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植 物 プ ラ ン ク トン個 体 群 内 の遺 伝 的 多 様 性 モ ニ タ リ ン グ技 術 の 開発

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Academic year: 2021

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総 合理学研 究 所1997年 度産 学協 同 プ ロジェク ト報告

1.遺 伝 子 増 幅 技 術(PCR)を 利 用 した

植 物 プ ラ ン ク トン個 体 群 内 の遺 伝 的 多 様 性 モ ニ タ リ ン グ技 術 の 開発

メ ンバ ー構 成

研究 代表 者 鈴 木祥弘 共 同研究 者 村 上 悟 富沢健 一 井村 智

神奈川大学応用生物科学科 神奈川大学応用生物科学科

財団法人地球環境産業技術研究機構 国立極地研究所

助手 教授

主任研究員 助手

目的

分 子 生 物 学 的 技 術(バ イ オ テ ク ノ ロジー)の 普 及 に伴 い 、 旧来 、 高 価 で 熟 練 を 要 し て い た 技 術 が 、 近 年 、 比 較 的 安 価 で 容 易 に利 用 で き る よ う に な っ て き た 。 中 で も、 サ ー マ ル サ ー キ ュ ラー を用 い たpolymerasechain反 応(PCR)に よ るDNA増 幅技 術 は 、 極 め て 少 量 の試 料 か ら簡 便 に 目的 のDNAを 検 出で き る優 れ た技 術 で あ り、 犯 罪 捜 査 や 病 原 菌 の検 出 に代 表 さ れ る よ う に、 様 々 な 分 野 で広 く利 用 され て い る。

本 研 究 で は 、 このPCRに よ るDNA増 幅 技 術 を、DNA塩 基 配 列 を指 標 と して 植 物 プ ラ ン ク トン 各 個 体 を 同定 す るた め に利 用 し、 さ ら に、 この技 術 を用 い て 、 「同 じ種 で あ り な が ら少 しず つ 違 う遺 伝 子DNAを 持 つ 個 体 が 、 自然環 境 中 で そ れ ぞ れ ど の よ う に生 きて い る か 」 を 環 境 変 動 と対 応 づ けて 解 析 す る こ とを 目指 す 。 この た め に 、1 .植物 プ ラ ン ク ト ン各 個 体 か ら増 殖 させ た 少 量 の 細 胞 よ りDNAを 抽 出 ・増 幅 す る技 術 の 開 発2 .植物 プ ラ ン ク トン の個 体 識 別 に適 当な 「個 体 間 に違 い の認 め られ るDNA」(指 標DNA)の 選 択 3.指 標DNAに よ る 自 然環 境 中 で の 個 体 群 動 態 の測 定 の三 段 階 を経 て 研 究 を 実 施 す る 。 本 年 度 は 、 こ の うち 第 一 段 階 で あ る少 量 の細 胞 よ り、DNAを 抽 出 し、 増 幅 す る技 術 の 開 発 を 行 っ た 。

材料 と方 法

材 料

東 京 湾 試 水 よ り 単 離 し た 珪 藻 類S1(ele亡01りemacostotum(Grev.)の 単 細 胞 由 来 の 株 (S1株)(Suzuki&Takahashi1995)を 用 い た 。 こ の 株 を3.0%人 工 海 水(SIGMA)に

GuiUard&Ryther(1962)の 組 成 で 栄 養 塩 を 強 化 し たF/2培 地 を 用 い て 、2.Ol三 角 フ ラ ス コ 中 、25℃ 、 蛍 光 灯(NationalF120S.N‑EDL.NU)に よ る 照 度100オrnolphotons

m2s‑1連 続 照 明 下 で バ ッ チ 培 養 し た 。 対 数 増 殖 期 に あ る 細 胞 を 静 置 し て 沈 降 さ せ 濃 縮 し た あ と 、4℃12000rpmで10分 間 遠 心 し 集 め た 。 こ の 細 胞 を 液 体 窒 素 で 凍 結 し 一84℃ で 保 存 し て お い た も の を 以 下 の 実 験 に 用 い た 。

DNAの 抽 出

160℃ で4時 間で乾熱滅 菌 を行 った乳鉢 を準備す る。 この乳 鉢 を液 体窒 素 で冷却 し て お いた もの に凍結試料 を移 し、液体 窒 素 を加 えなが ら粉末 に した 。 さ らに乳 鉢 中で液体

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窒 素 を 加 え な が ら 、 試 料 の 湿 重 量 の5倍 量 の 抽 出 緩 衝 液(50mMTris‑HCIIOmMNaCI

