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1-13-27  中央大学理工学部土木工学科設計工学研究室  ℡:03-3817-1816

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Academic year: 2022

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(1)

      地盤沈下と構造物の維持・補修を考慮したLCCの検討       

中央大学理工学部土木工学科  ○学生会員  田村  大輔   中央大学理工学部土木工学科  正会員  佐藤  尚次

1、研究の目的

  一般に土木工事における『ライフサイクルコスト』(以 下LCC)とは、「土木構造物の企画、設計建設、運営・

維持・管理、解体撤去、廃棄に至る費用」(土木学会)

のことをいう。

  初期コストでなく、LCCに注目し、設計代替案や維 持・補修計画をすべきであるという考え方が一般化して かなりの時間が経過した。この間、注目されたのは劣化、

老朽化対策、地震等の自然災害リスクであるが、構造物 の劣化要因の中で、地盤沈下の影響を考慮は比較的少な い。個人建築物の場合、設計施工時に対策を怠った為に、

致命的な結果を招く事例が存在するが、土木構造物の場 合、規模が大きい為、対策として、少し地盤条件が悪い と杭の施工を講ずるので、さほど意識していない。

  本研究では、個人建築物において事例収集、分析を行 った後、土木(公共)建築物についてデータ収拾に努め た。LCC研究で用いられる次式におけるCi、Pf、

Cfの情報を提示することを目標とした。

期待総費用最小化原則 Ct=Ci+Pf×Cf   Ct:総コスト

  Ci:初期コスト(地盤沈下対策費)

  Pf:被害確率(補修不可欠な被害を受ける確率)

  Cf:被害時コスト(補修不可欠な被害の補修費用)

2、データについて

  個人建築物のデータにについては、沈下事故に対する 幾つかの事例集

1)2)3)

を用いて検討した。

3、基礎形式と地盤沈下の関連について

  基礎形式は大きく分けて、『布基礎』、『地盤改良系』、

『表層改良系』、『ベタ基礎』、『杭基礎』、『その他』が ある。検討した事故事例(全64件)について、図1 は基礎形式と沈下の発生時期、図2は不同沈下の発生 時期、図3は基礎形式別発生件数を示したものである。

  図1  基礎形式と沈下の発生時期

  図2  不同沈下の発生時期

  図3  基礎形式別発生件数

図1から不同沈下が同時に発生している事例は、布基 礎が著しく飛びぬけているといえる。図3より、基礎形 式ごとの発生件数についても布基礎が最多であるが、こ れを考慮したうえでも顕著な差となった。

また、布基礎のみ、不同沈下の発生時期にばらつきが 見られたが、他の基礎形式では発生時期が偏っている。

これは、基礎形式によって沈下状態が、ある程度、特徴 的であると考察される。

以上より、基礎の破壊形態と沈下状態との関連性が注 目される結果となった。これらは、被害状況にも影響を 与えると考えられる。

4、被害時コスト(補修費用)の算出について   本研究では、建築物の補修費用について検討する。補 修費用について妥当であるとされる工事費と材料費を 選定した場合を考え、表1を作成した。ここでは、表1 キーワード:構造物、ライフサイクルコスト、地盤沈下

連絡先:〒112-8551  東京都文京区春日

1-13-27  中央大学理工学部土木工学科設計工学研究室  ℡:03-3817-1816

0 5 1 0 1 5 2 0

沈下の発生時期

地 盤 改 良 表 層 改 良 ベ タ そ の 他

基 礎 形 式

3 年 以 上 2 〜 3 年 以 内 1 〜 2 年 以 内 1 年 以 内 同 時

34%

8% 13%

13%

32% 同時

1年以内 1〜2年以内 2〜3年以内 3年以上

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 3 5

発生件数 

ベ タ 地 盤 改 良 表 層 改 良 そ の 他

基 礎 形 式

(2)

における各被害状況について、それぞれ最悪となった場 合に条件を一致させ、補修費用を設定した。

  また、補修費算定の為、基準とする建設条件を仮定す る。これを表2に示す。

  表1  補修費の算定表(標準)

  表2  日本の標準住宅

注)下線部について、最悪の状態になるものは全体の1/3と仮定 一段階前の状態になるものは残りの1/2と仮定

以上の方法から補修費の算出を試みたが、データが少な い為、傾斜角から検討した。最大傾斜について記載の無 い事例に関しても、沈下量・不同沈下傾向/方向・敷地 面積等を考慮し、最大傾斜を求め表1の被害段階を判定 して補修金額を算出した。

  図4  補修費と沈下量

  図4から補修費と沈下量については相関が見られた。

相関からはずれる要素について、その原因はいずれも建 物の傾斜が地盤の傾斜に伴っていない傾向にあり、例外 の発生する要素が認められる。建物の傾斜が地盤に沿っ て現れた場合、相関関係を示している。

