高性能減水剤を用いた高強度コンクリートの
ポンパビリチーに関する研究
紹和56年頚月31原稿受付)
開発土木工学教室高山俊一
開発土木工学教室出光 隆
開発土木工学教室村田佳斎
(大学院生)
AStudy on Pumpability of High Strength C皿crete Containing Super−Plasticizer
by Shun−ichi TAKAYAMA Takashi IDEMITSU Ybshiaki MURATA
High strength concrete can easily be obtained by adding super−plasticizer to a rich−mixed concrete with low water−cement ratio. This concrete is too plastic and very adhesive compared
ぼth◎rdinary c(mcrete. S《), the auth(】τs have仕ied a study◎n pumpabil輌ty◎f垣gh strength concrete.
H・・e・th・y k・・w high・t・e・gth・…蹴e c・・t・i・i・g・・p・・一ρ1・・ti・i・・・…1肋・晦ed by pumping methods. But the pump efficiency had a tendency to decrease rapidly when the plac・
ing rate was over 30 m3/hr.
1.まえがき 2.使用材料
一般に,高性能減水剤を使用した高強度コンクリート セメントは宇部普通ボルトランドセメント(比重3.叉6)
は,低水セメント比かつ富配合であるため粘性に富んで を,粗骨材は北九州市門司産の砕石を,および細骨材は,
いる。そのために,スコップの練り返しや突き棒などに 細砂(遠賀川口産)および粗砂(田川産)を5◎%ずっ混合 よる外力に対する抵抗力が大きくなり,練り混ぜや突き してそれぞれ使用した。骨材の物理的性質を表一1に示す。
固めにかなりな労力を要する。高強度コンクリートも軟 高強度コンクリートには高性能減水剤を,普通コンクジ 練りになると流動性に富んでくるため,型枠への充填性 一トには空気連行性減水剤(ポゾソスNo,70)を規定量
はよくなり,現場での施工性は普通コンクリートに比べ 添加した。表一2には高性能減水剤の性質を示す。
て必ずしも劣ることはない。逆に材料分離が少ない1)こと
など勝っている点もみられる。 表 1 骨材の物理的性質 最近,ほとんどの現場では,コンクジート打設はコン
クリートポンプによってなされているが,低水セメント 比の高強度コンクリートのポンパビリチーに関する研究 は少ない。そこで,実際に大型のコンクリ≡トポンプ車 を用い,水セメント比28%,単位セメント量6◎◎kg/m3
粗骨材の最大寸法 2伽m
程度の高強度コンクリートのポンパビリチーについて実 混合砂(細砂:粗砂=50:50)の粗粒率2.4〜2.5 験研究を行なってみた。
産 地 比 重 吸水率
i%)
単{麟聾
ikg/㎡)
実積率
i%) 粗粒率
粗骨材 砕 石 2.72 0.43 1640 60.7 6.38
細骨材
細砂(川口砂) 2.56 L83 1560 6L9 1.90
粗砂(陸砂) 2.54 1.94 1640 65.8 3.14
表一2 高性能減水剤の性質 (3)振動締固めを行なったコンクリートの材料分離性
高強度コンクリートの圧送限界すなわちポンパビリ チーを検討するために,高強度コンクリートを2配合,
比較のために普通に用いられているコンクリート(w/c
3.実験方法 5°〜55%・以下普通コンクリートと略称する)を1配合
の計3配合について圧送試験を行なった。圧送によるコ 3.1.実験項目 ンクリートのスランプ,空気量および強度などの変化も 実験は大きく分けて次の3項目について実施した。 調べた。あわせて,振動機による振動締固めを行なった
(1)高強度コンクリートのポンプによる圧送性 コンクリートの材料分離の程度とそのコンクリートが硬
(2)圧送によるコンクリートの性質の変動 化した後の諸性質を調べた。試験の概要および測定項目 を表一3に示す。
表一3 試験の概略および測定項目
略称名 主 成 分 比重 外 観 pH ixセメント量)使用量 M. B一ナフタリンスルホン酸
@ホルマリン縮合物 1.21 黒褐色液状 8〜10 1.5%
出 荷 時
