微粉砕した水砕スラグのセメントとしての利用に
関する基礎的研究
(昭和52年10月31日 原稿受付)
開発土木工学教室出光 隆
同 上 高 山 俊 一 同 上 岡 部 成 光 同 上 高 倉 篤
Basic Study on Utilization of Finely Crushed Granulated Slag as a Cement
by Takashi IDEMITSU Shun−ichi TAKAYAMA Shigemitsu OKABE Atsushi TAKAKURA
SYNOPSIS
Recently, from the standpoint of effective utilization of industrial discharges, various studies on blast furnace slag have been carried out in many places in Japan.
The authors made a slag cement composed of finely crushed granulated slag and Ca(OH)2 acting as a stimulative admixture, and examined its basic properties as a cement. After that, they have continued the investigation on various kinds of admixtures which play as acceletators of hydration
(called accelerating admixture)in slag cement. As a result, it has been made clear that the strength of slag cement is larg6 enough to use practically, though its heat of hydration is s㎜ll, and it is influenced much by accelerating admixture and curing method in young age as compared with portland cement.
1.まえがき 2.実験方法
資源の再利用の観点から,最近,スラグの有効利用に 2.1.使用材料
関する実験・研究が各方面で行なわれている1)。 微粉砕した水砕スラグの比重,粉末度(ブレーン)お 著者らは水砕スラグを微粉砕し,ボルトランドセメン よび化学分析結果などを表一1に示す。初期強度を大きく トを全く混合しない,いわゆるスラグセメントとして使 するために,粉末度は早強セメントと同程度になってい 用する実験を数年来行なってきた2)3)。現在まで得られ る。
た結果から,セメントとして十分使用できる見込みがつ 砂は山口県豊浦産の標準砂を使用した。
いている。しかしながら,実用に供するためには初期強 スラグセメントと比較するために普通ボルトランドセ 度,長期強度・安定性および初期養生の影響など多面に メント(粉末度3220cm2/g,比重3.17)の試験も行なっ わたる検討が必要である。本報告は,スラグセメントの た。
基礎的研究として水砕スラグ微粉末の潜在水硬性を発揮 スラグセメントは微粉砕した水砕にアルカリ刺激材 させるためのアルカリ刺激材,および硬化促進材につい (消石灰)および硬化促進材(硫酸ナトリウムなど)を て調べたものである。 混合して作製されるが,ここでいう,スラグセメントと
表一1 比重,粉末度および化学分析結果 化 学 分 析 (%)
塩基度 比 重
粉末度
モ高Q/9 Sio2 Al203 Fe 203 Mn203 CaO MgO Total
2.90 3810 33.5 16.0 1.0 0.8 42.7 4.3 98.3 1.88
は(水砕スラグ蛸石灰)および(水石杢スラグ珊石灰+ 3.実験結果および結果考察 、
促進材)を指すものとする。使用した各種混和材を表一2
に示す。脱硫石膏を除く硬化促進材には一級試薬を使用 3.1・凝結試験
した。 水砕スラグと消石灰の比が9:1の場合に種々の硬化 促進材(以下促進材と略す)を混入した場合,および消 表一2 各種混和材の化学式および使用方法など 石灰を極めて少量加えた場合の各凝結試験結果を表_3 使用方法 に示す。種 別 名 称 化 学 式 使用方法
アルカり
h激材
水酸化
Jルシウム Ca(OH)、 粉末状で混 塩化
Jルシウム CaCl2
水溶液とし ト使用 焼 石 膏 CaSO4 粉末状で混 二水石膏 CaSO4・2H20 〃
硫酸
iトリウム Na2SO4 〃 硫酸
@カリウム K2SO4 すりばちで粉末にした縺C標準網ふるい840μ 通過させ使用
