• 検索結果がありません。

博士(工学)杉野目 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)杉野目 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)杉野目 学位論文題名

ニ 亡 ! ニ

― 早 ・

      A STUDY ON THE DEFLECTION ‑ CONTROLLED DESIGN OF REINFORCED CONCRETE FLOOR SYSTEMS UNDER SERVICE LOADING

( 使 用 荷重 下 に お け る 鉄 筋 コ ン ク リ ート 床構 造の た わ み 制 御 設計に 関す る研 究)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  近 年 , 諸 外 国の 鉄 筋 コ ンクリ ート( 以下,RCと略 記)構 造計算 規準で は, 材料の 品質・ 施工 精度・ 荷重 の不確 実さな どの統 計デ ータに 基づき ,構造 物の安 全性 と使用 性を保証しようとする 限 界 状 態 設 計 法 が 在 来 の 許 容 応 力 度 法 に 代 わ る も の と し て 採 用 さ れ て い る 。   RC床 構 造の た わ み 制 御は ,たわ み,ひ び割 れ,有 感振動 等によ る同構 造の 使用性 障害に 対す る対策 を中 心とす る重要 な使用 限界 状態設 計課題 であり ,主題 をな す床構 造変形の様態と機構は きわめ て複 雑であ る。こ のよう な課題を解決するためには,構造解析を柱とし,構造実験デ一夕,

実在床 構造 挙動の 実測デ ータを 併用 するほ か,施 工法, 施工精 度の 実態, コンクリートの時間依 存性な ど多 岐にわ たる付 帯要件 を勘 案する 必要が ある。

  しか しわが 国でfま,構造の長期挙動性状研究用の資料の内,特に材料特性等の系統的な基礎デー タ の多 く は 国 外 文献 に 依 存し, 長期 構造挙 動調査 も報告 例が 限られ ,RC床構 造の 使用性 を確保 す るた め の 諸 条 件を 充 足 させ得 る公 知の設 計方法 も十分 整っ ている とは言 えない ようで ある 。   本 論 文 は , この よ う な 状 況の 改 善 に 資 する た め, 上記設 計課題 の基 礎とな る(1)文献お よび 海 外 主 要 規 準 の 通 察 ,(2)床 た わ み 問 題に 関 す る 実 態把 握 ,(3)信 頼 性 の 高 いた わ み 予 測 計 算 法の提 案,(4)使用 障害 の生じ ナょい たわみ 限度と たわ みの検 討を要 しない 床構 造部材 寸法の 明 確化 ,(5)施工 精 度 , 積 載荷 重 等 の 統 計デ ー タの 整備 とその 分析な どを目 的と して行 った文 献 照 査 , 実 測 調 査 を 含 む 多 角 的 な 構 造 学 的 検 討 結 果 を 纏 め た も の で あ る 。   本 論 文 は 全5章 か ら 構 成 さ れ て お り , 各 章 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る 。   第1章 では, 主題に 関す る内外 の関連 文献を 通察し ,そ の結果 を参照 して本 研究 の諸目 的を具 体化し ,本 研究分 野にお ける発 展経 緯の概 況把握 を行っ ている 。

(2)

  第2章 では , あ る 大 規模 なRC事 務所 建 築 の 全 使用 期 間 に わ たる 床 た わ み 障害 に 関 す る 長 期 挙 動性状 調査結 果の詳 細を 掲げ, スラブ 厚仮定 や, スラブ の端部 上ば鉄 筋挿入 位置の誤差といっ た 施工状 態との 関連も 看取 した障 害たわ み防止 設計 要目を 含め, たわみ ,ひび 割れ,振動等が複 合 した様 相を呈 する床 構造 使用性 障害の 全容を 例示 したほ か,設 計・施 工上の 参考資料として障 害 スラブ の過半 数に対 して 行った 補修・ 補強工 事の 持続効 果に関 する調 査結果 を併示している。

