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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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(1)

早稲田大学大学院理工学研究科

博  士  論  文  概  要

論   文   題   目

Structure of solutions for some nonlinear elliptic problems in unbounded domains

(非有界領域における非線形楕円型方程式の 解構造について)

申    請    者

     

大屋       博一     Hirokazu Ohya 氏    名

数理科学専攻      非線型偏微分方程式研究 専攻・研究指導

(課程内のみ)

2004 年     12 月

(2)

非線形楕円型方程式の研究においては, 方程式の拡散項, 反応項や, 考察する領域に対 して様々な状況の下で多く解析がなされています. 特に変分法を用いて方程式を解析する 場合, 方程式に付随するエネルギー汎関数を導入し, その汎関数に応じた関数空間を用い て議論を進めることが一般的な手法であります. 考察する領域が有界領域の場合, 対応す る関数空間が埋め込みに関して有益な情報を持つために様々な状況において方程式を解析 することが出来る,ということが知られています. しかしながら, 領域が非有界の場合, エ ネルギー汎関数の解析にあたり可積分性や関数空間の埋め込みの議論から係数関数が無 限遠方で減衰する場合や, 解を球対称に限定した場合の議論が主になされています. そう いった意味で方程式に非有界な係数を含む場合は解析が非常に難しくなり,あまり研究が 進められていないのが現状であります.

本論文では次の無限遠方で非有界な係数を含む非線形楕円型方程式



div(c(x)|∇u(x)|p−2∇u(x)) =g(λ, x, u(x)) in Ω, u= 0 onΩ, u0,

c(x)|∇u(x)|pdx <+ (P)

の解構造について考察をします. 空間次元はN 1とし, p > 1とします. ΩはRN 上の 境界が十分滑らかな領域とし,特に非有界領域を考察対象とします. 左辺の微分作用素に ついてはc(x)∈C1(Ω)としc(x)≡1の場合を扱います. c(x)≡1の場合, p-ラプラシアン と呼ばれる作用素pu=div(|∇u(x)|p−2∇u(x))に対応しています. p-ラプラシアンは 多孔媒質や数理生態学などでの拡散を記述する非線形拡散項に対応しています. 今回の考 察対象となる方程式(P)の微分作用素は, モデルの立場から見ると領域ΩRN において 空間的に非一様な非線形拡散を表す作用素であり,また数学的な立場から見るとp-ラプラ シアンを一般化した作用素に対応しています. 右辺の反応項g(λ, x, u)についてはλをパ ラメータとし,各x∈Ωにおいてuに関し連続とします. Ω RNの場合,ディリクレ境界 条件u(x) = 0 on∂Ωを課しますが, Ω =RNの場合には境界条件は不要となります. 本論 文においては方程式(P)における定符号解の存在, 及びパラメータλと対応する定符号解 uλにおける解構造の関係を考察します.

まず第1章では方程式(P)を考察する背景,得られた結果,既存の結果との対応, そして 方程式を考察するための記号の導入などをします.

第2章と第3章において重みつきソボレフ空間の埋め込みに関する性質を議論します.

これらの章ではc(x) = epθ(x)の場合を考察対象とします. 章の始めに重みつきソボレフ空 間W1,p(θ,Ω)をノルム

u1,p,θ,Ω:=

epθ(x)|∇u(x)|pdx 1/p

としてC01(Ω)のノルム · 1,p,θ,Ωでの閉包として定義します. この関数空間はc(x) =epθ(x)

(3)

として方程式(P)に対するエネルギー汎関数I(u)

I(u) := 1 p

epθ(x)|∇u(x)|pdx−

u(x)

0

g(λ, x, s)ds dx

の第1項から自然に導出される関数空間です. また重みつきルベーグ空間としてLq(θ,Ω) :=

{u, eθ(x)u Lq(Ω)}を導入します. また, W1,p(θ) := W1,p(θ,RN), Lq(θ) := Lq(θ,RN)と 表記します.

