転炉スラグの路盤材への利用に関する研究
(昭和52年5月31日 原稿受付)
開発土木工学教室出光 隆
愛 媛 県 中 平 幸 作
開発土木工学教室 森 俊 一 小倉鉱化㈱ 時 枝 博
Utilization of Convertor Slag in Road Bases
by Takashi IDEMITSU Kosaku NAKAHIRA Shun−ichi MORI Hiroshi TOKIEDA
In Japan, the slag output has been growing since last decade・ Recently!the convertor slag has
reached about 10 million tons per annum.
However, the main problem with the convertor slag is its expansive as well as disintegrating
properties due to the hydration of free lime which is inevitably accompanied during refining processof steel. Therefore, unlike blast furnace slag, the convertor slag cannot be used in road bases without some treatments.
The authors thought to mix granulated slag with convertor slag in order to mild the unfavorable expansing properties of convertor slag and to use the mixture as a subbase material. So, they made
some basic experiments on the composite material in the laboratory and model pit.
As a result, it has been made clear that its mechanical properties and behavior in model bases were sufficient for a subbase materia1.
In this paper, the results of them are dealt with.
スラグの遊離石灰分によって発揮されるという,両者の
1・まえがき 欠点を互に補いあうものである.
今日,我国において,粗鋼生産のさい排出されるスラ 実験研究の概要は以下のとおりである。まず,転炉ス グは年間約4800万トンにも上っている。そのうち約 ラグ,水さい,砕石の割合を変えた各種混合材について 70%が高炉スラグ,残り約30%のうち約1000万トンが 一軸圧縮試験,曲げ試験を行ない,同時に,転炉スラグ 転炉スラグである。 のふけの進行状況についても調べた。次いで・模型路盤 高炉スラグは,すでに高炉セメント,道路・鉄道用バ を打設し載荷試験を行ない,その実用性を確かめた。
ラス・コンク1トト用骨材などの土木ホオ料として糧に 2.転炉スラグ 使用されているが,転炉スラグはCaO含有量が多く, ふ
け〃の現象を起こして膨張するため,各製鉄所ともその 転炉スラグには3CaO・SiO2, Free Lime(CaO),(Cu 処理に窮している現状にある. F・M・Mg)Olおよび2C・O・SiO・・−2C・0・2Al・0・・
そこで,筆者らは転炉スラグの有効利用という観点か Fe・O・の固溶体等が含まれており・成分の変動はかなり
ら,これを水さいと併用し道路路盤材として利用するこ 大きい。その大略を表一1に示す。同表から明らかなよう
とを考えてみたD・・}すなわち,この混合路盤材は転炉スラ に,CaOの含有率が50〜55%と非常に大きく・そのうち
グの膨張を水さいが吸収し,水さいの潜在水硬性は転炉 数パーセントが遊離して転炉スラグの膨張を起こし,い
表一1転炉スラグの化学成分(%)
成 分 CaO sCc Al203
MgONa20 FeO
MnOS Tio2 K20 P205
含有量(%)
50〜55 15〜17 一 2〜4 一 10〜20 一 一 一 一 1〜2
(注)一値不明