  こ れらの 調査 は,大 規模で スレン ダーな 床構 造に見 られる 使用性 障害 の同時 多発性と,補修補 強 の難し さを明 らかに した もので あり, 床スラ ブの たわみ の経年 変化, 施工精 度,材料性状など に っいて の実沮lJ結果 は,当 該問題 に対する時間的空間的制約を伴う実験的アプ口ーチのきわめて 難 し い こ と か ら , 次 章 以 下 の 論 究 に 現 実 的 論 拠 を 与 え る 重 要 な 資 料 と な っ て い る 。   第3章 では, 主に, 梁ま たは一 方向ス ラブに よる実 験結 果を基に導かれた既往のたわみ計算方式 を ,二方 向スラ ブ,小 梁付 きスラ ブ,およびこれらがラーメン架構に組み込まれた床構造へ適用し よ うとす る,基 本的に は有 限差法 による弾性たわみ解析法を応用したニっの方法を提示している。

  第I法 は ,ACI系 諸 規 準 の たわ み計 算法の 各種実 働概念 をなる べく 忠実に 定式化 したも ので ,

@ 曲 げ ひ び割 れ 発 生 をD.E.Bransonの有 効 剛 性 式 で評 価し, @部材 全体ま たは部 材の 区分領 域 ご と の平 均剛性 を用 いて初 期たわ みを求 め,◎ クリ ープた わみに はACI法の長 期た わみ乗 数,

@ 収縮た わみに は同じ くBransonの当 該曲 率の実 験式を 用いた 。

  第 皿 法は , 第I法 の改 良 法 で , @差 分 分 割 各 節点 の 有 効 剛 性をBranson式 で評価 し,◎ 梁ま た は床ス ラブの スパン 方向 の曲げ 剛性が一様でナょい変断面部材としての初期たわみを求め,コン ク リート のクリ ープと 収縮 による 曲率増 大を見 掛け 上のヤ ング係 数低下 と見な し,その長期たわ み は,◎ クリー プのみ を考 慮する 通常の 有効ヤ ング 係数比 法と, @クリ ープ・ 収縮同時考慮用の Yu―Winterの実 験式 を用い た有効 ヤング 係数比 法に よった 。

RC粱 あ るい は 両 端 が 単純 支 持 の 一 方向 床 ス ラ ブ に関 す る 既 往 の 長期 載 荷 実験 によ る適合 性の 検 討では ,両法 共,た わみ 予測値 と実測 値の近 似度 は梁が 比較的 良好で あるの に対して,固定ス ラ ブでは 過小評 価する 傾向 が見ら れるこ とから ,ス ラブの 端部上 ば鉄筋 定着部 の伸びがたわみに 及 ぼす影 響を検 討した 小森 ,小柳 らの実 験結果 に着 目して 筆者は ,同影 響量を ,スラブ端部の強 制 回転変 形とし て処理 する 新たな 提案を 行い, スラ ブにっ いても 近似度 の高い 予測値の得られる こ と を 示 す 内 外 の 実 験 結 果 や 実 在 建 物 に お け る 調 査 デ 一 夕 と の 比 較 を 行 っ て い る 。   第4章 では , 主 に 第 矼法 を 用 い て 行っ たRC床 構造 部 材 に 関 する 種 々 の パ ラメ ー 夕 解 析 の 結 果 を整理 し,た わみ制 御に 有効な 具体的 提案を 行っ ている 。

  す な わち ,RC床構 造 部 材 の 長期た わみを 簡便 に推定 できる ように ,弾 性たわ みを基 準とし た

228

(3)

長期 た わ み 倍 率の 概 略 値 が梁で3〜8倍 ,平均 約5倍,ス ラブで7〜  13倍, 平均約10倍とな るこ とを示 し,同 比率を 材丈 スパン 比の関 数で表 した 。また ,海外 の主要 規準, 文献等を分忻して,

梁と ス ラ ブ の 許容 た わ み 勾 配 の限 度 を , そ れぞ れ 基 準 ス パン の1/500,1/350に設 定し, これ を基に たわみ の検討 を要 しない 断面寸 法の限 度を 明示し ている 。