i生コン工場) 圧 送 前 圧 送 後 適 用 規 格
スランプ スランプ スランプ JIS A 1101
空気量 空気量
一 JIS A 1128
まだ固まらな
「コンクリート
詞ア 『 フ ロ ー フ ロ ー ASTM2)
一 一 洗い分析 コンクリート・ライブラリー第38号*
コンクリート温度 コンクリート温度 コンクリート温度 棒状アルコール温度計使用 圧縮強度 圧縮強度 圧縮強度 JIS A 1108(φ10×20cm)
『 『 曲げ強度 JIS A 1106(口10×40cm)
硬化したコン
Nリート試験 一 『 乾燥収縮量 ダイヤルゲージ方式(口10×40㎝)
一 『 耐久性(凍結融解) 水中凍結融解法2)(口10×40㎝)
一 一 水密性 浸透深さ方法2)(φ15×30cm)
ポンプ圧送
詞ア
管内圧力の計測
@ ピストンストローク数
@ 主油圧,主油圧温度
│ンプの実吐出量の測定
3.2.示方配合 ンプ10cm)コンクリートとした。これは現在までの筆者 コンクリートの示方配合を表一4に示す。しだいに硬練 らの研究3}から,スランプ20cmの高強度コンクリート
リコンクリートとなるように高強度コンクリートの目標 のワーカビリチーは,普通コンクリートでスランプ10cm スランプは21cm・16cmとし・ポンプ圧送限界を検討で の場合に相当するものと考えられたからである。高性減 きるようにした。普通コンクリートは硬練りの(目標スラ 水剤の使用量は,セメント重量の1.5%とした。
表一4 コンクリートの配合
種 類
目 標スランプ
ic㎡)
単位量(kg/㎡)
No.
水セメント比
@(%)
空気量
i%)
細骨材率
i%) 水 セメント 細骨材 L粗骨材 減水剤
1 普 通 10±1 52 4 44.8 170 327 812 1053 0,817
2 高強度 21±1 28 1 37 161 600 599 1075 9.qo
3 高強度 16±1 28 1 39 149 557 657 1084 8,355
3・3・ ミキサおよび練り混ぜ方法 表〜7 コンクリートポンプ車の仕様 ミキサは生コン工場プラントに設置されているものを
使用した。ミキサの仕様を表一5に示す。高強度コンク リートでは同時添加より水と減水剤を分割4) 5) 6)して添加 混合した方がよリコンシステンシーが向上することがわ かっている。したがって練混ぜは表竜に示す方法で行な った。普通コンクリートの練混ぜは混和剤を含めて全て の材料を同時混入して40秒程度とした。ミキサーの容量 から1バツチを1m3とし,1配合は10m3として一台に 5m3ずつ積みこんだ。なおミキサ車による運搬中のドラ
ムの回転速度は1分間に2回転の緩やかな低速であった。 4.1.3.管内圧力の測定
コンクリートの圧送時における管内圧力は,圧力変換 表}5 コンクリートミキサ仕様 器(エム・エム・ビ_社製,フラツシュダイヤフラム式 圧力変換器,PR/C型,定格容量5◎Kg/cm2および10θ Kg/cm2,入・出力抵抗120Ω),およびストレインゲージ (東京測器製,FLA−6型,ゲージ長6 mm,抵抗値12◎
Ω)を図一1のように接続して動ひずみ計,オシロスコープ によって測定した。図一2には円管に圧力変換器を取り 付けた状態を示す。ストレインゲージは管長100cmの
苦6疏劇ンクリート臓混ぜ方法 中央の周副こ轍貼枇・げづ滋よってひずみ
を測定した。ゲージの上をブチルゴムテープで覆い,
(細骨材+セメント+水)L5分+(減水剤)1分+(粗骨材)1.5分 さらにその上をコーティング剤を塗布して防湿処置を行
製作会社 北川鉄工所
形 式 ボルテックスミキサ KV・1500A
最大混練量 ㎡ 1.5
ロータ回転数 PPM 70.6
アーム回転数 PPM 16.2
電動機出力および極数 KW×P 37×4
形 式 名 PTF−75BZ
ポンプ形式 横形単動複列油圧ピストン式 容 量 10〜75㎡/h
吐 出 口 径 5inch シリンダー径 195mm×2
ス ト ロ ー ク ㍉400]頂m エンジン最大出力 190PS/2350 rpm
トラックシャシ 日野KB 721
t▲ミ 年 ⑭ 品鴫 堅
4.コンクリートの圧送試験 、 東京測器研究所鯨測器研究所 才公下電器製 円管 ブ川ボ・クス蜘ずみ計オ逗スコ ブ (5B) SB 120B DT−6B R瑚【V−33M 4.1.試験の概要
4.1.1.測定項目 図一毒 円管と動ひずみ計,オッシロスコー 一配合のコンクリート量10m・とし,設定吐出量を20, プの接続
