種 類 別 題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む)

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 進 行 波 解 に つ い て” , 第 2 5 回 発 展 方 程 式 若

手 セ ミ ナ ー, 大 宰 府, 2 0 0 3 年 8 月, 佐 藤 典 弘.

“ G r a y - S c o t tモ デ ル に お け る 定 常 解 と 安 定 性 に つ い て” , 第 2 4 回 発 展 方

程 式 若 手 セ ミ ナ ー, 近 畿 大 学, 2 0 0 2 年 8 月, 佐 藤 典 弘.

(7)

7

研 究 業 績

種 類 別 題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む)

参照

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