硬 化
」進材 硝酸
Jルシウム Ca(NO3)2
水溶液とし ト使用 硝酸
iトリウム NaNO3 〃
亜硝酸
iトリウム NaNO2 〃
塩化
Aルミニウム AICI3 〃
脱硫石膏 baSO4・2H20主に 湿潤状態でg用
水溶液とし 表一3 スラグセメントの凝結試験結果 て使用 水砕スラグ:消石灰=9:1に促進材を混入した場合
2.2.試験項目および試験方法 次の項目について試験を行なった。
(1)スラグセメントの凝結試験
② スラグセメントの安定性試験
(3) フロー試験
(4)スラグセメントの水和熱試験
(5)スラグセメントの強度試験 (注) ・……混入量
(6)気中養生による強度および重量の変化 水砕スラグと消石灰のみの場合
凝結,安定性,フローおよび強度の各試験はJIS R5201,水和熱試験はJIS R 5203に準じてそれぞれ行 なった4)。なお,実験は強度試験を除き,20±1℃の恒温 室にて行なった。
凝 結 時 間(h 混和材名 ※i%)
2 4 6 8 1012141618
水量i%)
5 39.0
9 38.8
二水石膏CaSO4
@・2H20 13 37.5
17 37.5
5 38.0
硫酸 iトリウム
ma2SO4
9 35.8
13 33.3
17 31.0
5 40.0
9 36.5
13 35.0
17 33.3
5 33.0
9 29.8
硝酸 iトリウム
maNO3 13 27.0
17
5 34.0
9 30.0
硝酸 Jルシウム ba(NO,)、
@・4H20 1317 25.521.5
5 33.8
9 29.5
亜硝酸 iトリウム
maNO2 13 26.3
17 23.0
5 37.8
塩化Aルミニウム
@AICI3 9 不定
水砕スラグ:消石灰 2 4 6 8 1012141618 水量
9.9 :0.1 33.5
9.7 :0.3 33.8 9.5 :0.5 34.5
9.2 :0.8 35.8
9.0 : 1.0 36.5
硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムを混入すると始発 えられる。
時間が1.5〜4時間,終結時間が4.5〜6時間と他の促進 3.2.安定性試験
材を混入した場合に比べてかなり早くなっている。一般 試験は煮沸方法にて行なった。試験の結果,硫酸ナト に硫酸塩は促進材として使用されることが知られてい リウム13%以上,亜硝酸ナトリウム13%以上および硝 る5}が,本実験においてもその効果が充分に発揮された 酸ナトリウム17%の場合わずかな「反り」が認められた。
結果,ボルトランドセメントと同程度の凝結時間になっ また,硫酸ナトリウム17%および亜硝酸ナトリウム たものと考えられる。硝酸ナトリウムおよび亜硝酸ナト 13%の場合写真一1および写真一2のように,膨張ひびわ
リウムの混入量が増加すると,凝結時間は遅くなってい れの認められるパットもあった。以上のべた以外のもの る。焼石膏の場合は注水すると直ちに凝結するが,二水 については異常はほとんど見られなかった。
石膏では始発が約6時間,終結が約15時間とかなり遅
い。 表一4(a) フロー試験結果 消石灰微量混入の場合は,始発約6時間,終結10〜11 、
時間となり,消石灰の量にかかわらずほぼ同様な結果を
示した。 g2:08 水量は普通ボルトランドセメント(水量27.2%)およ g5:05 び高炉セメント(水量28.4%)に比べて5〜9%多いが, 9・7:0・3 これは水砕スラグおよび消石灰の粉末度が高いためと考 9◆9:01
水 砕:消石灰 フ ロー値
9:1 181
9.2 :0.8 190
9.5 :0.5 191
9.7 :0.3 191
9.9 :0.1 203
表一4(b) フロー試験結果
促進材名
ャ入率(%) 焼 石 膏 二水石膏 硫 酸iトリウム 硫 酸Jリウム 硝 酸iトリウム 硝 酸Jルシウム 亜 硝 酸iトリウム 塩 化Aルミニウム
5 179 192 190 145 218 217 208 146
9 174 189 208 147 235 237 225 180
13 169 186 219 142 250 250 244 一
17 167 179 219 147 262 300以上 253 一
写真一1 硫酸ナトリウム混入スラグセメント 写真一2 亜硝酸ナトリウム混入スラグセメント (混入量17%) (混入量13%)