30,40および50m3/hとして各吐出量は2.5m3とした。設 定吐出量はコンクリートポンプ車のゲージの目盛によっ
た.各出量に対し,・ンクリートポンプ車のスト。− 1
ク数,作動油温度,橿拝用ポンプ圧,最大主油圧,所要
φ64芯シールド線
時間および管内圧力を測定した。また吐出口では,大き 、
圧力変換器
な箱ξ横×縦×高さ 1領×90×45.5Cm)に所定時間に PF3/§灘ネジ 、 。
PF 3/8
投入した容積を測定し,実際の吐出量(以下実吐出量とす ストレ.一トシ_ム管
■ n
る)を求めた。 N 鍵 (125A)
4.1.2. コンクリートポンプ車の仕様
鳴
φ14
ポンプ車は石川島播磨重工業㈱のブーム付コンクリー i2 ロ35 トポンプ車PTF−75BZを使用した。ポンプ車の仕様を
表一7に示す。 図一2 圧力変換器の取り付け状態
なった。ストレインゲージを貼付した管については,管 キャリブレーションを行なっている状況,図一3はその結 の両端を厚い鉄板で覆い,油圧ジャッキを用いて油圧と 果の一例である。
ゲージのひずみの関係(キャリブレーション)を求め, 4.1.4.配管および管内圧力測定位置
円管に作用する内圧が求まるようにした。写真一1は, コンクリート圧送試験には5B(φ125 mm)管を使用 した。図一4には配管および管内圧力測定位置を示す。配 60 管の実全長は51.2mであり,水平換算延べ圧送距離71は 67.3mであった。配管の傾斜は管先方向に緩やかな登り 50 勾配となった。写真一2には配管状態を示す。圧力計の種 類と測定位置までの距離を表一8に示す。圧力変換器は管
㌃§ 40 の側面に取り付けた。これは,管の上縁ではコンクリー
亘 ト嚇たされない場合糟の上部に空気が溜まる場合が
只30 想定され,真の管内圧力を測定できないことが考えられ
出長 たためである。 、
Ψ20
10
No.3 1 一
一
No.5 一 No.4
0 200 400 600 800
ひずみ(×10−6)
図一3 円管のキャリブレーション
写真一1 円管の内圧のキャリブ レーション状況
写真一2 ポンプ車と配管状態
表一8 圧力計の種類と測定位置までの距離
番号 圧力計の種類 車から測定位置までの距離
No。1 圧力変換器(定格容量100kg/cm2) 3.7(m)
No.3 ストレインゲージ 10.7
No.4 ストレインゲージ 17.7
No.2 圧力変換器(定格容量 50kg/cm2) 24.7
No.5 ストレインゲージ 34.7
フレキシブルホース 卜゜ 9
2.0
ポンプ車 丁
レ No.1 No 3 No 4 No 2 No 5
゜・㍊.、L…・斗一7・・斗一7・・一ト1…+6・・」・・45
(単位:m)
図一4 配管および管内圧力測定位置 (No.1とNo.2が圧力変換器使用)
5.0
3.0
ぷ・78
4.2.ポンプ圧送試験 、
設定吐出量 4.2ぼ.管内圧力の波形
図一5は圧力変換器PR−100Cを用い,オシロスコー
プで記録した管内圧力の一例である。オシロスコープの 50㎡/h 紙送り速度は5cm/secとした。同図によると,既往の
研究8)・9)と比べて形が整った波形であり,管内圧がポン
プ車のピストンの動きにしたがって規則的であったこと 基準線 o が認められる。吐出量が大きくなるにしたがってピスト
ンの動きも早くなるためにサイクル数が多く,圧力も大 きくなっている。高強度コンクリートでの波形の立ち上
40m3/h がりは,普通コンクリートに比べて鋭くなっている。
4.2.2.管内圧力 o 表一9にはコンクリート圧送試験結果を示す。図一6(a)(b) 3ぽ/h
(c)には管内圧力と測定点の関係を示す。表一10には管内 o 圧力と水平距離の関係を最小2乗法で算出した回帰直線
および相関係数を示す。同図の結果は他の研究者らの結 2◎㎡/h
測定箇所が遠いほど小さくなっている。高強度コンクリ 時間 (秒)
一ト(No・2)の管内圧力は・普通コンクリートのそれに比 図一5(a)高強度コンクリートでの管内圧 べて2〜3倍も大きくなり,高強度コンクリートの粘性 力の波形(N◎.1P糾θ◎C)
が圧送性に大きく影響しているものと考えられる。また 表一9に示されている様に,主油圧ポンプは普通コンク
リートでも120kg/cm2にも達していた。図一7は圧力損失 設定吐出量 と実吐出量の関係である。圧力損失は図一6から円管1 50㎡/h◎
m長さに対する管内圧力の低下を算出して求めた。同図 での普通コンクリートの結果は,圧力損失が0.1〜0.2
