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博 士 ( 工 学 ) 遠 藤 聡 志 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 遠 藤 聡 志

学 位 論 文 題 名

知 識 構 造 の 獲 得 法 と その 応 用 に 関す る 研 究

学 位 論 文内 容 の 要 旨

  知識の構造化は,コンピュ一夕による高次の問題解決を実現するための知識表現と して有効な手段であり,構造化された知識の利用範囲はエキスパートシステムをはじ めとする知的問題解決システムの知識ベースとして必須なものとなる.ところで、人 間は時々刻々と変化する問題環境に応じて柔軟に知識を構造化していくことが知られ ている.このような知識の構造化の枠組みを定式化することで,多くの知的問題解決 に対するより有益な知識ベースを提供できる可能性を持つ,

  本研究は,構造モデリングの視点から知識の構造化法を提案するものである.はじ めに,構造化のプロセスを拡張して人間の自由な発想・柔軟な思考をサポートする構 造モデリング法及びそのシステム化について理論展開を行っている.さらに,構造化 知識の獲得に関する問題領域および構造化された知識を有効に活用するための問題領 域について検討を行っている.これらの展開した理論は具体的問題への応用を通して,

その正当性が評価される,すなわち,前者は計算機言語の文法習得のための学習項目 順序を決定するための文法構造モデリングの方法およびその複雑度に関する評価法の 提案,実験および考察,後者に関しては,帰納推論の分野における事例からの概念学 習に関する新しい問題解決アルゴリズムの展開,実験および考察を行い展開した理論 の評価を行っている.

  これらの成果は以下のように要約できる.

1.構造モデリングおよび発想支援による知識の構造化に関する方法論について検   討し,試作システムによりその有効性を検討した.

2.知識の構造化の応用事例として,計算機言語の文法構造から文法習得のための   学習項目順序の抽出法およびその評価法を開発した.

3.構造化された知識を背景知識として導入した事例からの概念獲得技法を榊築した

  論文は,6つの章によって構成されている.

  第1章では,従来のシステム構造化技法を知識の構造化ヘ応用するという立場から,

その研究背景と目的について述べている.

  第2章では,知識構造化の基盤となる基本的技法について紹介している.まず,数 学的準備として集合論及びグラフ理論に関する必要事項について述べている.また・

構造 モデリングの代表的手法であるISM法について,その概要とアルゴリズムを簡 単に紹介している.

−302―

(2)

  第3章では,知識の構造化を支援するシステムに関して議論している.はじめに,

発想・思考の形態について検討を行い代表的な4つの発想・思考の特徴について明ら かにしている.またこれを基に知識の構造化に必要と思われるシステムが持つべき機 能について検討している.以上の議論を基に,知識の構造化と密接に関連のある発想 支援のアプローチを導入した,統合型発想支援システムFISMのシステム構成および 機能構成について述べている.さらに,試作システムによって,システムによる問題 解決の適用例を示している.

  第4章では,構造化知識の利用の立場から,事例からの概念獲得問題を取り上げて いる.事例からの概念獲得問題は帰納推論の一分野であり,与えられた事例に対して 構造化された背景知識を用いて一般性の高いルールを導き出す方法論である, 4.1節 では,これまでこの分野の代表的な手法とされてきたVersion Space法に関する問題 点を明らかににている.その問題点は事例の逐次処理的概念構成法に基盤をなす学習 アルゴリズムを推論に用いるために発生する,(1)選言的概念獲得への拡張が困難で ある,(2)推論途中で¨もっともらしい 仮説を構成できない,(3)ノイズと呼ばれる 誤った訓練例が与えられたら,仮説を構成できない,(4)正例のみによる概念獲得が できない,(5)推論途中で表現言語が変更されたら仮説を構成できない,等の内容で あった.次節以降で,これらの問題点を解決するために開発した,遺伝的アルゴリズ ムを推論のべースとした概念獲得のためのアルゴリズムについて説明している.開発 し た 概 念 獲 得 ア ル ゴ リ ズ ム は 従 来 の 方 法 と 比 較 し て 以 下 の 特 長 が あ る . 1.従来法では獲得概念の記述形式を単一連言概念に限定していたのに対して,開   発 し た ア ル ゴ リ ズ ム は 選 言 的 概 念 の 記 述 形 式 を 扱 う こ と が で き る . 2.正提示からの概念獲得が可能となっている

3.事例に含まれるノイズを抽出することが可能となっている.

