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博士(医学) 盲 圭龍 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)   盲   圭龍 学位論文題名

内頚動脈剥離術後プラークを用いた動脈硬化進展における      分子学的機序に対する検討

背 景 と 目 的

学位論文内容の要旨

動 脈 硬 化 は 血 管 内 皮 細 胞 障 害 を 端 と し 、 単 球 の 浸 潤 及 び マ ク ロ フ ァ ー ジ ヘ の 分 化 、 多 量 の 脂 肪 吸 収 、 炎 症 や 線 溶 と 関 係 を 持 ち な が ら 、 狭 心 症 や 心 筋 梗 塞 、 脳 梗 塞 を き た す 。 こ の 一 連 の 過 程 に お い て マ ク ロ フ ァ ー ジ が 重 要 な 役 割 を は た す こ と が 知 ら れ て い る 。 動 脈 硬 化 巣 内 の プ ラ ー ク に 存 在 す る マ ク ロ フ ァ ー ジ に は 、 向 炎 症 性(Ml)と 抗 炎 症 性(M2)の 性 格 を 持 っ も の が 同 定 さ れ て お り 、 プ ラ ー ク の 脆 弱 性 に 関 連 す る と 推 測 さ れ て い る が 、 こ の 関 係 に つ い て は 明 ら か で は な い 。

ま た 泡 沫 化 細 胞 は 脂 肪 滴 の 形 で 脂 肪 を 貯 留 し 、 脂 肪 滴 は 構 造 蛋 白Adipophilin (ADRP)に 囲 ま れ て い る こ と が 知 ら れ て い る 。 こ れ ま で 構 造 蛋 白 の 研 究 は 主 に 脂 肪 細 胞 に お い て 進 め ら れ て お り 、 脂 肪 滴 は 小 型 ・ 未 成 熟 な 段 階 で はADRPに コ ー ト さ れ て い る が 、 大 型 ・ 成 熟 化 に 伴 い 同 じ く 構 造 蛋 白 で あ るPerilipinに 置 き 換 わ り 、Perilipinが 脂 肪 分 解 酵 素 な ど 様 々 な 脂 質 代 謝 関 連 蛋 白 を コ ン ト ロ ー ル す る こ と で 、 脂 肪 貯 留 と 分 解 双 方 の 制 御 に 関 わ っ て 効 率 的 に 脂 肪 貯 留 し 、 更 に 脂 肪 毒 性 を 軽 減 す る す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る 。 し か し な が ら マ ク ロ フ ァ ー ジ に お け る こ れ ら 脂 肪 滴 周 囲 蛋 白 の 存 在 と 働 き に 関 し て は 未 だ 定 説 を 得 て い な ぃ 。 ま た こ れ ま で の 検 討 の 多 く は マ ウ ス を モ デ ル と し て い た が 、 ヒ ト と マ ウ ス の マ ク ロ フ ァ ー ジ で は VLDL受 容 体 の 有 無 な ど 性 状 が 異 な る こ と も 近 年 示 さ れ て い る 。 そ こ で 本 検 討 で は ヒ ト 内 頚 動 脈 剥 離 術 後 検 体 の プ ラ ー ク に 浸 潤 し て い る マ ク ロ フ ァ ー ジ の 極 性 と プ ラ ー ク の 脆 弱 性 、 臨 床 的 な イ ベ ン ト の 関 係 に つ い て 検 討 し 、 さ ら に ヒ ト 末 梢 血 由 来 の 培 養 マ ク ロ フ ァ ー ジ を 用 い て 泡 沫 化 や 炎 症 性 と 脂 肪 滴 周 囲 蛋 白 くPerilipinとADRP)と の 関 連 に つ い て 明 ら か に す る こ と を 目 的 に 研 究 を 開 始 し た 。

方 法

対 象 は 内 頚 動 脈 剥 離 術 を 受 け た 患 者 で 、 得 ら れ た プ ラ ー ク は 免 疫 染 色 、 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ツ テ ィ ン グ 、 リ ア ル タ イ ムPCRに よ っ て 解 析 さ れ た 。 現 病 歴 や 臨 床 的 デ ー タ は 診 療 録 か ら 取

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得 し 、 狭 窄 率 と 安 定 性 は エ コ ー に よ り 評 価 さ れ た 。 ま た 健 常 人 か ら 採 取 し た 末 梢 血 由 来 単 球 か ら 分 化 ・ 培 養 さ せ た マ ク ロ フ ァ ー ジ に 対 し て 酸 化LDL・ VLDL添 加 を 行 い 、 そ れ ら に 対 し て 免 疫 染 色 、 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 リ ア ル タ イ ムPCRを 行 い そ の 変 化 を 評 価 し た 。

