博士(工学)山村 学位論文題名
コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダムに関する研究
学 位 論 文 内容 の 要 旨
勤
本論 文 は , コ ン クリ ー ト 表 面 遮水 壁 型 ロ ッ クフ ィ ルダ ム(ConcreteFaced Rock一fill Dam, 以 下CFRDと 略 記す る ) に っ いて 系 統 的 な 研 究を 行 い , そ の建 設 方 法 に おけ る問 題点を 考察 , 提 案 と して ま と め , それ ら を わが 国では 前例の ない 近代的 施工方 法によ るCirataダムの 建設に 実際 に適用 した 方法を 論じ, またそ の建 設中に おいて 行われ た新し い研 究にっ いて論じたもので ある 。これ らの 研究を 採り入 れて建 設さ れたダ ムは極 めて短 期日間 で完 成し, 湛水後も安定した 正確 な挙動 を続 け,か つ漏水 量も極 めて少ないが,これは本研究の正当性を実証するものである。
第1章 ま え が き の あと 第2章 お よび 第3章 に おい て , わ が 国な ら び に 代 表的 外 国 の 初 期の 頃
( 1965年 頃 以 前 ) の CFRDに 対 す る 考 察 を 行 い , 問 題 点 を 指 摘 し て い る 。 第4章 に お い て は ,1965年頃 以 降 に 出 現し た 振 動 ロ ーラ ― そ の 他 大 型施 工 機 械 に よるCFRD の近 代的施 工方 法なら びに基 本的考 え方 の変遷 を論じ ,それ に応じ たコ ンクリ ートスラブを中心 と す る ダム の 詳 細 設 計, ス リ ッ プ フオ ― ム に よ る スラ ブ の 施 工 方法 の 実 現 等を論 じてい る。
第5章 にお いて は,前 述の近 代的工 法で あって もなお それを 遂行す る上 で生ず る種々 の問題 点 にっ いて論 じ, (1) フア ルダム 上流部 に使用 され る材料 の性状 ,(2)ト ウスラ ブとス夕一夕一 ス ラ ブ との 接点附 近の処 理,(3) 卜ウス ラプと スタ ーター スラブ との接 触面 (周辺 継目) の形 状と 仕上げ ,(4)ク ラッ クヒー ラント 等にっ いて その対 策の提案を行っている。これらの点は,
過 去 のCFRD施 工 中 お よ び 完 成 後 の 挙 動 に っ いて 研 究 し た 上で 近 代 的 工 法を 論 ず る こ とに よ り , は じめ て 新 し く 提案 さ れ 得る もので ある。 また ,本論 文では 著者が 本研 究の一 貫とし て,
1934年 完 成 間 近で 災 害 を 受 け1948年によ うや く完成 したCogswellダム を尋ね て調査 研究し ,さ ら に1979年 に は建 設 中 のFoz do Areiaダ ムの 建設現 場に長 期間滞 在し て研究 を行っ た結果 をふ ま え て いる 。 ま た , 最近 完 成 し た ナイ ジ ェ リ ア のShiroroダム で発生 した, 大量 の漏水 にっい ての 原因調 査の 結果は ,著者 の上記 提案 (2) ,(3)に 指摘 されて いるこ とと一 致しており,か っ そ の 補修 工事に 使用さ れた材 料は上 記提 案(4)の クラッ クヒー ラント 材と 殆ど同 一の材 質,
粒度 分布で あっ て,こ れによ り大幅 に漏 水量を 減じて いるが ,これ らの 事実は 著者の提案の正当
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性 を裏付 けるも ので ある。
第6章で は,前 章まで の研究 によ る成果 を,ダ ムサイ トの実 情に 応じて 適用し た例と して ,イ ン ド ネシア 国Cirataダ ムの建 設にお ける 設計お よび施 工にっ いて 論じて いる。 具体的 には,(1) 水 平 継 目 な しに 長 さ200mを越 える長 大コン クリー トス ラブが 順調に 施工で きるよ うに ,また 完 成 後 も 厚 さ0. 35m‑O.72mの スラ ブが鉛 直120mを 越える 水圧に 耐えて 貯水 機能を 発揮す るよう な ス ラ ブ の 設計 ,(2)長 大 コ ン ク リー ト ス ラ ブ に及ぼ すロッ クフ アルの 拘束な らびに 不均 一沈 下 の 発 生 を 最小 限 に 止 める ための 方策, すな わち,a)まずダ ム基 盤形状 の仕上 げとし て状 況に 応 じて隅 角部の 置き 換えコ ンクリ ート,突出部の除去整形,複雑な地形,地質個所へのスラッシュ コ ンクリ ート, ショ ットク リート の使用 ,支 持コン クリー トを用 いたト ウスラブ下流面の高さの 調 整,そ の他の 方法 を工程 を考慮 しつつ 適切 に行っ てフア ルダム を沈下 ・変形の少ない平滑な状 態jこ 保持す ること 。b)引き 続いて スラ ブが直 接に打 設され る最 上流の フアル部分を中心とした 材 料 を , 第5章(1)の研 究 成 果 に 従っ た 粒 度 分 布の 材 料 と し , 斜面 振 動口 一ラー を用 いてフ ィ ル 上 流面を 剛性の ある均 一で平 滑な 面に仕 上げる こと, であ る。(3)以上 の基本 対策の 完了 後,
