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博士(工学)後藤 ,学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)後藤

,学位論文題名

   rAlkyl‑Desorption Limited Epitaxy of Gallium Arsenide and Relatcd Compounds

(ガリウム砒素および関連化合物のアルキル基脱離律速エピタキシ―)

学位論文内容の要旨

  ガリウム砒素(GaAs)に代表されるm−V族化合物半導体は、シリコン(Si)半導体に比べて、

高い 電子移動 度と優 れた光学 的特性を 有する ため、超 高速電 子デバイ ス、高 効率光デバイ ス の 製作 に 欠 かせ な い材 料である 。21世紀 の高度情 報化社 会におい ては、f肖報 処倒の高 度化 と多様化 が求め られる結 果、処理 すべき 情報量が 飛躍的 に増大す ること が予想され、

これ を支える ハ―ド ウェアの 構成要素 である 電子デバ イスに 関しても 、超高 速および高機 能素 子の開発 努カが 、これま で以上に 必要に なると考 えられ る。近年 、デバ イスのさらな る高 性能化、 多様化 を目指し て、化合物半導体を用いた量子化機能素子が提案されている。

量子 化機能素 子は、 電子波干 渉、トン ネル効 果、エネ ルギレ ベルの離 散化な どの量子効果 を制 御するこ とによ り実現さ れる。量子効果は、電子をド・ブ口イ波長(〜100A)程度のポ テン シャル井 戸の中 に閉じ込 めること により 初めて現 われる 。したが って、 量子化機能素 子を 実現する ために は、超微 細加工技 術と優 れたエピ タキシ ャル成長 技術が 要求される。

  原子層エピタキシ(ALE)法は、原子(分子)を一層づっ着実に制御しながら成長を行なう有 機金 属気相成 長(MOVPE)法の新し い成長 手法であ る。成 長は、ni族 とV族 原料ガ スを交互に 反応 管に供給 するこ とにより 進められ る。こ の時、条 件を適 切に設定 すると 、成長が各サ イク ルで分子層一層(1 ML)で自動的に停止する(成長の自動停止機構)という特徴が得られ る。 この結果 、成長 膜厚が原 料ガスの 切り換 えの回数 で泱め られるた め膜厚 を決定する際 に誤 差がなく 、さら に、成長 が低温で なされ るため原 子の相 互拡散の 程度も 小さくなる。

した がって、 ヘテロ 界面の急 峻性やド ーピン グした不 純物の他嗣が原子レベルで保i正され る、 局所的な 高濃度 ド―ピン グおよび大口径基板上への均一成長が可fj匕になる、等の利点 があ る。しか しなが ら、ALE法の最大 の欠点 は、ALEの成長 温度領域 が各々 の化合物 半導体 結晶により異なるため、限られたへテロ構造(AIAs/GaAs,GaAs/GaP.InAs/lnP)しか形成でき ない 点にある 。これ まで、ALE法によ りGaAsとInAsを 同じ成長温度で成長した報告はない。

  さて 、m―V族化 合物半 導体結晶の中で、InGaAsは移動度が大きく、また、バンドギャ.ソ プが 光通信に 適した 材料であ ることか ら、非 常に注目 されて きた。こ の三元 混品半導体結 l丶1|をl nA s/GaAs短周J引超格子にした場合、合金散乱が抑えられさらに人きな移動度がf:!ら札 ると いう幸發 告がな されてか ら、さらに注目を集めるようになった。しかし、この材料系は 7%もの格子不整合を育し、また、分子線エピタキシ(MBE)法をべースとする成長方法では、

成 長 中にInとGaの 置換 現 象 が生 じ る こと か ら 、良 質の結 晶を得る ことが 困難であ った。

  この ような背 景のも とに、本 論文は 、GaA s/lnAsヘテ ロ構造をALE法により剛じ成長温度 で形 成するた めに、ALE法を 改良した 新しい エピタキ シャル成長法であるアルキル撼脱離仆 速エピタキシ(ADLE)法を開発し、.成長メカニズムおよび‐ヘテ口構造の物性を研究したもの である。論文は8章からなる。各章の要旨を以下に示す。

