326 氏名(生年,月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(102) カモ ガワ ユ ミ コ鴨川由美子(昭和
博士(医学) 二二1349号平成5年2月19日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文畢出者)
Hepatitis B virus・DNA transfected myeloma ce孤speci且。 cytotoxic T cells h chronic hepatitis B patients(慢性B型肝炎患者におけるB型肝炎ウイルスDNA導入細胞特異的細胞
障害性丁細胞) (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 内山 竹彦,福山 幸夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 B型肝炎ウイルス(以下HBV)はヒトに慢性肝炎, 肝硬変,肝癌をひき起こす病原ウイルスである.その 肝炎発症の機i序は,細胞障害性T細胞(以下CTL)に よると考えられているが,HBVの宿主域が霊長類肝 細胞に限定されている事より,未だ明らかにされてい ない.HBVの肝障害の機序を細胞レベルで解明する ため,in vitroの実験系を作製し,’慢性B二五患患者 (以下BCH)リンパ球の細胞障害活性及び標的抗原を 検討した. 方法 1.感染肝細胞モデルとして,クローン化されたHBVゲノムDNAよりHB表面抗原(以下HBsAg),
1{Bコア抗原(以下HBcAg)をcodeする部分を切り 出し,electroporation法によってヒトミエローマ細胞 に導入,HBsAg, HBcAgを特異的に表出する細胞 (S6, C4)を作製した. 2.患者はHBsAg陽性,肝生検,臨床症状よりB・ CHと診断された13人(平均年齢42歳),対照として無 症候性キャリア9人,非B型慢性肝炎患者7例を用い た. 3.作製した標的細胞(S6, C4)に51Crでラベルしこ れに患者末梢血より分離したリンパ球を加え培養 し,51Cr放出量によって細胞障害活性を測定した. 結果 B-CH患老リンパ球中には,対照群に比しS6, C4細 胞に対するCTLによる有意な細胞障害活性が存在し ていた(p〈0.01).又S6, C4間での差は認められず, この活性は抗CD3抗体,抗HLA抗体によって阻害さ れることが確認された. 考察 HBVは感染個体によって異る病態を引き起こすウ イルスである.同じHBVが一方の群では慢性肝炎,肝 硬変を起こし,一方の群.(無症候性キャリア)では肝 障害を起こさない.この差は未だ解明されていないが, 今回の実験系では,B-CH患者にはHBsAg, HBcAg 両方に対するCTL活性が存在し,無症候性キャリア .にはその活性が認められなかった.又このCTL活性 は,非B型慢性肝炎患者にも存在しなかった事より, 宜BVによる肝炎発症に重要な役割を担っているもの と考えられた. 結論 B型慢性肝炎患者リンパ球中には,HBsAg, HBcAg 特異的CTLが存在し,これらの細胞が肝炎発症の機 序に大きく関与している可能性が示唆された. 一960一327