博士(工学)井野秀一 学位論文題名
感覚フィードバック型ハンドの生体情報工学的研究
学位論文内容の要旨
重度 身 障者 や寝 た きり の患 者 を介助した り,宇宙`海底・鉱 山などの危険な環 境下で作業を行 う ため の ロボ ット の 社会 的な 必 要性は,ま すます増大していく 傾向にある。しか し,口ボット自 身 の感 覚 で検 出し た 情報 をも と に口ボット 自身が判断して行動 する,いわゆる自 律型口ボットを 実 現す る こと は容 易 では ない 。 ところで, 次世代の情報通信技 術や口ボット制御 技術として,テ イ レ グ ジ スタ ンス(Tele―Existence)や人 工現 実 感(Artificial Reality,Virtual Reality) が 注目 さ れ始 めて い る。 これ は 架空の世界 や遠隔地の様子を手 にとるように操作 者に感じさせる 技 術で あ る。 この よ うな 人工 現 実感やテレ イグジスタンスの技 術は,人間の判断 のもとでロボッ ト が行 動 する シス テ ムで あり , 上記の社会 的要請に応じる上で の重要な技術にな るものと期待さ れて いる。
これ ら の研 究は , 視聴 覚の 分 野では盛ん に行われている。し かし,あたかも自 分の手指や腕で 遠 くの 機 器を 操作 し てい るか の ように感じ させる触覚のテイレ グジスタンスの研 究は極めて少な い 。そ こ で, 本研 究 では ,ヒ ト 手指・腕の 触感覚やカ感覚に関 する人工現実感の 機能を備えたシ ス テム で ある 「感 覚 フィ ード バ ック型ハン ド」の実現の可能性 を,心理・生理学 に基づく基礎研 究 と電 子 情報 工学 な どに 基づ く 応用研究を 並行させて行う生体 情報工学的観点か ら追求した。ま ず, ヒトの手指で物体に 触れたり,把握し たときに生じる「圧覚」「ずれ覚」「材質感」および「力 覚 」を 心 理物 理的 手 法で 調べ , その基礎的 知見に基づき,感覚 フィードバック型 ハンドのための デ バイ ス を試 作し た 。具 体的 に は,ずれ情 報を検出できる人工 触覚,圧覚や材質 感をヒトの指腹 面 に呈 示 する 触覚 デ ィス プレ イ ,反カを腕 に呈示するフオース ディスプレイなど の開発を試み,
さら にその有効性を種々 の評価実験を通じ て検討した。
本 論 文 は , 全IV部 ・ 全9章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 第I部 (第1・2章 )は 本 研究 の背 景 ,第u 部 ( 第3・4章 )は ヒ ト手 指の 触 知覚 特性 に 関す る基 礎 研究 ,第m部( 第5・6・7・8章) では 感 覚 フィ ー ドバ ック 型 ハン ドの 構 築に欠かせ ないデバイス開発に 関する応用研究, 第I部(第9章)
では 本研究の結論を取り 扱っている。以下 に,本論文の概要 を示す。
第1章では ,序 論とし て本研 究の背 景と触 覚情 報に基 づくテ レイグ ジスタンスにっいて概観し,
感覚フ ィード バッ ク型ハ ンドの 社会的 必要 性を述 べた。
第2章 で は, 生 体情 報工 学の立 場を明 らかに する ために ,まず ,生体 の触覚 機能 に関す る生理 学・心 理学分 野で の従来 の知見 を示し た。 工学的 側面か らは, 感覚フ ィー ドバッ ク型ハ ンドに関 連した 種々のセンサと従来の汎用型口ボットハント.を紹介した。さらに,触覚情報をヒ卜にフィー ドバッ クする 問題 に関し ては, 義手や 機能 的電気 刺激な との福 祉工学 や計 算機工 学分野 の人工現 実感技 術にお ける 例を挙 げて概 観した 。ま た,感 覚フィ ードバ ック型 ハン ドとい う新た なマン・