第5章(2),(3)の 研 究 に 従 って ト ウ ス ラ ブ とス タ ー タ ー スラ ブ と の 接 点附 近 の 処 理 なら び に 接 触面の 形状仕 上げ を行い ,然る 後にわ が国 では前 例のな いスリ シプ・ フオームによる連続打設 に よる水 平継目 なし の長大 スラブ コンク リー トの打 設の実 施。な お,論 文では南方気候でのコン ク リ ー ト 施 工対 策 な ら び にス ラ ン プ 値 その 他 に 関する 研究 の成果 も述べ られて いる。(4)フィ ル ダムの 経時的 沈下 量がス ラブコ ンクリ ー卜 へ及ぼ す影響 を考慮 したス ラブコンクリートの打設 開 始 時 期 の 決定 。(5)コ ン ク リ ー トス ラ プ に 少 数では あるが 発生 したク ラック の記録 を示 し,
そ の 対 策 の 論述 お よ び 諸 外国 の ダ ム の 例と の 対 比。(6)ダム 最上 流面の 下部の コンク リー トス ラ プ 上 に , ダム 高 の 約40% の 範 囲 ま で置 か れ るCFRDに 特 有の ク ラ ッ クヒ ーラン ト材に 関し,
第5章(1)の 研 究 成 果に 従 っ た 種 々の 試 験 研 究 の結 果 , そ の 目 的に 合 致し た最適 の材 料とし て silty sandの 選 定 な ら びに, その 粒度分 布曲線 の決定 。な お,そ の生産 方法と しては 河川 堆積 層 からで はなく 安山 岩山麓 の風化 岩より 採取 ,重機 械によ り敷き ならし 粉砕して所定粒度分布に 仕 上げる ことと し, 短期間 に大量 の生産 を行 ってス ラブの 前面に 所定通 り盛立てした方法にっい て も 論 述 し てい る 。(7)ダ ム 建 設 を総 合 的 に 監 理し, 河川転 流後 短期間 で巨大 貯水池 の湛 水を 開 始する ことが でき たこと ,など である 。
第7章 で は , ダ ム 完 成 後 の 計 測 の う ち ,CFRDに 特 に 重 要 な ,(1)漏 水 ,(2)ス ラ ブ 継 目 の 開 き ,(3)ダ ム 表 面の 標 的 に よ るた わ み の 観 測 ,(4)傾 斜計 等 の 事 項に っいて 論じ, 最近の 諸 外国の 例との 比較 研究を 行って いる。 上記 の記録 のうち ,漏水 量の少 ない点に関しては世界で
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も第一 級に属 するも のと 言い得 る。ま た傾斜 計によ るコ ンクリ ートス ラブ表面の測点記録は多く のCFRDでも 例 の 少 な いも の で あ る 。 貯水 池 の 湛 水 開始 以 前 か ら 始ま り,湛 水後の 満水位 より 低水位 まで一 連の水 位変 動を経 過した これら の記録 なら びに他 の種々 の記録をも併せた検討によ り,Cirataダムtま引 き続き 正常な 挙動 を示し ,安定 した状 態にあ ると 認めら れる。 これら の事 実は著 者の提 案に沿 った 施工方 法の妥 当性を 実証す るも のであ る。以 上の研究成果は,いずれも コン ク リ ー ト 表面 遮 水壁 型ロ ックフ ィルダ ムの設 計お よび施 工に有 用な指 針を与 える もので あ る。
第8章は, 結諭で あり本 論文 の成果 を要約 して記 して いる。
学位論文審査の要旨
本 論 文 は , コ ン ク リ ―ト 表 面 遮 水 壁型 ロ ッ ク フ アル ダ ム(CFRD)に 関す る 系 統 的 な 研究 の 結果 から ,その 建設に おける 問題点 を指 摘して 新しい 提案を 行い ,これ を実際のダムの建設に適 用 し た 方 法 を 論 じ , ま た ,そ の 建 設 中 に 行わ れ た 新 い し研 究 に っ い て論 じ た も の であ る 。 第1章 ま え が き のあ と 第2章 およ び 第3章 では ,1965年 以前の わが国 なら びに代 表的な 外国の CFRDに 対する 考察を 行い ,問題 点を指 摘して いる 。
第4章 で は ,1965年 以 降に 出 現 し た 大型 施 工 機 械 によ るCFRDの 近 代 的 施 工方 法 な ら び に基 本的 考え 方の変 遷を論 じ,そ れに応じたコンクリートスラブを中心とするダムの詳細設計,スリッ プフ オー ムによ るスラ ブの施 工方法 の実 現等を 論じて いる。
第5章で は, 前述の 新しい 工法で あっ てもな おそれ を遂行 する上 で生 じる種 々の問 題点に っい て 論 じ ,(1)フ ア ルダ ム 上 流 部 に使 用 さ れ る 材料 の 性 状 ,(2)ト ウ スラブ とス ター夕 ―スラ プ と の 接 点附 近 の 処 理 と接 触 面 の 形 状 の仕 上 げ ,(3)クラッ クヒー ラン ト等に っいて その対 策の 提 案 を 行っ て い る 。 これ ら の 点 は , 過去 のCFRD施 工 中 お よび 完 成 後の 挙動に っいて 研究 した 上で 初め て新し く提案 された もので ある 。また ,最近 完成し た幾 っかの ダムで発生した,大量の
