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博 士 ( 工 学 )菅 野 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 )菅 野 学 位 論 文 題 名

Mg0表 面 お よ び バ ル ク 特 性 評 価 とCO,C02吸 着 種 動 特 性 の 解 析

学位論文内容の要旨

  調製履歴 、金属導入 量及び種類 により変化するMg0表面の配位不飽和性、

塩基 性 、 及びMg0バ ルク 特 性をそれ ぞれ系統的 かつ定量的 に比較、評 価す るための 特定パラメ ー夕一を提 出すること は、触媒設 計上極めて 重要であ る。 更 に 反応 場 であ るMg0表面のあ る特定の吸 着種が、反 応のどの素 反応 過程に関 与し反応速 度を制御し ているかを 速度論的に 調べること も必要で ある。し かしこれら に関する知 見は十分得 られていな い。そこで 本論文に おいては 、表面配位 不飽和性、 表面塩基性 、バルク特 性を評価す るための 新しいバラメ一夕一の提出及び従来報告されているッヾラメーターの定量性、

有用 性 を 向上 さ せる こ と、 更に表面OHお よびC02種によるCO吸脱 着挙動、

CO−Oワ`CO−N20反 応 の速 度 論的 機 構へ の 影響 を 明ら か にするこ とを目 的としている。

  本 論 文は 緒 言と し ての 第1章及び 第2、3、4章からなる 第1部、 第5、6、 7章か らなる第2部、そ して結言と しての第8章から構 成されてい る。第I部 では、Mg0表面及び バルク特性 を定量的に評価するパラメ一夕ーを提出レ、

その 定 量 性及 び 有用 性 につ い て示 し た。 第II部 で は、 過 渡応答法に よる Mg0表 面 吸 着 種 の 動 特 性 か ら 、 表 面OHお よ びC02種 に よ るCO吸 脱 着 挙 動及び触媒反応への影響を速度論的に解析した。

  第1章で は 、Mg0表面 の キャ ラ クタ リ ゼー シ ョン の ため の、配 位不飽和 性、塩基性、バルク特性評価、そして吸着種動特性の解析の重要性を示レ、

それらに 関連する既 往の研究を 概説すると ともに、問 題点及び本 論文の目 的、構成について述べた。

  第2章で は 、配 位 不飽 和 性の広く 分布したサ ンプルを得 るために、 出発 物 質{Mg(OH) っ `Mgol、 前 処 理 雰 囲 気 (Oっ `Hg`He気 流) の 異な る 種 々 履 歴 を 持 つMg0サン プ ルを 調 製レ た 。各 サ ンプ ル のCO処 理後 のCO、 COっ の 昇 温 脱 離 (TPD) ス ベ ク ト ル か ら 得 ら れ る 脱 離 量 比R(CO/

(CO十C09)Jは 、 サ ン プ ル に よ り0.3−0.8に 分 布 し た。 こ の分 布 をゼ ッキーナ 等によるCOク ラス夕一モ デルを用い 、それぞれ 低配位不飽 和性か ら高配位 不飽和性へ の分布に対 応させた。 こうして得 られた各サ ンプルの Rによ る 配位 不 飽和 性 の序 列は、 既往の報文 で示された 出発物質に よる序 列{Mg(OH)2>Mgol、 及 び 前 処 理 雰 囲 気 に よ る 序 列IHe> 02`Hg1を矛 盾な く 説 明し た 。こ の こと より、R値が表面 の配位不飽 和性の定量 的評価 パラメ一夕一として有用であることを示した。

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  第3章 で は、 添加アルカ りの種類及 び量を変え ることによ り、塩基強 度 及び塩基量 の広く分布 したMg0サンプルを調製した。各サンプルについて、

C02導 入 に よ り 得 ら れ た 一 座 配 位 力 一 ポネ ー トのOCOの 非対 称 お よび 対 称伸縮振動 波数差の逆 数値(△v)‑1は5〜 7x10―3(cm)に分布し、COワ のTPDス ペ クト ル解析より 得られた強 塩基サイト 量/全塩 基サイト量 比(O

〜 0.7)との間で 、正の良い 直線的相関 性を示した 。この相関性を用いる と(△、v)−1値から、塩基性を定量的に評価できることを明らかにした。更 にこの(△v)1値は、塩基強度の指標である2―プロバノール分解反応で得 られたアセ トンノプロ ペン比と正 の相関性を 与え、その有用性が証明され た。

