髄膜 炎 による脳 血管攣縮後 に生 じた中膜筋細胞壊死
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(2) 索 が 主 体 を な し電 顕 的 検 索 は な さ れ て お らず,中. 膜筋細胞. (Fig.1B).し. か し,左. 側の 中大脳動 脈の皮 質枝 には一部. 壊 死 の 電 顕 的 研 究 は 例 外 な く実 験 動 物 を対 象 と した もの で. 血 管 攣 縮 が 残 存 し て い た.ま. あ る1・2・5」0・13・17).. は と も に 血 管 拡 張 を示 し て い た.4月24日. のCTス. に て 脳 室 拡 大 が 確 認 さ れ た た め,4月26日. 脳室 一 体 外 ドレ. 最 近 我 々 は,髄 た1例. 膜 炎 に 合 併 し た 脳 血 管 攣 縮 に よ り死 亡 し. を経 験:し,攣. ま れ た.本. 縮 血 管 の 新 鮮 標 本 を採 取 す る 機 会 に 恵. 論 文 に お い て は,髄. 膜 炎 に よ る脳 血 管 攣 縮 後に. 生 じ た 中 膜 筋 細 胞 壊 死 に つ き,光. 顕 お よ び電 顕 の 両 者 を用. い て 検 索 し報 告 す る.. 主 訴:発. 熱,頭. 例. 識 障害. 診 断 で 半 年 間 入 院 し た.そ. を 抜 去 し た.そ. れ 以 来,慢. 性 副 鼻 腔 炎 を繰 り返. し指 摘 され た が 放 置 し て い た. 現 病 歴:1984年4月5日. と発 熱 が 出 現 し し だ い に. 頭 痛 お よ び 嘔 気 ・嘔 吐 が 加 わ っ て き た.2日. 後,某. 医 を受. 診 し上 気 道 炎 の 診 断 に て セ フ ァ ゾ リ ン を投 与 さ れ た.発. た め,4月9日. 当 科 に 入 院 し た.. で あ っ た.中. 等 度 の 項 部 強 直 が み られ,ケ. 貌 は苦 悶状. ル ニ ッ ヒお よ び. 孔 不 同 と 右 上 下 肢 の 軽 い 麻 痺 を 認 め た.体 間 値115mm,2時. 血 球 は15,500/mm3で. 胞 数 は,リ. 瞳. 温 は37.5。Cで,. 間 値141mm,末. 梢血 の 白. 左 方 移 動 を示 し た.腰. 椎 穿 刺 で は髄. 液 圧85mmH20で,髄. で,成. 日150〜280m1の. 液 は 白 黄 色 調 の 混 濁 を 示 し た.細. ン パ 球2,360/3mm3,多. 核 白 血 球1,296/3mm3. 分 は 蛋 白232mg/d1,糖22mg/d1で. あ っ た.全. を通 じ て 髄 液 中 の 細 菌 や ウ イ ル ス は 同 定 され ず,培 も 陰 性 で あ っ た.CTス. の 後,CTス. さ ら に 進 行 し,5月. 髄 液 を排 出 し た が,. キ ャ ンの 再 検 で は 脳 室 拡 大 は. 中 旬 よ り左 に 大 き な 瞳 孔 不 同 が 常 時 み に は 痛 覚 刺激 に 対す る左 上. キ ャ ン で は,左. 経過. 者 は 昏 睡 状 態 と な っ た.CT. ス キ ャ ン に て 両 側 の 中 大 脳 動 脈 領 域 に 梗 塞 を示 す 低 吸 収 野 が 新 た に 出 現 し て き た が,正 6月5日,脳. 中 線 の 偏 位 は み られ な か っ た.. 血 管 撮 影 を 再 検 し た と こ ろ,ウ. か も 循 環 時 間 は 著 し く 遅 延 し て お り,造. 影剤 の注. 入 開 始10秒 後 で も静 脈 相 は 描 出 さ れ な か っ た.こ. の循 環 時. 間 の 遅 延 は,す. で に 発 症 後2ヵ. 月 を 経 過 し て い る こ とや 髄. 液 圧 は 正 常 で あ る こ と な ど よ り,血. は,さ. る 低 吸 収 野 が 出 現 し,右. 症67日. 目 の6月11日,患. 鈎 ヘ ル ニ ア の た め 死 亡 し た. 