マ シ ン 系 を 設 計 す る に あ た っ て 着 目 す べ き 触 覚 機 能 の 研 究 対 象 を 明 確 に し た 。 第3章 で は, 把 持感 覚に 関する ヒト手 指触覚 の知 覚特性 を心理 物理的 手法を 用い て多角 的に分 析し, 把持感 覚呈 示のた めの触 覚ディ スプ レイや 人工触 覚の設 計に関 する 留意点 を明確 にするこ とを試 みた。 まず ,実際 の把持 状態を 模擬 した「 圧覚」 の場合 には, 機械 刺激強 度と感 覚量の関 係 はWeber ‑ Fechnerの 精 神 物 理 法 則に ほ ば 従 う こと(Stevensの冪 法 則 と の 対 応で は 薬 指 数 は1. 06)を 見いだ し,感 覚量が 機械 刺激の 変化速 度に大 きく依 存す ることを定量的に示した。次 に,把 持動作 にお いて基 本的か つ重要 な「 ずれ覚 」の刺 激閾を 皮膚接 触面 の移動 状態( 変位速度
・方向 ・回転 )と 表面状 態(粗 さ・粘 性・ 温度) に分類 して調 べた。 その 結果, ずれ覚 の刺激閾 は ,直 線 移 動 の 場合 に20 Um程 度 , 回転 の 場 合 に10‑ deg程 度 である こと がわか り,そ の閾値 は速度 ・方向 に対 して依 存する ことも 定量 的に明 らかに なった 。さら に, 把持物 体の表 面温度が 32℃ ( 指 先 の皮 膚 温 ) で あ る場 合 に ヒ トはず れを 最も敏 感に知 覚する ことな ども 見いだ した。
他 方 , こ の よ う な 把 持 感 覚 特 性 の 得 ら れ た 原因 を 神 経 生 理学 と の 対 応 づけ か ら 推 論 し た。
第4章 で は, 感 性情 報と も言う べき材 質感に 関す るヒト 手指の 触知覚 特性を 心理 物理的 側面か ら検討 した。 まず ,能動 的・自 発的な 認知 の仕方 である 動的触 知覚に 伴っ て惹起 する材 質感に含 ま れる 「 ざ ら ざ ら」 感 と 「 ぬ るぬ る 」 感 に っい て 調 べ た 。 その 結果, 表面 粗さが 約30〃m以上 の 二次 元 凹 凸 パ ター ン で 「 ざ らざ ら 」 感 を ,表 面 付 着 物 質 の粘 度が約17 dPasで最も 「ぬ るぬ る」感 を指先 に知 覚する という 基礎的 知見 を得た 。次に ,手指 を動か さず にもの に触れ る静的触 知覚に おける 材質 認識能 カを調 べ,そ れと 皮膚表 面の温 度変化 の関係 を検 証した 。さら に,ここ で明ら かにさ れた 材質感 知覚の 性質を 踏ま え,材 質感触 覚ディ スプレ イに 要求さ れる仕 様とその 設計開 発上の 工学 技術的 課題に っいて 考察 した。
第5章では ,物 体把持 にとって大切ナょ触覚情報であり,既存の触覚センサでは検出不可能であつ た接触 表面の 「ず れ」情 報をヒ ト手指 の触 覚のよ うにべ クトル 量で捉 えら れる人 工触覚 (応カベ クトル センサ )の 開発を 試みた 。試作 器の 方向識 別誤差 は約O. 27 degで あるこ とを性 能評価実
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験で確 認し, ヒ卜 触覚の 方向弁 別能カ に比 べても十分に高い精度を有することを示した。ただし,
この試 作器は ヒト の指腹 面に比 べると 大型 で柔軟 性に欠 けてい たため 抜本 的改良 を加えた。その 結果, ヒト指 腹面 ほどの 柔らか さを持 ち, かっ小 型なセ ンサを 実現す るこ とがで きた。ここで開 発した 人工触 覚は ,口ボ ット関 連機器 だけ でなく 義手や 蓐瘡防 止セン サな どの福 祉機器にも応用 するこ とが可 能で ある。