まずはじめに第2章では重みつきソボレフ空間の埋め込みW1,p(θ) Lq(θ)の性質を 調べます. 既存の研究としてp = 2の場合はEscobedo-Kavian(’88)によりθ(x)が無限 遠方で|x|2のように速く発散する関数に対し埋め込みW1,2(θ) L2(θ) の連続性, 及び コンパクト性が指摘されています. これは無限遠方で指数関数程度の速い発散を表す係 数関数を重みに持つことから, この関数空間の元は無限遠方で速い減衰を持ち, そのこ とがこの関数がコンパクトサポートを持つものとみなせることに由来します. この章で は一般のp (1,) に対して埋め込みW1,p(θ) Lq(θ)がq < p := N p/(N −p)に おいて連続であること, さらにq < p においてコンパクトであることを示しています.

p = N p/(N −p)はソボレフの臨界指数と呼ばれ, 埋め込みの議論をする上でそのボー

ダーラインの役割を果たしている指数です. さらに高階微分に対応する重みつきソボレフ 空間Wm,p(θ) := {u Lp(θ)|Dmu ∈Lp(θ), u = 0 on ∂Ω}に対する埋め込み連続性, 及び コンパクト性を示しています.

第3章では第2章で議論した埋め込みにおいてコンパクト性が破れる場合を考察してい ます. 関数空間の埋め込みに対しては領域の非有界性や, べきの指数pの特徴から平行移 動や拡大縮小変換に関する不変群が働くために埋め込みコンパクト性が成立しない場合が あります. 一般的に, 埋め込みコンパクト性が,コンパクトサポート上, あるいは無限遠方 でどのように破れているか,その破れの様子をカバーするアイディアとしてConcentration

Compactness Principleという原理が提唱されています. この章では一般の非有界領域

RN に対し, 重みつきソボレフ空間の埋め込みW1,p(θ,Ω) Lp(θ,Ω)のコンパクト 性の破れの様子を, コンパクトサポート上では測度を用いて, 無限遠方においては積分量 を用いて説明します.

第4章では方程式(P)に対する解の存在に関する議論を進めています. この章を通して 係数関数cc(x) =epθ(x)とし,反応項はg(λ, x, u) =epθ(x)(λa(x)|u|p−2+K(x)f(u))とし て議論を進めます. λ Rをパラメータとし, a(x), K(x)∈ L1loc(Ω)を非負値関数, fu に関し連続とします. ここでは上記の反応項を持つ方程式に対するエネルギー汎関数

Iθ(u) := 1 p

epθ(x)(|∇u(x)|p−λa(x)|u(x)|p)dx

u(x)

0

epθ(x)K(x)f(v)dvdx

(4)

の臨界点を変分法を用いて考察します. 第4章の前半ではa(x)≡ 1, Ω =RN として連続 関数f の無限遠方でのuに関する増大度がpよりも真に小さい場合の解の存在証明を行 います. 反応項の増大度の性質から第2章の前半で議論した埋め込みの連続性やコンパク ト性を利用することが出来, Dinca-Jebelean-Mawhin(’95)により議論された方法により解 の存在を示しています. 章の後半では前半で議論の対象外となった臨界指数をべきに持つ 場合(f(u) =|u|p−2uの場合)の解の存在を証明しています. エネルギー汎関数における エネルギーレベルがある特定の値より低い時に方程式(P)の解が存在することを示し, エ ネルギーレベルを解析する方法としてはTalentiのminimizerを代入することにより対処 しています.

第5章では解の多重性に関する議論を進めています. この章では次のような半線型楕円 型方程式 

div(c(x)∇u(x)) =λm(x)u(x)q+K(x)u(x)p in RN, u(x)≡0,

RN

c(x)|∇u(x)|2dx <+ (CC)

の定符号解の多重性を議論しています. ここでλは正のパラメータとし,指数0< q <1< p とします. c(x) Cloc2 (RN)は正値関数, m(x), K(x) L1loc(RN)は非負値関数とします.

方程式(CC)は方程式(P)においてp= 2とし, 反応項に劣線型項と優線型項を同時に含 む場合に対応していますが,この章では第4章までのようなc(x)が指数関数であるという 制約は課さず,より一般的な係数関数として取り扱います.

第5章の前半部において, 方程式(CC)と次のようなSchr¨odingerタイプの方程式



∆v(x) +Q(x)v(x) =λm(x)v(x)q+K(x)v(x)p in RN, v(x)≡0,

RN

Q(x)|v(x)|2dx <∞ (S)

との関係について議論を進めています. 方程式(CC)に対し変数変換v =a1/2(x)uを施す ことにより方程式(S)の形に帰着され,これらの方程式の同値性を示します. また, 方程式 (CC)と(S)のそれぞれから導出される重みつきソボレフ空間の埋め込みに関する関係を 議論しています. また, 第3章で議論したConcentration Compactness Principleの概念を をこれらの関数空間に応用します.