  図5  補修費と基礎形式

  図5では、Ciが最小であると考えられる布基礎の場 合はCfが大きく、Ciが大きい改良系の場合はCfが 小さいという傾向が見られた。

5、土木(公共)構造物に関するデータ収集について   学校園舎について、地盤沈下対策費や沈下が原因と考 えられる被害、補修費用に関するデータ収集の為、千葉 県内

20

の自治体、石油タンクの所有会社等に協力をお 願いした。しかし、土木(公共)構造物においては、地 盤沈下の影響による被害は他の損傷に比べ重視されて いない現状にあり、沈下のみの影響では問題とされる被 害はほとんどない為、それのみとされる補修は施されに くくデータとしても残っていないようだった。どちらも 基礎形式は杭基礎(学校園舎の場合、初期建設費用の約 4〜7%)が一般的であり、3000㎡程度の学校園舎 だと約2500万円〜4000万円程度になる。

  今回、被害事例を収集するのが大変困難であり、土木

(公共)構造物についてはLCCの検討をすることがで きなかった。

6、考察

  個人建築物については、比較的多くの事例から各要素 との関連性を検討することが可能となると同時に、例外 となる要素についても示された。今後、LCC評価をす る為には、より多くの被害事例を検討し、初期コストに 関しても、現実的な金額を求める必要がある。

  さらに、土木(公共)構造物に置き換えて検討するに は、データ収集が可能であれば、同様の手法を用いて検 討することにより、初期コストと被害時コストの相関が 示されるのではないかと考えられる。

7、謝辞

  本研究には、中央大学  秋枝真実氏(現東京都北区役 所)2003年度卒業研究の内容も含んでいることに感 謝の意を表します。

参考文献;1)住宅地盤品質協会;盛土に関する沈下事 故例に学ぶ、2001年

2)藤井衛、田村昌仁、後藤年芳、伊集院博:諏訪湖周

辺の低層住宅の不同沈下調査事例による基礎の沈下抑 制効果について、日本建築学会構造系論文集、2000年

3)株ジオテック住宅地盤相談室 http://www.jiban.co.jp

4)豊中市政研究所、豊中市における公共構造物のライ

フサイクルコストの研究、2000年

被 害 状 況 補 修 方 法 単 位 補 修 費 (円 ) 単 位 数 量 工 事 費 (円 )補 修 費 (円 )

初 期 段 階 外 壁 に 亀 裂 外 壁 を 塗 り 替 え る 4000 ㎡ 400000 0

第 1 段 階 ★ 基 礎 に 亀 裂

第 2 段 階 ★ 壁 と 柱 に 隙 間 (傾 斜 )傾 き を 修 正 す る 600000 程 度 0

内 壁 に 亀 裂 壁 (天 井 )紙 を 張 り 替 え る 1090 ㎡ 0 0

ド ア の 開 閉 困 難 ド ア を 替 え る 163100 個 50000 0

窓 の 開 閉 困 難 窓 を 替 え る 56000 個 50000 0

雨 漏 り 屋 根 を 塗 り 替 え る 3000 ㎡ 300000 0

塀 の 倒 壊 ・分 離

第 3 段 階 ド ア の 開 閉 不 良 ド ア を 一 新 す る 163100 個 150000 0

窓 の 開 閉 不 良 窓 を 枠 ご と 替 え る 56000 個 150000 0

床 に 支 障 床 を 張 り 替 え る 5000 ㎡ 15000 0

排 水 不 良 (ト イ レ ) 便 器 を 交 換 す る 73800 個 300000 0

排 水 不 良 (キ ッ チ ン ) キ ッ チ ン を 一 新 す る 384000 室 1000000 0

排 水 不 良 (風 呂 ) 浴 室 を 一 新 す る 1150000 室 750000 0

最 終 段 階 使 用 困 難 建 て 替 え る 35600000 件 0

総 補 修 費 0

ド ア 1 0

延 べ 床 面 積 ( ㎡ ) 1 0 0 1 5

外 壁 面 積 ( ㎡ ) 1 4 0 ト イ レ 2

壁 ・ 天 井 面 積 ( ㎡ ) 4 0 0 キ ッ チ ン 1

屋 根 面 積 ( ㎡ ) 7 0 バ ス ル ー ム 1

条 件 戸 建 て , 総 2 階 建 て

- 3 0 0 - 2 5 0 - 2 0 0 - 1 5 0 - 1 0 0 - 5 0 0 5 0 1 0 0

・ 0 ・ 5 ,0 0 0 ,0 0 0 ・ 1 0 ,0 0 0 ,0 0 0

補 修 費   ( 円 )

最終沈下量 mm

0 2 4 6 8 10 12

〜\100 〜\300 〜\500 〜\700〜\1000 補修金額 (万円)

布基礎 杭基礎 改良 ベタ基礎

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