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博士(工学)山口和美 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)山口和美 学位論文題名

Selective Oligomerization of with Organoalumlnum and

a ‑Substituted Acrylates Magnesium Compounds

  (有機 アルミニウムおよびマグネシウム化合物による aー置換アクリレ一卜類の選択的オリゴメリゼ―ション)

学位論文内容の要旨

  有機アルミニウム化合物は、高分子化学の分野では重合触媒の一成分として 重要であるほか、有機化学の分野でもアルキル化剤、還元剤など合成試薬とし て広く利用されている。一方、オリゴメリゼーションは、界面活性剤、粘着剤、

潤滑剤などの原料合成に用いられるほか、重合反応の機構や立体化学の解明に も活用されている。重合反応において有機アルミニウム化合物は少量の添加で は触媒成分として作用するが、多量の添加ではモノマ―に対する錯化剤として 作用し、モノマーは重合性を変え、新たに錯化モノマーとして挙動する。有機 マグネシウム化合物、特にグリニャール試薬は合成が容易であり、種類が多く、

有機アルミニウム化合物をグリニャール試薬で置き換えが可能な場合には、重 合への適応性が広がる。

  本論文では、ビニルモノマーとレてメタクリル酸メチルを用い、このモノマ ーの重合に対する有機アルミニウム化合物の添加効果を調ベ、特異な連鎖移動 反応に基づくオリゴメリゼーションが誘起されることを見い出した。そこでこ の特異な反応に注目して、有機アルミニウム化合物をアクリレー卜類に添加す る研究を展開し、各種アクリレー卜類について有機アルミニウムおよびマグネ シ ウ ム 化 合 物 に よ る 選 択 的 オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン を 確 立 し た 。   本論文は6章から構成されている。

  1章は序 論であり、本研究の目的と意義および本論文の概要について述べ た。

  2章では 、メタクリル酸メチルのエチルアルミニウム化合物存在下での重 合に ついて検討 し、モノマ ーに対する 有機アルミニウム化合物の添加モル比 05以 上では生成 物の分子量が500以下になるオリゴメリゼーションの誘起を 見い 出した。添 加モル比2.0におぃて生成したオリゴマーから5種類の三量体 を単離し、ビシク口ラク卜ン環およびシク口ヘキサノン環構造の三量体の生成 を確認した。ビシクロラクトン環の形成は特異であり、シクロヘキサノン環に 引き 続きエチル アルミニウム化合物が作用して形成された。重合度が4以上の

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オリゴマーにおいてもシク口ヘキサノン環構造が共通の末端であり、定まった 連 鎖 移 動 反 応 に よ っ て オ リ ゴ マ ー が 生 成 す る こ と を 明 ら か に し た 。   3章では、メタクリル酸アリルのエチルアルミニウム化合物存在下の重合 におぃて、有機アルミニウム化合物の種類および添加モル比によって、異なっ たオリゴマーが生成することを見い出した。ヌタクリル酸アリルは環イヒ重合性 の低いモノマ〜であるが、トリエチルアルミニウムやジエチルアルミニウムク 口リ.ドの添加では環化重合性が向上した。しかし、有機アルミニウム化合物の 添加モル比の増加とともにオリゴメリゼ―ションが誘起され、添加モル比2.O では各工チルアルミニウム化合物に特有な単一オリゴマーとして、アリル基が クライゼン型転位した一量体およびニ量体、アリル基が溶媒に二重にフリーデ ル・クラフツ反応を繰返した生成物がそれぞれ単離された。さらにこのクライ ゼン型転位反応の一般性をトリエチルアルミニウムやグリニャール試薬と各種 アリルエステル類との反応によって確認した。