剖 検 所 見:死. 亡2時. 間 後 に 局 所 解 剖 を 行 っ た と こ ろ,左. 養結果. 前 頭 洞 の 後 壁 に10×15mm大. の 欠 損 が 認 め ら れ た.前. 洞 は 少 量 の 膿 汁 を 含 み,そ. の 粘 膜 と前 頭 極 付 近 の硬 膜 が 直. ペ ラ シ リン の全 身 投 与 か し,治. は な く意 識 障 害 は 着 実 に 進 行 し,4月15日. に は 意 識 レベ ル. 液 圧 は310mmH20と. 療効果. 上 昇 して い た. キ ャ ン で み られ た. 側 の 中 大 脳 動 脈 領 域 と後 頭 葉 お よ. び 小 脳 半 球 は 著 明 な 軟 化 を 示 し て い た.左 は3×4cm大. 前頭葉の底面に. の 陳 旧 性 の 脳 挫 傷 が み られ た.視. 交 叉槽 と. シル ビ ウ ス裂 の クモ 膜 は 肥 厚 して お り,ク モ 膜 下 腔 で は 黄. 覚 に 対 す る 自動 運 動 は ま っ た くみ られ な く. 輪 は 肉眼 的 に 灰 白色 を呈 し,割 面 をみ る と内 腔 は 血 管 壁 の. のCTス. キ ャ ン で は,両. 血 管 撮 影 を 行 っ た と こ ろ,内. 側 の 内包 膝 部 付. 頸 動 脈 の終 末 部 とそ. の 主 要 分 枝 お よ び脳 底 動 脈 に 強 度 の 血 管 攣 縮 が み られ た (Fig.1A).中. 低 吸 収 野 に 一 致 し て,両. 全 体 に 腫 脹 し て お り,脳. 褐 色 調 の 膿 性 浸 出物 が脳 血 管 を取 り囲 ん でい た.ウ ィ リス. の 後,右. 近 の 基 底 核 と 小 脳 半 球 に 梗 塞 を示 す 低 吸 収 野 が み られ た. 翌 日,脳. 重 は1,530gで. 頭. 上下肢の麻. 底 の 異 常 は み られ な か っ た.そ. な っ た.4月19日. 者 は脳. 前 頭葉 に 陳 旧 性 の. と ア ミ カ シ ン の 髄 腔 内 投 与 が な さ れ た.し. 痺 は 増 悪 し,痛. キ ャ ンで. 側 脳 室 は 著 明 に 圧 排 され 正 中 線 は. 左 方 へ と 偏 位 し て い た.発. 鈎 ヘ ル ニ ア が 両 側 性 に み られ た.CTス. が,眼. のCTス. ら に 両 側 の 後 頭 葉 に 後 大 脳 動 脈 の 血 流 障 害 を示 唆 す. た.. は 半 昏 睡 と な っ た.髄. 管 内腔 の形 態学 的狭 窄. に 起 因 す る も の と 推 定 さ れ た.6月8日. に 接 し て い た.脳. 間 に わ た り,ピ. ィ リス輪 とそ. の 主 要 分 枝 は 全 般 的 に 強 度 の 狭 窄 を 示 し て い た(Fig.1c,. 脳 挫 傷 と思 わ れ る 低 吸 収 野 が み られ る 以 外 に 異 常 は な か っ. 入 院 後 経 過:3週. レナ ー. に 脳 室一 体 外 ドレナ ー ジ. ら れ る よ う に な っ た.6月1日. D).し. 者 は 傾 眠 状 態 を呈 し,顔. ラ セ ー グ 徴 候 は 陽 性 で あ っ た.左3.Omm,右2.5mmの. 赤 沈 は1時. 熱. の 後軽 度 の 意 識 障害 が 出 現 して き た. 当 科 入 院 時 所 見:患. 白35mg/d1,糖. 室 一 体 外 ド レ ナ ー ジ を200mmH20. 下 肢 の 逃 避 運 動 も 消 失 し,患. 朝,咳. 液 は. ジ の 一 時 的 閉 鎖 に よる頭 蓋 内 圧連 続 記録 で は頭 蓋 内圧 が ほ. 通 事 故 に あ い 前 頭 骨 骨 折 と脳 挫 傷 の. は 一 時 軽 快 し た が,そ. 胞 数15/3mm3,蛋. あ っ た.脳. キャン. 室 内 圧 は270mmH20で,髄. ぼ 正 常 範 囲 に あ る た め,5月8日. 痛,意. 時,交. 66mg/d1で. 大 脳 動 脈 と上 小 脳 動 脈. 