博 士 ( 医 学 ) 泉 剛
学位論文題名
不安における脳内cholecystokinin の関与について 学位論文内容の要旨
最近、和 11 経ベプチドであるcholecystokinin (CCK) が内在性の不安関連物質とし て注 目 され て いる 。 本論 文 では 、 CCK と 不安 の 関連 に つい て 検討 を試みた 。 CCK は58fI 司のアミノ酸基よりなるペブチドとして産生され、体内でsulphated CCK8 (CCK8S) や CCK4 などの断 片に分解さ れる。 CCK の受容体と して CCKA 受容体 と CCKB 受 容 体 が 区 別 さ れ て い る 。 CCK8S に よ る 海 馬 細 胞 の 発 火 が benzodiazepine に よって抑制されることから、脳内CCK 受容体の活性化が不安を 惹起することが予想され、実際、ヒトに対する CCK4 の静脈内投与はバニック様発 作を弓|き 起こした。 また CCK4 や CCK8S の投与は、 elevated plus‑maze test や conflict test などの不安の動物モデルで不安増強を示し、非ベプチド性CCK 受容 体拮抗薬の投与は抗不安効果を示した。これらの研究でCCK が不安と関連している ことが示されたが、いくっかの問題点がある。ひとっはぺプチドである CCK を末梢 投与した場合、それらが血液脳関門を通過するかどうかという問題である。また、
CCK 受容体のサブタイプのうち、 A と B のいずれが不安に関与しているのかという問 題がある。抗不安作用が認められている CCK 拮抗薬はB 受容体に親和性が高いとい う報告が 多いが、 A 受容体 拮抗薬が抗 不安作 J1 ]を示 したという 報告もある 。 筆者はこれらの問題点を解決するため、非ペプチドの選択的なCCKB 受容体拮抗薬 である LY288513 、比較 的選択的な CCKA 受容体拮抗薬である lorglumide 、および IlI 枢に移行しない末梢性のCCKA/B 受容体拈抗薬である loxiglumide の急性投与が、
不安の動物モデルであるラットのconditioned fear stress (CFS) に及ぼす効果に ついて倹討した。CFS は footshock を負荷してショック箱に条件付けを行ったラッ トを、再度同じショック箱に入れる操作によって惹起される心理的ストレスである。
ラットは危険や苦痛を予測し、無動のまま休をすくませる防御行動(freezing )をと るが、この行動は抗不安薬の投与で拮抗される。
結果である が、選択的 CCKB 受 容体拮抗薬 である LY288513 (0.03 ‐ 0.3 mg/kg) のfootshock30 分前の投与は24 時間後の CFS 試験 Il 寺における freezing の出現を有 意に扣 J 制した。 footshock5 分後の投与がfreezing の出現に影響しなかったことか ら、 footshock30 分 前の LY288513 投 与の効果は 、CFS の時 まで24 時間続 く長期 効果によるものではないと考えられる。また、 freezing の出現を有意に抑制した 0.3 mg/kg のJU 置カ;オ訂ji に影響しなカ)ったことカ)ら、footshoc た3 〇分前の
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LY288513投′チによるfreezingのirll'iIJU効果は、飽|'j市f1〓J1・Jによるものではないと考え らj1る 。 した カsって 、LY288513の投fメはconditioned fearのj隻f廿過tl!をIjltlIニし た も の と 考 え ら れ る 。LY288513(0.03‑0.3 mg/kg)のCFS30分 前 の 投 与 も ま た 、 freezingの 出 現 を 有 意 に 抑 制 し た 。LY288513の0.3 mg/kgの 投 与 は 自 発 運 動 量 に 景 彡 響 し な か っ た こ と か ら 、 自 発 運 動 量 亢 進 に よ る 非特 異 的 効果 は 除 外で き る 。こ れ ら の 結 果 は 、LY288513の 投 与 がconditioned fearの 発 現 過 程 を 阻 止 し た こ と を 意味 し 、 この 効 果 は抗 不 安 作川 で あ ると 考 え ら れる 。 一 方、 比Il皎 的 選 択的 なCCKA一 受 容 体 拈 抗 薬 で あ るlorglumideのCFS30分 わ む の 投 与 は 、1.0 mg/kgのJ1] 量 で の み 有 意 にfreezingを 抑 制 し た 。