第5章の後半では解の多重性の議論を進めています. 方程式(CC)に対応するエネル ギー汎関数を考察するにあたり, この章の前半で議論した重みつきソボレフ空間の埋め込 みに関する性質を利用してλ >0が十分小さい場合に方程式(CC)に対する多重性を示し ます. 具体的にはIλ(u1)<0なる安定な解u1Iλ(u2)>0なる不安定な解u2の存在を最 小化法と峠の補題を用いて示しています. そういった議論を進めることにより方程式(CC) の解の多重性の議論においてλに関する十分条件を得ることが出来ます.

(5)

 

5    

研 究 業 績

             

 

論文                    国際会議 

講演          学会講演 

                          講演 

 

[1] H.Ohya; “Existence results for some quasilinear elliptic equations  involving critical Sobolev exponents”,  

to appear in Advances in Differential Equations. 

 

[2]  H.Ohya;  “Exponentially  decaying  solutions  for  some  quasilinear  elliptic equations in RN”, 

Advances  in  Mathematical  Sciences  and  Applications.  Vol.  13  (2003)  287-299. 

   

[1] H.Asakawa, H.Ohya;“Multiple positive solutions for some semilinear  elliptic equations with concave-convex nonlinearity”, 

Fifth  International  Conference  on  Dynamical  Systems  and  Differential  Equations,  

California State Polytechnic University, Pomona. June 2004. 

 

[1] 大屋博一;“ある2点境界値問題における正値解の多重性について”,     日本数学会総合分科会, 北海道大学, 2004 年 9 月. 

 

[2] 大屋博一;“ある半線形楕円型方程式における指数減衰する正値解の多重 性について”, 

日本数学会年会,筑波大学,2004 年 3 月. 

 

[3] 大屋博一;“臨界指数を持つある準線形楕円型方程式について”,  日本数学会年会, 東京大学,2003 年 3 月. 

 

[4] 大屋博一;“勾配項を持つ半線形楕円型方程式の球対称解集合の解析”,  日本数学会総合分科会,九州大学,2001 年 10 月. 

   

  [1] 大屋博一;“ある半線型楕円型方程式における正値解の多重性について”,   第 26 回発展方程式若手セミナー, 国民年金健康保養センターおくたま路, 

2004 年 8 月. 

 

[2] 大屋博一;“ある半線型楕円型方程式における正値解の多重性について”, 変分問題セミナー, 東京都立大学, 2004 年 6 月. 

       

(6)

 

6      

[3]  大 屋 博 一 ;“Multiplicity  results  for  some  semilinear  elliptic  equations with concave-convex nonlinearity”, 

応用解析研究会,湯河原,2004 年 3 月. 

 

[4]  大 屋 博 一 ;“Multiplicity  of  rapidly  decaying  solutions  for  some  semilinear elliptic equations with concave-convex nonlinearity”,  振動理論ワークショップ,愛媛大学,2004 年 2 月. 

 

[5] 大屋博一;“勾配項を含む半線形楕円型方程式における指数減衰する正値 解の多重性について”, 

第 29 回発展方程式研究集会,中央大学,2003 年 12 月. 

 

[6] 大屋博一;“非有界領域におけるある準線型楕円型方程式について”,   第 25 回発展方程式若手セミナー,太宰府,2003 年 8 月. 

 

[7] 大屋博一;“非有界領域におけるある準線型楕円型方程式の解構造につい て” , 

変分問題セミナー,東京都立大学,2003 年 7 月. 

 

[8] 大屋博一;“Existence results for some quasilinear elliptic equations  in an unbounded domain” , 

「変分問題とその周辺」研究集会,京都大学,2003 年 6 月. 

 

[9] 大屋博一;“Existence results for some quasilinear elliptic equations  involoving critical Sobolev exponents” , 

第 10 回応用解析研究会シンポジウム,箱根湯本,2003 年 3 月. 

 

[10] 大屋博一;“Existence results for some quasilinear elliptic equations  involoving critical Sobolev exponents”, 

第 28 回発展方程式研究会,中央大学,2002 年 12 月. 

 

[11] 大屋博一;“Keller-Segelモデルの関連する半線形楕円型方程式の正値解 について”, 

第 23 回発展方程式若手セミナー,松山,2001 年 8 月. 

 

[12]  大屋博一;“Keller-Segelモデルに関連する半線形楕円型方程式の解 析”, 

第 8 回応用解析研究会,湯河原,2001 年 2 月. 

       

参照

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