3.3. フロー試験 9:1の配合に混入したものである。同図によると,スラ 各種スラグセメントのフロー値を表一4に示す。フロー グセメントの水和熱はボルトランドセメントに比べてか 値は硫酸カリウム,焼石膏および塩化アルミニウムの場 なり小さいことが認められる。とくに,消石灰のみのス 合小さく,硝酸ナトリウムおよび硝酸カルシウムの場合 ラグセメントの水和熱はボルトランドセメントのわずか 大きくなり,促進材の種類によって異なる。前記したよ %となり,極めて小さいことがわかる。促進材を混入し うに水砕スラグ,消石灰の各粉末度は高いため,スラグ たスラグセメントは水和反応促進の効果があったため セメントのフロー値は普通ボルトランドセメントのそれ か,消石灰のみのスラグセメントの結果に比べて若干大 よりやや小さい。すなわち,本実験に用いたスラグセメ きくなっている。それでも,硝酸カルシウムの場合材令 ントモルタルのコンシステンシーは普通ボルトランドセ 28日の水和熱は,発熱量と少ない中庸熱ボルトランドセ メントにくらべ若干劣るようである。 メントの%程度であり,スラグセメントはボルトランド 3.4.水和熱試験 セメントに比べて水和熱が非常に小さいことが明らかに 各種スラグセメントとボルトランドセメントの水和熱 なった。
測定結果を図一1に示す。促進材は水砕スラグ:消石灰= 3.5. スラグセメントの長期強度
水砕スラグと消石灰の比を,9:1から5:5まで変え 100 て消石灰を漸次増加させ,スラグセメントの長期強度を
90
80
70 命心 60 δ
) 凝 50 犀 者 40
30
20
10
0
試験材令
[ 1週 閤 4週
■ 13週 吻 17週
調べた。9:1および8:2の配合には,促進材として塩化 カルシウムを混入してみた。図一2,図一3および図一4にそ の結果を示す。図一2(a)によると,消石灰が多い場合は長 期になるにつれ,強度の伸びが小さくなり,材令91日以 後では9:1など消石灰量の少ない場合との強度差がか なり大きくなっている。911および8:2の配合では,材 令91日以後の強度の増加が著しい。図一2(b)の曲げ強度
も,圧縮強度と同様な結果を示している。
塩化カルシウム混入の場合,圧縮強度は混入量が少な いほど長期材令における強度の伸びが大きくなってい る。とくに,図一3(a)に示されているように,水砕スラグ:
消石灰=8:2の配合では材今91日以後混入量が少ない ほど強度は大きくなっている。しかしながら,塩化カル シウムを混入すれば若材令で,無混入の場合に比べて大 きい強度を示しており,促進材の効果が発揮されている ものと考えられる。一方曲げ強度では圧縮強度と異なり,
はっきりした差は認められなかった。この原因は一般に 曲げ強度は圧縮強度に比べばらつきが大きく,配合によ る強度差がばらつきの範囲に入ったためと考えられる。
3.6.消石灰を微量混入したスラグセメントの強度
普早中口 硫硝硫二
通強纂『二N酸酸酸水 試験
充蕊ま.パZ鴇 消石灰量が少な・・ほど長期材令における強度は大きい 圭圭圭=㍑Z ことがわかっ舗どの程度力瀧であるかを検討する
』持蹴ムム ために,さらに消石灰量を減少させて実験を行なった.
ン ン ン
ト ト ト 9%混入 消石灰量を1%から10%まで変えた場合の強度試験結 果を図一5に示す。
図一1 水和熱試験結果 圧縮強度に関しては,材令28日まで各配合による強
の差はほとんどみられないが,91日では9.5:0.5の場合 合が適当と考えられる。
最も大きく,9:1および9.9:0.1の場合最も小さく 3.7.各種促進材混入スラグセメントの強度試験 なっている。曲げ強度は材令28日ですでに強度の差が 促進材は,水砕スラグ:消石灰=9:1のスラグセメン みられ,91日でもほぼ同様な傾向となり,消石灰量が5 トに混入した。試験は表一2に示す促進材について行なっ
〜10%の配合の場合に良好な結果が得られた。長期にお たが,ここでは代表的なものについてその結果をのべる。
ける強度の伸びが大きいことおよび耐化学抵抗性のため 硝酸カルシウムおよび塩化アルミニウムの各混入スラ には,なるべく余剰消石灰量が少ない方が望ましいこと グセメントの結果を図一6および図一7に示す。硝酸カル などを考え合わせると,9.5:0.5および9.2:0.8の場 シウムを5%および9%混入した場合の曲げ強度は,短
400
300●已 ミ 旦 1越)
べ簡200 ひ
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03728 91 182 364 3728 91 182 364 3728 91 182 364
材 令(日) 材 令(日) 材 令(日)
図一2(a) 図一3(a) 図一4(a)
スラグセメントの長期圧縮強度 スラグセメントの長期圧縮強度 スラグセメントの長期圧縮強度
, 一 ,
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@
@ ρ
! ノ ノ
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6 1 1 1
1 1