2mMMgCl2最 終 濃 度)を 加 え た 後 、 再 度 粉 末 に し 、 そ の 後 氷 上 で 解 凍 し た 。 こ の 破 砕 液 を95℃ で20分 処 理 し 鋳 型DNAと し て 用 い た 。 必 要 に 応 じ て 破 砕 液 をChelex‑100(BIO‑

RAD)5%(最 終 濃 度)お よ びProteinaseK溶 液(16.2mg/mD(BoehringerMannheim) を 加 え 処 理 後 、 鋳 型DNAと し て 用 い た 。

DNAの 増 幅

プ ラ イ マ ー と し てrbc‑L(リ ブ ロ ー ス ニ リ ン 酸 カ ル ボ キ シ ラ ー ゼ ・オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ー大 サ ブ ユ ニ ッ ト遺 伝 子)の 保 存 領 域 を 利 用 し た23塩 基 の フ ォ ワ.̲..̲.ド・リ バ ー ス 両 プ ラ イ マ ー を 設 計 し 合 成(宝 酒 造)、 解 析 に 用 い た 。 こ の プ ラ イ マ ー を 用 い て 総 量50.0オ1の 系 で PCRThemlalcycler(TaKaRaPCRThermalcyclerpersonal)お よ びTaqDNA

polimeraze(TaKaRaTaqTM)を 用 い てPCR緩 衝 液(IOmMTris‑HCI50mMKCI1.5mM

MgC12)中 で 異 な る 処 理 に よ り 得 ら れ た い く つ か の 鋳 型DNAを 濃 度 を 変 え て 添 加 し 反 応 を 行 っ た 。

結 果

抽 出緩 衝 液(50mMTris‑HCIpH.8.0、20mMEDTA)中 で 破砕 した細 胞 を1%

SDS、ProteinaseK(最 終 澱0.2㎎/m1)50℃ で12時 間処 理 後 、 フェ ノー ル ・ク ロ ロ フ ォル ム 法 で精 製 した5.costatumS1株 のゲ ノムDNAlngを 鋳 型DNAと して 前 記 の プ ラ イ マー0.1オM(最 終 濃 度)で 反 応 を行 った 。95℃ で2分 処 理 後 、94℃1分 、55℃1分 、72

℃1分 のサ イ クル を30サ イ クル 行 い、 最 後 に72℃ で7分 間処 理 した 。 この反 応 液10オ1 につ いて1.2%ア ガ ロー ス ゲ ル を用 いて 電 気 泳 動 を行 った 。そ の 結果 、約400塩 基 の位 置 に1本 のエ チ ジ ウム ブ ロマ イ ドで 染 色 され たバ ン ドが 認 め られ た 。 さ らに 、 このバ ン ドか らDNA断 片 の精 製 を試 み(TaKaRaGeneCleanII)、 得 られ たDNA断 片 をTA‑cloningに よ りpCRvector(lnvitrogen)に 組 み 込 み 、大 腸 菌(OneShotcells(lncitrogen))に 導 入 した 。 この大 腸 菌 をLB培 地2mLで 培 養 し、 そ の細 胞 か らアル カ リSDS法 で精 製 した DNAを 用 い て塩 基 配 列 を決 定 した と ころ、 既知 のS。costatumrbc‑Lと 非 常 に高 い相 同 性

を示 した 。 この結 果 は 、 前 記 の反 応 条 件 で ゲ ノムDNAか らrbc‑Lの 特 定 の領 域 が特 異 的 に 増 幅 され る こ とを示 して い る。 このた め 、 少 量 試料 か ら様 々 な方 法 で抽 出 したDNAを 鋳 型 と して 前 記 の条 件 で 反 応 させ る系 を用 いて 、DNAを 伸 長 させ 、伸 長 の有 無か ら抽 出 法

の 良 ・不 良 を検 討 した 。

まず 、凍 結 試 料 に5倍 量 の抽 出緩 衝 液(50mMTris‑HCIIOmMNaCI2mM

MgCI2最 終 濃 度)加 えて 液 体 窒 素 存 在 下 で 粉 末 に した 破砕 液 を95℃ で20分 処 理 した 。 こ れ を氷 水 に浸 け て急 冷 し、0℃ で20分 静置 した 後 、4℃12000rpmで3分 間遠 心 した 。そ の 上 清 を鋳 型DNAと して 用 いた 。3〜10オ1の 鋳 型DNAを 上記 の反 応 系 に添 加 したが 、 いず れ の反 応 液 を電 気 泳 動 した1.2%ア ガ ロー ス ゲ ル に もバ ン ドは認 め られ な か った 。 この た