意 識 レ ベ ル や 右 片 麻 痺 の 改 善 は み られ な か っ た.ド. 性. 既 往 歴:13才. 淡 い 黄 色 調 を 呈 し,細. の 高 さ に 設 定 し,毎. II症 <患 者>34才,女. ナ ー ジ が 施 行 さ れ た.脳. た,後. 大 脳 動 脈 で は,右. 管 攣 縮 を 示 す の に 対 し,左. 側 の シ ル ビ ウ ス裂 部 が 血. 側 の 同 部 は 血 管 拡 張 を示 し た. 肥 厚 に よ り著 し く狭 窄 して い た.. 皿. 病理標本作製. 両 側 の中 大 脳 動 脈 と後 大 脳 動 脈 お よ び脳 底 動 脈 よ り標 本 を採 取 した.光 顕 用 の標 本 は,10%ホ. ル マ リン で2週 間 固. 定 した の ち 脱 水 し,パ ラ フ ィ ン に包 埋 した.約5μmの. 厚.
(3) Fig. 1 A: Right carotid angiogram on April 20 showing vasospasm of the internal carotid artery and its main branches. B: Left carotid angiogram on the same day showing marked vasodilatation of the Sylvian arteries. C: Repeated right carotid angiogram in June showing stenosis of both the internal carotid artery and its main branches. D: Repeated left carotid angiogram on the same day showing marked stenosis of the Sylvian arteries.. さ に 薄 切 を 行 い,hematoxylin‑eosin染 で 観 察 し た.一 デ ヒ ドで2時. 間 後固. 心 性 肥 厚 に よ り血 管 内腔 は 高 度の 狭 窄 を示 した.肥 厚 した 内膜 の 中 に は,卵 円形 の核 を有 し不 整 な紡 錘 形 を示 す 好 酸 性 の細 胞 が不 規 則 に 多数 増 殖 してお り,時 に小 出血 巣 や リ. ポ ン812に 包 埋 し. ンパ 球 の 浸 潤 もみ られ た.円 形 ない し楕 円形 の 核 を持 つ 内. ル ト ラ ミ ク ロ トー ム に よ り ダ イ ヤ モ ン ドナ イ. 皮 細 胞 は 密 に 配 列 してお り,内 皮 下 層 に は部 分 的 に 赤 血 球. 立H‑600型. ラ ニ ー ル と 酢 酸 鉛 の2重. 染 色 を施. の 電 子 顕 微 鏡 で 観 察 し た.. IV結 1.光. ル タールア ル. ス ミ ウ ム 酸 で1時. タ ノー ル 系 で 脱 水 し,エ. フ を 用 い て 薄 切 し,ウ し,日. 色 を 施 し光 学 顕 微 鏡. 顕 用 の 標 本 は2.5%グ. 間 前 固 定 し,1%オ. 定 し た の ち,エ た.LKBウ. 方,電. 果. 顕的検 索. 中 大 脳動 脈 と後 大 脳動 脈 お よび 脳 底動 脈 は,部 位 を問 わ ず ほ ぼ 同様 の 組織 学 的 変化 を示 した.す な わ ち,内 膜 の求. や 血 漿 の 貯 留 がみ られ た.外 膜 は線 維 性 に肥 厚 して お り, 赤 血 球 をは じめ多 核 白血 球 や リンパ 球,形 質 細 胞,大 食 細 胞 な どの 炎 症 細 胞 が 多 数 集 積 し,し ば し ば小 血 管 の増 生 が み られ そ の 一 部 は 中 膜 に も 及 ん でい た. 中 膜 は,内 膜 とは 対 照 的 に 全 体 的 に 著 明 な 菲 薄 化 を示 し た.中 膜 筋 細 胞 の 層 状 配 列 は 筋 細 胞 壊 死 に よ り局 所 的 な 乱 れ や 断 裂 像 を示 し(Fig.2),筋. 細 胞 壊 死 が 全 層 に わ た り生.