lorglumideはCCKA受 容 体 拮 抗 薬 で あ る が 、in vitro の 受 容 体 結 合 実 験 で 、LY288513のCCKB受 容 体 阻 害 能 の 約30分 の1のCCKB受 容 体 m害 能 を 有 し て お り 、lorglumidel.0 mg/kgの 月 亅 量 はCCKB受 容 体 阻 害 能 か ら い え ばLY288513のfreezingに 対 す る 最 小 有 効 用 量 で あ る0.03 mg/kgに 相 当 す る 。 つ ま りlorglumidel.0 mg/kgで の 効 果 はCCKB受 容 体 阻 害 を 介 す る と 考 え て も 矛 盾 し な い 。 ま たr|J枢 に ほ と ん ど 移 行 し な い こ と が 確 認 さ れ て い るCCKA/B受 容 体 拮 抗 薬 で あ る |oxiglumideの 投 与 は 、30 mg/kgの 高 用 量 で もfreezingに 影 響 し な か っ た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 末 梢 のCCKAお よ びCCKB受 容 体 は 抗 不 安 作 用 に 関 与 し て い な い こ と を示 唆 す る。 以 上 より 、 [ |ゴ 枢 のCCKB受 容体 が 不 安に 関 与 して い る と考 え ら れる。
次 に 、 ス ト レ ス 時 に お け るCCK受 容 体 拮 抗 薬 の 脳 内 モ ノ ア ミ ン 系 に 対 す る 効 果 を 調 べ る た め 、CCK受 容 体 拮 抗 薬 投 与 時 の ラ ッ ト の 脳 内 モ ノ ア ミ ン 代 謝 を 高 速 液 体 ク 口 マ ト グ ラ フ イ ー(HPLC)を 用 い て 測 定 し た 。 LY288513のconditioned fear群 と 非conditioned fear群 に 対 す る 投 与 で は 、LY288513投 与 に よ っ て 内 側 前 頭 前 野 の5‑HT、 側 坐 核 のDA、DOPAC、HVAの 増 加 が 認 め ら れ 、2元 配 置 分 散 分 析 で 交 互 作JHが な い こ と か ら 、CFSに 関 係 し な いLY288513単 独 の 効 果 で あ る と 考 え ら れ た 。 ま たCFSに よ っ て 側 坐 核 、 線 条 体 、 扁 桃 体 、 海 馬 のDOPAC、 内 側 前 頭 前 野 、 側 坐 核 、 線 条 体 のHVA、 内 側 前 頭 前 野 、 扁 桃 体 の5‑HIAAが 増 加 し 、2元 配 置 分 散 分 析 で 交 互 作 用 が な い こ と か ら 、LY288513投 与 に 関 係 し な いCFS単 独 の 効 果 で あ る と 考 え ら れ た 。CFSとLY288513投 与 の 交 互 作 用 は 内 側 前 頭 前 野 のDOPACで 認 め ら れ 、CFSて 内 側 前 頭 前 野 のDOPACが 増 カ 口 し た が 、LY28851投 与 に よ っ てCFSに よ るDOPAC増 カuカsさ ら に 増 強 し た 。 し た カsっ て 、 内fJW前 頭 前 野 のDOPAC増 加 カs LY288513の抗不安作用と関連している可能性が示唆される。
さ ら にfootshock負 荷 時 の ラ ッ ト の 内 側 前 頭 前 野 、 側 坐 核 、 線 条 体 、 扁 桃 体 、 海 J罵 、l11心 灰 自 質 で のCCK8Sの 含 量 をradioimmunoassay(RIA) で 定 量 し た 。 こ の う ち 、 扁 桃 体 でCCK8S含 量 の 低 下 が 認 め ら れ た 。 こ の 結 果 か ら 、 ス ト レ ス に よ っ て CCK8Sの シ ナ プ ス 間 隙 へ の 放 出 お よ び 代 謝 が 増 加 し てCCK8Sが 枯 渇 し た 可 能 性 と 、 CCKの 合 成 自 体 が 低 下 し た 可 能 性 が 考 え ら れ る が 、 ラ ッ ト の 断 頭 は ス ト レ ス 負 荷 を
‖ ‖ 始 し て か ら30分 後 に 行 わ れ て お り 、 時 間 経 過 か ら前 者 の 可能 性 が 高い も の と思 わ れ る 。 こ れ は 、 不 安 に お い て 扁 桃 体 のCCKが 関 与 し て い る こ と を 示 唆 し て い る 。 以 上 よ り 、cholecystokininB (CCKB) 受 容 体 拮 抗 薬 が 抗 不 安 作 用 を 有 す る こ と
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