kg/,m・で幽量欲きくなるにしたが暗肌慨往 4励・
の研究結果7) 10)とほぼ同様な傾向を示していることがわ
かる。高強度コンクリートの圧力損失は,吐出量が2◎ 30頁ガh◎
m3/hと小さいと普通コンクリートに比べても大きな違 いはないが,吐出量が大きくなるにしたがって急増する
失は普通コンクリートではみられないような0.5〜0.6
時 間 ( 秒 ) kg/cm2/mに達し,普通コンクリートの2〜3倍にもな
図一5(b)普通コンクリートでの管内圧力 っている、 の波形 (Nα1PR−100C)
表一9 コンクリート圧送試験結果
測定項目 設定吐出量 実吐出量 ポ ン プ 車 圧送前後 圧発前・後のコンクリートの性質
コンクリートの種類 (m3/h) (m3/h) ピストン
Xトローク数 口 最大主油圧
i㎏/㎝2)
主油圧温度
@(℃) の 別 スランプ icm)
フロー値
@(%)
温 度
@(℃)
気 温
@(℃)
前 10.8 55.5 28.2
20 16.5 7.7 110 48 27.0
後 10.2 79.5 29.8
⊥削
No.1 30 28.5 12.0 115 50 28.0
後 7.6 75.7 30.4 普 通
コンクリート 40 37.1 17.1 120 前 8.8 51.7 30.0
52 29.0
後 8.4 51.7 30.2
}別
50 48.8 22.3 120 52 28.8
後 6.4 44.5 30.8
前 22.8 175 27.8
20 19.1 110 36 24.9
後 24.7 152.8 29.1
一削
No.2 30 27.9 125 40 25.1
後 22.8 159.3 29.3
高強度
コンクリート 40 32.3 22.4 200 44 前 26.3 161.9 27.8 25.0
後 23.4 177.2 29.0
}別
50 36.7 16.7 220 46 25.0
後 19.8 106.7 32.0
前 22.5 95.3 29.2
20 18.4 7.7 110 47 25.9
後 17.7 93.3 29.5 晶
目lj
No.3 30 25.8 12.4 115 48 25.0
後 21.3 113.4 30.2
高強度
前 24.1 188.9
コンクリート 40 41.3 16.8 135 51 25.0
後 24.9 181.5 29.0
一削
50 41.0 22.4 150 53 24.9
後 25.3 182.3 30.8
表一10 管内圧力と水平距離の回帰直線
No.吐出量(m㌢h) 回 帰 直 線 相関係数(r)
20 P = −0.081十 5.09 0.95
1
30 P = −0.141十 7.45 0.99 40 P = −0.191十 9.99 1.00 50 P = −0.201十 10.56 1.00 20 P = −0.161十 7.67 1.00
2
30 P = −0.301十 14.82 1.00 40 P= −0.561十 28.24 0.98 50 P = −0.591十 31.49 0.99 20 P = −0.131十 6.94 0.95
3
30 P= −0.241十 11.97 0.97 40 P = −0.381十 17.95 0.97 50 P = −0.091十 19.09 0.88
ぐ15§
妻10
二8 出6 便4 麺2
設定吐出量(V)
O20㎡/h
禔@30 怐@50「 40
0 10 20 30 36 ポンプ車からの水平距離 (m))
図一6(a)普通コンクリート(配合No.1)に おける管内圧力と水平距離
35 4.2.3.実吐出量
30 図唱には実吐出量と設定吐出量の関係を示す。一般 に,圧送量の効率はポンプ車の使用年数によってしだい
§25 {こ低下して約9°%盤になることが言抽て・・る・關
垂2⑪ によると,普通コンクリートの実吐出量は設定吐出量に ほほ等しいが,高強度コンクリートでは吐出量が大きく
出15 なるにしたがって圧送効率が7◎%程度になり,実咄量
が低下している。したがって高強度コンクリートの圧送
1◎
性は,下記のことが考えられる。
5 (1)ポンプによるコンクリート圧送は可能であるが,粘 性の強い硬練りの高強度コンクリートでは,時間当りの 0 10 20 30 36 コンクリート打設量が普通コンクリートの70%程度に ポンプ車からの水平距離(m)
低下するために,迅速で多量の施工をできないものと考 図轍6ω 阨メ㌫瀦躍2) えられる.
