• 検索結果がありません。

博士(工学)片山 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)片山 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)片山 学位論文題名

Z

ペルオキシダーゼを触媒とするルミノール化学発光反応の      分析化学的研究

学位論文内容の要旨

  超微量分析の分野において機器分析が果たしている役割は大きい。一方,簡便な化学反応を利 用する物質のセンシングと評価法の役割も大きくなっている。このような観点から,酵素反応の 特 異 性 と 化 学 発 光 反 応 に お け る 高 感 度 性 に 着 目 し た 分 析 法 の 開 発 が 盛 ん で あ る 。   ペルオキシダーゼ(POD)は過酸化水素に対し,高い基質特異性をもつ酵素である。その酵 素サイクルに第二基質として化学発光試薬であるルミノールを加えた場合には,ルミノ―ル化学 発光の触媒となる。ルミノ―ル化学発光反応は過酸化水素を高感度に検出することから,過酸化 水素を生成する酵素反応系との組み合わせにより,反応過程で生成する過酸化水素濃度の連続的 な測定が可能となる。過酸化水素を生成する酵素反応系は数多く知られており,それらの酵素反 応系とPODを触媒とするルミノ―ル化学発光反応系とをカップリングさせる条件を確立するこ と は , 酵 素 反 応 を 利 用 す る 化 学 発 光 分 析 シ ス テ ム を 構 築 す る う え で 重 要 で あ る 。   このような観点から本論文では,銅(H)含有酵素のモデル反応である銅( 1I)触媒によるチ オールの酸化反応において過酸化水素が生成することに着目し,その検出にPODを触媒とする ルミノール化学発光反応のカップリングを検討している。その結果,遅延化学発光ならびにぺル オキシダーゼの由来によって発光応答が変化する現象を見いだし,これらを新たな物質センシン グに応用し得ることを明らかにしている。本論文はそれらの経緯をまとめたもので,全6章から 構成されている。

  第1章では,酵素反応で生成する過酸化水素の検出法ならびに,過酸化水素を酸化剤とする POD触媒によるルミノール化学発光反応に関する研究を概観している。さらに,過酸化水素を 生成する酵素反応系として,銅(II)含有酵素のモデル反応系を用い,その検出反応に由来の異 なるPODを利用する理由 など,本研究の背景,目的と,本論文の構成にっいて述べている。

  第2章では,まずチオールの酸化反応を独立に取り上げて詳細な検討を行い分析化学的反応を 試みている。銅(II)錯体による疎水性チオールの酸化反応において,溶媒効果が発現すること

492

(2)

を認め,ジメチルスルホキシド中で疎水性チオールは化学量論的に酸化され,また,ジメチルホ ルムアミド中では疎水性チオールは接触的に酸化されることを明らかにしている。さらにジメチ ルスルホキシド中で化学量論的に生成する銅(I)錯体の吸光度を測定すると,疎水性チオ―ル の 定 量 が 出 来 る こ と を 示 し , チ オ ― ル の 新 た な 吸 光 光 度 法 を 提 案 し て い る 。   第3章では,ジメチルホルムアミド中での鋼(H)触媒によるシステアミンなどの親水性チオー ルの接触酸化反応を詳細に検討し,銅(II)の触媒活性が最大となる条件ならびに,銅(1I)の 触媒活性に及ばす他の遷移金属イオンの影響を明らかにしている。さらに,システアミンの酸化 速度と銅(II)濃度との 関係に着目して,新規な銅(II)の速度論的分析法を提案している。