第6章 で は, 人工 触覚な どで 得られ た触覚 情報を ヒト 手指に 違和感 なく惹 起させ るた めの触 覚 デ ィス プ レ イ 方式を ,2種類の 触覚 モダリ ティに 関して 提案し た。 ここで 対象と したモ ダリ ティ とは, 把持感 覚の なかで 最も基 礎的な 感覚 である「圧覚」と静的知覚に基づく「材質感」である。
まず, 圧覚呈 示デ バイス として 空気圧 駆動 式の圧 覚ディ スプレ イの開 発を 試みた 。試作した圧覚 デ ィス プ レ イ を被験 者の 指先に 装着し て得た 感覚特 性と 第3章 で得 た圧覚 特性と の比較 ・検 討か らfここで 提案し た圧覚 呈示 方式の 妥当性 を実証 した 。次に ,材質 感の呈示を目的とする触覚ディ ス プレ イ を 試 作 した 。 こ れ は ,第4章で 取り 上げた 材質感 認識特 性と皮 膚表 面の温 度変化 量△T との関 係から 着想 を得た 材質感 呈示方 式で ある。 具体的 には, ペルチ ェ効 果を利 用した温度冷却 素 子の 表 面 温 度 をPID動 作で 制 御 し て , 指先 へ 温 度 変 化刺 激 ( △T)を 呈 示 し て 疑似的 材質感 を 惹起 さ せ る 呈示方 式で ある。 また, 絶対判 断実験 を用 いた数 理心理 学的な2変 量情報 分析 法に 基づぃ て試作 装置 の評価 を行っ た結果 ,実 際の静 的触知 覚で生 じる材 質感 にかな り近い感覚を生 じさせ 得るこ とが 確認で きた。 即ち, 材質 感の情 報を呈 示する には, 皮膚 表面に 時間的温度変化 を与え ること が有 カな手 法であ ること を実 証した 。ここ で試作 した圧 覚お よび材 質感の触覚ディ スプレ イは, いず れも駆 動形態 が簡易 であ りなが ら十分 な呈示 能カを 備え ており ,実用性の高い 方式で ある。
第7章 で は, 人工 感覚を 有効 に利用 して外 界情報 を得 るため の効果 器とし て試作 した 汎用型 ロ ボット ハンド とそ れをヒ ト手指 の動作 に同 調させ て遠隔 操作す るため に必 要とな る小型関節角度 センサ にっい て述 べた。 試作し たロボ ット ハンド は,ヒ トのよ うに指 先で ものを 摘みながら作業 を行っ たり, 「コ ップ握 り」の ような 安定 した把 持動作 ができ る人工 指で あるこ とを示した。こ のハン ドの構 造的 な特徴 は,ハ ンド自 体に 全ての アクチ ュエー タを内 蔵し ,コン パクト化を達成 し たこ と が 挙 げ られ る 。 ロ ボ ット ハ ンド の教示 装置と して新 たに 開発し た関節 角度セ ンサ は,
チ ップ コ イ ル を用い て十 分に小 型・軽 量化( 約O.lg) された もので ある。 また, 性能 評価実 験 から, 出力特 性に はヒス テリシ スがな く, 高速に関節角度を検出できることを実証した。さらに,
この関 節角度 セン サを手 袋に取 り付け たコ イルセ ンサグ ローブ を用い て口 ボット ハンドのための 遠隔操 作シス テム を構築 し,感 覚フィ ―ド バック 型ハン ドの駆 動系と して 実用性 のあることを確
認 した。
第8章では ,ヒ トの手 指・肘 関節に 対して ,疑 似力覚 として の拘束 感を 発生さ せる装 置のた め に 新しく 開発し た水素 吸蔵 合金ア クチュ ーエー タとそ れを 用いて 手指・ 肘関節に拘束感を与える 装 置機構 にっい て述べ た。 また, このア クチュ 工一夕 は, ヒトヘ 装着す る上で適した構造と特性 を 有して いるこ とを確 認し た。
第9章では ,本 研究の 成果を 総括し ,感覚 フィ ―ドバ ック型 ハンド に関 する生 体情報 工学的 研 究 の波及 分野を 探った 。
学位論文審査の要旨 主査 教授 伊福部 達 副 査 教 授 山 本 克 之 副 査 教 授 下 澤 楯 夫 副 査 教 授 栃 内 香 次