  4章では、脂肪族カルボン酸工ステル、メチレンコハク酸ジエステルおよ びY―ケ卜カルボン酸工ステルなどエステル類とエチルアルミニウム化合物と の反応が還元、環化など特有な反応を選択的に導くことを明らかにした。脂肪 族カルボン酸工ステルと卜リアルキルアルミニウム化合物との反応では、アル ミニウム 化合物のアルキル基が挿入し、工ステルは第2級アルコ―ルヘ還元さ れた。メチレンコハク酸ジエステルとエチルアルミニウム化合物の反応では、

ニ量体に相当するシクロペンタノンおよびビシク口ラク卜ン環をもっ化合物が エチルア ルミニウム化合物の種類によって選択的に生成した。y−ケ卜カルボ ン酸工ス テルと卜リエチルアルミニウム化合物との反応では2種類のブタノリ ドが生成した。

  5章では、a―アルキ ル置換アク リル酸工ステルがグリニャール試薬との 反応:こ よって長寿命の2:1付加物の線状アニオンを生成し、さらに、このア ニオンが種々の親電子試薬と反応する特異なオリゴメリゼーションを見い出し た。2:1付加物は プ口トン供 与体によっ て線状ニ量 体、モノマ ーとの反応に よって環状のシク口ヘキサノン構造の三量体、アルデヒドで5よ6−ラク卜ン誘 導体、さらにニ酸化炭素、臭素、塩化アセチル、工チレンオキシドと反応して それぞれ 卜リカルボ ン酸誘導体 、aー ブロモグルタル酸誘導体、a−アセチル グルタル 酸誘導体、Y―ラ クトン誘導 体を生成し た。さらに 、2:1付加およ び三量化がジアステレオ選択的反応であることを明らかにし、選択性の発現に ついての機構を提示した。

  6章は本論文の結諭であり、論文を総括した。すなわち、重合性のあるメ タクリル酸ヌチルが有機アルミニウム化合物の関与する連鎖移動によって高重 合が抑制され、オリゴメリゼーションを起こすことを見い出し、このような有 機アルミニウム化合物の関与を各種エステル類との反応、グリニャール試薬に よる置き換えへと展開した。有機アルミニウム化合物およびグリニャール試薬 が開始剤、錯化剤、連鎖移動剤、アルキル化剤として多面的に作用し、反応相 手のエステルの種類、添加モル比によって特異なオリゴマーの生成へと導くこ とを明らかにした。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Selective Oligomerization of  with Organoalumlnum and

a ‑ Substituted Acrylates lVIagnesium Compounds

  ( 有 機 ア ル ミ ニ ウ ム お よ び マ グ ネ シ ウ ム 化 合 物 に よ る a― 置 換 ア ク リ レ 一 卜 類 の 選 択 的 オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン )

  有 機 ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 は 、 高 分 子 化 学 の 分 野 で は 重 合 触 媒 の 一 成 分 と し て 重 要 で あ る ほ か 、 有 機 化 学 の 分 野 で も ア ル キ ル 化 剤 、 還 元 剤 な ど 合 成 試 薬 と し て 広 く 利 用 さ れ て い る 。 一 方 、 オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン は 、 界 面 活 性 剤 、 粘 着 剤 、 潤 滑 剤 な ど の 原 料 合 成 に 用 い ら れ る ほ か 、 重 合 反 応 の 機 構 や 立 体 化 学 の 解 明 に も 活 用 さ れ て い る 。

  本 論 文 で5ま 、 メ タ ク リ ル 酸 メ チ ル の 重 合 に 対 す る 有 機 ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 の 添 加 効 果 か ら 、 特 異 な 連 鎖 移 動 反 応 に 基 づ く オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン の 誘 起 を 見 い 出 し 、 こ れ を 各 種 ア ク リ レ 一 卜 類 に 展 開 し 、 選 択 的 オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン を 確 立 し た 研 究 の 結 果 を ま と め た も の で あ り 、 そ の 主 要 な 成 果 は 次 の 点 に 要 約 さ れ る 。