(2)圧力損失が普通コンクリートの2〜3倍にも達する 20 ため圧送限界距離がかなり小さくなるので,圧力損失を できる限り小さく抑える工夫が必要である。例えば設定 吐出量を小さくしたり配管長を短かくしたり,曲がり管㌔]5亘
只10 を少なくするなどが挙げられる。
田之
痙5 60
却皿
レ㎏● ご%為
レ、 吻
脚
レ㌦@\30
≧
u>20
0
10 20 30 36 50
ポンプ車からの水平距離(m) _
冬 図一6(e) 高強度コンクリート(配合Na3) 主4◎
における管内圧力と水平距離
皿圃 ヨヨ30
0.7
穐類 回帰曲線 礫襲
O P=−o.25+0.1]7109evo.98 柵く 2◎
o.6
● P=3.◎⑰×10一駕V2]2 0.98
o.5
盲 こ\0.4 き9
蝋0.3
出0・2
◎ユ
レ
10
⑪
配 合 !
○ No.1普 通 1
1
● N◎2 高強度 /
/
!
/
/
! 允
㌶
∠
10 20 30 40 50 60
設定吐出量 (m3/h)
図一8 実吐出量と設定吐出量の関係
5.コンクリートの諸性質 5.1.各種試験および供試体の作製
o 甜 20 30 40 60 6◎ コンクリートは出荷時,圧送前・後について表一3に 実吐出量(㎡/h) 示すような試験を行なった。とくに圧送後にっいては,
図一7 圧力損失と実吐出量の関係 高強度コンクリートと普通コンクリートの材料分離性に
表一11供試体の形状,打設方法および切断方法
言 名
洗 い 分 析
圧
縮
強
度
曲 げ 強 度
乾耐 久 燥性 収凍 結 縮融 解 量)
水 密 性 蓮 丞
型枠の形状打設方法
2層に分けて詰め、突き 棒(φ19,長さ100cm)
で各層50回ずつ突いた 後、振動を加えた。
高さ 20×40×60cm
2層に分けて詰め、突 き棒(φ19、長さ100 cm)で各層50回ずつ突 いた後、振動を加えた。
高さ 30×40×60cm
2層に分けて詰め、突 き棒(φ19、長さ100 cm)で各層50回ずつ突 いた後、振動を加えた。
供試体の採取方法
φ30×60cm
1層 6層に分け 2層 て採取 3層
4層 5層 6層
コアカッターに よって各層2個 ずつ採取
鉄板
振動後、厚さ4 mmの鉄板を打 込み、硬化後に カッターにより
/ 供試体を作製。
φ20の丸鋼を通 し、硬化後に引 民 抜いた。
コアカッターに 叶 よって供試体を 採取。
標準供試体の形状・寸法
10×10×40cm
乾燥収縮量には埋込みゲー ジ(KM 100)を1部使用。
もっいても実験を行なった。表一11にはポンプ圧送後に作 プ,フロー値およびコンクリート温度の関係を示す。図 製した各種供試体の形状,打設方法および切断方法を示 中の45度の線より上側に測定点があれば,圧送後の測定 す。型枠は,洗い分析試験が鋼製とし,圧縮強度,曲げ強 値の方が大きいことを意味している。図によれば,スラ 度,乾燥収縮量,透水および凍結融解試験の各供試体が ンプおよびフロー値は,圧送前後による違いはほとんど ベニヤ板で作製したものを用いた。同表に示した他に,
圧縮強度,曲げ強度,乾燥収縮量,透水および凍結融解 25 の各試験では通常使用されている標準の鋼製型枠を用
い,一般的な方法で供試体を作製した。この供試体を標 準供試体と名づける。振動機は,棒状型(仕様を表づ2に
示す)を使用し,振動時間は,普通コンクリートで1分, 20 高強度コンクリートで3分とした。
製作会社 三 笠 産 業
機 種 MVI・GM型(錘振型)
型 式 32型(錘振型)
振動筒の寸法 径33mm×長さ501mm
振 幅 2.3mm
振動数(毎分) 10000〜11000
使用モータ 単相2極1薗V,1珪く7閲W)
重 量 原動機23kg,シャフトセット12kg
表一12 棒状振動機の仕様 君 ∪ ト 15 λ 糖
5.2.経過時間によるまだ固まらないコンクリート 0
出 圧 圧 の変化 荷 送 送 時 前 後 1台目のミキサ車の待ち時間は,生コン工場からの運 τ 勾 衡
搬醐と2韻蝶るまでの繊馴給計すると約 色 藷 2