わゆる ふけ の原因となる。この遊離してくるCaOを 表一2転炉スラグ・水さい混合路盤材の配合条件 遊離石灰と称している。転炉スラグはこのほかに,マグ 配合
サイトやドロマイトの水和によっても膨張するが,遊離 A 石灰分による膨張にくらべると極めて小さいものであ B
る
゜ C 以上のべた,成分の不均一さ,異常膨張などの理由か
ら,従来,転炉スラグをこの状態のまま土木材料として 単体で使用することは忌避されてきた。
本実験では,前述したように水さいとの併用を考えて F みたのであるが,エージング(長期間ねかす)すること G によって膨張の原因となる ふけ の現象をほとんど完 H 了させ,転炉スラグを安定させて使用することについて
も各所で研究が行なわれている。
100 3.転炉スラグ・水さい混合路盤材の強度,変形特性
80 3.1 試験に用いた配合 蕊
転炉スラグと水さいを混合すると次の2つの利点力吐 逐6°
じてくる・まず第1点は・転炉スラグから析出してくる 9、。
繊石灰分が水さいを榊して灘水石甦を耕させる 謡
結果,混合材は硬化し,時間の経過とともに強くなって 20 いくこと。第2点は,転炉スラグの膨張をポーラスな水 o
さい棚収するため難膨張を緩和させることができる ゜ 15° 3° 1、、㌫嘉(:∵°2°25
ことである。したがって,転炉スラグと水さいの配合比
には適当な値が存在し,前者が大きくなると膨張による 図一1 各材料の粒度曲線
亀裂を生じる恐れが出てくるし・後者が大きくなると水 (
さいに対する遊離石灰分の量が減少して水さいの潜在水
硬性が十分発揮されなくなる。そこで,量も適当な混合 28日・60日および90日の材令で一軸圧縮試験を行なっ 割合を求めるため転炉スラグ,水さいの配合比を変えた た・
数種の混合路盤材について強度,変形特性を調べた。 突固めは道路用高炉スラグJIS規格(案)3)に準じ,表 それらの配合を表一2に示す。なお,同表には後記す 一3に示す条件で行ない,最適含水比を決定し供試体を
る模型路盤試験に用いた配合も併記している。また,転 作製した。養生条件は供試体作製後]週間は水浸せず,
炉スラグ,水さいおよび砕石の代表的な粒度分布曲線を その後週1回水浸(約30分)し,試験日前3日間は室内 図一1に示す。 で自然乾燥させた。なお,各配合における最適含水比と 3.2.一軸圧縮試験 最大乾燥密度を表一4に示す。
3.2.1.試験方法 一軸圧縮試験はひずみ制御方式で行ない,ひずみは1/
表一2に示す配合のうちB,C,D,E,Fの5種類の 100 mmダイヤルゲージを供試体の円周方向に3台設置 配合を用いて円柱供試体を作製し,3日,7日,14日, して,変位を測定して求めた。
配合
転炉スラグ水さい 砕 石 消石灰
A
10 0 0 0B
6 4 0 0C
5 5 0 0D
4 6 0 0E
4 4 2 0F
3 4.5 2.5 0G
3 3 4 0H
3 3 4 0.15水さい
鼈鼈齠
]炉スラグ
[・一
モイ1,
^/ /
! @ ,
@ノ
@!
ノ
@ !@ ノ @!
@ノ
@
@〆 @
,一
,,
1
表一3突固め条件
60ランマーの重量
4.5kgランマーの直径 5cm
落 下 高 さ 45cm
突固め層数
3層
各層当たりの突固め回数 42回 モールドの寸法 10φ×12.7cm
(50
5・m ミ
旦 45cm −40 3層 趣 禦30
・・回 橿
1・φ×12.7・m 十・・
表一4最適含水比と最大乾燥密度 配 合 最適含水比
@(%)
最大乾燥密度
@(9/cm3)
B
17.0 2.00C
18.0 1.83D
19.0 1.76E
13.0 2.06F
14.0r94
10
① B
@ C
nD掾@E
掾@F
最大乾燥密度 037142128 60 gO
(9/cm3) 材 令(日)
200 図一2 B〜F配合の一軸圧縮強度
1 76 25000
1:94 _20000
葛 連 心15000 3.2.2.試験結果および考察 無
一軸圧鰯度・,,変形願Eおよび等1鰍算願Sと 董1。。。。
材令の関係をそれぞれ図一2,3,4に示す。
図一2から明らかなようにいずれの場合も,一軸圧縮 5000 強度はJIS規格案の規準値,材令1週で10kg/cm2以上,
材令4週で20kg/cm2以上の規格を十分満足している。
037 14 21 28
60 90B,C, Eの配合では早期強度が大きく・D・Fの配合では 材 令(日)