1) メ タ ク リ ル 酸 メ チ ル の エ チ ル ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 存 在 下 で の 重 合 に つ い て 検 討 し 、 モ ノ マ ー に 対 す る 有 機 ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 の 添 加 モ ル 比0.5以 上 で6 生 成 物 の 分 子 量 が500以 下 に な る オ リ ゴ メ リ ゼ ー シ ョ ン の 誘 起 を 見 い 出 し た 。 添 加 モ ル 比20に お ぃ て 生 成 し た オ リ ゴ マ ― か ら5種 類 の 三 量 体 を 単 離 し 、 ビ シ ク 口 ラ ク 卜 ン 環 お よ び シ ク 口 ヘ キ サ ノ ン 環 構 造 の 三 量 体 の 生 成 を 確 認 し た 。 重 合 度 が4以 上 の オ リ ゴ マ ー に お い て も シ ク 口 ヘ キ サ ノ ン 環 構 造 が 共 通 の 末 端 で あ り 、 定 ま っ た 連 鎖 移 動 に よ っ て オ リ ゴ マ ー が 生 成 す る こ と を 明 ら か に し た 。 2) ヌ タ ク リ ル 酸 ア リ ル の エ チ ル ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 存 在 下 の 重 合 に お ぃ て 、 有 機 ア ル ミ ニ ウ ム 化 合 物 の 種 類 お よ び 添 加 モ ル 比 に よ っ て 、 異 な っ た オ リ ゴ マ ー が 生 成 す る こ と を 見 い 出 し た 。 卜 リ エ チ ル ア ル ミ ニ ウ ム や ジ エ チ ル ア ル ミ ニ ウ ム ク ロ リ ド の 添 加 で は 環 化 重 合 性 が 向 上 し た 。 し か し 、 有 機 ア ル ミ ニ ウ ム 化

明 生 夫 彦 和昌 憲徳 田田 浦田 横徳 宮米 授授 授授 敦教 教教 査査 査査 主副 副副

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合物の添加モル比の増加とともにオリゴメリゼーションが誘起され、添加モル 比2.Oでは各工チルアルミニウム化合物に特有な単一オリゴマーとして、クラ イゼン型転位およびフリーデル・クラフツ反応による一量体、ニ量体を単離し た。

3)脂 肪族カルポ ン酸工ステ ル、メチレ ンコハク酸ジエステルおよびy―ケ卜 カルボン酸工ステルなどェステル類とエチルアルミニウム化合物との反応が還 元、環化など特有な反応を選択的に導くことを明らかにした。脂肪族カルボン 酸エステルはトリアルキルアルミニウムによって第2級アルコールヘ還元され た。メチレンコハク酸ジェステルからは二量体に相当するシク口ベンタノンお よびビシクロラクトン環をもつ化合物がエチルアルミニウム化合物の種類によ り選択的に生成した。Y一ケトカルボン酸エステルとトリエチルアルミニウム 化合物との反応では2種類のブタノリドが生成レた。

4)Q−アルキ ル置換アク リル酸工ス テルがグリニャール試薬との反応によっ て長寿命の2:1付加物の 線状アニオ ンを生成し、さらに、このアニオンが種 々の親電子 試薬と反応 する特異な オリゴメリ ゼーション を見い出し た。2:1 付加物がプ口トン供与体によって線状ニ量体、モノマーとの反応によって環状 のシク口ヘキサノン構造の三量体、アルデヒドでは6−ラクトン誘導体、さら に二酸化炭素、臭素、塩化アセチル、エチレンオキシドと反応してそれぞれ卜 リカルボン 酸誘導体、a−ブ ロモグルタ ル酸誘導体、a一アセチルグルタル酸 誘導 体 、Yー ラク ト ン誘 導 体 を生 成 する こ とを 確 認し 、 機構 を提示した 。

  これを要するに、著者はアクリレ一卜類の有機アルミニウム化合物およびマ グネシウム化合物によるオリゴメリゼーションについて検討を行い、重合およ び合成反応上有益な新知見を得ており、高分子化学および有機化学の進歩に寄 与するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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