  第4章 で は、 種 々組 成 のLi―MnーMg0サ ンプ ル にお け るX線 回折 線 幅変 化よ り 求め た結 晶格子ひず みnはMn添 加量の増大 と共に直線 的に増大し 、 Mn−Mg酸 化物 固 溶体 形 成 が格 子 のひ ず みを 伴うこ とを示した 。さらにり チウ ム の修 飾効 果として、 低マンガン 量Mg0サン プルではり チウム添加 に より刃が最 大3分の1にまで 緩和される ことを見い だした。これらの結果か ら、TはLi―Mn―Mg0複合 酸 化物 を 調製 す る時 のパルク特 性評価バラ メー 夕 一 の ひ と っ と し て 用 い る こ と が で き る こ と を 示 し た 。   第5章 で は 、Mg0表 面 上 の 吸 着COに 対 す るC02の ト ラ ッ プ 効 果 、 す な わち 吸 着COが2ー3個 のCOっ 分 子に 捕 捉さ れ るという 特異的な現 象を見い だし た 。こ の トラ ッ プさ れ たCOの脱 離 の 活性化 エネルギー は、フリー な COの それ よ りも2倍あ ま り大 き いこ と 、 トラ ッ プさ れ たCOは酸 素 との 反 応性 が ない こ とを 明 らか に した 。 更に 表 面OH存 在下でこの 現象が発現 す ることを見いだした。

  第6章 で は 、Mg0上 のCO―02反 応 中 に お け るC09の 可 逆 吸 着 量 は そ の 平衡吸着量よりも多く、、COっの脱離ステップがこの反応の律速ステップで あることを 明らかにし た。また導 入COワがこの反 応を阻害すること、それ に 伴 い 反 応 の 活 性 化 工 ネ ル ギ ー が15〜27kcal/molの間 で 変化 す るこ と を示 し た。 更 に温 度 ジャ ン プ法 を 用い て 、COー02反応に関与 レない別の 吸着COっ 種 が存 在 レ、 そ の量 は 反応 を 制 御して いる可逆吸 着COワの10% 程度であることを明らかにした。

  第7章 で は 、Mg0上 のCO―Ng0反 応 の 速 度 論 的 機 構 は 表 面OH鼠 に よ り 大き く 異な り、 それが多いMg0では反 応の律速ス テップは表 面反応プロ セ ス、少ない ものでは酸 素の活性化 ステップで あることを明らかにした。こ の違 い はOH量の 多 いサ ン プル 上 にお い て 、表面OHの電子供与 性能により 酸 素 の 活 性 化 が 促 進 さ れ た こ と に 起 因 す る と 解 釈 し た 。   第8章では、本研究結果の総括を述ぺた。

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学 位 論 文 審査 の 要 旨 主査    教授    竹澤暢恒 副査    教授    服部    英 副査    教授    岩本正和 副査    教授    小林正義

     (北見工業大学大学院工学研究科)

学 位 論 文 題 名

Mg0 表面およびバルク特性評価とCO ,C02 吸着種動特性の解析

  酸 化 マ グ ネシ ウム は固 体触 媒材 料と して 有用 性が 高 く、 水素 化、 脱水 素、 異 性 化 反 応 、 アミ ノ化 など の種 々の 反応 に対 して 高い 活 性を 示す 。ま た、 他の 酸 化 物 と 組 合 わ せ た 複 合 酸 化 物 と し て 、2ー プ口 パノ ー ルと アク 口レ イン から の ア リ ル ア ル コー ルの 製造 や、 エタ ノー ルか らの ブタ ジ エン の製 造、 ナフ サの 水 蒸 気 改 質 な どの 反応 にも 利用 され てい る。 最近 では 、 天然 ガス の有 効利 用と い う 観 点 か ら 、酸 化マ グネ シウ ムを ぺー スと した 触媒 を 用い てメ タン から エチ レ ン お よ び エ タン を製 造す るこ とが 検討 され てい る。 こ れら の触 媒特 性は 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム表 面が 塩基 性を 示す こと が原 因と なっ て おり 、そ の特 性を 評価 す る 上 で 酸 化 マグ ネシ ウム 表面 およ びバ ルク 評価 を行 な うこ とが 重要 とな って い る 。

  本 研 究 は 、COお よ びC02を プ 口 ー プ とし 、昇 温脱 離 法お よび 過渡 応答 法を 用 い て 酸 化 マ グネ シウ ムの 表面 配位 不飽 和性 およ び塩 基 性な らび にバ ルク 特性 を 評 価 す る パ ラメ ータ ーを 提出 し、 従来 報告 され てい る パラ メ一 夕の 定量 性を 向 上 さ せ る こ と、 およ び、 塩基 サイ トと して の表 面OHc0脱 離機 構お よびCO酸 化 反 応 機 構 へ の 影 響 を 明 か に す る こ と を 目 的 と し た も の で あ る 。   本 論 文 は8章 よ り な る 。