材令60日以後も搬が伸びており弓鍍の点については 図_3B〜F配合の変形係数
問題はない。また,等値換算係数も九州地方建設局が定 めた0.55の値を4週で越えている。しかしながら,転炉
スラグが多く含まれているB,C,E配合の供試体には膨 12 張による亀裂が発生した。その発生率を表一5に,また
発生状況を写真一1に示す。 1.0 以上の結果および後述するG,H配合の試験結果も考 め
慮して,転炉スラグの配合割合は4。%以下が幽と考え 蓮゜ 8 られる。 籔0・6 把 3.3. 曲げ試験 沖 0.4 スラグ路盤材は,水硬性材料であるから,砕石などの
ような粒状材料と違って載荷荷重に対して板として挙動 o.2 する。したがって,これを路盤に用いた場合,路盤下面
に曲げ応力による引張応力が発生し破壊を起こす可態性 037142128 60 90 がある。そこで,本実験では表一2に示す配合のうちC, 材 令(日)
D,G,Hの4種類の配合を用いて曲げ試験を行なった。 図一4 B〜F配合の等値換算係数
① B
@ C 怐@D 掾@E 掾@F
① B
@ C 怐@D
掾@E n F
表一5円柱供試体の亀裂発生率(%) 表一7最適含水比と乾燥密度
配 合 材令25日 材令100日
B 22
41C
726
D
0 OE
0 4F
0 026 C O D 4 G O H
榊籾曇 伽
写真一1 B配合のキレツ発生状況
3.3.1.試験方法
供試体は15×15×55cmの角柱とした。突固め条件を 表6に示す。比較のための一軸圧縮試験も行なったが,
その突固め条件は,両試験用供試体の密度がほぼ等しく なるように定めた。各配合の最適含水比と最大乾燥密度 の関係を表…7に示す。曲げ供試体の養生は打設後2週 間自然放置して,移動可能な強度が出てから週1回約30 分間の水浸を行なった。ただし,曲げ試験日前3日間は 水浸しなかった。圧縮供試体の養生は3.2.1の方法と同
様である。曲げ試験装置を写真一2に示す。供試体下に3個のダ イヤルゲージを設置して供試体のたわみを測定し,曲げ
最適含水比
@(%)
曲げ供試体
」燥密度i9/cm3)
圧縮供試体
ナ汰乾燥密度i9/cm3)
C
18 1.82 1.87D
19 1.72 1.78G
12 1.96 2.01H
12 2.04 2.04変形係数を求めた。 写真一2 曲げ試験装置
曲げ供試体 圧縮供試体 ランマーの重量
4,5kg 4.5kgランマーの直径 10crn 5crn 落 下 高 さ 45cm I 45cm
突固め層数
3層 2層
各層当たりの
@ 突固め回数 250回 42回 モールドの寸法 15×15×55cm 10φ×12.7cm
表一6突固め条件 3.3.2.試験結果および考察
圧縮供試体 曲げ強度偽,曲げ変形係数Edと材令の関係をそれ 45kg それ図一5,6に示す。また,圧縮強1度σ、,変形係数E 5crn と材令の関係をそれぞれ図一7,8に示す。
一 一軸圧縮強度は,3.2.2の結果にくらべてかなり小さ い値を示している。したがって,曲げ強度も低い値となっ ている。その中で,消石灰を0.15%加えたHの配合が最 42回 も大きい鍍を示しており,このことから,他のC,D,
10φ×127cm Gの配合はアルカリ刺激が十分でなかったものと推察さ
れる。この主原因として,曲げ試験の場合転炉スラグ 盲」30 ロ に製造後数ヶ月野外放置されていたものを使用したた 亙 ぬ遊離石灰分が不十分であったことがあげられる。し 壷 20 たがっ℃本実験のように,転炉スラグをアル別刺激 翼 剤として利用する場合には噺鰍転炉スラグを使用す 蓮1°
1
る必要がある。0 14 28 60 90
一軸圧縮強度と曲げ強度の間には,図一9に示すよう 材 令(日)
に,かなりはっきりした相関がある・また・図一6・図 図一7 C,D,G,H配合の一軸圧縮強度σと 一8の値を比べると,曲げ変形係数は圧縮変形数の数倍 材令との関係
の値となっており,スラグ路盤材は,圧縮変形特1生と曲
げ変形特1生が極めて異なっていることがわかる。 cm 3000
盲3 2500
亘 ξ
0 14 28 60 90
材令(日) 1000
30000
25000
盲 ミ
ど 20000
這璽15…
慧
10000
5000
図一5 C,1),G,H配合の曲げ強度σbと
材令との関係 500
①C nD
nGMH0 14 28 60 90
①C nD
nGGH
① C
怩c
nGMH