45分を費している。図一9,図一10にはスランプおよび空気
量の変化を示す。同図によると出荷時から圧送前までの 図一9 スランプの経時変化 45分間で両コンクリートともスランプが1〜2cm,空
/°
コンクリートの種類
nNo.1 普 通 福mo.2 高強度 怩mo.3 高強度
lC
5・3・1・圧送前後のまだ固まらないコンクリートの 出 圧 圧
性質 覆 藷 覆
コンクリート圧送前・後の諸性質の測定結果を表一9
に示す。図一11,図一12および図一13は圧送前後のスラン 図一拍 空気量の経時変化 6
気量が0.5〜11%低下しているが特別に大きな変化はな かったと考えられる。高強度コンクリートは,経過時間
によるコンシステンシーの低下がとくに大きいと言われ _
ているが,楠果では舗コンクリート蹴べてもほと 馨4
んど変わらず,特別な傾向はみられなかった。これは,研 綱 究室での実験に比べて練混ぜ量が極めて多いこと,高強 戚 2 度コンクリートが特に軟練りであったことが挙げられる 細
ものと考えられる。
5.3.圧送前後のコンクリートの品質の変化
0
27
20
君
∪
1卜
e10
出
0
200
150 埋
1 口
N 100
Q
出 50
0
コンクリートの種類 nNo.1 普 通 高mo.2 高強度 怩mo.3 高強度
口●
@ 口
●
みられない。一般に普通コンクリートに関する多くの実 験結果では,圧送後わずかにコンシステンシーの低下が みられるようである。したがって高強度コンクリートの 圧送後のコンシステンシーは,普通コンクリートと同様 であると考えられる。コンクリート温度は,圧送後に1 度近く上昇しているものとみられる。この結果も,普通 コンクリートの場合とほぼ同程度であると考えられる。
5.3.2.圧送前後の硬化コンクリートの性質 圧送前後の動弾性係数,単位重量および圧縮強度の各 測定値を図一14に示す。一般に硬化した普通コンクリー トでは圧送による違いはほとんどないものとされてい 10 20 27 る。同図によると,圧送後の測定値の方が若干小さいよ 図一11圧送前後のスランプ うである。しかしながら,本結果は測定数が少ないため に,さらに研究を重ねる必要がある。
コンクリートの種類 nNo.1 普 通 福mo.2 高強度 怩mα3 高強度
口 ●
●
宦
50 100 150 200
図一12圧送前後のフロー値
600/2.5/50
コンクリートの穐類
ONO.1普通
口 No.2 高強度 △ No.3 高強度
る ノ ロるノる
埋 ○動弾性係数(全白)
望 ①靹韓(半黒)
誉 ゜圧縮強度(矧
掴 200/2.3/30 出
攣… 岬 懲 封 蝋 還 離 芭 堤 楡 珊 田
動弾性係数 (xio4kg/c㎡}30 40 50 コンクリートの単仁ψ敬ton/㎡) 2.3 2.4 2.5 圧辛宿弓董度 (kg/c㎡) 21)(1 40⑪ 600
圧送前の測定値
図一14圧送前後の硬化コンクリートの性質
31
30
撃
よ29
x 928
讃
出27
○
日
○
●
仏
コンクリートの種類 nNo、1 普 通 福mo.2 高強度 怩mo.3 高強度
6.振動締固めを行なった高強度コンクリートの材料 分離性
6.1.洗い分析試験結果
棒状振動機によって普通コンクリートは1分,高強度 コンクリートは3分の振動を加えた後,深さ60cmの試 料を10cmずつ6層に分けて1層(容積71)ごとに洗い 分析試験を行なった。図一15は1層と6層についての試 験結果である。同図によると,1層と6層の構成比の違 いは,主に粗骨材と水量である。1層では粗骨材がほと 27 28 29 30 31 んど沈降してしまって,コンクリートからモルタルへと 図一13圧送前後のコンクリート温度 変化し,底部の6層では,粗骨材の実積率が約60%であ
alr 2% alr 4兇6 air 296 alr 2〜}o alr 2 )o alr 290
3996 鵡%
示方配合 GO,3% 6層 示方配合 1層 6層 1層 高強度コンクリート(振動時間3分)
普趣ンクジー端輪間ぬ) 〈ぬ31
. 一 一 一 一
, 一 一 .