  1章 で は、Pdlg0表面 のキ ャラ クタ リゼ ーシ ョン の ため の配 位不 飽和 性、 塩 基 性 、 バ ル ク特 性の 評価 、お よび 吸着 種動 特性 の解 析 の重 要性 を示 し、 それ ら に 関 連 す る 既往 の研 究を 概説 する と共 に、 問題 点、 本 論文 の目 的お よび 構成 に つ い て 述 べ て い る 。

  2章 で は 、 出 発 物 質t Mg(OH)2Pdlgolお よ び 前 処 理 雰 囲 気(02H2He) の 異 な る 種 々のMg0サン プ ルを 調製 し、 これ らサ ンプ ルのCO処 理後 のCOおよ びC 02の 昇 温 脱 離 ス ペ ク ト ル 測 定 を 行 っ て いる 。そ の結 果、 脱離 気体 のモ ル比R c0/ (COC02) が 出 発 物 質 お よ び 前 処 理 雰 囲 気 に よ り 著 し く 異 な るこ とを 見 い 出 し た 。 著 者 ら は 、 こ れ を ゼ ッ キ ― ナ等 によ るモ デル によ り検 討し 、R値 に

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よ り 酸 化 マ グ ネ シウ ム 表面 の 配 位不 飽 和 性を 評 価で き る こと を 示し た 。   3章で は、アルカりの種類および量を種々制御し、塩基強度及び塩基量の 異なるlvlg0を調製し、これらのサンプルについて吸着C02の昇温脱離および赤外 スペク トル測定を行なっている。その結果、C02導入により生成する一座配位 型 カー ボ ネー ト 吸 着種 のOCO非対 称 およ び 対 称伸 縮 振動波数 の差の逆 数値

(△リ)− ̄と強塩基サイト量/全塩基サイト量比との間に正の良い相関性があ ることを見出し、(△レ)− ̄値から、塩基性を評価できることを明らかにした。

また、さらに、これを2―プ口パノール分解反応に適用し、(△レ)− ̄値とア セトン選択性との間に良い相関があることを見出し、このパラメーターが塩基 触媒の反応特性評価に有用であることを示した。、

  第4章では、種々.の組成のLi―Mn−ldg0サンプルにおけるX線回折ピークの線幅 変化より求めた結晶格子ひずみ釘がマンガン添加量の増大と共に直線的に増大 することを見出し、MnMg酸化物固溶体形成が格子のひずみを伴うことを示し た。さらに、マンガン量の少ないIdg0サンプルでは、リチウム添加により釘が 最大3分 の1にまで 緩和され ることを見 い出した。これらの結果から、1Mg0 複合酸化物のバルク特性評価パラメーターのーっとして用いることができるこ とを示した。

  5章で は、Mg0表面上の吸着c0に対するC02のトラップ効果、すなわち吸着 COC02の存 在によって安定化するという特異的な現象を見い出している。ま た、C02存在によりc0の脱離の活性化エネルギーが、C02が存在しない場合のほ 2倍にもなること、および酸素との反応性が消失することを示した。さらに、

著者は、表面OHが存在する時にのみトラップ効果が認められることを見出し、

この現象が表面OHと密接な関係あることを明らかにし、バイカーボネート種あ るいフォーメート種の関与を示唆した。

  6章では、Xfg0上の℃O02反応中におけるC02の可逆吸着量はその平衡吸着 量より も多く、C02の脱離ステップがこの反応の律速ステップであることを明 らかに している。また、C02がこの反応を阻害すること、それに伴い反応の活 性化エネルギーが15〜27

kcal/molの間で大きく変化することを示した。さらに、温度ジャンプ法を用い て、CO02反応に関与しない別の吸着C02種が存在することを見出している。

  7章で は、Mg0上のCON20反応の機構は表面OH量により大きく異なり、そ れが多いlvlgOでは反応の律速ステップは表面反応であること、一方、少ないも のでは酸素の活性化ステップであることを明らかにし、OH量の多いサンプルで は 、 表 面OHの 電子 供 与 によ り 酸素 の 活 性化 が 促進 さ れ るこ と を示 し た 。   第8章では、本研究結果の総括を述べた。

  以上のように著者は昇温脱離法および過渡応答法を用いて得られたCOおよび C02の動特 性に基づき、酸化マグネシウムの表面およびバルクの特性を明かに し て お り 、 触 媒 工学 お よび 反 応 工学 の 進 歩に 寄 与す る と ころ 大 であ る 。   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと 認める。

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参照

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