  第1章 で は 、 本 研 究 の 歴 史 的 背 景 と 目 的 を 述 べ る とと も に 、各 章 の 概要 を 記 した 。   第2章 で は、ALEお よ びADLE法の べ―スと なるMOVPE法の原 理と本 研究で用 いた装置 の榊

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成にっいて説明した。また、成長の方江;(Jみ仮の?¥iむiお、J戊長rr、乎ii等)にっいてもォ己した。

  第3章 で は 、ALE,ADしEお よ びMOVPE法 に よ り 形 成 し た エ ピタ キ シ ャ ル眉 のJ膜 厚 測 定 法、

結 晶 性 、 光 学 的 特 性 お よ び 電 気 的 特 性 を 評 価 す る た め の 方 法 、 さ ら に 表 面 モ ホ 口 ジを 観 察 し 定 量 的 に 評 価 す る た め の 方 法 に っ い て 説 明 し た 。 具 体 的 に は 、 評 価 法 の 原 理 、 評価 装 置 の構成と性能、さらに評価の目的と手法を述べている。

  第4章 で は 、ALE成 長 の た め の 特 別 な 工 夫 を 施 さ な い 通 常 のMOVPE装 置 に よ る ト リ メ チ ル イ ン ジウ ム (TMln)と ァルシ ン(Asll3)を 用いたInAsおよび トリメ チルガ リウム(TMGa)とAsIl:

を 用 い たGaAsのALE成 長 条 件 を 明 ら か に し 、 こ れ に よ りInAs/GaAsヘ テ 口 構 造 を 形 成 、評 価 し た 結 果 に っ い て 述 べ て い る 。InAsで は 成 長 温 度305土4℃ 、GaAsで は 成 長 温 度450土5℃ で 成 長 速 度 がm族 原 料 の 導 人 量 に 対 し て1ML/cyclcで 飽 和 す る こ と を 明 ら か に し た 。GaAs基 板 上 に 成 長 し たInA・S薄 膜 の 電 気 的特 性 は 膜 厚に 強 く 依 存す る 。 こ れは 、InAsの 膜 厚が 臨 界 値 ( 〜20A) を 越 え る と 界 面 に 大 量 の ミ ス フ ィ ッ ト 転 位 が 発生 し 、 結 晶性 が 劣 化 する た め で あ る 。 ホ ー ル 効 果 お よ び 量 子 ホ ー ル 効 果 の 測 定 か ら 、 格 子 不 整 合 に よ る 影 響 は400A程 度 か ら 既 に 緩 和 さ れ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 従 来 の 成 長 手 法 に よ り 同 一 の 構 造 を形 成 し た 場 合 、InAsを 数 〃m成 長 し て も 結 品 性 が 改 善 さ れ な い こと が 報 告 され い る 。 した が っ て 、 ALE法 は へ テ 口 界 面 の 平 坦 化 に 何 効 で あ る こ と が 示 さ れ た 。ALじ 法 によ りGaAs/lnAs/GaAsq1 一 歪 量子 井 戸 構 造を 形 成 し 、フ ォ ト ル ミネ ・ ソ セ ンス (PL)法 に よ り評価し た結果 、InAsの 臨 界膜厚は3MLであることを明らかにした。