  第4章では,銅(II)触媒によるシステアミンの酸化反応から生成する過酸化水素を検出する ために,西洋わさび由来のペルオキシダーゼ(HRP)を触媒とするルミノール化学発光反応を 検討している。その結果,酸化反応の開始直後から過酸化水素が生成しているにも関わらず,ル ミノールの発光が一定時間経過した後に突然発現する,新たな遅延化学発光現象を見いだしてい る。この機構を詳細に検討し,その結果,ルミノール化学発光の遅延現象は,FIRPが銅(II) と共に優先的にシステアミンの酸化触媒として作用し,システアミンの酸化反応が終了した時点 でルミノール化学発光反応の触媒として作用することに起因することを明らかにしている。また このような遅延現象は,システアミンの酸化触媒として,銅(皿)を用いた場合のみ発現し,か つ遅延時間及び遅延発光強度と銅(II)濃度との間に良好な直線関係が存在することを述べてい る。さらに,遅延ルミノール化学反応はサブppbレベル銅(H)の特異的な高感度分析に応用 し 得 る こ と を 実 験 的 に 明 ら か に し , こ の 方 法 を 実 試 料 の 分 析 に 応 用 し て い る 。   第5章では,西洋わ さび由来のPODのほかに,微 生物および牛乳由来のPODを 触媒に用い るルミノ―ル化学発光反応を用いて,鋼cn)触媒によるシステアミンの酸化反応から生成する 過酸化水素の検出を検討している。その結果,微生物由来のPODを用いると,生成する過酸化 水素を反応開始直後からルミノール化学発光で検出でき,また,牛乳由来のPODを触媒に用い ると,反応開始直後に微弱な発光のみが観測されることを明らかにしている。このような事実か ら,ルミノール化学発光の発光パ夕一ンを利用して,由来の異なるPODのキャラクタリゼーショ ンが可能であり,これら新反応の分析化学的有用性を論じている。さらに,反応過程における PODのヘム鉄の酸化状 態やシステアミンの減少速度と過酸化水素の生成速度などの測定を基 に,本反応系ではルミノールとシステアミンが競争的にPODの触媒サイクルに関与する機構を 提案している。

  第6章では,以上の結果を総括している。

493

(3)

学位論文審査の要旨

    主査  教授  渡辺寛 人     副査  教授  古市隆 三郎     副査  教授  高井光 男     副査  助教 授  上舘 民夫

  近年 ,超微 量分析 の分野 にお いて, 物質の センシ ング や評価 を簡便 に行え る分析法が要望され ている 。化 学セン サーは その一 例で ある。 このよ うな見 地から ,化 学反応 を利用する分析法が再 認識さ れ, 特に酵 素反応 の特異 性と 化学発 光反応 の高感 度性に 着目 した分 析法の開発が盛んであ る。゛

  ペ ル オ キ シ ダー ゼ (POD)は 過 酸 化水 素 に 高 い 基 質特 異 性 を も つ酵 素 で ある 。その 触媒反 応 サ イク ル に は さ らに 第 二 基 質 と して , 適 当 な 水素 供 与体 が関与 し,PODを触 媒とす るル ミノー ル化学 発光 反応で は,ル ミノー ルが 第二基 質とし て働く 。ルミ ノー ル化学 発光により過酸化水素 を高感 度に 検出で きるの で,過 酸化 水素を 生成す る酵素 反応と ルミ ノール 化学発光反応とを組合 せると ,生 成する 過酸化 水素の 測定 が可能になる。したがって,両反応のカップリングに必要′よ 諸条件 を明 らかに するこ とは, 酵素 反応を 利用す る化学 発光分 析シ ステム を構築する上で重要で ある。

  この ような 観点か ら著者 は, 超微量 分析や 物質の キャ ラクタ リゼー ション に利用し得る新反応 の開発 を目 的とし て,銅 (n)含有 酵素の モデ ル反応 として 知られ ている ,銅 (u)によるチオー ル の接 触 酸 化 反 応を 取 り 上 げ , この 反 応 か ら 生成 す る過 酸化水 素を検 出する ため ,PODを触媒 と する ル ミ ノ ー ル化 学 発 光 反応 をカ ップリ ングす る反応 システ ムを 検討し ている 。その 結果 , PODの 種 類 に よっ て 化 学 発 光の 時 間 応 答 性が 変 化 す る新 反応を 見いだ し,物 質のセ ンシ ングに 有 効な 新 原理を 提案す るこ とに成 功して いる。 本論文 はそ れらの 経緯を まとめ たも のであ り,6 章から 構成 されて いる。

  第1章は 序論で あり, 本研究 の背景 と目 的にっ いて述 べてい る。

  第2章 では, まずチ オール の酸 化反応 を独立 に取り 上げ ,ジメ チルス ルホキ シド中 で疎 水性チ オール が銅 (u) 錯体 により ,化学 量論的 に酸 化され ,ジメ チルホルムアミド中では疎水性チオー ルが接 触的 に酸化 される ことを 明ら かにし ている 。この 検討を 基に ,悪臭 の主成分である疎水性 チオー ルの 新規分 析法を 提案し てい る。