0 14 28 60 90
材令(日)
図一8 C,1),G,H配合の変形係数E と 材令との関係
3
盲
、2
り吉
己
材 令(日) 1 図一6 C,D,G,H配合の曲げ
変形係数Eばと材令との関係
O
8
○
O
㊨OO
O lO 20 30 σ(kg/cmり
図一9 一軸圧縮強度と曲げ強度との関係
3.4.転炉スラグのふけ 作製しなかった。
3.4.1.試験方法 3.4.2.試験結果および考察
曲げ試験を行なった際,製造後数ヶ月放置されていた 製造直後の転炉スラグを使用した供試体には,膨張破 転炉スラグを使用したため,曲げ強度,一軸圧縮強度と 壊とみなされるような大きな亀裂が発生し,その発生率 もに低い値しか得られなかった。これには,転炉スラグ は,材令50日で100%に達した。しかしながら,他種の のふけが原因していると考えられる。したがって,ここ 供試体には,表面に露出した転炉スラグがわずかにふく では,転炉スラグをエージングすることによって,水さ れている程度で,供試体の破壊に至るような亀裂は見ら いに対する刺激剤としての性質および膨張1生などが,ど れなかった。
のように変化していくかを調べた。配合には,表一2に 一軸圧縮強度,変形係数と材令の関係を表一8に示す。
示したGを用いた。突固め条件および養生条件は,3.2. 同表から,転炉スラグが製造後2ヶ月以内であれば,エー 1の方法と同様である。 ジング期間が変化しても,強度の低下はほとんど見られ まず,製造直後の転炉スラグを準備し,室内と屋外の ないことがわかる。このことから,転炉スラグは製造後 2ヶ所に分けて保存し,製造直後,1週間後,1ヶ月後, 1週間から2ヶ月の間で使用することが望ましいと考え 2ヶ月後,4ヶ月後に一軸圧縮試験用供試体を作製した。 られる。製造後2ヶ月以上経過した転炉スラグは,アル 試験は,材令3日,7日,14日,28日,56日,91日で カリ刺激効果がかなり低下しており,別に消石灰等の刺 行なった。ただし,製造後1週間の供試体は,室内放置 激剤を添加する必要がある。また,屋外放置した転炉ス
した転炉スラグで作製し,室外放置した転炉スラグでは ラグは,屋内放置よりもふけやすいようである。
表一8Aging期間を変化させた時の一軸圧縮強度(kg/cm2)および変形係数(kg/cm2)
3 7 14
28 56 91
オ木日
̀ging期間
圧縮
ュ度変形
W数圧縮
ュ度変形
W数圧強
ュ度変形
W数圧縮
ュ度 W数変形 圧縮
ュ度 W数変形 圧縮
ュ度変形
W数製造直後
10.21020
16.81640
20.31600
37.53310
44.83400
56.04670 1 週 間
10.2850
19.41640
28.12700
41.74350
45.34500
59.410700 1ケ月・屋外
12.71300
17.61820
23.82380
37.24020
45.75220
50.26090 1ヶ月・屋内 一 一 一 一
25.02680
30.13170
41.44950
45.15080 2ヶ月・屋外
6.5510
11.41090
13.7980
18.71710
30.02710
24.92460 2ヶ月・屋内
9.61110
12.5970
13.61250
23.82270
35.74140
37.54160 4ヶ月・屋外
10.81060
9.8990
13.11090
12.3980
18.71420
『 } 4ヶ月・屋内
10.81070
10.5890
10.9980
16.31510
27.92830 一 一
4.転炉スラグ.水さい混合路盤材を用、、た模型路盤 表一2のうちA・B・Gの3鱒である・
4.1.模型路盤の舗設
の載荷試験 , コンクリート槽および載荷装置の概略を図一10に示 これまでの実験によって,転炉スラグ・水さい混合材 す。なお,コンクリート槽の底は自然土のままであり,
の材料としての性質は明らかになったが, 実用化するた 深さは約40cmとした。
めには,実際に路盤として使用した場合どのような性状 路盤の突固めは,作業性を考慮した特別なランマーを を示すか確める必要がある。そこで,本実験では,1.5m 作製して行なった。ランマー,および突固め条件をそれ 四方の大きさのコンクリート槽を作製し,転炉スラグ・ それ図一11,表一9に示す。
水さい混合材を実際に舗設して,各種載荷試験を行ない, まず最初に,自然土を突固めて路床とし,その上に砕