  第5章は 、 ト リ エチ ル ガ リ ウム (TEGa) とAs‖3を 用 い たADLE法 にっい て検討 した章 である 。 従 来 、TEGaとAsH3を 用 い たGaAsをALE法 に よ り 成 長 す るこ と は 、 極め て 困 難 であ る こ と が報 告 さ れ て い る 。 こ の 原 料 を 用 い た 場 合 、 成 長 速 度 はTEGaの 導 入 時 間 に 対 し て は1ML/cycle で 飽 和し な い 。 しか し 、 成 長温 度300℃ (TEGaの分 解 温 度 )近 傍 で 、TEGaの導 入 時 間 を成 長 速 度 がlML/cycleに な る よ う に 固 定 す る と 、 成 長 速 度 はTEGaの 導 入 量 に 対 し て こ の 値 で 飽 和 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の 結 果 は 、 ア ル キ ル 基 の 飽 和 吸 着 に よ り 成 長 の 自 動停 止 機 構 が 生 じ る モ デ ル で 説 明 さ れ るALE法 と は 異 な り 、TEGaの ア ル キ ル基 の 脱 離 が成 長 速 度 を律 速 す る モ デ ル で 定 性 的 に 説 明 さ れ る 。 こ の モ デ ル を 定 量 的 に 説 明 す る た め に 、 ア ルキ ル 基 の 脱 離 に 基 づ く 反 応 速 度 方 程 式 を 提 案 し て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 な っ た 結 果 、 実 験結 果 と 極 め て よ く 一 致 し た 。InAsに もADLE法 が 適 用 で き る こ と が理 解 さ れ たた め 、ALE法を べ ー ス と す る成 長 モ ー ドに よ り 初 めてGaAs/InAs短 周期 超 格 子 を同 じ 温 度 で成 長 す る こと が で き た。

X線 回 折 法 に よ り 評 価 し た 結 果 、 超 格 子 構 造 特 有 の サ テ ラ イ ト ピ ー ク が 現 わ れ た 。   第6章 で は 、MOVPE法 に よ り 微 傾 斜 基 板 上 にGaAsを 成 長 し た 場 合 に 、GaAs表 而 に 観 察さ れ る 多 段原 子 ス テ .yプ( ス テ ッ プ) の 形 成 過程 に っ い て述 べ て い る。 基 板 の 傾斜 角 度 と テラ ス 幅 と の 関 係 を 調 べ た 結 果 か ら 、 テ ラ ス 幅 は 基 板 の 傾 斜 角 度 に 依 存 せ ず ほ ば 一 定 の 値を と る こ と を 見 い 出 し た 。 成 長 の 前 後 で 基 板 の 傾 斜 角 度 は 変 化 し な い た め 、 こ の 結 果 は 、テ ラ ス 幅 が 基 板 表 面 で のGa原 子 のマ イ グ レ ーシ ョ ン 長 に依 存 す る こと を 示 し てい る 。 し たが っ て 、 MOVPE法 で は 、 基 板 の 傾 斜 角 度 を 変 え な け れ ば 、 ス テ ッ プの 高 さ を 制御 す る こ とが 困 難 で あ ることが明らかになった。

  第7章 は 、ADLE法 の 成 長 メ カ ニ ズ ム を よ り 明 確 に 理 解 す る た め に 、GaAsを 微 傾 斜 基 板 上 に 成 長 し た 場 合 の 振 舞 い に っ い て 検 討 し た 章 で あ る 。ADLE法 に よ ル ス テ ッ プ を有 す る 初 期 表 面 上 にGaAsを 成 長 し た 場 合 、 ス テ ッ プ の 高 さ が 成 長 膜 厚 の 増 大 と と も に 減 少し て ゆ く こ と を 明 ら か に し た 。 ス テ .yプ が 存 在 す る 場 合 、 ス テ ッ プ 端 での ア ル キ ル基 の 脱 離 速度 が テ ラ ス 上 に 比 ベ 大 き い た め 、TEGa導 入時 に ス テ ップ 端 にGaの ド 口 ・ ソプ レ ッ ト が形 成 さ れ る。

こ のGaド 口 ッ プ レ ッ ト がGaの 供 給 源 と な り 、 次 のAs‖3導 入 時 にGaAsとな っ て テ ラス 上 に 拡 散 す る が 、 成 長 温 度 が 低 い ため 十 分 に マイ グ レ ー ショ ン す る こと が で き ず、 よ り 小 さナ ょ ス テ ・ ソ プ に 変 化 す る 。 こ の よう に し て 、成 長 サ イ クル を 繰 り 返す た び に 、ス テ ッ プ 高さ が 減 少 し て ゆ く と 考 え ら れ 、ADLE法 で は 、 ス テ ッ プ の 高 さ を 制 御 で き る こ と を 示 唆し て い る 。   第8章は、本論文の結諭である。