結 果

患 者 は 先 行 す る 急 性 の 脳 虚 血 症 状 の 有 無 に よ り 有 症 候 群 くn=31)と 無 症 候 群 くn〓34) に 大 別 さ れ た 。 超 音 波 エ コ ー に よ る 分 析 に よ り 、 脆 弱 な プ ラ ー ク が 有 症 候 群 で 多 く 認 め ら れ た(p= 0.033、 カ イ 二 乗 検 定 ) 。 免 疫 染 色 お よ び ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ で は 、 有 症 候 群 の プ ラ ー ク に お い て は 多 数 の マ ク ロ フ ァ ー ジ の 浸 潤 が 認 め ら れ 、 そ れ ら の 大 部 分 はMlマ ク ロ フ ァ ー ジ で あ っ た 、 対 し て 無 症 候 群 で はM2マ ク ロ フ ァ ー ジ が 主 に 認 め ら れ た 。 リ ア ル タ イ ム PCRに よ っ て 、 有 症 候 性 群 に お い てMlマ ー カ ー お よ び 向 炎 症 性 サ イ ト カ イ ンIL‑6、 ケ モ カ イ ンMCP‑1、MMP‑9の 発 現 が 有 意 に 増 加 し て い た 。

ま た 免 疫 染 色 と ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ か ら プ ラ ー ク 内 マ ク ロ フ ァ ー ジ に お い て 脂 肪 滴 周 囲 蛋 白 で あ るPerilipinお よ びADRP両 者 の 存 在 を 確 認 し た 。 主 にADRPは 有 症 候 性 プ ラ ー ク に 発 現 し 、 対 し てPerilipinは 有 症 候 群 と 共 に 無 症 候 群 に も 存 在 が 認 め ら れ た 。 リ ア ル タ イ ムPCRで は 無 症 候 群 に 対 す る 有 症 候 群 の 相 対 的mRNA発 現 はADRPで 有 意 に 高 値 (3.4倍 ) だ っ た 。 ま た マ ク ロ フ ァ ー ジ に 酸 化LDL及 びVLDLを 添 加 す る と 、Perilipinで コ ー ト さ れ る 大 型 の 脂 肪 滴 とADRPで コ ー ト さ れ た 小 型 の 脂 肪 滴 が 併 存 し て 認 め ら れ た 。 中 性 脂 肪 は 主 に Perilipinの 発 現 す る 大 型 の 脂 肪 滴 内 に 貯 留 さ れ て い た 。 結 論

本 検 討 に お い て 、 有 症 候 性 プ ラ ー ク に は 、 向 炎 症 性 のMlマ ク ロ フ ァ ー ジ の 浸 潤 を 多 く 認 め 、 炎 症 や 線 溶 の 亢 進 、 脂 肪 滴 周 囲 蛋 白 で あ るPerilipinとADRP両 者 の 発 現 増 加 を 認 め た 。 対 し て 、 無 症 候 性 プ ラ ー ク に は マ ク ロ フ ァ ー ジ の 浸 潤 が 少 な く 、 発 現 し て い る ほ と ん ど が 抗 炎 症 性 のM2マ ク ロ フ ァ ー ジ で 、Perilipinの 発 現 を 認 め る も の のADRPの 発 現 を 認 め な か っ た 。 ヒ ト マ ク ロ フ ァ ー ジ で は 酸 化LDLに よ る コ レ ス テ ロ ー ル エ ス テ ル の 貯 留 と 同 様 に VLDLを 介 し た 中 性 脂 肪 の 貯 留 も 泡 沫 化 細 胞 の 形 成 に 重 要 で あ り 、 脂 肪 滴 周 囲 構 造 蛋 白 の う ちPerilipinは 効 果 的 か つ 安 定 し た 脂 肪 貯 留 に 重 要 な 役 割 を 果 た し 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ の 状 態 を 抗 炎 症 性 に 保 っ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

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学位論文審査の要旨 主査    教授

副査    教授 副査    教授 副査    教授

筒 井 裕 之 三 輪 聡 一 松 居 喜 郎 渥 美 達 也

学 位 論 文 題 名

内頚動脈剥離術後プラークを用いた動脈硬化進展における      分子学的機序に対する検討

動脈硬化は血管内皮細胞障害を端とし、単球浸潤及び脂肪吸収、炎症・線溶と関係を持ち ながら、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞に至る原因となるが、マクロファージが重要な役割を はたすことが知られている。動脈硬化巣プラークに存在するマクロファージには、向炎症 性 (Ml) と抗 炎症性(M2) の性格を 持っも のが同定 されてお ルプラ ークの脆 弱性に 関連す る と推測さ れているが明らかではない。脂肪細胞内では Adipophilin (ADRP) やPerilipin 等周囲蛋白に囲まれて脂肪は貯留されるが、マクロファージにおける脂肪滴周囲蛋白の存 在と働きに関しては未だ定説を得ていなぃ。本検討では、ヒ卜内頚動脈剥離術後プラーク 内マクロファージの極性とプラークの脆弱性、臨床的なイベントの関係について検討し、