その路盤としての性状を調べた。実際に使用した配合は, 石:砂が7:3の配合の下層路盤を突固め,さらにその
上に,上層路盤として転炉スラグ・水さい混合材を突固 表一9路盤の突固め条件 めた。路盤厚が各配合により若干異なるため,その値を ランマーの条件 図一12に示す。なお・材料試験用の一軸圧縮試験用供試 ランマ_の直径 体も・同時に作製した・最適含水比と乾燥密度の関係を 落 下 高 さ 表一10に示す。
路盤の養生は・上層路盤の含水比の変動を小さくする 各層当たりの ため,上層路盤上に厚さ約5cmの湿砂を敷き,週1回 突固め回数 充分に散水して行なった。
表一10最適含水比と乾燥密度 ランマーの条件 35kg ランマーの直径 25cm 落 下 高 さ 40cm
突固め層数
3層
各層当たりの
ヒ 固 め 回 数 300回 ,
乾燥密度(9/cm3)
最適含水比
@(%) 路 盤 円柱供試体
:E−H鋼15・・15・ 工
コ型鋼 A
7 2.36 2.43一 一
単位:mm
一
鼈
100×50×5×7.5
P鋼 Q50×125
B
16 1.81 1.98・一
G 12 2.01 2.141500
1
Rンクリート
ll一」 日L」 コンクリート
、
H 床4.2.載荷試験
@載荷試験は下記の要領で行なった。
@i)路床面上℃平板載荷試験およびCBR試験をイ
ネう。
@iい下層蕗般か空固め 同ドぐ平緬載荷試験および
ノ
ii)下層路盤を突固め,同じく平板載荷試験およびc 図_1。コンクリート槽および載荷装置 BR言式験を行なう・
iii)上層路盤を突固め,材令14日,28日,56日にお いて平板載荷試験およびCBR試験を行なう。材令57日 において繰返し平板載荷試験を行なう。
iv)上層路盤を取り除いて,下層路盤1二で平板載荷試 験およびCBR試験を行なう。
v)下層路盤を取り除いて,路床上で平板載荷試験お よびCBR試験を行なう。
1i ii35kg 肚の言式験枯B, Gの酉己合について,それぞれ行
なった。
ー 1
iiii
1
/図一11 ランマー
A B G
上層路盤
P7.Ocm15.8cm 16.2cm
下層路盤
P6.1cm17.4cm 20.Ocm
路 床
騨
:∴、㌧一 ∵ ぷ 七∵ ・〜㍍、繕 写真一3 沈下量分布測定状況
なお,平板載荷試験と同時に,土圧計による土圧分布
図一12 各種路盤の断面 ダイヤルゲ_ジによる沈下量分布の測定も行なった。そ
の状況を写真一3に示す・土酬ま・コンクリート槽の中
@三㌫ぽ 1謬骸㌧…ぐ∵∵∵騰鐸 ⌒ 蕊1碧三i㌻磁疑湯i認 蕊㌶;言㌶≧難:::鐙翁灘i篶1疑
三漁懲撫蕪 lll認鱒1.慈塁㌶
示す。 諺一・㌍ ぷ ÷
次に,A, B配合で舗設した上層路盤表面を観察してみ 写真一5 ・4配合材令60日 たが,亀裂を発見することはできなかった。しかしなが
ら,上層路盤面の高さをレベルで観察してみると,表一12 4・3・2・CBR値およびK値
に示すように,路面は材令とともに上昇した。 上層路盤上のCBR試験結果と平板載荷試験結果を,
このような膨張の影響は,以下にのべる各試験結果に それぞれ表一13,14に示す。
もはっきりと現われている。 同表から,G配合は,材令とともにCBR値およびK 値ともに順調に伸びており,水硬性がしだいに発揮され 表一11円柱供試体の亀裂発生率(%) ていく様子がわかる。G配合に比べると, B配合の伸び はゆるやかであり,A配合では, K値が逆に減少してい る。この原因は,4.3.1.で述べたように,A, B配合では 100 転炉スラグの量が多く,著しく膨張したため,表面には表 80 われないが,内部に亀裂が発生しその悪影響が現われた ものと考えられる。
表一12上層路盤面の変位(mm)
表一13上層路盤上のCBR
材令(日
7 14
28 40
A
0100 100 100
B
1540 70 80
材令(日) 0
14
28 56
A O 一1 十1 十3 B O 一1 十2 十3
十3 材令
(注)材令0日における値を基準として一が沈下,
+が上昇を表す。 B
C B R (%)
材令
@(日)
1428 56
A
25.4 30.9 31.5B
20.1 29.0 52.7G
44.4 70.7 125.01 表一14上層路盤上のK値
材・☆∀ (H)
ね も
,㌍:㍍ i A
: 七;: ☆暢 ・ B
〆∵㌶ l G
シ シ ・,冷 ∵ ψ