501‑

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

   Alkyl‑Desorption Limited Epitaxy of Gallium Arsenide and Related Compounds

( ガ リ ウ ム 砒 素 お よ び 関 連 化 合 物 の ア ル キ ル 基 脱 離 律 遠 エ ピ タ キ シ − )

  近年 、デ バイ スの さら なる 高性能化、多様化を目指して、化合物半導 体を用いた量子化機 能 素子が提案lさ れている。量子化機能素子は、電子波干渉、トンネル効 果、エネルギーレベ ルの離散化など の量子効果を制御することにより実現される。量子効果は、電子をド・ブロイ 波長(〜100A) 程度のポテンシャル井戸の中に閉じ込めることにより初めて現われる。したが っ て、 量子 化機 能素 子を 実現 するためには、超微細加工技術と優れたエ ピタキシャル成長技 術が要求される 。

  本論文は、GaA s/lnASヘテ口構造を形成するために、従来の原子層エピタキシャル成長法(

ALE法) を改 良し た新 しい エピタキシャル成 長法であるアルキル基脱離律速エピタキシ(ADLE

)法を開発し、 成長メカニズムおよびへテロ構造の物性を研究したものである。主要な成果は、

以下の点に要約 される。

  (Dトリメチルインジウム(TMln)とアルシン(AsH3)を用いたInAsおよび卜リメチルガリウム     (TMGa)とAsH3を用いたGaAsのALE成長条件を明らかにし、これによりInAs/G aAsヘテロ構     造 を形 成、 評価 した 結果 にっいて述べている。InAsでは成長温度305土4℃、GaAsでは成     長 温度450土5℃ で成 長速 度 がm族原 料の 導入 量に 対して1 ML/cycleで飽和することを明     ら かに して いる 。ホ ール 効果および量子ホール効果の測定から、格 子不整合による影響     は400A程度 から既に緩和されていることを明らかにしている。

  ◎成長温度300℃(トリエチルガリウム、TEGaの分解温度)近傍で、TEGaの導入時間を成長速     度がl ML/cycleにナよるように固定すると、成長速度はTEGaの導人量に対してこの値で飽     和 する こと を明 らか にし ている。この結果を、従来のALE法の成長モデルと異なる、TEG     aのアルキル 基の脱離が成長速度を律速するモデルで定性的に説明し ている。このモデル     を 定量 的に 説明 する ため に、アルキル基の脱離に基づく反応速度方 程式を提案してシミ     ユ レ― ショ ンを 行な い、 実験結果と極めてよい一致を得ている。次 に、ADLE法により初     め てGaAs/lnAs短 周期 超格子を同一温度 で成長して、X線回折法によ り評価した結果、超     格子構造特 有のサテライトピークを得ている。

  ◎ADLE法 の成 長メ カニ ズム をより明確に理解するために、GaAsを微傾 斜基板上に成長した     場合の振舞 いにっいて検討している。ステップが存在する場合、ステ・ソプ端でのアルキ     ル 基の 脱離 速度 がテ ラス 上に比ベ大きいため、TEGa導入時にステッ プ端にGaのド口ップ     レ ット が形 成さ れ、 次のAsH3導入時にGaAsとなってテラス上に拡散 し、より小さなステ

502 ‑

志 機

幸 夫

井 川

田 宗

   

   

福 長

澤 末

授 授

授 授

敦 敦

教 敦

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

    

ップに変化する。このようにして、ADLE 法によルステップを有する初期表面上にGaAs を

    

成長した場合、ステップの高さが成長膜厚の増大とともに減少してゆくことを明らかに

    

している。

  

これを要するに、本論文は、新しいエピタキシャル成長法であるアルキル基脱離律速エピ タキシ

(ADLE)

法を開発し、成長メカニズムおよびへテロ構造の物性を研究したものであり、

半導体プロセス工学の進展に寄与するところ大である。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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