(4) Fig. 2. Microphotograph of the posterior cerebral artery showing intimal thickening (I) and extensive necrosis of the smooth-muscle cells in the media (M). HE stain, X 360.. じた 部 分 で は,中. 膜 は 完 全 に 線 維 性 組 織 に 置 換 され て い. 中 膜 筋 細 胞 の 超 微 構 造 は 筋 細 胞 壊 死 の 発 達 過 程 を よ く示. た.ま た 中 膜 筋 細 胞 の 核 は 不 規 則 な くび れ や 迂 曲 を示 す も. し て お り,早. 期 に はmyo51amentの. の が 多 く,筋 細 胞 の 壊 死 が 進 展 しつ っ あ る と こ ろで は 好酸. myo丘lamentの. 短 小 化 や 走 行 の 乱 れ,お. 性 を示 す 胞 体 は 萎縮 して お り,そ の 付 近 に は 多 核 白血 球 の. な どが み られ た(Fig.3).変. 変 性 が 特 徴 的 で, よ び絶 対数 の 減 少. 性 が 進 む と核 の 周 囲 部 分 よ り. 浸 潤 が 多数 み られ た.中 膜 最 内 層 の 内 弾 性 板 直 下 に は,赤. myomamentは. 血 球 や 血 漿 様 物 質 が 貯留 して お り,多 核 白血 球 や リンパ球. 融 解 消 失 し(Fig .4),伽egranularmateria1. や 且lamentousmaterialが. もみ られ た.こ れ ら脳 主 幹動 脈 の 周 囲 の ク モ膜 下 腔 で は一・. は 周 辺 部 分 の 空 隙 形 成 に 始 ま り,核. 般 に線 維 化 が強 く,多 数 の 炎症 細 胞 と赤 血 球 がみ られ た.. の 稀 薄 化 やnuclearinclusionbodyの. 沈 着 し て い た(Fig.5).核. 増 加 な ど が み られ た. 小 血 管 は うっ血 に よ り拡 張 してお り,血 管 壁 は肥 厚 し透 過. (Fig.3,4,6).胞. 性 の充 進 を示 唆 して い た.. 大 き さ に 匹 敵 す る 大 空 胞 の 形 成 が み られ た が,変. 2.電. 顕的検索. トコ ン ドリア の膨 化 や 核 の. と 多 数 の 小 空 胞 やlysosome,densebodyな. 内 皮 細 胞 は 一 般 に 壁 が 厚 く,ま て お り,血. 体 内 で は,ミ. れに内皮細胞間隙が開い. 液 成 分 が 内 皮 下 層 へ と 流 出 す る 像 が み ら れ た.. 加 し た(Fig.7).中. どが胞 体 内 に増. 辺 の 細 胞 膜 とdenseattachmentは. 温 存 さ れ て い た(Fig.6,. 7)が,時. myomamentと. み ら れ た も の と 同 様 の 基 底 膜 様 物 質 が み ら れ た,ま. し,周. 有. 囲 を厚 い 基底 膜 様 の 無 定形 物質 で覆 われ て い る こ と. よ り,平. 滑 筋 細 胞 と 同 定 され た.し. か も,こ. れ らの細 胞 の. 一 部 は よ く発 達 し た 粗 面 小 胞 体 を持 つ こ と よ り. ,平. 胞 と 線 維 芽 細 胞 の 中 間 的 性 状 を示 すmyo丘br・blastで と 思 わ れ た.間. 