ト ∴ . ,:七⇒卵 4。3.3.上層路盤表面の沈下
,㌘㍉濠_叉勲…嚢 G配合の,平板載荷試験による路盤表面の沈下を図 写真一4 G配合材令200日 一13に示す。
K 値 (kg/cm3)
材・☆
@(H)
1428 56
A 15.4 9.3 9.0
B
9.9 15.7 20.9G
17.8 36.5 62.0同図から,材令14日では,沈下は平板付近で極端に大 載荷中心からの距離(cm)
きくなっているが,材令が経過し,水硬性が発揮される o につれて板としての剛性が増し,沈下量がだんだん小さ o.1 くなってくることがわかる。 o.2 ミo・3
0
0.2
01酬
L O.4 恕
0.6
0.8
(mm)
lP=1ton
50 3020 2030 50(cm)
15 O l5
O材令14日
@材令28 恪゙令56日
1
20 30 50 (cm) − 0.4
1出 山0.5 姦0.6
図一13 D配合の路盤沈下状況
0.7
0.8
0.9
1.0
20 30 40
● A種
@ B種 n G種
(a)下層路盤上の土圧分布
10 20 30 40
0
4.3.4.土圧分布 _
土圧分紬線も麺沈下量と同様平臓荷試験の糸吉 き゜ 1
ゆ 果,材令とともに水硬性が発揮されていき,平板直下の どo 2 土圧はだんだん小さくなる.しかしながら,平板から離 昌・・3 れた所の土圧は,その割には減少しない。この理由は土 恕o・4 圧分散効果が向上するためと考えられる。 o.5 図一14に,材令28日,1ton円形等分布載荷時の各種
路盤の土圧分布図を示す。 図_14 材令28日における各種路盤の土圧分布 同図から,G配合の土圧分散効果が非常によく,A, B
配合はあまり良くないことがわかる。
4.3.5.上層路盤の変形係数 4.3.6.繰返し平板載荷試験
平板載荷試験結果から,ウデマルクの近似解法4)を用い ここでは,材令とともに水硬1生を順調に発揮していっ て路盤材の変形係数を算定して,表一15に示す。ただし, たG配合の試験結果について述べる・
表中の一は,上層路盤材の変形係数が低すぎたため,ウ 繰返し平板載荷試験は,まず,最大荷重1.5tonで繰返 デマルクの方法では算定できなかったものである。 し回数100回行ない,次に,3tonで100回,6tonで50 この結果からも,G配合は,材令とともに変形係数が 回,8tonで30回繰返した・それぞれの荷重における荷
順調に伸びているが,B配合では,伸びがゆるやかであ 重沈下曲線を,図一15・16・17・18に示す・
り,A配合では,逆に低くなっていることがわかる。 図一19に示す荷重一沈下曲線において・沈下量を同図
表一15路盤材の変形係数
A B G
材令
@ (日)
14 28 56
1428 56
1428 56
上層路盤 700 一 一 一 1000 2900 3500 26500 130000
下層路盤 700 700 700 500 500 500 146 253 386
路 床 135 135 135 135 135 135 133 133 133
に示したように3種類に分けると・ は,繰返し回数が増えるにつれ増加している。残留沈下 全沈下量(W):繰返し回数Nにおける最大荷重時の沈 量はP=1.5ton,3tonの場合,直線的に少しずっ増加し 下量(mm) ているが, P=6ton,8tonの場合,加速度的に増え曲線 弾性沈下量(wθ):繰返し回数Nにおけるゼロ荷重 的に増加している。したがって,最大荷重P=3tonで繰 (無載荷)から最大荷重になるまでの 返す場合と,6tonで繰返す場合とでは,沈下量に及ばす 沈下量(mm) 影響が大いに異なっていることがわかる。繰返し載荷す 残留沈下量(膨):繰返し回数Nにおける荷重を取り る場合,最大荷重Pがある値以下ならば,路盤は破壊せ 去った後に残る沈下量(mm) ず,むしろ,締固まっていくが,その値を越えると,繰
となる。 返し回数とともに破壊に近づいていくといった,ある限 横軸に荷重の繰返し回数(N)を対数目盛でとり,縦軸 度が存在するように考えられる。G配合の場合,その限
に弾性沈下量(肌),残留沈下量(W・)をとって図示す 度は3tonから6tonの間にあると考えられる。ただし,
ると,図一20,21となる。このG配合の場合,弾性沈下 この値は,上層路盤の厚さや載荷板の直径が増したり,