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一 _ 一 一
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水砕スラク:消石灰 水砕スラグ:消石灰 水砕スラグ:消イ恢
=8 :2 8 =9 :1
● 5:5 ●CaCl、0% 1 ①CaCl,0%
◎ 6:4
@ 7:3 ウ 8:2
● 〃0.5%
ウ 〃1.0%
● 〃1.o%
怐@ 〃2.0%
O g:1 0 〃3.o% O 〃3.o%
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水砕スラク㍉牌火
@ =8:2 怩baCl・0%
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n 〃3.0%
∫ P
一 水砕スラグ:消τi灰
怐@ 5:5
a:1Φ 8:20 9:1
水砕スラク:消み灰
@ ;9 :1
@CaCl、0%
怐@ 〃1.0%
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n 〃3.o%
3728 91 182 3643728 91 182 36437 28 91 182 364
材 令(日) 材 令(日) 材 令(日)
図一2(b) 図一3(b) 図一4(b)
スラグセメントの長期曲げ強度 スラグセメントの長期曲げ強度 スラグセメントの長期曲げ強度
期および長期で無混入スラグセメント(水砕と消石灰の 行なったが,その結果を図一11に示す。二水石膏とほぼ同 みのスラグセメント)のそれと同程度か,若干上回る結 様な結果を得たが,脱硫石膏混入スラグセメントは3 果となった。塩化アルミニウム混入スラグセメントは, 日,7日の初期強度が特に大きいようである。我国におい 無混入クラグセメントに比べて材令7日の圧縮強度が ては脱硫石膏が多量に余っており,スラグと同様にその 約85kg/cm2も上回っている。 有効な利用方法の検討がなされているが,水砕スラグと 硫酸塩のうち,二水石膏,硫酸カリウムおよび硫酸ナ 混合して使用するスラグセメントへの利用は有望である
トリウムを混入した結果を図一8,図一9および図一10に示 と考えられる。
す。二水石膏5%および9%混入のスラグセメントは,無 硫酸カリウム混入スラグセメントは,曲げ強度および 混入スラグセメントに比べて圧縮強度が材令7日で40 初期の圧縮強度において特に大きくなっている。硫酸ナ kg/cm2程度上回り,材令56日まで大きくなっている。 トリウム混入スラグセメントは,曲げ強度が初期および 13%および17%混入のスラグセメントは石膏による遅 長期のいずれにおいても無混入スラグセメントに比べて極 延作用のためか・強度発現が遅れているようである。5% めて大きく,早強ボルトランド・セメントに匹敵するほど および9%混入のスラグセメントの曲げ強度が初期・お の強度を示した。初期の圧縮強さが,材令7日で60〜100 よび長期で無混入スラグセメントを20〜30kg/cm2も kg/cm2と極あて大きいことは注目に値するが,28日以 上回っているのは目立っている。二水石膏とほぼ同成分
と考えられる,産業廃棄物の脱硫石膏についても実験を 350
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水砕スラグ:消石灰
o 9.0:1.0 o 9.9:0.1
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3 7 28 91
・37 28 91 材 令(日)
材 令 (日) 図一6 硝酸カルシウム混入スラグセメントの 図一5 消石灰微量混入スラグセメントの強度試験結果 強度試験結果
砕スラグ .消石灰二9:1
OCa(NO3)ピ4H20 0%
@④ 〃〃
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● 〃 13%
◎ 〃 17% 〆P
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後の伸びはほとんどみられない。 すればそれなりの効果は認められるが,その量は長期強 焼石膏,硝酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムを混 度の伸びを著しく妨げない程度とすべきであろう。
入したスラグセメントは,曲げ強度が無混入スラグセメ 3.8.気中養生による強度および重量の変化
ントに比べて初期において上回っており,91日,182日 水中養生を2日,6日および27日実施後,恒温室(20±