  第5章で は, 床たわ み制御 設計の 要目 である 許容た わみと 長期た わみ 算定用 積載荷 重が海 外の 諸規準 ,研究 報告等 では どのよ うな値 となっ てい るかを 整理し たのち ,きわ めて使用状況が過密 で,床 の一部 に使用 障害 も見ら れる比 較的大 規模 な多層 事務所 建築床 構造の 総合的実測調査結果 を種々 分析し て,積 載荷 重の実 態を明 らかに して 前章に おける 計算用 諸仮定 値の妥当性を検討し ている 。また ,当該 実測 調査に おける 床スラ ブた わみの 異同が ,主と して施 工誤差の違いによる ことを 解析的 に明ら かに し,床 スラブ の長期 たわ みの変 動要因 と考え られる 規準スラブ厚規定の 変遷, 施工誤 差,材 料性 状,施 工荷重 ,積載 荷重 ,環境 条件等 の影響 を検討 するためのパラメ一 夕解析 を行い ,スラ ブ厚 規定と 施工誤 差の影 響が 特に顕 著であ り,た わみが 使用限界を越えるよ うな場 合には ,スラ ブ厚 と端部 上ば鉄 筋有効 性の マイナ ス誤差 が支配 的影響 要因となることを明 らかに した。

  お わ り に , 本 論 文 の 総 括 と 結 語 を 掲 げ , 今 後 の 研 究 課 題 に っ い て 述 べ て い る 。   以 上 の よ うに , 本 論 文は ,複合 要因 からな るRC床構 造の 長期た わみ予 測計算 法を提 示し て,

同構造 のたわ み制御 設計 に有用 な多く の基礎 資料 を整備 し,実 験と調 査デ一 夕を主たる論拠とし て改 訂 さ れ た 日本 建 築 学 会RC規準 の床 構造関 連規定 の妥当 性と安 全性 を確認 したも のであ る。

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    井 野    智 副 査    教 授    柴 田 拓 二 副 査    教 授    小 幡    守 副査    教授    角田輿史雄 副 査    教 授    内 山 武 司

  鉄 筋 コン ク リ ー ト (以下 ,RCと略 記) 床構造 のたわ みは, 多岐 にわた る影響 要因に よって 長 期 的に伸 展し, しばし ば過 大なひび割れや有感振動をともな.う使用性の障害をもたらすことが知

(4)

られ ている 。建築 構造 材料の 高強度 化が進 み, 空間利 用の自 由度を 高める ため に構造スパンを大 きく しよう とする 傾向 が著し い現状 では,使用状態における床たわみの制御が設計上重要となる。

  本論 文 は , こ れま で 十 分 に 体系 化 さ れ て い なか っ たRC建 築 床 構 造 の たわ み制 御設計 法に関 する 提案を 行った もの で,成 果は以 下のと おり である 。

  第1章 では ,主題 に関 する内 外の関 連文献 を通 察し, 本研究 分野に おける 発展 経緯の 概況を 把 握し ,本研 究の諸 目的 を具体 化して いる。

  第2章 で は , あ る大 規 模 なRC事 務 所 建 築 の全 使 用 期 間 にわ た る 床 構 造 の使 用 性 障 害 の全 容 と, 設計・ 施工上 の参 考資料 として 障害ス ラブ の過半 数に対 して行 った補 修・ 補強工事の持続効 果に 関する 調査結 果と を併示 してい る。こ れら の調査 は,大 規模で スレン ダー な床構造に見られ る使 用性障 害の同 時多 発性と ,補修 補強の 難し さを明 らかに したも のであ り, 床スラブのたわみ の経 年変化 ,施工 精度 ,材料 性状な どにっ いて の実測 結果は ,当該 問題に 対す る時間的空間的制 約を 伴う実 験的ア プロ ーチの きわめ て難し いこ とから ,次章 以下の 論究に 現実 的論拠を与える重 要な 資料と なって いる 。