量は,荷重P=1.5ton,3tonの時,繰返し回数が増える 上層路盤上にアスファルト舗装がなされれば, さらに大 につれ一定値に近づいている。P=6ton,8tonの場合に きくなるものと考えられる。
1.5
つ1.0
揮0.5
0
/Vニ 1
2 3 5 10 20 50 1000.1 0.2 ・0.3 沈下量(mm)0.4
図一15 G配合最大荷重1.5tonの場合の荷重一沈下曲線
3
憾 2
揮
0.1 0.2 0.3 0.4 沈下量(mm)
図一16 G配合最大荷重3tonの場合の荷重一沈下曲線
6
三4
酬
揮2
0
0.5 1.0 1.5 沈下量(mm)
図一17 G配合最大荷重6tonの場合の荷重一沈下曲線
8
6 ご
酬
4 定,
2
1.0 2.0 沈下夏(mm)
図一18 G配合最大荷重8tonの場合の荷重一沈下曲線
w
怒π・_一∋
W. 沈下量
図一19 荷重一沈下曲線
(×10−2mm)
〔
さ
o畑
想
P=8ton一
P=6tOn
2mm)
P00
@50
@ 0
P=1.5ton
P=3ton
(×10−2mm)
合 さ 120 巴
P−…n−
@ §1°°
迎
P=6ton− 60
P=8ton
P=6ton
2mm)
P60
P40
P20
P00
W0
@60
S0
@20
@ 0
P;3ton P=1.5ton
1 23 5 10 20
50 100
1 23 5 10 2050 100
繰返し回数(N) 繰返し回数(1V)
図一20 G配合に関するW。−N曲線 図一21 G配合に関するW.−N曲線
5.有限要素法による模型路盤の解析 52・計算結果および孝察・
有限要素法によって求めた主応力,円周方向応力,お 模型路盤は,3層弾性体上に円形等分布荷重が載荷さ よびせん断応力の分布を図一24,25,26に示す。
れている,図一22に示すような構造にモデル化すること 主応力分布図より,引張応力の最も大きい部分は上層 ができる。 路盤下面で,中心から15cm付近のところである。しか ここでは,この路盤内に生じる変位および応力を,有 も,この部分は周辺よりせん断応力の大きいところであ 限要素法を使って計算した。この問題は,軸対称形であ るから,上層路盤の破壊は,上層路盤下面に生じる引張 るから,要素にドーナツ形をしたリング要素を使って, およびせん断応力の組合せ応力によって起こるものと考 3次元的に解析した…) 6) えられる。
なお,計算は,材令とともに水硬性を順調に発揮した 表一17に,計算に用いた上層路盤の弾性係数,計算の G配合を対象にして行なった。 結果求まった最大引張応力,最大引張応力が生じている 5.1.計算方法 部分のせん断応力,および試験の結果得られた一軸圧縮 図一22の解析モデルを,図一23に示すように分割し 強度,曲げ強度などを示す。
た。この分割では,節点数287,要素数510,横軸拘束節
点数38,縦軸拘束節点数9,載荷節点数7となった。 ∬ 弾性係数には,表一15に示したG配合の材令14日,
2,レ2
第1層 弾性係数 E1
{アソン比レ1 カ1
第2層 E1
撃Q
カ2
E3
180cm
E3,レ3
図一22 解析モデル 図一23 舗装体の分割
表一16有限要素解析に使用した弾性定数
タイプ
上層路盤の
マ形係数
@ El
ikg/cm2)
下層路盤の
@ E2
マ形係数ikg/cm2)
路 床 の
@ E3
マ形係数ikg/cm2)
ボアソン比
@ レ
上層路盤の 冝@ さ
@ 〃1
@(cm)
下層路盤の 冝@ さ
@ カ2
@(cm)
1
3500 146 133
0.4 1620
II 26500 253 133
0.4 1620
III 130000 386 133
0.4 1620
表一17上層路盤の最大沈下量と各応力
タイプ
上層路盤の
マ形係数
ikg/cm2)
上層路盤面の
ナ大沈下量
@ (cm)
上層路盤に カじる最大
ikg/cm2)張応力
せん断 栫@力
ikg/cm2)
一軸圧縮 ュ 度
ikg/cm2)
曲げ強度
ikg/cm2)引張に ホする タ全率
1
3500 3.9×1r2
1.00 一〇.42 17.2 0.74II 26500 6.5×1r3
1.30 一〇.41 28.1 4.08 一3.1 III 130000
1.4×10−3 1.38 一〇.42 46.0 8.43 6.1P= 1.42彪7/㎝2 (P= 1ton )
(a)
0.6 0.4 0.2
(b)
0
一〇.2 一〇.4 −0.6