w z W6%C8%
,^ s
, 鋪〆
47% // 33%
C9% , G
S ダ
幼% 51%
ノ 魂 ≡ 一 一 一 一
二 ,てここ二
W W13%
C12%
38% C ノm S
〆 ノ
C17% 26%
S G
34%
G9% 47%
図一15洗い分析試験結果
§
試10 20深料 さ 30
(cm)4〔〕
50 60
1層
2 3 4 5 6
るからほとんど粗骨材であり,その間隙を他の材料が詰 6.3.振動を過剰に加えた硬化コンクリートの諸性 まっている状態と考えられる。したがって粗骨材は,材 質
料分離の傾向を知るためには適当な材料であり,試験方 表一11に示した型枠に,コンクリートを詰めて棒状振 法の上からも粗骨材のみに着目すれば良ければ著しく簡 動機で振動を過剰に加え,コンクリートの圧縮・曲げ各 便である。 強度,単位重量および動弾性係数を測定した。図一17(a),
6.2.材料分離係数と各層 (b),〈c)には各コンクリートの試料採取箇所と各測定値の 材料分離の程度を表わす指標として,材料分離係数を 関係を示す。図中の横軸は,各測定値の平均偏差であり,
提案する。材料分離係数は次式から算出する。 次式によって算出する。
㈱離係数(%)一試料コンe織轟篇猫粗骨材量・100 平臓(%)翌霧夢×1・0
材料分離係数が100%とは,採取したコンクリートの粗 ここで平均値は1層から6層までの測定値の平均であ 骨材量が示方配分と同一であったことを意味している。 る。各性質の各層におけるばらっきの程度を知るために 材料分離係数と試料採取深さの関係を図一16に示す。同 変動係数も算出し,図中に示した。同図によると,動弾 図によると,普通コンクリートの材料分離が著しく,粗 性係数は上層で小さく,下層で大きくなり,材料分離係 骨材がコンクリートの上層では沈降して下層に推積して 数(図パ6)の傾向と類似していると言える。単位重量は いるのが明らかである。高強度コンクリートは普通コン 動弾性係数と似た結果を示しているが,変動係数が最小 クリートに比べ,上・下層の材料分離係数の差が小さい であり,上・下層の差が極めて小さいと言える。圧縮・
ので材料分離が小さいものと考えられる。これは,高強 曲げの両強度は若干ばらつきがみられるが,上層で大き 度コンクリートでは粘性に富んでいるから,粗骨材の沈 く,下層で小さくなり,動弾性係数,単位重量と逆の傾 降が抑制されるためであると考えられる。 向がみられる。最初,上層では実質の水セメント比が大 材料うト離係数(% きくなるので強度が小さくなり,下層では充分締固めら
10試
料 2{}
採 取 30 深 さ 4⑪
〈cm)
50 60
25 5⑪ 75 100 125 150
れるために強度が増大すると予想していたが,逆の結果 を示した。本結果は既往の研究11)と異なっているために さらに実験の積み重ねが必要であると考える。しかしな がら強度の結、果は,材料分離係数のそれと異なっている
ことから,材料分離と強度が強い関係を有しているとは 断言できないものとも考えられる。
図一棺 材料分離係数と試料採取深さ
平均偏差 (%) 6.4.透水試験
60 70 80 90 100 110 120 各層の深さと拡散係数の関係を図一18に示す。同図に 雇欝試体 よると,拡散係数は上層で小さく下層の方が大きくなっ o ている。予想では,充分に締固めると上層では,示方配 10 合より実質の水セメント比が大きくなるから水密性が低 料 20 下し,逆に下層では充分に締固まるので水密性がかなり向試
の 30 上するものと考えていたので全く逆の結果となった。こ
璽・・ のことは,搬撒の場合と同様であり,さらに実験を
(cm)50@ 積み重ねる必要があるものと考える。
60
圧送前 標準供試体
● ○勾
10圧縮強度 絜ネげ強度