で同程度になっている。しかしながら,圧縮強度につい 1℃)に放置して強度および重量(強度試験のための供言式 ては28日以後その伸びが小さく,無混入スラグセメン 体,4×4×16cm)の推移を調べた。使用セメントは水砕 トに劣るようである。 スラグと消石灰のスラグセメントおよびそれに促進材硫 全般に,硫酸塩および硝酸塩を混入したスラグセメン 酸ナトリウムを混入したもの,さらに比較のための普通
トは,曲げ強度に関して硬化促進の効果が充分認められ、 ボルトランドセメントの3種である。試験結果を図一12 とくに硫酸ナトリウムの場合は著しい。しかしながら, に示す。
圧縮強度は,初期材令において混入効果が認められるも 表一5は水砕スラグ:消石灰=9:1のスラグセメント のもあるが,材令91日以後の長期における強度の伸び について,打設直後より気中放置したモルタル,および は全般的に小さいようである。したがって,初期強度を 水中養生したモルタルについてその強度試験結果を示し 向上させるために硫酸ナトリウムおよび二水石膏を混入 たものである。同表から,水の補給が全くない気中養生
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水砕スラグ:消石灰=9:1
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材 令(日) 037 28 56 91
材 令 (日)
図一7 塩化アルミニウム混入スラグセメントの
強度試験結果 図一8 二水石膏混入スラグセメントの強度試験結果
表一5 空中養生と水中養生における強度差
曲 げ 強 度(kg/cm2) 圧 縮 強 度(kg〆cm2)
養生
フ区別 3日 7日 28日 91日 182日 3日 7日 28日 91日 182日 空中養生 一 9.5 17.4 13.0 21.4 8 24 56 40 50 水中養生 5.6 13.1 38.5 60.3 64.7 13 49 112 305 361
では強度の伸びがほとんどみられず,長期になるほど水 セメントもみられる。水中養生直後の強度差は,気中放 中養生との差は大きくなることが認められる。長期強度 置後においてもそのままに継続されている。曲げ強度は,
に特長がみられるスラグセメントでは,とくに水中養生 圧縮強度のように3種のセメントが同様な傾向を示さ が大切であると考えられる。 ず,セメントの種類によってかなり強度の変動がみられ 図一12によると,気中養生の圧縮強度については気中 るようである。水中養生直後の硫酸ナトリウムの曲げ強 放置後28日から56日経過すれば,セメントの種類によ 度は,3種類中最も大きくなっているが,気中放置後3日
らず,その伸びはほとんどみられず,かえって低下する および7日間の強度低下が著しく,逆に短期間のうちに 最低になってしまう。水砕スラグと消石灰のみのスラグ セメントでも気中放置後,2日水中養生実施した場合を 除き,強度低下がみられるが低下率はわずかである。普 通セメントでは27日水中養生実施後気中放置を行なっ た場合に強度低下がみられるが,他の場合はスラグセメ ントとは異なった傾向を示している。とくに,気中養生 § 時間の経過につれて普通セメントとスラグセメントとのぐ
妻250 強度のひらきが大きくなるようである。
慧 図一13には重量減少率の結果を示す。なお重量減少率 遷 とは次式によって求めたものである。
団 200 5
水砕スラク:消石灰=9 1
○ K2SO4 0%
@ 〃 5% ノ
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重量減少率(%)=
水中養生後供?圏ル灘令供試体重量・1・・
(80) 同図によると,気中放置後7日間における減少率が著 しく,その傾向は水中養生期間が短いほど顕著である。
毛 60 しかしながら普通ボルトランドセメントとスラグセメン
§ トの減少率の差はそれがとくに著し・・というような傾向
趣 40 はみられないようである。
曇 前記したように,スラグセメントの気中養生は曲げ強
租 度を低下させる原因となるために,モルタルとして用い る場合には何らかの対策が必要と考えられる。促進材を 混入したスラグセメントは,とくに,その傾向が著しい 37 28 56 91 ので曲げ材には,促進材の混入を差し控えた方が適当で
材 令(日) あろう。
図一9 硫酸カリウム混入スラグセメントの 強度試験結果
結10〜11時間であるが,20℃以上の温暖期にはそのま
4・結論 ま使用できるカ㍉寒い醐には促進材を混入することが
本実験で得られた結果をまとめると下記のようにな 望ましい。
る。 (2)促進材の過剰混入は,セメントの安定1生が劣るた
(1)硫酸ナトリウム,または硫酸カリウムを混入した めに,10%以下で使用することが望ましい。10%以上混 スラグセメントは、無混入および他の促進材を混入した 入する場合には,セメントの安定性を確認して使用すベ スラグセメントに比べて凝結時間がかなり早くなり,始 きであろう。