−0.6−0.4 −0.2 −0.1 −0.04
(c)
一〇.4
図一24 タイプ1の応力分布 (a)主応力分布 (b)円周方向応力 (c)せん断応力
P=1.42kg/cm2(」P=1ton)
(a)
0.4 0.2
(b)
0
一〇.4 −0.2
−0.4 −0.6 −0.6 −0.4 −0.2 −0.1 −0.04
(c)
一〇.2
図一25 タイプnの応力分布 (a)主応力分布 (b)円周方向応力 (c)せん断応力
この表から明らかなように,上層路盤の弾性係数が大 することができ,新しい基準の下では,スラグ路盤材は きくなるほど,安全率(曲げ強度/最大引張応力)は増加 極めて有利な材料であるということができる。
することがわかる。スラグ路盤材は,前記したように材 5.3.有限要素法と実際の路盤について
令とともに水硬性を発揮し,変形係数が大きくなってい 解析に用いたモデルは,実際の路盤を近似モデル化し
くから,安全性は向上していくことになる。 たものであり,したがって,有限要素法によって得られ
現在,舗装の設計基準は,従来のCBRを基準にした舗 た結果が,実際の路盤の挙動を正確に示しているとは限
装厚設計法から,弾性論的な手法を取り入れた沈下量と らない。しかし,この解析により正確な結果はわからな
引張応力の規制へと移りつつある。この新しい基準は荷 くとも,概略的な応力状態は算定することができる。今
重載荷時に生ずる舗装の沈下が一定値内であること,舗 後,材料の性質をより細かく分析して解析すれば,より
装下に生ずる応力によって材料が破壊しないことの両面 正確な結果が得られるであろう。しかしながら,その場
で規制しようとするものである。したがって,舗装にス 合でもモデル化した際の近似は動かすことのできないも
ラグ路盤材を使用すれば,アスファルト舗装内の変位応 のであり,路盤の平板載荷試験の精度やばらつき等を考
力は減少し,したがって,アスファルト舗装厚を小さく えると,このあたりに解析の限界があるようである。
」Dニ1.42kg/cm2(P=1ton)
(a)
0.4 0.2
(b)
0
一〇.4 −0.2
−0.4 −0.6 −0.6 −0.4 −0.2 −0.1
(c)
一〇.2
図一26 タイプ皿の応力分布 (a)主応力分布 (b)円周方向応力 (c)せん断応力
(3)転炉スラグは,ふけの現象を起こして経日変化す
9・むすび @ る繊製錨期を確認して使用すべきである.
転炉スラグ・水さい混合路盤材の各種試験について, (4)模型路盤によるCBRおよび平板載荷試験の結 実験結果をまとめると次のことが言える。 果,一軸圧縮試験において,膨張亀裂が発生した配合は (1)転炉スラグと永さいおよび砕石,高炉スラグ砕石 弱い強度特性を示し,水硬性が順調に発揮された配合は,
などを適当な配合で混合すると,良好な水硬性路盤材が 良好な強度特性を示した。
得られる。 (5)材令とともに混合路盤材変形係数は上がっていく ただし,転炉スラグの混合割り合は40%以下が望ま が,FEMによって計算を行なってみると,路盤上に同じ しい。 荷重が載っている場合,変形係数が大きくなると内部に (2)転炉スラグ・水さい混合路盤材の圧縮変形特性 生ずる最大引張応力は増大する。1 しかしながら,最大
と,曲げ変形特性は大きく異なり,曲げ試験から求めた 引張応力が増大しても,路盤材の引張強度の伸びの方が 変形係数は,圧縮試験から求めたそれよりも数倍も大き 大きいため,安全性は材令ととも増大していく。
い値を示す。 以上,述べてきた結果から,転炉スラグ・水さい混合
路盤材も,現在,市販されている高路スラグ路盤と同程 度の材料として用いられ得ることが明らかになった。
よって,今後,この混合材が路盤材として本格的に利 用されることが期待される。終わりに,終始,御指導を 戴いた渡辺明教授,並びに御協力戴いた小倉鉱化株式会 社の猿渡葎氏に深く感謝の意を表する。
参考 文献
1)出光,岡林,猿渡:道路用スラグに関する実験的研究,
九工大研究報告,Vo 27号.
2)出光,岡林、猿渡:スラグ路盤材の疲労試験について,
九工大研究報告,Vo 29号,昭和49年. ・ 3)日本鉱津協会:日本工業規格道路用高炉スラグ(案),昭
和46年度.
4)植下協:平板載荷試験結果から舗装各層の変形係数を計
算する方法,舗装Ton.1971.5)ツィエンキーウィッツ:マトリックス有限要素法,培風
館.
6)N.C.ヤン:舗装新設計法,森北出版.