  第3章 では ,主に ,梁 または 一方向 スラブ によ る実験 結果を もとに 導かれ た既 往のた わみ計 算 方式 を,二 方向ス ラブ ,小梁 付きス ラブ, およ びこれ らがラ ーメン 架構に 組み 込まれた床構造へ 適用 しよう とする ,基 本的に は有限 差法に よる 弾性た わみ解 析法を 応用し たニ っの方法を提示し てい る。

  第I法 は ,ACI系 諸 規 準の た わ み 計 算 法の 各 種 実 働 概念 を な る べ く忠 実 に 定式化 した もので ある 。

  第皿 法 は 第I法の 改 良 法 で ,@ 差 分 分 割 各節 点 の 有 効 剛 性をBranson式 で評 価し, ◎梁ま た は床 スラブ のスパ ン方 向の曲 げ剛性 が一様 でな い変断 面部材 として の初期 たわ みを求め,コンク リー トのク リープ と収 縮によ る曲率 増大を 見掛 け上の ヤング 係数低 下と見 なし ,その長期たわみ は , ◎ク リ ー プ の み を考 慮 す る通 常のヤ ング係 数比増 大法 と,@ クリー プ・収 縮同 時考慮 用の Yu―Winterの実 験式を 用いた ヤング 係数比 増大 法によ ってい る。

  既往 の長 期載荷 実験に 両法を 適用し てみると,いずれも,梁または両端単純支持一方向スラブの 場合 の適合 性は良 好で あるが ,両端 固定一方向スラブでは過小評価する嫌いがある。スラブ筋定着 筋の 伸びの 影響を 検討 した既 往の実 験結果に着目した筆者は,同影響量をスラブ固定辺の強制回転 変形 として 処理す る新 たな提 案を行 い,固定辺をもつスラブにっいても,近似度の高い予測値の得 ら れ るこ と を 示 す , 内外 の 実 験 結 果や 実 在 建 物 にお け る 実 測 デー タ と の 比較 を行 ってい る。

  第4章 で は ,RC床 構 造 部 材 に関 す る 種 々 のパ ラ メ ー 夕 解析 の 結 果 を 整 理し , ま ず ,RC床 構

230

(5)

造部材の長期たわみを簡便に推定できるように,弾性たわみを基準とした長期たわみ倍率の概略 値を材丈スパン比の関数で表すとともに,同倍率が梁で3〜8,スラブで7〜13程度となること から,同倍率を16と 仮定して導かれた現行RC規準スラブ厚決定式の安全性を検証している。

  っぎに,内外の諸規準,研究報告等を分析し,梁およびスラブの許容たわみをそれぞれスパン の1/500,1/350と設 定し,これらをもとに長期たわみの検討を要しない断面寸法の限度を提 示している。

  第5章では,海外主要規準における長期たわみ算定用積載荷重値と,比較的大規模な多層事務 所建築における積載荷重調査データとを分析し,床構造の長期たわみ検討用採用値を,設計用積 載荷重の1/3〜1/2程度としても十分安全なることを示した。また,大たわみの生じやすい スラブにっいて,積載荷重のほかに,学会RC規準スラブ厚規定の変遷,施工誤差,材料性状,

施工荷重,環境条件を変動要因とするパラメー夕解析を行い,長期たわみに及ぼす各要因の影響 量を明らかにしている。

  これを要するに,本論文は複合要因からなる鉄筋コンクリート建物における床構造の長期たわ み予測計算法を提示し,同構造のたわみ制御設計上有用な多くの基礎資料を整備したもので,建 築構造学およびコンクリート工学上寄与するところ大である。

  よ っ て , 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

参照

関連したドキュメント

  

[r]

   セレン原 子の異常分散効果を利用したタンパク質の構造解析は1980 年代後半ころのシンク口ト

[r]

modeling tool has been developed that comprises simple eddy viscosity concept without any

融合タンパク質基質 PRR の切断部位はArg140 ―Arg'41 であり、融合タンパク質基質PRX は PRR のPl 位 Arg111 を19 種 類のア ミノ酸に 置換し た基質で ある。変性条件

[r]

[r]