発が2〜4時間,終結が約6時間である。消石灰を微量混 (3)スラグセメントの水和熱はボルトランドセメント 入したスラグセメントの凝結時間は,始発約6時間,終 に比べて非常に小さい。例えば,水砕スラグ:消石灰の
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水砕スラグ:消石灰=9:1 O Na2SO4 0%
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3 7 28 91 182
図一m 硫酸ナトリウム混入スラグセメントの強度試験結果
比が9.5:0.5および9:1の配合では,材令17週の水 (5)硫酸塩,硝酸塩を混入した各セメントは曲げ強度 和熱がわずか40cal/gであった。促進材混入スラグセメ に関して充分効果が認められ,とくに硫酸ナトリウムに ントは,無混入スラグセメントに比べて若干大きくなる よる強度増進が顕著である。しかしながら,圧縮強度に が,それでも中庸熱ボルトランドセメントの%程度で ついては初期で混入効果が多少認められるものの,材令 あった。このようにスラグセメントは水和熱が小さいた 91日以後の強度の伸びは著しく小さくなるようである。
め,マスコンクリート用としては極めて有利なセメント 促進材の量は長期強度を考慮してできる限り少量にする と考えられる。 のが適当と考えられる。
(4)スラグの潜在水硬性を利用して長期強度を期待す (6)水中養生後の気中放置は,スラグセメントの曲げ るためには,刺激材としての消石灰は少量でよいことが 強度に大きい影響を与える。とくに硫酸ナトリウム混入 わかった。例えば,水砕スラグ:消石灰の比が9.9:0.1 スラグセメントは,気中放置後短期間で著しい強度低下 の配のように消石灰が微量であっても,水セメント比 をきたした。したがって,この様な促進材は十分考慮し 65%,材令28日で圧縮強度242kg/cm2が得られた。水 て使用しなければならないものと考えられる。本実験は セメント比を大きくすれば,初期における強度をさらに モルタルで行なったために,セメントの種類による影響 向上できるものと考える。長期における強度の伸び,耐 が大きく現われているが,今後コンクリートについて同 化学薬品性などから,水砕スラグ:消石灰の比は9.5: 様な実験を実施してみる必要があろう。
0.5および9.2:0.8の配合が適当であろうと考えられ
る。 終りに,本実験に対して御援助,御助言を賜った新日 250 鉄化学工業株式会社赤津健所長ならびに実験を遂行し て下さった株式会社新井組松下優氏に深謝の意を表 します。
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細 出 150
10
10 訳 8
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23714 28 56 91
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37
28 02730344155 83 118材 令 (日) 気中養生材令(日)
セメントの種類 O水砕スラグ:消石灰=9:1 怩ma2SO、,9%
@ 混入スラグセメント 尓£ハボルトランドセメント
図一11脱硫石膏混入スラグセメントの強度試験結果 図一13 気中養生によるモルタル供試体の重量変化
600
500 ひ已400 ミ 葺 趣300
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23 7 14 28 56 91 691320 34 62 9727303441 55 83 118
養生材令 (日) 養生材令(日) 養生材令(日)
セメントの種類 寳?モスラグ:消石灰=9:1 怩ma2SO、,9%
@ 混入スラグセメント
?£ハボルトランドセメント
図一12気中養生による強度の変化
参考文献 3)渡辺明,出光隆,岡部成光,森俊一:スラグセメント(微 1)古くは,永井彰一郎,徳竹久治,山川弘之ら:石灰スラ 粉砕した高炉水さい)に関する2,3の実験第30回セメン
グセメント(一種のメーソンリーセメント)の試験研究, ト技術年報,1976,pp、116〜118.
石膏と石灰,NO.46, NO.47,1960,など数多くある. 4)国分正胤編:土木材料実験,技報堂,昭和44年2月.
2)高山俊一,渡辺明,岡部成光:スラグセメントモルタル 5)近藤泰夫・坂静雄監修;コンクリート工学ハンドブッ久 の諸性質について,昭和50年度土木学会西部支部研究発表 PP.425〜434.
会講演集,昭和51年2月,pp 301〜302.