「単位重量 恣ョ弾性係数
変動係数(%)
@ 8.0
@ 5.3
@ 5.8
@20.8
O
標準供試体 普通コンクリートNo.1
図一17(。)試料採取深さと各測定値 1.5
平均偏差(%)
60 70 80 90 100 110 120
圧送後
標準供試体 口 ○
0
試 変動係数(%)
料 10 O圧縮強度 11.0
の 20深
口曲げ強度 8.3
「単位重量 1.1
さ 30
icm) ●動弾性係数 3.9 40
50 U0
圧送前 ● ○
標準供試体
「送後
標華供。式体
0 10試 料 20
の 30 深
さ 40
(cm)50
60
圧送前 標準供試体
高強度コンクリート No.2
図一17(b)試料採取深さと各測定値
平均偏差(%)
70 80 90 100 110 120 130
○ 口
変動係数 寤ウ縮強度 8.5(%
絜ネげ強度 4.4
「単位重量 1.7 恣ョ弾性係数 5.5
○ ●
試 料 16.5 の 深 22.5 さ
(cm)
37.5
43.5
58.5 60.0
上層
中層
下層
ロ30×40×h60 cm
配合
ONo.1
△No.3
0 10 20 30 40 50 60 70
拡散係数(×10−4,cm2/sec)
図一18試料の深さと拡散係数
7.結 論
本実験で得られた結果をまとめると下記のようにな る。
高強度コンクリート N・・3 (1)高強度コンクリートのポンプによる圧送は,設定吐 図一17(c)試料採取深さと各測定値 出量が大きくなるにしたがい圧力損失が増大するため,
圧送効率が低下する。しかしながら設定吐出量を30〜40 2)国分正胤編;土木材料実験,技報堂.1969.
m3/hにとどめれば,中硬練りの高強度コンクリートで 3)高山俊一 出光隆・古賀順二;高強度コンクリートのコ ンシステンシーに関する基礎的研究,九州工業大学研究報
も多量のポンプ圧送が可能であると考える。 告(工学),第38号,昭和54年3月.
② 圧送前後の高強度コンクリートでは,まだ固まらな 4)服部,山川,今村,鈴江,東,江尻;流動コンクリート いコンクリ_トおよび硬化したコンクリートのいずれの について・セメント技術年報・第3◎巻・1976年・ρP・254 〜258.
諸性質も,普通コンクリートの場合と同様にほとんど変 5)高山俊_,渡辺明,江本幸雄,神野良一;高性能減水済 化なかった。 を用いた高強度コンクリートの諸性質,九州工業大学研究
(3)材料分撒と動弾幽は強いホ目関があるものと 6鑑ぽ)遮鵠漂1篭強度コンクリートのワー
考える。圧縮,曲げの両強度および水密性は材料分離と ヵビリチ_におよぼす練混ぜ方法等の影響に関する研究,
の関係が小さいものと考えられる。 セメント技術年報,第33巻,昭和54年12月.
7)毛見虎雄;コンクリートポンプ工法,彰国社,昭和52年 12月.
終りに,本研究に対し・実験現場など多大の御援助を 8)川端,山崎,中原,大西ほか;水砕スラグ細骨材を用い 賜った奥村組および関係の方々に心よりお礼申し上げま たコンクリートの施工性に関する実験,大阪セメント技報,
す・また本研究の一部は昭和5d科学鵬(奨励研 ,ぽ謬鑑㍑る蜘特殊。ンクリ_圧
究(A))によって行なった。 送性と品質に関する研究,大成建設技術研究所報,Nα12,
1979.11,PP.77〜86.
10)日本建設機化協会編;コンクリートポンプハンドブック
参考文献 森北出版,1979年12月.
1)高山俊一,小椋規由,松田浩;高強度コンクリートの材 11)毛見,平賀。倉林,荒巻;コア強度による壁・スラブコ 料分離に関する実験的研究,土木学会西部支部研究発表会 ンクリートの充てん性について,セメント技術年報,第32 講演集・昭和56年2月.ρρ・299〜300・ 巻,昭和53年,PP.383〜386.