494

(4)

  第3章 で は, ジメ チ ルホ ルム ア ミド 中に お ける ,システアミ ンなどの親水性チ オ―ルの銅(II) に よる酸化反応を詳 細に検討し,銅(皿 )の触媒活性に及ぼす言音因子の影響を明らかにしている。

さ ら にシ ステ ア ミン の酸 化 速度 と銅(II)濃 度と の 関係 に着 目 し, 選択 性 に優 れた 銅 (II)の速 度 論的分析法を提案 している。

  第4章 で は , 銅cn)触 媒 によ るシ ス テア ミン の 酸化 反応 か ら生 成す る 過酸 化水 素 を, 西洋 わ さ び 由 来 の ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ(HRP)を 触 媒 と す るル ミノ ー ル化 学発 光 反応 で検 出 する こと を 試 み てい る。 ま ず, 反応 開 始直後から過酸化 水素が生成してい るにも関わらず, システアミンの 酸 化 触媒 であ る 銅(H)濃 度に 依 存し て, 化 学発 光に時間遅れ が生じることを見 いだし,その機 構 を 検 討 し て い る 。 す な わ ち ,HRPは 先 ず 銅(II)と 共に 優 先的 にシ ス テア ミン の 酸化 触媒 と し て 作用 し, シ ステ アミ ン の酸化が終了する と,化学発光反応 の触媒として作用 することを明ら か に して いる 。 この 遅延 化 学発 光は 酸 化触 媒に 銅(II)を用 い た場 合の み発現し ,かつ遅延時間 と 銅 (H) 濃度 との 間 に直 線関係が 存在するので,銅( II)の特 異的な高感度分析 が可能であり,

こ れを実試料の分析 に応用してその有効 性を確かめている 。

  第5章 で は, 銅( 皿 )触 媒に よ るシ ステ ア ミン の酸化反応か ら生成する過酸化 水素を,西洋わ さ び 由 来 のPODの ほ か に , 微 生 物 及 び 牛 乳 由 来 のPODを 触 媒 に 用 い て ,ル ミノ ー ル化 学発 光 反 応 で検 出す る こと を検 討 して いる 。 その 結果 , 微生 物由 来 のPODを用 いる と ,時 々刻 々 生成 す る 過酸 化水 素 を化 学発 光 で追 跡で き るこ と, ま た牛 乳由 来 のPODでは ,反 応 開始 直後 に 微弱 な 発 光の みが 観 測さ れ,PODが 分 解す るこ と を見 いだ し てい る。 し たが って , ルミ ノー ル 化学 発 光 の時 間応 答 パ夕 一ン か ら,PODの 触媒 活 性や 構造 安 定性 に関 す るキ ャラ ク タリ ゼー シ ョン が 可 能な こと を 指摘 し, こ れら新反応の有用 性を論じている。 最後に,酵素によ る発光応答性の 違 い を明 らか に する ため ,PODの へム 鉄の 酸 化状 態や , シス テア ミ ンの 滅少 速 度と 過酸 化 水素 の 生 成速 度な ど を測 定し ,PODの 構造 安定 性 およ びル ミ ノー ルラ ジ カル の生 成 速度 の差 が 発光 応 答性に関与する機 構を提案している。

  第6章では ,以上の結果を総 括している。

  こ れを 要す る に, 著者 は 新規な化学発光反 応を見いだし,超 微量分析やヘム合 有タンパク質の キ ャ ラク タリ ゼ ―シ ョン に 応用し得る新原理 を提案しているも ので,工業分析化 学の進歩に貢献 す るところ大なるも のがある。

  よ っ て 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

495

参照

関連したドキュメント

   第 2 章では、PDU 予熱器 において加 熱中のスラ

    4 章ではまずメ ゾスコピック系で発見された興味深いいくっかの現象を簡単

( 3 )拡散燃焼場において燃料と周囲空気との混合速度が燃焼速度に与える影響につ

[r]

   そこで、本研究では、放射線粒子の輸送計算にEGS‑4 モンテカルロシミ、ユレーションコー ドを 用い、 その中に MIRD‑5

   第3 章では、 soUID 磁束計の設計手法について述べた。低周波ノイズ増加の要因

[r]

[r]