質 に は 多 数 のcollagen丘brilと. material,且negranularmaterialな. ど が み られ た.. 滑筋細 あ る. 且1amentous. 性が進む. 膜 筋 細 胞 が 完 全 な壊 死 に 陥 る ま で は 周. 内 膜肥 厚部 に増 殖 して い る細 胞 は 長軸 方 向 に 密 に走 行す る 多 数 のdensebody,denseattachmentを. の変性. の 中 央 部 の ク ロマ チ ン. に これ らの 細 胞膜 の 周 囲 に は 内膜 の 平 滑 筋 細 胞 に. 性 を示 す 中 膜 筋 細 胞 の 間 隙 に は,し 潤 が み ら れ た(Fig.5,8).中 化 で あ り,多. た,変. ば しば 多 核 白血 球 の浸. 膜 筋 細 胞壊 死 の 終 末 像 は 線 維. 数 のcollagen5bri1の. 中に細胞 残渣や 多核 白. 血 球 な ど の 集 積 が み られ た(Fig.7,8)..
(5) Fig. 4. Fig. 3 Electron micrograph of the basilar artery, showing degenerating smooth-muscle cell (D) with an increase of nuclear inclusion bodies (arrows). X5,400, Bar= 3.5 Min.. V考 1.髄. 大 脳 動 脈 の シ ル ビ ウス 裂 部 や 両 側 の 後 大 脳 ・上 小 脳動 脈 な. 察. どで確 認 され た.脳 血 管 攣 縮 後 に 脳 血 管 の 拡 張 が 生 ず る こ と は,髄 膜 炎3・ll)の み な らず ク モ 膜 下 出血15・19,20)で も報 告. 膜 炎 に お ける 三 相性 の脳 血 管 病 変. 1964年Greitzは,結. 核 性 髄 膜 炎 に お い て血 管 写 上 ウ ィ. リス 輪 が 不 規 則 な 狭 窄 像 を示 す こ と を 報 告 し た7).そ 来,結. れ 以. 核 性 の み な らず 化 膿 性 の 髄 膜 炎 に 合 併 す る脳 血 管攣. 縮 の 症 例 は 多 数 報 告 さ れ て き た.し. か し,そ. Electron micrograph of the middle cerebral artery, show ing dissolution of perinuclear myofilaments (M) in the degenerating smooth-muscle cell. X4,090, Bar=5.0 ,Um.. の ほ とん どは. され て い る.Davisら よ る中 膜 のatonyや. は,脳 血 管 拡 張 の 成 因 と して 炎症 に 局 所 の癒 着,ア. シ ドー シ ス な どの 関与. を推 定 した3}.我 々は 第 一 相 の 脳 血 管 攣 縮 に よ り中膜 筋 細 胞 の 壊 死 が進 み,Fig.2で. 示 し た ご と くそ の 絶 対数 が 減 少. 神 経 放 射 線 学 的 な 検 索 結 果 を 述 べ た に す ぎ ず6,9・11・12・14;,攣 した た めに 二 次 的 に 中 膜 の 収 縮 力 が低 下 し血 管 の 拡 張 が 生 じた もの と推 定 す る.さ て,第 三 相 は 発 症2ヵ 月 目の 脳 血 縮 血 管 を 組 織 学 的 に 検 索 し た 報 告 は き わ め て 少 な い3」・bl. 本 症 例 で は,脳. 