4.事例の逐次追加が可能となっている.

ま た , こ れ ら の 特 長 に 関 し て 計 算 機 実 験 を 通 し て , そ の 有 効 性 を論 じ た .   第5章では,知識構造化の応用例として計算機言語の構造モデリングおよびその複 雑度評価 に関し て述べて いる.計算機言語の文法は一般にBNF等の表記法で記述さ れるが,この記述は文法を構成する要素間の構造を内包しており,この構造を明らか にすることは,例えば文法を学習するための課題提示順序を設計するための指標とし て用いることが考えられる.また,その全体構造の複雑さから,その言語の持つ 学 びやすさ(lea.rnability) を分析する手掛かりを得ることができる.このような観点か ら計算機の文法構造に対する知識構造モデリングの方法論について提案し,その構造 的特徴からその複雑度を計算する方法について提案している.また,提案した方法を,

幾 っ か の 計 算 機 言 語 に 対 し て 適 用 し そ の 結 果 に つ い て 検 討 を 加 えて い る .   第6章 では, 本研究の 全体的な まとめ と今後の 研究課 題につい て論じ ている,

‑ 303―

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

知識構造の獲得法とそ の応用に関する研究

  情報処理の分野において,計算機援用による高次の問題解決を実現するための重要な課題のーつに,効 果的かっ効率的な知識の獲得に関する問題がある.知識獲得技術は,エキスパートシステムをはじめとす る知的問題解決システムの知識ベース作成等に必須なものであるが,知識獲得ボトルネックとして知られ るように,この分野のもっとも困難な課題のーつでもある,

  この問題に対して本論文では,新しい知識獲得の方法として知識の構造化法を提案している.この方法 では,人間の自由な発想・柔軟な思考をシステム構造モデリングの立場から定式化することによって,構 造化知識の獲得に対する計算機援用を可能にしている.また,これらの展開した理論の正当性評価を行う ために,この方法論の応用について検討を行っている,応用事例として,計算機言語の文法習得のための 学習項目順序を決定するための文法構造モデリングの方法およびその複雑度に関する評価法の提案,実験,

考察,および帰納推論の分野における事例からの概念学習に関する新しい問題解決アルゴリズムの展開,実 験,考察を行い展開した理論の評価を行っている.

  これらの成果は以下のように要約できる.

1.構造モデリングおよび発想支援による知識の構造化に関する方法論について検討し,試作システムに   よりその有効性を検討している.

2.知識の構造化の応用事例として,計算機言語の文法構造から文法習得のための学習項目順序の抽出法   およびその評価法を開発している.

3.構造化された知識を背景知識として導入した事例からの概念獲得技法を構築している   論文は,6つの章によって構成されている.

  第1章では,従来のシステム構造化技法を知識の構造化へ応用するという立場から,その研究背景と目 的について述べている.

  第2章では,知識構造化の基盤となる基本的技法について紹介している,まず,数学的準備として集合 論及びグラフ理論に関する必要事項について述べている,また,構造モデリングの代表的手法であるISM 法について,その概要とアルゴリズムを簡単に紹介している.

  第3章では,知識の構造化を支援するシステムに関して議論している.はじめに,発想・思考の形態に ついて検討を行い代表的な4つの発想・思考の特徴について明らかにしている.またこれを基に知識の構 造化に必要と思われるシステムが持つべき機能について検討している.以上の議論を基に,知識の構造化 と密接に関連のある発想支援のアプローチを導入した,統合型発想支援システムFISMのシステム構成お

ー304−

東 市

惇 昇

   

   

衛  

  侑

内 本

達 数

大 宮

伊 嘉

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

よ び 機 能 構 成に つ い て 述 べて い る . さ らに , 試 作 シ ステ ム に よって ,シス テムに よる問 題解 決の適 用例を 示 し て い る .