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興
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博
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忠
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倉 伯
田 伯
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佐
藤
佐
授
授
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教
教
教
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査
査
査
査
主
副
副
副
漏水に っいて の原 因の調 査結果 は,著 者の上 記提 案に指 摘され ている こと と良く一致しており,
かっそ の補修 工事 に使用 された 材料は 上記提 案と ほぼ同 一の材 質,粒 度分 布であって,これによ り大 幅 に 漏 水 量 を減 じ てい るが, これ らの事 実は著 者の提 案の 正当性 を裏付 けるも のであ る。
第6章で は,前 章まで の研 究によ る成果 を,ダ ムサイ トの 実情に 応じて 適用し た例 として ,イ ンド ネシア 国Cirataダ ムの建 設に おける 設計お よび施 工に っいて 論じて いる。 具体的 には ,(1) 水平 継 目 な し の 長大 コ ン ク リ ート ス ラ ブ の 設計 と施 工。(2)長大 コンク リート スラ ブに及 ぼす 口ック フィル の拘 束なら びに不 均一沈 下の発 生を 最小限 に止め るため の方 策。すなわち,ダム基 盤形状 の仕上 げと しての 状況に 応じて 隅角部 の置 き換え コンク リート ,突 出部の除去整形,複雑 な地形 ,地質 個所 へのス ラッシ ュコン クリー ト, ショッ トクリ ―卜の 使用 ,支持コンクリートを 用いた トウス ラブ 下流面 の高さ の調整 ,引き 続い て,最 上流の フアル 部分 を中心とした適切な材 料の選 択,お よび 斜面振 動口ー ラーに よるフ ィル 上流面 の剛性 のある 均一 平滑面への仕上げであ る。(3)前 記提 案 に 従 っ たト ウ ス ラ ブ とス タ 一 夕ース ラブ との接 点附近 の処理 なら びに接 触面 の形状 仕上げ およ びスリ ップ・ フォー ムによ る連 続打設 による 水平継 目な しの長大スラブコンク リー ト の 打 設 の 実施 。(4)フ ィ ル ダ ム の経 時 的 沈下量 がス ラブコ ンクリ ートヘ 及ぼ す影響 を考 慮し た ス ラ ブ コ ンク リ ‐ ト の 打設 開 始 時 期 の決 定。(5)コ ンクリ ー卜ス ラブに 発生 したク ラッ クの 記 録 と そ の 対策 の 論 述 お よび 諸 外 国 の ダム の例 との対 比。(6)ダム 最上流 面下 部のコ ンク リート スラブ 上に 置かれ るクラ ックヒ ーラン ト材 に関し ,本研 究成果 に従 った種々の試験研究の 結果 , そ の 目 的 に合 致 した 最適の 材料 として のsilty sandの選定 ならび にその 粒度 分布曲 線の 決定, などで ある 。
第7章 で は , ダ ム 完 成 後 の 諸 計 測 の う ち ,CFRDに 特 に 重 要 な ,(1)漏 水 ,(2)ス ラ プ 継 目の 開 き ,(3)ダ ム 表 面 の標 的 に よ る たわ み の 観 測 ,(4)傾 斜 計等 の 事項 にっい て論じ ,最近 の諸外 国の例 との 比較研 究を行 ってい る。上 記の 記録の うち, 傾斜計 によ るコンクリートスラブ 表面 の 測 点 記 録 は多 く のCFRDで も 例 が少 な く 極 め て貴 重 な 資 料 で ある。 貯水 池の湛 水開始 以 前から 始まり ,湛 水後の 満水位 より低 水位ま で一 連の水 位変動 を経過 した これらの記録ならびに その他 の種々 の記 録をも 併せた 検討に より, 本ダ ムは引 き続き 正常な 挙動 を示し,安定した状態 にある と認め られ ,これ らの事 実は著者の提案に沿った施工方法の妥当性を実証するものである。
これを 要す るに, 著者は コンク リー ト表面 遮水壁 型ロッ クフア ルダ ムの設計および施工に関す る新し い手法 を提 案した もので あって ,多く の新 知見を 与え, 河川工 学上 寄与するところが大き い。
よ っ て 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。
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