さらにヒト末梢血由来の培養マクロファージを用いて泡沫化や炎症性と脂肪滴周囲蛋白と の関連について明らかにすることを目的とした。免疫染色およびウエスタンブロッティン グ、内頚動脈内膜剥離術後プラークでは先行脳虚血症状を有する群において多数のマクロ ファージの浸潤が認められ、それらの大部分は Ml マクロファージであったことを明らかに し た。対し て無症候群ではM2 マクロファージが主に認められた。リアルタイムPCR によっ て、有症候性群においてMl マーカーおよび向炎症性サイトカインIL −6 、ケモカインMCP 一 1 、 MMP −9 の発現が有意に増加していた。またADRP および Perilipin 両者の存在を確認した。

ADRP は 有症候性プラークで発現が増加し、Perilipin は有症候群と共に無症候群にも存在 が認められた。次にヒト末梢血由来単球から分化させたマクロファージに酸化LDL 及びVLDL を 添加する と、Perilipin でコー卜される大型の脂肪滴と ADRP でコートされた小型の脂肪 滴 が併存し て認められた。中性脂肪は主にPerilipin の発現する大型の脂肪滴内に貯留さ れていた。以上本検討において、プラーク内マクロファージの有する性格とプラークの安 定性、臨床的脳虚血性疾患との関連性を示した。また脂肪滴周囲構造蛋白、特に Perilipin

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は 効 果 的 か つ 安 定 し た 脂 肪 貯 留 に 重 要 な 役 割 を 果 た し 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ の 状 態 を 抗 炎 症 状 態 に 保 つ 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

質 疑 応 答 で は 、 副 査 松 居 教 授 か ら 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ と プ ラ ー ク 破 綻 の 因 果 、 特 に 申 請 者 の 検 討 と は 逆 に プ ラ ー ク が 破 綻 す る こ と が 引 き 金 と な っ て マ ク ロ フ ァ ー ジ が 浸 潤 し た 可 能 性 に つ い て 質 問 が あ っ た 。 次 い で 副 査 三 輪 教 授 か ら 、VLDLコ レ ス テ ロ ー ル 受 容 体 の 構 造 やVLDL コ レ ス テ ロ ー ル と の 結 合 部 位 ・ 方 式 に つ い て 、 ま た 松 居 教 授 の 質 問 を 受 け て マ ウ ス や ウ サ ギ な ど の 実 験 動 物 を 用 い て 、 プ ラ ー ク の 発 生 や 増 大 、 破 綻 を 来 さ せ 解 析 す る 検 討 を 今 後 行 う 可 能 性 と 必 要 性 に つ い て 質 問 が あ っ た 。 次 い で 主 査 筒 井 教 授 か ら 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ が 含 有 す る 脂 肪 滴 の 大 き さ の 規 定 に つ い て 、 脂 肪 滴 を 囲 む 脂 肪 滴 周 囲 蛋 白 に つ い て 、 小 脂 肪 滴 が 含 有 す る 脂 質 の 内 容 に つ い て 質 問 が あ っ た 。 次 い で 副 査 渥 美 教 授 か ら 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ を プ ラ ー ク ヘ 浸 潤 さ せ る 、 ま たMl/M2マ ク ロ フ ァ ー ジ ヘ の 分 化 を 運 命 づ け る 、 そ れ ぞ れ の 因 子 に つ い て 、 ま た プ ラ ー ク ヘ 沈 着 す る コ レ ス テ ロ ー ル の 種 類 に つ い て の 質 問 が あ っ た 。 い ず れ の 質 問 に 対 し て も 、 申 請 者 は 概 ね 適 切 に 回 答 し た 。

こ の 論 文 は 、 動 脈 硬 化 の 担 い 手 で あ る マ ク ロ フ ァ ー ジ の 有 す る 炎 症 ・ 線 溶 に 対 す る 性 格 と 、 プ ラ ー ク の 脆 弱 性 及 び 脳 虚 血 疾 患 の 発 症 と の 関 連 を 明 ら か に し 、 更 に マ ク ロ フ ァ ー ジ が 貯 留 す る 脂 肪 に つ い て 明 ら か に し た 点 で 高 く 評 価 さ れ 、 本 論 文 の 成 果 か ら 今 後 さ ら な る 動 脈 硬 化 の 病 態 解 明 と 新 し い 治 療 開 発 が 期 待 さ れ る 。

審 査 委 員 一 同 は 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 大 学 院 課 程 に お け る 研 鑽 や 取 得 単 位 な ど も 併 せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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参照

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