近年 ,重度 身障者 の失わ れた生 体機 能を代 行した り,危 険な 環境下 で人間の行う作業を代行す るロボ ット技 術の 社会的 要請が 高まっ てき ている 。その ため, 遠隔臨 場感 制御を目的としたテイ レグジ スタン スシ ステム や人工 現実感 のた めのヒ ューマ ンイン タフェ ース の活発な研究開発が期 待され ている 。し かし, その研 究の多 くは ,視聴 覚の分 野では 癌んに 行わ れているにもかかわら ず,そ の他の 感覚 の分野 に関し ては未 開拓 である 。
本論 文は, 生体情 報工学 的観点 から ヒトの 手指の 触覚情 報処 理特性 を心理物理実験を用いて調 ベ,そ の結果 に基 づき, 人工触 覚で検出した情報をヒトの手指に伝達・呈示する感覚フィ―ドバッ ク 型 ハ ン ド の 研 究 に っ い て 述 べ た も の で あ る 。 主 な 結 果 は 以 下 の 点 に 要 約 さ れ る 。 第1章 では, 序論と して本 研究 の背景 と触覚 情報に 基づく テレ イグジ スタン スにっ いて 述べて いる。
第2章 では, 感覚フ ィード バッ ク型ハ ンドを 開発す るにあ たっ て基礎 となる 従来の 知見 を生理 学・心 理学お よび 工学の 分野に わたっ て概 観して いる。
第3章 では, ヒトの 手指が 物体 を把持 したと きに生 じる感 覚の 心理物 理特性 を調べ ,把 持感覚 を惹起 させる 触覚 ディス プレイ や把持 情報 を検出 する人 工触覚 の設計 のた めの基礎資料を得てい
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る 。まず ,物体 把持の ときに 生じ る「圧 覚」に 関する 心理 物理特 性を求 めたと ころ,指腹面を押 し っ け た とき の 刺 激 強 度と 感 覚 量 の 関係 はWeber Fechnerの法 則 に 従 う ことを 見いだ し,ま た ,感覚 量が押 しっけ 強度の 変化 速度に大きく依存することを定量的に明らかにしている。次に,
物 体を指 腹上で 色々な 速度や 方向 で移動 させた り回転 させ たりし たとき に生じ る「ずれ覚」につ い て,物 体表面 の粗さ ,粘度 ,温 度など をパラ メータ とし て,そ の心理 物理特 性を求めている。
そ の 結 果 ,ず れ 覚 の 刺 激闘 は , 直 線 移動 の 場 合 に20ロm程度 ,回転 の場合 に10‑ deg程度 であ る ことが 分かり ,その 閾値が 接触 物体の 移動速 度や移 動方 向にど のよう に依存 するかを明らかに し ている 。さら に,把 持物体 の表 面温度 が32℃で ある 場合に ずれ覚 の閾値 が最 も小さくなること を 見いだ してい る。以 上の知 見に 基づい て,感 覚フィ ード バック 型ハン ドのた めの把持感覚ディ ス プレイ の設定 基準に っいて 考察 してい る。
第4章 では ,ヒト の手 指が物 体表面 に触れ たとき に生 じる「 材質感 」に関 する 心理物 理特性 を 調 べてい る。ま ず,物 体表面 に触 れている指腹面を自由に動かして材質を識別させる実験を行い,
「 ざらざ ら」や 「ぬる ぬる」 と知 覚され るとき の物体 表面 の状態 を調べ ている 。その結果,表面 粗 さ が 約30肛m以 上の2次 元 凹 凸パ タ ー ン で 「ざ ら ざ ら 」 し た感 覚 が 生 じ ,表面 に付着 してい る 物 質 の粘度 が約17 dPasで 最も「 ぬる ぬる」 した感 覚が生 じる という 基礎的 知見を 得てい る。
次 に,物 体に触 れてか ら手指 を動 かさない状態でどの程度の材質識別能カがあるかを調べている。