血 管 撮 影 とCTス. キ ャ ン を 繰 り返 す と 同 時. に 合 併 す る 脳 血 管 攣 縮 の 病 態 を詳 細 に 知 り え た.本. が 示 唆 され た.す. な狭 窄 像 で あ る.そ の 原 因 と して は,該 当血 管 の 光 顕 的 検. 症例の. 索 で確 認 され た よ うに,内 膜 の著 明 な肥 厚 に よ る血 管 内 腔. 膜 炎 は 三 相 性 の 脳 血 管 病 変 を呈 す る こ と. の形 態 学 的 狭 窄 が考 え られ る.す な わ ち,第 一 相 の 脳 血 管. な わ ち,第. 攣 縮 に よ り内皮 細 胞 が障 害 され そ の透 過 性 が尤 進 した た め. 一 相 は 髄 膜 炎 そ の もの の 刺 激. に よ る 脳 血 管 攣 縮 で あ り,こ られ た こ と,発. 症2週. 目に 片麻 痺 が み. に 内皮 下 水 腫 が発 生 し,こ の水 腫 を器 質 化 す るた め に内 弾. キ ャ ンにて 両 側 の基 底. 性 板 よ り盗 出 した平 滑 筋 細 胞 が増 殖 して 多量 の結 合 組 織 を. れ は 発 症4日. 間 目 にCTス. 核 部 と 小 脳 半 球 に 低 吸 収 野 が 出 現 し た こ と,さ. らに脳 血 管. 撮 影 に よ り直 接 血 管 攣 縮 が 確 認 さ れ た こ と な ど よ り 明 ら か で あ る.第 り,こ. ィ リス輪 とそ の 主 要 分 枝 の 全 般 的. 膜炎. に 光 顕 と電 顕 の 両 者 に よ る 検 索 を行 う こ と に よ り,髄. 検 索 結 果 か ら,髄. 管 撮 影 で確 認 され た,ウ. 二 相 は 脳血 管 攣 縮 後 に 生 じた脳 血 管 の拡 張 で あ. れ は や は り発 症2週. 問 目 の 脳 血 管 撮 影 に よ り,左. 中. 産 生 したた め に 内膜 の肥 厚 が生 じた もの と推 定 され る. 2.ク. モ 膜 下 出血 後 に生 ず る脳 血 管 攣 縮 との 異 同. す で に我 々 は,ク モ膜 下 出血 後 に致 死 的 な脳 血 管 攣 縮 を 合併 した臨 床 剖 検 例 を病 理学 的 に検 索 し,攣 縮 血 管 に は中.
(6) Fig. 5. Electron micrograph of the middle cerebral artery, show ing infiltration of the polymorphonuclear leucocytes (P) adjacent to the degenerating smooth-muscle cells which contain fine granular materials. X4,310, Bar=4.5 ,um.. Fig. 6. Electron micrograph of the middle cerebral artery, show ing degenerating smooth-muscle cells (D) with an almost complete loss of myofilaments. X4,310, Bar= 4.5µm.. 膜 の菲 薄 化 と中膜 外層 優 位 の筋 細 胞 壊 死 がみ られ る こ と を. ク モ膜 下 出血 の い ずれ に お い て も脳 主幹 動 脈 周 囲 の小 血 管. 報 告 した19).