め 、熱 処 理 に加 えて い くつ か の処 理 を破 砕 液 に 行 っ た 。 まず 、Chelex‑100を 添 加 して 、 鋳 型DNAの 抽 出 を試 み た 。 破 砕 液 に10%Chelex‑100溶 液 を等 量 添 加 し、‑20℃ で30分 静 置 。 そ の後95℃ で25分 処 理 した 試 料 を直 ぐに氷 水 に浸 け て急 冷 し、 そ の ま ま20分0℃ で 静 置 した 。4℃12000rpmで3分 間 遠 心 した 後 、 上清 を鋳 型DNAと して用 い た。3〜10オ1

の鋳 型DNAを 添 加 した が いず れ の反 応 液 の電気 泳 動 に もバ ン ドは認 め られ なか った 。 こ

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のた め 、 さ らに 、破 砕 液 にProteinaseK(最 終 濃 度0.2㎎/m1)を 加 え50℃ で2時 間 処 理 を行 った 。そ の後 上記 の10%Chelex‑100溶 液 を等 量 添 加 し、‑20℃ で30分 静 置 ・95℃ で 25分 処 理 後 急 冷 、0℃20分 静 置 を行 った 。4℃12000rpmで3分 間 遠 心 した後 ・ 上 清 を鋳 型 DNAと して 用 いた 。3〜10オ1の 鋳 型DNAを 添 加 した が いず れ の反 応 液 の電 気 泳 動 に も ・ 予 想 され た400塩 基 の位 置 に エ チ ジ ウム ブ ロマ イ ドで 染 色 され た バ ン ドが 認 め られ た 。

考 察

PCRの 鋳 型DNAと して 、 比較 的 純 度 の低 いDNA標 品 を用 い る ことが 可 能 で あ る こ とが 経 験 上知 られ て お り、 この た め 、鋳 型DNAを 調 整 す るた め の簡 便 な 方 法 が 数 多 く開 発 され て き て い る(Rolfsetal.1992)。 本 研 究 で は これ らの方 法 の 中 で も特 に簡 便 な 方 法

の幾 つ か を珪 藻 類 のDNAの 抽 出 に適 用 し、抽 出 され たDNAが 鋳 型 と してPCRに 使 用 可 能 で あ るか を検 討 した 。 そ の結 果 、95℃ 保 温 に よ る抽 出法 や 、 これ に キ レー ト剤 で あ る Chelex‑100を 加 え た 改 良 法 で は珪 藻 細胞 か らは鋳 型DNAの 抽 出 が 困難 で あ る こ とが 明 ら

か にな った 。 このた め 、抽 出効 率 を上 げ る こ とが予 想 され るProteinaseK処 理 を試 み た 。 藻 類 か らのDNA精 製 で はProteinaseKに よ る タ ンパ ク質 の消 化 が 極 め て 有 効 で あ る こ と が 知 られ て い る(太 田personalcomunication)。 本研 究 で は、 このProteinaseK処 理 が 珪 藻 細 胞 か らの鋳 型DNA抽 出 に も有 効 で あ る こと を明 らか に した 。 今 回 開発 され た 方 法 は 、最 も簡 便 な95℃ 処 理 に よ る抽 出法 に比 べ て 数 時 間 の余 剰 の時 間 を必 要 とす る が 、 湿 重 量0.5mg以 下 の 生物 試 料 か ら鋳 型DNAを 抽 出可 能 で あ り、 当初 の 目的 で あ る 「植 物 プ ラ ンク トン各1個 体 か ら増 殖 させ た 少量 の細 胞 よ り、DNAを 抽 出 ・増 幅 す る技 術 」 と し て十 分機 能 す る と考 え られ る。

今 後 、 こ の方 法 を用 いて 研 究 を継続 す る予 定 で あ る。

参 考 文 献

Guillard,R.R.L.andRyther,J.H.1962.Studiesofmarineplanktonicdiatoms.1.

CyclotellananaHustedtandDetonulaconfervacea(cleve)Gran.Can.J.Microbiol.

8二229‑39,

RolfsR.,SchullerI.,FinckhU.andWeber‑RolfsI.1992.PCR:ClinicalDiagnosticsand Research.Springer‑VerlagBerlinHeidelbelg.

Suzuki,YandTakahashi,M.1995.Growthresponsesofseveraldiatomspecies isolatedfromvariousenvironmentstotemperatureJ.phycol.31二880‑888

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参照

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