そ の結果 ,物体 に触れ た直後 から の皮膚 表面の 温度変 化が 材質識 別の重 要な手 がかりとしている こ とを明 らかに し,感 覚フィ ード バック 型ハン ドの材 質感 ディス プレイ のーっ として温度の情報 を 利用し た方法 を提案 してい る。
第5章 では ,物体 を把 持する 上で欠 かせな い,皮 膚と 接触表 面の「 ずれ」 情報 を検出 する人 工 触 覚にっ いて述 べてい る。試 作し た人工 触覚は ヒト手 指の 触覚の ように ずれの 大きさだけでなく そ の方向 も検出 できる もので あり ,既存 のもの には無 い機 能を備 えてい る。こ の人工触覚の方向 識 別誤差 は約O. 27 degで あった ことか ら,ヒ ト触覚 のず れの方 向弁別 能カに 比べても十分に高 い 精度を 有し, 感覚フ ィード バッ ク型ハ ンドの 人工触 覚と して有 用であ ること を確認している。
第6章 では ,人工 触覚 で得ら れた情 報をヒ ト手指 の触 覚にフ ィード バック させ る触覚 ディス プ レ イ方式 を考案 し,そ の有効 性を 試作器 を用い て調べ てい る。ま ず,圧 覚に関 しては空気圧駆動 式 デ ィ スプレ イを提 案し ,第3章で 求めた ヒト手 指の圧 覚特 性と類 似する 特性が 得られ るよ うな 呈 示 方 法を実 現して いる 。次に ,第4章で 得られ た知見 に基 づき, ペルチ ェ素子 を利用 して 温度 の 違いを 指腹面 に呈示 する材 質感 ディス プレイ を試作 して いる。 また, 情報理 論の観点から,実 際 に物体 に触れ たとき の材質 識別 能カと 温度の 違いで 疑似 的な材 質感を 与えた ときの識別能カを
比 較 し た 結 果 , 両 者 は 同 程 度 の 伝 達 情 報 量 を 持 っ こ と を 確 認 し て い る 。 第7章でtま,人工触覚を取り付けるための多関節ハンドとそれをヒト手指の動作に同調させて 遠隔操作するために必要となる手指関節角度センサにっいて述べている。試作した口ボットハン ドは2指6関節の人工指であり,手指関節角度センサはチップコイルを利用したもので,十分に 小型で軽量(約0.lg)である。このセンサの出力特性には,ヒステリシスがなく,高速に関節 角度を検出できることを確かめている。また,この関節角度センサを取り付けたグ口一ブを用い て,ヒトの手指の動きと同様の動きをするロボットハンドシステムを構築し,このシステムが感 覚 フ ィ ー ド バ ッ ク 型 ハ ン ド の 駆 動 系 と し て 実 用 性 の あ る こ と を 確 認 し て い る 。 第8章では,感覚フィードバック型ハンドを動かすためのアクチュエータとヒトの手指や肘関 節にカ覚情報を呈示するフオースディスプレイにっいて述べている。ここでは,温度変化により 水素を吸収したり排出する合金に着目し,6gの合金量で10 kgの物体を上下させることのでき る小型のアクチュエータを試作している。また,このアクチュ工一夕は柔らかな構造を有してい るため,ヒ卜への装着に適しており,力情報を呈示するフオースディスプレイとしても有用であ ることを述べている。
第9章では,本研究の成果を総括し,感覚フィードバック型ハンドに関する生体情報工学的研 究の波及分野を探っている。
以上のように本論文は,心理物理実験からヒト手指の触知覚特性に関する新知見を得,それに 基づいて感覚フィ―ドバック型ハンドを開発し,その有効性を実験的に確認したものである。こ れらの成果から,本研究はヒューマンインタフェースに関連した生体工学と口ボット工学の進歩 に寄与するところが大きい。よって,著者は博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。
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