ク モ 膜 下 出血 後に 生 ず る脳 血 管 攣 縮 と比 較 し. の透 過 性 が充 進 してお り,多 数 の炎 症 細 胞 と赤 血 球 が盗 出. た場 合,髄 膜 炎 に 合併 した脳 血 管 攣 縮 に は 明確 な差 異 がみ. す る像 が観 察 され た,な. られ た.す な わ ち,① 髄 膜 炎 で は き わ め て幼 若 な求 心 性 の. 脳血 管 攣 縮 は 出血 のみ な らず 炎症 性 産物 な どに よ り非 特 異. 内膜 肥 厚 がみ られ る が,ク モ膜 下 出血 で は む しろア テ ロー. 的 に惹 起 され る 現 象 で あ る,② そ の発 現 と維 持 に は,こ れ. どで あ る.以 上 を総 括 す る と,①. ム変 性 を伴 う偏 心 性 の動 脈 硬 化 性 肥 厚 がみ られ る場 合 が 多. らの 原 因物 質 に加 え,脳 底 部 の 梗塞 巣 や ク モ膜 下 腔 の小 血. か った,② 髄 膜 炎 で は外 膜 と一 部 の中 膜 に も小 血 管 の 増 生. 管 壁 か ら漏 出す る 炎症 細 胞 や 血 管 作 動 物 質 な どが関 与 して. がみ られ た が,ク モ 膜 下 出血 で は血 管 壁 内 での 血 管 増 生 は. い る 可能 性 が 高 い,さ. み られ なか った,③ 髄 膜 炎 で は 外膜 に多 数 の 炎 症 細 胞 が 付. が一 定 期 間続 く と中膜 筋 細 胞 壊 死 が 生ず る,と い う3点 が. 着 してお りそ の 一 部 は中 膜 内 に ま で浸 潤 して い た が,ク モ. 明 らか で あ る.. 膜 下 出血 で は中 膜 内 へ の 炎 症 細 胞 の浸 潤 は髄 膜 炎 ほ ど顕 著. 3.中. で は な か った,な. どで あ る.一 方,髄 膜 炎 とクモ 膜 下 出血. に よ る脳 血 管 攣 縮 に は 明 らか な共 通 点 もみ られ た.す な わ. らに③ 原 因疾 患 を問 わ ず脳 血 管 攣 縮. 膜筋細胞壊死の超微構造. Koboriら. は,ラ. ッ トの 腸 間 膜 動 脈 に2〜3mgの. トキ サ ミ ン を か け た の ち,12〜24時. 塩酸 メ. 間 後 に生 ず る 中膜 筋 細. 胞 壊 死 に っ い て 電 顕 的 に 検 索 し た10).そ. れ に よ る と,中. 麻 痺 で発 症 し,少 な く と も発 症2週 間 目ま で は続 い て い た. 筋 細 胞 は 細 胞 膜 やmyomamcnt,核,細. 胞 内 器 官 な どが 消. が,こ れ は クモ 膜 下 出血 に続 発 す る脳 血 管 攣 縮 の発 生 時 期. 失 し,腫. とき わ め て似 て い る,② 本 症 例 で は両 側 の 基 底 核 部 に軟 化. 部 分 に はhnegranularmaterialとgranulo‑vesicularmateria1. 巣 がみ られ た が,ク モ膜 下 出血 で も しば しば視 床 下 部 の 梗. お よ び 丘brininsudationの. 塞 巣 が み られ る こ とが 報 告 され て い る4〕,③髄 膜 炎 お よ び. 例 の 中 膜 筋 細 胞 壊 死 は こ の 実 験 結 果 と よ く似 た 超 微 構 造 を. ち,① 本 症 例 の 髄 膜 炎 で は脳 血 管 攣 縮 は発 症4日. 目頃 に 片. 大 し た ミ トコ ン ド リ ア と空 胞 の み が 残 存 し,胞. 沈 着 を み た と さ れ て い る.本. 膜. 体. 症.