  第4章で は , 構 造 化知 識 の 利 用 の立 場 か ら , 事 例か ら の 概 念 獲得 問 題 を 取 り上 げ てい る.事 例から の概 念 獲 得 問 題 は帰 納 推 論 の 一分 野 で あ り ,与 え ら れ た 事例 に 対 して構 造化さ れた背 景知識 を用 いて一 般性の 高 い ル ー ル を導 き 出 す 方 法論 で あ る . はじ め に , こ の問 題 の 代 表 的 解法 と さ れ て いるVersion Space法を 取 り 上 げ , その 問 題 点 を 明ら か に し てい る,従 来法 の問題 点は, (1)選言 的概念 獲得へ の拡 張が困 難であ る ,(2)推 論 途 中 で も っ と も ら しい 仮 説 を 構 成で き な い,(3)ノイズ と呼ば れる誤 った訓 練例 が与え ら れ た ら , 仮 説を 構 成 で き ない ,(4)正 例 の み に よ る概 念 獲 得が でき ない,(5)推 論途中 で表現 言語 が変更 さ れ た ら 仮 説 を構 成 で き な い, 等 で あ る .

  こ の 論文 で は , こ れら の 問 題 点 を 解決 す る た め に, 遺 伝 的ア ルゴリ ズムを 推論 の基盤 とした 概念獲 得の た め の 新 し いア ル ゴ リ ズ ムを 提 案 し て おり , 以 下 の 特長 が あ る .

1.従 来 法 で は 獲得 概念 の記述 形式を 単一連 言概 念に限 定して いたの に対し て, 開発レ たアル ゴリズ ムは   選 言 的 概 念 の記 述 形 式 を 扱う こ と が で き る,

2.正 提示 からの 概念獲 得が可能となっている.

3.事 例に 含まれ るノイ ズを抽 出す ること が可能 となっている.

4.事 例の逐 次追加が可能となっている.

ま た , こ れ ら の 特 長 に 関 し て 計 算 機 実 験 を 通 し て , そ の 有 効 性 を 検 証 し て い る .   第5章 で は ,知 識 構 造 化 の 応用 例 と し て 計算 機 言 語 の 構造 モ デ リ ン グお よ び そ の複 雑度 評価に 関して 述 べ て い る . 計 算 機 言 語 の 文 法 は 一 般にBNF等の 表 記 法 で 記述 さ れ る が , この 記 述 は 文 法を 構 成 す る 要素 間 の 構造 を 内 包 し てお り , こ の 構造 を 明 ら か に する こ と は ,例え ば文 法を学 習する ための 課題提 示順 序を 設 計 する た め の 指標と して用 いるこ とが考 えら れる. また, その全 体構 造の複 雑さか ら,そ の言語 の持 つ 学び やすさ(learnability) を分 析する 手掛か りを得 るこ とがで きる. この ような観点から計算機の文法構 造 に 対す る 知 識 構 造モ デ リ ン グ の方 法 論 に つ い て提 案 し , その構 造的 特徴か らその 複雑度 を計算 する 方法 に つ いて 提 案 し て いる . ま た , 提案 し た 方 法 を ,幾 っ か の 計算機 言語 に対し て適用 しその 結果に つい て検 討を 加えて いる.

  第6章で は,本 研究の 全体 的なま とめと 今後の 研究課 題に ついて 論じて いる,

  こ れ を 要 す る に, 著 者 は , 計算 機 援 用 に よる 知 識 獲 得 とそ の応 用に関 する研 究にお いて ,構造 モデリ ン グ 法 を適 用 す る 方 法論 お よ び そ の応 用 事 例 に つ いて 新 知 見 を得た もの であり ,情報 工学の 進歩に 対し て寄 与す ること 大なる ものが ある .

  よ っ て 著 者 は , 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る .

‑ 305―

参照

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