(7) Fig. 7. 呈 した が,明 ①my・. Fig. 8. Electron micrograph of the middle cerebral artery, show ing degenerating smooth-muscle cells (D) with dense bodies and vacuoles. X3,770, Bar=5.0µm.. 瞭 な 相 違 点 も い くつ か み られ た.す. 負1amentの. 融 解 や 変 性 が 著 明 で,こ. こ の 傾 向 が 強 か っ た,② nuclearinclusi・nb・dyの. 増 加 が み ら れ た,③. ヒ トの クモ 膜 下 出血 に 合併 す る中 膜 筋 細 胞 壊 死 に つ い て. な わ ち,. とに 核 の 周 囲 で. 核 の ク ロマ チ ンの 稀 薄 化 や 細胞変性がか. 電 顕 的 に 検 索 した 報 告 は こ れ ま で な され て い な い.し. 辺 の 細 胞 膜 とdenseattachmcnt. の 障 害 は 軽 微 で あ っ た,④. 残 存 した細 胞 膜 の 周辺 に は まれ. 本 症 例 にお い て我 々 が観 察 した もの に類 似 した超 微 構 造 を. 文. 中膜筋. 細 胞 壊 死 に 隣 接 し て 多 核 白 血 球 の 浸 潤 が み られ た,さ. らに. 1). ⑥ 中 膜 内 で は 筋 細 胞 が 壊 死 を き た しそ の 絶 対 数 が 減 少 して い る の に 対 し,内. 膜 内 で は逆 に 中膜 筋細 胞 が増 殖 す る とい. う 一 見 矛 盾 し た 現 象 が み ら れ た こ と な ど で あ る.Hughes ら は,脳. 血 管 攣 縮 に よ り中膜 筋 細 胞 壊 死 が生 ず る原 因 と し. て,脳. 血 管 攣 縮 に よ る中 膜 筋 細 胞 の 一 次 的 な 機 械 的 損 傷. と,内. 皮 細 胞 の障 害 に よ る二 次 的 な栄 養 物 質 の流 入障 害 や. 代 謝 物 質 の 蓄 積 に よ る影 響 な ど を 推 定 し た8}.本. 症例の中. 膜 筋 細 胞 壊 死 の 電 顕 的 検 索 で は,myomamentの. 変性や融. 解 が も っ と も基 本 的 な 像 で あ り,細 た.し. た が っ て,細. 胞膜 の障 害 は 少 なか っ. 胞 膜 の 異 常 に よ り細 胞 内 外 の 物 質 交 換. の 障 害 が あ っ た 可 能 性 は 少 な く,む. しろ強 度 の脳 血 管 攣 縮. が 長 時 間 続 い た こ と に よ るmyo且lamentの. 機 械 的 損 傷 が中. 膜 筋 細 胞 壊 死 の 主 因 を成 す も の と推 定 さ れ た.. か. し,ク モ 膜 下 出血 後 に生 ず る 中膜 筋 細 胞 壊 死 は,お そ ら く 呈 す る で あ ろ う.. な り 進 行 し た 場 合 で も,周. に 厚 い 基 底 膜 様 の 無 定 形 物 質 の 形 成 が み られ た,⑤. Electron micrograph of the middle cerebral artery, show ing cellular debris and numerous collagen fibrils with an infiltration of leucocyte (L) . X2,700, Bar= 7.0µm.. 献. Alksne JF, Greenhoot JH: Experimental catecholamine induced chronic cerebral vasospasm. Myonecrosis in vessel wall.. J Neurosurg41: 440-445, 1974 2) Chyatte D, Rusch N, Sundt TM: Prevention of chronic experimental cerebral vasospasm with ibuprofen and high-dose methylprednisolone. J Neurosurg59: 925-932, 1983 3) Davis DO, Dilenge D, Schlaepfer W: Arterial dilatation in purulent meningitis. Case report. J Neurosurg32: 112-115, 1970 Doshi R, Neil-Dwyer G: A clinicopathological study of patients following a subarachnoid hemorrhage. J Neurosurg52: 295-301, 1980 5) Fein JM, Flor WJ, Cohan SL, Parkhurst J: Sequential changes of vascular ultrastructure in experimental cerebral vasospasm. Myonecrosis of subarachnoid arteries. J Neurosurg41: 49-58, 1974 4). 6). Ferris EJ, Rudikoff JC, Shapiro JH: Cerebral angiography of bacterial infection. Radiology90: 727-734, 1968.
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